(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】毛髪化粧料、及び、毛髪の染毛、脱染又は脱色方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20230530BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230530BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230530BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20230530BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/22
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/86
A61Q5/08
A61Q5/10
(21)【出願番号】P 2020215358
(22)【出願日】2020-12-24
(62)【分割の表示】P 2016004202の分割
【原出願日】2016-01-13
【審査請求日】2021-01-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】松林 潤
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 壮一
(72)【発明者】
【氏名】河合 祐岳
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237621(JP,A)
【文献】特開2005-097310(JP,A)
【文献】特開2014-047184(JP,A)
【文献】特開2014-047171(JP,A)
【文献】特開2015-010055(JP,A)
【文献】特開2005-194206(JP,A)
【文献】特開2012-140368(JP,A)
【文献】特開2014-234227(JP,A)
【文献】特開2010-235578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、
前記第1剤及び前記第2剤は、高級アルコールを含有し、
前記第1剤及び前記第2剤は、ノニオン性界面活性剤を含有し、
前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を0.5~20質量%含有する後発泡性組成物であって、
前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であり、
前記第1剤及び第2剤に含有する後発泡剤に、n-ペンタンもしくはイソペンタンの何れか1種を含有し、
第1剤及び第2剤のそれぞれにおいて、高級アルコールの含有量の合計値C(a)と、ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値C(n)との比C(n)/C(a)が、
0.1~5であり、
発泡前の後発泡性組成物は、前記第1剤及び前記第2剤のいずれもクリーム状、ジェル状又はペースト状であり、前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されていることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
前記第1剤と第2剤のいずれか一方又は両方の剤において、前記ノニオン界面活性剤が2種以上配合されていることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の毛髪化粧料を使用して、毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時に複数の剤を混合して毛髪に適用する毛髪化粧料に関する。更に詳しくは、本発明は、毛髪に適用する前、適用時、又は適用後に泡状となる毛髪化粧料に関する。また、本発明は、この毛髪化粧料を用いる毛髪の染毛、脱色又は脱色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアセット剤やトリートメント剤等の毛髪化粧料において、後発泡性組成物が利用されている(特許文献1、2)。後発泡性組成物とは、エアゾール容器に充填されたイソペンタン等の後発泡剤を含む組成物であり、エアゾール容器からクリーム状やジェル状の組成物として吐出された後、せん断力を加えたり、大気圧下に置かれたりすると、後発泡剤が気化して徐々に泡状となる組成物である。
【0003】
また、後発泡性組成物は、酸化染毛剤組成物にも利用されている。例えば、特許文献3には、ウリカーゼを用いた一剤型の酸化染毛剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-77629号公報
【文献】特許第2799362号公報
【文献】国際公開第2001/047487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸化染毛剤、毛髪脱染剤又は毛髪脱色剤は、通常、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料であり、使用時にこれらの複数の剤を混合する必要がある。
ここで、複数剤型の毛髪化粧料に後発泡性組成物を適用すると、複数の剤をそれぞれのエアゾール容器から吐出するため、使用者の吐出操作に応じて各剤の状態が異なる場合がある。例えば、吐出するタイミングのずれによって、先に吐出した剤が泡状となり、後に吐出した剤がゲル状のままとなる場合がある。各剤の状態が異なると、混合性が低下するという問題が生じるため、吐出後に混合操作を必要とする複数剤型の毛髪化粧料では、後発泡性組成物を使用することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、各剤に後発泡性組成物を適用しつつ、優れた混合性を有する毛髪化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、後発泡性組成物を適用した第1剤と第2剤を同時に吐出することにより、使用者の吐出操作に応じて各剤の状態が異なる場合があるという問題を解決できることを見いだして、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を含有する後発泡性組成物であって、前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されていることを特徴とする毛髪化粧料である。
