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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】システム用共通ラインセレクタバルブ
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20230530BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G01N1/00 101L
G01N37/00 101
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018566857
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2017067838
(87)【国際公開番号】W WO2018128843
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】62/442,677
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】1704761.4
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】15/841,095
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ケント ドリューズ
【審査官】渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514218(JP,A)
【文献】特開2016-109298(JP,A)
【文献】特表2009-532031(JP,A)
【文献】特開2006-220658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 - 37/00
B65D 1/00 - 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーングループ(56A、L1、L2)及び第2レーングループ(56B、L3、L4)を含む複数のフローセルと、
前記フローセルがシステムに装着されているときに、前記フローセル(20)に流体的に接続して対象分析物を移動させる複数流路と
前記複数流路に結合される流路セレクタバルブ(68)と、
前記フローセル(20)に流体的に接続するとともに、分析作業の間、前記流路セレクタバルブ(68)が選択する前記複数流路の1つを通じて流体を移動させるポンプ(38)と、
前記流路セレクタバルブに動作可能に結合されるとともに、1つ以上のプロセッサ及びコンピュータ実行可能命令を記憶するメモリを有する制御回路(46)と、
を備えるシステムであり、
前記コンピュータ実行可能命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ以上のプロセッサを制御して、前記流路セレクタバルブ(68)に流路を選択するよう命令し、
前記複数流路が、前記フローセルの前記第1レーングループ(56A、L1、L2)通じて流体を提供する第1流路(58)と、前記フローセルの前記第2レーングループ(56B、L3、L4)通じて流体を提供し前記第1流路(58)とは異なる第2流路(60)とを含み、
前記流路セレクタバルブ(68)は、前記第1流路(58)のみ、前記第2流路(60)のみ又は前記第1流路(58)及び前記第2流路(60)の両方のいずれかを選択するように制御可能であり、
前記複数のフローセルが前記システムに装着されているときに、前記複数のフローセル(20)を前記流路セレクタバルブ(68)と流体的に接続する2つ以上のマニホールドを備え、前記複数のフローセルが前記システムに装着されているときに、前記2つ以上のマニホールドは、前記流路セレクタバルブ(68)と前記複数のフローセル(20)との間に流体的に挿入される、システム。
【請求項2】
前記流路セレクタバルブ(68)は、前記フローセルが前記システムに装着されているときに前記フローセルをバイパスするバイパスライン(62)に更に流体的に結合され、
また前記流路セレクタバルブ(68)が、前記流路(34)ではなく前記バイパスライン(62)を選択するように制御可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分析作業の間、前記制御回路(46)は、前記流路セレクタバルブ(68)に、選択される前記流路を分析プロトコルに基づいて選択するように自動的に命令する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記流路セレクタバルブ(68)の流体的上流に位置付けられ、複数の試薬(64)から試薬を選択し、選択される前記試薬を前記流路セレクタバルブ(68)の入口に導く試薬セレクタバルブ(66)を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ポンプ(38)は、前記フローセル(20)の流体的下流に配置されるシリンジポンプを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載のシステムを動作させる方法であり、
前記フローセル(20)の流体的上流の流路セレクタバルブ(68)を制御して、前記フローセルへ通じる複数流路(34)から前記フローセルへ通じる流路を選択するステップと、
分析プロトコルに従って、選択される前記流路を通じて試薬(64)を移動させるステップと、を含み、
前記複数流路は、前記フローセルのあるレーングループ(56A、L1、L2)へ通じる前記第1流路(58)と、前記フローセルの第2レーングループ(56B、L3、L4)へ通じる前記第2流路(60)と、を含む、方法。
【請求項7】
前記流路セレクタバルブ(68)と流体的に接続される試薬セレクタバルブ(66)を制御するステップを更に含み、
前記試薬セレクタバルブ(66)は、前記分析プロトコルに従って前記流路セレクタバルブ(68)及び前記フローセル(20)を通じて移動させるために、複数の試薬(64)から異なる試薬を選択し、
前記流路セレクタバルブ(68)は前記試薬セレクタバルブ(66)と前記フローセル(20)との間に流体的に挿入される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記分析プロトコルの連続的サイクルの間、前記流路セレクタバルブ(68)、前記試薬セレクタバルブ(66)、又は前記流路セレクタバルブ及び前記試薬セレクタバルブの位置を変えることを命令するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記流路セレクタバルブ(68)に、前記フローセル(20)を通る流路ではなく、前記フローセル(20)をバイパスするバイパスライン(62)を選択するよう命令するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記フローセル(20)をシーケンシングシステムに装着して、前記フローセルを、前記流路セレクタバルブ(68)と前記フローセル(20)との間に流体的に挿入される複数のマニホールドと流体的に接続して、前記フローセル(20)を前記流路セレクタバルブ(68)と流体的に接続するステップを更に含み、
前記フローセル(20)の装着を、前記試薬を移動させる前に実施する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記フローセル(20)の下流に位置付けられるポンプ(38)によって、選択される前記流路を通じて前記試薬を移動させる、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記ポンプ(38)はシリンジポンプを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記流路セレクタバルブ(68)を制御して、前記第1流路(58)及び前記第2流路(60)の両方を選択するステップと、
前記第1流路(58)及び前記フローセル(20)の第1レーングループ(56A、L1、L2)を通る前記試薬の第1部分を移動させること、並びに前記第2流路(60)及び前記フローセル(20)の前記第2レーングループ(56B、L3、L4)を通る前記試薬の第2部分を移動させることを同時に行うことによって、前記第1流路(58)及び前記第2流路(60)の両方を通じて前記試薬を移動させるステップと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2017年1月5日に出願した米国特許出願第62/442,677号の優先権の利益を主張する2017年12月13日に出願した米国特許出願第15/841,095号の優先権の利益と、米国特許出願第62/442,677号の優先権の利益を同様に主張する2017年3月24日に出願した英国(GB)特許出願第1704761.4号の利益とを主張し、これら全出願の全内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【背景技術】
【0002】
対象分子、特にデオキシリボ核酸、リボ核酸及び他の生体試料をシーケンシングする器械が開発され進化し続けている。シーケンシング作業に先立って、試薬と混合され最終的にはフローセルに導入される、ライブラリを形成するために対象分子の試料を調製する。フローセルでは個々の分子が部位に付着し検出性を高めるために増幅されるであろう。シーケンシング作業はその後、部位で分子を結合するステップと、結合した成分をタグ付けするステップと、部位で成分を撮像するステップと、結果として生じる画像データを処理するステップと、から成るサイクルを繰り返すことを含む。
【0003】
このようなシーケンシングシステムでは、流体システム(又はサブシステム)は、プログラムされたコンピュータ及び適切なインタフェース等の制御システムの制御下で物質(例えば試薬)の流れを生み出す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で説明する主題の1つ以上の実施形態の詳細を、添付図面及び以下の説明で述べる。この説明、図面及び特許請求の範囲から、他の構成、態様及び利点が明らかになるであろう。
【0005】
