(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】ラミネート装置、ラミネート製品製造装置及びラミネート製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B05C 9/06 20060101AFI20230530BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20230530BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230530BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20230530BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B05C9/06
B05C9/14
B05C11/10
B05D3/12 C
B05D7/24 301P
(21)【出願番号】P 2019105548
(22)【出願日】2019-06-05
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237260
【氏名又は名称】富士機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】森川 亮
(72)【発明者】
【氏名】岩藤 浩充
(72)【発明者】
【氏名】岩本 好司
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 徹
(72)【発明者】
【氏名】片岡 啓治
(72)【発明者】
【氏名】丹生谷 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 徹
(72)【発明者】
【氏名】久保 寛次
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/082683(WO,A1)
【文献】特開2000-006561(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175620(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0331249(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111246991(CN,A)
【文献】特開2019-051454(JP,A)
【文献】特開2019-098285(JP,A)
【文献】特開2005-202542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 7/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせるよう構成されたラミネート装置であって、
上記二液のうちの一方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に
吐出させることによって塗布する第1塗布手段と、
上記二液のうちの他方を上記第1及び第2ウェブのいずれか一方の貼合面に搬送方向に沿って順に
吐出させることによって塗布する第2塗布手段と、
上記第1及び第2ウェブを重ねて挟み込むとともに回転動作によってその間を同方向に移動させながら貼り合わせる第1貼合用ロール及び第2貼合用ロールとを備え
、
上記第1及び第2塗布手段の少なくとも一方は、液を下方に吐出する吐出ユニットと、該吐出ユニットを内部に収容するケースとを備え、
該ケース底面の上記吐出ユニットの真下の位置には、ウェブ幅方向に延びる形状をなし、上記吐出ユニットから吐出する液を通過させるスリットが形成されており、
上記ケース底面の少なくとも一部領域には、上記スリットの開口周縁部から上記ケース底面の外周縁部に向かって下傾する傾斜面が形成されていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のラミネート装置において、
上記吐出ユニットは、上記ケース内部におけるウェブ搬送方向の中央に配設され、
上記スリットは、上記ケース底面におけるウェブ搬送方向の中央に形成されていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載のラミネート装置において、
上記傾斜面の上側空間と上記吐出ユニットとの間には、上記傾斜面の上側空間に溜まる液を上記吐出ユニットに戻す液戻し手段が配設されていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項4】
請求項
3に記載のラミネート装置において、
上記ケースには、上記スリットを開閉可能な蓋部材が設けられていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項5】
請求項
1から
4のいずれか1つに記載のラミネート装置において、
上記ケース内部における温度を所定値に維持可能な空調手段を備えていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項6】
請求項
1から
5のいずれか1つに記載のラミネート装置において、
上記吐出ユニットの上下方向の位置を調節可能な位置調節手段を備えていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項7】
請求項
1から
6のいずれか1つに記載のラミネート装置において、
上記吐出ユニットは、液をスプレーノズルから圧縮エアにより噴霧状に吐出するよう構成されていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項8】
請求項
1から
7のいずれか1つに記載のラミネート装置において、
上記第2塗布手段は、上記二液のうちの他方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に
吐出させることによって塗布するよう構成されていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項9】
請求項