【0009】
この毛髪化粧料によれば、第1剤と第2剤が同時に吐出されるため、各剤の吐出後の経過時間を揃えることができる。そのため、各剤の吐出量比や後発泡剤の配合量等を調整することにより、第1剤と第2剤の吐出後の状態を混合性に優れたものとすることができる。なお、混合性に優れた状態は、吐出後の各剤の粘度や、発泡後の泡の固さや泡量等を同程度に調整することにより実現することができる。
【0010】
また、各剤を同時に吐出することにより、吐出後にすぐに毛髪へ適用することができる。嵩の大きい泡を毛髪へ適用すると毛髪への適用量が多く感じられるため、泡の状態となってから毛髪へ適用すると適用量が不十分となることがあり、染色等にムラが生じたりする場合がある。
しかし、本発明の毛髪化粧料によれば、吐出直後のクリーム状やジェル状の状態を残したまま、直ちに毛髪へ適用することができるため、適用量が不十分となることを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の毛髪化粧料をクリーム状やゲル状の状態で毛髪へ適用しても毛髪上で発泡して泡状となるため、毛髪上の既適用部位が明確となり、未適用部位の発生を防ぐことができる。更には、毛髪上で泡を形成することにより、毛髪化粧料が毛髪へ浸透するため、塗布性に優れるという効果もある。
【0012】
更に、本発明の毛髪化粧料の一実施態様としては、第1剤及び第2剤の15℃における粘度が、いずれも5000~50000mPa・sであり、前記第1剤と前記第2剤の15℃における粘度の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であるという特徴を有する。
【0013】
第1剤と第2剤の15℃における粘度を5000mPa・s以上とすることにより、急激な発泡が抑制されるため、クリーム状やゲル状のまま毛髪へ適用することができる。また、発泡後の破泡も抑制されるため、毛髪からの垂れ落ちを防ぐこともできる。
一方、第1剤と第2剤の15℃における粘度を50000mPa・s以下とすると、発泡が過剰に抑制されないため良好な泡が形成される。
【0014】
また、第1剤と第2剤の15℃における粘度の比率(第1剤/第2剤)を、0.1~10とすることにより、各剤の粘度の差異が小さいため混合性に優れる。更には、発泡後においても同程度の固さの泡が形成されるため、混合性に優れた泡となる。
【0015】
更に、本発明の毛髪化粧料の一実施態様としては、第1剤及び第2剤が、いずれも前記後発泡剤を0.5~20質量%含有し、前記第1剤と前記第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であるという特徴を有する。
【0016】
第1剤及び第2剤に後発泡剤を0.5質量%以上配合することにより、良好な泡が形成される。また、20質量%以下とすることにより、吐出後すぐに発泡することを抑制できるため、クリーム状やゲル状のまま毛髪へ適用しやすくなる。
【0017】
また、第1剤と第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)を、0.1~10とすることにより、各剤における発泡後の泡の気液比が同程度となるため、混合性に優れた泡を形成することができる。更に、混合後の泡の消泡性を抑制できる。
【0018】
更に、本発明の毛髪化粧料の一実施態様としては、第1剤及び第2剤の吐出量の比率(第1剤/第2剤)が、0.1~10であるという特徴を有する。
この特徴により、各剤の吐出量及び発泡後の泡量を同程度にすることができるため、混合性に優れるという効果を奏する。
【0019】
本発明の毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法は、上記の毛髪化粧料を使用することを特徴とする。
この方法によれば、第1剤と第2剤を容易に混合することができるため、施術者の技術レベルを問わず、毛髪の染毛、脱染又は脱色を簡易的に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、各剤に後発泡性組成物を適用しつつ、優れた混合性を有する毛髪化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例の複数剤同時吐出容器の構造を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す複数剤同時吐出容器の外観の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態を含めて説明する。
〔毛髪化粧料〕
本発明の毛髪化粧料は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料である。
本発明の毛髪化粧料として、染毛剤、毛髪脱色剤、毛髪脱染剤等のヘアカラーが好ましく例示される。
【0023】
染毛剤は、アルカリ剤と酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合して、酸化染料を酸化剤により発色させて毛髪を染色させるものである。ここで、アルカリ剤は、毛髪を膨張させて、染料や酸化剤の浸透を促進する機能を有し、酸化剤は、酸化染料を酸化する機能の他、毛髪の内部のメラニンを分解する機能を有している。
【0024】
毛髪脱色剤、毛髪脱染剤は、第1剤に酸化染料を含まず、毛髪を脱色するものである。毛髪脱色剤は、毛髪中のメラニンを酸化分解することにより、毛髪を脱色するものであり、毛髪脱染剤は、染毛した毛髪から染料とメラニンを脱色するものである。
【0025】
本発明の毛髪化粧料は、第1剤及び第2剤からなる二剤型であっても、三剤以上からなる複数剤型であってもよい。同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器の構造の簡素化の観点から、二剤型の毛髪化粧料であることが好ましい。
【0026】
〔後発泡性組成物〕