ある実施形態では、フローセルがシステムに装着されているときに、フローセルに流体的に接続して対象分析物を支持する複数流路と、流路に結合されるとともに複数流路間で選択する流路セレクタバルブと、フローセルがシステムに装着されているときに、フローセルに流体的に接続するとともに、分析作業の間、流路セレクタバルブが選択する複数流路の1つを通じて流体を変位させるポンプと、流路セレクタバルブに動作可能に結合されるとともに、1つ以上のプロセッサ及びコンピュータ実行可能命令を記憶する又は記憶しているメモリを有する制御回路と、を備えるシステムであり、コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ以上のプロセッサを制御して、流路セレクタバルブに流路を選択するよう命令する、システムを提供できる。
【0006】
システムのある実施形態では、複数流路が、フローセルの第1チャネルを通じて流体を流す第1流路と、フローセルの第2チャネルを通じて流体を流す第2流路とを含むことができ、第2流路は第1流路とは異なる。
【0007】
システムのある実施形態では、複数流路は、第1流路及び第2流路の両方を包含する第3流路を含むことができる。
【0008】
システムのある実施形態では、流路セレクタバルブを、フローセルがシステムに装着されているときにフローセルをバイパスするバイパスラインに更に流体的に結合することができ、また流路セレクタバルブを、流路ではなくバイパスラインを選択するように制御できる。
【0009】
システムのある実施形態では、制御回路は、流路セレクタバルブに、分析作業の間、選択される流路を分析プロトコルに基づいて選択するように自動的に命令することができる。
【0010】
システムのある実施形態では、システムは、流路セレクタバルブの流体的上流に位置付けられ、複数の試薬から試薬を選択し、選択される試薬を流路セレクタバルブの入口に導く試薬セレクタバルブを更に備えることができる。
【0011】
システムのある実施形態では、システムは、フローセルがシステムに装着されているときに、フローセルを流路セレクタバルブと流体的に接続する1つ以上のマニホールドを備えることができ、フローセルがシステムに装着されているときに、1つ以上のマニホールドを、流路セレクタバルブとフローセルとの間に流体的に挿入することができる。
【0012】
システムのある実施形態では、ポンプは、フローセルの流体的下流に配置されるシリンジポンプを備えることができる。
【0013】
ある実施形態では、複数の試薬から分析プロトコルに従って試薬を選択する試薬セレクタバルブと、分析対象物を支持するフローセルと、試薬セレクタバルブとフローセルとの間に流体的に挿入され、フローセルを通る複数流路からフローセルを通る流路を選択し、分析プロトコルに従って、選択される試薬を、選択される流路を通じて導く流路セレクタバルブと、フローセルに流体的に接続され、分析プロトコルに従って、選択される試薬を、選択される流路を通じて変位させるポンプと、流路セレクタバルブに動作可能に結合され、1つ以上のプロセッサ及びコンピュータ実行可能命令を記憶する又は記憶しているメモリを有する制御回路と、を備えるシステムであり、コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ以上のプロセッサを制御して、流路セレクタバルブに流路を選択させる、システムを提供することができる。
【0014】
システムのある実施形態では、複数流路は、フローセルのあるチャネルを通る第1流路と、フローセルの第2チャネルを通る第2流路とを含むことができ、第2流路は第1流路とは異なる。
【0015】
システムのある実施形態では、複数流路は、第1流路及び第2流路の両方を包含する第3流路を含むことができる。
【0016】
システムのある実施形態では、流路セレクタバルブを、フローセルをバイパスするバイパスラインに更に流体的に接続させることができ、流路セレクタバルブを、フローセルを通る流路ではなくバイパスラインを選択するよう更に制御可能とし得る。
【0017】
システムのある実施形態では、システムは、フローセルがシーケンシングシステムに装着されているときに、セレクタバルブとフローセルとの間で流体的に結合されて、フローセルをセレクタバルブと係合する1つ以上のマニホールドを備えることができる。
【0018】
ある実施形態では、フローセルの流体的上流の流路セレクタバルブを制御して、フローセルを通る複数流路からフローセルを通る流路を選択するステップと、分析プロトコルに従って、選択される流路を通じて試薬を変位させるステップと、を含む方法であり、複数流路は、フローセルのあるチャネルを通る第1流路と、フローセルの第2チャネルを通る第2流路と、第1流路及び第2流路の両方を包含する第3流路とを含み、第2流路は第1流路とは異なる、方法を提供できる。
【0019】
方法のある実施形態では、方法は、流路セレクタバルブと流体的に接続される試薬セレクタバルブを制御するステップを更に含むことができ、試薬セレクタバルブは、分析プロトコルに従って流路セレクタバルブ及びフローセルを通じて変位させるために、複数の試薬から異なる試薬を選択し、流路セレクタバルブを試薬セレクタバルブとフローセルとの間に流体的に挿入することができる。
【0020】
方法のある実施形態では、方法は、分析プロトコルの連続的サイクルの間、流路セレクタバルブ、試薬セレクタバルブ、又は流路セレクタバルブ及び試薬セレクタバルブの位置を変えることを命令するステップを更に含むことができる。
【0021】
方法のある実施形態では、方法は、流路セレクタバルブに、フローセルを通る流路ではなく、フローセルをバイパスするバイパスラインを選択するよう命令するステップを更に含むことができる。
【0022】
方法のある実施形態では、方法は、フローセルをシーケンシングシステムに装着して、フローセルを、流路セレクタバルブとフローセルとの間に流体的に挿入される複数のマニホールドと流体的に接続して、フローセルを流路セレクタバルブと流体的に接続するステップを更に含むことができ、フローセルの装着を、試薬を変位させる前に実施する。
【0023】
方法のある実施形態では、フローセルの下流に位置付けられるポンプによって、選択される流路を通じて試薬を変位させることができる。
【0024】
方法のかかる実施形態では、ポンプはシリンジポンプを備えることができ、又はポンプをシリンジポンプとすることができる。
【0025】
本明細書で説明する主題の1つ以上の実施形態の詳細を、添付図面及び以下の説明で述べる。本明細書、図面及び特許請求の範囲から、他の構成、態様及び利点が明らかになるであろう。なお、以下の図面の相対寸法は縮尺に合っていないことがある。
【0026】
同様の特性が図面にわたって同様の部分を現す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読解するときに、本開示のこれらの構成、他の構成、態様及び利点をより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】開示される技術を用いることができるシーケンシングシステムの実施例の概略図である。
図2図1の例示的シーケンシングシステムの流体システムの一実施形態の概略図である。
図3図1の例示的シーケンシングシステムの処理及び制御システムの実施例の概略図である。
図4図1の例示的シーケンシングシステム用流体システムの一部の他の実施形態の概略図である。
図5図1のシーケンシングシステムで使用される共通ラインセレクタバルブの実施形態の模式分解立体図である。
図6図1のシーケンシングシステムの共通ラインセレクタバルブが可能にする例示的ポート結合を示す模式図である。
図7A図1のシーケンシングシステムの共通ラインセレクタバルブの実施形態の異なる構成の立面断面図であり、流体がバルブを通って流れ得る様子の例を描写する図である。
図7B図1のシーケンシングシステムの共通ラインセレクタバルブの実施形態の異なる構成の立面断面図であり、流体がバルブを通って流れ得る様子の例を描写する図である。
図8図8A~Fは、図1のシーケンシングシステムの共通ラインセレクタバルブの実施形態の異なる構成の平断面図であり、様々な構成によってバルブの異なるポート結合を説明する図である。
図9A図1のシーケンシングシステムのフローセルを通り、共通ラインセレクタバルブが選択するいくつかの流路の概略図である。
図9B図1のシーケンシングシステムのフローセルを通り、共通ラインセレクタバルブが選択するいくつかの流路の概略図である。
図9C図1のシーケンシングシステムのフローセルを通り、共通ラインセレクタバルブが選択するいくつかの流路の概略図である。
図9D図1のシーケンシングシステムのフローセルを通り、共通ラインセレクタバルブが選択するいくつかの流路の概略図である。
図10】流体を図1のシーケンシングシステムのフローセルに吸引することなく流体システムをプライミングする例示的方法を示す図である。
図11】試薬セレクタバルブ、共通ラインセレクタバルブ、ノズル及びいくつかの流体チャネルを有し、図1のシーケンシングシステムとインタフェースをとるマニホールド組立体の実施形態の斜視図である。
図12図1のシーケンシングシステムを作動させる方法の実施形態の流れ図である。
図13】いくつかの試薬間で選択し当該試薬を結合するための付加的な共通ラインセレクタバルブを有する、図1のシーケンシングシステム用の流体システムの他の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、シーケンシングしてその成分、成分の順序及び試料の一般的構造を決定することができる分子試料を処理するように構成されるシーケンシングシステム10の実施形態を示す。システムは、生体試料を受け取って処理する器械12を含む。試料源14は、多くの場合組織試料を含み得る試料16を供給する。試料源は、その配列が決定される、例えば人間、動物、微生物、植物若しくは他のドナー(環境試料を含む)等の個人若しくは被検体、又は対象の有機分子を含む他の任意の対象を含み得る。当然ながら、有機体から採取する試料以外の合成分子を含む試料とともに、システムを用いることができる。多くの場合に、分子は、最終的対象の特定機能を有するその遺伝子及び変異体を決定できる配列のデオキシリボ核酸、リボ核酸又は塩基対を有する他の分子を含み得る。
【0029】
試料16を試料/ライブラリ調製システム18に導入する。このシステムは、分析用試料を分離でき、切断でき又は調製できる。結果として生じるライブラリは、シーケンシング作業を促進する長さの対象分子を含み得る。結果として生じるライブラリはその後器械12に供給され、器械12においてシーケンシング作業が行われる。実際問題として、テンプレートと呼ぶこともできるライブラリを、自動的プロセス又は半自動的プロセスで試薬と結合し、その後、シーケンシング前にフローセルに導入する。
