(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】照明装置用の制御回路
(51)【国際特許分類】
H05B 45/14 20200101AFI20230530BHJP
H05B 45/52 20200101ALI20230530BHJP
H05B 45/54 20200101ALI20230530BHJP
H05B 47/14 20200101ALI20230530BHJP
H05B 47/21 20200101ALI20230530BHJP
H05B 47/23 20200101ALI20230530BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230530BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20230530BHJP
【FI】
H05B45/14
H05B45/52
H05B45/54
H05B47/14
H05B47/21
H05B47/23
H01L33/00 J
H01L33/32
(21)【出願番号】P 2019055285
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(73)【特許権者】
【識別番号】516131843
【氏名又は名称】ANP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】大久保 潤一
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】羽田 正二
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-062730(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0334802(US,A1)
【文献】特開2015-167213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
H01L 33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を印加する直流電源と、
前記直流電源から電圧を印加されると、常時点灯するLEDを備えたLED常時点灯部と、
直並列の接続が変換するLEDを有するLED直並列変換部と、
調光信号によって、調光制御を行う、調光信号制御部と、
比較器に吸い込まれた電流の量に応じて、前記LED直並列変換部に係るLEDの直並列の接続を変換させるLED直並列制御部を有し、
前記調光信号制御部は、
リファレンス電圧と、マイナスの電圧入力部を通じて印加された電圧を比較し、比較結果に応じた量の電流を吸い込む前記比較器と、
前記比較器のマイナスの電圧入力部と接続され、外部から調光信号の入力を受け付ける調光信号入力部とを備えていることを特徴とする、照明装置用の制御回路。
【請求項2】
直流電圧を印加する直流電源と、
前記直流電源から電圧を印加されると、常時点灯するLEDを備えたLED常時点灯部と、
点灯又は消灯するLEDを備えたLED点灯・消灯部と、
調光信号によって、調光制御を行う、調光信号制御部と、
比較器に吸い込まれた電流の量に応じて、前記LED点灯・消灯部に係るLEDを制御するLED点灯・消灯制御部を有し、
前記調光信号制御部は、
リファレンス電圧と、マイナスの電圧入力部を通じて印加された電圧を比較し、比較結果に応じた量の電流を吸い込む前記比較器と、
前記比較器のマイナスの電圧入力部と接続され、外部から調光信号の入力を受け付ける調光信号入力部とを備えていることを特徴とする、照明装置用の制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源に直流電圧を用いる、直流を給電するシステムに特化した照明装置において、幅広い電源電圧に対応可能な制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のLED(発光ダイオード)技術の進化に伴い、LED照明装置は、様々なものが使用されている。そのため、LED照明装置には、小型化、高効率化、低価格化等が要求されている。
【0003】
その中で、直流電圧を電源とするLED照明装置の電源供給元は、一つとは限らず、近年の省エネ意識の高まりにより、再生可能エネルギーである太陽光発電電力や、各種バッテリー電力等、多岐にわたる。
【0004】
これらの電源から出力される直流電圧の違いに対しては、電源変換ユニットを用いることで対応していた。しかし、電源変換ユニットを用いる構成は、変換によるロスが発生し、効率が低下する問題があった。
【0005】
また、電源変換ユニットの多くは、特定の周波数でスイッチングして、出力を一定に保つ構成である。この様な電源変換ユニットは、スイッチング動作により、電磁ノイズが発生するという大きなデメリットがあった。
【0006】
一方、電源変換ユニットを使用しない構成では、一定の範囲の直流電圧に対しては、LEDに流れる電流を一定に保つことは可能であるが、その範囲外の直流電圧の僅かな変動に対して、LEDに流れる電流が大きく変化してしまう。そのため、LED照明から出力される光の質が低下したり、LEDの寿命が短縮、或は焼損してしまう。
【0007】
また、所定の値以下に、直流電圧が低下すると、LEDを点灯させるために必要な順(方向)電圧が足りなくなり、LEDが消灯してしまう。そのため、広範囲の電源電圧に対応させることができないという問題があった。
【0008】
従って、電源変換ユニットを用いることなく、幅広い電源電圧に対応可能なLED照明装置用の制御回路が望まれている。特許文献1では、電源電圧の増減に合わせてLEDの点灯と消灯を制御することによって幅広い電源電圧に対応しながら、LEDに流れる電流を一定に保つ構成が開示されている。また、特許文献2では、電源電圧の増減に合わせてLEDの点灯と消灯を制御することによって幅広い電源電圧に対応しながら、照明装置全体としては明るさに隔たりを生じさせない構成が開示されている。更に、特許文献3では、電源電圧の増減に合わせてLEDの直並列の接続を変換することによって幅広い電源電圧に対応しながら、LEDに流れる電流を一定に保つ構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2013-179279号公報
【文献】特許第6441613号公報
【文献】特開2018-106929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これらの特許文献1~3の構成では、電源電圧の増減に合わせて、LEDの照度が自動的に変動してしまう。
【0011】
そこで、この発明は、上述の課題を解決するものとして、幅広い電源電圧の範囲に対応可能であると共に、意図的に調光可能な照明装置用の制御回路を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、
直流電圧を印加する直流電源と、
前記直流電源から電圧を印加されると、常時点灯するLEDを備えたLED常時点灯部と、
直並列の接続が変換するLEDを有するLED直並列変換部と、
調光信号によって、調光制御を行う、調光信号制御部と、
比較器に吸い込まれた電流の量に応じて、前記LED直並列変換部に係るLEDの直並列の接続を変換させるLED直並列制御部を有し、
前記調光信号制御部は、
リファレンス電圧と、マイナスの電圧入力部を通じて印加された電圧を比較し、比較結果に応じた量の電流を吸い込む前記比較器と、
前記比較器のマイナスの電圧入力部と接続され、外部から調光信号の入力を受け付ける調光信号入力部とを備えている、照明装置用の制御回路とした。
【0013】
また、請求項2の発明は、
直流電圧を印加する直流電源と、
前記直流電源から電圧を印加されると、常時点灯するLEDを備えたLED常時点灯部と、
点灯又は消灯するLEDを備えたLED点灯・消灯部と、
調光信号によって、調光制御を行う、調光信号制御部と、
比較器に吸い込まれた電流の量に応じて、前記LED点灯・消灯部に係るLEDを制御するLED点灯・消灯制御部を有し、
