(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】飲料用演出グラス及び光透過装置
(51)【国際特許分類】
A47G 19/22 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
A47G19/22 S
(21)【出願番号】P 2022096893
(22)【出願日】2022-05-30
【審査請求日】2022-09-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510286433
【氏名又は名称】株式会社ネットアプリ
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0272015(US,A1)
【文献】特開2021-146170(JP,A)
【文献】国際公開第2019/240074(WO,A1)
【文献】特開2009-092770(JP,A)
【文献】特許第6990947(JP,B1)
【文献】米国特許第05769680(US,A)
【文献】登録実用新案第3117755(JP,U)
【文献】特開2007-039061(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0106238(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、
映像表示装置を前記グラス本体の側面に固定する固定機構と、
無色透明な材料から成る光透過トンネルとを備え、
前記グラス本体の側面は透明な材料から成り、
前記グラス本体の側面は水平方向に湾曲しており、
前記光透過トンネルは前記グラス本体の内部に固定されており、
前記光透過トンネルの側面と前記グラス本体の内壁面は前記グラス本体に飲料が充填されている時に光が透過することが可能な程度に近接しており、
前記光透過トンネルの内部に空気が充填可能なチャンバーを備え、
前記光透過トンネルの上端外周部と前記グラス本体の内壁面との最短距離をd1、前記光透過トンネルの下端外周部と前記グラス本体の内壁面との最短距離をd2とした場合にd1>d2又はd1<d2であり、
前記グラス本体の側面のうち前記映像表示装置に面する面と前記光透過トンネルの側面との最短距離d3は18[mm]より短く、
前記映像表示装置の画像が前記グラス本体の側面と前記光透過トンネルを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする飲料用演出グラス。
【請求項2】
前記光透過トンネルの鉛直方向の長さは前記グラス本体の鉛直方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項3】
前記光透過トンネルの上端に無色透明な材料から成る上端面を備え、
ユーザーは前記映像表示装置の画像を前記光透過トンネルの側面と前記上端面越しに前記グラス本体の外部から視認することが可能であることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項4】
前記チャンバーは気密性を有し、
前記光透過トンネルを前記グラス本体内の所定の位置に固定するための固定手段を備えることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項5】
前記チャンバー内の空間と前記光透過トンネルの外の空間を繋げるための下部開口を前記光透過トンネルの下端近傍に備えることを特徴とする請求項4に記載の飲料用演出グラス
【請求項6】
前記下部開口を塞ぐための蓋を備えることを特徴とする請求項5に記載の飲料用演出グラス。
【請求項7】
前記チャンバー内の空間に前記映像表示装置の画像を拡大又は縮小するための無色透明なレンズを備えることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項8】
前記チャンバー内の空間に着脱可能なビームスプリッターを備え、
前記チャンバー内の空間に前記ビームスプリッターを挿入するための挿入口を備え、
前記ビームスプリッターで反射された前記映像表示装置の画像が前記光透過トンネルの上面部又は上部を透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項9】
前記上部開口の径は前記グラス本体の内壁面の底面の径よりも長いことを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項10】
前記グラス本体の内部か底面近傍に反射鏡を備え、
前記反射鏡で反射された前記映像表示装置の画像が前記光透過トンネルを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項11】
前記光透過トンネルは比重が1よりも大きい材料から成ることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項12】
前記光透過トンネルの側面に前記映像表示装置の画像の光を垂直入射させるための平坦な面を備えることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項13】
前記光透過トンネルの固定位置が鉛直方向に変更可能であることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項14】
前記光透過トンネルの固定位置を複数備え、
前記光透過トンネルの前記グラス本体内における鉛直方向の固定位置の変更又は切り替えが可能であることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項15】
前記光透過トンネルの側面に水平方向に湾曲した湾曲部を備えることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項16】
前記光透過トンネルに入射した前記映像表示装置の画像の光を前記光透過トンネルの内部から外部へ透過させるための平坦面を前記光透過トンネルの側面に備え、
前記平坦面は無色透明な材料から成り、
前記平坦面は平坦な面であり、
前記平坦面に面している前記グラス本体の内壁面は前記グラス本体の外側に向けて凸型に湾曲しており、
前記平坦面に面している前記グラス本体の内壁面は前記グラス本体の外側に向けて水平方向に湾曲しており、
前記グラス本体に飲料が充填されている時に前記映像表示装置の画像が前記平坦面と前記グラス本体の内壁面との間の飲料を透過することにより前記映像表示装置の画像が拡大されることを特徴とする請求項
1に記載の飲料用演出グラス。
【請求項17】
前記上端面の面積が前記上部開口の面積の半分よりも大きいことを特徴とする請求項
3に記載の飲料用演出グラス。
【請求項18】
請求項
1に記載の飲料用演出グラスに用いる光透過装置であり、
前記光透過トンネルと、
前記光透過トンネルを前記グラス本体内に支持又は固定するための支持棒と、
前記上部開口と結合するようにコの字の形状をしたコの字フレームとを備え、
前記支持棒の上端と前記コの字フレームが連結しており、
前記支持棒の下端と前記光透過トンネルが連結しており、
前記上部開口の端部を前記コの字フレームに挿入することにより前記光透過トンネルが前記グラス本体内に固定され、
前記上部開口の端部を前記コの字フレームに挿入した状態で前記映像表示装置の画像が前記グラス本体の側面と前記光透過トンネルを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする光透過装置。
【請求項19】
前記コの字フレームと前記支持棒が板形状であることを特徴とする請求項
18に記載の光透過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用演出グラス及びその飲料用演出グラスを構成する際に用いる光透過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を入れる機能以外に様々な機能を持ったグラスが開発されている。