【0030】
図1に示す実施形態では、器械は、試料ライブラリを受けるフローセル又はアレイ20を含む。フローセルは、ライブラリの分子の付着とシーケンシング作業中に検出できる位置又は部位での増幅とを含む、発生ケミストリーをシーケンシングできる1つ以上の流体チャネルを含む。例えば、フローセル/アレイ20は、位置又は部位の1つ以上の表面に固定されるシーケンシングテンプレートを含み得る。「フローセル」は、パターン化されたアレイ、例えばマイクロアレイ及びナノアレイ等を含み得る。実際問題として、当該位置又は部位を、支持部の1つ以上の表面上に、規則的な繰り返しパターン、複雑な非繰り返しパターン又はランダム配置で配置できる。発生ケミストリーをシーケンシングできるように、フローセルはまた、物質を導入でき、例えば、反応及びフラッシング等に用いる、様々な試薬、バッファ及び他の反応媒体を包含できる。物質は、フローセルを通って流れ、個々の部位で対象分子と接触できる。
【0031】
器械において、フローセル20を、この実施形態では符号24で示す1つ以上の方向で移動できる、可動ステージ22上に装着する。フローセル20を例えば、試薬及び他の流体をフローセル20から又はフローセル20へ搬送できるために、可動ステージ22上のポート又はシステムの他の要素とのインタフェースとできる、取外し可能かつ交換可能なカートリッジの形態で設けることができる。ステージを、シーケンシング中に放射又は光28をフローセルに向けることができる光学検出システム26と関連付ける。光学検出システムは、フローセルの部位に配置される分析物を検出するために蛍光顕微鏡法等の様々な方法を使用できる。非限定的な例として、光学検出システム26は、共焦点線走査を使用して、プログレッシブピクセル化画像データを生み出すことができる。プログレッシブピクセル化画像を分析して、フローセルに個々の部位を配置して、各部位に直近に付着又は結合したヌクレオチドの種類を決定することができる。試料に沿って1つ以上の放射地点を走査する技術又は「ステップアンドシュート」撮像アプローチを使用する技術等の他の撮像技術も適切に使用できる。光学検出システム26及びステージ22は、領域の画像を取得する間又は説明するようにフローセルを任意の適切なモード(例えば点走査、線走査、「ステップアンドシュート」走査)で走査できつつ、フローセル及び検出システムの静的関係を維持するように協働することができる。
【0032】
撮像するため、より一般的には部位で分子を検出するために多数の技術を使用できる一方、現在考えられる実施形態は、蛍光タグを励起させる波長での共焦点光学撮像を使用できる。自らの吸収スペクトルによって励起されるタグは、自らの発光スペクトルによって蛍光シグナルを戻す。光学検出システム26は、このようなシグナルを捕捉して、信号発生部位を分析できる解像度でピクセル化画像データを処理し、結果として生じる画像データ(すなわちピクセル化画像データから得られるデータ)を処理及び保存するように構成される。
【0033】
シークエンシング作業において、例えば単一のヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに関する反応を促進する、周期的かつ自動的な又は半自動的な作業又は処理が実装される。当該反応に続いて、その後のサイクルに備えるフラッシング、撮像及びデブロッキングが行われる。シーケンシングしフローセル上に固定するために調製される試料ライブラリは、あらゆる有用な情報をライブラリから引き出す前に、多数のこのようなサイクルを経ることができる。光学検出システムは、電子検出回路(例えばカメラ又は撮像電子回路又はチップ)を使用することで、シーケンシング作業の各サイクル中に、フローセル(及びその部位)の走査から画像データを生成できる。その後、結果として生じる画像データを分析して、撮像データで個々の部位を配置し、部位に存在する分子を、部位の画像データにおけるピクセルの群又はクラスタが示す、特定の位置で検出された具体的な色又は光の波長(特定の蛍光タグの特徴的な発光スペクトル)等に関して分析及び特徴付けできる。デオキシリボ核酸又はリボ核酸のシーケンシングを適用する際に、例えば、4つの共通ヌクレオチドを、識別可能な蛍光発光スペクトル(光の波長又は波長範囲)によって表すことができる。それぞれの発光スペクトルをその後、当該ヌクレオチドに対応する値に割り当てることができる。この分析及び周期的に決定される各部位に対する値の追跡に基づいて、各部位に対して個々のヌクレオチド及びヌクレオチドの順序を決定することができる。その後これらの配列を更に処理して、遺伝子及び染色体等を含むより長いセグメントをアセンブルすることができる。本明細書で使用される用語「自動的」及び「半自動的」は、作業を開始した後又は作業を含むプロセスを開始した後、人間による干渉がほとんど無い状態又は全く無い状態で、システムのプログラミング又は設定によって作業を行うことを意味する。
【0034】
図示した実施形態では、バルブ32を通じて試薬30をフローセルに引き込み又は吸引する。バルブは、受容体又は導管から、例えばピペッター又はシッパー(図1には示されていない)によって、受容体又は容器が保管する試薬にアクセスすることができる。バルブ32は実施される作業の規定のシーケンスに基づいて試薬を選択できる。バルブは、流路34を通じて試薬をフローセル内に向けるコマンドを更に受け取ることができる。出口又は排出流路36は、フローセルから使用された試薬を導く。図示した実施形態では、ポンプ38はシステムによって試薬を移動させて供給する。ポンプは他の有益な機能を、例えばシステムを通る試薬又は他の流体の測定、及び空気又は他の流体の吸引等を提供することもできる。ポンプ38の下流の追加的なバルブ40は、使用された試薬を廃棄容器又は受容体42に適切に導くことができる。
【0035】
器械は、様々なシステム構成要素を作動させ、センサからのフィードバックによって当該システム構成要素の動作を監視し、画像データを収集し及び画像データを少なくとも部分的に処理する命令に役立つ、ある範囲の回路を更に含む。図1に示す実施形態では、制御/管理システム44は、制御システム46とデータ取得及び分析システム48とを含む。両システムは、1つ以上のプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ等のデジタル処理回路又は他の任意の適切な処理回路)と、関連するメモリ回路50(例えばソリッドステートメモリ装置、ダイナミックメモリ装置並びにオンボード及び/又はオフボードのメモリ装置等)とを含み得る。メモリ回路50は、機械が実行可能な、例えば1つ以上のコンピュータ、プロセッサ又は他の類似する論理装置を制御してある機能を提供するための命令を記憶できる。特定用途向け又は汎用コンピュータは、少なくとも部分的に制御システム並びにデータ取得及び分析システムを構成することができる。制御システムは、例えば流体制御、光学制御、ステージ制御及び器械の他の任意の有益な機能のためのコマンドを処理するように構成される(例えばプログラムされる)回路を含み得る。データ取得及び分析システム48は、光学検出システムとインタフェースを取って、光学検出システム若しくはステージ又はこれら両方の移動、周期的検出のための発光、並びに戻った信号の受け取り及び処理等を命じる。器械は、符号52として示す、器械の制御及び監視、試料の移送、自動化又は半自動化されたシーケンシング作業の起動及びレポートの生成等を可能にするオペレータインタフェース等の様々なインタフェースを含むこともできる。最終的に、図1の実施形態では、外部ネットワーク又はシステム54を、例えば分析、制御、監視、サービス及び他の作業のために、器械と接続し、器械と協働することができる。
【0036】
なお、図1では単一のフローセル及び流体通路並びに単一の光学検出システム26を図示している一方、ある器械には複数のフローセル及び流体通路を収容できる。例えば、現在考えられる実施形態では、このような2つの構造体を設けて、シーケンシング及びスループットを向上させる。実際問題として、任意の数のフローセル及び通路を設けることができる。これらは、同じ又は異なる試薬容器、廃棄容器、制御システム及び画像分析システム等を利用できる。複数の流体システムを設ける場合に、これらを別個に制御することができ、又は調和させて制御することができる。
【0037】
図2は、図1のシーケンシングシステムの流体システムの実施例を示す。図示した実施形態では、フローセル20は、分析(例えばシーケンシングを含む)作業の間、流動物質(例えば試薬、バッファ、反応媒体)を受け取るために、組として集められ得る一連の経路又はレーン56A及び56Bを含む。レーン56Aは共通レーン58(第1共通レーン)に接続される一方、レーン56Bは第2共通レーン60に接続される。流体をフローセルに入らずに迂回させ得るバイパスライン62も設ける。上述したように、一連の容器又は受容体64は、分析作業の間に利用することができる試薬及び他の流体を保管できる。試薬セレクタバルブ(RSV)66は、モータ又はアクチュエータ(図示せず)に接続されて、フローセルに導入される1つ以上の試薬を選択できる。その後選択される試薬を、同様にモータ(図示せず)を含む共通ラインセレクタバルブ(CLSV)68に進める。共通ラインセレクタバルブに、共通ライン58及び60の1つ以上又は両共通ラインを選択して、試薬64をレーン56A及び/若しくは56Bに制御して流すよう、又はバイパスライン62にバイパスラインを通じて試薬の1つ以上を流すよう命令できる。
【0038】
使用済み試薬は、フローセルを出て、フローセルとポンプ38との間に接続されるラインを通る。図示した実施形態では、ポンプは、一対のシリンジ70を有するシリンジポンプを含む。アクチュエータ72は、試験、検査及び分析(例えばシーケンシング)サイクルの様々な作業中に、一対のシリンジ70を制御し移動させて試薬及び他の流体を吸引し、試薬及び流体を排出する。ポンプ組立体は、バルブ、器械及びアクチュエータ等(図示せず)を含む他の様々な部品及び構成要素を含み得る。図示した実施形態において、圧力センサ74A及び74Bはポンプの入口ラインにかかる圧力を感知する一方、圧力センサ74Cを設けてシリンジポンプが出力する圧力を感知する。
【0039】
システムが使用する流体は、ポンプから使用済み試薬セレクタバルブ76に入る。バルブは、使用済み試薬及び他の流体に対する複数流路の1つを選択できる。図示した実施形態において、第1流路は第1使用済み試薬容器78につながる一方、第2流路は流量計80を通って第2使用済み試薬容器82につながる。使用される試薬によっては、試薬を収集すること、又は特定の試薬を廃棄用の別個の容器に置くことが有利となり得て、使用済み試薬セレクタバルブ76はこのような制御ができる。
