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特許7287753可聴音出力を用いたガスタービンにおける異常の検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】可聴音出力を用いたガスタービンにおける異常の検出
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/00 20060101AFI20230530BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20230530BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
F02C7/00 A
F01D25/00 V
G05B23/02 V
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017179660
(22)【出願日】2017-09-20
(65)【公開番号】P2018059505
(43)【公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-09-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】15/284,745
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ロリ・クロサーズ
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ・マリー・ソプシック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ディーン・フラー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジョセフ・フラビン
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】水野 治彦
【審判官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/186483(US,A1)
【文献】米国特許第5371854(US,A)
【文献】特開2015-117706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C7/00
F02C9/00
F23R3/00
F01D25/00
G05B23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサであって、前記複数のセンサの各々がタービンシステム(10)のそれぞれの位置に配置され、前記それぞれの位置が、前記タービンシステム(10)のケーシングの穴又はボアスコープポート(36)を含む、複数のセンサと、
コントローラ(24)とを備えるタービンシステム(10)であって、
前記コントローラ(24)が、
1以上のプロセッサ実行可能ルーチンを記憶するメモリ(26)と、
前記メモリ(26)によって符号化された前記1以上のルーチンにアクセスして実行するように構成されたプロセッサ(28)であって、前記1以上のルーチンが実行されると、
前記プロセッサ(28)に、
前記タービンシステム(10)の運転の任意の段階中に前記複数のセンサ(22)から1以上の信号を受信させ、
前記1以上の信号を可聴音出力に変換させる、
プロセッサ(28)とを備え、
前記1以上のルーチンが、実行されると、前記プロセッサ(28)に、可聴音出力を提供するべき前記複数のセンサ(22)の1以上の位置を選択するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)からの入力選択を受信させ、
前記入力選択が、前記1以上の位置のそれぞれについて前記GUI上に表示される前記可聴音出力を表す音波の視覚化を引き起こし、
前記視覚化は、スペクトル出力である、タービンシステム(10)。
【請求項2】
前記1以上のルーチンが、実行されると、前記プロセッサ(28)に、1以上の可聴音出力装置(30)を介して前記変換された可聴音出力を出力させる、請求項1に記載のタービンシステム(10)。
【請求項3】
前記複数のセンサ(22)が、1以上の燃焼動圧センサ(22)、マイク、クリアランスプローブ、光学プローブ、加速度計、歪みゲージ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のタービンシステム(10)。
【請求項4】
前記複数のセンサ(22)が、圧力波または振動波を感知するように構成されている、請求項1に記載のタービンシステム(10)。
【請求項5】
前記入力選択が、前記複数のセンサ(22)の位置のサブセットまたは前記複数のセンサ(22)のすべての位置の選択を提供するリストを介して受信される、請求項1に記載のタービンシステム(10)。
【請求項6】
前記GUIが、前記タービンシステム(10)に関連する制御アラームを受信するための入力セレクタ(44)を提供する、請求項1に記載のタービンシステム(10)。
【請求項7】
前記それぞれの位置が、前記タービンシステム(10)の外部の領域または前記タービンシステム(10)の内部の構成部品を含み、前記構成部品が、入口、圧縮機、燃焼カン(23)、燃焼システム(20)、又はタービン含む、請求項1に記載のタービンシステム(10)。
【請求項8】
前記変換された可聴音出力が、前記それぞれの位置に存在する異常、事象、または問題の検出を可能にし、前記異常、事象、または問題が、圧縮機抽気空洞もしくはタービン内の空洞の共鳴、前記位置に残された物体、またはそれらの何らかの組み合わせによって引き起こされるフラッタ、回転失速、風切り音を含む、請求項1に記載のタービンシステム(10)。
【請求項9】
1以上のプロセッサ(28)実行可能ルーチンを記憶するメモリ(26)と、
前記メモリ(26)によって符号化された前記1以上のルーチンにアクセスして実行するように構成されたプロセッサ(28)とを備えるコントローラ(24)であって、
前記1以上のルーチンが、実行されると、前記プロセッサ(28)に、
