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特許7287751リング精紡機の不正ドッフィング検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】リング精紡機の不正ドッフィング検出装置
(51)【国際特許分類】
   D01H 9/02 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
D01H9/02 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017078347
(22)【出願日】2017-04-11
(65)【公開番号】P2018178302
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2019-07-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】水野 結介
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 豊
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】八木 誠
【審判官】筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-45135(JP,A)
【文献】特開2004-332141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング精紡機の不正ドッフィング検出装置であって、
錘毎に設けられ、糸又はトラベラを検出すると共に、管糸又はボビンの少なくとも一部を検出範囲に含む糸切れ検出部としての光学式センサと、
前記管糸を抜き取り、その後に、前記ボビンを挿入するドッフィング期間内における前記光学式センサの信号変動から前記管糸又は前記ボビンの前記検出範囲内における存在状態を認識し、前記管糸又は前記ボビンの前記存在状態に基づき不正ドッフィングの有無を錘毎に判定する判定部と、
前記判定部により不正ドッフィングが発生したと判定された錘の位置を出力する出力部と
を備える装置。
【請求項2】
前記判定部は、スピンドルに対する管糸抜き取り処理のタイミングで不正ドッフィングの有無を判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記判定部は、スピンドルに対するボビン挿入処理のタイミングで不正ドッフィングの有無を判定する、請求項1または2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リング精紡機の不正ドッフィング検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精紡機のドッフィング処理において、不正ドッフィングが発生した場合には、これを検出して適宜対応することが必要となる。特許文献1には、スピンドルからのボビンの抜き取り失敗を検出するための構成が記載されている。特許文献1の構成では、ボビンの抜き取り失敗が検出された場合には、作業員が抜き取り失敗のあった場所を探し、その場所に移動した後に満管糸をスピンドルから引き抜く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭48-3339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、不正ドッフィングが発生した場所を特定するために時間がかかるという問題があった。たとえば、特許文献1の構成では、不正ドッフィングが発生したスピンドル列までは自動的に特定できるが、そのスピンドル列のどのスピンドルが不正ドッフィングを起こしたかは作業員が特定する必要がある。
【0005】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたものであり、リング精紡機において不正ドッフィングが発生した場所をより容易に特定できる、不正ドッフィング検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る装置は、リング精紡機の不正ドッフィング検出装置であって、錘毎に設けられ、糸又はトラベラを検出すると共に、管糸又はボビンの少なくとも一部を検出範囲に含む糸切れ検出部としての光学式センサと、管糸を抜き取り、その後に、ボビンを挿入するドッフィング期間内における光学式センサの信号変動から管糸又はボビンの検出範囲内における存在状態を認識し、管糸又はボビンの存在状態に基づき不正ドッフィングの有無を錘毎に判定する判定部と、前記判定部により不正ドッフィングが発生したと判定された錘の位置を出力する出力部とを備える。
【0007】
この構成によれば、錘毎に、光学式センサの信号変動に基づいて不正ドッフィングの有無が判定される。
【0008】
特定の態様によれば、判定部は、スピンドルに対する管糸抜き取り処理のタイミングで不正ドッフィングの有無を判定する。
特定の態様によれば、判定部は、スピンドルに対するボビン挿入処理のタイミングで不正ドッフィングの有無を判定する。