【0040】
なお、ポンプアセンブリ内のバルブは、ポンプに、試薬、溶剤、クリーナ及び空気等を含む様々な流体を吸引させることができ、共通ライン、バイパスライン及びフローセルの1つ以上を通って注入又は循環させることができる。さらに、上述したように、現在考えられる実施形態では、図2に表す流体システムの2つの並列な実装を共通の制御下で設ける。流体システムのそれぞれは、単一の分析器械の一部となり得て、異なるフローセル及び試料ライブラリに対するシーケンシング作業を含む機能を並列に実行できる。
【0041】
流体システムは、試験、検証及び分析(例えばシーケンシングを含む)等の規定のプロトコルを実装する制御システム46のコマンドの下で動作する。規定のプロトコルを予め制定でき、規定のプロトコルは、試薬の吸引、空気の吸引、他の流体の吸引、並びにこのような試薬、空気及び流体等の排出等の動作に対する一連のイベント及び作業を含む。プロトコルは、フローセルで起こる反応並びにフローセル及びその部位の撮像等の、器械の他の作業に関するこのような流体作業を調和させることができる。図示した実施形態において、制御システム46は、バルブに対するコマンド信号を提供するように構成される1つ以上のバルブインタフェース84と、ポンプアクチュエータの作業を命令するように構成されるポンプインタフェース86とを使用する。圧力センサ74A-C及び流量計80等からのフィードバックを受け取って当該フィードバックを処理する、様々な入力/出力回路88も設けられる。
【0042】
図3は、制御/管理システム44の特定の機能的要素を示す。図示するように、メモリ回路50は、試験中、試運転中、トラブルシューティング中、サービス中及び分析作業中に実行される規定の手順を記憶する。このような多数のプロトコル及び手順をメモリ回路に実装でき記憶でき、これらを時々更新又は変更することができる。図3に示すように、これらは、様々なバルブ、ポンプ及び他の任意の流体アクチュエータを制御するとともに、バルブ等の流体センサ並びに流れ及び圧力センサからのフィードバックを受け取り処理する流体制御プロトコル90を含み得る。ステージ制御プロトコル92は、例えば撮像中に、フローセルの所望の移動を可能とする。光学制御プロトコル94は、撮像要素にフローセルの一部を照射する命令を発行できるとともに、処理を行うため戻った信号を受け取る命令を発行できる。画像取得及び処理プロトコル96は、分析に関して有益なデータを抽出するために、画像データを少なくとも部分的に処理できる。他のプロトコル及び手順を、同一のメモリ回路又は符号98で示す異なるメモリ回路で提供することができる。実際問題として、メモリ回路を、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの両者等の1つ以上のメモリ装置として設けることができる。このメモリを、器械内に存在させることができ、オフボードとすることができる。
【0043】
1つ以上のプロセッサ100は、記憶されたプロトコルにアクセスし、器械上で当該プロトコルを実行する。上述したように、処理回路を、特定用途向けコンピュータ、汎用コンピュータ又は任意の適切なハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアプラットフォームの一部とすることができる。人間のオペレータが、オペレータインタフェース101を経て、プロセッサ及び器械の作業に命令することができる。オペレータインタフェースによって、試験、試運転、トラブルシューティング及びサービスを行うことができ、またオペレータインタフェースは器械で発生し得る任意の問題を報告することができる。またオペレータは、分析作業を起動でき監視できる。
【0044】
図4は、器械12の実施形態に関する流体システム120の一部を示す。矢印は、物質(例えば試薬、バッファ及び分析物)を試料分析中に図示される様々な流路を通じて流す能力を示す。図4に示す実施形態に関して、フローセル20は、レーングループA及びレーングループBとして表示される、2つのレーングループを含む。フローセル20の他の実施形態は、異なる数のレーングループ、例えば3つ以上のレーングループを含み得る。更に他の実施形態では、フローセル20は、1つのみのレーングループを含むことができる。フローセル20を、分析システムにおける取外可能な及び/又は交換可能な品目とすることができる。
【0045】
図示した2つのレーングループA及びBはそれぞれ、2つの流体チャネル又はレーンを含み、図4において当該流体チャネル又はレーンをレーンL1、L2、L3及びL4として示す。この点について、レーングループA及びBがそれぞれ2つのレーンを含むため、レーングループA及びBを「レーンペア」と呼ぶことができる。図示した実施形態に関して、フローセル20は、分析プロトコルの間、レーングループA及びBを通じて、物質(例えば流体)を矢印が示す方向に動かすように設計される。試験等のための他のプロトコルは、ある物質を異なる方向に流すことができる。
【0046】
さらに、図4に示す流体システムのポンプ38は、多数のシリンジポンプ124(例えばシリンジポンプ124A及び124B)を含む。図示したように、シリンジポンプ124はそれぞれ、アクチュエータ128(例えばアクチュエータ128A及び128B)が作動させる、1つ以上のシリンジ126(例えばレーングループAに対応するシリンジ126A及びレーングループBに対応するシリンジ126B)を含む。図示したシリンジポンプ124はバルブ130(例えばバルブ130A及び130B)も含み、シリンジポンプはバルブ130によって、流体を、ポンプ124の様々なオリフィス又はポートに押込み又は引出し得る。
【0047】
シリンジポンプ124、試薬セレクタバルブ66及び共通ラインセレクタバルブ68の制御によって、フローセル20を通じて流体を進める方法を、完全に又は部分的に調整する。図2に関して上述したように、試薬セレクタバルブ66を、様々な試薬の試薬源に流体結合させ、試薬源と共通ラインセレクタバルブ68との間で選択的に流体結合させ得る。例として、試薬セレクタバルブから共通ラインセレクタバルブへの共通ライン140は、試薬セレクタバルブ66の試薬出口ポートを、共通ラインセレクタバルブ68の共通ライン入口ポートと流体的に結合できる。そして試薬セレクタバルブから共通ラインセレクタバルブへの共通ライン140は、様々な流体(例えば試薬)を試薬セレクタバルブ66と共通ラインセレクタバルブ68との間で流すように設計される。
【0048】
本明細書で更に詳細に議論するように、共通ラインセレクタバルブ68は、(例えば選択される試薬ポートを経て)試薬セレクタバルブ66で選択される試薬と、フローセル20内の様々な流路との間を選択的に流体結合できる。このようにして、共通ラインセレクタバルブ68をフローセル20に結合して、流体に関してフローセル20を通る流路を、複数の流路から選択する。当該複数の流路は、フローセルのあるチャネルを通る第1流路と、フローセルの第2チャネルを通り第1流路とは異なる第2流路と、を含む。ある実施形態では、複数の流路は、第1流路及び第2流路の両方を含む第3流路を含む。図示される実施形態において、当該構成は、共通ラインセレクタバルブ68がとりわけ、試薬セレクタバルブ66と、レーングループA及びB(それぞれ第1レーングループ及び第2レーングループ)の一方又は両方との間を選択的に流体結合できるように構成されることを意味する。そしてある実施形態では、共通ラインセレクタバルブ68がとりわけ、試薬セレクタバルブ66と、他の流路との間を選択的に流体結合できるように構成されることを意味する。このようにして、共通ラインセレクタバルブ68は、フローセル20の各レーングループ又はレーンペアを個々にアドレス指定できる。また共通ラインセレクタバルブ68は、試薬セレクタバルブ66と、バイパスライン142との間を選択的に流体結合できる。この構成は、フローセル20を通じて流体を吸引すること無しに試薬を使用する準備をする(prime)のに有益となることができ、特定の試験プロトコル及び他のプロトコルに対して有益となることができる。本明細書で使用する用語「流体的に結合する」は、流路間に流体を流すことができる、流路間の結合を示すことを意図する。したがって、選択される又は選択的な流体結合は、選択的に流路を結合して流体を当該流路間に流せる能力を示し、当該流路は他の状態(流体的に結合されていないとき)では互いに流体的に分離される(流体は当該流路間を流れることができない)。分析作業の間、制御回路は自動的に、共通ラインセレクタバルブ68に(例えばモータによって)分析プロトコルに基づいて流路を選択するよう命令する。例えば、フローセルをシーケンシングシステムに装着でき、フローセル20が適切に装着されているときに、1つ以上のマニホールド(例えば複数のマニホールド)はフローセル20を共通ラインセレクタバルブ68と係合できる。制御回路は、ある診断を実施して適切な流体接続が確立されていることを保証でき、流体システム120の試薬プライミングを含む特定の予分析作業(例えば予シーケンシング作業)を実施でき、その後様々な分析(例えばシーケンシングを含む)プロトコルを開始することができる。
【0049】
上述したように、共通ラインセレクタバルブ68を用いる選択的流体結合を、バルブ68のある物理構成を使用して達成できる。バルブ68の実施形態を図5に模式的に示す。図示するように、共通ラインセレクタバルブ68は、互いに分離して表される静止部150と可動部152とを含む。組立時に、静止部150及び可動部152は、これらそれぞれの流体要素(例えば流体ポート、流体チャネル)間での流体漏れを妨げるように、互いに直接当接するように位置付けられる。可動部152は、静止部150に対して矢印154で表すように移動(例えば平行移動、回転)して、これらそれぞれの流体要素間で様々な流体接続を形成するように構成される。可動部152が平行移動し、回転し又はこれら両方を行うかどうかは、共通ラインセレクタバルブ68の特定幾何学的形態(例えば長尺、環状、多角形状)とともに、バルブ68の様々な機械結合156及び流体結合158の性質によることができる。共通ラインセレクタバルブ68の機械結合156は、バルブ68とシーケンシングシステム10の他の構成要素(例えばバルブ66,68を含むマニホールド組立体のハウジング及び本明細書で説明する様々な流路)との間でファスナによって行う結合を含むことができる。機械結合156は、可動部152とモータ等のアクチュエータとの間の結合、及び可動部152と静止部150との間の結合も含み得る。
