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特許7287671工具システム及び工具システム用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】工具システム及び工具システム用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 7/00 20060101AFI20230530BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G01D7/00 Z
B25B23/14 620J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019156150
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021032825
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 成幸
(72)【発明者】
【氏名】芳本 悠未
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-255962(JP,A)
【文献】特表2019-503876(JP,A)
【文献】特開昭61-50777(JP,A)
【文献】特開2011-56643(JP,A)
【文献】特開2018-122429(JP,A)
【文献】特開平7-334160(JP,A)
【文献】特開2006-155469(JP,A)
【文献】特開平9-198224(JP,A)
【文献】特開2001-70257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00 - 7/12
G08C 13/00 - 25/04
B25B 23/00 - 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定工具と、前記測定工具に接続され、ディスプレイを有する表示装置とを備え、
前記表示装置が、
前記ディスプレイ上に、前記測定工具で測定される測定値の目標値を入力するための目標値スライダと、前記測定値の許容範囲の上限又は下限の少なくとも一方を示す閾値を入力するための閾値スライダとを表示するスライダ表示部とを備え、
前記スライダ表示部が、
前記目標値スライダと前記閾値スライダとを、前記目標値と前記閾値との差に応じた距離だけ離間させて表示すると共に、前記差がゼロの場合に、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを重ならないように表示することを特徴とする工具システム。
【請求項2】
前記スライダ表示部が、前記差がゼロの場合に、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを接触させて表示するものである請求項1記載の工具システム。
【請求項3】
ユーザが前記目標値スライダをスライドする入力操作を行った場合に、前記スライダ表示部が、前記目標値スライと前記閾値スライダとの間の距離を変更せずに前記目標値スライダと共に前記閾値スライダをスライドさせて表示するものである請求項1又は2のいずれかに記載の工具システム。
【請求項4】
前記表示装置が、
前記ディスプレイ上に、前記目標値スライダ及び前記閾値スライダと共に、設定された前記目標値及び前記閾値を表示する測定条件表示部と、
ユーザの前記目標値スライダ及び前記閾値スライダに対する入力操作に基づいて入力された目標値及び閾値を前記測定条件表示部に設定する測定条件設定部とをさらに備えるものである請求項1乃至3のいずれかに記載の工具システム。
【請求項5】
前記表示装置が、
前記目標値及び前記閾値を数値入力するための数値入力領域を表示する数値入力領域表示部をさらに備え、
前記測定条件設定部が、ユーザの前記目標値スライダ、前記閾値スライダ及び前記数値入力領域に対する入力操作に基づいて入力された目標値及び閾値を前記測定条件表示部に設定するものであり、
前記スライダ表示部が、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを、前記測定条件設定部で設定された目標値と閾値との差に応じた距離だけ離間させて表示するものである請求項4記載の工具システム。
【請求項6】
前記表示装置が、前記測定工具とは別途設けられ、前記測定工具と無線又は有線によって接続されるものである請求項1乃至5のいずれかに記載の工具システム。
【請求項7】
前記表示装置が、ッチディスプレイを有するものである請求項1乃至6のいずれかに記載の工具システム。
【請求項8】
測定工具に接続され、ディスプレイを有する表示装置に用いられるプログラムであって、
前記ディスプレイ上に、前記測定工具で測定される測定値の目標値を入力するための目標値スライダと、前記測定値の許容範囲の上限又は下限の少なくとも一方を示す閾値を入力するための閾値スライダとを表示するスライダ表示部としての機能を前記表示装置に発揮させるものであり、