特定の態様によれば、糸切れ検出部は光学式センサを備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、既存の光学式センサの検出結果を利用して不正ドッフィングの位置を出力するので、作業員は不正ドッフィングが発生した場所をより容易に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る不正ドッフィング検出装置を含む構成の例を示す図である。
図2図1のリング精紡機の構成の例を示す図である。
図3図2の錘および糸切れセンサの構成の例を示す図である。
図4図1の情報処理装置の構成の例を示す図である。
図5】管糸抜き取り処理時の判定について説明する図である。
図6】ボビン挿入処理時の判定について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係る、リング精紡機の不正ドッフィング検出装置を含む構成の例を示す。不正ドッフィング検出装置は、1台以上のリング精紡機10に関連して設けられる。なお、リング精紡機10は図示のように複数台が整列して配置されていると好適であるが、1台のみであっても、または整列されていなくとも、本発明は実施可能である。
【0012】
本実施形態では、不正ドッフィング検出装置は情報処理装置20および携帯端末30を備える。情報処理装置20はたとえば公知のコンピュータを用いて構成することができ、演算手段および記憶手段を備える。情報処理装置20はさらに通信手段を備えており、リング精紡機10に関連して設けられる機器との間および携帯端末30との間で情報の送受信を行うことができる。
【0013】
携帯端末30は、個人が携帯することが可能なコンピュータを用いて構成することができ、演算手段および記憶手段を備える。携帯端末30はさらに通信手段を備えており、情報処理装置20との間で情報の送受信を行うことができる。携帯端末30はスマートフォンまたはウェアラブルコンピュータであってもよい。本実施形態では、携帯端末30が出力部を構成し、不正ドッフィングが発生した錘の位置を出力する。
【0014】
図2に、リング精紡機10の構成の例を示す。リング精紡機10は、錘11と、糸切れセンサ12と、糸切れ表示ランプ13とを備える。糸切れセンサ12は糸切れ検出部を構成し、錘11毎に設けられる。また、本実施形態では、糸切れ表示ランプ13も錘11毎に設けられる。
【0015】
図3に、錘11および糸切れセンサ12の構成の例を示す。糸切れセンサ12は、対応する錘11が糸切れ状態であるか、または非糸切れ状態であるかを決定するための情報を取得する。リング精紡機10には支持部材80(たとえばスピンドルレール)が取り付けられ、支持部材80にはスピンドル50が固定される。ボビン60がスピンドル50に挿入され、スピンドル50および支持部材80によって支持される。ボビン60はその底部に尻金60aを備える。リング精紡機10の運転期間内において、尻金60aの上方、ボビン60の周囲に、管糸70が巻き付けられてゆく。
【0016】
糸切れセンサ12は、本実施形態では光学式センサを備える。図3においてグレーで示した領域が、糸切れセンサ12の視野である(後述の図5および図6について同じ)。糸切れセンサ12は、たとえばこの視野内に投光し、糸又はトラベラからの反射光の光量変化に基づき、錘11の糸切れを検知する。糸切れを検知するための方法および具体的構成はとくに説明しないが、たとえば特表2005-535794に記載されるようにトラベラを検知するものであってもよいし、特開平9-188923に記載されるようにバルーニングした糸の有無を検知するものであってもよい。
【0017】
糸切れセンサ12が糸切れを検知した場合のリング精紡機10等の動作については、どのようなものであってもよいが、たとえば、糸切れ表示ランプ13が糸切れセンサ12からの信号に応じて点灯するように構成してもよい。
【0018】
なお、本実施形態において、糸切れセンサ12の視野には、管糸70またはボビン60の少なくとも一部が含まれる。図3の例では管糸70の一部が含まれている。
【0019】
図4に、情報処理装置20の構成の例を示す。情報処理装置20は判定部21を備える。判定部21は、情報処理装置20の演算手段および記憶手段が、記憶手段に記憶されたプログラムに従って協働することによって実現される。
【0020】
情報処理装置20は、リング精紡機10の動作を制御または監視し、各リング精紡機10がドッフィング期間にあるか、または非ドッフィング期間(たとえば運転期間)にあるかを認識する。ドッフィング期間とは、リング精紡機10が錘11のドッフィング処理を実行する処理を含む期間をいう。ドッフィング処理は、各錘11のスピンドル50に対して、まず管糸(満管糸または満管ボビン)を抜き取り、その後に、ボビン(空ボビン)を挿入するという動作を含む。このように、ドッフィング期間は、管糸抜き取り処理のタイミングと、ボビン挿入処理のタイミングとを含むということができる。
【0021】
本実施形態では、ドッフィング期間内では糸切れ検知を行う必要はない。すなわち、糸切れセンサ12は、リング精紡機10の運転期間の少なくとも一部においては糸切れを検出するためのセンサとして機能するものであるが、他の期間(たとえばドッフィング期間)においては、糸切れを検出するためのセンサとして機能する必要はない。
【0022】