【0050】
流体結合158を動的として、調整、閉鎖、開放、形成及び閉塞等することができる。流体結合158は、図4の共通ライン58及び60並びに試薬セレクタバルブから共通ラインセレクタバルブへの共通ライン140等の様々なライン(例えば図2の流路34)への結合を含み得る。ある実施形態では、流体結合は、例えばフローセル20がシーケンシングシステムに装着されているときに、作動して共通ラインセレクタバルブ68をフローセル20に流体的に結合する、1つ以上のマニホールドを含み得る。
【0051】
本実施形態によれば、可動部152の静止部150に対する動き154は、個々のチャネル160と個々のポート162との間の重なりを調整して、流体的に結合されるポートの様々な組み合わせを生み出す。流体的に結合されるポートの様々な組み合わせを用いて、フローセル20を通る流体の流路を定める。
【0052】
図示される実施形態では、個々のチャネル160は可動部152の一部であり(例えば可動部152に形成される)、個々のポート162は静止部150の一部である(例えば静止部150に形成される)。しかしながら、共通ラインセレクタバルブ68の他の実施形態は、個々のポート162の一部又は全部を可動部152に有することができ、個々のチャネル160の一部又は全部を静止部150に有することができる。個々のチャネル160及び個々のポート162の各部分の構成を、例えばサブトラクティブ製造(例えばエッチング、機械加工及びリソグラフィ)又は付加製造によって達成できる。共通ラインセレクタバルブ68の1つ以上の材料を、システム10(図1)分析及びの試験プロトコル中に、通常使用される流体に耐えるように選択又は設計でき、例えば1つ以上の材料が試薬から離し、ひび割れ又は他の化学的に誘起される劣化を妨げることができる。さらに、共通ラインセレクタバルブ68の1つ以上の材料を、可動部150と静止部152との間で、ある摩擦係数を有し、アクチュエータ又はユーザが加える一定の大きさの力の下で可動部152が依然として自由に移動できつつ、可動部152の偶発的変動に十分抵抗するように選択することができる。
【0053】
図示するように、可動部152及び静止部150は、軸線方向164で重なる環状の幾何学的形状を含む。図示する実施形態では、可動部152の中心点166と静止部150の中心点168とが軸線方向164に沿って実質的に位置合わせされるように重なる。バルブ68の他の実施形態は、例えばバルブ68を含むカートリッジ内の空間的制約及び特定の設計留意点等のために、中心点166,168が互いにオフセットされる配置を有することができる。実際に、可動部152及び静止部150の寸法は同じでなくても良く、例えば同じ周長、長さ又は深さを有するとともに相違する幾何学的形状(相違する形状)を有することができる。例えば、図5の概略図において、可動部152が静止部150に対して積層される関係が表されている一方、共通ラインセレクタバルブ68のある実施形態は、静止部152内に入れ子式にされる(が同様に積層される関係である)可動部152を有することができる。
【0054】
共通ラインセレクタバルブ68を用いて流体結合を生成するために、静止部150の厚さ170にわたって(例えば平行な平面172,174の間を)延びる特定の個々のポート162は、特定の内部チャネル160と軸線方向166で位置合わせされる。個々のポート162は、表面172から静止部150を通って表面174に延びる。表面172は、可動部152から離れる方向を向く静止部150の第1側面である。表面174は、可動部152を向くとともに可動部152に直接当接する静止部150の第2側面である。静止部150において、個々のポート162は互いに分離し異なるものである。個々のポート162を用いて、流体結合158の配置によって、流体を送達し又は受け取ることができる。
【0055】
本実施形態によれば、個々のチャネル160は、互いに結合される個々のポート162の異なる組み合わせが可能な幾何学的形状を有する。この構成は、共通ラインセレクタバルブ68のポートの様々な例示的組み合わせを含む、図6に模式的に表される。図示されるように、共通ラインセレクタバルブ68の実施形態は、5つの異なるポートを含むが、他の実施形態では他の数のポートを含むことができる。
【0056】
例示的バルブ構成68Aによって表現されるように、バルブ68の第1流体チャネル160Aは、ポート1,2及び3を流体的に結合する。一例として、ポート2を入口とするとともにポート1及び3をレーングループの出口(レーングループにつながる)とすることができる。このような構成を、高スループット構成と呼ぶことができ、当該構成では、例えば並列レーングループA及びBにおいて、並行する作業(例えばシーケンシング作業)を実施する。ある試験プロトコル、例えば圧力試験プロトコルにおいて、ある流体を異なる流れ方向に進めることが、すなわちレーングループA及びBから進めてバルブ68及び共通ライン140を通じて戻すことができる。
【0057】
また、例示的バルブ構成68Bでは、バルブ68の第2流体チャネル160Bは、ポート2及び3のみを流体的に結合する。したがって、2が流体入口であるとともに、3が流体出口である実施形態では、共通ラインセレクタバルブ68はフローセル20を通る単一のレーングループの流れを選択する。バルブ構成68Cでは、第3流体チャネル160Cは、ポート2及びポート5を流体的に結合する。このような構成において、共通ラインセレクタバルブ68は、これらのポートの間のみに流体を流し、ポート5が流体的にレーングループ以外のライン(例えばバイパスライン)に流体的に接続されているときには、流体をフローセル20のレーングループに流さず、その代わりにレーングループをバイパスする。共通ラインセレクタバルブ68の様々なポートの流体結合は、図6に表す組み合わせ以外の組み合わせをもたらすことができ、実際に、共通ラインセレクタバルブ68の実施形態を用いてポートのいずれか1つ又は組み合わせを選択することができる。
【0058】
流体的に結合されるポートの様々な組み合わせを、共通ラインセレクタバルブ68の可動部152を静止部150に対して移動させて、可動部152の様々な個々のチャネル160を、静止部150の個々のポート162の幾つかの組み合わせと位置合わせすることで構成する。共通ラインセレクタバルブ68の実施形態の立面断面図である図7A及び7Bを参照して、チャネル160を使用してポート162を流体的に結合できる方法が、更に理解される。図7A及び7Bに示す実施形態では、図を明瞭にするために、ポート162のあるポート(例えばバイパスライン及び空気入口ポート)は図示されていない。しかしながら、バルブ68の様々な領域にこのようなポートが存在できることを理解するはずである。
【0059】
図7A及び7Bでは、可動部152を静止部150の容器領域180内で入れ子にし、可動部152は静止部150に対して回転可能である。描写される実施形態において、第1チャネル160Aは第1ポート(レーングループAのポート162A)、第2ポート(レーングループBのポート162B)及び第3ポート(試薬セレクタバルブのポート162C)と軸線方向で重なり、これらポートを互いに流体的に結合する。本実施形態によれば、図示するように、チャネル160は可動部152の厚さ182(平行な表面184,186間の距離によって定められる)の一部のみにわたって延びる。表面184は静止部150の表面174に当接し、表面186は静止部150から離れる方向を向く。
【0060】
可動部152は静止部150に対して密封されるため、流体はポート162A,162B及び162Cの間のみを通過する。例えばシーケンシングプロトコルの一部の間に、物質がフローセル20(図4)内に進むときに、流体は、第1チャネル160Aの形状によって定まる、ポート162Cからポート162A及び162Bに延びる矢印が描写するようにのみ流れることができる。さらに、共通ラインセレクタバルブ68が可動部152を図7Aに対して回転させることによって生み出される方向を向く、図7Bに表されるように、可動部152(可動部152の本体)はレーングループAのポート162Aに対して堅く密封されて、流体はポート162Aから出ない。図7Aの第1チャネル160Aがポートと位置合わせされる代わりに、図7Bでは、第2チャネル160Aがポート162B及び162Cと位置合わせされ、これにより2つのポート162B及び162Cを流体的に接続して、共通ラインセレクタバルブ68から各ポートを通じて流体を流す。例えばシーケンシングプロトコル中、流体がフローセル20内に進むときに、流体は、矢印が表すように、試薬セレクタバルブ66から、試薬セレクタバルブのポート162Cを通じ、第2チャネル162Bを通じ、レーングループBのポート162Bから(例えば図2及び4のライン60を経て)レーングループBに流れることができる。
【0061】
可動部152の静止部150に対する位置を調整するとともにポンプ38を用いて適切に吸引することで、他の多数の流体結合及び流れ方向を実現することができる。それから、可動部152及び静止部150の両方が環状である実施形態では、可動部152の回転によって、円弧状チャネル160の特定のチャネルを、可動部150の様々な周方向位置に位置付けられるポート162の1つ以上と位置合わせするように機能する。チャネル160は様々な幾何学的形状を有することができ、一般に様々な形状を示すが、ある共有パラメータ(例えば、可動部152の厚さ182に沿う、チャネル160の寸法によって定められるチャネル深さ、可動部の半径方向における、チャネル160の寸法によって定められるチャネル幅)を有する。様々な幾何学的形状によって、様々な流体接続を構成することができる。
【0062】
試薬セレクタバルブ66、レーングループA及びB、バイパスライン142、並びに空気に対するポートを有する共通ラインセレクタバルブ68の一実施形態を、図8Aから8Fに表す。図8Aから8Fは、様々な位置及び方向における共通ラインセレクタバルブ68の平面図である。様々なシェーディング又はハッシングを用いて、共通ラインセレクタバルブ68の複数ポート162の間を区別する。シーケンシングシステムの制御回路は、図8Aから8Fに示す共通ラインセレクタバルブ68の一連の位置を指示して、例えば、ある試験作業、予シーケンシング作業又はシーケンシング作業に対応付けることができることが理解されるはずである。
【0063】
