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特許7287790包装箱および該包装箱用のブランクシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】包装箱および該包装箱用のブランクシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/44 20060101AFI20230530BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20230530BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B65D5/44 E
B65D5/02 L
B65D5/52 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019012307
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2019131295
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2018011574
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000244109
【氏名又は名称】明星食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 勝博
(72)【発明者】
【氏名】坂口 啓史
(72)【発明者】
【氏名】乾 剛史
(72)【発明者】
【氏名】植田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 正寿
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-147283(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204791(JP,U)
【文献】特表平11-504304(JP,A)
【文献】特開2013-124128(JP,A)
【文献】特開2005-138877(JP,A)
【文献】特開2016-097979(JP,A)
【文献】特開2017-071438(JP,A)
【文献】特開平08-034430(JP,A)
【文献】特許第6167255(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
B65D 5/02
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に大面積の上面と相対的に小面積の下面とを有する逆錐台形状の製品を複数密接させて収納するラップアラウンド式の包装箱であって、
相互に平行な一対の第1縁辺および該第1縁辺と直交する相互に平行な一対の第2縁辺によって画定される矩形の天面部と、
相互に平行な一対の第3縁辺および該第3縁辺と直交する相互に平行な一対の第4縁辺によって画定される矩形の底面部であって、前記第3縁辺の長さが前記第1縁辺の長さより小さく、前記第4縁辺の長さが前記第2縁辺の長さと等しい底面部と、
前記一対の第1縁辺と前記一対の第3縁辺とをつなぐ一対の第1側面部と、
前記一対の第2縁辺と前記一対の第4縁辺とをつなぐ一対の第2側面部であって、それぞれが、前記第2縁辺から垂直に延在する垂直部分と、該垂直部分に連続し、前記第4縁辺に向かって傾斜する傾斜部分とを有している一対の第2側面部と、
前記一対の第2側面部のそれぞれの両端に設けられ、前記第1側面部の内側に折り曲げられて接着された折り曲げ部であって、前記垂直部分につながる天面側縁辺と、該天面側縁辺に連続し、且つ前記傾斜部分とは分離して前記底面部を含む平面に向かって延在する底面側縁辺とを有する折り曲げ部と、
を備え
前記垂直部分と前記傾斜部分とをつなぐ稜は、前記製品の側面と接触しないように、前記製品の側面から離れていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記折り曲げ部の前記底面側縁辺は前記底面部の角に向かって傾斜する傾斜縁辺であり、該傾斜縁辺が前記平面に対してなす傾斜角は、前記第2側面部の前記傾斜部分が前記平面に対してなす傾斜角より大きいことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記折り曲げ部の前記底面側縁辺は前記平面に対して垂直であることