(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】電力変換装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230530BHJP
【FI】
H02M7/48 R
H02M7/48 E
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2022506704
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037759
(87)【国際公開番号】W WO2022074716
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴間 義徳
(72)【発明者】
【氏名】山邉 健太
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-226871(JP,A)
【文献】特開平9-261969(JP,A)
【文献】特開2020-68552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と交流電源との間において電力変換器とフィルタと開閉器とが前記直流電源の側から順々に直列に接続された電力変換装置において、前記電力変換器と前記フィルタとの間に流れる交流電流の値と前記フィルタのインピーダンスの値とから前記電力変換器が出力する交流電力の推定値を算出する算出部と、
前記開閉器が開いた状態において、前記フィルタと前記開閉器との間に流れる交流電流の値と前記開閉器と前記交流電源との間にかかる交流電圧の値とに基づいて算出された交流電力の目標値と前記推定値との差が予め設定された許容範囲内となるように前記電力変換器の動作を制御し、前記目標値と前記推定値との差が予め設定された許容範囲内になった場合に前記開閉器を閉じる制御部と、
を備えた電力変換装置の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目標値と前記推定値とが一致するように
前記電力変換器の動作を制御し、前記目標値と前記推定値とが一致した場合に前記開閉器を閉じる請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項3】
前記目標値と前記推定値との差を比較する比較部、
を備え、
前記制御部は、前記比較部の比較において前記目標値と前記推定値との差が予め設定された許容範囲内となった場合に前記開閉器を閉じる請求項1または請求項2に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記開閉器が閉じた場合に、前記フィルタと前記開閉器との間とに流れる交流電流の値と前記開閉器と前記交流電源との間とにかかる交流電圧の値とに基づいて算出された交流電力のフィードバック値と当該交流電力の目標値との差が予め設定された許容範囲内となるように前記電力変換器の動作を制御する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電力変換装置の制御装置を開示する。当該制御装置によれば、起動時に電力系統の電圧に同期した交流電圧を電力変換装置から出力させた後に、電力変換装置の制御モードを切り換えることで、電力変換装置に突入電流が流れることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の制御装置は、インバータからの出力電圧の値を用いて電力変換装置を制御する。このため、インバータからの出力電圧を検出するための電圧センサが必要となる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、簡易な構成で電力変換装置に突入電流が流れることを抑制できる電力変換装置の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電力変換装置の制御装置は、直流電源と交流電源との間において電力変換器とフィルタと開閉器とが前記直流電源の側から順々に直列に接続された電力変換装置において、前記電力変換器と前記フィルタとの間に流れる交流電流の値と前記フィルタのインピーダンスの値とから前記電力変換器が出力する交流電力の推定値を算出する算出部と、前記開閉器が開いた状態において、前記フィルタと前記開閉器との間に流れる交流電流の値と前記開閉器と前記交流電源との間にかかる交流電圧の値とに基づいて算出された交流電力の目標値と前記推定値との差が予め設定された許容範囲内となるように前記電力変換器の動作を制御し、前記目標値と前記推定値との差が予め設定された許容範囲内になった場合に前記開閉器を閉じる制御部と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、制御装置は、電力変換器が出力する交流電力の目標値と推定値との差が予め設定された許容範囲内となった場合に開閉器を閉じる。このため、簡易な構成で電力変換器に突入電流が流れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1における電力変換装置の制御装置が適用される電力システムの構成図である。