例えば特許文献1には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス側面に固定された映像表示装置と、水平方向に湾曲したグラス本体とを備えてりおり、映像表示装置の映像をグラス内部の飲料を用いて縦横比の歪み無く拡大することが可能なグラスである。
例えば特許文献2には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス側面に固定された映像表示装置と、グラス本体内部に配置された反射鏡とを備えてりおり、映像表示装置の映像を疑似的にグラス内部に投影する演出が可能なグラスである。
特許文献3には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス側面に固定された映像表示装置と、グラス本体内部に配置されたビームスプリッターとを備えてりおり、映像表示装置の映像を疑似的にグラス内部に投影する演出が可能なグラスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6797447号
【文献】特許第6488049号
【文献】特許第6528162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1~3はグラス内部の飲料がコーヒーや赤ワインなどの光透過性が低い飲料の場合、グラス側面に固定された映像表示装置の画像や映像の光がグラス内部を透過することが出来ない。別の言い方をすれば、グラス内部に充填されている飲料の光透過性が低い場合、ユーザーはグラス側面に固定された映像表示装置の画像をそのグラス越しに視認することが不可能という問題を有する。
【0005】
本発明は上記問題を鑑み、グラス内部に光透過性が低い飲料が充填されている場合でもグラス側面に固定された映像表示装置の画像や映像の光がグラス内部を透過することが可能な飲料用演出グラスを提供することを課題とする。
また、その飲料用演出グラスを構成する際に用いる光透過装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の飲料用演出グラスは、上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、映像表示装置を前記グラス本体の側面に固定する固定機構と、無色透明な材料から成る光透過トンネルとを備え、前記グラス本体の側面は透明な材料から成り、前記グラス本体の側面は水平方向に湾曲しており、前記光透過トンネルは前記グラス本体の内部に固定されており、前記光透過トンネルの側面と前記グラス本体の内壁面は前記グラス本体に飲料が充填されている時に光が透過することが可能な程度に近接しており、前記光透過トンネルの内部に空気が充填可能なチャンバーを備え、前記光透過トンネルの上端外周部と前記グラス本体の内壁面との最短距離をd1、前記光透過トンネルの下端外周部と前記グラス本体の内壁面との最短距離をd2とした場合にd1>d2又はd1<d2であり、前記グラス本体の側面のうち前記映像表示装置に面する面と前記光透過トンネルの側面との最短距離d3は18[mm]より短く、前記映像表示装置の画像が前記グラス本体の側面と前記光透過トンネルを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする。
また、前記光透過トンネルの鉛直方向の長さは前記グラス本体の鉛直方向の長さよりも短いことを特徴とする。
また、前記光透過トンネルの上端に無色透明な材料から成る上端面を備え、ユーザーは前記映像表示装置の画像を前記光透過トンネルの側面と前記上端面越しに前記グラス本体の外部から視認することが可能であることを特徴とする。
また、前記チャンバーは気密性を有し、前記光透過トンネルを前記グラス本体内の所定の位置に固定するための固定手段を備えることを特徴とする。
また、前記チャンバー内の空間と前記光透過トンネルの外の空間を繋げるための下部開口を前記光透過トンネルの下端近傍に備えることを特徴とする。
また、前記下部開口を塞ぐための蓋を備えることを特徴とする。
また、前記チャンバー内の空間に前記映像表示装置の画像を拡大又は縮小するための無色透明なレンズを備えることを特徴とする。
また、前記チャンバー内の空間に着脱可能なビームスプリッターを備え、前記チャンバー内の空間に前記ビームスプリッターを挿入するための挿入口を備え、前記ビームスプリッターで反射された前記映像表示装置の画像が前記光透過トンネルの上面部又は上部を透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする。
また、前記グラス本体の上部開口の径は前記グラス本体の内壁面の底面の径よりも長いことを特徴とする。
また、前記グラス本体の内部か底面近傍に反射鏡を備え、前記反射鏡で反射された前記映像表示装置の画像が前記光透過トンネルを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする。
また、前記光透過トンネルは比重が1よりも大きい材料から成ることを特徴とする。
また、前記光透過トンネルの側面に前記映像表示装置の画像の光を垂直入射させるための平坦な面を備えることを特徴とする。
また、前前記光透過トンネルの固定位置が鉛直方向に変更可能であることを特徴とする。
また、前記光透過トンネルの固定位置を複数備え、前記光透過トンネルの前記グラス本体内における鉛直方向の固定位置の変更又は切り替えが可能であることを特徴とする。
また、前記光透過トンネルの側面に水平方向に湾曲した湾曲部を備えることを特徴とする。
また、前記光透過トンネルに入射した前記映像表示装置の画像の光を前記光透過トンネルの内部から外部へ透過させるための平坦面を前記光透過トンネルの側面に備え、前記平坦面は無色透明な材料から成り、前記平坦面は平坦な面であり、前記平坦面に面している前記グラス本体の内壁面は前記グラス本体の外側に向けて凸型に湾曲しており、前記平坦面に面している前記グラス本体の内壁面は前記グラス本体の外側に向けて水平方向に湾曲しており、前記グラス本体に飲料が充填されている時に前記映像表示装置の画像が前記平坦面と前記グラス本体の内壁面との間の飲料を透過することにより前記映像表示装置の画像が拡大されることを特徴とする。
また、前記上端面の面積が前記上部開口の面積の半分よりも大きいことを特徴とする。
本発明の光透過装置は、上記飲料用演出グラスに用いる光透過装置であり、前記光透過トンネルと、前記光透過トンネルを前記グラス本体内に支持又は固定するための支持棒と、前記上部開口と結合するようにコの字の形状をしたコの字フレームとを備え、前記支持棒の上端と前記コの字フレームが連結しており、前記支持棒の下端と前記光透過トンネルが連結しており、前記上部開口の端部を前記コの字フレームに挿入することにより前記光透過トンネルが前記グラス本体内に固定され、前記上部開口の端部を前記コの字フレームに挿入した状態で前記映像表示装置の画像が前記グラス本体の側面と前記光透過トンネルを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする。
また、前記コの字フレームと前記支持棒が板形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飲料用演出グラスはグラス内部に画像を透過させるための透明な(より厳密には無色透明な)光透過トンネルを備えるため、グラス本体内に光透過性が低い飲料(コーヒーや赤ワインなど)が充填されている場合でも、ユーザーはそのグラス本体越しにグラス本体の側面の映像表示装置の画像(又は映像)を視認することが出来る。
本発明の飲料用演出グラスでは映像表示装置の画像(映像)のマスキングに光透過トンネルとグラス内の飲料を用いるため飲料の色や透明度でマスキングの強さを調整出来る。
本発明の飲料用演出グラスは、画像の一部だけを透過させるため映像表示装置の画像の一部分だけをユーザーに視認させることが可能である。