本発明の毛髪化粧料を構成する第1剤及び第2剤は、いずれも後発泡剤を含有する後発泡性組成物である。後発泡性組成物とは、毛髪化粧料の使用環境下(通常、常温、大気圧下)で後発泡剤が気化して発泡する組成物であり、エアゾール容器等の高圧環境下に保管される。発泡前の後発泡性組成物は、後発泡剤が気化して発泡すればどのような状態でもよく、例えば、液状、クリーム状、ジェル状、ペースト状等が挙げられる。好ましくは、クリーム状、ジェル状、ペースト状であり、発泡を遅らせたり、発泡後に良好な泡を得られたりするという利点を有する。
【0027】
後発性組成物からなる第1剤及び第2剤の15℃における粘度は、特に制限されないが、いずれも5000~50000mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは10000~40000mPa・sであり、特に好ましくは15000~30000mPa・sである。第1剤と第2剤の15℃における粘度を5000mPa・s以上とすることにより、発泡を遅らせることができるため、クリーム状やゲル状等のまま毛髪へ適用することが可能となる。また、発泡後の破泡も抑制されるため、毛髪からの垂れ落ちを防ぐこともできる。また、第1剤と第2剤の15℃における粘度を50000mPa・s以下とすると、適切な発泡が実行され良好な泡が形成される。
【0028】
本発明における粘度測定にはVISCOMETER TV-10粘度計(東機産業株式会社製)を使用する。粘度500mPa・s未満の場合は、15℃、1分間、回転速度:12rpm、1号ローター使用の条件下で測定し、粘度500mPa・s以上2500mPa・s未満の場合は、15℃、1分間、回転速度:12rpm、2号ローター使用の条件下で測定し、粘度2500mPa・s以上10000mPa・s未満の場合は、15℃、1分間、回転速度:12rpm、3号ローター使用の条件下で測定し、粘度10000mPa・s以上50000mPa・s未満の場合は、15℃、1分間、回転速度:12rpm、4号ローター使用の条件下で測定し、粘度50000mPa・s~100000mPa・sの場合は、15℃、1分間、回転速度:6rpm、4号ローター使用の条件下で測定する。
なお、15℃における粘度の測定は、各剤をエアゾール容器から吐出した直後に測定する。
【0029】
また、第1剤と第2剤の15℃における粘度の比率(第1剤/第2剤)は、特に制限されないが、0.1~10であることが好ましく、0.5~2であることが更に好ましく、0.8~1.2であることが特に好ましい。これにより、各剤における粘度が同程度となり、発泡前において優れた混合性を有する。また、発泡後においても同程度の固さの泡が形成されるため、混合性に優れた泡を得ることができる。
【0030】
泡の固さとしては、特に制限されないが、吐出後5分後の動的粘弾性について、レオメーターを用いて以下の条件で測定したとき、複素弾性率G*が100~5000の範囲内であることが好ましく、500~4000の範囲内であることが更に好ましく、1000~3000の範囲内であることが特に好ましい。測定条件は、チタン製パラレルプレート型粘弾性測定機レオストレスRS600(HAAKE社)を用い、測定温度15℃で下記手順にて測定した。
1.エアゾール容器から吐出した第1剤又は第2剤をレオメーターの台座部分に適量置く。
2.ギャップを0.052mmに調整し、台座の間から溢れたクリームは丁寧に取り除く。
3.1分間保持し、周波数:1Hz、ひずみ:0.001~1000%の条件にて動的ひずみ測定を開始する。
4.得られたデータから、G*として、ひずみに対して線形領域となる値を採用する。
第1剤と第2剤の複素弾性率G*が100~5000の範囲内であることにより、毛髪からの垂れ落ち防止、塗布性の向上、混合性の向上等の効果を奏する。
なお、泡の固さは、後発泡性組成物の粘度や、泡の気液比を設定することにより調整することができる。各成分についての説明で詳述するが、粘度は、増粘剤等の添加により調整することができ、泡の気液比は、後発泡剤の添加量等により調整することができる。
【0031】
〔複数剤同時吐出容器〕
本発明の第1剤と第2剤は、同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されている。
複数剤同時吐出容器は、少なくとも第1剤を充填した第1のエアゾール容器と第2剤を充填した第2のエアゾール容器を含み、これらのエアゾール容器に充填した第1剤及び第2剤を同時に吐出することができる限りにおいて、その構成を限定されない。このような吐出容器の具体的な構成として、特開2005-97310号公報の
図3及び
図4に示す複数剤同時吐出容器を好ましく例示できる。
【0032】
特開2005-97310号公報に記載の上記同時吐出容器は、(1)ステムを有し、充填された噴射剤の圧力によってステムから内容物を吐出可能な一対のエアゾール缶と、(2)一対のエアゾール缶を互いに連結するための連結部材と、(3)一対のエアゾール缶のステムを外部から同時に押圧するための操作部材と、(4)操作部材を押圧することにより各ステムから排出される内容物を外部へ吐出するための吐出部材、の以上(1)~(4)を備える。
この同時吐出容器では、第1剤と第2剤が吐出部材の内部に形成された別々の経路を通過して、それぞれ別々に吐出される。
【0033】
その他に、特開2004-91356号公報に記載された二連エアゾール容器等を用いることもできる。この同時吐出容器では、第1剤と第2剤が吐出部材から吐出される前に混合され、第1剤と第2剤の混合物として吐出部材から吐出される。
【0034】
エアゾール容器における第1剤、第2剤の充填形態としては、エアゾール容器の内側に内袋を設けて第1剤又は第2剤を収納すると共に内袋の内部を除くエアゾール容器の内側空間に噴射剤を充填した形態や、エアゾール容器の内側に第1剤又は第2剤と噴射剤を併せ充填した形態を例示できるが、これらの充填形態に限定されない。
【0035】
噴射剤としては、例えば、液化石油ガス、窒素ガス、炭酸ガス、代替フロン等、一般にエアゾール製品に用いられるものや、圧縮空気等を用いることが出来る。これらの中でも特に変質防止の面から、窒素ガスが好ましい。
【0036】
毛髪化粧料の製造時には、充填する第1剤及び第2剤の粘度、各剤の吐出経路の開口径、エアゾール容器内の噴射剤圧力等のファクターを調整することにより、第1剤と第2剤の吐出量の比率を設定することができる。