前記調光信号制御部は、
リファレンス電圧と、マイナスの電圧入力部を通じて印加された電圧を比較し、比較結果に応じた量の電流を吸い込む前記比較器と、
前記比較器のマイナスの電圧入力部と接続され、外部から調光信号の入力を受け付ける調光信号入力部とを備えている、照明装置用の制御回路とした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1及び2の発明によれば、電源変換ユニットを用いることなく、幅広い電源電圧の範囲に対応可能であると共に、外部から調光信号の入力を受け付けることにより、意図的に調光できる。
【0017】
また、電源変換ユニットを使用しない構成であるため、照明装置の小型化、高効率化、低価格化が実現できる。また、電磁ノイズが発生せず、病院や精密機械室等の電磁ノイズを嫌う環境でも使用可能である。さらに照明装置の故障リスクも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施の形態例1の概念構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態例1の構成回路図である。
【
図3】この発明の実施の形態例1に係る調光特性の実験結果を示したグラフ図である。
【
図4】この発明の実施の形態例1の構成回路図である。
【
図5】この発明の実施の形態例1の構成回路図である。
【
図6】この発明の実施の形態例1の構成回路図である。
【
図7】この発明の他の実施の形態例の構成回路図である。
【
図8】この発明の他の実施の形態例の構成回路図である。
【
図9】この発明の他の実施の形態例の構成回路図である。
【
図10】この発明の他の実施の形態例の構成回路図である。
【
図11】この発明の実施の形態例2の概念構成図である。
【
図12】この発明の実施の形態例2の構成回路図である。
【
図13】この発明の実施の形態例3の概念構成図である。
【
図14】この発明の実施の形態例3の構成回路図である。
【
図15】この発明の他の実施の形態例の構成回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態例1)
まず、この発明の実施の形態例1の概念構成図である
図1に基づいて説明する。この発明の照明装置用の制御回路は、直流電源50の電圧の印加によりLEDが常時点灯するLED常時点灯部51を設け、また、直流電源50の電圧値の変動によってLEDの直並列の接続が変換されるLED直並列変換部52を設け、また、電圧値の変動によって、LED直並列変換部52に係るLEDの直並列の接続を自動的に変換させるLED直並列制御部53を設け、また、外部から調光信号の入力を受け付け、当該調光信号によって、調光制御を行う、調光信号制御部54を設け、さらに、所定の電圧値を超えた過大な電圧分について、電圧降下させる過電圧吸収部55を設けた構成となっている。また、各部は電流路56を通じて接続されている。
【0020】
この照明装置用の制御回路では、直流電源50から印加される直流電圧によりLED常時点灯部51及びLED直並列変換部52に係るLEDは点灯しているが、直流電源50の変動等により直流電圧が変動すると、LED直並列制御部53が動作し、LED直並列変換部52の直並列の接続が変換される。従って、この制御回路を設けた照明装置では、LED常時点灯部51及びLED直並列変換部52に係る全てのLEDが点灯状態となり、周囲の者が電源電圧の変動に気付きにくい。
【0021】
次に、この発明の実施の形態例1の照明装置用の制御回路Aの構成を
図2に基づいて説明する。
【0022】
図2に示すように、直流電源1の正極に、電流路2と、電流路3とがそれぞれ接続されている。
【0023】
電流路2では、LEDから成る半導体発光素子LED1~3が同一極性方向に直列に接続されて設けられており、半導体発光素子LED3のカソード側から電圧下位方向に向かって、電流路21と電流路22の2つに分岐している。
【0024】
電流路21では、LEDから成る半導体発光素子LED4~6が同一極性方向に直列に接続されて設けられており、半導体発光素子LED6のカソードと、半導体制御素子FET(電界効果トランジスタ)2のドレインが直列に接続されている。また、電流路22では、半導体制御素子FET1のソースが、同一極性方向に直列に接続されて設けられている、LEDから成る半導体発光素子LED7~9のうち、半導体発光素子LED7のアノードと直列に接続されている。
【0025】
さらに、半導体発光素子LED6のカソードと半導体制御素子FET2のドレイン間の電流路21と、半導体制御素子FET1のソースと半導体発光素子LED7のアノード間の電流路22とを結ぶ電流路4に、ダイオードから成る半導体整流素子D1が設けられている。詳しくは、半導体整流素子D1のアノードが、半導体発光素子LED6のカソードと半導体制御素子FET2のドレイン間の電流路21に接続され、半導体整流素子D1のカソードが、半導体制御素子FET1のソースと半導体発光素子LED7のアノード間の電流路22に接続されている。この半導体整流素子D1は、順方向にしか電流を流さない特性を活かして、半導体制御素子FET1がONした際に、半導体制御素子FET1のソースから半導体制御素子FET2のドレインに電流が流れないように、電流を遮断する役割を果たす。このように半導体整流素子D1が設けられていることによって、半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2がONした際に、電流路21と電流路22にほぼ等しく電流が流れることになる。
【0026】
半導体制御素子FET2のソースと半導体発光素子LED9のカソードは接続され、電流路21と電流路22との2つに分岐していた電流路2は、ここで1つの電流路2に戻り、これより下の電圧下位方向に向かって順に、半導体制御素子FET3、半導体発光素子LED10、抵抗素子R3が直列に設けられている。抵抗素子R3は、シャント抵抗であって、検出回路(図示省略)が抵抗素子R3の端子間の電圧(降下)と抵抗素子R3の抵抗値に基づいて、照明装置用の制御回路Aに流れる電流値を検出する。
【0027】
また、半導体制御素子FET3は、直流電源1から所定の電圧値を超えた過大な電圧が印加されると、当該過大な電圧分について電圧降下させる役割を果たす。例えば、半導体制御素子FET3の耐圧が500Vで、照明装置用の制御回路Aの所定の電圧が29.3Vの場合、32Vの過大な電圧が印加されると、半導体制御素子FET3は、過大な電圧分である2.7Vを、ドレイン-ソース間で吸収して(=受け持って)、電圧降下させ、照明装置用の制御回路A内を流れる電流の量を既定の状態に保つ。
【0028】
一方、電流路3では、電圧下位方向に向かって順に、抵抗素子R4、半導体制御素子TR(トランジスタ)、抵抗素子R5が直列に接続されて設けられている。そして、抵抗素子5の電圧下位側の一端は、コンパレータの出力と接続されている。
【0029】
また、電流路2の抵抗素子R3と、コンパレータの負側電源端子V-が直流電源1の負極(≒GND)に夫々接続されている。
【0030】
半導体制御素子FET1のゲートは、半導体制御素子TRのコレクタと、抵抗素子R1を介して接続され、半導体制御素子FET2のゲートは、半導体制御素子TRのコレクタと、抵抗素子R2を介して接続されている。また、半導体制御素子FET1のソースとゲート間には、半導体定電圧素子ZD1が設けられ、半導体制御素子FET2のソースとゲート間には、半導体定電圧素子ZD2が設けられている。これら半導体定電圧素子ZD1、ZD2は、ツェナーダイオードから成り、電流の変化に対し電圧が一定になるというツェナーダイオードの特性を活かして、ソースとゲート間に加わる電圧を制限する。そのため、サージ電流や静電気が発生した場合等に、半導体制御素子FET1、FET2を保護する役割を果たす。
【0031】