タービンシステム(10)の運転の任意の段階中に、複数のセンサ(22)であって、それぞれが前記タービンシステム(10)のそれぞれの位置に配置されている前記複数のセンサ(22)から1以上の信号を受信させ、
前記1以上の信号を可聴音出力に変換させ、
前記1以上のルーチンが、実行されると、前記プロセッサ(28)に、可聴音出力を提供するべき前記複数のセンサ(22)の1以上の位置を選択するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)からの入力選択を受信させ、
前記入力選択が、前記1以上の位置のそれぞれについて前記GUI上に表示される前記可聴音出力を表す音波の視覚化を引き起こし、
前記視覚化は、スペクトル出力であ
前記それぞれの位置が、前記タービンシステム(10)のケーシングの穴又はボアスコープポート(36)を含む、コントローラ(24)。
【請求項10】
前記1以上のルーチンが、実行されると、前記プロセッサ(28)に、1以上の可聴音出力装置(30)を介して前記変換された可聴音出力を出力させる、請求項9に記載のコントローラ(24)。
【請求項11】
前記1以上のルーチンが、実行されると、前記プロセッサ(28)に、可聴音出力を提供するべき前記複数のセンサ(22)の1以上の位置を選択するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)上のリストからの入力選択を受信させる、請求項9に記載のコントローラ(24)。
【請求項12】
前記複数のセンサ(22)の前記1以上の位置の前記入力選択が、前記GUI上に表示された前記タービンシステム(10)の視覚化において前記1以上の位置を強調表示させる、請求項11に記載のコントローラ(24)。
【請求項13】
前記変換された可聴音出力が、前記それぞれの位置に存在する異常、事象、または問題の検出を可能にする、請求項9に記載のコントローラ(24)。
【請求項14】
命令を有する1以上の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1以上のプロセッサ(28)によって実行されると、前記1以上のプロセッサ(28)に、タービンシステム(10)の運転の任意の段階中に、複数のセンサ(22)であって、それぞれが前記タービンシステム(10)のそれぞれの位置に配置されている前記複数のセンサ(22)から、それぞれの位置の内部の動圧を示す1以上の信号を受信させ、
前記1以上の信号を可聴音出力に変換させ、
前記命令が、前記プロセッサ(28)によって実行されると、前記プロセッサ(28)に、可聴音出力を提供するべき前記複数のセンサ(22)の1以上の位置を選択するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)からの入力選択を受信させ、
前記入力選択が、前記1以上の位置のそれぞれについて前記GUI上に表示される前記可聴音出力を表す音波の視覚化を引き起こし、
前記視覚化は、スペクトル出力であ
前記それぞれの位置が、前記タービンシステム(10)のケーシングの穴又はボアスコープポート(36)を含む、1以上のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記命令が、前記プロセッサ(28)によって実行されると、前記プロセッサ(28)に、1以上の可聴音出力装置(30)を介して前記変換された可聴音出力を出力させる、請求項14に記載の1以上のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記入力選択が、前記複数のセンサ(22)の前記1以上の位置のサブセット、または前記複数のセンサ(22)の前記1以上の位置のすべてを含む、請求項15に記載の1以上のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記1以上のコンピュータ可読媒体が、前記タービンシステム(10)から物理的に離れて配置されたスマートフォン、ラップトップ、またはパーソナルコンピュータに含まれている、請求項14に記載の1以上のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、ターボ機械に関し、より詳細には、可聴音出力を用いた、ガスタービンにおける異常、事象、または問題を検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
機器が稼動している間、プラント内の機器(例えば、ガスタービン)の物理的なノイズから、プラントオペレータを除外することができる。例えば、オペレータは、プラントから離れた位置でプラントの運転を監視することができ、プラント内で運転する機器の防音は、放出される可聴ノイズ等を低減することができる。したがって、オペレータはしばしば、制御システムによって作成されたアラームを頼りに機器を保護する。しかしながら、オペレータは、かなりの時間にわたってアラームに鈍感になったり、アラームを無視したりすることがあり、これは、機器の望ましくない運転状態を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第4543830号明細書
【発明の概要】
【0004】
出願時に特許請求する主題の範囲に相応する特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求される実施形態の範囲を限定しようとするものではなく、これらの実施形態は本発明の主題の、可能性がある形式の概要を提供することのみを意図するものである。実際、本発明の主題は、以下に記載した実施形態と同様の、または異なる様々な形態を包含することができる。
【0005】
一実施形態では、タービンシステムは、いくつかのセンサとコントローラとを含む。いくつかのセンサの各々は、タービンシステムのそれぞれの位置に配置され、コントローラは、1以上のプロセッサ実行可能ルーチンを記憶するメモリと、プロセッサとを含む。プロセッサは、メモリによって符号化された1以上のルーチンにアクセスして実行するように構成され、1以上のルーチンは、実行されると、プロセッサに、タービンシステムの運転の任意の段階中に、いくつかのセンサから1以上の信号を受信させ、1以上の信号を可聴音出力に変換させる。
【0006】