【0037】
第1剤及び第2剤の吐出量の比率(第1剤/第2剤)は、特に制限されないが、0.1~10であることが好ましく、0.2~5であることが更に好ましく、0.5~2であることが特に好ましい。これにより、各剤の量及び発泡後の泡量を同程度にすることができるため、混合性に優れるという効果を奏する。
【0038】
上記のエアゾール容器内の圧力に関しては、第2のエアゾール容器の25℃における容器内圧力P2に対する第1のエアゾール容器の25℃における容器内圧力P1の比P1/P2が、使用開始前に0.5~1.5の範囲内であることが好ましい。これにより、設定された吐出量の比率が良好に維持される。第1のエアゾール容器及び第2のエアゾール容器の初期容器内圧力は特段に限定されないが、使用性の面から、25℃において0.2~1.2MPaの範囲内であることが好ましく、0.4~1.0MPaの範囲内であることがより好ましい。
【0039】
〔毛髪化粧料の成分〕
以下に、本発明の毛髪化粧料に配合される各成分について詳述する。
なお、各成分の含有量については、別段の記載がない限り、複数の剤を混合後の毛髪化粧料中の配合量を示す。
【0040】
(アルカリ剤)
アルカリ剤は第1剤に配合され、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、染色性を向上させるものである。
アルカリ剤としては、アンモニア、アンモニウム塩、アルカノールアミン、有機アミン類(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が例示される。
【0041】
アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、又は、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩が好ましく例示される。
【0042】
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールが例示される。
【0043】
アルカリ剤の含有量は特段に限定されないが、過酸化水素の作用の確保や、毛髪損傷の抑制等の点から、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、pHが6~12の範囲内となる量が好ましい。
【0044】
(酸化剤及び酸化助剤)
酸化剤は第2剤に配合され、酸化染料を酸化重合させて発色させる他、毛髪の内部のメラニンを分解する機能等を有している。酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及び、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物が例示される。
【0045】
酸化剤の含有量は限定されないが、酸化染料の酸化重合、毛髪損傷の抑制等の点から、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、0.05~30質量%の範囲内が好ましく、2~20質量%の範囲内がより好ましい。
【0046】
酸化助剤としては過硫酸塩が配合される。過硫酸塩の具体例として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が例示され、毛髪の明度向上効果が高い点では、過硫酸アンモニウムが特に好ましい。酸化助剤の含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.05~30質量%の範囲内であり、より好ましくは2~20質量%の範囲内である。
【0047】
(後発泡剤)
後発泡剤は第1剤と第2剤に配合され、各剤を後発泡性組成物せしめるものであり、エアゾール容器等の高圧環境下から毛髪化粧料の使用環境下(通常、常温、大気圧下)に吐出されると後発泡性組成物を発泡させるような成分であればよく、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられる。特に、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタンが好ましい。
【0048】
後発泡剤の含有量は、各剤において0.5~20質量%含有することが好ましく、1~10質量%であることが特に好ましい。第1剤及び第2剤に後発泡剤を0.5質量%以上配合することにより、良好な泡が形成される。また、20質量%以下とすることにより、吐出後すぐに発泡することを抑制できるため、クリーム状やゲル状のまま毛髪へ適用することができる。
【0049】
また、第1剤と第2剤の後発泡剤の含有量の比率(第1剤/第2剤)は、特に制限されないが、0.1~10であることが好ましく、0.2~5であることが更に好ましく、0.5~2であることが特に好ましい。これにより、各剤における発泡後の泡の気液比を同程度にすることができるため、混合性に優れた泡を形成することができる。更に、混合後の消泡性を抑制できる。
【0050】
(後発泡剤の分散安定剤)
発泡を遅延するために、後発泡剤の分散安定剤として多価アルコールを配合することが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等が例示される。
多価アルコールの含有量は、各剤において0.1~60質量%の範囲内であることが好ましく、1~50質量%の範囲内であることが更に好ましく、10~40質量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0051】
第1剤及び第2剤における多価アルコールの含有量の比率(第1剤/第2剤)は、特に制限されないが、0.1~10であることが好ましく、0.2~5であることが更に好ましく、0.5~2であることが特に好ましい。これにより、第1剤と第2剤の発泡速度が同程度となるため、発泡後の泡量を同程度に調整しやすい。
【0052】
(増粘剤)