前記スライダ表示部が、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを、前記目標値と前記閾値との差に応じた距離だけ離間させて表示すると共に、前記差がゼロの場合に、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを重ならないように表示することを特徴とする工具システム用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具システム及び工具システム用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、測定工具の一種である締付工具を、PC等の表示装置に接続し、締付工具で測定された締付トルク(測定値)を表示装置で管理する管理システムが開示されている。
【0003】
前記管理システムでは、表示装置において、締付対象によって設定されている締付トルクの目標値や当該締付トルクの許容範囲の上限又は下限を示す閾値を予め入力しておき、締付工具で測定された測定値と目標値や閾値との関係を表示するようになっている。
【0004】
ところで、前記管理システムにおいては、ディスプレイ上に、目標値や閾値が数値で表示されることから、目標値と閾値との大小関係を直感的に把握できず、誤入力し易いという問題があった。また、目標値や閾値を示す数値をキーボードによって一つ一つ入力する必要があり、入力操作が面倒であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-320984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、目標値と閾値との大小関係を直感的に把握できると共に、当該目標値や当該閾値の入力操作が簡易な工具システムを得ることを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本願発明に係る工具システムは、測定工具と、前記測定工具に接続され、ディスプレイを有する表示装置とを備え、前記表示装置が、前記ディスプレイ上に、前記測定工具で測定される測定値の目標値を入力するための目標値スライダと、前記測定値の許容範囲の上限又は下限の少なくとも一方を示す閾値を入力するための閾値スライダとを表示するスライダ表示部とを備え、前記スライダ表示部が、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを、前記目標値と前記閾値との差に応じた距離だけ離間させて表示すると共に、前記差がゼロの場合に、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを重ならないように表示することを特徴とするものである。
【0008】
このようなものであれば、ディスプレイ上に、目標値を入力するための目標値スライダと、測定値の許容範囲の上限又は下限の少なくとも一方を示す閾値を入力するための閾値スライダとを表示し、目標値スライダ及び閾値スライダによって目標値及び閾値を入力するように構成したので、目標値スライダ及び閾値スライダをスライドさせるだけで目標値及び閾値を入力でき、数値入力する場合に比べて入力操作が簡易となる。
【0009】
また、スライダ表示部が、目標値スライダと閾値スライダとを、目標値と閾値との差に応じた距離だけ離間させて表示するように構成したので、目標値スライダと閾値スライダとの位置関係から目標値と閾値との大小関係を直感的に把握でき、誤入力を防止できる。
【0010】
さらに、スライダ表示部が、目標値と閾値との差がゼロの場合に、目標値スライダと閾値スライダとを重ならないように表示する構成としたので、目標値スライダ及び閾値スライダの入力操作がより簡易となる。詳述すると、例えば、締付工具(測定工具)においては、締付トルク(測定値)の目標値と、締付トルクの許容範囲の上限及び下限を示す閾値と、がそれぞれ設定される。そして、目標値及び閾値は、いずれも締付対象によって変更される数値であることから、目標値を設定するための目標値スライダと閾値を設定するための閾値スライダとを、それぞれ識別し易いように移動方向(スライド方向)に幅を有する記号(例えば、〇や△等)で表示する。この場合、目標値スライダと閾値スライダとが互いに重なって表示されると、スライドさせたいスライダを的確に指定できなくなる。このため、別途スライドさせたいスライダを指定するための操作が必要となり、目標値や閾値を変更する場合には、複数の操作が必要となる。そこで、本発明のように、目標値スライダと閾値スライダとを重ならないように表示させれば、前記スライダを指定するための操作が必要なくなり、当該操作が必要なくなる分だけ入力操作が簡易となる。
【0011】
また、前記スライダ表示部の具体的な構成としては、前記スライダ表示部が、前記差がゼロの場合に、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを接触させて表示するものが挙げられる。
【0012】
このようなものであれば、目標値スライダと閾値スライダとが接触した場合に、目標値と閾値とが同じ値であることを直感的に把握できる。
【0013】
また、複数の締付対象を締め付ける場合に、締付対象に合わせて目標値のみを変更し、目標値と閾値との差を変更せずに締付作業を実施することがある。そこで、ユーザが前記目標値スライダをスライドさせる入力操作を行った場合に、前記スライダ表示部が、前記目標値スライドと前記閾値スライダとの間の距離を変更せずに前記目標値スライダと共に前記閾値スライダをスライドさせて表示するものとしてもよい。