また、電流路3上の抵抗素子R2の接続点と半導体制御素子TRのコレクタの間と、電流路2の半導体制御素子FET3のゲートとが、抵抗素子R9を介して、電流路12によって接続されている。また、半導体制御素子FET3のソースとゲート間には、半導体定電圧素子ZD3が設けられている。半導体定電圧素子ZD3は、ツェナーダイオードから成り、電流の変化に対し電圧が一定になるというツェナーダイオードの特性を活かして、ソースとゲート間に加わる電圧を制限する。そのため、サージ電流や静電気が発生した場合等に、半導体制御素子FET3を保護する役割を果たす。
【0032】
また、半導体制御素子FET3のソースと半導体定電圧素子ZD3のアノードとの接続点と半導体発光素子LED10との間と、半導体制御素子TRのベースとが電流路5によって接続されている。電流路5と、抵抗素子R3とコンパレータの負側電源端子V-の間を結ぶ電流路6に、電圧下位方向に向かって順に、定電流ダイオードCRD、抵抗素子R6が直列に接続されて設けられている。抵抗素子R6の一端は直流電源1の負極(≒GND)に接続されている。また、定電流ダイオードCRDのカソードと抵抗素子R6の間と、コンパレータのプラスの入力端子が電流路7によって接続されている。このように、定電流ダイオードCRDとコンパレータのプラスの入力端子が電流路7によって接続されているため、コンパレータのプラス側から、リファレンス電圧(=基準電圧)として所定の電圧が入力される。また、電流路5には、コンパレータの正側電源端子V+が電流路8によって接続されている。
【0033】
また、電流路2に係る半導体発光素子LED10と抵抗素子R3との間と、コンパレータのマイナスの入力端子とが、抵抗素子R7を介して、電流路9によって接続されている。また、電流路9に係るコンパレータのマイナスの入力端子と抵抗素子R7の間と、プラスの調光信号入力部S+とが、電流路10によって接続されている。この電流路10には、プラスの調光信号入力部S+から近い順に、抵抗素子R8、半導体整流素子D2が直列に接続されて設けられている。また、電流路2の抵抗素子R3と、直流電源1の負極(≒GND)との間と、マイナスの調光信号入力部S-とが、電流路11によって接続されている。
【0034】
なお、半導体発光素子LED10は、主として、コンパレータに動作電圧を与えるために、電流路2に設けられている。詳しくは、コンパレータを動作させるためには電源が必要であり、一般的には、外部からDC/DC電源等を使って、5(V)、10(V)の電圧を印加する。しかし、DC/DC電源等の代りに、電流路2上に1個の半導体発光素子LED10(3V程度分)を設けることによって、半導体制御素子FET3のソースと半導体定電圧素子ZD3のアノードとの接続点から、電圧下位方向に印加された電圧は、電流路5を通って、電流路6や電流路8にも印加される。このように電流路8に電圧が印加されることで、コンパレータに電源電圧が印加される。また、半導体発光素子10は、半導体発光素子1~9と同様に、発光させ、照明源の1つとして役割を果たすことももちろん可能であるため、一石二鳥である。
【0035】
また、半導体整流素子D2は、順方向にしか電流を流さない特性を活かして、電流路2から抵抗素子R7を通った電流が、プラスの調光信号入力部S+の方向に流れないように、電流を遮断する役割を果たす。
【0036】
また、半導体制御素子TRは、コンパレータに一定以上の大きな電圧が印加されないように、耐圧用に設けられている。詳しくは、コンパレータは、一般的に耐圧が低く、100(V)や200(V)の電圧が印加されると、壊れてしまう。そのため、半導体制御素子TRを設けることで、コンパレータに一定以上の大きな電圧が印加されないようにしている。耐圧用の半導体制御素子TRを設けることによって、例えば、3(V)ぐらいしか、コンパレータに電圧が印加されないようにすることができる。
【0037】
また、プラスの調光信号入力部S+を通じて印加されたプラスの電圧は、抵抗素子R7と抵抗素子R8が設けられていることによって、分圧され、電流路9を通じて、コンパレータのマイナスの入力端子に印加される。
【0038】
次に、
図1で説明したこの発明の概念構成と、
図2で説明した照明装置用の制御回路Aの回路構成との対応関係について説明する。
図1の直流電源50は、
図2の直流電源1と対応する。また、
図1のLED常時点灯部51は、
図2の半導体発光素子LED1~3が対応する。また、
図1のLED直並列変換部52は、
図2の半導体発光素子LED4~6及び半導体発光素子LED7~9が対応する。また、
図1のLED直並列制御部53は、
図2の半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2が対応する。さらに、
図1の調光信号制御部54は、
図2のコンパレータ、プラスの調光信号入力部S+、マイナスの調光信号入力部S-が対応する。また、
図1の過電圧吸収部55は、
図2の半導体制御素子FET3が対応する。また、
図1の電流路56は、
図2の電流路2~12、電流路21及び電流路22が対応する。
【0039】
なお、LED常時点灯部51に相当する
図2の半導体発光素子LED1~3は、半導体制御素子FET1及びFET2等の全てのFETを動作させるためのものである。詳しく説明する。半導体制御素子FET1のゲートの電位が、ソースの電位より高くないと、ゲートに電圧を印加しても、半導体制御素子FET1がONしないため、ドレイン・ソース間で電流が流れない。そのため、LED常時点灯部51を設けることによって、半導体制御素子FET1のソースの電位をゲートの電位に比して、ゲートとソース間閾値電圧分以上低下させ、半導体制御素子FET1が動作するようにする。
【0040】
また、LED直並列変換部52に相当する
図2の半導体発光素子LED4~6及び半導体発光素子LED7~9は、2つのブロックに分けられるが、直流電圧の低下に伴い並列回路に接続が変換され、電流路が分かれた際に、各電流路に流れる電流の量を等しくするため、ブロック間相互の合計のインピーダンスが等しくなるように構成する。ブロック間相互の合計のインピーダンスが異なると、並列回路に接続が変換された際に、電流が均等に分かれなくなり、一方のブロックの半導体発光素子LEDが消灯することも考えられる。
【0041】
さらに、LED直並列制御部53に相当する
図2の半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2についても、直流電圧の低下に伴い並列回路に接続が変換された際に流れる電流を等しくするため、相互のインピーダンスが等しくなるように構成する。
【0042】
次に、調光信号制御部54について、以下詳しく説明する。定電流ダイオードCRDは、定電圧器としての役割を果たし、所定の電圧(=リファレンス電圧)を、コンパレータのプラスの入力端子から印加している。なお、定電圧器としての役割を果たすものであれば、定電流ダイオードCRDに限定されない。例えば、定電圧器として、ツェナーダイオードを用いる構成としても良い。また、リファレンス電圧を自ら出力可能なコンパレータを用いる構成としても良く、その場合には、別途の定電圧器は、不要となる。
【0043】
また、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-に直流電源等を接続して、調光信号を入力させる(=直流電源等の外部から、照明装置用の制御回路Aに対し電圧を印加する)。プラスの調信号入力部S+から印加された調光信号に係るプラスの電圧は、抵抗素子R7及び抵抗素子R8が設けられていることにより、コンパレータのマイナスの入力端子に印加される。なお、コンパレータのマイナスの入力端子に印加される電圧は、直流電源等の外部から印加される電圧と、直流電源1から印加される電圧が合算されたものとなる。
【0044】
次に、調光信号制御部54の動作を、半導体制御素子FET1がOFFで、半導体制御素子FET2がONの場合で説明する。
【0045】
コンパレータのマイナスの入力端子から印加された電圧が、コンパレータのプラスの入力端子から印加されているリファレンス電圧に比べて、低い場合には、コンパレータは電流を少ししか吸い込まない。そのため、半導体制御素子TRのコレクタ電圧は変わらず、半導体制御素子FET2のゲート電圧も変わらない。
【0046】