一実施形態では、コントローラは、1以上のプロセッサ実行可能ルーチンを記憶するメモリと、メモリによって符号化された1以上のルーチンにアクセスして実行するように構成されたプロセッサとを含み、1以上のルーチンが、実行されると、プロセッサに、タービンシステムの運転の任意の段階中に、いくつかのセンサであって、それぞれがタービンシステムのそれぞれの位置に配置されているいくつかのセンサから1以上の信号を受信させ、1以上の信号を可聴音出力に変換させる。
【0007】
一実施形態では、1以上の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体は命令を有し、前記命令が、1以上のプロセッサによって実行されると、前記1以上のプロセッサに、タービンシステムの運転の任意の段階中に、いくつかのセンサであって、それぞれが前記タービンシステムのそれぞれの位置に配置されている前記いくつかのセンサから、それぞれの位置の内部の動圧を示す1以上の信号を受信させ、前記1以上の信号を可聴音出力に変換させる。
【0008】
本発明の主題のこれらの特徴、態様、および利点、ならびに他の特徴、態様、および利点が、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を検討することによって、よりよく理解されると考えられ、添付の図面において、類似の文字は、図面の全体を通して類似の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による、1以上のセンサを用いて可聴音出力を介して異常、事象、または問題を検出することを可能にするタービンシステムのブロック図である。
図2】一実施形態による、センサが配置され得るタービンシステムの例示的な位置の概略図である。
図3】一実施形態による、タービンシステムからの可聴音出力を聞くために用いられるグラフィカルユーザインタフェースのスクリーンショットである。
図4】一実施形態による、可聴音出力を介して異常、事象、または問題を検出する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の主題の1以上の具体的な実施形態を説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供しようとするため、実際の実装形態のすべての特徴部を本明細書に記載しないこともある。エンジニアリングまたは設計プロジェクト等における実際の実装形態の開発においては、開発者の特定の目的を達成するために、例えばシステム関連およびビジネス関連の制約条件であって、実装形態ごとに異なる制約条件への対応等、実装形態に特有の決定を数多くしなければならないことを理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑で時間がかかる場合があるが、それでも、このような開発努力は、本開示の利益を得る当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0011】
本発明の様々な実施形態の要素を導入する際、単数の表現は、その要素が1以上あることを意味するものとする。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的なものであって、列挙された要素以外の付加的な要素があり得ることを意味するものである。
【0012】
前述したように、プラントオペレータは、プラントから離れた制御ステーションで発せられるガスタービンの健全性に関連する特定のアラームを無視したり、アラームに鈍感になったりする場合がある。したがって、プラントにおいて、ガスタービン機器に問題が生じる場合があり、その結果、かなりの機器停止時間(例えば、機器が動作可能でない)または整備費が生じる。したがって、現在、ガスタービンの異常、事象、または問題を検出するための改良された技術が望ましいことが一般的に認識されている。
【0013】
したがって、本開示の実施形態は、一般に、タービンシステムが可聴音出力を用いて運転している間に、ガスタービンの異常、事象、または問題を検出するためのシステムおよび方法に関する。すなわち、いくつかの実施形態は、ガスタービンオペレータが、潜在的な異常、事象、または問題を、タービンシステムに含まれる、またはタービンシステムに取り付けられたセンサから得られる可聴ノイズによって監視することを可能にする。センサは、タービンシステムの任意の運転期間(例えば、始動、全運転、および/または停止)中にデータを取得することができる。以下に説明するように、センサは、可聴音を生成するのに適した任意のタイプのセンサとすることができ、センサは、オペレータが聴きたい任意の適切な位置に配置することができる。例えば、センサは、ガスタービンの燃焼システムに既に存在する燃焼動圧センサを含んでもよい。既存の燃焼動圧センサを活用することで、新たな計装コスト、設置コストを削減することができる。さらに、センサは、クリアランスプローブ、光学プローブ、マイク、加速度計または歪みゲージ、動圧センサ等を含んでもよい。センサは、入口、圧縮機、タービン、タービンシステムのケーシングの穴、ボアスコープポート等、ガスタービン上、またはガスタービン内の任意の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、センサは、ソフトウェアアプリケーションを実行するコントローラおよび/またはコンピューティングデバイスに信号を発することができる。ソフトウェアアプリケーションは、プロセッサに、信号を可聴音信号に変換させ、かつコントローラおよび/またはコンピューティングデバイスの可聴音出力装置を介して可聴音信号を出力させてもよい。プラントオペレータは、コントローラシステムのアラームのみに頼るのではなく、燃焼システムに耳を傾けて、タービンシステムの音の変化に基づいて異常、事象、または問題を検出することができる。異常、事象、または問題には、タービン内の圧縮機の抽気空洞および/もしくは様々な空洞、または車輪空間の共鳴、システムが運転しているときにタービンシステム内に残された物体(例えばボルト、デブリ等)等によって引き起こされるフラッタ、回転失速、風切り音が含まれ得る。
【0014】