本発明の光透過装置は光透過トンネルをグラス本体の内部に固定又は支持するための支持棒とコの字フレームとを備えるため、ユーザーはグラス本体内の飲料に手を触れること無しに光透過トンネルをグラス本体内部に固定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態の飲料用演出グラスを示す斜視図
【
図2】画像の一部をくり抜く飲料用演出グラスの例を示す正面図(a)及び正面図(b)
【
図3】光透過トンネルに湾曲部を備える例を示す上方断面図(a)及び湾曲部を備えない例を示す上方断面図(b)
【
図4】第2の実施の形態の飲料用演出グラスを示す斜視図
【
図5】第2の実施の形態の飲料用演出グラスを示す断面図(a)と断面図(b)
【
図6】第3の実施の形態の飲料用演出グラスを示す断面図
【
図7】下部開口を塞ぐための蓋を備える飲料用演出グラスの例を示す断面図(a)と断面図(b)
【
図8】チャンバー内にレンズを備える飲料用演出グラスの例を示す断面図
【
図9】グラス本体側面と光透過トンネルとの最短距離が1波長以下の飲料用演出グラスの例を示す断面図
【
図10】スピーカーから出た音波の拡散の様子を示す図
【
図11】第4の実施の形態の飲料用演出グラスを示す断面図(a)と断面図(b)
【
図12】第5の実施の形態の飲料用演出グラスを示す断面図(a)と断面図(b)
【
図13】第6の実施の形態の飲料用演出グラスを示す斜視図(a)と断面図(b)
【
図14】第7の実施の形態の飲料用演出グラスを示す断面図(a)と正面図(b)
【
図15】第8の実施の形態の飲料用演出グラスを示す斜視図(a)と上方断面図(b)
【
図16】第8の実施の形態の飲料用演出グラスを示す斜視図(a)と上方断面図(b)
【
図17】第9の実施の形態の飲料用演出グラスを示す斜視図(a)と上方断面図(b)
【
図18】平坦面を鉛直方向に傾斜させた飲料用演出グラスの例を示す斜視図
【
図19】第1の実施の形態の光透過装置を示す斜視図(a)と拡大断面図(b)
【
図20】光透過装置のグラス装着例を示す斜視図(a)とビームスプリッター化した光透過装置の例を示す斜視図(b)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[飲料用演出グラスの第1の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第1の実施の形態を図面を用いて示す。
図1に示すように、本実施の形態の飲料用演出グラス1はグラス本体10と映像表示装置80を固定するための固定機構15と光透過トンネル20とから概略構成される。
グラス本体10は上部開口11を有する有底の筒状体であり、その内部に飲料を充填する事が出来る飲料用容器である。グラス本体10はガラスやアクリル樹脂等の透明な材料から成る。グラス本体10の形状としては
図1のような通常のコップ型の形状の他に、取っ手を備えるビールジョッキ等が挙げられる。なお、グラス本体10は通常のコップやビールジョッキと同じく水平方向に湾曲している(つまりグラス本体10の形状は通常のコップやビールジョッキと同じく円筒形状の筒状体である)。グラス本体10の側面は通常のコップやビールジョッキと同じく透明な材料から成る。
固定機構15はスマートフォンや小型のディスプレイデバイス等の映像表示装置80をグラス本体10の側面(又は側面近傍)に固定するための固定機構である。
図1の例では固定機構15としてポケット機構を用いて映像表示装置80をグラス本体10側面に固定している。固定機構15としてポケット機構以外にマグネット機構やネジ等を用いても良い。
光透過トンネル20は映像表示装置80の画像82をグラス本体10の外部に透過させるためにグラス本体10の内部に固定されたトンネル(透明部)である。通常、グラスにコーヒーや赤ワイン等の光透過性が低い飲料(又は色の暗い飲料)が充填されている場合は、グラス側面より入射した(画像82の)光はその飲料により遮蔽されてしまうためグラス側面方向に貫通又は透過することは不可能である。そこで本発明の飲料用演出グラス1では光透過トンネル20をグラス本体10内に備えることにより画像82の光をグラス本体10の外部へ強制的に透過させている(つまり、光透過トンネル20を経由することによりグラス本体10側面より入射した画像82の光がグラス本体10を貫通させるようにしている)。なお、
図1、
図3(a)、
図3(b)中の破線矢印は説明のために映像表示装置80(又は映像表示面81)から投影される画像82の光路Pのイメージを表現した物である。光透過トンネル20は画像82を透過させるために透明な材料から成り、光透過トンネル20の側面とグラス本体10の内壁面(飲料Lが接する側の面)はグラス本体10に飲料Lが充填されている時に光が透過することが可能な程度に近接又は密着しており、画像82(より厳密には画像82の光)はグラス本体10の側面と光透過トンネル20を透過して(通過して)グラス本体10の外部に至る。
なお、光透過トンネル20の側面とグラス本体10の内壁面はどの程度の距離まで近接させれば良いかは、グラス本体に充填するターゲットとなる飲料の種類や色(より厳密には透明度や光透過性)により異なるため、飲料用演出グラス1をCAD等で設計する際は、事前にターゲットとなる飲料(グラス本体10に充填されると想定される飲料)を決定しておき、そのターゲットとなる飲料における光透過トンネル20の側面とグラス本体10の内壁面の距離(つまり画像82の光が透過可能な距離)を数値解析や実験により測定又は算出しておき、その測定値や算出値に基づいて飲料用演出グラス1を設計した方が確実である(例えばターゲットの飲料として透明度が低い赤ワインを想定して飲料用演出グラス1を設計するときは、透明度の高いウィスキーよりも光透過トンネル20の側面とグラス本体10の内壁面の距離を近付けた設計をしないといけない)。なお、光透過トンネル20の側面とグラス本体10の内壁面との距離をグラス本体10内の飲料Lの透明度に応じて調整出来るように光透過トンネル20を着脱式にしておき、直径のことなる大小さまざまなサイズの光透過トンネル20を飲料Lの透明度に応じて交換可能にしても良い。
図1の例では光透過トンネル20をグラス本体10内部に固定するために支持棒21とコの字フレーム22から成る支持機構(又は固定機構)を用いているが、本発明の飲料用演出グラス1では光透過トンネル20はグラス本体10内に固定されてさえいればよく、その支持機構や固定方法はどのような物を用いても構わない。
【0010】
光透過トンネル20について補足説明をする。
光透過トンネル20のサイズは必ずしも画像82全てをカバー出来るサイズにする必要は無い。例えば
図1のように光透過トンネル20のサイズは画像82の一部分だけが透過出来るサイズにしても良い。具体的には
図1と
図2(a)のように光透過トンネル20の鉛直方向の長さh2をグラス本体10の鉛直方向の長さh1よりも短くすると良い。こうすることにより
図1と
図2(a)のように画像82の一部分だけを透過画像83としてユーザーUから視認可能な状態とし残りをマスキング画像84として飲料Lにより遮蔽(又はマスキング)することが可能になる。例えば光透過トンネル20の(ユーザーU側から見た)断面の形状を
図2(a)の四角形や
図2(b)のハート型の形状にすれば画像82を四角形やハート型の形状でくり抜く演出が可能である(なお、
図1と
図2(a)及び
図2(b)の例では画像82の例としてAの文字画像を用いている)。
本発明では光透過トンネル20の鉛直方向の長さh2をグラス本体10の鉛直方向の長さh1に比して短くすることにより、
図1や
図2(a)のように飲料Lによって画像82の上端部及び下端部にマスキングが可能である。つまり、本発明の飲料用演出グラス1を用いれば、画像82に飲料Lによる(上端と下端の)レターボックスの挿入する演出が可能である(なお、
図1、
図2(a)、
図2(b)では画像82のうち飲料Lでマスキングされたエリアの画像をマスキング画像84としている)。