一方、コンパレータのマイナスの入力端子から印加された電圧が、コンパレータのプラスの入力端子から印加されているリファレンス電圧に比べて、高い場合には、コンパレータは電流を吸い込む。詳しくは、コンパレータの出力電位がマイナスになって、電流路3からの電流を吸い込み、吸い込んだ電流を負側電源端子V-から直流電源1の負極(≒GND)に流す。そのため、半導体制御素子TRのコレクタ電圧が下降し、半導体制御素子FET2のゲート電圧も下降する。そして、半導体制御素子FET2のゲート電圧が、ソース電圧よりも低くなり、ゲート・ソース間の閾値電圧以下になると、半導体制御素子FET2がOFFになり、半導体発光素子LED7~9が点灯する。その結果、半導体発光素子LED7~9に電流が流れ込み、その分の順方向電圧が加算されるため、照明装置用の制御回路A全体に流れる電流の量は減少する。
【0047】
図3は、調光特性の実験結果を折れ線グラフで示した図である。詳しくは、「実線」の折れ線は、調光信号の入力電圧に対する、消費電力の変化を示したものであり、「点線」の折れ線は、調光信号の入力電圧に対する、入力電流の変化を示したものである。
図3の実験結果を見ると、調光信号の入力電圧が増加するに従い、入力電流(=照明装置用の制御回路A全体に流れる電流の量)及び消費電力(=照明装置用の制御回路A全体で消費される電力量)は、減少していく。
【0048】
なお、照明装置用の制御回路Aには、過電圧吸収部55として、半導体制御素子FET3が設けられている。このFET3は、上述したように、過大な電圧分を、ドレイン-ソース間で吸収して(=受け持って)、電圧降下させ、照明装置用の制御回路A内を流れる電流の量を既定の状態に保つ役割を果たす。
【0049】
従って、照明装置用の制御回路Aでは、調光信号の入力によって、LED1~9が点灯した後、更に、調光信号の入力電圧を増加させ、制御回路A全体を流れる電流を減少させることで、調光可能である。一方、過電圧吸収部55として、FET3が設けられていない場合には、照明装置用の制御回路A内のLEDが全て点灯した状態から、更に、制御回路A全体を流れる電流を減少させ、調光することはできない。
【0050】
次に、照明装置用の制御回路Aの動作について
図2、4、5を用いて説明する。直流電源1から十分な電圧が印加されている時は(例えば、29.3V)、半導体制御素子TRに十分なベース電流が流れ、半導体制御素子TRがONし、半導体制御素子TRのコレクタ電圧と、半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2のゲート電圧が0Vで等しくなるため、半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2はONしない。そのため、
図4に示すように、半導体発光素子LED1~3を流れた電流は、電流路21の半導体発光素子LED4~6、半導体整流素子D1、電流路22の半導体発光素子LED7~9、半導体制御素子FET3、半導体発光素子LED10、抵抗素子R3を流れる。つまり、半導体発光素子LED4~6と半導体発光素子LED7~9は、直列に接続されたことになる。
【0051】
そして、直流電源1からの電圧が減少してくると(例えば、27.4V)、半導体制御素子TRのベース電流が少なくなり、半導体制御素子TRのコレクタ電流も少なくなる。そして、半導体制御素子TRがONしているものの、半導体制御素子TRのコレクタ電圧と、半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2のゲート電圧が等しくなる電圧値が上昇して、半導体制御素子FET2のソース電圧よりも高くなり、半導体制御素子FET2のゲート・ソース間閾値電圧を超えると、半導体制御素子FET2がONする。そのため、
図5に示すように、半導体発光素子LED1~3を流れた電流は、電流路21の半導体発光素子LED4~6、半導体制御素子FET2、半導体制御素子FET3、半導体発光素子LED10、抵抗素子R3に流れる。一方、電流路22の半導体発光素子LED7~9は消灯する。
【0052】
このような状態で、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から電圧を印加し、コンパレータのマイナスの入力端子から印加された電圧が、コンパレータのプラスの入力端子から印加されているリファレンス電圧に比べて高い状態になるようにする。その結果、コンパレータは電流を吸い込み、半導体制御素子TRのコレクタ電圧が下降し、半導体制御素子FET2のゲート電圧も下降する。そして、半導体制御素子FET2のゲート電圧が、ソース電圧よりも低くなり、ゲート・ソース間の閾値電圧を以下になると、半導体制御素子FET2がOFFになり、半導体発光素子LED7~9が点灯する。その結果、半導体発光素子LED7~9に電流が流れ込み、その分の順方向電圧が加算されるため、照明装置用の制御回路A全体に流れる電流の量は減少する。
【0053】
次に、直流電源1からの電圧が不足した状態では(例えば、19.9V以下)、半導体制御素子TRのベース電流がさらに少なくなり、半導体制御素子TRのコレクタ電流も少なくなる。そして、半導体制御素子TRがONするものの、半導体制御素子TRのコレクタ電圧と、半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2のゲート電圧が等しくなる電圧値がさらに上昇して、半導体制御素子FET1のソース電圧よりも高くなり、半導体制御素子FET1のゲート・ソース間閾値電圧を超えると、半導体制御素子FET1がONする。又は、半導体制御素子TRがOFFして、半導体制御素子FET1がONする。そのため、
図6に示すように、半導体発光素子LED1~3を流れた電流は、電流路21の半導体発光素子LED4~6と半導体制御素子FET2を流れるルートと、電流路22の半導体制御素子FET1と半導体発光素子LED7~9を流れるルートに分かれる。つまり、半導体発光素子LED4~6と半導体発光素子LED7~9は、並列に接続されたことになる。なお、並列に接続された電流路21の半導体発光素子LED4~6及び半導体制御素子FET2の合計インピーダンスと、電流路22の半導体制御素子FET1及び半導体発光素子LED7~9の合計インピーダンスが等しいため、半導体発光素子LED4~6と半導体発光素子LED7~9を流れる電流の量は等しくなる。
【0054】
このような状態で、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から電圧を印加し、コンパレータのマイナスの入力端子から印加された電圧が、コンパレータのプラスの入力端子から印加されているリファレンス電圧に比べて高い状態になるようにする。その結果、コンパレータは電流を吸い込み、半導体制御素子TRのコレクタ電圧が下降し、半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2のゲート電圧も下降する。そして、半導体制御素子FET1のゲート電圧が、ソース電圧よりも低くなり、ゲート・ソース間の閾値電圧以下になると、半導体制御素子FET1がOFFになり、半導体発光素子LED4~6がLED1~3と直列に接続され、LED7~9は消灯する。
【0055】
そして更に、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から印加する電圧を増加させる。その結果、コンパレータは電流を更に吸い込み、半導体制御素子TRのコレクタ電圧が更に下降し、半導体制御素子FET1及び半導体制御素子FET2のゲート電圧も下降する。そして、半導体制御素子FET2のゲート電圧が、ソース電圧よりも低くなり、ゲート・ソース間の閾値電圧を以下になると、半導体制御素子FET2がOFFになり、半導体発光素子LED7~9が点灯する。
【0056】
これらの結果、半導体発光素子LED4~9は直列に接続され、半導体発光素子LED7~9にも電流が流れ込み、その分の順方向電圧が加算されるため、照明装置用の制御回路A全体に流れる電流の量は更に減少する。
【0057】
なお、