ここで図面を参照すると、図1は、本開示の一実施形態に係る、可聴音出力によって異常、事象、または問題の検出を可能にするタービンシステム10のブロック図を示す。タービンシステム10は、タービン12および後処理システム14を含む。特定の実施形態では、タービンシステム10は、発電システムであってもよい。タービンシステム10は、天然ガスおよび/または水素リッチ合成ガス等の液体燃料または気体燃料を用いて、タービンシステム10を運転することができる。図示のように、タービンシステム10は、吸気セクション16、圧縮機18、燃焼システム20、およびタービン12を含む。タービン12は、シャフトを介して圧縮機18に駆動可能に結合されていてもよい。運転中、空気は、吸気セクション16を介してタービンシステム10に入り(矢印17によって示される)、圧縮機18内で加圧される。吸気セクション16は、入口を有していてもよい。圧縮機18は、シャフトに結合されたいくつかの圧縮機ブレードを含んでもよい。シャフトの回転は、圧縮機ブレードの回転を引き起こし、それによって圧縮機18内に空気を引き込み、燃焼システム20に入る前に空気を圧縮する。
【0015】
圧縮空気が圧縮機18を出て燃焼システム20に入るとき、圧縮空気17は、1以上の燃焼カン23内での燃焼のために燃料19と混合され得る。例えば、燃焼カン23は、燃焼、排気、燃料消費、動力出力等のために、燃焼カン23に燃料-空気混合物を最適な燃焼に適切な比率で噴射することができる1以上の燃料ノズルを含んでもよい。空気17および燃料19の燃焼は、高温加圧排気ガスを生成し、高温加圧排気ガスはその後、タービン12内の1以上のタービンブレードを駆動するために用いることができる。運転中、タービン12内に流入する、またはタービン12を通る燃焼ガスは、タービンブレードに対して、かつタービンブレードの間を流れ、それによってタービンブレードを駆動し、シャフトを回転させて、発電プラントの発電機等の負荷21を駆動する。上述したように、シャフトの回転は、さらに、吸気セクション16によって受けられた空気を圧縮機18内のブレードが吸入し加圧するようにする。
【0016】
タービン12を通って流れる燃焼ガスは、排気ガスの流れとしてタービン12の下流端15から出てもよい。排気ガス流は、後処理システム14に向かって下流方向に流れ続けてもよい。例えば、下流端15は、後処理システム14に流体的に結合されていてもよい。燃焼プロセスの結果として、排気ガスは、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、炭素酸化物(COx)、および未燃焼炭化水素等の一定の副生成物を含み得る。特定の規制に起因して、排気ガス流を大気中に放出する前に、そのような副生成物の濃度を低減または実質的に最小限にするために、後処理システム14が採用されてもよい。
【0017】
燃焼システム20、圧縮機18、タービン12、タービンシステム10のケーシングの様々な穴、ボアスコープポート、吸気セクション16の入口、またはタービンシステム10の任意の適切な位置であって、オペレータが、ノイズを聞いて異常、事象、または問題を検出することを望む位置に、1以上のセンサ22を含めることができる。いくつかの実施形態では、センサ22の例には、任意のタイプの動圧センサ、加速度計、歪みゲージ等が含まれ得る。例えば、センサ22は、音速または離散周波数を検出できるようするために、ロータダイナミクスを聴取するように構成された地震センサ(例えば、加速度計)またはロータ近接プローブであってもよい。いくつかの実施形態では、センサ22は、圧縮機18および/またはタービン12内の特定のブレード段の上に配置されて、圧縮機18および/またはタービン12の空洞に起因するフラッタ、ストール、ホイッスル等の異常な挙動を検出することを可能にする。例えば、センサ22は、流路内に配置された動圧センサであってもよく、またはセンサ22は、圧縮機18および/またはタービン12のケーシングに配置された加速度計であってもよい。いくつかの実施形態では、センサ22は組み立てられた燃焼システム20に既に含まれていてもよく、本開示の特定の実施形態を実施するために燃焼システム20に他の器具を追加しなくてもよい。いくつかの実施形態では、センサ22は、圧縮機18、燃焼システム20、および/またはタービン12内の任意の望ましい振幅および周波数範囲にある圧力信号または波形を感知するように構成してもよい。
【0018】
センサ22は、圧力から生じる電気信号を生成する圧電材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサ22は、微小電気機械システム(MEMS)センサ、ホール効果センサ、磁気抵抗センサ、または振動、圧力等を感知するように設計された任意の他のセンサを含んでもよい。さらに、センサ22は、光学的に燃焼ダイナミクスを測定するように構成された光学センサを含んでもよい。センサ22は、無線(例えば、Bluetooth(登録商標)LowEnergy、ZigBee(登録商標)、WiFi(登録商標))または有線接続(例えば、イーサネット(登録商標))を介してセンサ22をコントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25に通信可能に接続することを可能にする通信回路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス25の例には、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ヒューマンマシンインタフェース等が含まれ得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、センサ22は、燃焼システム20に含まれ、かつ/または燃焼システム20の外部のタービンシステム10の部分に配置されたマイクまたはマイクアレイを含んでもよい。例えば、マイクまたはマイクアレイは、入口、排気筒、圧縮機18、タービン12等の内部またはその近傍に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、マイクまたはマイクアレイは、音量計または一連の音量計での使用のためにコントローラ24に示す検出された音を送ることができる。いくつかの実施形態では、検出された音は、燃焼ダイナミクスを示すことができる。
【0020】