【0014】
このようなものであれば、目標値スライダをスライドして目標値を変更したとしても、目標値と閾値との差が変更さず、前記締付作業において、閾値の設定し直す必要がなくなる。
【0015】
また、前記表示装置が、前記ディスプレイ上に、前記目標値スライダ及び前記閾値スライダと共に、設定された前記目標値及び前記閾値を表示する測定条件表示部と、ユーザの前記目標値スライダ及び前記閾値スライダに対する入力操作に基づいて入力された目標値及び閾値を前記測定条件表示部に設定する測定条件設定部とをさらに備えるものであってもよい。
【0016】
このようなものであれば、目標値スライダ及び閾値スライダと共に目標値及び閾値が表示されるため、目標値スライダと閾値スライダとの位置関係から目標値と閾値との大小関係を直感的に把握でき、さらに、目標値及び閾値から正確な数値を把握できる。
【0017】
また、前記表示装置が、前記目標値及び前記閾値を数値入力するための数値入力領域を表示する数値入力領域表示部をさらに備え、前記測定条件設定部が、ユーザの前記数値入力領域に対する入力操作に基づいて入力された目標値及び閾値を前記測定条件表示部に設定するものであり、前記スライダ表示部が、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを、前記測定条件設定部で設定された目標値と閾値との差に応じた距離だけ離間させて表示するものであってもよい。
【0018】
このようなものであれば、目標値や閾値を数値入力することもできるようになり、数値入力した場合において、目標値スライダと閾値スライダとの位置関係から目標値と閾値との大小関係を直感的に把握できる。
【0019】
なお、前記表示装置は、前記測定工具とは別途設けられ、前記測定工具と無線又は有線によって接続されるものであってもよい。このようなものであれば、測定工具から表示装置を切り離すことができるため、測定工具を小型化できる。これにより、測定工具が軽量化され、ユーザへの負担を低減できる。
【0020】
また、前記表示装置は、タッチディスプレイを有するものであってもよい。
【0021】
また、本発明に係る工具システム用プログラムは、測定工具に接続され、ディスプレイを有する表示装置に用いられるプログラムであって、前記ディスプレイ上に、前記測定工具で測定される測定値の目標値を入力するための目標値スライダと、前記測定値の許容範囲の上限又は下限の少なくとも一方を示す閾値を入力するための閾値スライダとを表示するスライダ表示部としての機能を前記表示装置に発揮させるものであり、前記スライダ表示部が、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを、前記目標値と前記閾値との差に応じた距離だけ離間させて表示すると共に、前記差がゼロの場合に、前記目標値スライダと前記閾値スライダとを重ならないように表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
このように構成した本願発明によれば、目標値と閾値との大小関係を直感的に把握できると共に、当該目標値や当該閾値の入力操作が簡易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態における工具システムの構成を示す模式図である。
図2】同実施形態の表示装置の機能を説明するための機能ブロック図である。
図3】同実施形態のディスプレイの表示態様の一例を説明するための図である。
図4】同実施形態の各スライダを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明に係る工具システムの一実施形態について説明する。
【0025】
本実施形態の工具システム100は、自動車、鉄道車両、航空機やその他の種々の装置の組み立て、解体、点検等の作業現場において用いられるものであり、図1に示すように、測定工具10と、測定工具10に有線又は無線により接続される表示装置20と、を備えている。
【0026】
前記測定工具10は、ノギス、デプスゲージ等のように測定機能しか有さないものに限定されず、測定機能以外の機能を有する工具も含まれる。具体的には、測定工具には、調節工具のように測定機能以外に調節機能を有するような工具も含まれる。なお、調節工具としては、例えば、トルクレンチ、ドライバー、スパナ等のような締付機能を有する締付工具や、タイヤインフレータ等のような調圧機能を有する調圧工具等が含まれる。
【0027】
そして、前記測定工具10は、測定値を測定する測定器11と、表示装置20と通信する通信手段12と、を備えている。なお、測定工具10は、通信手段12が測定器11により測定された測定値を示す測定データを送信するデータ送信部13としての機能を有している。
【0028】
前記表示装置20は、CPU、メモリ、タッチパネルディスプレイD(以下、ディスプレイDともいう)等を有するものであり、本実施形態では、測定工具10と無線により通信可能な例えばスマートフォンやタブレット端末等といった、作業者が携帯可能なモバイル端末である。
【0029】
