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特許7287733表面拡散硬化型の鉛フリーハンダの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】表面拡散硬化型の鉛フリーハンダの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/02 20060101AFI20230530BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20230530BHJP
   B23K 35/40 20060101ALI20230530BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20230530BHJP
   C22C 13/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
C22C1/02 503N
B23K35/26 310A
B23K35/40 340Z
C22C13/00
C22C13/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022188771
(22)【出願日】2022-11-25
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】202111453089.3
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522462421
【氏名又は名称】東莞市千島金属錫品有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN CITY THOUSAND ISLAND METAL FOIL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 and No. 6, Xinlong Road, Tangxia Town, Dongguan, Guangdong 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】黄守友
(72)【発明者】
【氏名】張毅
(72)【発明者】
【氏名】叶橋生
(72)【発明者】
【氏名】黄義栄
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111088446(CN,A)
【文献】特開2005-246411(JP,A)
【文献】特開平11-277290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0151386(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106271187(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107984110(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110153587(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 1/02
B23K 35/26
B23K 35/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された重量配合比で原料を秤量し、錫を鋼製の容器内に入れ、鋼製容器を中間周波数炉に置いて第1の段階の昇温を行って、錫を液体に溶解させるステップS1と、
シリコン粉末を鋼製の容器内に振り入れ、十分に混合するように撹拌して、第1の段階の混合液を形成するステップS2と、
第1の段階の混合液に対して第2の段階の昇温を行い、銅粉末、アンチモン粉末を振り入れ、十分に混合するように撹拌し続けて、第2の段階の混合液を形成するステップS3と、
第2の段階の混合液を第1の段階の温度まで降温させてからニッケル粉末を加えて再撹拌するステップS4と、
アンモニウムクロリド溶液を鋼製の容器に入れ、260℃~360℃の条件で酸素及び不純物を除去するステップS5と、
撹拌済みのハンダを金型内に注ぎ入れ、必要なハンダを得るステップS6とを含み、
前記鉛フリーハンダは、重量%で、シリコン粉末0.05%~0.1%、ニッケル粉末0.1%~1%、銅粉末1.5%~9%、アンチモン粉末2%~11%、残量の錫で構成され、
前記第1の段階では260℃~360℃まで昇温させ、第2の段階では640℃~680℃まで昇温させ、