図2の照明装置用の制御回路Aのように、LED常時点灯部51に係る半導体発光素子LEDの数(半導体発光素子LED1~3の3個)と、LED直並列変換部52に係る、並列回路に接続が変換され、電流路が分かれた際の各ブロックの半導体発光素子LEDの数(半導体発光素子LED4~6、あるいは半導体発光素子LED7~9の3個)が1:1の割合の場合、直流電源1からの電圧が約2/3になると(直流電源1からの電圧が約1/3減少すると)、直列回路から並列回路に接続が変換される。
【0058】
また、上述した本実施形態では、照明装置用の制御回路Aの動作について、直流電源1からの電圧が減少・不足していく場合を例として説明した。しかし、照明装置用の制御回路Aは、直流電源1からの電圧が減少・不足していく場合のみに対応可能な構成ではなく、LED直並列変換部52に係る半導体発光素子LEDの直並列の接続を変換することにより、直流電源1によって印加される、幅広い電圧の範囲に対応可能な構成である。そのため、例えば、直流電源1からの電圧が不足し、LED直並列変換部52に係る半導体発光素子LEDが並列に接続されている状態から、電圧が増加し、十分な電圧が印加されている状態に移行した場合には、LED直並列変換部52に係る半導体発光素子LEDの接続は並列から直列に変換される。
【0059】
このような構成であることによって、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から電圧を印加することで、照明装置用の制御回路Aに係る半導体発光素子LEDを調光することができ、便宜である。また、照明装置用の制御回路Aに係る半導体発光素子LEDを調光することによって、当該半導体発光素子LEDに印加する電圧の総量を調整することができ、また、照明装置用の制御回路Aに流れる電流の量を調整することができ、便宜である。
【0060】
また、直流電源50の電圧の変動に応じて、LED直並列変換部52に係る半導体発光素子LEDの直並列の接続を自動的に変換することにより、電源変換ユニットを用いることなく、幅広い電源電圧の範囲に対応可能である。また、過電圧吸収部55に係る半導体制御素子FET3が設けられていることにより、過電圧に対して保護機能を有する。また、直流電源50の電圧の変動に応じて、LED直並列変換部52に係る半導体発光素子LEDの直並列の接続を自動的に変換することにより、直流電源50から供給される電流の量がほぼ一定となる。
【0061】
また、電源変換ユニットを使用しない構成であるため、照明装置の小型化、高効率化、低価格化が実現できる。また、電磁ノイズが発生せず、病院や精密機械室等の電磁ノイズを嫌う環境でも使用可能である。さらに照明装置の故障リスクも低減できる。
【0062】
さらに、直流電源50の電圧の変動に応じて、LED直並列変換部52に係る半導体発光素子LEDの直並列の接続を自動的に変換する構成であるため、制御回路内のほとんどのLEDが消灯することはなく、周囲の者が電源電圧の変動に気づきにくい。
【0063】
(変形例)
本実施の形態例1では、LED直並列変換部52として、半導体発光素子LED4~6に係るブロックと、半導体発光素子LED7~9に係るブロックを2段に重ねる構成を示したが、この構成に限定されるものではない。LED常時点灯部51を設け、制御回路内の半導体制御素子FETの中で、最も電位が高い半導体制御素子FET1がONできれば、LED直並列変換部52内の半導体発光素子LEDに係るブロックは何段も直列に重ねることが可能である。例えば
図7のように、LED直並列変換部52として、半導体発光素子LED4に係るブロック、半導体発光素子LED5に係るブロック、半導体発光素子LED6に係るブロック、半導体発光素子LED7に係るブロックを4段に重ねる構成としても良い。LED直並列変換部52内の半導体発光素子LEDに係るブロックを何段も直列に重ねることによって、直流電源の電圧変動に対応可能な範囲が広がり、電源電圧の大きな変動に対して、対応できるようになり、便宜である。
【0064】
また、本実施の形態例1では、LED直並列変換部52内の半導体発光素子LEDに係る各ブロックにおいて、半導体発光素子LED4~6と半導体発光素子LED7~9というように3個のLEDを設ける構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、LED直並列変換部52内の各ブロックの半導体発光素子LEDの数を何個にしても良い。例えば
図7のように、LED直並列変換部52内の各ブロックの半導体発光素子LEDの数を少数(例えば、1個)にしても良い。LED直並列変換部52内の各ブロックの半導体発光素子LEDの点灯に必要な順(方向)電圧値の合計が、直並列の接続が変換される電圧値となる。そのため、LED直並列変換部52内の各ブロックの半導体発光素子LEDの数が少数の場合には、半導体発光素子LED少数個分の順(方向)電圧に相当する電源電圧の変動に応じて、直並列の接続が変換され、分解能・感度が高い。一方、例えば、LED直並列変換部52内の各ブロックの半導体発光素子LEDの数が多数の場合には、半導体発光素子LED多数個分の順(方向)電圧に相当する電源電圧の変動に応じて、直並列の接続が変換され、電源電圧の大きな変化に合わせて、直並列の接続が変換されることとなる。
【0065】
更に、LED直並列変換部52内の各ブロックの半導体発光素子LEDの数が異なる構成としても良い。例えば
図8のように、LED直並列変換部52内の各ブロックにおける半導体発光素子LEDの数を、1個(半導体発光素子LED4、5)、3個(半導体発光素子LED6~8、9~12)、2個(半導体発光素子LED13~14、15~16)としても良い。但し、電源電圧の不足に伴い、接続が直列から並列に変換され、電流路が分かれた際に、対応関係となる半導体発光素子LED(例えば、半導体発光素子LED4と5)については、インピーダンスを同一にするため、同じ数にする必要がある。
【0066】
本実施の形態例1では、LED常時点灯部51として半導体発光素子LED1~3を、半導体制御素子FET1がONできるように、半導体制御素子FET1よりも高い電位に設ける構成を示したが、この構成に限定されるものはなく、この位置のLED常時点灯部51以外に、別途1又は複数のLED常時点灯部51を設ける構成としても良い。例えば
図9に示すように、半導体発光素子LED4~9からなるLED直並列変換部52と半導体発光素子LED13~16からなるLED直並列変換部52との間に、LED常時点灯部51として半導体発光素子LED11及び12を設ける構成としても良い。電源電圧が不足した際に、直列から並列に変換される箇所(=流れる電流が半減する箇所)を分散でき、照明装置の明るさの隔たりを少なくできるため、便宜である。
【0067】
本実施の形態例1では、電源電圧の不足に伴い、接続が直列から並列に変換された際に、電流路が2つに分かれる2並列の構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば
図10に示すように、電流路が4つに分かれる4並列の構成としても良いし、8並列、16並列、32並列の構成としても良い。より小さな電源電圧でも、LED直並列変換部52に係る半導体発光素子LEDを点灯できるようになるため、便宜である。
【0068】
本実施の形態例1では、入力電圧を比較する比較器として、コンパレータを用いる構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、コンパレータの代りにオペアンプを用いる構成としても良い。なお、オペアンプを用いる場合には、オペアンプは一般的に耐圧が高いため、耐圧用の半導体制御素子TRは不要となる。
【0069】
そして、オペアンプのマイナスの入力端子から印加された電圧が、オペアンプのプラスの入力端子から印加されているリファレンス電圧に比べて、低い場合には、オペアンプはプラスの電圧を出力し、電流を少ししか吸い込まない。そのため、半導体制御素子FET2等のゲート電圧も変わらない。
【0070】
一方、オペアンプのマイナスの入力端子から印加された電圧が、オペアンプのプラスの入力端子から印加されているリファレンス電圧に比べて、高い場合には、オペアンプはマイナスの電圧を出力し、電流を吸い込む。そのため、半導体制御素子FET2等のゲート電圧が下降する。
【0071】