増粘剤は、第1剤及び第2剤の粘度を向上するための成分であれば、どのような成分でもよく、更には第1剤及び第2剤をゲル化する成分を含むものである。増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の合成成分、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン、アルギン酸プロピレングリコール等の半合成成分、グアガム、ローカストビーンガム、クィンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストリン、サクシノグルカン、カードラン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の天然成分が例示される。
【0053】
増粘剤の含有量は、第1剤及び第2剤の粘度を調整するために適宜設定すればよいが、各剤において0.01~10質量%の範囲が好ましく、0.1~5質量%の範囲が特に好ましい。
【0054】
(界面活性剤)
本発明の毛髪化粧料は、有効成分を可溶化分散させるために界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0055】
カチオン性界面活性剤としては、塩素が対イオンであるものとして、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、塩化ジココイルジメチルアンモニウムが例示される。
【0056】
対イオンが塩素ではないカチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム等が例示される。その他にも、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが例示される。
【0057】
カチオン性界面活性剤の含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.05~30質量%の範囲内であり、より好ましくは0.1~20質量%の範囲内である。
【0058】
アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ベヘン酸塩、オレイン酸塩等の飽和又は不飽和脂肪酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(ココイルグルタミン酸TEA)等のN-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0059】
本発明の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤において、いずれの剤にも1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸塩を配合することが好ましい。なお、アルカリ剤を含有する第1剤においては、高級脂肪酸として配合してもよい。飽和又は不飽和脂肪酸塩を配合することにより、発泡後の泡質を向上することができる。
【0060】
アニオン性界面活性剤の含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.05~30質量%の範囲内であり、より好ましくは0.1~20質量%の範囲内である。
【0061】
両性界面活性剤としては、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩(例えば、ココアンホ酢酸Na(N-ヤシ油脂肪酸アシル-N'-カルボキシメチル-N'-ヒドロキシエチルエチレンジアミン))、N-アシルアミノエチル-N-カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩(例えば、ココアンホジ酢酸Na)、ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシンが例示される。
【0062】
両性界面活性剤の含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.05~30質量%の範囲内であり、より好ましくは0.1~20質量%の範囲内である。
【0063】
ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン(以下、「POE」ともいう)アルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう)アルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEグリセリルモノ脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEラノリン等が例示される。その他のノニオン性界面活性剤として、アルキロールアミド、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、レシチン誘導体水素添加大豆レシチン等が例示される。好ましくは、POEアルキルエーテル、アルキルグルコシドである。
第1剤と第2剤のいずれか一方又は両方の剤において、ノニオン性界面活性剤を2種以上配合することが好ましい。
【0064】
また、ノニオン性界面活性剤のHLBは、10以上であることが好ましい。なお、HLBの測定は、「ハンドブック-化粧品・製剤原料-改訂版(昭和52年2月1日発行、日光ケミカルズ株式会社)」に記載された「20・3・1 乳化法によるHLB値の実測」(854~855頁)に従って測定する。
【0065】
ノニオン性界面活性剤の含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.05~30質量%の範囲内であり、より好ましくは0.1~20質量%の範囲内である。
【0066】
(酸化染料)
本発明の酸化染料は、酸化剤により酸化重合して発色する染料である。酸化染料には、自身の酸化により発色する染料中間体と、染料中間体との組み合わせにより種々の色調となるカップラーがある。
【0067】
染料中間体は、主としてo-又はp-のフェニレンジアミン類あるいはアミノフェノール類である染料先駆物質であり、通常、それ自体は無色か又は弱く着色した化合物である。
具体的には、p-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン(p-トルイレンジアミン)、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール及びそれらの塩類等が例示される。
【0068】