前記アンモニウムクロリド溶液の重量はハンダ原料の総重量の0.4%~0.8%を占め、アンモニウムクロリド溶液の質量分率は40%~46%である、
ことを特徴とする表面拡散硬化型の鉛フリーハンダの製造方法。
【請求項2】
前記シリコン粉末が0.08%で、ニッケル粉末が0.6%で、銅粉末が8%で、アンチモン粉末が10%で、残量が錫である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の段階の混合液の撹拌時間は15min~20minであり、第2の段階の混合液の撹拌時間は25min~35minであり、再撹拌の時間は15min~25minである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンダ付け材料製造の分野に関し、特に表面拡散硬化型の鉛フリーハンダの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンダ付けは、溶接とも呼ばれ、金属、又はプラスチックなどの他の熱可塑性材料を加熱、高温又は高圧で接合する製造工程及び技術であり、従来技術において、電子工業のハンダ付け材料は、主に錫鉛合金を主成分とし、錫鉛合金は優れたハンダ付け性能を有するが、鉛は有毒な物質であり、体内に入った後、骨に蓄積され、かつ排出されにくいことにより、作業者の鉛中毒が起こる。技術の発展に伴い、電子製品の組立及びハンダ付けは次第に鉛フリーハンダ化製造に移行しつつある。しかし、従来の鉛フリーハンダは、ハンダ付け後のハンダバンプの表面硬度が不十分(ブリネル硬度が約21である)であるため、ハンダの変形抵抗性能が悪く、ハンダ剥離が発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記背景技術で提起された問題を解決するための、表面拡散硬化の鉛フリーハンダの製造方法を提供する。
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術案を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
表面拡散硬化型の鉛フリーハンダの製造方法は、
設定された重量配合比で原料を秤量し、錫を鋼製の容器内に入れ、鋼製容器を中間周波数炉に置いて第1の段階の昇温を行って、錫を液体に溶解させるステップS1と、
シリコン粉末を鋼製の容器内に振り入れ、十分に混合するように撹拌して、第1の段階の混合液を形成するステップS2と、
第1の段階の混合液に対して第2の段階の昇温を行い、銅粉末、アンチモン粉末を振り入れ、十分に混合するように撹拌し続けて、第2の段階の混合液を形成するステップS3と、
第2の段階の混合液を第1の段階の温度まで降温させてからニッケル粉末を加えて再撹拌するステップS4と、
アンモニウムクロリド溶液を鋼製の容器に入れ、高温で酸素及び不純物を除去するステップS5と、
撹拌済みのハンダを金型内に注ぎ入れ、必要なハンダを得るステップS6とを含み、
前記鉛フリーハンダは、重量%で、シリコン粉末0.05%~0.1%、ニッケル粉末0.1%~1%、銅粉末1.5%~9%、アンチモン粉末2%~11%、残量の錫で構成される。
【0006】
選択可能に、前記第1の段階において260℃~360℃まで昇温し、第2の段階において640℃~680℃まで昇温する。
【0007】
選択可能に、前記シリコン粉末が0.08%で、ニッケル粉末が0.6%で、銅粉末が8%で、アンチモン粉末が10%で、残量が錫である。
【0008】
選択可能に、アンモニウムクロリド溶液の重量はハンダ原料の総重量の0.4%~0.8%を占め、アンモニウムクロリド溶液の質量分率は40%~46%である。
【0009】
選択可能に、第1の段階の混合液の撹拌時間は15min~20minであり、第2の段階の混合液の撹拌時間は25min~35minであり、再撹拌の時間は15min~25minである。
【0010】
選択可能に、ステップS5において、260℃~360℃の条件で酸素及び不純物を除去する。
【発明の効果】
【0011】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は次のとおりである。