また、本実施の形態例1に係る照明装置用の制御回路Aでは、半導体制御素子FET3、抵抗素子R9、半導体定電圧素子ZD3を設け、所定の電圧値を超えた過大な電圧分を半導体制御素子FET3で受け持って、電圧降下させ、照明装置用の制御回路Aを保護する構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、半導体制御素子FET3、抵抗素子R9、半導体定電圧素子ZD3を設けない構成としても良い。
【0072】
また、本実施の形態例1に係る照明装置用の制御回路Aでは、過電圧吸収部55として、電界効果トランジスタ(=Field Effect Transistor)である、半導体制御素子FET3を用いる構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、過電圧吸収部55として、PNP型、あるいはNPN型のバイポーラトランジスタを用いる構成としても良いし、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(=IGBT)を用いる構成としても良い。また、半導体制御素子FET3には、接合型FET(=JFET)やMOS-FET等、種々のFETを含む。つまり、過電圧吸収部55は、直流電源1から所定の電圧値を超えた過大な電圧が印加された際に、当該過大な電圧分について電圧降下させる役割を果たす素子等であれば良い。
【0073】
(実施の形態例2)
上述した本実施の形態例1では、直流電源の電圧の増減に合わせて、半導体発光素子LEDの直並列の接続を変換する構成に対し、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から電圧を印加することで、当該半導体発光素子LEDを調光する調光信号制御部54の構成を適用した例を示した。一方、本実施の形態例2では、直流電源の電圧の増減に合わせて、半導体発光素子LEDの点灯・消灯を制御する構成に対し、調光信号制御部54の構成を適用した例を示す。
【0074】
まず、この発明の実施の形態例2の概念構成図である
図11に基づいて説明する。この発明の照明装置用の制御回路は、直流電源50の電圧の印加によりLEDが常時点灯するLED常時点灯部51を設け、また、直流電源50の電圧値の変動によってLEDが点灯・消灯するLED点灯・消灯部62を設け、また、直流電源50の電圧値の変動によって、LED点灯・消灯部62に係るLEDを点灯・消灯するLED点灯・消灯制御部63を設け、さらに、外部から調光信号の入力を受け付け、当該調光信号によって、調光制御を行う、調光信号制御部54を設けた構成となっている。また、各部は電流路55を通じて接続されている。
【0075】
この構成により、直流電源50から供給される直流電圧によりLED常時点灯部51及びLED点灯・消灯部62に係るLEDは点灯しているが、直流電源50の電圧が低下すると、LED点灯・消灯制御部63が動作し、LED点灯・消灯部62に係るLEDが消灯する。その結果、LEDに流れる電流を一定に保つことができる。
【0076】
次に、この発明の実施の形態例2の照明装置用の制御回路Bの構成を
図12に基づいて説明する。
【0077】
図12に示すように、直流電源1の両側に、LEDからなる半導体発光素子LED1~LED5が同一極性方向に直列接続された電流路12と、抵抗素子R1が設けられた電流路13とがそれぞれ接続されている。また、電流路12の端部と電流路13の端部との間に、調光信号制御部54が設けられている。
【0078】
半導体発光素子LED3~5の各アノード及びカソード間には半導体制御素子FET4~6が夫々並列に接続されている。各半導体制御素子FET4~6の各ゲートは、調光信号制御部54に係る半導体制御素子TRのコレクタと、半導体整流素子D3~5を介して夫々接続されている。これらの半導体整流素子D3~5のアノードが半導体制御素子TRのコレクタと接続され、半導体整流素子D3~5のカソードが各半導体素子FET4~6のゲートと夫々接続されている。また、各半導体制御素子FET4~6の各ソース端とゲート端との間には、抵抗素子R2、R4、R9が夫々設けられている。
【0079】
これら抵抗素子R2、R4、R9は、ソースとゲート間に加わる電圧を制限する。そのため、サージ電流や静電気が発生した場合等に、半導体制御素子FET4~6を保護する役割を果たす。
【0080】
なお、調光信号制御部54の構成や動作については、上述した実施の形態例1で述べているため、ここでは説明を省略する。
【0081】
次に、
図11で説明した、この発明の実施の形態例2の概念構成と、
図12で説明した照明装置用の制御回路Bの回路構成との対応関係について説明する。
図11の直流電源50は、
図12の直流電源1と対応する。また、
図11のLED常時点灯部51は、
図12の半導体発光素子LED1及び2が対応する。また、
図11のLED点灯・消灯部62は、
図12の半導体発光素子LED3~5が対応する。また、
図11のLED点灯・消灯制御部63は、
図12の半導体制御素子FET4~6が対応する。さらに、
図11の調光信号制御部54は、
図12のコンパレータ、プラスの調光信号入力部S+、マイナスの調光信号入力部S-が対応する。また、
図11の電流路55は、
図12の電流路5~13が対応する。
【0082】
次に、照明装置用の制御回路Bの動作について説明する。直流電源1から印加される電圧が所定の電圧値の場合は、半導体発光素子LED1~LED5は全て点灯している。その際、半導体制御素子TRのベースは順バイアスの状態であり、半導体制御素子TRは導通状態となる。そして、半導体制御素子TRのコレクタと、各半導体制御素子FET4~6のゲートは、低い状態で同電位となり、半導体制御素子FET4~6は導通しない。
【0083】
一方、直流電源1の電圧値が低下すると、半導体制御素子TRのベースが順バイアスの状態にならず、コレクタの電位が上昇する。これに伴って半導体制御素子FET4~6の各ゲートの電位も上昇する。その結果、ゲートの電位がソース電位よりも高くなり、半導体制御素子FET4~6について、半導体制御素子FET6、5、4の順に(電位の上昇度合いに応じて)オンとなり、各半導体制御素子FET4~6のドレイン・ソース間に電流が流れ、これらの半導体制御素子FET4~6に対応する半導体発光素子LED3~5について、半導体発光素子5、4、3の順に消灯していく。
【0084】
このような状態で、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から電圧を印加し、コンパレータのマイナスの入力端子から印加された電圧が、コンパレータのプラスの入力端子から印加されているリファレンス電圧に比べて高い状態になるようにする。その結果、コンパレータは電流を吸い込み、半導体制御素子TRのコレクタの電位が下降し、半導体制御素子FET4~6のゲートの電位も下降する。そして、半導体制御素子FET4~6のゲートの電位が、ソースの電位よりも低くなり、ゲート・ソース間の閾値電圧以下になると、半導体制御素子FET4~6について、4、5、6の順にOFFになり、半導体発光素子LED3~5が、3、4、5の順に点灯する。その結果、半導体発光素子LED3~5に電流が流れ込み、その分の順方向電圧が加算されるため、照明装置用の制御回路B全体に流れる電流の量は減少する。
【0085】
このような構成であることによって、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から電圧を印加することで、照明装置用の制御回路Bに係る半導体発光素子LEDを調光することができ、便宜である。また、照明装置用の制御回路Bに係る半導体発光素子LEDを調光することによって、当該半導体発光素子LEDに印加する電圧の総量を調整することができ、また、照明装置用の制御回路Bに流れる電流の量を調整することができ、便宜である。
【0086】
(本実施の形態例3)
上述した本実施の形態例2では、直流電源の電圧の増減に合わせて、半導体発光素子LEDの点灯・消灯を制御する構成に対し、調光信号制御部54の構成を適用した例を示した。一方、本実施の形態例3では、直流電源の電圧の増減に合わせて、半導体発光素子LEDの点灯・消灯を制御し、かつ、直流電源の電圧が減少しても、照明装置全体としては明るさに偏りを生じさせない構成に対し、調光信号制御部54の構成を適用した例を示す。