光透過トンネル20の鉛直方向の長さh2をグラス本体10の鉛直方向の長さh1よりも短くすることにより映像表示装置80の画像82の一部分のみ(つまり透過画像83のみ)がグラス本体10と光透過トンネル20を透過して(通過して)グラス本体10の外部に至る。
本発明の飲料用演出グラス1では画像82のマスキングに光透過トンネル20と飲料Lを用いる方式のため飲料Lの透明度(光透過性)によりマスキングの強さを自由に調整出来るのが大きな特長である。なお、光透過トンネル20の(ユーザーUから見た)断面の形状は
図1や
図2(a)或いは
図2(b)のような四角形(長方形)やハート型に限定されることはなく、円形、三角形などユーザーの好みに応じて様々な形状を用いても良い。
光透過トンネル20の材料は透明であればどのような材料を用いても構わない。但し、光を反射させる反射層を備える材料(ハーフミラーや金属層を添加又は蒸着した素材など)はその反射損失により減光するので光透過トンネル20の材料として用いてはならない。
光透過トンネル20としてビームスプリッターやハーフミラーを用いてはならない。何故なら、ビームスプリッターは分光器であり必ずそれに入射した光の一部(ハーフミラーは50%)を反射する構造になっているため、仮に光透過トンネル20としてビームスプリッターを用いるとビームスプリッター(又はハーフミラー)に入射した画像82の光が極端に暗くなり透過画像83を正常に出力出来ないためである(つまり、飲料Lの光の減衰に加えてビームスプリッターの光の反射減衰も加わるため透過画像83が非常に暗くなり最悪の場合出力不能になる)。そもそも、ビームスプリッター(又はハーフミラー)は分光(光を一部を反射)するために金属等の反射膜や反射層が必ず表面か内部に蒸着されているため透明ではないため光透過トンネル20としては不適である(原理上、全てのビームスプリッターは反射膜や反射層を必ず備えるため透明な物体に比して必ず暗い色なる)。ビームスプリッターは光透過性こそ有しているが決して透明でないため光の透過率が透明な物体に比して悪いため光透過トンネル20としては不適である(ビームスプリッターは通常、黒や銀色、或いは霞がかった白色などの反射層や反射物質の粒子の色が混じった暗い色又は濁った色になる)。また同様に、光透過トンネル20として透明な材料に光を反射するための粒子を添加した材料も用いることも出来ない(何故ならそれら反射の原因となる粒子が光を反射または散乱させてしまい画像82の光を減光するからである)。光透過トンネル20は必ず無色透明な材料を用いなければならない。
また、光透過トンネル20は飲料Lに溶ける材料(つまり常温環境下で水溶性の材料)を用いてはならない。仮に光透過トンネル20に水溶性の物を用いると飲料Lにより光透過トンネル20が溶けて破損やひび割れしてしまうため注意が必要である。光透過トンネル20は常温で水に溶けない材料(常温環境下で非水溶性の材料)を用いなければならない。
【0011】
光透過トンネル20は
図1や
図3(a)のように水平方向に湾曲した湾曲部23をその側面に備える。これは
図3(a)のように湾曲部23を備えることにより(水平方向に湾曲している)グラス本体10の側面と光透過トンネル20側面の形状の整合を図り、それによりグラス本体10の内壁面(飲料Lが接する側の面)と光透過トンネル20側面の間の隙間Gを出来る限り小さくするための工夫である。グラス本体10の側面は通常のグラスやコップと同じく水平方向に湾曲しているため、仮に
図3(b)のように光透過トンネル20の形状を湾曲部23を備えない形状(
図3(b)の例では直方体)にしてしまうと、グラス本体10の内壁面と光透過トンネル20(の側面)との間にはどうしても(
図3(a)に比して)大きな隙間Gが発生してしまう。この隙間Gには飲料Lが大量に流れ込むため、その隙間Gに流れ込んだ大量の飲料Lにより画像82の光が遮蔽されてしまいグラス本体10外部に透過しなくなる(特に飲料Lが赤ワインやコーヒーなどの光透過性が非常に低い飲料の場合はこの隙間Gが大きいとユーザーUが画像82をグラス本体10越しに視認することは殆ど不可能になる)。そのため、飲料Lとして光透過性が低い飲料を用いる場合は(
図3(a)のように)隙間Gを小さくするために湾曲部23を必ず備えた方が良い。また、湾曲部23とグラス本体10の側面の曲率半径は出来るだけ一致させた方が隙間Gを小さくすることが出来る。原理的には湾曲部23とグラス本体10の側面の曲率半径を一致させれば隙間Gの距離又は大きさを0にすることも出来る(ただし、湾曲部23とグラス本体10の側面の曲率半径を完全に一致させると光透過トンネル20をグラス本体10に挿入出来なくなるため、湾曲部23の曲率半径はグラス本体10の側面の曲率半径よりも僅かだけ小さくした方が良い)。
光透過トンネル20の材料は比重が1より大きい材料を用いた方が良い(つまり光透過トンネル20は水に沈む材料を用いた方が良い)。これは光透過トンネル20が飲料Lの浮力により浮いてしまうのを防ぐためである。仮に光透過トンネル20が水に浮いてしまう材料から作られていると飲料Lの浮力により光透過トンネル20が浮いてしまいグラス本体10の内部の固定位置から意図せず外れたり位置ずれしたりする恐れが有る。光透過トンネル20を比重が1より大きい材料から作ることにより光透過トンネル20をグラス内部の定位置(所定の位置)に固定しておくための固定機構の負荷が浮力分減り安定度が増す。
光透過トンネル20の側面の映像表示面81に面している面は画像82の光を最大効率で受ける(入射させる)ために映像表示面81に対して傾斜してない方が良い(つまり画像82の光が入射角0度で入射可能な(平坦な)面を光透過トンネル20の側面に備えるのが望ましい)。別の言い方をすると光透過トンネル20の側面は画像82の光を垂直に入射出来る形状になっていることが望ましい。光透過トンネル20の画像82の光の透過率を上げるために、光透過トンネル20の外周側面に画像82の光を垂直入射(つまり入射角が0度で入射)するための平坦な面(光入射面)を備えるのが望ましい。
なお、グラス本体10側面の外周部全体を湾曲部23とするのではなく、
図20(a)のようにグラス本体10側面の外周部の一部に画像82の光を垂直入射させるための平坦な面(光入射面)101を備える形状にしても良い。
【0012】
[飲料用演出グラスの第2の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第2の実施の形態を図面を用いて示すが、上記第1の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図4や
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施の形態の飲料用演出グラス1では映像表示装置80に表示される画像82をグラス本体10の上部開口11(つまりグラス本体10外側)に反射するための反射鏡30をグラス本体10の内部又は底面近傍に備える。
図4に示すようにグラス本体10内に配置された反射鏡30は映像表示装置80(又は映像表示面81)に表示されている画像82を上部開口11方向に反射するようにグラス本体10底面(又は映像表示面81)に対して傾斜して配置されており、
図4や
図5(a)或いは
図5(b)のようにユーザーUは反射鏡30を介して(映像表示装置80の)画像82を上部開口11(グラス本体10の外側)より視認する事が出来る。
図4や
図5(a)のように反射鏡30と上部開口11(グラス外部)との間には光透過トンネル20が配置されているため、飲料Lが光透過性の低い飲料の場合においてもユーザーUは光透過トンネル20を介して画像82(より厳密には画像82の反射像)をグラス本体10外部(上部開口11側)から視認することが可能である。反射鏡30で反射した画像82の光は光透過トンネル20を透過して上部開口11(つまりグラス本体10)の外部に至る。