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第1側面部は、前記天面部の前記第1縁辺から折り曲げられた天面側第1側面部と、前記底面部の前記第3縁辺から折り曲げられて前記天面側第1側面部と突き合わされた底面側第1側面部とから構成され、前記天面側第1側面部の前記第1縁辺の方向の両端部および前記底面側第1側面部の前記第3縁辺の方向の両端部が、それぞれ前記折り曲げ部に接着されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記両端部を含む前記天面側第1側面部、前記第2側面部の前記垂直部分、および前記天面部を一括して取り外す破断動作を行うためのスリット形成線が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記スリット形成線の一部は、前記垂直部分と前記傾斜部分とをつなぐ稜の少なくとも一部に沿って形成されていることを特徴とする請求項5に記載の包装箱。
【請求項7】
前記底面側第1側面部の前記両端部のそれぞれは、前記天面側第1側面部の近傍において前記第3縁辺の方向の外方に膨出し、前記第3縁辺の近傍において前記第3縁辺の方向の内方に湾入した形状を有することを特徴とする請求項4ないし6のいずれか一項に記載の包装箱。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の包装箱を形成するためのブランクシートであって、前記天面部、前記底面部、前記第1側面部、前記第2側面部および前記折り曲げ部となるそれぞれの領域と、当該それぞれの領域を区画する折り曲げ線とが形成されていることを特徴とするブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱および該包装箱用のブランクシートに関し、特に、相対的に大面積の上面と相対的に小面積の下面とを有する逆錐台形状の製品(カップ麺製品など)を収納して流通させるための包装箱の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流通等のために複数の製品を収納する包装箱(例えば段ボール箱)においては、省資源化(例えばダンボール使用量の削減)が求められる。一方で、収納されている製品は、収納箱に働く外力などから有効に保護されなければならない。特に、上述したカップ麺製品などは容器の剛性が低く、また薄いフィルムの外装が施されているのが一般的である。したがって、そのような比較的脆弱な製品用の包装箱には、特許文献1に開示されたような缶飲料やPETボトル飲料を収納する包装箱とは異なる構造が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5097344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって本発明は、省資源化の要望に応えつつ、収納している比較的脆弱な逆錐台形状の製品の保護性能を向上できる包装箱の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明は、相対的に大面積の上面と相対的に小面積の下面とを有する逆錐台形状の製品を複数密接させて収納するラップアラウンド式の包装箱であって、
相互に平行な一対の第1縁辺および該第1縁辺と直交する相互に平行な一対の第2縁辺によって画定される矩形の天面部と、
相互に平行な一対の第3縁辺および該第3縁辺と直交する相互に平行な一対の第4縁辺によって画定される矩形の底面部であって、前記第3縁辺の長さが前記第1縁辺の長さより小さく、前記第4縁辺の長さが前記第2縁辺の長さと等しい底面部と、
前記一対の第1縁辺と前記一対の第3縁辺とをつなぐ一対の第1側面部と、
前記一対の第2縁辺と前記一対の第4縁辺とをつなぐ一対の第2側面部であって、それぞれが、前記第2縁辺から垂直に延在する垂直部分と、該垂直部分に連続し、前記第4縁辺に向かって傾斜する傾斜部分とを有している一対の第2側面部と、
前記一対の第2側面部のそれぞれの両端に設けられ、前記第1側面部の内側に折り曲げられて接着された折り曲げ部であって、前記垂直部分につながる天面側縁辺と、該天面側縁辺に連続し、且つ前記傾斜部分とは分離して前記底面部を含む平面に向かって延在する底面側縁辺とを有する折り曲げ部と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、上記包装箱を形成するためのブランクシートであって、前記天面部、前記底面部、前記第1側面部、前記第2側面部および前記折り曲げ部となるそれぞれの領域と、当該それぞれの領域を区画する折り曲げ線とが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、省資源化の要望に応えつつ、収納している比較的脆弱な逆錐台形状の製品の保護性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱の斜視図である。