図8A-8Fに示す共通ラインセレクタバルブ68は、軸線方向164の周りを回転するとともに様々な内部チャネル160を含む、可動部152を有する。また、可動部152はポート162に対して堅く密封され、チャネル160が適切に位置合わせされて他のポート162に流れることができない限り、流体はポート162から出ない。例えば、図8Aに示す共通ラインセレクタバルブ68の方向によって、試薬セレクタバルブのポート162Cを、レーングループAのポート162A及びレーングループBのポート162Bの両方に、第1チャネル162Aの実施形態を用いて流体的に結合する。以下、図8Aに示す共通ラインセレクタバルブ68の方向を、「試薬セレクタバルブからレーングループA及びBまで」の位置と呼ぶ。第1チャネル160Aは、軸線方向でポート162A,162B及び162Cと重なり、ポート162A,162B及び162Cを一緒に流体的に接続するように、幾何学的に設計される。なお、図8Aに表す位置において、共通ラインセレクタバルブ68の残りのチャネル160は、共通ラインセレクタバルブ68の他のポート162と一緒に結合しないように位置付けられ幾何学的に設計される。
【0064】
静止部150に対して可動部152を軸線方向164周りに、時計回りに回転することで、共通ラインセレクタバルブ68を図8Bに表す位置に移す。これにより、レーングループAのポート162Aを試薬セレクタバルブのポート162Cに、第2チャネル162Bの実施形態を用いて流体結合する。以下、当該位置を、「試薬セレクタバルブからレーングループAまで」の位置と呼ぶ。第2チャネル160Bは、軸線方向でポート162A及び162Cと重なり、ポート162A及び162Cを一緒に流体的に接続するように、幾何学的に設計される。図示するように、図8Bに表す位置において、共通ラインセレクタバルブ68の残りのチャネル160は、共通ラインセレクタバルブ68の他のポート162と一緒に結合しないように位置付けられ幾何学的に設計される。したがって、第1チャネル160Aは、レーングループBのポート162Bに流体的に結合するが、複数チャネル160は互いに流体的に分離されているため、レーングループBのポート162Bは、他のポートから流体的に分離されたままである。
【0065】
時計回りの回転を進めて、共通ラインセレクタバルブ68は、図8Cに表す構成に移る。当該位置では、試薬セレクタバルブのポート162CをレーングループBのポート162Bに第2チャネル160Bを用いて流体的に結合する。以下、当該位置を、「試薬セレクタバルブからレーングループBまで」の位置と呼ぶ。第2チャネル160Bを適切な寸法にして、隣接する2つのポート162のみを結合するため、第2チャネル160Bをいくつかの異なる位置で隣接するポートを結合するために利用できる。したがって、本実施形態によれば、チャネル160の1つを用いて、複数ポート162間の流体結合の複数の組み合わせを生み出すことができる。ここで、残りのポート162は、ポート162のそれぞれの位置との組み合わせで、チャネル160の位置決め及び幾何学的設計のために他のポート162からもう一度分離される。
【0066】
図8A-8Cに示す方向は、図4に示す流体システム120の実施形態が、上述したように、試薬セレクタバルブ66から受ける流体を単一レーングループ(例えばレーングループA又はB)を通じて導き又は両レーングループA及びBを通じて同時に導くように動作できるようにする。さらに、時計回りの回転の文脈で説明される一方、共通ラインセレクタバルブ68を、これとともに又はこれに加えて、チャネル160の現在位置及び所望のポートの組み合わせによって、逆時計回りに回転できる。例えば、図8Aに表す方向から始まり、可動部152を逆時計回りに回転させて、図8Dに表す方向を作り出すことができる。
【0067】
図8Dに示す方向は、流体システム120の実施形態が、流体を試薬セレクタバルブ66とバイパスライン142との間で流すことができるようにする。以下、当該方向を、「試薬セレクタバルブからバイパスまで」の位置と呼ぶ。この位置では、第3チャネル160Cの実施形態は、試薬セレクタバルブポート162Cをバイパスポート162Dに流体的に結合する。図示する位置では、第3チャネル160Cは、試薬セレクタバルブポート162C及びバイパスポート162Dのみを流体的に結合しながら、残りのポート162の流体分離を維持するように、幾何学的に設計され位置付けられる。
【0068】
上述したように、共通ラインセレクタバルブ68は、空気入口ポート162Eも含む。空気入口ポート162Eは、空気を流体システム120内に吸引でき、診断又は他の目的に有益でとなり得る。例えば、図8Eに示す方向(例えば可動部152を図8Dから逆時計回りに回転することによって作り出される)は、空気入口ポート162Eを、レーングループAのポート162A及びレーングループBのポート162Bの両方に、第4チャネル160Dを用いて流体的に結合する。以下、当該方向を、「空気からレーングループA及びBまで」の位置と呼ぶ。図示する方向は、圧力試験又は他のプロトコルの前に、レーングループA及びBを乾燥させるのに有益となり得る。
【0069】
可動部152を更に回転することによって、図8Fに示す方向を作り出すことができる。以下、当該方向を、「空気からバイパスまで」の位置と呼ぶ。この構成では、第1チャネル160Aは、空気入口ポート162Eをバイパスポート162Dに流体的に結合し、このことは、ある圧力テストの間に空気を流体システム120内に導入し得るのに有益である。なお、第2チャネル160Bも、この流体結合を作り出すことができる。
【0070】
図8A-8Fに示す共通ラインセレクタバルブ68の方向及び他の潜在的な位置も、プロセッサ100が流体システムの様々な流路を分離、調製及び試験できる診断目的に有益となり得る。上述した共通ラインセレクタバルブ68(具体的には試薬セレクタバルブ66を伴う共通ラインセレクタバルブ68)のある位置に起因する、流体システム120を通る流体の例示的流路を、図9A-9Dに描写する。
【0071】
図9Aに描写する実施形態では、共通ラインセレクタバルブ68の位置は、図8Aに関して説明される「試薬セレクタバルブからレーングループA及びBまで」の位置である。したがって作業中、試薬セレクタバルブ66は、試薬セレクタバルブから共通ラインセレクタバルブへの共通ライン140を通って共通ラインセレクタバルブ68に進む、試薬64を選択する。試薬セレクタバルブポート162Cは、共通ラインセレクタバルブ68を経て、レーングループAのポート162A及びレーングループBのポート162Bにそれぞれ流体的に結合されているため、試薬は、共通ラインセレクタバルブ68を通って、共通ライン58及び60を経てレーングループA及びBに流れる。図9Aの実施形態において、このことは陰を付けたレーングループA及びBの両方と、フローセル20を通るシリンジポンプ124までの流れの進行を示すボールド体の矢印とに表される。この構成は、フローセル20に関するシーケンシングスループットの最高水準を表すと考えられる。
【0072】
図9Bに描写する実施形態では、共通ラインセレクタバルブ68の位置は、図8Bに関して説明される「試薬セレクタバルブからレーングループAまで」の位置である。したがって作業中、試薬セレクタバルブ66は、共通ライン140を通って共通ラインセレクタバルブ68に進む、試薬64を選択する。試薬セレクタバルブポート162Cは、共通ラインセレクタバルブ68を経て、レーングループAのポート162Aのみに流体的に結合されているため、試薬は、共通ラインセレクタバルブ68を通って、共通ライン58を経てレーングループA(レーン1L1及び2L2)に流れる。図9Bの実施形態において、このことはレーングループAのみに陰を付けたことと、フローセル20を通る対応シリンジポンプ124Aまでの流れの進行を示すライン58のボールド体の矢印とに表される。この構成により、レーングループBで実行されるシーケンシング作業から分離され当該作業とは異なる、レーングループAでのシーケンシング作業が可能になり、レーングループAとレーングループBとの間でシーケンシング作業のパラメータを独立に制御することができる。
【0073】
図9Cに描写する実施形態では、共通ラインセレクタバルブ68の位置は、図8Cに関して説明される「試薬セレクタバルブからレーングループBまで」の位置である。したがって作業中及び制御回路の命令時に、試薬セレクタバルブ66は、共通ライン140を通って共通ラインセレクタバルブ68に進む、試薬64を選択する。試薬セレクタバルブポート162Cは、共通ラインセレクタバルブ68を経て、レーングループBのポート162Bのみに流体的に結合されているため、試薬は、共通ラインセレクタバルブ68を通って、共通ライン58を経てレーングループB(レーン3L3及び4L4)に流れる。図9Bの実施形態において、このことはレーングループBのみに陰を付けていることと、フローセル20を通る対応シリンジポンプ124Bまでの流れの進行を示すライン58のボールド体の矢印とに表される。
【0074】
上述したように、ある実施形態では、レーングループを、共通ラインセレクタバルブ68の出力から分離し、また試薬を共通ラインセレクタバルブ68を通じて流し、例えばシーケンシング中に新たな試薬を導入するために流体システム120をプライミングすることが好ましいことがある。例えば、あるプロトコルの間、試薬セレクタバルブ66から共通ラインセレクタバルブ68を通って延びる流体素子に、使用される試薬を満たすことが好ましいことがある。このような実施形態では、共通ラインセレクタバルブ68を、図8Dに関して説明される「試薬セレクタバルブからバイパスまで」の位置に位置付けることができる。図示される実施形態では、共通ラインセレクタバルブ68を、試薬セレクタバルブポート162Cがバイパスポート162Dのみに流体的に結合され、それにより流体が、バイパスライン142と共通ラインセレクタバルブ68との間で流れるが、共通ラインセレクタバルブ68とレーングループA及び/又はBとの間では流れないように位置付ける。この構成は、共通ラインセレクタバルブ68からバイパスライン142を通りシリンジポンプに124Aに達するボールド体の矢印として示される。なお、シリンジポンプ124A及びシリンジポンプ124Bの一方又は両方をバイパスライン142と組み合わせて使用できるが、ある特定の実施形態では、バイパスライン142をシリンジポンプ124Aのみと合わせて使用する。
【0075】