運転中、センサ22は、圧力(例えば、静的、動的)または振動を示す信号をコントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25に送信することができる。センサ22は、タービンシステム10の運転の任意の段階(例えば、始動、全速運転での燃焼、停止)中に信号を送信することができる。いくつかの実施形態では、タービンシステム10が停止しているときであっても、センサ22はアクティブであり、任意の検出されたノイズの信号を送信することができる。コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25は、センサ22から信号を受信し、その信号を(例えば、コンピューティングデバイス25に関連付けられた可聴音出力装置を介して)出力することに適した可聴音信号に変換することができる。したがって、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25はそれぞれ、コンピュータ命令を記憶する1以上の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ26、27)を含んでいてもよい。このコンピュータ命令は、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25のプロセッサ28、29のそれぞれによって実行されたとき、プロセッサ28、29に信号を受信させ、信号を可聴音信号に変換させ、この可聴音信号を可聴音出力装置30、31(例えば、スピーカ、拡声器、メガホン、サイレン、ヘッドフォン、アンプ、パブリックアドレス(PA)システム等)のそれぞれを介して出力させる。非一時的なメモリとは、媒体が有形であり、信号ではないことを示しているに過ぎないことに留意されたい。さらに、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25は、信号を受信し、信号をプロセッサ28、29に送信するように構成されたネットワークインタフェース等の通信回路を含んでいてもよい。
【0021】
プロセッサ28、29は、コンピュータ実行可能コードを実行することができる任意のタイプのコンピュータプロセッサまたはマイクロプロセッサであってもよい。さらに、プロセッサ28、29は、複数のプロセッサもしくはマイクロプロセッサ、1以上の「汎用」プロセッサもしくはマイクロプロセッサ、1以上の専用プロセッサもしくはマイクロプロセッサ、および/または1以上の特定用途向け集積回路(ASICS)、またはそれらの何らかの組み合わせを含む。例えば、プロセッサ28は、1以上の縮小命令セット(RISC)プロセッサを含んでもよい。
【0022】
メモリ26、27は、プロセッサ実行可能ルーチン、コード、データ等を記憶する媒体として機能することができる任意の適切な製品であってもよい。これらの製品は、本明細書で開示される技術を実行するためにそれぞれのプロセッサ28、29によって用いられるプロセッサ実行可能コードまたはルーチンを記憶することができるコンピュータ可読媒体(例えば、メモリまたは記憶装置の任意の適切な形態)を表すことができる。例えば、メモリ26、27は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ(例えば、読み出し専用メモリ(ROM))、フラッシュメモリ、ハードドライブ、または、光記憶媒体、磁気記憶媒体、もしくはソリッドステート記憶媒体、またはそれらの組み合わせを含むことができる。メモリ26、27はまた、任意のデータ(例えば、所望の時間量のセンサ位置ごとの可聴音出力の記録)、データの分析、ソフトウェアアプリケーション等を記憶するために用いられてもよい。
【0023】
一般に、プロセッサ28、29は、ユーザが、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25の可聴音出力装置30、31を介して聞くタービンシステム10内のいずれかのセンサ位置(またはすべてのセンサ位置)を選択することを可能にするグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含むソフトウェアアプリケーションを実行することができる。GUIに関連する追加機能については以下で説明する。理解されるように、オペレータは、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25を用いて実際のタービンシステム10から離れた位置で、選択されたセンサ位置の圧力またはダイナミクスを表す可聴音を聞くことができる。いくつかの実施形態では、オペレータは、運転の任意の段階中、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25を介して可聴音出力を聞きながら、タービンシステム10に比較的近接している。
【0024】
オペレータは、可聴音出力装置30および/または31を介して出力される可聴音出力に基づいて、ガスタービンシステム10に異常、事象、または問題が発生していると判断することができる。実際に、ユーザは、開示された技術を用いることによって、タービンシステム10のどの領域(例えば、燃焼カン23、圧縮機18、タービン12、入口等)に異常、事象、または問題があるかを特定することができる。例えば、オペレータは、運転のある段階中に、運転のその段階中に圧縮機18から放出されている現在のノイズが、圧縮機18が予想通りに運転しているときの当該段階中に圧縮機18から放出されるノイズと異なって(例えば異常)いることを、聞き分けることができる。したがって、オペレータは、タービンシステム10の停止、圧縮機18のチェック、圧縮機18のメンテナンスの実行、圧縮機18内の構成部品の交換の実行、メンテナンスおよび/または交換の予定等の予防行動をとることができる。
【0025】
図2は、一実施形態によるセンサ22が配置されるタービンシステム10の例示的な位置の概略図である。センサ22が配置される位置は、少なくとも圧縮機18、タービン12、燃焼システム20の燃焼カン、入口、タービンシステム10のケーシングの様々な穴、ボアスコープポート等であってもよい。いくつかの実施形態では、センサの組み合わせ(例えば、異なる軸方向位置または周方向位置、タービンシステム10の異なる構成部品の監視)を用いて、異常な挙動が起きている位置を特定できることに留意されたい。例えば、燃焼および耐震におけるトーナル音出力が同じであることは、燃焼システム20で異常事象が生じていることを示すことができる。図示のように、センサ22は、加速度計、動圧センサ(例えば、プローブ)、歪みゲージ、光学プローブ等であってもよい。さらに、センサ22は、タービン12および/または圧縮機18の周りに円周方向に配置されてもよい。