また、前記表示装置20は、メモリに格納された工具システム用プログラムに基づいて、図2に示すように、スライダ表示部21、数値入力領域表示部22、測定条件設定部23、測定条件表示部24、データ受信部25、測定値表示部26等としての機能を発揮するように構成されている。そして、表示装置20は、前記各機構の発揮することにより、測定値の目標値と、測定値の許容範囲の上限値(閾値)及び下限値(閾値)と、を設定してディプレイDに表示するようになっている。以下において、目標値、上限値及び下限値をまとめて各測定条件値ともいう。以下、各部の説明を兼ねて、表示装置20の動作を説明する。
【0030】
前記スライダ表示部21は、図3に示すように、ディスプレイD上に、ユーザが目標値を入力するための目標値スライダSD1と、ユーザが上限値を入力するための上限値スライダSD2(閾値スライダ)と、ユーザが下限値を入力するための下限値スライダSD3(閾値スライダ)と、を表示するものである。なお、本実施形態のスライダ表示部21は、ディスプレイD上に、目標値スライダSD1、上限値スライダSD2及び下限値スライダSD3(以下、これら三つのスライダをまとめて各スライダSDともいう)のガイドとなるラインLをさらに表示する。そして、スライダ表示部21は、各スライダSDがいずれもラインLに沿ってスライド移動するように表示する。
【0031】
また、前記スライダ表示部21は、目標値スライダSD1と上限値スライダSD2とを目標値と上限値との差に応じた距離だけ離間させて表示すると共に、目標値スライダSD1と下限値スライダSD3とを目標値と下限値との差に応じた距離だけ離間させて表示する。そして、スライダ表示部21は、目標値と上限値との差がゼロ(0)になった場合に、目標値スライダSD1と上限値スライドSD2とが重ならないように表示する。具体的には、スライダ表示部21は、目標値と上限値との差がゼロになった場合に、目標値スライダSD1と上限値スライドSD2とが接触(具体的には、点接触又は線接触)するように表示する。また、スライダ表示部21は、目標値と下限値との差がゼロ(0)になった場合に、目標値スライダSD1と下限値スライドSD3とが重ならないように表示する。具体的には、スライダ表示部21は、目標値と下限値との差がゼロになった場合に、目標値スライダSD1と下限値スライドSD3とが接触(具体的には、点接触又は線接触)するように表示する。
【0032】
前記各スライダSDは、それぞれユーザがタッチし易いように移動方向に幅を有する形状になっている。具体的には、例えば、各スライダSDは、〇、△、□等のような移動方向及び当該移動方向と直交方向に幅を有する形状になっている。本実施形態は、目標値スライダSD1が〇形状であり、上限値スライダSD2及び下限値スライダSD3が△形状になっている。よって、目標値スライダSD1と上限値スライダSD2とは、目標値と上限値との差がゼロになった場合に、点接触するようになっている。また、目標値スライダSD1と下限値スライダSD3とは、目標値と上限値との差がゼロになった場合に、点接触するようになっている。
【0033】
そして、前記ラインLには、長手方向へ沿って測定工具10の測定レンジに対応する数値が割り当てられている。これにより、ラインLにおける各スライダSDの位置に割り当てられた数値が、各測定条件値として入力されるようになっている。よって、ユーザが、各スライダSDをラインLに沿ってスライド移動させる入力操作を行うと、ラインLに対する移動後の各スライダSDの位置に割り当てられた数値が各測定条件値として入力されるようになる。
【0034】
具体的には、図4(a)に示すように、目標値スライダSD1には、その中心に当該目標値スライダSD1と共に移動する目標値基準点r1が設定されており、ラインLに対する当該目標値基準点r1の位置に割り当てられた数値が目標値として入力されるようになっている。
【0035】
また、上限値スライダSD2には、目標値スライダSD1側へ離れた位置に当該上限値スライダSD2と共に移動する上限値基準点r2が設定されており、ラインLに対する当該上限値基準点r2の位置に割り当てられた数値が上限値として入力されるようになっている。なお、上限値基準点r2は、上限値スライダSD2を目標値スライダSD1に接触させた状態で、目標値基準点r1と重なる位置に設定されている(図4(b)参照)。これにより、目標値スライダSD1と上限値スライダSD2とは、目標値と上限値との差に応じた距離だけ離間して表示されると共に、目標値と上限値との差がゼロになった場合に互いに接触するように表示される。
【0036】
また、下限値スライダSD3には、目標値スライダSD1側へ離れた位置に当該下限値スライダSD3と共に移動する下限値基準点r3が設定されており、ラインLに対する当該下限値基準点r3の位置に割り当てられた数値が下限値として入力されるようになっている。なお、下限値基準点r3は、下限値スライダSD3を目標値スライダSD1に接触させた状態で、目標値基準点r1と重なる位置に設定されている(図4(b)参照)。これにより、目標値スライダSD1と下限値スライダSD3とは、目標値と下限値との差に応じた距離だけ離間して表示されると共に、目標値と下限値との差がゼロになった場合に互いに接触するように表示される。
【0037】
前記数値入力領域表示部22は、ディスプレイD上に、ユーザが目標値、上限値及び下限値を数値入力するための複数の数値入力領域Sを表示するものである。本実施形態の数値入力領域表示部22は、複数の数値入力領域Sとして、目標値入力領域S1、上限値入力領域S2及び下限値入力領域S3を表示する。そして、ユーザが、目標値入力領域S1、上限値入力領域S2及び下限値入力領域S3のいずれかをタップすると、当該領域に対応する数値入力パネル(図示せず)が表示され、この数値入力パネルを利用してユーザが当該領域に数値を入力できるように構成されている。