なお、ユーザーUがグラス本体10を覗き込む角度(又はユーザーUの視点の方向)によっては画像82の反射像ではなく、映像表示装置80から光透過トンネル20へ直接入射される画像82が見えることがある。本実施の形態の飲料用演出グラス1では画像82の反射像と直接入射する画像82どちらでも光透過トンネル20の効果によりグラス本体10外部から視認することが可能である(なお、金属を用いた鏡でも反射率はせいぜい8割から9割程度のため反射鏡30で反射しない画像82の直接光は反射鏡30で一旦反射した光よりも強く明るい)。
【0013】
[飲料用演出グラスの第3の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第3の実施の形態を図面を用いて示すが、前述の第1の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、本実施の形態の飲料用演出グラス1では光透過トンネル20の内部に空気が充填可能なチャンバー25(又は気密性を有した空気室)を備える。
チャンバー25により光透過トンネル20を軽量化出来る。更に、空気は樹脂やガラスに比して透明度が高い物質であるため、光透過トンネル20にチャンバー25を設けて(光透過トンネル20を)中空構造にすることで光透過トンネル20の透明度を飛躍的に高める事が可能である。
なお、チャンバー25は空気が外部の空間に逃げないように気密性を有する事が望ましい。ユーザーUは気密性の有するチャンバー25の空間に意図的に飲料Lを任意の高さまで入れることにより飲料Lにより画像82がマスキングされるエリアの大きさ(又はマスキングされる高さを)を任意に調整出来るようになる。なお、光透過トンネル20にはチャンバー25内に飲料Lを出し入れするための給水口や排出口或いは給排水口を設けても良い。
図6のようにチャンバー25の外の空間を繋げるための下部開口26を光透過トンネル20の下端近傍(または下部エリア)に備える。これは、グラス本体10を傾斜させた際にチャンバー25内の空間に飲料Lが流れ込まないようにするための工夫である(グラス本体10内の飲料Lの水圧によりチャンバー25内の空気は常に上方向に向かうため、光透過トンネル20の下端近傍に下部開口26を設けても下部開口26からチャンバー25内の空間に飲料Lが流れ込むことは殆ど無い)。下部開口26の部分だけ光透過トンネル20の重量が減るので光透過トンネル20を更に軽量にすることが出来る。
下部開口26はチャンバー25内に飲料Lを出し入れするための給水口または排出口としても機能する。
図7(a)のように下部開口26を塞ぐための蓋28を備えても良い。また、
図7(b)のようにグラス本体10の内部側の底面(グラス本体10の内壁面の底面)を下部開口26を塞ぐための蓋28として用いても良い(
図7(b)の例では固定手段27により下部開口26がグラス本体10の内部側の底面に接した状態で固定されている)。蓋28によりチャンバー25内の空間に飲料Lが流れ込むのを完全に防げる(チャンバー25の気密性を高められる)。
なお、チャンバー25内の空気の影響で光透過トンネル20が水(飲料L)の浮力により浮いてしまう問題が有るが、この問題を防ぐために
図6では光透過トンネル20をグラス本体10内の所定の位置(又は定位置)に固定するための固定手段27を備える。
図6の例ではこの固定手段27として係止とネジ機構を用いている。なお、固定手段27はマグネット機構や吸盤機構を用いても良い。固定手段27は光透過トンネル20をグラス本体10内の所定の位置に固定さえ出来ればどのような機構や手段を用いても良い。なお、支持棒21とコの字フレーム22のみで光透過トンネル20をグラス本体10内の所定の位置に固定出来るならを支持棒21とコの字フレーム22のみを固定手段27としても良い。
チャンバー25内の空気による浮力をキャンセル出来る程度に光透過トンネル20の外周部を構成する材料を比重の重い材料(比重が1よりも大きい材料)にすることにより光透過トンネル20が飲料L内で沈むようにして光透過トンネル20の位置固定の更なる安定化を図っても良い。
また、
図8のようにチャンバー25内に無色透明なレンズ50(光学レンズ50)を配置することにより光透過トンネル20を透過する透過画像83(つまり映像表示装置80の画像82)を拡大又は縮小しても良い。なお、レンズ50は画像82の透過光を減じないように必ず無色透明なレンズを用いなければならない。チャンバー25内のスペースを大きくしたい場合はレンズ50としてフレネルレンズ等の薄型レンズを用いても構わない。
なお、本願発明と直接関係無いが、我が国においては空気を充填する空間や部屋をチャンバー(英:chamber)ではなくチェンバーと発音することもあるが、本願明細ではチャンバーの表記に統一する。
【0014】
図9のようにチャンバー25は映像表示装置80内蔵のスピーカー86から発生する音波に曝される位置に有るため、チャンバー25内の空間でスピーカー86の音波を共振増幅させる事が可能である。
図9のように映像表示装置80のスピーカー86の音波をチャンバー25内の空間で効率良く伝送させるために、グラス本体10の側面のうち映像表示装置80に面した面(又は映像表示装置80側の面)と光透過トンネル20の側面との最短距離d3を18[mm](可聴領域の音波の波長のうち最も短い音波の波長)より短くしても良い。
物理の基本法則(厳密には最小作用の原理)又は音波の基本的な性質により音波発生源(スピーカー86)から放射された音波のエネルギーは
図10のように発生源から離れれば離れる程、放射状に拡散して弱くなる。例えばスピーカー86から1波長(λ[m])分離れた位置で受信できるスピーカー86の音波のエネルギーはスピーカー86から5波長(5λ[m])分離れた位置で受信できるエネルギーに比して低くなる。
また、人間の耳が聞きとれる音の周波数範囲は、20[Hz]から20,000[Hz]の範囲(これを可聴領域と言う)だと言われており、空気中の音の速度は約340[m/s]~約360[m/s]のため、空気中を伝わる20,000[Hz](つまり可聴領域の最も高い周波数)の音の波長は約17[mm]から18[mm]になる(詳細は音響工学の専門書を参照されたい)。そのため映像表示装置80のスピーカー86の音波又は音のエネルギーを効率よく光透過トンネル20のチャンバー25内の空間に伝えるためには光透過トンネル20の側面とグラス本体10の側面との最短距離d3は少なくとも18[mm]以下である事が望ましい。別の言い方をすると距離d3は人間の可聴領域の最も高い周波数(20,000[Hz])の1波長分(18[mm])以下の長さであることが望ましい。
距離d3を18[mm]以下にすることにより可聴領域の最も高い周波数部分(20,000[Hz)の音波も(周囲の空間に無駄に)拡散させずに効率よくチャンバー25内の空間に伝える事が可能である。つまり、距離d3を18[mm]以下にすることによりチャンバー25の空間で共振させる20,000[Hz]近傍の帯域の音量又は音のエネルギーを大きくする事が可能になる。
なお、可聴領域の低周波部分(例えば20[Hz])の音波は1波長の長さが約18[m]と(可聴領域の高周波部分の波長18[mm]に比して)非常に巨大な値になる。そのため、距離d3が可聴領域の最も高い周波数(20,000[Hz])の1波長分(18[mm])以下の条件を満たしてさえいれば自動的に距離d3が可聴領域の最も低い周波数(20[Hz])の1波長分以下(18[m])の条件も満たすことになる(これは音波の周波数が低くなる程その音波の波長が長くなるという音波の基本原理による)。つまり、距離d3が18[mm]より短ければ全可聴領域(20[Hz]から20,000[Hz])に渡ってチャンバー25内の空間にスピーカー86の音波を効率よく伝送できる。なお、本実施の形態の飲料用演出グラス1ではグラス本体10側面と光透過トンネル20側面の間に存在する(つまり距離d3内に在る)飲料Lは音波伝達媒質として機能する。
本実施の形態の飲料用演出グラス1では光透過トンネル20を高効率の音の共振増幅器としても利用できる方法を説明した。ユーザーは本実施の形態の飲料用演出グラス1を用いれば映像表示装置80のスピーカーのサウンドボリュームを上げる事無しに大きな音を楽しめる。