【0026】
センサ22からの信号はコントローラ24に送信されるように示されているが、信号をコンピューティングデバイス25に送信してもよいことに留意されたい。コンピューティングデバイス25は、信号を可聴音に変換し、この可聴音を出力することに関するコントローラ24と同様の機能を実行する。図示されているように、それぞれのセンサ22は、タービン12および/または圧縮機18の少なくとも各ブレード段の上方に結合されていてもよい。したがって、圧縮機18に6つのブレード段がある場合、6つのセンサ22(例えば、各ブレード段に近接して配置された1つのセンサ22)を用いてもよい。いくつかの実施形態では、センサ22の数とブレード段の数との間に1対1の関係がない場合もあることに留意されたい。例えば、1つのセンサ22を用いてブレード段のすべてを監視してもよいし、いくつかのセンサ22を用いてブレード段のすべてを監視してもよいし、または2以上のセンサ22を用いて1つのブレード段を(例えば周方向に)監視してもよい。同様に、入口を監視するために多数のセンサ22を用いてもよいし、単一のセンサ22だけが入口を監視してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、センサ22は、タービン12、圧縮機18、燃焼システム20の燃焼カン、ケーシングの穴、ボアスコープポート、および/または入口に部分的に挿入されたプローブであってもよい。センサ22によって発せられた信号は、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25に送信されてもよい。コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25は、信号を可聴音出力34に変換し、可聴音出力34を発するソフトウェアアプリケーションを含んでもよい。
【0028】
ソフトウェアアプリケーションは、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25にインストールされたアプリケーション配布プラットフォームからダウンロード可能であってもよいことに留意されたい。アプリケーション配布プラットフォームは、専有かつ非公開であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、運転中またはタービンシステム10が停止している間にタービンシステム10の圧力または振動を表す可聴音を聞くことを可能にするソフトウェアアプリケーションのダウンロードは、認可されたユーザに制限されてもよい。このように、アプリケーション配信プラットフォームは、ソフトウェアアプリケーションのダウンロードを要求するコントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25の認証を実行してもよい。
【0029】
図3は、ある実施形態に従った、可聴音出力のために利用可能なセンサ位置のリスト42を表示し、可聴音出力を提供するセンサ位置のユーザ選択を受信するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)40のスクリーンショットである。さらに、GUI40は、ユーザがタービンシステム10に関連する制御アラームを受信したいか否かに関係する入力セレクタ44を表示する。図示されているように、リスト42は、燃焼システム20の「カン1」、「カン2」…、タービン12の「段1」、「段2」、…、圧縮機18の「段1」、「段2」、…、ロータの「加速度計」、「近接プローブ」、…を選択するラジオボタンセレクタを含む。したがって、理解されるように、任意の数のセンサ22を用い、GUI40を介して選択することができる。タービン12および圧縮機18の特定のブレード段に対してただ1つのラジオボタンが表示されているが、各段に多数のセンサ22が配置され、追加のラジオボタンがユーザに選択可能に表示されてもよいことに留意すべきである。「すべて選択」ラジオボタンセレクタが、タービンシステム10の各構成部品に含まれてもよいことに留意されたい。例えば、燃焼システム20、タービン12、圧縮機18、ロータ等の各見出しの下に「すべて選択」ラジオボタンセレクタを含んでもよい。さらに、タービンシステム10に含まれるすべてのセンサ22を聞くことを可能にする「すべて選択」ラジオボタンセレクタが表示されてもよい。
【0030】
さらに、ラジオボタンセレクタがリスト42で使用されているが、ドロップダウンリスト、チェックボックス、入力テキストボックス等の任意の選択入力要素を使用できることに留意されたい。さらに、いくつかの実施形態では、リスト42から、聞くセンサ位置を選択するために音声コマンドを用いることができる。したがって、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25は、音を受信するように構成されたマイクを含んでもよく、プロセッサ28、29は、聞くことを望むセンサ位置を選択するために音を処理するように構成されていてもよい。
【0031】
ユーザは、マウス等の入力周辺機器を用いて、GUIの周りで矢印または手の選択アイコンを動かすことができる。ユーザがマウスのボタンを押して離し、選択アイコンがラジオボタンセレクタの上にあるとき、ラジオボタンセレクタが非選択状態であれば選択状態にトグルし、既に選択状態にある場合には非選択状態にトグルする。さらに、入力周辺機器は、タッチスクリーンを含んでもよい。ラジオボタンセレクタが配置されているタッチスクリーンの部分にユーザが触れると、ラジオボタンセレクタが、非選択状態にあれば選択状態にトグルし、既に選択状態にある場合には非選択状態にトグルする。
【0032】