【0087】
まず、この発明の実施の形態例3の概念構成図である
図13に基づいて説明する。この発明の照明装置用の制御回路は、直流電源50の電圧の印加によりLEDが常時点灯するLED常時点灯部51を設け、また、直流電源50の電圧値の変動によってLEDが点灯・消灯するLED点灯・消灯部62を設け、更に、直流電源50の電圧値の変動によって、LED点灯・消灯部62に係るLEDを点灯・消灯するLED点灯・消灯制御部63を設け、また、照明装置用の制御回路に係るLEDに流れる電流値をLED点灯・消灯制御部63に伝達する光導電部64を設け、さらに、外部から調光信号の入力を受け付け、当該調光信号によって、調光制御を行う、調光信号制御部54を設けた構成となっている。また、各部は電流路55を通じて接続されている。
【0088】
次に、この発明の実施の形態例3の照明装置用の制御回路Cの構成を
図14に基づいて説明する。
【0089】
図14に示すように照明装置用の制御回路Cは、直流電圧を印加する直流電源1と、設けられているLEDが発光するLED発光ブロック80と、LED発光ブロック80を制御する調光信号制御部54とから主として構成されている。各LED発光ブロック80と調光信号制御部54はそれぞれ、1枚の基板上に回路素子が配置されたものであり、隣接するブロックは電気的に接続されている。そして、
図14に示すように、直流電源1に近く電位が高い位置にLED発光ブロック80を配置し、直流電源1から遠くいずれのLED発光ブロック80よりも電位が低い位置に調光信号制御部54を配置する。また、直流電源1と、LED発光ブロック80及び調光信号制御部54に配置された回路素子から閉回路を構成している。なお、本実施の形態例では、4つのLED発光ブロック80を用いる構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、LED発光ブロック80は、単一であっても、複数であっても良い。
【0090】
LED発光ブロック80は、光導電素子81の発光素子82が直列接続された電流路Hと、抵抗素子88及び光導電素子81の受光素子83が直列接続された電流路Iを有している。なお、光導電素子81は、本実施例ではフォトカプラである。従って、光導電素子81は、内部にLED等の発光素子82とフォトトランジスタ等の受光素子83が収められ、外部からの光を遮断するパッケージ84に封じ込められた構造になっている。光導電素子81は、入力された電流を発光素子82によって光に変換し、その光を受光素子83が受け取ることにより電流を伝達する。また、抵抗素子88は、直流電源1からの電流が電流路Iにはわずかしか流れず、直流電源1からの電流のほとんどが電流路K(後述)に流れるようにするためのものである。
【0091】
また、LED発光ブロック80は、半導体発光素子86が同一極性方向に直列接続された電流路Kを有している。半導体発光素子86は、本実施例ではLEDである。そして、本実施例ではNチャネルエンハンスメント型FET(=電界効果トランジスタ)である半導体制御素子85が、半導体発光素子86に対し並列に接続されている。詳しくは、半導体制御素子85の一端のドレイン(
図14では、「D」と示されている)と半導体発光素子86の一端のアノードとが接続されると共に、半導体制御素子85の一端のソース(
図14では「S」と示されている)と半導体発光素子86の一端のカソードとが接続されることにより、半導体制御素子85が半導体発光素子86に対し並列に接続されている。但し、半導体制御素子85が半導体発光素子86に対し並列に接続されているのは、
図14に示すように、各LED発光ブロック80の電流路K中の半導体発光素子86のうち、直流電源1に最も近く最高電位の半導体発光素子86(
図14では、「LED1」)ではなく、当該半導体発光素子86に隣接している2番目の半導体発光素子86(
図14では、「LED2」)からである。また、電流路Kに配置されている半導体発光素子86に対し、所定の間隔毎に(例えば、
図14では、半導体発光素子86に対し1個おきに)半導体制御素子85のドレイン及びソースが並列に接続されている。従って、直流電源1に近く電位が高い方から順に、半導体発光素子86、半導体制御素子85及び半導体発光素子86、半導体発光素子86、半導体制御素子85及び半導体発光素子86と配置されている。なお、本実施の形態例3では、半導体発光素子86に対し1個おきに、半導体制御素子85のドレイン及びソースが並列に接続される構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、半導体発光素子86に対し2個おきに、あるいは3個おきに半導体制御素子85のドレイン及びソースが並列に接続される構成としても良い。また、本実施の形態例3では、半導体制御素子85が、各LED発光ブロック80の電流路K中の半導体発光素子86のうち、直流電源1に近く電位が高い順の2番目の半導体発光素子86から並列に接続されている構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、2番目以降の半導体発光素子86から並列に接続されている構成であれば良い。
【0092】
また、光導電素子81の受光素子83と、各半導体制御素子85のゲート(
図14では「G」と示されている)とは、整流素子87を介して電気的に接続されている。整流素子87は、本実施の形態例ではダイオードであって、アノードが受光素子83に接続され、カソードが半導体制御素子85のゲートに接続されている。そのため、受光素子83から半導体制御素子85のゲートに対しては電流が流れるが、逆方向の半導体制御素子85のゲートから受光素子83に対しては電流がほとんど流れない。整流素子87を介在させることによって、受光素子83に許容値以上の電流が流れてしまうという危険を防止できる。なお、整流素子87はダイオードに限定されるものではなく、受光素子83から半導体制御素子85のゲートに対しては電流を流すが、逆方向の半導体制御素子85のゲートから受光素子83に対しては電流をほとんど流さない整流機能を有する素子であれば良い。
【0093】
また、本実施の形態例においては、各LED発光ブロック80に半導体制御素子85の数が2個、半導体発光素子86の数が4個配置された構成を示した。このように、電流路K中の直流電源1に最も近い最高電位の半導体発光素子86(
図14では、「LED1」)と最も遠い最低電位の半導体発光素子86(
図14では、「LED4」)の電位差が、半導体制御素子85のゲート・ソース間電圧の定格の範囲内(例えば、20(V)以内)となるように、半導体制御素子85及び半導体発光素子86の数を選択する必要がある。従って、半導体制御素子85のゲート・ソース間電圧の定格の範囲内であれば、半導体制御素子85及び半導体発光素子86の数に限定はなく、任意の数で良い。
【0094】
なお、調光信号制御部54の構成や動作については、上述した実施の形態例1で述べているため、ここでは説明を省略する。
【0095】
次に、
図13で説明した、この発明の実施の形態例3の概念構成と、
図14で説明した照明装置用の制御回路Cの回路構成との対応関係について説明する。
図13の直流電源50は、
図14の直流電源1と対応する。また、
図13のLED常時点灯部51は、
図14の半導体発光素子86に係るLED1及びLED3が対応する。また、
図13のLED点灯・消灯部62は、
図14の半導体発光素子86に係るLED2及びLED4が対応する。また、
図13のLED点灯・消灯制御部63は、
図14の半導体制御素子85に係るFET1及びFET2が対応する。また、
図13の光導電部64は、
図14の光導電素子81が対応する。さらに、
図13の調光信号制御部54は、
図14のコンパレータ、プラスの調光信号入力部S+、マイナスの調光信号入力部S-が対応する。また、
図13の電流路55は、
図14の電流路H、I及びKが対応する。
【0096】