本発明のハンダは安全で環境にやさしく、ハンダのハンダバンプの表面のブリネル硬度が26まで向上した。これは、シリコン粉末を加えて錫液と260℃~360℃で混合してから温度を640℃~680℃まで上げた場合、比較的緻密な微細孔を形成することができるためであり、こうすると、銅やアンチモンの分散充填が容易になり、強化材の金属組織構造を改善すると共に、混合材料の内部及び表面を分散硬化させ、製造されたハンダのハンダバンプの表面硬度を向上させることができる。また、ニッケルを加えて再撹拌することにより、ハンダのハンダバンプの硬度及び耐食性をさらに向上させることができる。走査型電子顕微鏡やエネルギー分散分光装置でハンダバンプを観察すると、その外表面が滑らかで平坦であることを発見できる。外観から見ると、ハンダバンプの表面が特に明るく、ハンダバンプは丸々で、連続的にハンダ付けされていない。使用時に、基材(ソリッド材)との親和性がより良くなり、溶接継ぎ目が滑らかで綺麗である。従って、当該鉛フリーハンダは、従来の、鉛フリーハンダの表面硬度が不十分である等の技術的問題を効果的に解決することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確で完全に説明し、明らかに、説明された実施例は、すべての実施例ではなく、本発明の実施例の一部にすぎない。当業者が創造的な働きなしに得た他の実施例は、いずれの本発明の保護範囲に属すべきである。
【0013】
本発明は次の技術案を提供する。
(実施例1)
【0014】
表面拡散硬化型の鉛フリーハンダの製造方法は、
設定された重量配合比で原料を秤量し、錫を鋼製の容器内に入れ、鋼製容器を中間周波数炉に置いて第1の段階の昇温を行って、錫を液体に溶解させるステップS1と、
シリコン粉末を鋼製の容器内に振り入れ、十分に混合するように撹拌して、第1の段階の混合液を形成するステップS2と、
第1の段階の混合液に対して第2の段階の昇温を行い、銅粉末、アンチモン粉末を振り入れ、十分に混合するように撹拌し続けて、第2の段階の混合液を形成するステップS3と、
第2の段階の混合液を第1の段階の温度まで降温させてからニッケル粉末を加えて再撹拌するステップS4と、
アンモニウムクロリド溶液を鋼製の容器に入れ、高温で酸素及び不純物を除去するステップS5と、
撹拌済みのハンダを金型内に注ぎ入れ、必要なハンダを得るステップS6とを含む。
【0015】
具体的には、前記鉛フリーハンダは、重量%で、シリコン粉末0.06%、ニッケル粉末0.5%、銅粉末3%、アンチモン粉末6%、残量の錫で構成される。
【0016】
具体的には、前記第1の段階では280℃まで昇温させ、第2の段階では650℃まで昇温させ、ステップS5において、280℃の条件で酸素及び不純物を除去する。
【0017】
具体的には、前記アンモニウムクロリド溶液の重量は、ハンダ原料の総重量の0.5%を占め、アンモニウムクロリド溶液の質量分率は42%である。
【0018】
具体的には、ステップS5は次のとおりであり、アンモニウムクロリド溶液をステップS4によって製造された金属混合液の表面に280℃の条件でゆっくり加える際に、多量のガスが発生するため、撹拌しながら加える必要があり、それにより、アンモニウムクロリド溶液を金属溶液と混合して反応させ、少量の酸化スラグが発生して気化することにより、金属中の酸素及び不純物ガスが除去され、微量の不純物は酸化スラグに伴って金属液の表面に浮上し、静置した後にストレーナーで掬い取る。
【0019】
具体的には、前記第1の段階の混合液の撹拌時間は18minであり、第2の段階の混合液の撹拌時間は28minであり、再撹拌の時間は18minである。
【0020】
本実施例では、鉛フリーハンダの製造に使用される各物質の重量は、シリコン粉末0.06kg、ニッケル粉末0.5kg、銅粉末3kg、アンチモン粉末6kg、錫90.44kg、アンモニウムクロリド溶液0.5kgである。
(実施例2)
【0021】
実施例1とほぼ同じであり、若干異なる点は次のとおりである。
【0022】
前記鉛フリーハンダは、重量%で、前記シリコン粉末0.08%、ニッケル粉末0.6%、銅粉末8%、アンチモン粉末10%、残量の錫で構成される。
【0023】
前記第1の段階では335℃まで昇温させ、第2の段階では660℃まで昇温させ、ステップS5において、335℃の条件で酸素及び不純物を除去する。
【0024】
前記アンモニウムクロリド溶液の重量はハンダ原料の総重量の0.6%を占め、アンモニウムクロリド溶液の質量分率は45%である。
【0025】
前記第1の段階の混合液の撹拌時間は16minであり、第2の段階の混合液の撹拌時間は30minであり、再撹拌の時間は20minである。
【0026】
本実施例では、鉛フリーハンダの製造に使用される各物質の重量は、シリコン粉末0.08kg、ニッケル粉末0.6kg、銅粉末8kg、アンチモン粉末10kg、錫81.32kg、アンモニウムクロリド溶液0.6kgである。
(実施例3)
【0027】
実施例1とほぼ同じであり、若干異なる点は次のとおりである。
【0028】
具体的には、前記鉛フリーハンダは、重量%で、シリコン粉末0.07%、ニッケル粉末1%、銅粉末7%、アンチモン粉末8%、残量の錫で構成される。
