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  • 特許-液体洗浄剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20230530BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 1/06 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 1/28 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20230530BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/04
C11D1/06
C11D1/29
C11D1/14
C11D1/28
C11D3/34
C11D1/62
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018219375
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020002337
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2018117048
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】平石 依里
(72)【発明者】
【氏名】野口 博章
(72)【発明者】
【氏名】米川 怜史
(72)【発明者】
【氏名】原 淳貴
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-095607(JP,A)
【文献】特開2016-037600(JP,A)
【文献】特開2000-248300(JP,A)
【文献】特開2014-237777(JP,A)
【文献】特開昭62-288694(JP,A)
【文献】特開昭63-317596(JP,A)
【文献】菊川清見,油脂・脂質とは何か,オレオサイエンス,(2001),vol.1,no.1,pp.75-82
【文献】河端康広,酸と塩基の定義,化学と教育,(2008), vol.56, no.8,pp.396-399
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
脂肪酸塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン界面活性剤と、
アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩及び下記一般式(1):
【化1】
[Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ、メチル基又はポリオキシアルキレン基であり、Xはハロゲン原子である。]
で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のカチオン界面活性剤とを含むことを特徴とする硬表面用液体洗浄剤組成物(ただし、(1)両性界面活性剤の一種又は二種以上、又は、非イオン界面活性剤の一種又は二種以上と、(2)一般式:
【化2】
(式中、Rは炭素数12~18のアルキル基、R、R及びRはメチル基、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるモノアルキル型第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の一種又は二種以上と、(3)カルボン酸塩型アニオン界面活性剤を含有してなり、(2)/(3)のモル比が4/6~8/2の範囲にある洗浄剤組成物を除く)。
【請求項2】
前記脂肪酸塩は、カプリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸の塩である請求項1に記載の硬表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、下記一般式(2)で示される化合物である請求項1に記載の硬表面用液体洗浄剤組成物。
【化3】
[一般式(2)中、Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、nは、オキシエチレン基の平均付加モル数を表す0.5~20の数であり、Xは対イオンである。]
【請求項4】
前記アニオン界面活性剤と前記カチオン界面活性剤とのモル比は、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=10/1~1/20である請求項1~3のいずれかに記載の硬表面用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記アニオン界面活性剤及び前記カチオン界面活性剤の合計重量が、0.1重量%となるように前記液体洗浄剤組成物を純水で希釈した際の濁度が、150度(ホルマジン)未満である請求項1~4のいずれかに記載の硬表面用液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アニオン界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物や、カチオン界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アニオン界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物が記載されている。
すなわち、特許文献1には、(A)酸化亜鉛及び/又は水酸化亜鉛と、(B)スルファミン酸と、(C)アニオン界面活性剤と、(D)両性又は半極性界面活性剤とを含有し、(B)成分と(A)成分とのモル当量比が、(B)/(A)=1.0以上であり、かつ、25℃におけるpHが5.5以上である台所用液体洗浄剤組成物が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、カチオン界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物が記載されている。
すなわち、特許文献2には、(A)ノニオン界面活性剤20~40質量%、(B)カチオン界面活性剤2~10質量%、(C)アルカリ剤1~5質量%、(D)水溶性溶剤5~20質量%、(E)キレート剤0.1~5質量%、及び(F)水を含有し、且つ、原液におけるpH(JIS-Z-8802:1984「pH測定方法」)が、25℃で12以上に設定されていることを特徴とする硬表面用除菌洗浄剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-21030号公報
【文献】特開2007-126581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、アニオン界面活性剤の親水基は負に帯電しており、カチオン界面活性剤の親水基は正に帯電している。そのため、アニオン界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物とカチオン界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物を混合すると、アニオン界面活性剤の親水基と、カチオン界面活性剤の親水基とが電気的に引き寄せられ、界面活性効果が低下する。