【0038】
すなわち、本実施形態は、各スライダSD及び数値入力領域Sに対する入力操作によって各測定条件値を入力できるようになっている。
【0039】
前記測定条件設定部23は、ユーザの入力操作に基づき入力された各測定条件値を測定条件表示部24に設定するものである。具体的には、測定条件設定部23は、ユーザの入力操作に基づいて新たな目標値が入力された場合に、当該新たな目標値を測定条件表示部24に設定すると共に、当該入力前に設定した上限値又は下限値を、当該入力前に設定した目標値に対する新たな目標値の変化量に基づき変化させて測定条件表示部24に設定する。また、測定条件設定部24は、ユーザの入力操作に基づいて上限値又は下限値が新たに入力された場合に、当該入力前に設定した目標値を変更せず、新たな上限値又は新たな下限値を測定条件表示部24に設定する。
【0040】
ここで、前記スライダ表示部22は、ユーザの目標値入力領域S1への入力操作によって目標値が入力された場合には、目標値スライダSD1と上限値スライダSD2との間の距離及び目標値スライダSD1と下限値スライダSD3との間の距離をいずれも変更することなく、目標値スライダSD1をラインLの入力された目標値に対応する数値が割り当てられた位置へ移動させる。すなわち、この場合、スライダ表示部22は、目標値スライダSD1と共に上限値スライダSD2及び下限値スライダSD3も移動させる。一方、スライダ表示部22は、ユーザの上限値入力領域S2からの入力操作によって上限値が入力された場合には、上限値スライダSD2のみをラインLの入力された上限値に対応する数値が割り当てられた位置へ移動させる。また、スライダ表示部22は、ユーザの下限値入力領域S3からの入力操作によって下限値が入力された場合には、下限値スライダSD3のみをラインLの入力された下限値に対応する数値が割り当てられた位置へ移動させる。
【0041】
前記測定条件表示部24は、ディスプレイD上に、測定条件設定部23で設定された各測定条件値を対応する各数値入力領域Sに表示するものである。具体的には、測定条件表示部24は、目標値入力領域S1に目標値を表示し、上限値入力領域S2に上限値を表示し、下限値入力領域S3に下限値を表示する。なお、目標値表示領域は、ディスプレイD上において上限値入力領域S2と下限値入力領域S3との間に設けられている。
【0042】
前記データ受信部25は、データ送信部13から送信された測定データを受信するものである。
【0043】
前記測定値表示部26は、データ受信部25で受信した測定データが示す測定値をディスプレイD上に表示するものである。なお、本実施形態の表示装置20は、ディスプレイD上に表示される画面を、図3に示す測定条件設定画面と当該画面とは別の測定値表示画面(図示せず)とに切り替えて表示できるようになっている。そして、測定値表示部26は、測定値表示画面に測定値を表示する。
【0044】
<その他の実施形態> 前記実施形態においては、表示装置において、測定値の許容範囲の上限値及び下限値をいずれも設定できるように構成したが、いずれか一方のみを設定できるように構成してもよい。この場合、スライダ表示部21は、測定値の許容範囲の上限値又は下限値の少なくとも一方を示す閾値を入力するための閾値スライダを表示するように構成すればよい。
【0045】
また、測定値の許容範囲の上限値又は下限値の少なくとも一方を示す閾値を表示するように構成するのではなく、測定値の目標値に対する許容上限範囲又は許容下限範囲の少なくとも一方を示す閾値(例えば、目標値に対して+5N・mを測定値の許容上限範囲とすると共に-5N・mを測定値の許容下限範囲とした場合に±5N・m、目標値に対して+10%を測定値の許容上限範囲とすると共に-10%を測定値の許容下限範囲とした場合に±10%等)を表示するものであってもよい。
【0046】
さらに、表示装置20としてはポータブル端末に限らず、例えば作業者が装着可能なゴーグル型のものであっても良い。加えて、表示装置20としては、プロジェクタを用いて構成されていても良く、この場合は例えば壁面やスクリーンなどが測定値を表示する画面となる。なお、本発明は、表示装置20を備えた締付工具10にも適用することができる。また、表示装置20として、タッチディプレイでない、表示機能のみを有するディスプレイを備えたものであってもよい。この場合、表示装置20への入力は、表示装置とは別に設けられた操作端末(例えば、トラックパッド)に行えばよい。さらに、表示装置20は、タッチパネルディスプレイ等の接触型の入力機能ではなく、非接触型の入力機能を備えるものであってもよい。
【0047】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
100・・・工具システム
10 ・・・測定工具
11 ・・・測定器
12 ・・・通信手段
20 ・・・表示装置
D ・・・ディスプレイ
21 ・・・スライダ表示部
SD1 ・・・目標値スライダ
SD2 ・・・上限値スライダ
SD3 ・・・下限値スライダ
22 ・・・数値入力領域表示部
S ・・・数値入力領域
23 ・・・測定条件設定部
24 ・・・測定条件表示部
図1
図2
図3
図4