【0015】
[飲料用演出グラスの第4の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第4の実施の形態を図面を用いて示すが、前述の第1の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図11(a)に示すように、本実施の形態の飲料用演出グラス1では飲料Lによる画像82のマスキングの強さを徐々に強くするために、光透過トンネル20の上端外周部24とグラス本体10の内壁面との最短距離d1を光透過トンネル20の下端外周部29とグラス本体10の内壁面との最短距離d2よりも長くしている。こうする事により
図11(a)のようにグラス本体10の上部開口11側に近づくにつれてグラス本体10の内壁面と光透過トンネル20の側面との距離が徐々に離れるため、(ユーザーU側から見た正面図である
図11(b)のように)透過画像83(つまり映像表示装置80の画像82)に上部開口11側に近づくにつれて段階的にグラデーションが付くように飲料Lを以ってマスキングする事が出来る(別の言い方をすると、d2<d1にすることにより上部開口11方向に近づくにつれてマスキング用の飲料Lの厚さを徐々に厚くしている)。
図11(a)のようにグラス本体10の上部開口11の径(又は直径)R1をグラス本体10の(内壁面の)底面の径(又は直径)R2よりも長くすることによりd2<d1にして飲料Lの画像82に対するマスキング強度(マスキングの濃さ)を上部開口11方向に近づくにつれて徐々(段階的に)に強くしても良い。
本実施の形態の飲料用演出グラス1では
図11(b)のようにグラス本体10の上部開口11に近づくにつれて(画像82の光が透過する)飲料Lの厚さを厚くすることにより(つまり、d2<d1にすることにより)画像82(透過画像83)の上部エリアのマスキングを強める又は飲料マスキングに段階的にグラデーションを付ける演出が可能である。
なお、本願明細書(本発明の明細書)においてグラス本体10の内壁面とは、グラス本体10内部に飲料L充填時にその飲料Lが触れる側の面を指す。
【0016】
[飲料用演出グラスの第5の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第5の実施の形態を図面を用いて示すが、前述の第1の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図12(a)に示すように、本実施の形態の飲料用演出グラス1では飲料Lによる画像82のマスキングの強さを(グラス下端方向に向けて)徐々に強くするため、光透過トンネル20の下端外周部29とグラス本体10の内壁面との最短距離d2を光透過トンネル20の上端外周部24とグラス本体10の内壁面との最短距離d1よりも長くしている。こうする事によりグラス本体10の底部(又は底面)側に近づくにつれてグラス本体10の内壁面と光透過トンネル20の側面との距離が徐々に離れるため、(ユーザーU側から見た正面図である
図12(b)のように)透過画像83(つまり映像表示装置80の画像82)にグラス本体10底部方向に近づくにつれて段階的に(徐々に)グラデデーションが付くように飲料Lを以ってマスキングする事が出来る(別の言い方をすると、d1<d2にすることによりグラス本体10底部方向に近づくにつれてマスキング用の飲料Lの厚さを厚くしている)。
図12(a)のように光透過トンネル20上端エリアの(径又は面積の)大きさを透過トンネル20下端エリア(径又は面積の)よりも大きくすることによりd1<d2にして飲料Lの画像82に対するマスキング強度(マスキングの濃さ)をグラス本体10底部方向に近づくにつれて徐々(段階的に)に強くしても良い。
本実施の形態の飲料用演出グラス1では
図12(b)のようにグラス本体10の底部に近づくにつれて(画像82の光が透過する)飲料Lの厚さを厚くすることにより(つまり、d1<d2にすることにより)画像82(透過画像83)の下部エリアのマスキングを強める又は飲料マスキングにグラデーションを付ける演出が可能である。
【0017】
[飲料用演出グラスの第6の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第6の実施の形態を図面を用いて示すが、前述の第3の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図13(a)に示すように、本実施の形態の飲料用演出グラス1では(光透過トンネル20内の)チャンバー25の空間に着脱可能なビームスプリッター60を備え、チャンバー25内の空間にビームスプリッター60を挿入(或いは着脱または装着)するための挿入口61を(光透過トンネル20に)備え、ビームスプリッター60で反射された映像表示装置80の画像82が光透過トンネル20の上面部又は上部を透過して上部開口11(つまりグラス本体10の外部)に至ることを特徴とする(なお、ビームスプリッター60は画像82の光を上部開口11方向へ反射するために
図13(a)や
図13(b)に示すようにグラス本体10の底面16に対して傾斜した状態でチャンバー25内に配置又は固定されている)。
本実施の形態の飲料用演出グラス1では
図13(a)や
図13(b)のようにビームスプリッター60は無色透明な光透過トンネル20の内部に収納される構造になっているため、飲料Lが光透過性が低い飲料の場合(例えば濃い色のお茶や赤ワインなど)でもユーザーU1は上部開口11から映像表示装置80の画像82(厳密には画像82の反射像85)を視認する事が可能である(つまり、光透過トンネル20によりビームスプリッター60の周囲の空間に光透過性が低い飲料Lが入り込む事を防いでいる)。光透過トンネル20によりビームスプリッター60周囲の空間を飲料Lの色や透明度に関わらず強制的に透明化(厳密には無色透明化)することで画像82の光の投射光路Pの大部分或いは全てを強制的に透明化している。
本実施の形態の飲料用演出グラス1では透明(厳密には無色透明)な光透過トンネル20内(チャンバー25内)にビームスプリッター60を挿入口61より挿入(装着)することにより光透過トンネル20そのものをビームスプリッター化する事が可能である。なお、光透過トンネル20をビームスプリッターとして用いたくない場合は光透過トンネル20の挿入口61よりビームスプリッター60を光透過トンネル20の外部に取り出せば良い。
光透過トンネル20のビームスプリッター化について一つ注意点が有る。
図13(a)のように光透過トンネル20内に配置されたビームスプリッター60は映像表示装置80の画像82の光の一部(ビームスプリッター60がハーフミラーの場合は50%)を上部開口11方向に反射するため、その反射による損失分だけ必ず光透過トンネル20の側面を透過する画像82の光は減衰するので注意が必要である(通常、ビームスプリッターは光を反射する反射層を必ず備えるためその反射による損失分だけ無色透明な物体に比して暗い色になり光を減衰させてしまう)。つまり、光透過トンネル20をビームスプリッター化するとグラス側面のユーザーU2が視認する画像82の光がビームスプリッター60の反射損失分だけ暗くなるという事であり、特にグラス本体10内の飲料Lが透明度や光透過性が低い飲料の場合は光透過トンネル20のビームスプリッター化については十分注意が必要がある。
グラス本体10側面と光透過トンネル20側面を透過する画像82の光の光量を増やしたい場合は光透過トンネル20内からビームスプリッター60を取り外して光透過トンネル20を無色透明にすると良い(こうすることにより飲料Lの光透過性が低い場合や隙間Gが大きい場合でもユーザーU2から画像82が視認出来るようになる)。
本実施の形態の飲料用演出グラス1では飲料Lの透明度や状況に応じて光透過トンネル20のビームスプリッター化をON-OFF出来るのが大きなメリットである。