【
図2】実施の形態1における電力変換装置の制御装置のブロック図である。
【
図3】実施の形態1における電力変換装置の制御装置の要部のブロック図である。
【
図4】実施の形態1における電力変換装置の制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施の形態1における電力変換装置の制御装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における電力変換装置の制御装置が適用される電力システムの構成図である。
【0011】
図1の電力システムは、直流電源1と交流電源2と電力変換装置3とを備える。例えば、直流電源1は、太陽電池である。例えば、交流電源2は、電力会社等により運用される電力系統である。電力変換装置3は、直流電源1と交流電源2との間に接続される。
【0012】
電力変換装置3は、電力変換器4と高調波フィルタ5と開閉器6と第1電流検出器7と第2電流検出器8と電圧検出器9と制御装置10とを備える。電力変換器4と高調波フィルタ5と開閉器6とは、直流電源1の側から順々に直列に接続される。
【0013】
電力変換器4は、直流電源1からの直流電力を交流電力に変換し得るように設けられる。高調波フィルタ5は、電力変換器4から出力された直流電流の高調波を抑制し得るように設けられる。開閉器6は、高調波フィルタ5と交流電源2との間の配線を閉じたり開いたりし得るように設けられる。
【0014】
第1電流検出器7は、電力変換器4と高調波フィルタ5との間に流れる交流電流の値をインバータ出力電流の値として検出し得るように設けられる。第2電流検出器8は、高調波フィルタ5と開閉器6の間とに流れる交流電流の値を系統電流の値として検出し得るように設けられる。電圧検出器9は、開閉器6と交流電源2との間にかかる交流電圧の値を系統電圧の値として検出し得るように設けられる。
【0015】
制御装置10は、第1電流検出器7の検出値と第2電流検出器8の検出値と電圧検出器9の検出値とに基づいて電力変換器4を制御し得るように設けられる。
【0016】
次に、
図2を用いて、制御装置10を説明する。
図2は実施の形態1における電力変換装置の制御装置のブロック図である。
【0017】
図2に示されるように、制御装置10は、第1変換部11と第2変換部12と第1乗算部13と第2乗算部14と第3乗算部15と第4乗算部16と加算部17と第1減算部18と第1切換部19と第2切換部20と第3切換部21と第4切換部22と第2減算部23と第3減算部24と有効電力制御部25と無効電力制御部26と電流制御部27とを備える。
【0018】
第1変換部11は、系統電圧の値の情報の入力を受け付ける。第1変換部11は、dq変換により三相の交流電圧の値をd軸電圧の値とq軸電圧の値とに変換する。第1変換部11は、d軸電圧の値の情報とq軸電圧の値の情報とを出力する。
【0019】
第2変換部12は、系統電流の値の情報の入力を受け付ける。第2変換部12は、dq変換により三相の交流電流の値をd軸電流の値とq軸電流の値とに変換する。第2変換部12は、d軸電流の値の情報とq軸電流の値の情報とを出力する。
【0020】
第1乗算部13は、第1変換部11からd軸電圧の値の情報の入力を受け付ける。第1乗算部13は、第2変換部12からd軸電流の値の情報の入力を受け付ける。第1乗算部13は、d軸電圧の値にd軸電流の値を乗じた値を算出する。第1乗算部13は、d軸電圧の値にd軸電流の値を乗じた値の情報を出力する。
【0021】
第2乗算部14は、第1変換部11からq軸電圧の値の情報の入力を受け付ける。第2乗算部14は、第2変換部12からq軸電流の値の情報の入力を受け付ける。第2乗算部14は、q軸電圧の値にq軸電流の値を乗じた値を算出する。第2乗算部14は、q軸電圧の値にq軸電流の値を乗じた値の情報を出力する。
【0022】
第3乗算部15は、第1変換部11からq軸電圧の値の情報の入力を受け付ける。第3乗算部15は、第2変換部12からd軸電流の値の情報の入力を受け付ける。第3乗算部15は、q軸電圧の値にd軸電流の値を乗じた値を算出する。第3乗算部15は、q軸電圧の値にd軸電流の値を乗じた値の情報を出力する。