8に記載のラミネート装置において、
上記第1塗布手段は、上記第2塗布手段よりも上流側に位置し、且つ、上記第1塗布手段のケースが上記第1ウェブに接近するように配置され、
上記第2塗布手段は、当該第2塗布手段のケースが上記第1塗布手段のケースに隣接され、且つ、上記第2塗布手段のケース底面が上記第1塗布手段のケース底面よりも上方に位置するように配置されていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項10】
請求項
8又は
9に記載のラミネート装置において、
上記第1及び第2塗布手段は、上記第1ウェブの搬送方向に沿って交互にそれぞれ複数設けられていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項11】
二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせるよう構成されたラミネート装置であって、
上記二液のうちの一方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布する第1塗布手段と、
上記二液のうちの他方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布する第2塗布手段と、
上記第1及び第2ウェブを重ねて挟み込むとともに回転動作によってその間を同方向に移動させながら貼り合わせる第1貼合用ロール及び第2貼合用ロールとを備え、
上記第1及び第2塗布手段の少なくとも一方は、液を下方に吐出する吐出ユニットと、該吐出ユニットを内部に収容するケースとを備え、
該ケース底面の上記吐出ユニットの真下の位置には、ウェブ幅方向に延びる形状をなし、上記吐出ユニットから吐出する液を通過させるスリットが形成されており、
上記第1及び第2塗布手段は、上記第1ウェブの搬送方向に沿って交互にそれぞれ複数設けられていることを特徴とするラミネート装置。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか1つに記載のラミネート装置と、
上記第1ウェブ又は上記第2ウェブの上流側に配設され、上記第1ウェブ又は上記第2ウェブに印刷を施すインクジェット型、或いは、グラビア型の印刷装置と、
上記第1ウェブ又は上記第2ウェブに施された印刷を乾燥させる乾燥装置とを備えていることを特徴とするラミネート製品製造装置。
【請求項13】
二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせてラミネート製品を得るラミネート製品の製造方法であって、
上記請求項1から10のいずれか1つに記載のラミネート装置を用意し、
上記二液のうちの一方を第1塗布手段を用いて上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に
吐出させることによって塗布するとともに、上記二液のうちの他方を第2塗布手段を用いて上記第1及び第2ウェブのいずれか一方の貼合面に搬送方向に沿って順に
吐出させることによって塗布した後、上記第1及び第2ウェブを同方向に移動させながら互いに重ねて貼り合わせることによりラミネート製品を得ることを特徴とするラミネート製品の製造方法。
【請求項14】
二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせてラミネート製品を得るラミネート製品の製造方法であって、
上記請求項11に記載のラミネート装置を用意し、
上記二液のうちの一方を第1塗布手段を用いて上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布するとともに、上記二液のうちの他方を第2塗布手段を用いて上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布した後、上記第1及び第2ウェブを同方向に移動させながら互いに重ねて貼り合わせることによりラミネート製品を得ることを特徴とするラミネート製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて2つのウェブを貼り合わせるよう構成されたラミネート装置、ラミネート製品製造装置及びラミネート製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されているラミネート装置は、二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせるよう構成されたものであり、主剤を貯留する第1タンクと、硬化剤を貯留する第2タンクと、主剤及び硬化剤を混合して混合剤を得るミキサーとを備えている。該ミキサーの側方には、回転軸心が水平方向に延びるアプリケーションロール及びドクターロールが水平方向に近接した状態で並設されていて、このアプリケーションロールとドクターロールとの間に跨る液溜部に混合剤がミキサーから供給されるようになっている。ドクターロールの上方には、外周面が互いに接するメタリングロール及びコートロールが並設され、アプリケーションロールとドクターロールとが回転することにより、メタリングロールとコートロールとが連動して回転して液溜部に溜まる混合剤がドクターロール及びメタリングロールの各外周面を介してコートロールの外周面に付着するようになっている。コートロールの上方には、当該コートロールとの間に第1ウェブを挟み込むバッキングロールが配設され、コートロール及びバッキングロールの回転動作によって第1ウェブを連続搬送させながらコートロールの外周面に付着した混合剤を第1ウェブの貼合面に転写させるようになっている。そして、連続搬送される第1ウェブに対して第2ウェブを同方向に移動させながら重ね合わせて互いに貼り合わせるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き二液硬化型無溶剤系接着剤を用いたラミネート装置は、長時間稼働させずに放置すると、二液を混合するミキサーや、或いは、液溜部に混合剤を供給する配管等において混合剤が強固に付着してしまい、その後の清掃が煩雑になってしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献1では、ミキサーにおいて二液を混合させて混合剤を得た後、第1ウェブと第2ウェブとを貼り合わせるまでの間において、混合剤が複数の機構やロールを介して移動するよう構成されているので、その移動の間に混合剤が完全に硬化してしまわぬようにポットライフが長い接着剤を使用する必要がある。