【0029】
前記第1の段階では350℃まで昇温させ、第2の段階では670℃まで昇温させ、ステップS5において、350℃の条件で酸素及び不純物を除去する。
【0030】
前記アンモニウムクロリド溶液の重量はハンダ原料の総重量の0.7%を占め、アンモニウムクロリド溶液の質量分率は44%である。
【0031】
前記第1の段階の混合液の撹拌時間は19minであり、第2の段階の混合液の撹拌時間は33minであり、再撹拌の時間は22minである。
【0032】
本実施例では、鉛フリーハンダの製造に使用される各物質の重量は、シリコン粉末0.07kg、ニッケル粉末1kg、銅粉末7kg、アンチモン粉末8kg、錫83.93kg、アンモニウムクロリド溶液0.7kgである。
【0033】
本発明では、実施例2のステップS2を省略すると共に、ステップS3から第1の段階の混合液に対して第2の段階の昇温を行うことを省略し、他の条件はそのままであり、即ち製造方法は、
設定された重量配合比で原料を秤量し、錫を鋼製の容器内に入れ、鋼製容器を中間周波数炉に置いて第1の段階の昇温を行って、錫を液体に溶解させるステップS1と、
銅粉末、アンチモン粉末を振り入れ、十分に混合するように撹拌し続けて、第2の段階の混合液を形成するステップS2と、
続いて、ニッケル粉末を加えて再撹拌するステップS3と、
アンモニウムクロリド溶液を鋼製の容器に入れ、高温で酸素及び不純物を除去するステップS4と、
撹拌済みのハンダを金型内に注ぎ入れ、必要なハンダを得るステップS5とを含む。
【0034】
それにより、ハンダAを製造し、このハンダAを用いて30ブロックの配線基板に対してハンダ付けを行い、各ブロックから1つの点をランダムに抽出する。標準DL/T868-2004に応じてハンダ付けジョイントに対してブリネル硬度試験を行い、具体的な結果は表1に示すとおりである。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明では、実施例2のステップS2を省略し、他の条件はそのままであり、即ち製造方法は、
設定された重量配合比で原料を秤量し、錫を鋼製の容器内に入れ、鋼製容器を中間周波数炉に置いて第1の段階の昇温を行って、錫を液体に溶解させるステップS1と、
第1の段階の混合液に対して第2の段階の昇温を行い、銅粉末、アンチモン粉末を振り入れ、十分に混合するように撹拌し続けて、第2の段階の混合液を形成するステップS2と、
第2の段階の混合液を第1の段階の温度まで降温させてからニッケル粉末を加えて再撹拌するステップS3と、
アンモニウムクロリド溶液を鋼製の容器に入れ、高温で酸素及び不純物を除去するステップS4と、
撹拌済みのハンダを金型内に注ぎ入れ、必要なハンダを得るステップS5とを含む。
【0037】
それにより、ハンダBを製造し、このハンダBで30ブロックの配線基板をハンダ付けし、各ブロックから1つの点をランダムに抽出する。標準DL/T868-2004に応じてハンダ付けジョイントに対してブリネル硬度試験を行い、具体的な結果は表2に示すとおりである。
【0038】
【表2】
【0039】
本発明では、実施例2のステップS3から第1の段階の混合液に対して第2の段階の昇温を行うことを省略し、他の条件はそのままであり、即ち製造方法は、
設定された重量配合比で原料を秤量し、錫を鋼製の容器内に入れ、鋼製容器を中間周波数炉に置いて第1の段階の昇温を行って、錫を液体に溶解させるステップS1と、
シリコン粉末を鋼製の容器内に振り入れ、十分に混合するように撹拌して、第1の段階の混合液を形成するステップS2と、
銅粉末、アンチモン粉末を振り入れ、十分に混合するように撹拌し続けて、第2の段階の混合液を形成するステップS3と、
続いて、ニッケル粉末を加えて再撹拌するステップS4と、
アンモニウムクロリド溶液を鋼製の容器に入れ、高温で酸素及び不純物を除去するステップS5と、
撹拌済みのハンダを金型内に注ぎ入れ、必要なハンダを得るステップS6とを含む。
【0040】
それにより、ハンダCを製造し、このハンダCで30ブロックの配線基板をハンダ付けし、各ブロックから1つの点をランダムに抽出する。標準DL/T868-2004に応じてハンダ付けジョイントに対してブリネル硬度試験を行い、具体的な結果は表3に示すとおりである。
【0041】
【表3】
【0042】
本発明では、それぞれ実施例1、2、3の方法でハンダを製造し、実施例毎に10部ずつ、合計30部のハンダDを製造し、続いて、10部ずつハンダ付けされた10ブロックの配線基板に対応し、合計30ブロックの配線基板をハンダ付けし、各ブロックから1つの点をランダムに抽出する。標準DL/T868-2004に応じてハンダ付けジョイントに対してブリネル硬度試験を行い、具体的な結果は表4に示すとおりである。