その結果、液体洗浄剤組成物の洗浄力が低下し、また、沈澱等の不溶物が生じてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決する為になされた発明であり、本発明の目的は、洗浄力が充分に高く、沈澱等の不溶物が生じない、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を両方含む液体洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の種類のアニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせることにより、液体洗浄剤組成物の洗浄力が向上し、かつ、沈澱等の不溶物が生じないことを見出し本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の液体洗浄剤組成物は、水と、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、オクチル硫酸塩、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及びクメンスルホン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン界面活性剤と、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩及び下記一般式(1)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のカチオン界面活性剤とを含むことを特徴とする。
【0010】
【化1】
[Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ、メチル基又はポリオキシアルキレン基であり、Xはハロゲン原子である。]
【0011】
アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を単独で使用すると洗浄力が低い場合があるが、上記種類のアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを組み合わせると、液体洗浄剤組成物の洗浄力が向上する。
また、液体洗浄剤組成物に沈澱等の不溶物が生じない。
【0012】
本発明の液体洗浄剤組成物では、上記脂肪酸塩は、カプリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸の塩であることが望ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物では、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、下記一般式(2)で示される化合物であることが望ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物では、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、下記一般式(3)で示される化合物であることが望ましい。
アニオン界面活性剤が、上記種類であると、液体洗浄剤組成物の洗浄力がより向上する。また、液体洗浄剤組成物に沈澱等の不溶物がより生じにくい。
【0013】
【化2】
[一般式(2)中、Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、nは、オキシエチレン基の平均付加モル数を表す0.5~20の数であり、Xは対イオンである。]
【0014】
【化3】
[一般式(3)中、Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、nは、オキシエチレン基の平均付加モル数を表す0.5~20の数であり、Xは対イオンである。]
【0015】
本発明の液体洗浄剤組成物では、上記アニオン界面活性剤と上記カチオン界面活性剤とのモル比は、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=10/1~1/20であることが望ましい。
このような、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤が、上記組み合わせ及び上記モル比であると、液体洗浄剤組成物の洗浄力がより向上する。
【0016】
本発明の液体洗浄剤組成物では、上記アニオン界面活性剤及び上記カチオン界面活性剤の合計重量が、0.1重量%となるように上記液体洗浄剤組成物を純水で希釈した際の濁度が、150度(ホルマジン)未満であることが望ましい。
本発明の液体洗浄剤組成物は、通常、水で希釈されて使用される。
アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤の合計重量が、0.1重量%となるような希釈液において、濁度が、150度(ホルマジン)未満であるということは、希釈液に沈澱等の不溶物が生じていないことを意味する。
すなわち、このような特性を有する本発明の液体洗浄剤組成物は、使用時の状態においても、沈澱等の不溶物が生じにくい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体洗浄剤組成物は、所定のアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを含む。
そのため、本発明の液体洗浄剤組成物の洗浄力は充分に高い。
また、液体洗浄剤組成物に沈澱等の不溶物が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)は、洗浄力評価における洗浄前のモデル汚れの写真である。図1(b)は、実施例1に係る液体洗浄剤組成物を用いた洗浄力評価の結果の写真である。図1(c)は、比較例1に係る液体洗浄剤組成物を用いた洗浄力評価の結果の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の液体洗浄剤組成物について、具体的な実施形態を示しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。
【0020】
本発明の液体洗浄剤組成物は、水と、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、オクチル硫酸塩、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及びクメンスルホン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン界面活性剤と、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩及び下記一般式(1)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のカチオン界面活性剤とを含むことを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【化4】
[Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ、メチル基又はポリオキシアルキレン基であり、Xはハロゲン原子である。]
【0021】
アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を単独で使用すると洗浄力が低い場合があるが、上記種類のアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを組み合わせると、液体洗浄剤組成物の洗浄力が向上する。
また、液体洗浄剤組成物に沈澱等の不溶物が生じない。
【0022】
以下、本発明の液体洗浄剤組成物の成分について説明する。
【0023】
(アニオン界面活性剤)
本発明の液体洗浄剤組成物では、アニオン界面活性剤は、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、オクチル硫酸塩、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及びクメンスルホン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種からなる。
【0024】
脂肪酸塩としては、カプリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸の塩であることが望ましい。また、脂肪酸塩は、これらの混合物であってもよい。脂肪酸塩の混合物としては、例えば、ヤシ油脂肪酸塩が挙げられる。
脂肪酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、2-アミノエタノール塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩又はアンモニウム塩であることが望ましい。
【0025】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩としては、下記一般式(2)で示される化合物であることが望ましい。
【0026】
【化5】
[一般式(2)中、Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、nは、オキシエチレン基の平均付加モル数を表す0.5~20の数であり、Xは対イオンである。]
【0027】
一般式(2)において、nは、1~10の数であることが望ましい。
一般式(2)において、Xで示される対イオンは、Naであることが望ましい。
【0028】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、下記一般式(3)で示される化合物であることが望ましい。
【化6】
[一般式(3)中、Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、nは、オキシエチレン基の平均付加モル数を表す0.5~20の数であり、Xは対イオンである。]
【0029】
一般式(3)において、nは、1~10の数であることが望ましい。
一般式(3)において、Xで示される対イオンは、Na、NH 又はHN(CHOH) であることが望ましい。
【0030】
α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、オクチル硫酸塩、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及びクメンスルホン酸塩の対イオンは、ナトリウム又はカリウムであることが望ましい。
【0031】
これらのアニオン界面活性剤は、後述するカチオン界面活性剤との相性がよく、本発明の液体洗浄剤組成物の洗浄力を向上させることができる。
【0032】
(カチオン界面活性剤)
本発明の液体洗浄剤組成物では、カチオン界面活性剤は、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩及び下記一般式(1)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0033】
【化7】
[Rは、炭素数8~18のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ、メチル基又はポリオキシアルキレン基であり、Xはハロゲン原子である。]
【0034】
また、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩及びジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩は塩化物又は臭化物であることが望ましい。
【0035】
上記一般式(1)で示される化合物においてR~Rは、それぞれ、メチル基又はポリオキシアルキレン基であるが、ポリオキシアルキレン基は、例えば、ポリオキシエチレン基であってもよい。
【0036】
上記一般式(1)で示される化合物としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5EO)塩であることが望ましい。
【0037】
上記一般式(1)においてXは、塩素又は臭素であることが望ましい。
【0038】
これらのカチオン界面活性剤は、上述したアニオン界面活性剤との相性がよく、本発明の液体洗浄剤組成物の洗浄力を向上させることができる。
【0039】
本発明の液体洗浄剤組成物では、上記アニオン界面活性剤と上記カチオン界面活性剤とのモル比は、アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤=10/1~1/20であることが望ましく、8/1~1/15であることがより望ましい。
このような、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤が、上記組み合わせ及び上記モル比であると、液体洗浄剤組成物の洗浄力がより向上する。
【0040】
(その他の成分)
本発明の液体洗浄剤組成物は、さらにアルカリ剤、キレート剤、分散剤、溶剤、消泡剤、蛍光増白剤、香料、色粉等を含んでいてもよい。
【0041】
アルカリ剤としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、メタ/オルソケイ酸ナトリウムやメタ/オルソケイ酸カリウム等のアルカリ金属のケイ酸塩、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、及び、2-アミノエタノールやジエタノールアミンやトリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0042】
キレート剤としては、特に限定されないが、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)及びこれらの塩、並びに、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられる。
【0043】
分散剤としては、平均分子量3,000~300,000の高分子分散剤が挙げられる。