【0023】
第4乗算部16は、第1変換部11からd軸電圧の値の情報の入力を受け付ける。第4乗算部16は、第2変換部12からq軸電流の値の情報の入力を受け付ける。第4乗算部16は、d軸電圧の値にq軸電流の値を乗じた値を算出する。第4乗算部16は、d軸電圧の値にq軸電流の値を乗じた値の情報を出力する。
【0024】
加算部17は、第1乗算部13の出力値の情報の入力を受け付ける。加算部17は、第2乗算部14の出力値の情報の入力を受け付ける。加算部17は、第1乗算部13の出力値に第2乗算部14の出力値を加えることで有効電力のフィードバック値を算出する。加算部17は、有効電力のフィードバック値の情報を出力する。
【0025】
第1減算部18は、第3乗算部15の出力値の情報の入力を受け付ける。第1減算部18は、第4乗算部16の出力値の入力を受け付ける。第1減算部18は、第3乗算部15の出力値から第4乗算部16の出力値を減じることで無効電力のフィードバック値を算出する。第1減算部18は、無効電力のフィードバック値の情報を出力する。
【0026】
第1切換部19は、同期合わせ時の有効電力の目標値の情報の入力を受け付ける。同期合わせ時の有効電力の目標値は、開閉器6が開いた状態におけるインバータ電流の値と系統電圧の値とに基づく値である。第1切換部19は、通常運転時の有効電力の目標値の情報の入力を受け付ける。通常運転時の有効電力の目標値は、開閉器6が閉じた状態における系統電流の値と系統電圧の値とに基づく値である。第1切換部19は、予め設定された条件が成立した場合に出力値を切り換える。例えば、第1切換部19は、開閉器6が閉じた状態から開いた状態に変化した場合に出力値の情報を通常運転時の有効電力の目標値の情報から同期合わせ時の有効電力の目標値の情報に切り換える。例えば、第1切換部19は、開閉器6が開いた状態から閉じた状態に変化した場合に出力値の情報を同期合わせ時の有効電力の目標値の情報から通常運転時の有効電力の目標値の情報に切り換える。
【0027】
第2切換部20は、有効電力のフィードバック値の入力を受け付ける。第2切換部20は、有効電力の推定値の入力を受け付ける。有効電力の推定値は、電力変換器4から出力された電圧の値が、開閉器6が開いた状態における系統電圧の値に一致するために必要な出力電力として、インバータ出力電流に基づき算出された値である。第2切換部20は、予め設定された条件が成立した場合に出力値を切り換える。例えば、第2切換部20は、開閉器6が閉じた状態から開いた状態に変化した場合に出力値の情報を有効電力のフィードバック値の情報から有効電力の推定値の情報に切り換える。例えば、第2切換部20は、開閉器6が開いた状態から閉じた状態に変化した場合に出力値の情報を有効電力の推定値の情報から有効電力のフィードバック値の情報に切り換える。
【0028】
第3切換部21は、同期合わせ時の無効電力の目標値の情報の入力を受け付ける。同期合わせ時の無効電力の目標値は、開閉器6が開いた状態におけるインバータ電流の値と系統電圧との値に基づく値である。第3切換部21は、通常運転時の無効電力の目標値の情報の入力を受け付ける。通常運転時の無効電力の目標値は、開閉器6が閉じた状態における系統電流の値と系統電圧との値に基づく値である。第3切換部21は、予め設定された条件が成立した場合に出力値を切り換える。例えば、第3切換部21は、開閉器6が閉じた状態から開いた状態に変化した場合に出力値の情報を通常運転時の無効電力の目標値の情報から同期合わせ時の無効電力の目標値の情報に切り換える。例えば、第3切換部21は、開閉器6が開いた状態から閉じた状態に変化した場合に出力値の情報を同期合わせ時の無効電力の目標値の情報から通常運転時の無効電力の目標値の情報に切り換える。
【0029】
第4切換部22は、無効電力フィードバック値の情報の入力を受け付ける。第4切換部22は、無効電力の推定値の情報の入力を受け付ける。無効電力の推定値は、電力変換器4から出力された電圧の値が、開閉器6が開いた状態における系統電圧の値に一致するために必要な出力電力として、インバータ出力電流に基づき算出された値である。第4切換部22は、予め設定された条件が成立した場合に出力値を切り換える。例えば、第4切換部22は、開閉器6が閉じた状態から開いた状態に変化した場合に出力値の情報を無効電力のフィードバック値の情報から無効電力の推定値の情報に切り換える。例えば、第4切換部22は、開閉器6が開いた状態から閉じた状態に変化した場合に出力値の情報を無効電力の推定値の情報から無効電力のフィードバック値の情報に切り換える。
【0030】