判定部21は、ドッフィング期間内における糸切れセンサ12の信号変動に基づいて、不正ドッフィングの有無を判定する。本実施形態では、糸切れセンサ12のそれぞれから出力される映像信号または光量信号に基づいて、判定が行われる。また、本実施形態では、リング精紡機10の動作に対応したタイミングで判定が行われる。たとえば、判定部21は、スピンドル50に対する管糸抜き取り処理のタイミングと、スピンドル50に対するボビン挿入処理のタイミングとにおいて、それぞれ不正ドッフィングの有無を判定する。
【0023】
以下、図5および図6を用いて、判定のより詳細な具体例について説明する。
図5は、ドッフィング処理のうち管糸抜き取り処理時の判定について説明する図である。このタイミングでの不正ドッフィング判定は、管糸抜き取り失敗判定である。
図5(a)は、管糸抜き取り処理の開始前の状態を示す。糸切れセンサ12の視野に管糸70の一部が存在しており、糸切れセンサ12はこの状態を検出して信号を出力する。判定部21はこの信号を受信し、管糸70が視野内に存在していることを認識する。
【0024】
判定部21による認識処理の内容は任意に設計可能であるが、たとえば画像処理によって管糸70を表す領域を検出する処理を用いてもよいし、視野内の光量が所定の閾値以上かどうかを判定する処理を用いてもよい。検出すべき領域の色および光量の比較方法は、管糸70の色等に応じて設計可能である。以下、判定部21による認識処理について同様である。
【0025】
図5(b)は、管糸抜き取り処理が進行中である状態を示す。ボビン60(およびこれに巻き付けられた管糸70)が矢印の方向に移動してゆく。この移動につれて、糸切れセンサ12の信号が変動する。
【0026】
図5(c)は、管糸抜き取り処理が完了した状態を示す。糸切れセンサ12の視野には管糸70はもはや存在しておらず、糸切れセンサ12はこの状態を検出して信号を出力する。判定部21はこの信号を受信し、管糸70が視野内に存在していないことを認識する。
【0027】
このように、管糸抜き取り処理の前後で、管糸70が視野内に存在している状態から、管糸70が視野内に存在していない状態へと遷移した場合に、判定部21は、ドッフィング処理が正常に終了した(すなわち不正ドッフィングは発生していない)と判定する。より具体的には、糸切れセンサ12の信号が、管糸70(またはその一部)の存在を示す状態から、管糸70(またはその一部)の存在を示さない状態へと変動した場合に、判定部21は、ドッフィング処理が正常に終了した(すなわち不正ドッフィングは発生していない)と判定する。
【0028】
そうでない場合には、判定部21は、ドッフィング処理が正常に終了しなかった(すなわち不正ドッフィングが発生した)と判定する。このようなケースは、たとえば、ボビン60が正しく抜き取られずスピンドル50に挿入されたままとなっており、したがって管糸70の一部が糸切れセンサ12の視野内に留まっているような場合に発生する。
【0029】
図6は、ドッフィング処理のうちボビン挿入処理時の判定について説明する図である。このタイミングでの不正ドッフィング判定は、ボビン挿入失敗判定である。
図6(a)は、ボビン挿入処理の開始前の状態を示す。糸切れセンサ12の視野にはボビン60は存在しておらず、糸切れセンサ12はこの状態を検出して信号を出力する。判定部21はこの信号を受信し、ボビン60が視野内に存在していないことを認識する。
【0030】
図6(b)は、ボビン挿入処理が進行中である状態を示す。尻金60aを備えるボビン60が矢印の方向に移動してゆく。この移動につれて、糸切れセンサ12の信号が変動する。
【0031】
図6(c)は、ボビン挿入処理が完了した状態を示す。糸切れセンサ12の視野にはボビン60が存在しており、糸切れセンサ12はこの状態を検出して信号を出力する。判定部21はこの信号を受信し、ボビン60が視野内に存在していることを認識する。
【0032】
このように、ボビン挿入処理の前後で、ボビン60が視野内に存在していない状態から、ボビン60が視野内に存在している状態へと遷移した場合に、判定部21は、ドッフィング処理が正常に終了した(すなわち不正ドッフィングは発生していない)と判定する。より具体的には、糸切れセンサ12の信号が、ボビン60(またはその一部)の存在を示さない状態から、ボビン60(またはその一部)の存在を示す状態へと変動した場合に、判定部21は、ドッフィング処理が正常に終了した(すなわち不正ドッフィングは発生していない)と判定する。そうでない場合には、判定部21は、ドッフィング処理が正常に終了しなかった(すなわち不正ドッフィングが発生した)と判定する。
【0033】
また、情報処理装置20は、いずれかの錘11において不正ドッフィングが発生した場合に、不正ドッフィングを検出した糸切れセンサ12が対応する錘11を特定し、その錘11の位置を携帯端末30に送信する。携帯端末30はこれを受信するとともに、作業員に対して出力する。各錘11の位置を表す情報の形式は任意に設計可能であるが、たとえば、リング精紡機識別情報と、錘ライン識別情報と、錘識別情報との組とすることができる。ここで、リング精紡機識別情報とは、リング精紡機10を特定する情報であり、たとえば図1に示す複数のリング精紡機10のうちいずれにその錘が属するかを表す。錘ライン識別情報とは、リング精紡機10において錘11が配置された錘ラインを特定する情報であり、たとえば図2に示す2列の錘ラインのうちいずれにその錘が属するかを表す。錘識別情報とは、錘ラインにおいて錘11が配置された位置を特定する情報であり、たとえばリング精紡機10の長手方向における錘11の位置または番号である。