このような高分子分散剤としては、ポリアクリル酸、ポリアコニット酸、ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸、ポリメタコン酸、ポリ-α-ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルホスホン酸、スルホン化ポリマレイン酸、オレフィン-マレイン酸共重合体、無水マレイン酸ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸スチレン共重合体、無水マレイン酸メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸エチレン共重合体、無水マレイン酸エチレンクロスリンク共重合体、無水マレイン酸アクリル酸共重合体、無水マレイン酸酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸ブタジエン共重合体、無水マレイン酸イソプレン共重合体、無水マレイン酸と一酸化炭素から誘導されるポリ-β-ケトカルボン酸、イタコン酸、エチレン共重合体、イタコン酸アコニット酸共重合体、イタコン酸マレイン酸共重合体、イタコン酸アクリル酸共重合体、マロン酸メチレン共重合体、イタコン酸フマール酸共重合体、エチレングリコールエチレンテレフタレート共重合体、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、これらの金属塩等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
【0044】
溶剤としては、アルコール系溶剤及びグリコール系溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール等が挙げられ、グリコール系溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの中では、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が望ましく、エタノール又はジエチレングリコールモノブチルエーテルがさらに望ましい。
【0045】
消泡剤としては、特に限定されないが、シリコーン系消泡剤等が挙げられる。
【0046】
本発明の液体洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤の合計重量が、0.005~10.0重量%となるように希釈されて使用されることが望ましく、0.05~1.0重量%となるように希釈されて使用されることが望ましい。
【0047】
本発明の液体洗浄剤組成物では、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤の合計重量が、0.1重量%となるように上記液体洗浄剤組成物を純水で希釈した際の、濁度が、150度(ホルマジン)未満であることが望ましく、100度(ホルマジン)未満であることがより望ましい。
上記希釈液において、濁度が、150度(ホルマジン)未満であるということは、希釈液に沈澱等の不溶物が生じていないことを意味する。
すなわち、このような特性を有する本発明の液体洗浄剤組成物は、使用時の状態においても、沈澱等の不溶物が生じにくい。
なお、本明細書において、「濁度」とは、JIS K 0101 (工業用水試験方法)に準じ、ホルマジン標準液を用いて測定した値のことを意味する。
濁度は、紫外可視近赤外分光光度計(型番:V-670DS、日本分光株式会社製)及び分光光度計用セル10mmを用いることにより測定することができる。
測定の手順としては、まず、ホルマジン標準液(400度)(キシダ化学株式会社製)を所定の濃度に希釈した希釈液(20~400度(ホルマジン))を作製し、各希釈液に基づき検量線を作成する。その後、試料の透過率を測定する。そして、試料の測定値と上記検量線とから、試料の濁度(ホルマジン)を算出することができる。
【0048】
上記の通り、本発明の液体洗浄剤組成物は水で希釈されて使用されることになるが、その希釈液の20℃におけるpHは、3.0以上であることが望ましい。
本明細書において、希釈液のpHとは、JIS Z 8802(JIS法)に準じて測定した値のことを意味する。
【実施例
【0049】
以下、本発明をより具体的に説明する実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0050】
(実施例1~66)及び(比較例1~13)
表1~6に示す処方に従い、実施例1~66及び比較例1~13に係る液体洗浄剤組成物を作製した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
表1~表6における各化合物の製造元等は以下の通りである。
(アニオン界面活性剤)
カプリル酸カリウム:米山薬品工業(株)製の「n-カプリル酸」を米山薬品工業(株)製の「水酸化カリウム」で中和した化合物
オクチル酸カリウム:東京化成工業(株)製の「2-エチルヘキサン酸」を米山薬品工業(株)製「水酸化カリウム」で中和した化合物
カプリン酸カリウム:米山薬品工業(株)製の「デカン酸」を米山薬品工業(株)製の「水酸化カリウム」で中和した化合物
カプリン酸ナトリウム:米山薬品工業(株)製の「デカン酸」を米山薬品工業(株)製「水酸化ナトリウム」で中和した化合物
ラウリン酸カリウム:米山薬品工業(株)製の「ラウリン酸」を米山薬品工業(株)製の「水酸化カリウム」で中和した化合物
ラウリン酸トリエタノールアミン:米山薬品工業(株)製の「ラウリン酸」を米山薬品工業(株)製の「トリエタノールアミン」で中和した化合物
ヤシ脂肪酸カリウム:ミヨシ油脂(株)製の「ヤシ脂肪酸 500」を米山薬品工業(株)製「水酸化カリウム」で中和した化合物
ヤシ脂肪酸モノエタノールアミン:ミヨシ油脂(株)製の「ヤシ脂肪酸 500」を 米山薬品工業(株)製「2-アミノエタノール」で中和した化合物
ミリスチン酸カリウム:米山薬品工業(株)製の「ミリスチン酸」を米山薬品工業(株)製の「水酸化カリウム」で中和した化合物
ミリスチン酸モノエタノールアミン:米山薬品工業(株)製の「ミリスチン酸」を米山薬品工業(株)製の「2-アミノエタノール」で中和した化合物
オレイン酸カリウム:米山薬品工業(株)製の「オレイン酸カリウム」
ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(1):三洋化成工業(株)製の「ビューライトLCA-30D ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム」
ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(2):花王(株)製の「カオーアキポRLM-100NV ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム」
ポリオキシエチレンデシルエーテル酢酸ナトリウム:泰光油脂化学工業(株)製の「タイポールソフトDECA-390 ポリオキシエチレン(3)デシルエーテル酢酸ナトリウム」
ポリオキシエチレンオレイルエーテル酢酸ナトリウム:クラリアントジャパン(株)製の「EmulsogenCOL080 ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル酢酸」を米山薬品工業(株)製の「水酸化ナトリウム」で中和した化合物
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(1):泰光油脂化学工業(株)製の「タイポールNLES-327 ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム」
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2):テイカ(株)製の「SLES-1EO ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム」