図2図1の包装箱の正面図である。
図3図1の包装箱の右側面図である。
図4】包装箱を形成するためのブランクシートの一実施形態を示す平面図である。
図5】製品を取り出すために包装箱の天面部を開放した状態を示す斜視図である。
図6】包装箱の製品展示形態を示す斜視図である。
図7】製品の収容状態および第1実施形態の効果を説明するための説明図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る包装箱の右側面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る包装箱の主要部を示す斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱を形成するためのブランクシートの実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、包装箱の材質としては、シングルフルートの両面段ボール原紙を使用できる。しかしこれに限らず、板紙や、複数回にわたって反復使用可能なプラスチックなどの材料を用いたもので構成することも可能である。
【0010】
(第1実施形態の構成)
本発明の第1実施形態に係る包装箱は、相対的に大面積(例えば70~80cm2)の上面と相対的に小面積(例えば30~40cm2)の下面とを有する逆錐台形状(例えば上下面の面積差40cm2)の製品、特にカップ麺製品などを収納するのに適したものである。一般にカップ麺製品においては、乾燥した麺などを収容する容器がポリスチレンなどのプラスチックや紙で形成され、さらにその容器には収縮性ポリプロピレンなどの薄いフィルムが外装として施されている。したがって、カップ麺製品は缶飲料やPETボトル飲料などよりも比較的脆弱であり、包装箱に作用する外力からできるだけ保護され、変形や、割れおよび外装フィルムの破れなどの損傷が生じないようにしなければならない。また、虫類や塵埃などの侵入からも保護されるべきである。以下に説明する第1実施形態は、省資源化の要望に応えつつ、カップ麺製品の保護性能を向上することができる構造を有する。まず、その基本的な構成について説明する。
【0011】
図1図3を参照すると、相対的に大面積の上面C1と相対的に小面積の下面C2とを有する逆円錐台形状のカップ麺製品(以下、単に「製品」という場合もある)Cを複数収納するラップアラウンド式の包装箱の第1実施形態が示されている。この包装箱は、基本的に、収納された製品Cの上面C1側を覆う天面部1と、下面C2が載置される底面部2と、これらをつなぐそれぞれ一対の第1側面部3および第2側面部4と、それぞれの第2側面部4の両端に設けられ、第1側面部3の内側に折り曲げられた折り曲げ部5と、を備える。便宜上、図1に明確に現れている第2側面部の側を正面側、それと対向する第2側面部の側を背面側とする(したがって図2は包装箱の正面図となる)。同様に、図1に明確に現れている第1側面部の側を右側、それと対向する第1側面部の側を左側とする(したがって、図3は包装箱の右側面図となる)。
【0012】
天面部1は、相互に平行な一対の第1縁辺11および該第1縁辺と直交する相互に平行な一対の第2縁辺12によって画定される矩形状を有する。例えば製品Cが逆円錘台形状である場合、天面部1の内のり寸法は、縦横方向とも、製品Cの上面C1の外径C1dの整数倍に若干の余裕分(後述する図7において「S」で示され、5mm程度である)を加えた長さであり、第1実施形態の包装箱はm×n個の製品Cをほぼ密接した状態で収納するものとして構成される。底面部2は、相互に平行な一対の第3縁辺23および該第3縁辺と直交する相互に平行な一対の第4縁辺24とによって画定される矩形状を有し、第3縁辺23の長さが第1縁辺11の長さより小さく、第4縁辺24の長さが第2縁辺12の長さと等しくなっている。ここで、第1縁辺11に沿った方向にm個、第2縁辺に沿った方向にn個の製品Cが収納されるものとすると(図示の例ではm=3,n=4)、天面部1の内のり寸法は、第1縁辺11に沿った方向ではm×C1dに若干の余裕分を加えた長さ、第2縁辺に沿った方向ではn×C1dに若干の余裕分を加えた長さとなる。また、底面部2の内のり寸法は、製品Cの下面C2の外径をC2dとすると、第3縁辺23に沿った方向ではm×C2d+(m-1)×(C1d-C2d)に若干の余裕分を加えた長さ、第4縁辺24に沿った方向では第2縁辺12に沿った方向の内のり寸法と等しいものとなる。