次に、照明装置用の制御回路Cの動作を説明する。直流電源1から正極電位を印加し、グランド(=GND)に基準電位(0電位)である負極電位を印加する。基準電位に対し、直流電源1から印加する正極電位が、照明装置用の制御回路C内で同一極性方向に直列接続された半導体発光素子86の電位障壁値の合計以上であれば、全ての半導体発光素子86は発光する。なお、半導体発光素子86の電位障壁値とは、半導体発光素子86の固有の順方向電圧降下値である。
【0097】
直流電源1から印加する電圧が低下し、照明装置用の制御回路Cを流れる電流が既定の値より減少した場合、各LED発光ブロック80の光導電素子81の発光素子82に流れる電流が減少し、受光素子83がOFFする方向に働き、コレクタ-エミッタ間の電圧が増加する。その結果、半導体制御素子85がONとなり(=ドレインからソースに電流が流れる)、当該半導体制御素子85に並列して設置されている半導体発光素子86が消灯する。消灯した半導体発光素子86の順方向降下電位は、ほぼ0(V)になる。直流電源1から印加する電圧に対して、消灯する半導体発光素子86の数が増えていくと、照明装置用の制御回路C内で同一極性方向に直列接続された半導体発光素子86の電位障壁値の合計が減少するため、照明装置用の制御回路Cを流れる電流が増加し、規定の値に達すると、その値が維持される。
【0098】
このような状態で、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から電圧を印加し、コンパレータのマイナスの入力端子から印加された電圧が、コンパレータのプラスの入力端子から印加されているリファレンス電圧に比べて高い状態になるようにする。その結果、コンパレータは電流を吸い込み、各LED発光ブロック80の光導電素子81の発光素子82に流れる電流が減少し、受光素子83がOFFする方向に働き、コレクタ-エミッタ間の電圧が増加する。そして、受光素子83のコレクタ電圧が下降し、各半導体制御素子85のゲート電圧も下降する。そして、半導体制御素子85のゲート電圧が、ソース電圧よりも低くなり、ゲート・ソース間の閾値電圧以下になると、半導体制御素子85について、FET1、FET2の順にOFFになり、半導体発光素子86について、LED2、LED4の順に点灯する。その結果、半導体発光素子86(LED2、4)に電流が流れ込み、その分の順方向電圧が加算されるため、照明装置用の制御回路C全体に流れる電流の量は減少する。
【0099】
一方、直流電源1から印加する電圧が上昇し、照明装置用の制御回路Cを流れる電流が既定の値より増加した場合、各LED発光ブロック80の光導電素子81の発光素子82に流れる電流が増加し、受光素子83がONする方向に働き、コレクタ-エミッタ間の電圧が低下する。その結果、半導体制御素子85がOFFとなり(=ドレインからソースに電流が流れない)、当該半導体制御素子85に並列して設置されている半導体発光素子86が点灯する。点灯した半導体発光素子86の順方向降下電位は、数(V)になる。直流電源1から印加する電圧に対して、点灯する半導体発光素子86の数が増えていくと、照明装置用の制御回路C内で同一極性方向に直列接続された半導体発光素子86の電位障壁値の合計が増加するため、照明装置用の制御回路Cを流れる電流が減少し、既定の値に達すると、その値が維持される。
【0100】
このような構成であることによって、プラスの調光信号入力部S+及びマイナスの調光信号入力部S-を通じて、外部から電圧を印加することで、照明装置用の制御回路Cに係る半導体発光素子LEDを調光することができ、便宜である。また、照明装置用の制御回路Cに係る半導体発光素子LEDを調光することによって、当該半導体発光素子LEDに印加する電圧の総量を調整することができ、また、照明装置用の制御回路Cに流れる電流の量を調整することができ、便宜である。
【0101】
また、照明装置用の制御回路Cでは、電源電圧が変動しても、半導体制御素子85及び半導体発光素子86のON/OFFによって、半導体発光素子86に流れる電流を一定に保つことができるため、照明装置から出力される光の質が低下したり、電流の変動によって半導体発光素子が劣化し、寿命が短縮化されることがない。また、直列に配置されている半導体発光素子86に対し、所定の間隔毎に、半導体制御素子85が並列に接続される構成であるため、電源電圧が低下すると半導体発光素子86の一部が消灯するが、半導体発光素子86がまとまったエリアで消灯することが無く、消灯する半導体発光素子86が分散するため、照明装置として明るさに偏りが生じることがない。
【0102】
(変形例)
なお、本実施の形態例3に係る制御回路Cでは、電流路Kに配置されている半導体発光素子86に対し、所定の間隔毎に半導体制御素子85が並列に接続されることによって、電位の高い順に半導体発光素子86、半導体制御素子85及び半導体発光素子86、半導体発光素子86、半導体制御素子85及び半導体発光素子86と配置される構成を実現した。しかし、この構成に限定されるものではなく、例えば
図15に示す照明装置用の制御回路Dのように、電流路上は、電位の高い順に半導体発光素子86、半導体発光素子86、半導体制御素子85及び半導体発光素子86、半導体制御素子85及び半導体発光素子86と接続されているが、配線によって、半導体発光素子86、半導体制御素子85及び半導体発光素子86、半導体発光素子86、半導体制御素子85及び半導体発光素子86と配置される構成を実現する構成としても良い。このような構成にすれば、電源電圧が低下すると照明装置の半導体発光素子86の一部が消灯するが、半導体発光素子86がまとまったエリアで消灯することが無く、消灯する半導体発光素子86が分散する。即ち、照明装置の外観上は、1個おきに半導体発光素子86が消灯しているように見える。従って、照明装置として明るさに偏りが生じることがない。
【0103】
また、本実施の形態例3に係る照明装置用の制御回路Cが複数のLED発光ブロック80を有する構成において、発光ブロック80の端部の半導体発光素子86と、隣接する発光ブロック80の端部の半導体発光素子86の間隔が、LED発光ブロック80内に配置された半導体発光素子86同士の間隔と同様である方が望ましい。ここで、「同様」とは、同一から数センチ程度の誤差を含む概念である。このような構成とすれば、LED発光ブロック80が複数の基板から構成され、電源電圧が低下し照明装置の半導体発光素子86の一部が消灯した場合、照明装置の外観上は、1個おきに半導体発光素子86が消灯しているように見える。従って、照明装置として明るさに偏りが生じることがない。
【0104】
また、本実施例に係る照明装置用の制御回路Cにおいては、各LED発光ブロック80、調光信号制御部54といった一枚の基板毎に、半導体制御素子85、半導体発光素子86、半導体制御素子TR等の回路素子を設ける構成を示した。しかし、この構成に限定されるものではなく、例えば、複数のLED発光ブロック80と調光信号制御部54に設けられた回路素子を一枚の基板に設ける構成としても良いし、複数のLED発光ブロック80に設けられた回路素子を一枚の基板に設ける構成としても良い。
【0105】
以上、この発明の好ましい実施の形態例について述べたが、この発明に係る照明装置用の制御回路は上述した実施の形態例にのみ限定されるものではなく、この発明の範囲で種々の変更実施が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0106】
A~D:照明装置用の制御回路、H、I、K:電流路、
1:直流電源、2~12:電流路、21:電流路、22:電流路、
LED1~16:半導体発光素子、FET1~6:半導体制御素子、
D1~5:半導体整流素子、R1~12:抵抗素子、
TR:半導体制御素子、
ZD1~7:半導体定電圧素子、
50:直流電源、51:LED常時点灯部、
52:LED直並列変換部、53:LED直並列制御部、
54:調光信号制御部、55:過電圧吸収部、56:電流路、
62:LED点灯・消灯部、63:LED点灯・消灯制御部、
64:光導電部、
80:LED発光ブロック、
81:光導電素子、82:発光素子、83:受光素子、84:パッケージ、85:半導体制御素子、86:半導体発光素子、87:整流素子、88:抵抗素子