いくつかの実施形態では、燃焼システム20、タービン12、圧縮機18、および/またはロータ内のセンサ位置22は、図2と同様に、GUI40上に図式的に表すことができる。このように、リスト42からセンサ位置を選択する代わりに、またはこれに加えて、ユーザは、タービンシステム10の視覚化上のセンサ位置の図式的表現を選択して、それらの特定のセンサ22を含むタービンシステム10の領域から可聴音出力34を聞く。さらに、ユーザは、リスト42から聞くセンサ位置を選択することができ、燃焼システム20、タービン12、圧縮機18、および/またはロータの図式的表示は、GUI40に表示されたタービンシステム10で強調表示される。これにより、ユーザは、各センサ22がタービンシステム10内で互いに対して物理的にどこに配置されているかを視覚化することができる。
【0033】
ユーザが、聞く特定のセンサ位置を選択すると、GUI40は、センサ22によって得られたタービンシステム10のそれぞれの位置から発せられた可聴音を表す音波の視覚化46を表示してもよい。したがって、ユーザは、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25のディスプレイによって表示されている視覚化46を介して、GUI40上に音波を視覚化することができる。いくつかの実施形態では、それぞれの視覚化46は、選択されたそれぞれの位置についてのそれぞれの音波を含んでもよい。付加的に、または代替的に、1以上の視覚化46は、重ねられるべき多くの音波を含んでもよい。すなわち、1つの視覚化46は、複数の音波の描写を含み、ユーザが、より鮮明に、音波を互いに対して比較することを可能にする。視覚化46に表示される情報は、可聴音出力34とは独立して実行されてもよいことに留意されたい。例えば、可聴音出力34は燃焼ノイズを発し、視覚化46は燃焼と特定のタービン段の両方に重ね合わせた音波を表示する。
【0034】
図示された視覚化46の実施形態は、時間領域出力(振幅対時間)であるが、視覚化46はスペクトル出力(周波数対振幅)であってもよいことを理解されたい。スペクトル出力は、検出された任意の異常に関連する周波数をユーザが特定できるようにし、とるべき行動を案内することができる。さらに、いくつかの実施形態では、GUI40は、表示されるべきプロットを選択/非選択するオプションを提供することができる。例えば、ドロップダウンリスト48等のグラフィカルセレクタ要素を用いて、時間領域出力、スペクトル出力、またはその両方を表示するかを、ユーザが選択できるようにすることができる。
【0035】
さらに、GUIに関連するソフトウェアアプリケーションは、コントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25のそれぞれの可聴音出力装置30および/または31に、選択されたセンサ位置の可聴音の供給を生で出力することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ユーザは、選択されたセンサ位置からの可聴音を聞き、および/または選択されたセンサ位置の可聴音に関連する音波を見ることができる。可聴音出力34と視覚的表現46の両方を組み合わせて用いることにより、ユーザは、異常、事象、または問題が存在するか否かの判断を二重チェックすることができる。例えば、音波の視覚化46を用いて、タービンシステム10の運転中にセンサ22によって大音量または予期しないノイズが検出され、このノイズが、コンピューティングデバイス25を使用するオペレータの近くの何らかの事象によるものではないことを確認することができる。すなわち、可聴音出力34および音波視覚化46は、互いに対するチェックとして使用されてもよい。
【0036】
GUI40上のリスト42を用いて、ユーザは、聞くセンサ位置を選択することができる。例えば、ユーザは、ただ1つのセンサ位置を聞くことを選択してもよく、特定の構成部品(例えば、圧縮機18、タービン12の1以上の段等)を聞くことを選択してもよく、またはすべてのセンサ位置を一度に聞くことを選択してもよい。このようにして、ユーザは、運転中に特定の構成部品内の圧力または振動を表す可聴音出力34を聞くことによって、異常、事象、または問題がタービンシステム10全般に存在するか、または個々の構成部品ごとに存在するかを検出することができる。前述したように、センサ22は、タービンシステム10の全速運転中、他の運転段階中、またはタービンシステム10が停止している間でも信号を発することができる。可聴音出力34は、運転(例えば、燃焼)が行われているときにリアルタイムまたはほぼリアルタイムで提供されてもよい。また、可聴音出力34は、実際のタービンシステム10から物理的に離れて(例えば、制御室または別の建物内に)配置されているコントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25を介して提供されてもよい。
【0037】
さらに、制御アラーム用の入力セレクタ44を用いて、GUI40は、制御アラームを受信するか否かを選択するための入力選択をユーザに提供することができる。制御アラームに関する情報(例えば、アラームの種類、状態、パラメータ、タイムスタンプ)を、診断を実行するために、タービンシステム10の運転中にセンサ22の可聴音出力34と共に使用することができる。例えば、ある制御アラームは、閾値を超える振動、閾値を下回る油圧、閾値を超える油圧、閾値を上回る軸受温度、冷却水の故障、停電等に関連し得る。ユーザは、現在アクティブになっている制御アラームを見て、選択されたセンサ位置の可聴音出力34を聞いて、不規則な可聴音出力34が制御アラームによって示された事象によって引き起こされたことを判断することができる。同様に、ユーザが運転中にセンサ位置から不規則な可聴音出力34を聞き、制御アラームがトリガされず、またアクティブになっていない場合、ユーザは、制御アラームを再調整またはチェックして、適切に運転していることを確かめる必要があると判断してもよい。
【0038】
図4は、一実施形態による、可聴音出力に従って異常、事象、または問題を検出する方法50の実施形態を示すフローチャートである。方法50の以下の説明は、コントローラ24のプロセッサ28を参照して説明されるが、方法50は、センサ22と通信することができる他のデバイス上に配置された他のプロセッサによって実行されてもよいことに留意されたい。他のプロセッサは、コンピューティングデバイス25のプロセッサ29またはタービンシステム10に関連する他の構成要素等である。さらに、以下の方法50は、実行され得るいくつかの動作を記載しているが、方法50は様々な適切な順序で実行されてもよく、動作のすべてが実行されなくてもよいことに留意されたい。方法50は、コントローラ24によって全体が実行されてもよく、または実行がコントローラ24とコンピューティングデバイス25との間で分散されてもよいことを理解されたい。さらに、方法50は、メモリ26または27に記憶されたソフトウェアアプリケーションに含まれるコンピュータ命令として実装されてもよい。前述したように、ソフトウェアアプリケーションはソフトウェア配布プラットフォームから入手可能である。