【0013】
第1側面部3は、第1縁辺11と第3縁辺23とをつなぐ天面部1および底面部2に直交する側面部であり、第3縁辺23の長さが第1縁辺11の長さより小であることで、六角形状を呈する。第2側面部4は、第2縁辺12と第4縁辺24とをつなぐ一対の側面部である。それぞれの第2側面部4は、第2縁辺12から垂直に(すなわち天面部1に直交して)延在する垂直部分41と、第4縁辺24から外方に広がって延在し、稜43を介して垂直部分41につながる傾斜部分42と、を有する。折り曲げ部5は、一対の第2側面部4のそれぞれの両端に設けられ、第1側面部3の内側に折り曲げられて接着される。折り曲げ部5は、垂直部分41につながる天面側縁辺と、天面側縁辺に連続し、且つ傾斜部分42とは分離して底面部2を含む平面に向かって延在する底面側縁辺とを有する。第1実施形態においては、天面側縁辺は第2側面部4の垂直部分41につながる垂直縁辺51として形成され、一方、底面側縁辺は傾斜部分42とは分離して底面部2の角2cに向かって傾斜する傾斜縁辺52として形成されている。第2側面部4の傾斜部分42の傾斜角と、折り曲げ部5の傾斜縁辺52の傾斜角とを、後述するように適切に定めることで、第4縁辺24の方向の両端に現れる開口が、傾斜縁辺52につながる折り曲げ部5の部分によって十分に覆われるものとなる。
【0014】
なお、第1側面部3は、具体的には、天面部1に連続して第1縁辺11から折り曲げられた天面側第1側面部31と、底面部2に連続して第3縁辺23から折り曲げられた底面側第1側面部32と、底面側第1側面部32に覆われない折り曲げ部5の露出部分とによって形成される。また、天面側第1側面部31と底面側第1側面部32とは、包装箱の高さ方向のほぼ中央で突き合わされる寸法を有する。また、天面部1の正面側の第2縁辺12に連続して封かん部6が設けられ、正面側の第2側面部4の垂直部分41の上に折り曲げられて接着されている。
【0015】
図4は、第1実施形態に係る包装箱を組み立てるためのブランクシートの平面図であり、包装箱の外面側に対応する。
【0016】
図4において、実線はブランクシートの外形を示す。また、細い破線は折り曲げ線を示し、専ら折り曲げを容易にするためのけい線加工が施されている。太い破線は、折り曲げ動作を容易にするほか、所望に応じてユーザによる破断動作を容易にするために直線状または略鉤形状など適宜の形状のスリットを断続させたスリット形成線である。特に、折り曲げ部5となる領域105と連続する、垂直部分41となる領域141の所定位置からは、稜43となる折り曲げ線143まで略円弧状に断続し、さらに稜43となる折り曲げ線143に沿って直線状に断続するスリット形成線7が設けられている。また、天面側第1側面部31となる領域131の両端部には、スリット形成線によって区画された領域131a,131bが設けられている。これらは、包装箱を図6について後述する製品展示形態とするためのものである。
【0017】
包装箱を組み立てる際には、まず、底面部2となる領域102を中心として、折り曲げ線124および143に沿った領域142および141の折り曲げを行う。次に折り曲げ線151に沿った領域105の折り曲げを行い、続いて折り曲げ線123に沿って領域132を領域105上に折り曲げ、両者を接着する。さらに、折り曲げ部112に沿って領域101を折り曲げて領域102と対向状態とし、続いて折り曲げ線111に沿って領域131を領域105上に折り曲げ、両者を接着する。最後に、領域106を折り曲げ線112に沿って領域141上に折り曲げて両者を接着することで、図1に示した包装箱が組み立てられる。なお、製品Cは、天面部1となる領域101の折り曲げを行う工程に先立って、底面部2となる領域102に載置される。また、接着を行う部位への接着剤の塗布は適宜のタイミングで行うことができる。
【0018】
(包装箱の開封)
上述のように組み立てられた包装箱は、商品棚などに陳列するために製品を取り出すことのできる形態や、購買者に販売するための展示に適した形態へと転換することができる。
【0019】
図5は、包装箱の天面部を開放した形態を示す斜視図である。この形態を得るためには、例えば、封かん部6を第2側面部4の垂直部分41から剥がすとともに、天面側第1側面部31を折り曲げ部5から剥がし、第2縁辺12を中心に天面部1を回動させることで開放すればよい。
【0020】