したがって、第1ウェブと第2ウェブとを貼り合わせた後の互いのズレ発生防止に留意したり、或いは、エイジング時間を十分に取る必要があるなど、貼り合わせ直後のラミネート製品が取り扱いにくいという問題もある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置を使用した後の清掃が容易であり、しかも、ポットライフの短い接着剤を使用することができるラミネート装置、ラミネート製品製造装置及びラミネート製品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、ウェブに対して液を滴下させて塗布する塗布手段を使用するようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせるよう構成されたラミネート装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、上記二液のうちの一方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布する第1塗布手段と、上記二液のうちの他方を上記第1及び第2ウェブのいずれか一方の貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布する第2塗布手段と、上記第1及び第2ウェブを重ねて挟み込むとともに回転動作によってその間を同方向に移動させながら貼り合わせる第1貼合用ロール及び第2貼合用ロールとを備え、上記第1及び第2塗布手段の少なくとも一方は、液を下方に吐出する吐出ユニットと、該吐出ユニットを内部に収容するケースとを備え、該ケース底面の上記吐出ユニットの真下の位置には、ウェブ幅方向に延びる形状をなし、上記吐出ユニットから吐出する液を通過させるスリットが形成されており、上記ケース底面の少なくとも一部領域には、上記スリットの開口周縁部から上記ケース底面の外周縁部に向かって下傾する傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記吐出ユニットは、上記ケース内部におけるウェブ搬送方向の中央に配設され、上記スリットは、上記ケース底面におけるウェブ搬送方向の中央に形成されていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記傾斜面の上側空間と上記吐出ユニットとの間には、上記傾斜面の上側空間に溜まる液を上記吐出ユニットに戻す液戻し手段が配設されていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、第3の発明において、上記ケースには、上記スリットを開閉可能な蓋部材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、上記ケース内部における温度を所定値に維持可能な空調手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、上記吐出ユニットの上下方向の位置を調節可能な位置調節手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
第7の発明では、第1から第6のいずれか1つの発明において、上記吐出ユニットは、液をスプレーノズルから圧縮エアにより噴霧状に吐出するよう構成されていることを特徴とする。
【0018】
第8の発明では、第1から第7のいずれか1つの発明において、上記第2塗布手段は、上記二液のうちの他方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布するよう構成されていることを特徴とする。
【0019】
第9の発明では、第8の発明において、上記第1塗布手段は、上記第2塗布手段よりも上流側に位置し、且つ、上記第1塗布手段のケースが上記第1ウェブに接近するように配置され、上記第2塗布手段は、当該第2塗布手段のケースが上記第1塗布手段のケースに隣接され、且つ、上記第2塗布手段のケース底面が上記第1塗布手段のケース底面よりも上方に位置するように配置されていることを特徴とする。
【0020】
第10の発明では、第8又は第9の発明において、上記第1及び第2塗布手段は、上記第1ウェブの搬送方向に沿って交互にそれぞれ複数設けられていることを特徴とする。
また、第11の発明は、二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせるよう構成されたラミネート装置であって、上記二液のうちの一方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布する第1塗布手段と、上記二液のうちの他方を上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布する第2塗布手段と、上記第1及び第2ウェブを重ねて挟み込むとともに回転動作によってその間を同方向に移動させながら貼り合わせる第1貼合用ロール及び第2貼合用ロールとを備え、上記第1及び第2塗布手段の少なくとも一方は、液を下方に吐出する吐出ユニットと、該吐出ユニットを内部に収容するケースとを備え、該ケース底面の上記吐出ユニットの真下の位置には、ウェブ幅方向に延びる形状をなし、上記吐出ユニットから吐出する液を通過させるスリットが形成されており、上記第1及び第2塗布手段は、上記第1ウェブの搬送方向に沿って交互にそれぞれ複数設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、ラミネート製品製造装置をも対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0022】