バイパスポート162Dを用いる動作の例示的シーケンスを図10に描写する。図10は、流体をフローセル20を通じて吸引することなく、流体システム120の特定部分をプライミングする方法200を示す。なお、このようなプライミングは、マイクロリットルのオーダーの量の流体を利用するシーケンシング作業において、多くの場合重要となる。したがって、流体ライン内に依然として存在する任意の材料は、測定の不正確さ、及び試薬の相対量の変動等をもたらすおそれがある。
【0076】
プライミングシーケンスを始めるため、202で最初に表すように、共通ラインセレクタバルブ68は第1位置に存在し、この例では共通ラインセレクタバルブ68は、「試薬セレクタバルブからレーングループA及びBまで」の位置として上述した「高出力」位置に存在する。この位置では、流体システム120は、試薬64の1つ以上を導入するフローセル20を調製するプロトコルを完了している。
【0077】
新たな試薬を受け取り使用するように流体システム120を準備するため、共通ラインセレクタバルブ68を、204で「試薬セレクタバルブからバイパスまで」の位置として表されるとともに図9Dに関して議論される第2位置に(例えばモータ及び関連するコントローラによって)移動することができる。また、この位置では、バイパスポート162D及び試薬セレクタバルブポート162Cが流体的に接続される。202から204への移行で表すように、可動部152を静止部150に対して反時計回りに移動することで、共通ラインセレクタバルブ68を、第1位置から第2位置へ変位させることができる。これにより、第3チャネル160Cを、試薬セレクタバルブポート162C及びバイパスポート162Dを流体的に結合する位置に移動させる。
【0078】
試薬セレクタバルブ66も(例えばモータ及び関連コントローラによって)制御可能に位置付けられて、206において表すように、所望の試薬を選択する。試薬セレクタバルブ66は、様々な利用可能試薬に対応する多数の異なる位置を有することができ、試薬を、適切に選択しているときに、続いて試薬を試薬セレクタバルブ66を通じて共通ライン140に共通ラインセレクタバルブ68へ向かって吸引し得る。208で表すようなかかる吸引を、シリンジポンプ124の1つ以上を用いて達成できる。図示される実施形態では、シリンジポンプ124はバイパスライン142に流体的に結合され、次にバイパスライン142はバイパスループ210に流体的に結合される。バイパスループ210は、流体システム120をプライミング及び/又はフラッシングするために使用される物質に関するキャッシュとして役立つことができる。バイパスループ210は、例えば適切な量のバッファ及び試薬等をキャッシングできるように、共通ライン58,60の直径又は幅よりも大きな直径又は幅を有することができる。図示される実施形態によれば、選択される試薬64を、バイパスライン142に入れることなく、バイパスループ210内に吸引する。
【0079】
試薬がバイパスループ210内に適切に吸引されると、試薬を試薬セレクタバルブ66の補助廃棄物ポートに又はシリンジポンプ廃物物に直接分注することができる。例えば、212で表すように、このことを、試薬セレクタバルブ66をその廃棄物ポートに移すとともにシリンジポンプ124にバイパスライン142及びバイパスループ210を加圧させて、試薬を208で実施される吸引と比較して逆方向に流すことによって実施できる。214で表すように、プライミングを望む各試薬に対して、前述したプロセスを実施でき、続いて共通ラインセレクタバルブ68を適切なシーケンシング位置(例えば試薬セレクタバルブからレーングループA及びBまでの位置)に移行して戻すことができる。
【0080】
図11を参照して、本明細書で説明する様々な構成の様々な接続及び流体ライン等の性質を更に理解することができる。図11は、試薬セレクタバルブ66、共通ラインセレクタバルブ68、バイパスループ210及び様々な流体接続を有するマニホールド組立体220の斜視図である。ある実施形態において、マニホールド組立体220を、様々な試薬コンテナとのインタフェースとなって、試薬セレクタバルブ66が、このような試薬を、フローセル20に最終的に送達するために試薬源から選択できるように構成されるシッパーマニホールド組立体であると考えることができる。
【0081】
マニホールド組立体220は、試薬及び他の流体に関する流路を定めるために形成されるチャネルを含む。図11に見られるように、モータ222及び224はバルブ66及び68を駆動し制御する。1つ以上のモータインタフェース又は接続部226は動力を供給し、必要に応じて、モータへ信号を供給するとともにモータから信号を受け取る。上述したように、制御回路は、試験中、試運転中及びサービス中並びに複数シーケンシング作業中、モータを制御する(とともにモータを用いてバルブを制御する)。
【0082】
マニホールド組立体220内の試薬及び流体経路は、作業中それぞれの容器(図示せず)から試薬及び他の流体を引き出すシッパー228に結合する。図11で一般に符号230で示す、試薬及び流体に対する流路を、成型、エッチング又は他の適切なプロセスによってマニホールド組立体220の本体232(例えばモノリシック構造)に形成して、上述したポンプが試薬及び流体を吸引するよう命令されるときに、試薬及び流体をシッパーからバルブへ移動させることができる。シッパーの少なくとも1つを、(例えば反応及び撮像前の)シーケンシング作業中に試薬を混合する際に支援するノズルシッパー234として構成する。また図11には、試薬及び流体を混合し(例えばこれにより混合容積として役立つ)、必要に応じて流体システム120をプライミングするために、引き出し移動させ得るバイパスループ210を示す。バイパスループ又はバイパスラインが混合容積として役立つ実施形態では、混合容積をバイパスライン62又はバイパスループ210の一部又は全部とすることができる。例えば、試薬を所望の配列でバイパスループ又はライン内に吸引できるが、試薬がバイパスループ又はラインの全長は通過しない(これにより、試薬を廃棄するルートで送り得る)。バイパスライン(またはバイパスラインにおいて混合容積として役立つ部分)に試薬の所望の配列をロードすると、例えば行先容器につながる流路と流体的に接続して、その後バイパスライン内にロードされた試薬のセット全体をバイパスラインから行先容器に戻し排出できるように、バルブを用いて、試薬が導入されるバイパスラインの端部を切り替えることができる。行先容器を例えば、コンテナ、チューブ又は試薬を包含するように設計される他の容器とすることができる。行先容器を例えば、一時的作業容積として使用できる。試薬及び/又は他の材料を、例えば混合によってフローセルへの搬送用に調製するために、当該一時的作業容積に送達できる。このように、試薬及び他の流体を、行先容器で調製した後、行先容器からフローセルに送達することができる。
【0083】
本明細書では、表現「流体的に接続される」等を用いて、互いに流体的に連通するように配置する2つ以上の構成要素間の接続を説明でき、同様に、表現「電気的に接続される」を用いて、2つ以上の構成要素間の電気接続を説明できることが理解される。表現「流体的に挿入される」を用いて、例えば構成要素の特定の順序を説明できる。例えば、構成要素Bが構成要素Aと構成要素Cとの間に流体的に挿入される場合、構成要素Aから構成要素Cまで流れる流体は、構成要素Cに到達する前に構成要素Bを通って流れることができる。
【0084】
本明細書で説明する実施形態に従って、シーケンシングシステムを動作させる様々な方法を実施することができる。一例として、図12は、共通ラインセレクタバルブ68を有するシーケンシングシステムを動作させて、例えばフローセル20のレーングループを個々にアドレス指定する、方法240の実施形態を描写する。例えばシーケンシングプロトコル又は試験プロトコル等の間、制御回路が実行する命令に基づいて、方法240の全部又は一部を実施できる。なお、さらに、本明細書で説明する特定のふるまいを、示される順序とは異なる順序で実施でき又は完全に除外でき、必要に応じて他の作業を方法240に含むことができる。
【0085】
上述したように、シーケンシングシステムの特定の構成要素を着脱可能、交換可能又は使い捨てとできる。例えばある実施形態において、フローセル20を、シーケンシングシステムの様々なコネクタとインタフェースをとるように構成される特徴を有する使い捨てカートリッジ又は類似する構造の一部とすることができる。したがって、方法240は、例えば制御回路がフローセル20がシーケンシングシステムに装着されたと判定するときに、フローセル20を、共通ラインセレクタバルブ68とフローセル20との間の1つ以上の(例えば複数の)マニホールドと流体的に係合するステップ(ブロック242)を含む。当該流体係合によって、試薬セレクタバルブ66及び共通ラインセレクタバルブ68から試薬を移す前に、フローセル20が共通ラインセレクタバルブ68と係合する。
【0086】
方法240は、共通ラインセレクタバルブ68を(例えば共通ラインセレクタバルブ68の位置を)制御して、フローセル20を通る流路を、フローセルを通る複数の流路から選択するステップ(ブロック244)も含む。例えば、フローセル20を通る流路を選択するステップは、どのレーンを通って流体がフローセル20内を流れるかを選択することを含み得る。例えば図9Aから9Cを参照して、制御回路は、(例えば図9Bに表すように)レーングループAのみを通って流れる第1流路、(例えば図9Cに表すように)レーングループBのみを通って流れる第2流路、又は(例えば図9Aに表すように)第1流路及び第2流路の両方を含む第3流路の間で選択できる。
【0087】
フローセル20に関する適切な試薬の選択に関して、試薬に関する適切な流路を選択できる。したがって、方法240は、(ブロック246において)シーケンシングプロトコルに従って、試薬セレクタバルブ66を制御して、複数の試薬から、共通ラインセレクタバルブ68及びフローセル20を通じて変位させる様々な試薬を選択するステップを含むことができる。試薬セレクタバルブ66は、流体的に共通ラインセレクタバルブ68の上流である。
【0088】
方法240は、その後(ブロック248において)シーケンシングプロトコルに従って選択される流路を通じて試薬を変位させるステップを含む。例えば、制御回路は、ポンプ38に、選択される試薬を、試薬セレクタバルブ66を通じ、試薬セレクタバルブから共通ラインセレクタバルブへの共通ライン140を通じ、共通ラインセレクタバルブ66を通じ、フローセル20を通る選択流路を通じて引き出すことができる。
【0089】