【0034】
作業員は、携帯端末30からの出力に応じ、たとえば出力された情報に基づいて不正ドッフィングが発生した錘11の位置まで移動することができる。
【0035】
以上説明するように、本発明の実施の形態1に係る不正ドッフィング検出装置によれば、糸切れセンサ12の検出結果を利用して不正ドッフィングの位置を出力するので、作業員は不正ドッフィングが発生した場所をより容易に特定できる。
【0036】
また、既存の糸切れセンサ12を流用することができるので、不正ドッフィングを検出するためのセンサ等を追加で設ける必要がない。
【0037】
上述の実施の形態1において、以下のような変形を施すことができる。
実施の形態1では糸切れセンサ12は光学式のセンサを備えるが、糸切れセンサ12の具体的構成は当業者が適宜設計可能である。たとえば磁気式のセンサを備えてもよく、その場合には、尻金60aが存在しているか否かに基づいて不正ドッフィングを判定してもよい。磁気式の糸切れセンサの例は、特開2014-169511号公報に記載される。
【0038】
実施の形態1では、管糸抜き取り失敗判定では管糸70の存在を基準としているが、ボビン60または他の構成要素の存在を基準としてもよいし、他の判定方法または判定基準を用いてもよい。また、ボビン挿入失敗判定ではボビン60の存在を基準としているが、他の構成要素の存在を基準としてもよいし、他の判定方法または判定基準を用いてもよい。
【0039】
「不正ドッフィング」の定義は任意に設計可能である。実施の形態1では、不正ドッフィングの判定は管糸抜き取り失敗判定およびボビン挿入失敗判定の双方を含むが、変形例としていずれか一方を除外してもよい。また、ドッフィングに関連して行われる他の処理について、その処理が失敗した場合に不正ドッフィングが発生したと判定するように構成してもよい。
【0040】
糸切れセンサ12が糸切れを検知した場合に、出力部(実施の形態1では携帯端末30)が糸切れ錘の位置を表す情報を出力するように構成してもよい。この場合には、携帯端末30は、ドッフィング期間内には不正ドッフィング錘の位置を出力し、非ドッフィング期間内には糸切れ錘の位置を出力することになる。このようにすると、既存の糸切れセンサ12のみならず、糸切れ錘の位置を出力するための既存の構成(携帯端末30が既設である場合等)までも流用することができる。
【0041】
不正ドッフィングが発生した錘11の位置を出力する出力部の具体的構成は、携帯端末30に限らない。たとえばその錘11に対応する糸切れ表示ランプ13を点灯させることによって位置を示してもよい。または、リング精紡機10に関連して設けられる出力装置であってもよい。より具体的には、所定間隔で配置されるディスプレイ装置(またはこれを備えるコンピュータ)を用いてもよい。
【0042】
また、不正ドッフィング検出装置が、作業員の位置を検出するための構成を備えている場合には、作業員をその位置から不正ドッフィングが発生した位置まで誘導してもよい。たとえば特許文献1の段落[0026]等に記載されるように、作業員の位置から不正ドッフィングの位置に向かう順に糸切れ表示ランプ13をフラッシュ点灯させてもよい。または、たとえば作業員の位置から不正ドッフィングが発生した位置までの経路を特定し、その経路を表す情報を出力部から出力させてもよい。
【0043】
また、たとえば情報処理装置20および携帯端末30を単一のコンピュータを用いて構成してもよい。このような構成の具体例としては、携帯端末に判定部21を構成しておき、リング精紡機10に無線送信機を設けて各糸切れセンサ12の検出状態を送信させ、携帯端末がこれを受信して不正ドッフィングの有無を判定するようにしてもよい。
【0044】
実施の形態1では、不正ドッフィングが発生した錘の位置の出力は視覚的方法(画面表示)によって行われるが、出力の方法はこれに限らない。たとえば聴覚的方法(音声等)によって情報を出力してもよい。実施の形態1では、携帯端末30が音声を出力してもよいし、携帯端末30を省略して他の装置(作業通路、リング精紡機10、または情報処理装置20等に関連して設けられるスピーカー等)が音声を出力するよう構成してもよい。
【0045】
実施の形態1では携帯端末30は単一のものを用いるが、複数の携帯端末30を用いてもよい。たとえば作業員ごとに異なる携帯端末30を用いてもよく、その場合には情報処理装置20が情報を送信すべき携帯端末30を特定する方法は任意に設計可能である。たとえば作業員が作業開始前に自身の携帯端末の端末識別情報を情報処理装置20に入力し、この端末識別情報に基づいて情報処理装置20が情報を送信してもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 リング精紡機、11 錘、12 糸切れセンサ(糸切れ検出部)、21 判定部、13 糸切れ表示ランプ(出力部)、30 携帯端末(出力部)、50 スピンドル、60 ボビン、70 管糸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6