カプラーとしては、主としてm-のジアミン類、アミノフェノール類又はジフェノール類が挙げられ、具体的にはレゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5-アミノ-o-クレゾール、m-アミノフェノール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、トルエン-3,4-ジアミン、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’-イミノジフェニール、1,5-ジヒドロキシナフタレンおよびタンニン酸及びそれらの塩等が例示される。
【0069】
酸化染料には、上記した各化合物の酸付加塩等が含まれる。酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩等の無機酸の付加塩、酢酸塩等の有機酸の付加塩が挙げられる。染料の保存安定性の観点から、酸化染料の酸付加塩を配合することが好ましい。
これらの酸化染料は、所望する色調に応じて1種又は2種以上を選択して使用することができる。
【0070】
染料中間体の含有量は、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.01~10質量%の範囲内、より好ましくは0.05~5質量%の範囲内である。カプラーの含有量は、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.01~10質量%の範囲内、より好ましくは0.05~5質量%の範囲内である。
【0071】
(直接染料)
本発明の直接染料は、色を有する化合物であり、毛髪に付着又は浸透して染毛する染料である。例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料等がある。これら直接染料は単独で配合しても良く、組み合わせて配合しても良い。
【0072】
上記酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0073】
上記塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等を例示できる。
【0074】
上記天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素、ヘナ等を例示できる。
【0075】
上記ニトロ染料としては、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩等を例示できる。
【0076】
上記HC染料としては、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等を例示できる。
【0077】
上記分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15等を例示できる。
【0078】
直接染料の含有量は、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.01~10質量%の範囲内、より好ましくは0.05~5質量%の範囲内である。
【0079】
(油性成分)
本発明の毛髪化粧料に配合される油性成分は、水、エタノール等の水性成分及び界面活性剤と共に混合されて乳化する成分である。例えば、高級アルコール、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン油、フッ素油、アルキルグリセリルエーテル等が例示される。これらの油性成分から、1種又は2種以上を選んで用いることができる。
【0080】
高級アルコールとしては、好ましくは炭素数8以上のアルコールである。例えば、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等が挙げられる。
【0081】
なお、本発明の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤において、いずれの剤にも1種以上の高級アルコールと1種以上のノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。そして第1剤と第2剤のそれぞれにおいて、高級アルコールの含有量の合計値C(a)と、ノニオン性界面活性剤の含有量の合計値C(n)との比C(n)/C(a)が、0.01~5の範囲内であることが好ましく、0.1~2の範囲内であることが特に好ましい。これにより、吐出後の第1剤と第2剤の混合性が向上するという効果を奏する。
【0082】
油脂は、トリグリセリドすなわち脂肪酸とグリセリンとのトリエステルである。例えば、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。
【0083】
ロウ類は、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルである。例えば、ミツロウ(蜜蝋)、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウ等が挙げられる。
【0084】
炭化水素は、炭素と水素よりなる化合物である。例えば、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、イソパラフィン類、オゾケライト、セレシン、ポリエチレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、合成スクワラン、スクワレン、水添スクワラン、リモネン、テレビン油等が挙げられる。炭化水素を第2剤に配合することにより、第1剤との混合性を向上するという効果がある。好ましくは、流動パラフィンである。
【0085】
高級脂肪酸としては、好ましくは炭素数8以上の脂肪酸である。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0086】
エステル類は、脂肪酸とアルコールとの脱水反応によって得られる化合物である。例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルへキシル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0087】