いくつかのシーケンシング作業中、いくつかの試薬を利用でき、このことは、共通ラインセレクタバルブ68及び/又は試薬セレクタバルブ66のいくつかの位置を選択して、複数試薬間で適切に移行できることを意味する。したがって、方法240は、(ブロック250において)シーケンシングプロトコルの連続的なサイクルの間、共通ラインセレクタバルブ68及び/又は試薬セレクタバルブ66の位置の変化を命令するステップを含む。当該連続的なサイクルを、試薬をフローセル20内に導入するサイクル若しくはシーケンシング反応シーケンスの全サイクル、又はこれらの両方とすることができる。例えば、図10を参照して説明するように、試薬セレクタバルブ66及び共通ラインセレクタバルブ68の位置を変化させて、複数試薬間で移行できる。実際には、このような移行は、共通ラインセレクタバルブ68に、フローセル20を通る流路ではなくてバイパスラインを選択して、例えばマニホールド組立体220のある流体構造体の試薬プライミングを実行するよう命令することを伴うことができる。
【0090】
これとともに又はこれに代えて、本明細書で説明する共通ラインセレクタバルブ68を使って、様々な共通ライン間で選択し及び/又は様々な共通ラインを組み合わせ得ることが理解されるはずである。例えば一実施形態では、図13に模式的に表すように、付加的な共通ラインセレクタバルブ260を、試薬セレクタバルブ66とフローセル20との間に位置付けられる、共通ラインセレクタバルブ68の上流に位置付けることができる。例えば、付加的な共通ラインセレクタバルブ260を利用して、いくつかの試薬につながる複数ポート間で選択して、試薬を付加的な共通ラインセレクタバルブ260及び後のいくつかの組み合わせの流体素子に引き込むことができる。一例として、制御回路は、付加的な共通ラインセレクタバルブ260に、第1試薬源262及び第2試薬源264につながるポートを流体的に結合する位置へ移行するよう命令できる。このように複数ポートを一緒に流体的に結合することで、付加的な共通ラインセレクタバルブ260は、例えばポンプ38の働きによって、第1試薬及び第2試薬を同時に流体システム120内に吸引できる。付加的な共通ラインセレクタバルブ260からの組み合わせに対応する試薬セレクタバルブ66のポートを選択して、流体を共通ラインセレクタバルブ68に結合し、その後フローセルに結合することができる。
【0091】
一例として、このような構成は、局所的に供給され得る液体によって希釈されることがある物質を大量にパッケージ化し輸送することを防止するのに特に有益となり得る。バッファの環境において、例えば、第1試薬源262を濃縮バッファ溶液とすることができ、第2試薬源264を水等の希釈剤とすることができる。ある状況において、図示するように第1試薬源262及び第2試薬源264を流体的に結合して、濃縮バッファ溶液を適切な程度希釈することが有益となり得る。付加的なバルブを使用することが、(例えば相対流量を制御するために)様々な試薬の相対混合量を更に制御するのに適切となり得ると現在考えられる。
【0092】
本開示又は特許請求の範囲内に、例えば(a), (b)又は(c)等の順序を示すインジケータが存在する場合には、このような順序又はシーケンスを明確に示さない限り、任意の特定の順序又はシーケンスを伝えることがないことを理解できる。例えば、(i), (ii)及び(iii)とラベル付けされた3つのステップが存在する場合、別段の定めが無い限り、これらのステップを任意の順序で(又は禁止されていない場合には同時にも)実施することができると理解される。例えば、ステップ(ii)がステップ(i)で生み出される要素を扱うことを伴う場合、ステップ(ii)は、ステップ(i)よりも後のある時点で起こると予測できる。同様に、ステップ(i)がステップ(ii)で生み出される要素を扱うことを伴う場合、逆のことが起こると予測できることが理解される。
【0093】
「するような(to)」という表現、例えば「2つの流路の間で切り替えるようなバルブ」という表現を、「するように構成される」、例えば「2つの流路の間で切り替えるように構成されるバルブ」等の表現に置き換えることができることも理解できる。
【0094】
「約」、「ほぼ」、「実質的に」又は「通常の」等の用語を、量又は同様の定量化できる属性に言及して使用するときに、別段の定めが無い限り、当該用語は、特定された値の±10%以内の値を含むと理解される。
【0095】
本開示で列挙する特許請求の範囲に加えて、以下の付加的な実施形態が本開示の範囲内に含まれることが理解される。
【0096】
実施形態1:
対象分析物を支持するフローセルと、前記フローセルに結合されて、複数流路から、前記フローセルを通る流路を選択するセレクタバルブと、前記フローセルに結合されて、分析作業の間、選択される前記流路を通じて流体を変位させるポンプと、前記セレクタバルブに結合されて、前記セレクタバルブに流路を選択するよう命令する制御回路と、を備えるシステム。
【0097】
実施形態2:
前記複数流路が、前記フローセルのあるチャネルを通る第1流路と、前記フローセルの第2チャネルを通る第2流路とを含み、前記第2流路は前記第1流路とは異なる、実施形態1のシステム。
【0098】
実施形態3:
前記複数流路は、前記第1流路及び前記第2流路の両方を包含する第3流路を含む、実施形態2のシステム。
【0099】
実施形態4:
前記セレクタバルブは、前記フローセルをバイパスするバイパスラインに結合され、また前記セレクタバルブは、前記フローセルを通る流路ではなく前記バイパスラインを選択するように制御可能である、実施形態1のシステム。
【0100】
実施形態5:
前記分析作業の間、前記制御回路は、前記セレクタバルブに、選択される前記流路を分析プロトコルに基づいて選択するように自動的に命令する、実施形態1のシステム。
【0101】
実施形態6:
複数の試薬から試薬を選択し、選択される前記試薬を前記セレクタバルブの入口に導くように、前記セレクタバルブの流体的上流に存在する試薬セレクタバルブを備える、実施形態1のシステム。
【0102】
実施形態7:
前記フローセルがシーケンシングシステムに装着されているときに、前記セレクタバルブと前記フローセルとの間で流体的に結合されて、前記フローセルを前記セレクタバルブと係合する複数のマニホールドを備える、実施形態1のシステム。
【0103】
実施形態8:
前記ポンプは、前記フローセルの流体的下流に存在するシリンジポンプを備える、実施形態1のシステム。
【0104】
実施形態9:
複数の試薬から分析プロトコルに従って試薬を選択する試薬セレクタバルブと、分析対象物を支持するフローセルと、前記試薬セレクタバルブと前記フローセルとの間で結合され、複数流路から前記フローセルを通る流路を選択し、前記分析プロトコルに従って、選択される前記試薬を、選択される前記流路を通じて導くセレクタバルブと、前記フローセルに結合され、前記分析プロトコルに従って、選択される前記試薬を、選択される前記流路を通じて変位させるポンプと、前記セレクタバルブに結合され、前記セレクタバルブに流路を選択するよう命令する制御回路と、を備えるシステム。
【0105】
実施形態10:
前記複数流路は、前記フローセルのあるチャネルを通る第1流路と、前記フローセルの第2チャネルを通る第2流路とを含み、前記第2流路は前記第1流路とは異なる、実施形態9のシステム。
【0106】
実施形態11:
前記複数流路は、前記第1流路及び前記第2流路の両方を包含する第3流路を含む、実施形態10のシステム。
【0107】
実施形態12:
前記セレクタバルブは、前記フローセルをバイパスするバイパスラインに結合され、また前記セレクタバルブは、前記フローセルを通る流路ではなく前記バイパスラインを選択するよう制御可能である、実施形態9のシステム。
【0108】
実施形態13:
前記フローセルがシーケンシングシステムに装着されているときに、前記セレクタバルブと前記フローセルとの間で流体的に結合されて、前記フローセルをセレクタバルブと係合する複数のマニホールドを備える、実施形態9のシステム。
【0109】
実施形態14:
フローセルの流体的上流のセレクタバルブを制御して、前記フローセルを通る複数流路から前記フローセルを通る流路を選択するステップと、分析プロトコルに従って、選択される前記流路を通じて試薬を変位させるステップと、を含む方法であり、前記複数流路は、前記フローセルのあるチャネルを通る第1流路と、前記フローセルの第2チャネルを通る第2流路と、前記第1流路及び前記第2流路の両方を包含する第3流路とを含み、前記第2流路は前記第1流路とは異なる、方法。
【0110】
実施形態15:
前記セレクタバルブの流体的上流に存在する試薬セレクタバルブを制御して、前記分析プロトコルに従って前記セレクタバルブ及び前記フローセルを通じて変位させるために、複数の試薬から異なる試薬を選択するステップを含む、実施形態14の方法。
【0111】
実施形態16:
前記分析プロトコルの連続的サイクルの間、前記セレクタバルブ及び/又は試薬セレクタバルブの位置を変えることを命令するステップを含む、実施形態15の方法。
【0112】
実施形態17:
前記セレクタバルブに、前記フローセルを通る流路ではなく、バイパスラインを選択するよう命令するステップを含む、実施形態14の方法。
【0113】
実施形態18:
前記フローセルを、前記セレクタバルブと前記フローセルとの間に存在する複数のマニホールドと流体的に係合して、前記フローセルがシーケンシングシステムに装着されているときかつ前記試薬を変位させる前に、前記フローセルを前記セレクタバルブと係合するステップを含む、実施形態14の方法。
【0114】
実施形態19:
前記フローセルの流体的下流に存在するポンプによって、選択される前記流路を通じて前記試薬を変位させる、実施形態14の方法。
【0115】
実施形態20:
前記ポンプはシリンジポンプを備える、実施形態19の方法。
【0116】
(このような概念が互いに矛盾しない条件下で)前述の概念のあらゆる組み合わせが本明細書で開示される本発明の主題の一部であると考えられることが理解されるはずである。本開示の最後に現れる特許請求の範囲に記載される主題のあらゆる組み合わせは、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると考えられる。また本明細書で明白に使用され、参照として援用される任意の開示に現れ得る用語には、本明細書で開示される特定の概念と最も調和する意味が与えられるべきであることを理解されるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8-1】
図8-2】
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13