【0043】
【表4】
【0044】
従来のSn-3.2Ag-0.5Cu鉛フリーハンダを比較例1として、同じハンダで30ブロックの配線基板をハンダ付けし、各ブロックから1つの点をランダムに抽出する。標準DL/T868-2004に応じてハンダ付けジョイントに対してブリネル硬度試験を行い(HB-3000型のブリネル硬度試験機を用いて試験する)、具体的な結果は表5に示すとおりである。
【0045】
【表5】
【0046】
上記表5から分かるように、試験により、既存の比較例1の鉛フリーハンダのハンダバンプの表面のブリネル硬度が21で、上下に変化するが、変化幅が小さく、全体的に21に維持される。
【0047】
表1と表5との比較から分かるように、液体に溶解された錫にシリコン粉末を加えず、且つ混合液の温度を第1の段階から第2の段階に昇温させずに製造したハンダAは、試験により、当該ハンダのハンダバンプの表面のブリネル硬度は大体22.2であり、つまり、当該ハンダの表面のブリネル硬度は従来技術よりある程度向上したが、著しくない。
【0048】
表2と表5との比較から分かるように、液体に溶解された錫にシリコン粉末を加えずに、混合液の温度を第1の段階から第2の段階に昇温させて製造したハンダBは、試験により、当該ハンダのハンダバンプの表面のブリネル硬度は大体22.4であり、つまり、当該ハンダの表面のブリネル硬度は従来技術よりある程度向上したが、著しくない。
【0049】
表3と表5との比較から分かるように、液体に溶解された錫にシリコン粉末を加えるが、混合液の温度を第1の段階から第2の段階に昇温させずに製造したハンダCは、試験により、当該ハンダの表面のブリネル硬度は大体22.6であり、つまり、当該ハンダの表面のブリネル硬度は従来技術よりある程度向上したが、同様に、著しくない。
【0050】
上記表1、表2、表3をそれぞれ比較し、製造されたハンダ表面のブリネル硬度の平均も22に維持され、その結果は表5と比べ、表面の硬度の向上が著しくない。
【0051】
表2及び表3と表5との比較から分かるように、液体に溶解された錫にシリコン粉末を加え、混合液の温度を第1の段階から第2の段階に昇温させて製造したハンダDは、ハンダのハンダバンプの表面のブリネル硬度を26に向上させルことができ、上下に変化するが、変化幅が小さく、全体的に26に維持される。これは、シリコン粉末を加えて錫液と(260℃~360℃)混合してから温度を(640℃~680℃)上げた場合、比較的緻密な微細孔を形成することができるためであり、こうすると、銅やアンチモンの分散充填が容易になり、強化材の金属組織構造を改善すると共に、混合材料の内部及び表面を分散硬化させ、製造されたハンダのハンダバンプの表面硬度を向上させることができる。また、ニッケルを加えて再撹拌することにより、ハンダのハンダバンプの硬度及び耐食性をさらに向上させることができる。走査型電子顕微鏡(SEM)やエネルギー分散分光装置(EDS)でハンダバンプを観察すると、その外表面が滑らかで平坦であることを発見できる。外観から見ると、ハンダバンプの表面が特に明るく、ハンダバンプは丸々で、連続的にハンダ付けされていない。使用時に、基材(ソリッド材)との親和性がより良くなり、溶接継ぎ目が滑らかで綺麗である。従って、本発明の鉛フリーハンダは、従来の、鉛フリーハンダの表面硬度が不十分である等の技術的問題を効果的に解決することができる。
【0052】
本発明の実施例を示して説明したが、当業者であれば、本発明の原理と趣旨から逸脱せずに、これらの実施例に対して様々な変更、修正、置き換え、変形を行うことができ、本発明の範囲は添付された特許請求の範囲及びその等価物により限定されることを理解されたい。
【要約】      (修正有)
【課題】表面拡散硬化型の鉛フリーハンダの製造方法を提供する。
【解決手段】方法は、設定された重量配合比で原料を秤量し、錫を鋼製の容器内に入れ、鋼製容器を中間周波数炉に置いて第1の段階の昇温を行って、錫を液体に溶解させるステップと、シリコン粉末を鋼製の容器内に振り入れ、十分に混合するように撹拌して、第1の段階の混合液を形成するステップと、第1の段階の混合液に対して第2の段階の昇温を行い、銅粉末、アンチモン粉末を振り入れ、十分に混合するように撹拌し続けて、第2の段階の混合液を形成するステップと、第2の段階の混合液を第1の段階の温度まで降温させてからニッケル粉末を加えて再撹拌するステップと、アンモニウムクロリド溶液を鋼製の容器に入れ、高温で酸素及び不純物を除去するステップと、撹拌済みのハンダを金型内に注ぎ入れ、必要なハンダを得るステップとを含む。
【選択図】なし