【0039】
ここで方法50を参照すると、プロセッサ28は、可聴音出力34を提供するセンサ位置の入力選択を受信することができる(ブロック52)。入力選択は、上述のGUI40を用いてユーザが入力することができる。例えば、ユーザは、リスト42からセンサ位置を選択することができる。ユーザは、センサ位置のサブセット(すべてではない1以上)、またはセンサ位置のすべてを選択することができる。入力選択に基づいて、プロセッサ28は、選択されたセンサ位置(例えば、圧縮機18、入口、タービン12、燃焼カン23、穴34、ボアスコープポート36)に関連するそれぞれのセンサ22にネットワークインタフェースを同調させることができる。追加的または代替的に、ネットワークインタフェースは、選択された位置に関連付けられたセンサ22に既に通信可能に結合されていてもよい。
【0040】
プロセッサ28は、選択された位置のセンサ22から信号を受信することができる(ブロック54)。前述したように、各センサ22は、特定の位置の圧力波もしくは振動波、または信号を感知して信号を発する燃焼動圧センサ、プローブ、ゲージ、加速度計等であってもよい。
【0041】
信号を受信すると、プロセッサ28は信号を可聴音出力34に変換する(ブロック56)。いくつかの実施形態では、プロセッサ28は、可聴音出力34を出力する前に、変換中の信号に対する追加の処理または計算を実行することができる。例えば、プロセッサ28は、A特性周波数重み付け、B特性周波数重み付け、C特性周波数重み付け、D特性周波数重み付け、逆A特性周波数重み付け、逆B特性周波数重み付け、逆C特性周波数重み付け、逆D特性周波数重み付け等を実行することができる。任意のタイプの適切な周波数依存性増幅またはフィルタリングが、プロセッサ28によって実行されてもよいことを理解されたい。可聴音出力34は、ユーザによって選択されたセンサ位置に応じて、センサ位置のサブセット(すべてではないが1以上)、またはセンサ位置のすべてから変換された信号を含むこともできることを理解されたい。
【0042】
プロセッサ28は、変換された可聴音出力34を可聴音出力装置30または31を介して出力してもよい(ブロック58)。ユーザは、一般的に、センサ22またはタービンシステム10全般の選択された位置に存在する異常、事象、または問題があるか否かを検出するために、可聴音出力34を聞くことができる。すなわち、運転中に特定のセンサ22から発せられる不規則なノイズは、センサ22が取り付けられている構成部品、またはタービンシステム10全体の問題を示すことができる。検出され得る異常には、タービン12内の圧縮機の抽気空洞および/もしくは様々な空洞、または車輪空間の共鳴、および/またはタービンシステム10の構成部品内に残された物体(例えばボルト、デブリ)等によって引き起こされるフラッタ、回転失速、風切り音が含まれ得る。
【0043】
ユーザが単一のセンサ位置から可聴音を聞くことを選択し、可聴音出力34が満足できるものである(例えば運転中の規則的な雑音)と判断した場合、方法50は矢印58で示すように繰り返され、ユーザは、聞くべき次のセンサ位置を選択する。方法50は、ユーザがタービンシステム10内のすべてのセンサ位置を聞くまで、またはユーザがタービンシステム10内の異常、事象、または問題を特定し、上述したような予防行動をとるまで繰り返されてもよい。
【0044】
主題の技術的効果には、可聴音出力を用いた、タービンシステム10における異常、事象、または問題の検出が含まれる。可聴音出力34は、タービンシステム10の任意の望ましい位置における1以上のセンサ22を介して取得されてもよい。いくつかの実施形態では、センサ22は既にタービンシステム10に設置されていてもよく、したがって、開示された技術を実行するために追加の計測器は設置されない。さらに、所望されれば、センサ22をタービンシステム10に追加してもよい(例えば、ケーシングの穴に配置する)。センサ22は、圧力波または振動波を感知することができる。さらに、センサ22は、可聴音出力装置30、31を介して信号を可聴音出力34に変換して発するソフトウェアアプリケーションを実行することができるコントローラ24および/またはコンピューティングデバイス25に信号を発することができる。さらに、いくつかの実施形態は、ユーザが、GUI40を用いて、可聴音出力34を提供するセンサ位置を選択することを可能にする。GUI40は、タービンシステム10の構成部品の視覚化を含み、とりわけ、センサ22が視覚化上どこに配置されているかを示すことができる。
【0045】
この明細書は、ベストモードを含めて、本発明の主題を開示するため、ならびに、任意の装置もしくはシステムの製作および使用、組み込まれた任意の方法の実行を含めて、当業者が本発明を実施することも可能にするために例を用いている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例が請求項の字義通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、または、それらが請求項の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。
【符号の説明】
【0046】
10 ガスタービンシステム
12 タービン
14 後処理システム
15 下流端
16 吸気セクション
17 圧縮空気
18 圧縮機
19 燃料
20 燃焼システム
21 負荷
22 センサ
23 燃焼カン
24 コントローラ
25 コンピューティングデバイス
26 メモリ
27 メモリ
28 プロセッサ
29 プロセッサ
30 可聴音出力装置
31 可聴音出力装置
34 可聴音出力
36 ボアスコープポート
42 リスト
44 入力セレクタ
46 視覚的表現
図1
図2
図3
図4