すなわち、第12の発明では、第1から第11のいずれか1つに記載のラミネート装置と、上記第1ウェブ又は上記第2ウェブの上流側に配設され、上記第1ウェブ又は上記第2ウェブに印刷を施すインクジェット型、或いは、グラビア型の印刷装置と、上記第1ウェブ又は上記第2ウェブに施された印刷を乾燥させる乾燥装置とを備えていることを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明は、二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせてラミネート製品を得るラミネート製品の製造方法をも対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0024】
すなわち、第13の発明では、第1から第10のいずれか1つに記載のラミネート装置を用意し、上記二液のうちの一方を第1塗布手段を用いて上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布するとともに、上記二液のうちの他方を第2塗布手段を用いて上記第1及び第2ウェブのいずれか一方の貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布した後、上記第1及び第2ウェブを同方向に移動させながら互いに重ねて貼り合わせることによりラミネート製品を得ることを特徴とする。
また、第14の発明は、二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて連続搬送される第1及び第2ウェブを互いに貼り合わせてラミネート製品を得るラミネート製品の製造方法であって、第11に記載のラミネート装置を用意し、上記二液のうちの一方を第1塗布手段を用いて上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布するとともに、上記二液のうちの他方を第2塗布手段を用いて上記第1ウェブの貼合面に搬送方向に沿って順に吐出させることによって塗布した後、上記第1及び第2ウェブを同方向に移動させながら互いに重ねて貼り合わせることによりラミネート製品を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
第1及び第13の発明では、特許文献1の如き二液を混合させるミキサーや混合剤を液溜部にまで案内する配管等が装置に必要なくなるので、これらミキサー等に混合剤が強固に付着してしまい、その後の清掃が煩雑になってしまうといったことを防ぐことができ、装置を使用した後の清掃が容易になる。また、第1ウェブ及び第2ウェブを貼り合わせる位置と二液を混合させる位置との間に特許文献1の如き複数の機構やロールを配設する必要が無くなるので、ポットライフの短い接着剤を使用することができるようになり、貼り合わせ直後のラミネート製品の取り扱いが簡単になる。
【0026】
さらに、吐出ユニットから吐出する液のうちのケース底面におけるスリットを通過する液がウェブに付着する一方、残りの液はケース内部に残るようになる。したがって、吐出ユニットから吐出する液のウェブに付着する以外の液が装置周りに拡散しなくなるので、液の飛散による作業者への影響が無くなって作業者が安全に作業を行うことができる。
また、吐出ユニットから吐出された液のうちのスリットを通過しなかった液が傾斜面に沿ってスリットから離れるように流れて傾斜面とケース外周面との間に溜まるようになる。したがって、吐出ユニットから吐出された液のうちのウェブに付着させなかった残りの液を効率良く回収することができる。
【0027】
第2の発明では、吐出ユニットから斜め下方に向かって落下する液をケース底面におけるスリットを除く部分で遮るようになるので、スリットの全域に亘って液の通過量のばらつきが少なくなる。したがって、ウェブ表面に付着させる塗膜の厚みにばらつきが無くなり、密度が一定の塗膜をウェブ表面に形成することができる。
【0029】
第3の発明では、吐出ユニットから吐出されてスリットを通過しなかった液が吐出ユニットに戻されて再利用されるようになるので、液に掛かるコストを下げることができる。
【0030】
第4の発明では、蓋部材によりスリットを開けた状態において吐出ユニットから吐出した液がスリットを介してウェブに滴下する一方、蓋部材によりスリットを閉めた状態で洗浄液を吐出ユニットから吐出させると、洗浄液がケースの外側に出ずに吐出ユニットと液戻し手段との間を循環するようになる。したがって、無人で装置を洗浄できるとともに、装置の洗浄時において洗浄液の装置周辺への飛散による影響を無くすことができる。
【0031】
第5の発明では、吐出ユニットから吐出された液の温度変化による影響を少なくしてウェブに付着させる液のばらつきをさらに少なくすることができる。
【0032】
第6の発明では、吐出ユニットの位置を上下に変更させることによりスリットを通過する液の量を変化させることができるので、ウェブや液の種類等に合わせてウェブの表面に対して適正な量の液を塗布することができる。
【0033】
第7の発明では、圧縮エアによる大きな力で液を滴下させるようになるので、粘度の高い液を使用することができるようになる。
【0034】
第8の発明では、第1及び第2塗布手段が第1ウェブの搬送経路周りにまとまった配置になるので、第2ウェブの搬送経路周りのスペースを有効利用可能な装置にすることができる。
【0035】
第9の発明では、第1塗布手段のケース底面が第1ウェブに接近した位置であるので、第1ウェブに一方の液を塗布する際、外気流の影響を回避させながら塗布することができる。また、一方の液が塗布された第1ウェブに対して第2塗布手段により他方の液を塗布する際、第2塗布手段のケース底面が第1塗布手段のケース底面よりも上方に位置するので、もし仮に第1ウェブの位置が搬送時においてその厚み方向に変動しても、第1塗布手段により第1ウェブに塗布された一方の液が第2塗布手段のケース底面に付着し難くなる。したがって、第2塗布手段のケース底面に付着した一方の液と第2塗布手段の吐出ユニットから吐出されてスリットを通過する他方の液とがケース底面において混合してしまうといった不具合を回避することができる。
【0036】
第10、第11及び第14の発明では、第1ウェブに対して一方の液と他方の液とを交互に順に付着させることができるので、二液が多くの領域で混錬されるようになり、所望する接着強度を確実に得ることができる。
【0037】