第2減算部23は、第1切換部19から出力値の情報の入力を受け付ける。第2減算部23は、第2切換部20から出力値の情報の入力を受け付ける。第2減算部23は、第1切換部19の出力値から第2切換部20の出力値を減じた値を算出する。第2減算部23は、第1切換部19の出力値から第2切換部20の出力値を減じた値の情報を出力する。
【0031】
第3減算部24は、第3切換部21から出力値の情報の入力を受け付ける。第3減算部24は、第4切換部22から出力値の情報の入力を受け付ける。第3減算部24は、第3切換部21の出力値から第4切換部22の出力値を減じた値を算出する。第3減算部24は、第3切換部21の出力値から第4切換部22の出力値を減じた値の情報を出力する。
【0032】
有効電力制御部25は、第2減算部23の出力値の情報の入力を受け付ける。有効電力制御部25は、第2減算部23の出力値に基づいてd軸電流指令値を算出する。有効電力制御部25は、d軸電流指令値の情報を出力する。
【0033】
無効電力制御部26は、第3減算部24の出力値の情報の入力を受け付ける。無効電力制御部26は、第3減算部24の出力値に基づいてq軸電流指令値を算出する。無効電力制御部26は、q軸電流指令値の情報を出力する。
【0034】
電流制御部27は、有効電力制御部25からd軸電流指令値の情報の入力を受け付ける。電流制御部27は、無効電力制御部26からq軸電流指令値の情報の入力を受け付ける。電流制御部27は、電力変換器4の動作を制御するインバータゲートパルス発生部へd軸電圧指令値の情報とq軸電圧指令値の情報とを出力する。
【0035】
次に、
図3を用いて、制御装置10による開閉器6の制御方法を説明する。
図3は実施の形態1における電力変換装置の制御装置の要部のブロック図である。
【0036】
図3に示されるように、制御装置10は、算出部28と比較部29と制御部30とを備える。
【0037】
算出部28は、同期合わせ時の有効電力の目標値を算出する。例えば、同期合わせ時の有効電力の目標値は、開閉器6が開いた状態におけるインバータ電流の値と系統電圧の値とに基づく有効電力と同一の値である。算出部28は、同期合わせ時の有効電力の目標値の情報を
図3において図示されない第1切換部19に出力する。
【0038】
算出部28は、同期合わせ時に電力変換器4から出力された交流電流の値から電力変換器4が出力する有効電力の推定値を算出する。具体的には、算出部28は、インバータ出力電流の値と高調波フィルタ5のインピーダンスの値とから電力変換器4から出力される有効電圧の推定値を算出する。算出部28は、インバータ出力電流の値と有効電圧の推定値とから有効電力の推定値を算出する。算出部28は、有効電力の推定値の情報を
図3において図示されない第2切換部20に出力する。
【0039】
算出部28は、同期合わせ時の無効電力の目標値を算出する。例えば、同期合わせ時の有効電力の目標値は、開閉器6が開いた状態におけるインバータ電流の値と系統電圧の値とに基づく無効電力と同一の値である。算出部28は、同期合わせ時の無効電力の目標値を
図3において図示されない第3切換部21に出力する。
【0040】
算出部28は、同期合わせ時に電力変換器4から出力された交流電流の値から電力変換器4が出力する無効電力の推定値を算出する。具体的には、算出部28は、インバータ出力電流の値と高調波フィルタ5のインピーダンスの値とから電力変換器4から出力される無効電圧の推定値を算出する。算出部28は、インバータ出力電流の値と無効電圧の推定値とから無効電力の推定値を算出する。算出部28は、無効電力の推定値の情報を
図3において図示されない第4切換部22に出力する。
【0041】
比較部29は、有効電力判定部29aと無効電力判定部29bとを備える。
【0042】
有効電力判定部29aは、算出部28から同期合わせ時の有効電力の目標値の情報の入力を受け付ける。有効電力判定部29aは、算出部28から有効電力の推定値の情報の入力を受け付ける。有効電力判定部29aは、同期合わせ時の有効電力の目標値と推定値とを比較する。有効電力判定部29aは、同期合わせ時の有効電力の目標値と推定値との差が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する。例えば、有効電力判定部29aは、同期合わせ時の有効電力の目標値と推定値とが一致したか否かを判定する。有効電力判定部29aは、同期合わせ時の有効電力の目標値と推定値とが一致したか否かの判定結果の情報を出力する。
【0043】