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン:泰光油脂化学工業(株)製の「タイポールNLET-236 ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン」
ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム:泰光油脂化学工業(株)製の「タイポールTDES-2030 ポリオキシエチレン(20)トリデシルエーテル硫酸ナトリウム」
α-オレフィンスルホン酸ナトリウム(C14、16):ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「リポランLJ-441」
α-スルホ牛脂脂肪酸エステルナトリウム:日油(株)製の「サンベースFM-2」
オクチル硫酸ナトリウム:Alfa Aesar社製の「硫酸オクチルナトリウム塩(C8)」
トルエンスルホン酸ナトリウム:米山薬品工業(株)製の「p-トルエンスルホン酸ナトリウム」
キシレンスルホン酸ナトリウム:テイカ(株)製の「テイカトックスN1140 キシレンスルホン酸ナトリウム」
クメンスルホン酸ナトリウム:テイカ(株)製の「テイカトックスN5040 キュメンスルホン酸ナトリウム」
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム:東京化成工業(株)製の「ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (ソフト型)」
アルキルスルホン酸ナトリウム:クラリアントジャパン(株)製の「Hostapur SAS30 アルキル(C14-18)スルホン酸ナトリウム」
ラウリル硫酸ナトリウム:米山薬品工業(株)製の「ドデシル硫酸ナトリウム」
(カチオン界面活性剤)
ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド:ロンザジャパン(株)製の「バーダックLF-80」
アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド:クラリアントジャパン(株)製の「PRAEPAGEN HY アルキル(C12-14)ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド」
ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート:ロンザジャパン(株)製の「Bardap26 ジデシルメチルポリ(1~2)オキシエチルアンモニウムプロピオネート」
塩化ベンザルコニウム:東京化成工業(株)製の「ベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリド」
塩化ジデシルジメチルアンモニウム:ライオン・アクゾ(株)製の「リポカード210-80E」
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド:東京化成工業(株)製の「セチルトリメチルアンモニウムクロリド」
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド:和光純薬工業(株)製の「臭化セチルトリメチルアンモニウム」
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド:東京化成工業(株)製の「カチナールLTC-35A」
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド:東京化成工業(株)製の「カチナールSTC-80」
トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5EO)クロライド:東京化成工業(株)製の「カチナールSPC-20V-S」
【0058】
(洗浄力評価)
各実施例及び各比較例に係る液体洗浄剤組成物について、洗浄力評価を以下の手順で行った。結果を表1~6に示す。
ステンレス板(6cm×6cm)に複合汚れ(大豆白絞油:牛脂:薄力粉=85:5:10)を0.2gを塗り、10分間放置し、モデル汚れとした。
アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤の濃度が表1~6に示す濃度になるように、各実施例及び各比較例に係る液体洗浄剤組成物を水で希釈し、表1~6に示すpHとなるようにpH調整剤を加えて洗浄液を作製した。
なお、pH調整剤として、水酸化カリウム(米山薬品工業(株)製)及び硫酸(米山薬品工業(株)製)を用いた。
次に、汚れの付いたステンレス板を洗浄液中に浸漬し、3分浸漬後の汚れの落ち具合を目視で評価した。
評価基準は以下の通りである。
◎:75%以上の汚れが除去されている。
○:50%を超え、75%未満の汚れが除去されている。
×:50%以上の汚れが付着している。
【0059】
また、実施例1の液体洗浄剤組成物を用いた洗浄力評価の結果の写真と、比較例1の液体洗浄剤組成物を用いた洗浄力評価の結果の写真を図面に示す。
図1(a)は、洗浄力評価における洗浄前のモデル汚れの写真である。
図1(b)は、実施例1に係る液体洗浄剤組成物を用いた洗浄力評価の結果の写真である。
図1(c)は、比較例1に係る液体洗浄剤組成物を用いた洗浄力評価の結果の写真である。
【0060】
(濁度評価)
各実施例及び各比較例に係る液体洗浄剤組成物について、濁度評価を以下の手順で行った。結果を表1~6に示す。
アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤の合計重量が、0.1重量%となるように各実施例及び各比較例に係る液体洗浄剤組成物を水で希釈し、表1~6に示すpHとなるようにpH調整剤を加えて試験溶液を作製した。
各試験溶液の濁度を、紫外可視近赤外分光光度計(型番:V-670DS、日本分光株式会社製)及び分光光度計用セル10mmを用いて測定した。
評価基準は以下の通りである。
〇:濁度が150度(ホルマジン)未満である。
×:濁度が150度(ホルマジン)以上である。
【0061】
表1~5に示すように、特定の種類のアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを併用した各実施例に係る液体洗浄剤組成物は、洗浄力評価及び濁度評価が良好であった。
一方、表6に示すように、アニオン界面活性剤としてラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムを用いた場合や、カチオン界面活性剤として塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムを用いた場合、すなわち、比較例1~9に係る液体洗浄剤組成物では、洗浄力評価及び/又は濁度評価が良好でなかった。
また、アニオン界面活性剤単独からなる比較例10~12に係る液体洗浄剤組成物、及び、カチオン界面活性剤単独からなる比較例13に係る液体洗浄剤組成物では、洗浄力評価が良好でなかった。
以上より、特定の種類のアニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせた場合に、洗浄力が向上し、沈澱等の不溶物が生じないことが判明した。
図1