第12の発明では、第1及び第2塗布手段がスプレーノズルを用いた滴下構造をなしているので、段取り替えが行い易く、従来の如きノンソルラミネート方式の接着を適用したラミネート製品製造装置に比べて小ロット生産に適した構造のラミネート製品製造装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態1に係るラミネート装置が組み込まれたラミネート製品製造装置の概略構成図である。
【
図3】本発明の実施形態2における
図2相当図である。
【
図4】本発明の実施形態3における
図1相当図である。
【
図5】本発明の実施形態4における
図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0040】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1のラミネート製品製造装置1示す。該ラミネート製品製造装置1は、主剤L1及び硬化剤L2の二液を混合させることによって硬化が開始する二液硬化型無溶剤系接着剤Lを用いて長尺状のプラスチック材からなる2つの可撓性第1及び第2ウェブ10,11を連続搬送させながら互いに貼り合わせてラミネート製品X1を製造するものである。
【0041】
ラミネート製品製造装置1は、第1ウェブ10を水平方向に向けて連続的に繰り出す第1操出ロール2と、第2ウェブ11を下方に向けて連続的に繰り出す第2操出ロール3とを備え、第1操出ロール2から繰り出された第1ウェブ10と第2操出ロール3から繰り出された第2ウェブ11とが交わる部分には、第1ウェブ10及び第2ウェブ11を貼り合わせるラミネート装置4が配設されている。
【0042】
第1操出ロール2とラミネート装置4との間には、印刷装置5及び乾燥装置6が第1ウェブ10の搬送方向に沿って上流側から順に配設されている。
【0043】
印刷装置5は、所謂インクジェット型と呼ばれるものであり、アンダーコートを滴下するアンダーコート液滴下ユニット5A、ブラック系色の液を滴下する第1色滴下ユニット5B、マゼンタ色の液を滴下する第2色滴下ユニット5C、シアン色の液を滴下する第3色滴下ユニット5D、及び、イエロー色の液を滴下する第4色滴下ユニット5Eを備えている。
【0044】
アンダーコート液滴下ユニット5A及び第1~第4色滴下ユニット5B~5Eは、第1ウェブ10の搬送方向に沿って上流側から順に並設されていて、各滴下ユニット5A~5Eから滴下される液によって連続搬送される第1ウェブ10の貼合面10aに印刷が施されるようになっている。
【0045】
乾燥装置6は、第1ウェブ10の幅方向全長に亘って延びるボックス状のノズル6aを備え、該ノズル6aから空気を第1ウェブ10の貼合面10aに向かって吐出させることにより、第1ウェブ10に施した印刷を乾燥させるようになっている。
【0046】
ラミネート装置4は、主剤L1を第1ウェブ10の貼合面10aに搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布する第1塗布ユニット4A(第1塗布手段)と、硬化剤L2を第1ウェブ10の貼合面10aに搬送方向に沿って順に滴下させることによって塗布する第2塗布ユニット4B(第2塗布手段)とを備え、第1塗布ユニット4Aと第2塗布ユニット4Bとは、第1ウェブ10の搬送方向に沿って上流側から順に配設されている。
【0047】
第1塗布ユニット4Aは、主剤L1を下方に吐出する吐出ユニット8aと、該吐出ユニット8aを内部に収容する略ボックス形状のケース8bとを備えている。
【0048】
第1塗布ユニット4Aは、
図2に示すように、第1ウェブ10に接近するように配置されている。具体的には、第1塗布ユニット4Aにおけるケース8b底面の第1ウェブ10の表面からの距離D1が1~10mmの位置となるように設定されている。
【0049】
吐出ユニット8aは、ケース8b内部におけるウェブ搬送方向の中央に配設されている。
【0050】
吐出ユニット8aは、吐出口が下方に向くスプレーノズル8cを備え、該スプレーノズル8cは、主剤L1を圧縮エアにより噴霧状に吐出するようになっている。
【0051】
ケース8bの底面には、吐出ユニット8aから吐出する主剤L1を通過させるスリット8dが形成され、該スリット8dは、蓋部材8jにより開閉可能になっている。
【0052】
スリット8dは、ケース8bの底面におけるウェブ搬送方向中央に形成されるとともに第1ウェブ10の幅方向の全域に亘って延びていて、吐出ユニット8aの真下に位置している。
【0053】
ケース8b底面におけるスリット8dよりウェブ搬送方向上流側は、スリット8dの開口周縁からケース8b底面におけるウェブ搬送方向上流側の外周縁部に向かって下傾する上流側傾斜面8eとなっている。
【0054】
一方、ケース8b底面におけるスリット8dよりウェブ搬送方向下流側は、スリット8dの開口周縁からケース8b底面におけるウェブ搬送方向下流側の外周縁部に向かって下傾する下流側傾斜面8fとなっている。
【0055】
ケース8bの内部には、図示しないスライドレール及びスライダにより吐出ユニット8aを上下方向にスライドさせるスライド機構8g(位置調節手段)が配置され、該スライド機構8gのスライド動作により、吐出ユニット8aの上下方向の位置を調節可能になっている。具体的には、吐出ユニット8aの第1ウェブ10の表面からの距離D2が30~300mmの位置となるように調節可能になっている。
【0056】
また、ケース8bにおける上流側傾斜面8e及び下流側傾斜面8fと吐出ユニット8aとの間には、上流側傾斜面8e及び下流側傾斜面8fの上側に溜まる主剤L1を吐出ユニット8aに戻すポンプユニット8h(液戻し手段)が配設されている。
【0057】
さらに、ケース8bの外側には、当該ケース8b内部における温度を所定値に維持可能な空調ユニット8i(空調手段)が配設されている。
【0058】
第2塗布ユニット4Bは、硬化剤L2を下方に吐出する点と第1ウェブ10の表面に対する設置位置とが第1塗布ユニット4Aと異なるだけで、その他の構成は同じであるため、第1塗布ユニット4Aと同一の構造部分には当該第1塗布ユニット4Aと同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0059】