図6は、展示形態に転換された包装箱を示す斜視図である。この形態を得るには、例えば、まず領域131aを折り曲げ部5から剥がしつつスリット形成線に沿って破断する。次に、その部分を把持してスリット形成線7に沿った破断動作を行い、さらに領域131bまで動作を継続する。これらの動作により、垂直部分41の部分、封かん部6および天面部1を一括して取り外すことができる。
【0021】
(第1実施形態の効果)
上述のように組み立てられた包装箱の内側には、図5に最もよく示されるように、折り曲げ部5による凹凸が存在するのみである。したがって、製品Cに与える負荷が少ない。
【0022】
また、第1実施形態の構造は、省資源化すなわち段ボール消費量の削減につながる。ここで、図7に示すように、底面部2から傾斜部分42と垂直部分41との接続部分である稜43までの高さをa、傾斜部分42の幅(図4の横方向)をcとする。一方、傾斜部分42がないと仮定した場合(第2側面部が垂直部分のみで構成される場合)において、垂直部分41の延長線と底面部2と同一平面との交点を仮想し、この交点から角2cまでの距離をbとする。このとき、稜43に相当する位置から交点を経て角2cに至るまでの距離(図4の横方向)は、a+bとなる。ここで、c=(a2+b21/2であるので、第1実施形態では、a+b-(a2+b21/2だけ図4の横方向幅が減少し、その分段ボール使用量が削減される。
【0023】
さらに、製品Cの側面にそって第2側面部を設け、段ボール使用量を削減することも考えられるが、包装箱に外力が加わった場合、その力は製品Cの側面に直接的に及ぶものとなる。これに対し、第1実施形態の第2側面部4は製品Cの側面と接触しておらず、垂直部分41および傾斜部分42は稜43の部位で屈曲している。この構造は、包装箱に加わる外力の緩衝作用を向上する上で有利である。
【0024】
ここで、上述した特許文献1には、天面を画定する縁辺部および/または底面を画定する縁辺部に面取りを施した構造が開示されている。しかし同文献開示の構造は、缶飲料やPETボトル飲料を収納するのに好適な構造であって、本発明が対象とする比較的脆弱なカップ麺製品を収納するものではない。
【0025】
また、特許文献1に開示された面取りは、包装箱を積載した場合に上から作用する圧力による側面部の胴膨れを防止するためのものであって、第1実施形態の傾斜部分42とはその目的を異にする。つまり、第1実施形態の製品Cは比較的軽量であって、上からの圧力をさほど考慮しなくてもよい一方、流通時の横揺れなどによって加わる製品側面の損傷からの保護されるべきものである。
【0026】
さらに、特許文献1に開示された面取り部の設計は、収納している製品の最大外径をなす主胴部の寸法(外径および高さ)などに制約される。つまり、同文献の図4のようにPETボトルを収納する場合を考察すると、面取り部は、主胴部を十分に外れ、且つキャップを十分によけるように形成されるべきものとなる。また、胴膨れを効果的に防止するためには、面取り部は縁辺近傍に限局されるべきものと考えられる。これに対し、第1実施形態の構造は、傾斜部分42の傾斜角および寸法の設計に関して自由度が高いものであり、特許文献1の図4に示された構造を単に天地逆にして転用すれば足りる程度のものではない。
【0027】
加えて、傾斜縁辺52は、図4に示すように、折り曲げ部5を切り欠いた三角形状の部分の斜辺として形成されている。したがって、製函前のブランクシートの形成時に、領域132および105間の切断片を除去し易くなる。ここで、底面部2と同一平面(正常姿勢における水平面)に対する折り曲げ部5の傾斜縁辺52の傾斜角(図4のαに相当)および第2側面部4の傾斜部分42の傾斜角(図7のβに相当)を考える。傾斜角αおよびβの値は適宜定め得るが、第1実施形態では、α≧βの関係、好ましくはα>βの関係を満たすようにしている。これにより、図3に示されるように、傾斜部分42を設けたことにより第4縁辺24の方向の両端に現れる開口が、傾斜縁辺52につながる折り曲げ部5の部分によって十分に覆われることになる。これは、塵埃や虫の侵入を阻止する上で有利な構造である。なお、αとβとの角度差(α-β)は、適宜定め得るが、3゜~10゜であればよく、第1実施形態ではα(=40゜)-β(=36゜)=4゜とした。
【0028】
さらに加えて、第3縁辺23に沿った方向の底面部2の内のり寸法を上述のように規定したことにより、第2側面部4に面して配列されているすべての製品Cの下面は、収納箱の第4縁辺24の内側部分にほぼ密接することになる。換言すれば、第3縁辺23に平行な方向における、製品Cの下面の位置は、図7に示したような状態を維持するように規制されることになる。したがって、図6のような展示形態、すなわちトレイとして使用するために天面側が外され、製品Cの上面側が天面部1に規制されない状態となっても、製品Cの陳列状態が乱れにくくなるという効果が得られる。これは、天面部と底面部とが合同である一般的な直方体形状の包装箱のように、面積が相対的に小さい下面側が規制されない構造と比べ、製品を安定して陳列する上で有利である。