なお、ビームスプリッター60をチャンバー25内に固定する方法はマグネット機構や係止爪機構、ネジ等の取り外しが可能な機構や方法を用いるが望ましい。また、挿入口61は光透過トンネル20のどこに設けても構わないし、下部開口26を用いても良い。
【0018】
[飲料用演出グラスの第7の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第7の実施の形態を図面を用いて示すが、前述の第1の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図14(a)に示すように、光透過トンネル20の(グラス本体内における)固定位置が鉛直方向に変更可能にしても良い。こうすることにより、
図14(b)のように映像表示装置80の画像82のマスキング位置(又は透過させる位置)を制御できる。別の言い方をすると、本実施の形態の飲料用演出グラス1では光透過トンネル20のグラス本体10内の設置位置の高さを変更させることにより、ユーザーUからみた画像82の透過エリアの高さを変更出来る。
なお、光透過トンネル20の中心の鉛直方向の位置を変更させる機構については光透過トンネル20の固定手段27や支持棒21にネジ等のアジャスター機構やスライダー機構等を内蔵することにより実現しても良い。
また、(鉛直方向に異なる)光透過トンネル20の固定位置を複数備え、光透過トンネル20のグラス本体10内における鉛直方向の固定位置を切り替え又は変更可能にしても良い。具体的には光透過トンネル20をグラス本体10内に固定するための係止爪や固定用マグネットを垂直方向(鉛直方向)にグラス本体10の内壁面や支持棒21表面に複数配置(アレイ配置)することにより光透過トンネル20のグラス本体10内における鉛直方向の固定位置を切り替え(又は変更)出来るようにしても良い。
【0019】
[飲料用演出グラスの第8の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第8の実施の形態を図面を用いて示すが、前述の第1の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態の飲料用演出グラス1は
図15(a)や
図16(a)に示すように、光透過トンネル20の上端に画像82(より厳密には光透過トンネル20に入射した画像82の光)を透過させるための無色透明な材料から成る上端面70を備え、ユーザーUは映像表示装置80の画像82(厳密には光透過トンネル20を透過した透過画像83)を光透過トンネル20の側面と上端面70越しにグラス本体10の外部から視認することが可能である。
図15(a)の光路Pに示されるように、映像表示装置80の画像82(厳密には画像82の光)はグラス本体10の側面と光透過トンネル20の側面を透過した後に上端面70を透過し上部開口11に至る。
ユーザーUがグラス本体10内の飲料Lを飲むことにより飲料Lの水位を下がり上端面70が空気に触れるようになるため、本実施の形態の飲料用演出グラス1は飲料Lの量に応じて(つまり飲料Lのグラス本体10内の水位に応じて)光透過トンネル20の側面と上端面70越しに見える映像表示装置80の画像82(厳密には光透過トンネル20を透過した透過画像83)の濃さ(明るさ)が調整可能である。
なお、光透過トンネル20の上端面70を透過する画像82(透過画像83)の光は(前述の第2の実施の形態にて説明した)反射鏡や(前述の第6の実施の形態にて説明した)ビームスプリッターで反射した反射光ではなく、光透過トンネル20の側面より光透過トンネル20内部に入射した画像82の光を直接そのまま上端面70に透過させる透過光である。そのため、ユーザーUから見える上端面70を透過した画像82(透過画像83)はこれら反射光に比して明るく見える。金属を用いた鏡でも反射率はせいぜい8割から9割程度のため反射鏡やビームスプリッターで反射しない画像82の(直接の)透過光は反射鏡やビームスプリッターで一旦反射した光に比して当然強く明るくなることに注意されたい。
上端面70の形状は特に制限は無いが、上端面70で無用な光の散乱や反射を防ぐために可能なら平坦な面が望ましい。上端面70の上方から見た形状は
図15(b)のように円形の形状でも良いし、
図16(b)のように半月形状でも構わない。
なお、上端面70の面積が小さすぎると画像82(透過画像83)が透過出来る面積が小さくなるため、上端面70の面積は最低でも
図16(b)のように上部開口11の面積(又は上部開口11に囲まれた面積)の半分以上をカバー出来る大きさが望ましい。上端面70の面積を上部開口11の面積の半分以上にすることによりユーザーUは上部開口11を(真上方向から覗き込まなくても)斜め方向から画像82(透過画像83)を上端面70越しに上部開口11から視認可能である。上端面70の面積は上部開口11の半分(1/2)以上の大きさである事が望ましい。なお、上端面70の面積を上部開口11と完全に同じ大きさにしてしまうとグラス本体10内から飲料Lが流れ出るエリアが塞がれてしまいユーザーUがグラス本体10内の飲料Lを飲めなくなってしまうため上部開口11の面積は上部開口11の1/2~4/5の範囲にするのが実用的である。
日本人男性の鼻の高さの平均は約3.0~3.1[cm]と言われており、日本人女性の鼻の高さの平均は約2.7~2.8[cm]と言われている。上端面70と上部開口11の距離(又は直線距離)がそれら人間の鼻の高さ(具体的には約2~4[cm])に比して近い場合には、グラス本体10の飲料を飲む際にユーザーUの鼻(の先端)が上端面70の外周のエッジ部又は角部分に接触して怪我をしてしまう恐れが有る。そのため上端面70の外周部は湾曲している方が望ましい。
【0020】
[飲料用演出グラスの第9の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第9の実施の形態を図面を用いて示すが、前述の第1の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態の飲料用演出グラス1は
図17(a)に示すように、光透過トンネル20に入射した映像表示装置の画像82の光を光透過トンネルの内部から外部へ透過させるための平坦面71を光透過トンネル20の側面に備え、平坦面71は無色透明な材料から成り、平坦面71は平坦な面であり、平坦面71に面しているグラス本体10の内壁面はグラス本体10の外側に向けて凸型に湾曲しており、平坦面71に面しているグラス本体10の内壁面はグラス本体10の外側に向けて水平方向に湾曲しており、グラス本体10に飲料が充填されている時に平坦面71とグラス本体10の内壁面との間の飲料を透過することにより前記映像表示装置の画像82が拡大されることを特徴とする。
図17(b)に示すように、平坦面71とグラス本体10の内壁面の間の飲料Lは平凸レンズと同じ形状になるため、映像表示装置80の画像82がその平凸レンズの形状になった飲料のエリア(つまり平坦面71とグラス本体10の内壁面の間の飲料L2のエリア)を透過することにより
図17(a)の透過画像87のように画像82に比して水平方向に拡大される。水の光の屈折率は約1.333であり空気の光の屈折率よりも高いため平凸レンズの形状になった飲料L2のエリアが光学レンズ(つまり飲料レンズ)として画像82を拡大する。
本実施の形態の飲料用演出グラス1では、グラス本体10内の飲料Lの一部を光透過トンネル20の画像82の光の出力面(つまり平坦面71)とグラス本体10の内壁面で挟み込むことにより(ユーザーUに近い側の)グラス本体10内の飲料Lを部分的に平凸レンズの形状の飲料レンズL2と化している。こうする事により飲料Lが透明性が低い飲料の場合でもユーザーUは画像82の拡大像をグラス本体10越しに視認する事が可能になるのが大きな特長である。
平坦面71(つまり平凸レンズの形状の飲料レンズL2)の配置場所に関して一つ注意点がある。本実施の形態の飲料用演出グラス1では、
図17(a)や