第2塗布ユニット4Bは、当該第2塗布ユニット4Bのケース8bが第1塗布ユニット4Aのケース8bに隣接され、且つ、第2塗布ユニット4Bのケース8b底面が第1塗布ユニット4Aのケース8b底面よりも上方に位置するように配置されている。具体的には、第2塗布ユニット4Bにおけるケース8b底面の第1塗布ユニット4Aにおけるケース8b底面からの距離D3が3mm以上の位置となるように設定されている。
【0060】
また、ラミネート装置4は、
図1に示すように、第2塗布ユニット4Bの下流側において上下に並んで配置された第1貼合用ロール4c及び第2貼合用ロール4dを備え、該第1貼合用ロール4c及び第2貼合用ロール4dは、主剤L1及び硬化剤L2が塗布された第1ウェブ10とガイドロールG1に巻き掛けられて案内される第2ウェブ11とを重ねて挟み込むとともに回転動作によってその間を同方向に移動させながら貼り合わせてラミネート製品X1にするようになっている。
【0061】
ラミネート装置4の下流側には、当該ラミネート装置4において製造されたラミネート製品X1を巻き取る巻取ロール7が配設されている。
【0062】
第1操出ロール2、第2操出ロール3、ラミネート装置4、印刷装置5、乾燥装置6及び巻取ロール7には、制御盤9が接続され、該制御盤9は、第1操出ロール2、第2操出ロール3、ラミネート装置4、印刷装置5、乾燥装置6及び巻取ロール7に作動信号を出力するようになっている。
【0063】
次に、ラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造について詳述する。
【0064】
まず、初めに、第1操出ロール2から繰り出された第1ウェブ10は、
図1に示すように、印刷装置5の下方を水平方向に直線状に移動する。このとき、連続搬送される第1ウェブ10に対して印刷装置5のアンダーコート液滴下ユニット5A及び第1~第4色滴下ユニット5B~5Eから各液が滴下され、第1ウェブ10の貼合面10aに印刷が施される。
【0065】
次に、印刷が施された第1ウェブ10は、乾燥装置6のノズル6aの下方を水平方向に直線状に移動する。このとき、ノズル6aから空気が吐出されていて、これにより、第1ウェブ10に施された印刷が乾燥する。
【0066】
次いで、第1ウェブ10は、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bの下方を水平方向に直線状に移動する。このとき、
図2に示すように、第1塗布ユニット4Aのスプレーノズル8cから吐出する主剤L1が第1ウェブ10の搬送方向に沿って連続的に滴下するとともに、第2塗布ユニット4Bのスプレーノズル8cから吐出する硬化剤L2が第1ウェブ10の搬送方向に沿って連続的に滴下する。そして、硬化剤L2によって形成される層Y2が主剤L1によって形成される層Y1に重なった状態になった後、第1ウェブ10は、ラミネート装置4に向かって移動する。
【0067】
一方、第2操出ロール3から繰り出された第2ウェブ11は、
図1に示すように、下方に移動するとともにガイドロールG1に案内されながらラミネート装置4に向かって移動する。
【0068】
しかる後、第1ウェブ10及び第2ウェブ11は、第1貼合用ロール4c及び第2貼合用ロール4dの間に重ねて挟み込まれるとともに、第1貼合用ロール4c及び第2貼合用ロール4dの回転動作によってその間を同方向に移動しながら貼り合わされてラミネート製品X1になる。
【0069】
その後、ラミネート製品X1は、水平方向に直線状に移動した後、巻取ロール7に巻き取られる。
【0070】
以上より、本発明の実施形態1によると、第1ウェブ10に対する主剤L1及び硬化剤L2の塗布を第1ウェブ10の上方から滴下させる塗布ユニットで塗布しているので、特許文献1の如き二液を混合させるミキサーや混合剤を液溜部にまで案内する配管等がラミネート装置4に必要なくなり、これらミキサー等に混合剤が強固に付着してしまってその後の清掃が煩雑になってしまうといったことを防ぐことができ、ラミネート装置4を使用した後の清掃が容易になる。また、第1ウェブ10及び第2ウェブ11を貼り合わせる位置と二液を混合させる位置との間に特許文献1の如き複数の機構やロールを配設する必要が無くなるので、ポットライフの短い接着剤Lを使用することができるようになり、貼り合わせ直後のラミネート製品X1の取り扱いが簡単になる。
【0071】
また、第1及び第2塗布ユニット4A,4Bにおける吐出ユニット8aはケース8bの内部に位置するとともに、ケース8b底面にはスリット8dが形成されているので、吐出ユニット8aから液(主剤L1又は硬化剤L2)を下方に吐出すると、吐出ユニット8aから吐出する液のうちのケース8b底面におけるスリット8dを通過する液が第1ウェブ10に付着する一方、残りの液はケース8b内部に残るようになる。したがって、吐出ユニット8aから吐出する液の第1ウェブ10に付着する以外の液が装置周りに拡散しなくなるので、液の飛散による作業者への影響が無くなって作業者が安全に作業を行うことができる。
【0072】
また、吐出ユニット8aがケース8bの内部におけるウェブ搬送方向の中央に配設される一方、スリット8dはケース8b底面におけるウェブ搬送方向の中央に形成されているので、吐出ユニット8aから斜め下方に向かって滴下する液(
図2のL1’、L2’)をケース8b底面におけるスリット8dを除く部分で遮るようになる。したがって、スリット8dの全域に亘って液の通過量のばらつきが少なくなり、第1ウェブ10表面に付着させる塗膜の厚みにばらつきが無くなって密度が一定の塗膜を第1ウェブ10の表面に形成することができる。
【0073】
また、ケース8b底面には、スリット8dの開口周縁部からケース8b底面の外周縁部に向かって下傾する上流側傾斜面8e及び下流側傾斜面8fが形成されているので、吐出ユニット8aから吐出された液のうちのスリット8dを通過しなかった液が上流側傾斜面8e又は下流側傾斜面8fに沿ってスリット8dから離れるように流れて上流側傾斜面8e又は下流側傾斜面8fとケース8b外周面との間に溜まるようになる。したがって、吐出ユニット8aから吐出された液のうちの第1ウェブ10に付着させなかった残りの液を効率良く回収することができる。
【0074】
また、ポンプユニット8hによって上流側傾斜面8e又は下流側傾斜面8fの上側に溜まる液を吐出ユニット8aに戻すので、吐出ユニット8aから吐出されてスリット8dを通過しなかった液が吐出ユニット8aに戻されて再利用されるようになり、液に掛かるコストを下げることができる。