【0029】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、底面部2の角2cに向かって傾斜する傾斜縁辺52を底面側縁辺として有する折り曲げ部5を採用したが、本発明の趣旨に沿うものであれば、折り返し部の形状は適宜定め得る。
【0030】
図8図9および図10は、それぞれ、本発明の第2実施形態に係る包装箱の右側面図、当該他の実施形態に係る包装箱の主要部を示す斜視図および当該他の実施形態に係る包装箱を形成するためのブランクシートを示す平面図である。なお、第1実施形態と同様に構成される各部には、対応箇所に同一符号を付してその説明は省略する。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、まず、折り曲げ部5の底面側縁辺52´が垂直縁辺51である天面側縁辺に対し屈曲することなく延在して、底面部2を含む平面に対して垂直となっている点である。これにより、傾斜部分42の閉塞性がより向上し、塵埃や虫類などの侵入をさらに効果的に防止できる。
【0031】
また、第2実施形態においては、図10に示すように、底面側第1側面部32となる領域132と折り曲げ部5となる領域105との間には、ある程度の面積が確保されるように間隙が設けられている。第2実施形態においては、底面側縁辺52´は第1実施形態の傾斜縁辺52のように三角形状の切り欠きによって形成されるのではなく、折り曲げ線123の端部から領域141まで直線状に延在するスリットによって形成される。したがって、領域132および105間に二点鎖線で示すような直線状の狭隘な間隙Gが連続している場合には、ブランクシート形成時に切断片の排除が難しくなるが、両領域間にある程度の面積が確保されるように間隙が設けられていれば、切断片の排除がし易くなる。また、特に天面側第1側面部31に近い底面側第1側面部32の部分を、折り曲げ線123と平行な方向の外方に膨出した形状、底面部2に近い底面側第1側面部32の部分を同じく内方に湾入した形状としている。これにより、底面側第1側面部32と折り曲げ部5との十分な接着性を確保できるとともに、ユーザの指がかかり易くなることから、箱使用後の処分時に、折り畳み部5から底面側第1側面部32を剥がし易くなるという効果も得られる。なお、領域132および105間の間隙の形状は、第1実施形態に適用されてもよい。
【0032】
(その他)
なお、本発明は、以上述べた第1および第2実施形態および随所に述べた変形例に限られない。例えば、以上では、収納対象として逆円錘台形状のカップ麺製品を収納した状態として説明したが(図1図5図7)、製品の形状は逆角錘台形状であってもよく、収容する内容物としても乾燥米ないし粥、味噌汁または菓子その他であってもよい。また、図6のような展示形態を考慮しなければ、スリット形成線7の配設は必須ではない。
【0033】
また、図4および図10では、概して、同図の左から天面部、一方の第2側面部、底面部、および他方の第2側面部となる領域が連続して形成され、同図のそれぞれの上下に天面側第1側面部、一方の折り曲げ部、底面側第1側面部、他方の折り曲げ部となる領域が形成されている構成を例示した。しかしながら、図1図3および図8図9に示したような包装箱を組み立てるためのブランクシートの構成は図4および図10に示したものに限られない。例えば天面部、一方の第1側面部(天面側および底面側第1側面部を一体にした形状のもの)、底面部および他方の第1側面部(天面側および底面側第1側面部を一体にした形状のもの)となる領域が連続して形成され、天面部または底面部の上下に第2側面部となる領域を連続させ、さらにこれに折り曲げ部となる領域を連続させて形成したものでもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 天面部
2 底面部
3 第1側面部
31 天面側第1側面部
32 底面側第1側面部
4 第2側面部
41 垂直部分
42 傾斜部分
43 垂直部分と傾斜部分との稜
5 折り曲げ部
51 垂直縁辺(天面側第2縁辺)
52 傾斜縁辺(底面側第2縁辺)
52´ 底面側第2縁辺
6 封かん部
7 スリット形成線
C カップ麺製品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10