シリコーン油は、有機基のついたケイ素と酸素が化学結合により交互に連なった合成高分子である。例えば、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650~10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0088】
上記のうち、アミノ変性シリコーンとしては、例えば、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。
【0089】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが例示される。
【0090】
これらの油性成分の含有量は特段に限定されないが、毛髪化粧料の毛髪への塗布時における伸びの良さ等の見地から、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において0.5~25質量%の範囲内であることが好ましく、特に1~15質量%の範囲内であることが好ましい。
【0091】
(ポリマー)
ポリマー(高分子化合物)としては、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー、ノニオン性ポリマーが挙げられる。ポリマーを添加することにより、毛髪に良好な感触を付与することができる。なお、増粘性を有するポリマーについては、上述した増粘剤と重複するが、そのようなポリマーは、ポリマー及び増粘剤としての作用効果を奏する。
【0092】
カチオン性ポリマーとしては、ジアリル4級アンモニウム塩重合物、ジアリル4級アンモニウム塩・アクリルアミド共重合物、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、カチオン性澱粉、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が例示される。
【0093】
以上のカチオン性ポリマーのうち、塩化ジメチルジアリルアンモニウム単位を含有するカチオン性ポリマーとしては、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、カチオン性のジアリル4級アンモニウム塩・アクリルアミド共重合体(ルーブリゾール社のマーコート550等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(ルーブリゾール社のマーコート100等)等が例示される。
【0094】
カチオン化セルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(セルコートL-200、H-100)、ライオン(株)のレオガードG,GP、ユニオンカーバイド社のポリマーJR-125,JR-400,JR-30M,LR-400,LR-30M等が例示される。
【0095】
カチオン化グアガムとしては、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム(市販名;JAGUAR EXCEL;三昌(株)製)等が例示される。
【0096】
カチオン性ポリマーの含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.05~5質量%の範囲内であり、より好ましくは0.25~2.5質量%の範囲内である。
【0097】
アニオン性ポリマーとしては、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ファーセラン、アラビアガム、ガッチガム、カラヤガム、トラガントガム及びカンテン粉末等が例示される。セルロースをカルボキシメチル化したカルボキシメチルセルロースも例示される。
【0098】
アニオン性ポリマーの含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、好ましくは0.05~5質量%の範囲内であり、より好ましくは0.25~2.5質量%の範囲内である。
【0099】
両性ポリマーとしては、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-53等が例示される。更に、N-メタクリロイルエチルN,N-ジメチルアンモニウムα-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル・アクリル酸オクチルアミド共重合体等が例示される。
【0100】
両性ポリマーの含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、0.05~5質量%の範囲内が好ましく、0.25~2.5質量%の範囲内がより好ましい。
【0101】
ノニオン性ポリマーとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、デキストリン、ガラクタン、プルラン、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(例えば、BASF社製、商品名「ルビスコール」等)、ジメチルヒダントインホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミド系共重合体等が挙げられる。
【0102】
ノニオン性ポリマーの含有量は限定されないが、毛髪化粧料の第1剤と第2剤の混合時において、0.05~5質量%の範囲内が好ましく、0.25~2.5質量%の範囲内がより好ましい。
【0103】
(溶剤)
溶剤としては、水が例示される、他にも、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等の炭素数5以下の1価の低級アルコール、多価アルコールやその低級アルキルエーテル類が例示される。多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、イソプレングリコール、ソルビトールが例示される。ポリオールの低級アルキルエーテル類としては、ポリオールのモノ低級アルキルエーテルやジ低級アルキルエーテルが例示される。
なお、多価アルコールは、上述したとおり、後発泡剤の分散安定剤としての作用効果も有している。
第1剤、第2剤のそれぞれについて溶剤の含有量に特段の限定はなく、それぞれ適宜に決定すれば良い。
【0104】
(毛髪化粧料におけるその他の配合成分)