無効電力判定部29bは、算出部28から同期合わせ時の無効電力の目標値の情報の入力を受け付ける。無効電力判定部29bは、算出部28から無効電力の推定値の情報の入力を受け付ける。無効電力判定部29bは、同期合わせ時の無効電力の目標値と推定値とを比較する。無効電力判定部29bは、同期合わせ時の無効電力の目標値と推定値との差が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する。例えば、無効電力判定部29bは、同期合わせ時の無効電力の目標値と推定値とが一致したか否かを判定する。無効電力判定部29bは、同期合わせ時の無効電力の目標値と推定値とが一致したか否かの判定結果の情報を出力する。
【0044】
制御部30は、有効電力判定部29aから判定結果の情報の入力を受け付ける。制御部30は、無効電力判定部29bから判定結果の情報の入力を受け付ける。制御部30は、有効電力判定部29aの判定結果と無効電力判定部29bの判定結果とに基づいて、開閉器6の開閉を切り換える。例えば、制御部30は、同期合わせ時の有効電力の目標値と推定値との差が予め設定された許容範囲内である場合、かつ同期合わせ時の無効電力の目標値と推定値との差が予め設定された許容範囲内である場合、開閉器6を閉じる。例えば、制御部30は、同期合わせ時の有効電力の目標値と推定値とが一致した場合、かつ同期合わせ時の無効電力の目標値と推定値とが一致した場合、開閉器6を閉じる。
【0045】
次に、
図4を用いて、制御装置10の動作の概要を説明する。
図4は実施の形態1における電力変換装置の制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0046】
ステップS1では、制御装置10は、電力変換器4が出力する有効電力の推定値と無効電力の推定値とを算出する。その後、制御装置10は、ステップS2の動作を行う。ステップS2では、電流制御部27は、同期合わせ時の有効電力の目標値と無効電力の目標値とが有効電力の推定値と無効電力の推定値とにそれぞれ一致するように電力変換器4の動作を制御する。
【0047】
その後、制御装置10は、ステップS3の動作を行う。ステップS3では、制御装置10は、同期合わせ時の有効電力の目標値と無効電力の目標値とが有効電力の推定値と無効電力の推定値とにそれぞれ一致したか否かを判定する。
【0048】
ステップS3で同期合わせ時の有効電力の目標値が有効電力の推定値と一致していない場合または同期合わせ時の無効電力の目標値が無効電力の推定値と一致していない場合、制御装置10は、ステップS2の動作を行う。
【0049】
ステップS3で同期合わせ時の有効電力の目標値と無効電力の目標値とが有効電力の推定値と無効電力の推定値とにそれぞれ一致した場合、制御装置10は、ステップS4の動作を行う。
【0050】
ステップS4では、制御装置10は、開閉器6を閉じる。その後、制御装置10は、ステップS5の動作を行う。ステップS5では、制御装置10は、有効電力のフィードバック値と無効電力のフィードバック値とが通常運転時の有効電力の目標値と無効電力の目標値とにそれぞれ一致するように電力変換器4の動作を制御する。
【0051】
その後、制御装置10は、ステップS6の動作を行う。ステップS6では、制御装置10は、電力変換器4の動作を停止させる要求があるか否かを判定する。ステップS6で電力変換器4の動作を停止させる要求がない場合、制御装置10は、ステップS5の動作を行う。ステップS6で電力変換器4の動作を停止させる要求がある場合、制御装置10は、ステップS7の動作を行う。
【0052】
ステップS7では、制御装置10は、電力変換器4の動作を停止する。その後、制御装置10は、ステップS8の動作を行う。ステップS8では、制御装置10は、開閉器6を開く。その後、制御装置10は、動作を終了する。
【0053】
以上で説明した実施の形態1によれば、制御装置10は、交流電力の目標値と推定値との差が予め設定された許容範囲内となった場合に開閉器6を閉じる。この場合、系統併入時の同期合わせのために電力変換器4から出力された電圧の検出器と電力変換器4から出力された電圧の制御手段とそれにかかる配線等がなくても、同期合わせを行うことができる。この結果、系統併入時に電力変換器4から出力された電圧と交流電源2の入力側の交流電圧における振幅と位相角と周波数を一致させることができる。このため、簡易かつ安価な構成で電力変換器4に突入電流が流れることを抑制することができる。
【0054】
また、制御装置10は、交流電力の目標値と推定値とが一致した場合に開閉器6を閉じる。このため、電力変換器4に突入電流が流れることをより確実に抑制することができる。
【0055】
また、制御装置10は、比較部29を備える。このため、交流電力の目標値と推定値とが一致したか否かをより正確に判定することができる。
【0056】
