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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】蓄電池盤
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20230530BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20230530BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
H01M50/209
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019075921
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020161464
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】碁盤 昂希
(72)【発明者】
【氏名】中西 真
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】実公昭43-000550(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電池を収納する直方体形状のケースの1つの対向する面の前方および後方の両端にそれぞれ少なくとも1つの支持用突起を有する蓄電池モジュールと、
複数の前記蓄電池モジュールを垂直方向に多段に積載して収納する全体フレームと、
前記全体フレームは、前記蓄電池モジュールを載置して支える棚板フレームと、前記棚板フレームに載置された状態で前記蓄電池モジュールの後方の支持用突起に嵌合する切り欠き部を有する後方フレームと、前記全体フレームの下部に設けられた押さえ板固定フレーム部を軸として回動可能な状態で取り付けられ前記蓄電池モジュールの前方の支持用突起に嵌合し面取り加工が施された切り欠き部を有し前記垂直方向に多段に積載された複数の蓄電池モジュールを固定する垂直方向に伸びる前方フレームである押さえ板と、から成り、
前記押さえ板の下端部を前記押さえ板固定フレーム部を軸として前記押さえ板の上端部を押し上げながら前記押さえ板を回動させ、前記垂直方向に多段に積載された複数の蓄電池モジュールの下段側から上段側にかけて個々の前記蓄電池モジュールの前方の支持用突起に対応するそれぞれの前記押さえ板の面取り加工が施された切り欠き部を順々に嵌合させていくことを特徴とする蓄電池盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池盤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力貯蔵や動力分野において長時間稼動や高サイクル性を備えたリチウムイオン蓄電池が主流となる市場予測が立てられており、高エネルギー密度で小型化が可能な利点があることから、利用スペースが限られた分野にてリチウムイオン蓄電池を用いた小型かつ簡素構造の製品への期待が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-273428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術によれば、一般的なキュービクル方式を使用せず、必要最小限の構成要素を用いて、複数の蓄電池を使用可能な状態でまとめて設置可能な蓄電池装置を提案している。しかし多段化した場合に一段ごとのラックの積み重ね構造となり、固定部品点数が増加し、組立も複雑となり、装置が大型化してしまう恐れがある。
【0005】
またラックの積み重ね構造では、定置で使用する分には考慮が不要であるが、船舶や鉄道などといった動力分野で使用する場合に耐振動強度に関しても懸念が残る。
【0006】
本実施形態は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本実施形態の目的は、多段に蓄電池を配置する構成の場合にも部品点数の増加を抑え、構造機構に利用するスペースを最小限とし、なおかつ耐震強度を確保した構造を有する蓄電池盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本実施形態に係る蓄電池盤は、複数の蓄電池を収納する直方体形状のケースの1つの対向する面の前方および後方の両端にそれぞれ少なくとも1つの支持用突起を有する蓄電池モジュールと、複数の前記蓄電池モジュールを垂直方向に多段に積載して収納する全体フレームと、前記全体フレームは、前記蓄電池モジュールを載置して支える棚板フレームと、前記棚板フレームに載置された状態で前記蓄電池モジュールの後方の支持用突起に嵌合する切り欠き部を有する後方フレームと、前記全体フレームの下部に設けられた押さえ板固定フレーム部を軸として回動可能な状態で取り付けられ前記蓄電池モジュールの前方の支持用突起に嵌合し面取り加工が施された切り欠き部を有し前記垂直方向に多段に積載された複数の蓄電池モジュールを固定する垂直方向に伸びる前方フレームである押さえ板と、から成り、前記押さえ板の下端部を前記押さえ板固定フレーム部を軸として前記押さえ板の上端部を押し上げながら前記押さえ板を回動させ、前記垂直方向に多段に積載された複数の蓄電池モジュールの下段側から上段側にかけて個々の前記蓄電池モジュールの前方の支持用突起に対応するそれぞれの前記押さえ板の面取り加工が施された切り欠き部を順々に嵌合させていくことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】蓄電池モジュール構成図。
図2】本発明の第1の実施形態を示す構成図。
図3】本発明の第2の実施形態を示す構成図。
図4】本発明の電池押さえ板にて電池固定する仕組み(その1)を示す図。
図5】本発明の電池押さえ板にて電池固定する仕組み(その2)を示す図。
図6】本発明の電池押さえ板にて電池固定する仕組み(その3)を示す図。
図7】本発明の電池押さえ板にて電池固定する仕組み(その4)を示す図。
図8】本発明の電池押さえ板にて電池固定する仕組み(その5)を示す図。
図9】本発明の第3の実施形態を示す構成図。
図10】本発明の第4の実施形態を示す構成図。
図11】本発明の第5の実施形態を示す構成図。