上記の各成分以外にも、pH調整剤、蛋白誘導体及びアミノ酸類、糖類、キレート剤、防腐剤、分散剤、安定化剤、酸化防止剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、紫外線吸収剤等を適宜に選択して含有させることができる。
【0105】
〔毛髪を染毛、脱染又は脱色させる方法〕
本発明の毛髪を染毛、脱染又は脱色する方法は、上述した毛髪化粧料を使用することを特徴とする。
この方法によれば、第1剤と第2剤を容易に混合することができるため、施術者の技術レベルを問わず、毛髪の染毛、脱染又は脱色を簡易的に行うことができる。
【0106】
第1剤と第2剤の混合は、毛髪への適用前、適用時、適用後のいずれに行ってもよい。また、毛髪への適用は、吐出直後でも、発泡中又は発泡後に行ってもよい。発泡後に毛髪へ適用すると、見た目の泡量から多量に適用したと感じてしまい、適用量が不足した状態で適用を止めてしまう場合がある。そのため、吐出直後に毛髪へ適用し、毛髪上で泡を形成するように使用することが好ましい。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
[第1剤及び第2剤の調製]
毛髪化粧料として二剤式の酸化染毛剤を調製した。第1剤の組成は、表1の1-A~1-D及び表3の1-E~1-Lに示し、第2剤の組成は、表2の2-A~2-D及び表4の2-E~2-Lに示す。各組成において、後発泡剤であるイソペンタン、n-ブタン、n-ペンタンを除く原料を混合し、クリーム状の第1剤及び第2剤を得た。
【0108】
次に、図面を用いて実施例で使用した二剤同時吐出容器について説明する。
図1及び
図2に示すように、二剤同時吐出容器20は、第1剤を充填する第1のエアゾール容器22a、第2剤を充填する第2のエアゾール容器22b、各エアゾール容器22a、22bを連結固定する連結部材24、吐出ヘッド26からなる。各エアゾール容器22a、22bは、押し下げることにより内容物を外部に吐出するステム28を備えており、各ステム28をマウンティンカップ30に取り付けている。吐出ヘッド26には、各ステム28を押下できる操作部材32を設けており、この操作部材32は、各ステム28から排出された内容物を混合するように構成され、かつ、外部に内容物を吐出できる吐出部材としてのノズル34を備えている。
【0109】
エアゾール容器22a、22bは、内側に内袋を備えており、各エアゾール容器の内袋に第1剤及び第2剤を充填し、内袋の内部を除くエアゾール容器の内側空間には、圧縮ガスとして窒素ガスを充填した。最後に、ステム28からイソペンタン等の後発泡剤を内袋に注入し、後発泡組成物からなる酸化染毛剤を得た。
次に、各エアゾール容器のステム28から容器内の圧力を測定し、容器内圧力として各表の下端に示した。
【0110】
また、各剤の15℃における粘度を測定し、各表の下端に示した。粘度の測定では、エアゾール容器22a、22bを15℃の雰囲気下に保管して、内容物の温度を15℃に調整した。内容物は同時吐出せず別々に吐出させた。そして、各内容物について、吐出後すぐにVISCOMETER TV-10粘度計(東機産業株式会社製)を用いて粘度を測定した。
【0111】
また、高級アルコールの含有量の合計値C(a)に対するノニオン性界面活性剤の含有量の合計値C(n)の質量比C(n)/C(a)について各表の下端に示した。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
[毛髪化粧料の評価]
実施例1~4は、第1剤の1-A~1-Lと第2剤の2-A~2-Lを上記二剤同時吐出容器から吐出し、混合性について以下の方法で評価した。第1剤と第2剤の組み合わせは表5~表7に示した。
<混合性>
予め、第1剤の1-A~1-Lに黄色203号を適量配合して第1剤を着色しておき、第1のエアゾール容器22aに充填した。また、第2剤は着色せずに、第2のエアゾール容器22bに、それぞれ充填した。
【0117】
そして二剤同時吐出を行い、次いで第1剤と第2剤の混合性を評価した。混合性の評価は、着色された第1剤と、着色されていない第2剤とをかき混ぜ、区別できない程に均一に混合されたか否かを基準として目視にて観察し、下記の◎~×の評価基準によりランク付けを行った。かき混ぜ操作は、ホーユー株式会社製、商品名ビゲンクリームトーン付属の刷毛を用いて、略同じ速さで15回、略直径5cmの円を描くようにかき混ぜた。
◎:全く区別できない。
○:ほとんど区別できない。
△:幾分明瞭に区別できる。
×:明瞭に区別できる。
【0118】
次に、各評価ランクについて「×」を0点、「△」を1点、「○」を2点、「◎」を3点として、実施例1~実施例12ごとに、10名のパネラーのランク付けに基づく点数の平均点を算出し、その平均点が整数でない場合には小数点以下を四捨五入して整数化し、結果的に得られた整数の点数に相当するランク記号を表5~7中の「混合性」の欄に記載した。
【0119】
また、混合性の評価は、吐出直後、2分後、10分後に行い、吐出直後のクリーム状における混合性の他、発泡中、発泡後の泡状における混合性についても評価した。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
表5~表7に示すとおり、実施例1~12の酸化染毛剤は、クリーム状及び泡状のいずれの状態においても優れた混合性が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の毛髪化粧料は、ヒトの頭髪、髭、眉毛、すね毛等の体毛を染色するためのヘアカラーとして酸化染毛剤、毛髪脱染剤、毛髪脱色剤等に利用することができる。その他、ペット等の動物の体毛を染色するために利用してもよい。
【0125】
本発明の毛髪を染毛、脱染又は脱色させる方法は、施術者の技術レベルを問わず容易に実施することができるため、自らの頭髪を染毛、脱染又は脱色するセルフカラーリングに利用することができる。また、美容室、理容室等において、ヒトや動物の体毛を染色する美容方法に利用してもよい。
【符号の説明】
【0126】
20 容器
22a 第1のエアゾール容器(第1剤充填用)
22b 第2のエアゾール容器(第2剤充填用)
24 連結部材
26 吐出ヘッド
28 ステム
30 マウンティンカップ
32 操作部材
34 ノズル
36 シュリンクフィルム