【0075】
また、ケース8bには、スリット8dを開閉可能な蓋部材8jが設けられているので、蓋部材8jによりスリット8dを開けた状態において吐出ユニット8aから吐出した液がスリット8dを介して第1ウェブ10に滴下する一方、蓋部材8jによりスリット8dを閉めた状態で洗浄液を吐出ユニット8aから吐出させると、洗浄液がケース8bの外側に出ずに吐出ユニット8aとポンプユニット8hとの間を循環するようになる。したがって、無人で第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bを洗浄できるとともに、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bの洗浄時において洗浄液の装置周辺への飛散による影響を無くすことができる。
【0076】
また、空調ユニット8iによりケース8b内部における温度を所定値に維持できるので、吐出ユニット8aから吐出された液の温度変化による影響を少なくして第1ウェブ10に付着させる液のばらつきをさらに少なくすることができる。
【0077】
また、吐出ユニット8aは、液をスプレーノズル8cから圧縮エアにより噴霧状に吐出するよう構成されており、圧縮エアによる大きな力で液を滴下させるので、粘度の高い液を使用することができる。
【0078】
また、スライド機構8gにより吐出ユニット8aの上下方向の位置を調節することができるので、吐出ユニット8aの位置を上下に変更させてスリット8dを通過する液の量を変化させることができるようになり、第1ウェブ10や液の種類等に合わせて第1ウェブ10の表面に対して適正な量の液を塗布することができる。
【0079】
また、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bは、第1ウェブ10の貼合面10aに主剤L1及び硬化剤L2を滴下するように並設され、第1ウェブ10の搬送経路周りにまとまった配置になっているので、第2ウェブ11の搬送経路周りのスペースを有効利用可能なラミネート装置4にすることができる。
【0080】
また、第1塗布ユニット4Aのケース8b底面が第1ウェブ10に接近した位置であるので、第1ウェブ10に主剤L1を塗布する際、外気流の影響を回避させながら塗布することができる。また、主剤L1が塗布された第1ウェブ10に対して第2塗布ユニット4Bにより硬化剤L2を塗布する際、第2塗布ユニット4Bのケース8b底面が第1塗布ユニット4Aのケース8b底面よりも上方に位置するので、もし仮に第1ウェブ10の位置が搬送時においてその厚み方向に変動しても、第1塗布ユニット4Aにより第1ウェブ10に塗布された主剤L1が第2塗布ユニット4Bのケース8b底面に付着し難くなる。したがって、第2塗布ユニット4Bのケース8b底面に付着した主剤L1と第2塗布ユニット4Bの吐出ユニット8aから吐出されてスリット8dを通過する硬化剤L2とがケース8b底面において混合してしまうといった不具合を回避することができる。
【0081】
さらに、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bがスプレーノズル8cを用いた滴下構造をなしているので、段取り替えが行い易く、従来の如きノンソルラミネート方式の接着を適用したラミネート製品製造装置に比べて小ロット生産に適した構造のラミネート製品製造装置1にすることができる。
【0082】
尚、本発明の実施形態1では、第1ウェブ10の搬送方向において第1塗布ユニット4Aが上流側に、第2塗布ユニット4Bが下流側に配設されているが、これに限らず、第2塗布ユニット4Bが上流側に、第1塗布ユニット4Aが下流側に配設される構成であってもよい。
【0083】
《発明の実施形態2》
図3は、本発明の実施形態2に係るラミネート製品製造装置1の第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4B周りを示す。この実施形態2では、第1塗布ユニット4Aと第2塗布ユニット4Bとが第1ウェブ10の搬送方向に離間している点と、第1ウェブ10に対して主剤L1と硬化剤L2とを塗布した後に各々の膜厚が均一となるよう工夫している点とが実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0084】
実施形態2の第1塗布ユニット4Aと第2塗布ユニット4Bとの間には、第1塗布ユニット4Aにより第1ウェブ10の表面に塗布した主剤L1におけるウェブ幅方向の表面を平坦にするメイヤーバ12が配置されている。
【0085】
また、実施形態2の第2塗布ユニット4Bのウェブ搬送方向下流側には、ウェブ幅方向に直線状に延びるエア吹出ノズル13が配置され、該エア吹出ノズル13から吹き出される圧縮エアにより、第2塗布ユニット4Bにより主剤L1上に塗布した硬化剤L2におけるウェブ幅方向の表面を平坦にするようになっている。
【0086】
以上より、本発明の実施形態2によると、第1ウェブ10に塗布する主剤L1及び硬化剤L2のウェブ幅方向における厚みを均一にすることができる。
【0087】
《発明の実施形態3》
図4は、本発明の実施形態3に係るラミネート製品製造装置1を示す。この実施形態3では、印刷装置5及び乾燥装置6の構造が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0088】
印刷装置5は、所謂グラビア型と呼ばれるものであり、第1操出ロール2から水平方向に繰り出された第1ウェブ10が複数のガイドロールG2によって正面視で略U字状に搬送される搬送経路Uに配設されている。
【0089】
実施形態2の印刷装置5は、搬送経路Uの下方に配設され、貯留部5bにインキが貯留するインキパン5aと、該インキパン5aの上方に配置されたグラビアロール5cと、該グラビアロール5cの一側方に配設され、外周面がグラビアロール5cの外周面に接するファニッシャロール5dと、グラビアロール5cの他側方に配設され、先端が当該グラビアロール5cの外周面に圧接するドクターブレード5eとを備えている。
【0090】