図12】本発明の第6の実施形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る第1の実施形態の構成について図1、2を参照して説明する。図1は設置面に対して垂直方向に対向する面2の両端に2つ以上の支持用突起1を備えている蓄電池モジュール3の概略図である。この蓄電池モジュール3の内部には複数の蓄電池が収納されている。
【0013】
図2は本発明の第1の実施形態を示す蓄電池盤構成を概略図で表した図である。本発明の蓄電池盤は収納盤10(フレーム)の中に、設置面に対して並列に棚板フレーム11が取り付けてある。また収納盤10の奥行き側には後方蓄電池モジュール押さえ板12が取り付けてあり、開口面5より挿入する蓄電池モジュール3の背面側突起4を、後方蓄電池モジュール押さえ板12の切り欠き部13に嵌合させる。蓄電池モジュール3を挿入後、押さえ板固定フレーム14と蓄電池モジュール押さえ板15、下部ボルト16を半固定し、下部ボルト16を軸に蓄電池モジュール押さえ板15を押し上げて支持用突起1に嵌合させて固定する。
【0014】
このような構成により、蓄電池モジュール3と収納盤10との間のスペースが、作業者 の手が入らないほど狭い場合であっても、蓄電池モジュール3を収納盤10に確実に固 定設置することができる。よって蓄電池盤を設置するのに省スペースで蓄電池盤を設置 することが可能となる。
【0015】
図3は本発明の第2の実施形態を示す蓄電池盤構成を概略図で表した図である。本発明の蓄電池盤は収納盤10の設置面に対して垂直に複数の棚板フレーム11を取り付けている。蓄電池モジュール3を積載する数量に応じて棚板フレーム11を設置する。蓄電池モジュール押さえ板15で固定する分の蓄電池モジュール3を挿入後、蓄電池モジュール押さえ板15を押し上げて支持用突起1に嵌合させて固定する。
【0016】
しかし、複数個の蓄電池モジュール3を棚板フレーム11に積載するために棚板フレーム長を長くする場合、棚板フレーム11にダレが生じ、蓄電池モジュール3を積載した際に、蓄電池モジュール3前方が少し垂れ下がった状態になる。この状態で複数段の蓄電池モジュール3を蓄電池モジュール押さえ板15で一斉に固定する場合、支持用突起1と蓄電池モジュール押さえ板15の切り欠き部13が嵌合せず、また蓄電池モジュール3の重量も大きいため微調整することができず、蓄電池モジュール3を容易に固定することができないという問題が生じる。
【0017】
そこで、解決策として考案した方法を図4~8にて説明する。図4のように蓄電池モジュール押さえ板15の切り欠き部13の両側角に面取り21を加え、さらに下部ボルト固定穴22を長穴とし、下部ボルト16の軸に対して蓄電池モジュール押さえ板15に可動領域を持たせる。
【0018】
図5のように蓄電池モジュール押さえ板15を、下部ボルト16を軸に押し上げていく と、一段目の蓄電池モジュール3の支持用突起1に衝突する。
【0019】
図6のように、そのまま蓄電池モジュール押さえ板15を押し上げると、面取り21部分に沿って支持用突起1が押し上げられていき、そのまま押し上げ続けると、図7のように支持用突起1が切り欠き部13に嵌合し、さらに2段目の蓄電池モジュール30の支持用突起31に当たり、面取り21部分に沿って2段目の蓄電池モジュール30が押し上げられる。
【0020】
二段目以降、段数倍の重量が蓄電池モジュール押さえ板15にかかることで、持ち上げることが困難になる。そこで、蓄電池モジュール押さえ板15の下部に切り欠き部32を加え、押さえ板固定フレーム14の上面に引っ掛けることで接触部を支点に、2段目以降の電池モジュール郡を持ち上げることが可能となる。またそのときに軸の下部ボルト16に対して蓄電池モジュール押さえ板15下部を長穴とすることで、蓄電池モジュール3の支持用突起1の位置を補正しながら持ち上げる際の軸のずれを吸収することが可能となる。
【0021】
そして図8のように、3段目以降順に棚のダレによりずれ下がった蓄電池モジュール3の支持用突起1の位置を補正しながら順に持ち上げることで、一斉に複数段の電池を固定することができる。
【0022】
上記により、多段、多並列に蓄電池モジュール3を配置する構成の場合にも、部品点数の増加を抑え、また蓄電池モジュール3を固定する機構に使用する領域を最小限とすることで小型化し、なおかつ蓄電池モジュール3の支持用突起1ごとに固定点を持たせ、固定間隔を短くすることで耐振動強度を確保することができる。
【0023】
その他、様々な形態への適用が可能であり、図9~12を例として説明する。
【0024】
図9は本発明の第3の実施形態を示す蓄電池盤構成を概略図で表した図である。本発明の蓄電池盤は蓄電池モジュール3を実装する数量に応じて、収納盤10に設置面に対して水平に複数の棚板フレーム11を備えることで、本形態に適した設置環境においても適用することができる。
【0025】
図10は本発明の第4の実施形態を示す蓄電池盤構成を概略図で表した図である。本発明の蓄電池盤には蓄電池モジュール押さえ板15の切り欠き部13のある面の対向面に板金曲げ40を追加したものを備える。これにより部品点数を増やさずに耐振動性能を高めることができる。
【0026】
図11は本発明の第5の実施形態を示す蓄電池盤構成を概略図で表した図である。本実施形態の蓄電池盤には後方蓄電池モジュール押さえ板12の両端に切り欠き部13および、切り欠き部13の面取り21を追加した前後方蓄電池モジュール押さえ板50を備える。これにより蓄電池モジュール3を向かい合わせて三次元配置することができ、要求環境や要求容量特性に応じて更なる蓄電池容量を増加させることが可能となる。
【0027】
図12は本発明の第6の実施形態を示す蓄電池盤構成を概略図で表した図である。本発明の蓄電池盤には行列方向に並ぶ複数の蓄電池モジュール3を固定するため、格子形状の押さえ板60を備える。これにより行列方向に並んだ蓄電池モジュール3を一度にまとめて固定することが可能となり、耐振動性能を高めることが可能となる。
【0028】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1、31 支持用突起
2 蓄電池モジュールの側面
3、30 蓄電池モジュール
4 背面側突起
5 開口面
10 収納盤
11 棚板フレーム
12 後方蓄電池モジュール押さえ板
13、32 切り欠き部
14 押さえ板固定フレーム
15 蓄電池モジュール押さえ板
16 下部ボルト
21 面取り
22 下部ボルト固定穴
40 板金曲げ
50 前後方蓄電池モジュール押さえ板
60 格子形状の押さえ板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12