図17(b)のように平坦面71を必ず画像82の光を光透過トンネル20の内部から外部へ透過させる側の面(つまり光透過トンネル20の画像の光の出力面)に設ける必要がある(つまり、平坦面71は光透過トンネル20又はグラス本体10の中心点C1を挟んで映像表示装置80が配置されている側と反対側の面に配置されている)。こうすることにより飲料Lによる(平凸レンズの形状の)飲料レンズL2のエリアをユーザーUから見て光透過トンネル20よりも手前側に配置できるため(つまりユーザーUの眼前に配置出来るため)、ユーザーUから見た透過画像87(画像82の拡大像)の迫力や臨場感を同飲料レンズL2のエリアが映像表示装置80と光透過トンネル20の間に配置されている場合(つまり、平坦面71を画像82の光を光透過トンネル20の外部から内部へ透過させる入力面又は光入射面側に設けた場合)に比して飛躍的に高める事が可能である。そのため平坦面71は必ず光透過トンネル20の画像82の光出力面(光透過トンネル20に入射した画像82の光が同トンネル内部から外部に出ていく側の面)に設けなくてはならない(別の言い方をすれば、ユーザーUから見て飲料レンズL2は光透過トンネルよりも手前側に配置されてなければならい)。
図18のように平坦面71をグラス本体10の底面(又は上部開口11)に対して傾斜させても良い(つまり平坦面71を垂直方向に傾斜させても良い)。こうすることにより平坦面71の上端とグラス本体10の内壁面との距離と平坦面71の下端とグラス本体10の内壁面との距離を異なるようにする事が可能になるため、平坦面71および平凸レンズの形状の飲料レンズL2のエリアを透過した(拡大した)透過画像87に飲料Lによる(垂直方向の)グラデーションのマスキング演出を施す事が可能である。つまり、
図18のように平坦面71を鉛直方向に傾斜させることにより(前述の第4の実施の形態や第5の実施の形態に説明した)垂直方向に段階的なグラデーションによる飲料マスキングによる演出効果を(拡大した)透過画像87に付与する事が可能である。
【0021】
[光透過装置の第1の実施の形態]
以下、本発明の光透過装置の第1の実施の形態を図面を用いて示すが、上記第1の実施の形態の飲料用演出グラス1と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図19(a)に示すように、本実施の形態の光透過装置100では光透過トンネル20と、光透過トンネル20をグラス本体10の内部に固定(又は支持)するための支持棒21と、コの字形状のコの字フレーム22とを備える。
支持棒21の上端と前記コの字フレーム22が連結しており、支持棒21の下端と光透過トンネル20が連結しており
図19(a)や
図19(b)に示すように上部開口11の端部をコの字フレーム22に挿入することにより光透過トンネル20がグラス本体10内に固定される。
上部開口11の端部をコの字フレーム22に挿入した状態で映像表示装置80の画像82がグラス本体10と光透過トンネル20(の側面)を透過してグラス本体10の外部に至る。
光透過装置100は支持棒21を備えるためユーザーはグラス本体10内の飲料Lに触れること無しに光透過トンネル20をグラス本体10の内部に配置出来る。
図20(a)や
図20(b)のように光透過トンネル20に平坦な光入射面101(平坦な面)を備える形状にすることにより(映像表示面81の)画像82の光を垂直に入射(つまり入射角が0度で入射)出来る形状にしても良い(こうすることにより光透過トンネル20に画像82の光を効率良く入射させる事が可能になる)。なお、
図20(a)ではコの字フレーム22及び支持棒21は一体化した板形状のフレームから構成されておりそれが光透過トンネル20に光入射面101に密着または一体化した構成になっている。板形状にすることによりグラス本体10と支持棒21やコの字フレーム22の接触面積が支持棒21が棒形状の場合(
図19(a))に比して増えるためグラス本体10と光透過装置100の摩擦に寄与するエリアを大きくすることが可能になる(つまりグラス本体10と光透過装置100の固定強度が増す)。
図20(a)のように光透過トンネル20のチャンバー25内にレンズ50を挿入しても良い。
図20(b)のようにチャンバー25内にレンズ50とビームスプリッター60を挿入(又は設置)しても良い。チャンバー25内にビームスプリッター60を挿入することにより光透過トンネル20つまり光透過装置100そのものをビームスプリッター化出来る。なお、画像82の光量や飲料Lの透明度が低い場合はビームスプリッター60をチャンバー25から取り外すことにより光透過トンネル20の光透過率を上昇させると良い。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、光透過トンネルを内部に備える飲料用演出グラスであり、グラス内部の飲料が赤ワインやコーヒーなどの光透過性が低い飲料の場合においてもユーザーはグラス越しにグラス側面の映像表示装置の映像や画像を視認できる。また、本発明の光透過装置を用いることによりユーザーはグラス本体内の飲料に触れること無しに光透過トンネルをグラス本体の内部に配置出来る。以上より本発明は産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0023】
U ユーザー
U1 ユーザー
U2 ユーザー
a なす角
P 光路(画像の光の投射光路)
L 飲料
L2 平坦面とグラス本体の内壁面と間の空間の飲料(平凸レンズの形状の飲料レンズ)
G 隙間(グラス本体の内壁面と光透過トンネルとの隙間)
d1 光透過トンネルの上端外周部とグラス本体内壁面との最短距離
d2 光透過トンネルの下端外周部とグラス本体内壁面との最短距離
d3 距離(グラス本体の側面の映像表示装置側の面と光透過トンネルの側面との最短距離)
h1 鉛直方向の長さ(グラス本体の高さ)
h2 鉛直方向の長さ(光透過トンネルの高さ)
R1 上部開口の径(上部開口の直径)
R2 グラス本体の内壁面の底面の径(グラス本体の内壁面の底面の直径)
C1 グラス本体の底面の中心点
1 飲料用演出グラス
10 グラス本体
11 上部開口
15 固定機構(ポケット機構)
20 光透過トンネル
21 支持棒
22 コの字フレーム
23 湾曲部
24 上端外周部(光透過トンネルの上端外周部)
25 チャンバー(空気室)
26 下部開口
27 固定手段
28 蓋
29 下端外周部(光透過トンネルの下端外周部)
30 反射鏡
50 無色透明なレンズ(光学レンズ)
60 ビームスプリッター
61 挿入口(ビームスプリッター着脱用の挿入口)
70 上端面(光を透過させるための無色透明な面)
71 平坦面(光透過トンネル内部に入射した光を同トンネル外部へ出力又は透過する光出力面)
80 映像表示装置
81 映像表示面
82 画像(映像表示装置の画像)
83 透過画像(光透過トンネルを透過した画像)
84 マスキング画像(飲料により遮蔽された部分の画像)
85 反射像
86 スピーカー
87 透過画像(平凸レンズ形状をした飲料を透過することにより拡大した透過画像)
100 光透過装置
101 光入射面(映像表示装置の画像の光を垂直入射するための平坦な面)
【要約】
【課題】 本発明はグラス内部に光透過性が低い飲料が充填されている場合でもグラス側面に固定された映像表示装置の画像や映像の光がグラス内部を透過することが可能な飲料用演出グラスを提供することを課題とする。また、その飲料用演出グラスを構成する際に用いる光透過装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の飲料用演出グラスは、上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、映像表示装置を前記グラス本体の側面に固定する固定機構と、透明な材料から成る光透過トンネルとを備え、前記グラス本体の側面は水平方向に湾曲しており、前記光透過トンネルは前記グラス本体の内部に固定され、前記映像表示装置の画像が前記グラス本体の側面と前記光透過トンネルを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする。
【選択図】
図1