ファニッシャロール5dの下部は、インキパン5aの貯留部5bに浸されていて、グラビアロール5c及びファニッシャロール5dが互いに反対方向に回転すると、グラビアロール5cの外周面にファニッシャロール5dを介してインキが供給されるようになっている。
【0091】
そして、グラビアロール5cの上方には、当該グラビアロール5cとの間に第1ウェブ10を挟み込む圧胴5fが配設され、第1ウェブ10をグラビアロール5c及び圧胴5fの回転動作によってグラビアロール5cと圧胴5fとの間を移動させながらグラビアロール5cの外周面に付着するインキを第1ウェブ10における貼合面10aの反対側の面に転写して印刷を施すようになっている。
【0092】
乾燥装置6は、第1ウェブ10を浮かせた状態で蛇行させながら搬送して印刷を乾燥させるフローティングドライヤであり、搬送経路Uにおける第1ウェブ10が上向きに搬送される部分に配設されている。
【0093】
尚、実施形態3におけるラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造方法は、印刷装置5の種類が実施形態1と異なるだけで、その他は、実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0094】
以上より、本発明の実施形態3によると、印刷装置5がグラビア型であっても実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0095】
《発明の実施形態4》
図5は、本発明の実施形態4に係るラミネート製品製造装置1を示す。この実施形態4では、ラミネート装置4の構造が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0096】
実施形態4のラミネート装置4は、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bが2つずつ配設されている。具体的には、第1ウェブ10の搬送方向の上流側から、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bが第1ウェブ10の搬送方向に沿って交互にそれぞれ2つずつ設けられている。そして、各第1塗布ユニット4A及び各第2塗布ユニット4Bは、第1ウェブ10の搬送方向に沿って順に第1ウェブ10から次第に離れるような配置となっている。
【0097】
尚、実施形態4におけるラミネート製品製造装置1におけるラミネート製品X1の製造方法は、第1及び第2塗布ユニット4A,4Bの数が実施形態1と異なるだけで、その他は、実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0098】
以上より、本発明の実施形態4によると、第1ウェブ10に対して主剤L1と硬化剤L2とを交互に順に付着させることができるので、二液が多くの領域で混錬されるようになり、所望する接着強度を確実に得ることができる。
【0099】
尚、本発明の実施形態4では、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bが2つずつ配設されているが、これに限らず、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bを第1ウェブ10の搬送方向に沿って交互に3つずつ配設してもよいし、それ以上配設してもよい。
【0100】
また、本発明の実施形態1~4では、第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bにおいて、スプレーノズル8cにより液を滴下して第1ウェブ10及び第2ウェブ11に塗布しているが、これに限らず、インクジェット型の塗布手段により液を滴下して第1ウェブ10及び第2ウェブ11に塗布するようにしてもよい。尚、ここで言う第1塗布ユニット4A及び第2塗布ユニット4Bがインクジェット型であるとは、主剤L1や硬化剤L2を滴下させる機構がインクジェットプリンタに適用されているコンティニュアス型やオンデマンド型といった液滴機構と同様であることを示している。
【0101】
また、本発明の実施形態1~4では、第2塗布ユニット4Bが硬化剤L2を第1ウェブ10に塗布しているが、これに限らず、第2ウェブ11の貼合面11aに塗布するようにしてもよい。そうすると、第1貼合用ロール4cと第2貼合用ロール4dとで第1ウェブ10及び第2ウェブ11を重ね合わせる際に主剤L1と硬化剤L2とが混合するようになるので、ポットライフの短い接着剤Lを使用することができる。
【0102】
また、本発明の実施形態1~4では、第1塗布ユニット4Aから主剤L1を滴下させる一方、第2塗布ユニット4Bから硬化剤L2を滴下させているが、第1塗布ユニット4Aから硬化剤L2を滴下させる一方、第2塗布ユニット4Bから主剤L1を滴下させるようにしてもよい。
【0103】
また、本発明の実施形態1~4では、印刷装置5及び乾燥装置6を第1ウェブ10の上流側に配設しているが、第2ウェブ11の上流側に配設してもよい。
【0104】
また、本発明の実施形態1~4では、スリット8dがケース8b底面のウェブ搬送方向中央に形成されているが、その他の位置に形成されていてもよい。
【0105】
また、本発明の実施形態1~4では、ケース8b底面に上流側傾斜面8e及び下流側傾斜面8fが形成されているが、これに限らず、ケース8b底面の少なくとも一部領域に傾斜面が形成されていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、二液硬化型無溶剤系接着剤を用いて2つのウェブを貼り合わせるよう構成されたラミネート装置、ラミネート製品製造装置及びラミネート製品の製造方法に適している。
【符号の説明】
【0107】
1 ラミネート製品製造装置
4 ラミネート装置
4A 第1塗布ユニット(第1塗布手段)
4B 第2塗布ユニット(第2塗布手段)
4c 第1貼合用ロール
4d 第2貼合用ロール
5 印刷装置
6 乾燥装置
8a 吐出ユニット
8b ケース
8c スプレーノズル
8d スリット
8e 上流側傾斜面
8f 下流側傾斜面
8g スライド機構(位置張設手段)
8h ポンプユニット(液戻し手段)
8i 空調ユニット(空調手段)
8j 蓋部材
L1 主剤
L2 硬化剤
X1 ラミネート製品