また、制御装置10は、開閉器6が閉じた場合は、電力のフィードバック値と通常運転時の電力の目標値との差が予め設定された許容範囲内となるように電力変換器4の動作を制御する。このため、電力変換器4は、速やかに通常運転に移ることができる。
【0057】
なお、直流電源1は、整流器でもよい。なお、直流電源1は、電池でもよい。なお、直流電源1は、コンデンサでもよい。
【0058】
なお、第1切換部19は、開閉器6に開閉の指令が出された際に、出力値の情報を切り換えてもよい。この場合、制御装置10が開閉器6の開閉を検出しなくても、出力する値の情報を切り換えることができる。
【0059】
なお、第2切換部20は、開閉器6に開閉の指令が出された際に、出力値の情報を切り換えてもよい。この場合、制御装置10が開閉器6の開閉を検出しなくても、出力する値の情報を切り換えることができる。
【0060】
なお、第3切換部21は、開閉器6に開閉の指令が出された際に、出力値の情報を切り換えてもよい。この場合、制御装置10が開閉器6の開閉を検出しなくても、出力する値の情報を切り換えることができる。
【0061】
なお、第4切換部22は、開閉器6に開閉の指令が出された際に、出力値の情報を切り換えてもよい。この場合、制御装置10が開閉器6の開閉を検出しなくても、出力値の情報を切り換えることができる。
【0062】
なお、電力変換器4は、図示した回路の構成に限られない。例えば、電力変換器4は、インバータを多レベルにした回路の構成でもよい。例えば、電力変換器4は、インバータを直列多段列に接続した回路の構成でもよい。例えば、電力変換器4は、インバータを並列接続した回路の構成でもよい。例えば、電力変換器4を構成するインバータは、単相でもよい。
【0063】
なお、高調波フィルタ5は、図示した回路の構成に限られない。なお、高調波フィルタ5は、開閉器6が開いた状態で電流が流れ、インピーダンスの値が既知であればよい。例えば、高調波フィルタ5は、変圧器でもよい。
【0064】
次に、
図5を用いて、制御装置10の例を説明する。
図5は実施の形態1における電力変換装置3の制御装置のハードウェア構成図である。
【0065】
制御装置10の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0066】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、制御装置10の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置10の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0067】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御装置10の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御装置10の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0068】
制御装置10の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、制御部30の機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、制御部30の機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0069】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御装置10の各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本開示の電力変換装置の制御装置は、電力システムに利用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 直流電源、 2 交流電源、 3 電力変換装置、 4 電力変換器、 5 高調波フィルタ、 6 開閉器、 7 第1電流検出器、 8 第2電流検出器、 9 電圧検出器、 10 制御装置、 11 第1変換部、 12 第2変換部、 13 第1乗算部、 14 第2乗算部、 15 第3乗算部、 16 第4乗算部、 17 加算部、 18 第1減算部、 19 第1切換部、 20 第2切換部、 21 第3切換部、 22 第4切換部、 23 第2減算部、 24 第3減算部、 25 有効電力制御部、 26 無効電力制御部、 27 電流制御部、 28 算出部、 29 比較部、 29a 有効電力判定部、 29b 無効電力判定部、 30 制御部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア