(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】通報システム、情報処理装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20230530BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20230530BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20230530BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230530BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/00 510M
G08B21/02
H04Q9/00 311J
H04M11/04
(21)【出願番号】P 2019061751
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大關 文美
(72)【発明者】
【氏名】相澤 桂
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181080(JP,A)
【文献】特開2010-40017(JP,A)
【文献】特開2006-338379(JP,A)
【文献】特開2008-209965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
G08B19/00-31/00
H03J9/00-9/06
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04N7/18
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が通過する通過ポイントに光軸を鉛直方向の下に向けて設置された複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置と通信する情報処理装置と、を有する通報システムであって、
前記情報処理装置は、
前記通過ポイントを通過した人の頭頂部の画像データを前記撮像装置から受信する画像データ受信部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データ、該頭頂部の画像データを撮像した通過ポイント、及び、該通過ポイントを通過してからの経過時間を記憶する第一の記憶部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データで、前記第一の記憶部に記憶した頭頂部の画像データを検索する画像検索部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データに適合する画像データが前記第一の記憶部に記憶されている場合、該頭頂部の画像データに対応付けて前記第一の記憶部に記憶している経過時間を初期化する情報登録部と、
前記経過時間が閾値を超えた場合、閾値を超えた前記経過時間に対応付けられている前記通過ポイントを指定して通報する通報部と、
を有することを特徴とする通報システム。
【請求項2】
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データに適合する画像データが前記第一の記憶部に記憶されていない場合、
前記情報登録部は、該頭頂部の画像データ、該画像データが撮像された通過ポイント、及び、経過時間の初期値を前記第一の記憶部に登録することを特徴とする請求項1に記載の通報システム。
【請求項3】
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データをもとに該通過ポイントにおける人の通過方向を検出する画像処理部を有し、
所定の通過ポイントで、予め決まった通過方向に人が通過したことが検出された場合、前記情報登録部は前記第一の記憶部から前記頭頂部の画像データを削除することを特徴とする請求項1又は2に記載の通報システム。
【請求項4】
前記情報登録部は、前記第一の記憶部に記憶されている頭頂部の画像データと同じ頭頂部の画像データが前記画像データ受信部で受信されるたびに、該頭頂部の画像データが撮像された通過ポイントを、該頭頂部の画像データに対応付けて前記第一の記憶部に登録することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項5】
前記閾値は、各通過ポイントから見て、次に通過しうる1つ以上の通過ポイントの中で最も遠い通過ポイントとの距離に応じて設定されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項6】
前記経過時間が閾値を超えた場合であっても、
前記第一の記憶部において、前記経過時間が閾値を超えた画像データに対応付けられた前記通過ポイントが予め決まった場所に関するもので、かつ、予め決まった通過方向が対応付けられており、
前記経過時間が閾値を超えた画像データとは別に、当該画像データと同じ通過ポイントと通過方向が対応付けられている画像データが前記第一の記憶部に記憶されている場合、
前記通報部は通報しないことを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項7】
前記画像データ受信部は頭頂部の画像データと共に、該頭頂部の画像データを撮像した撮像装置の識別情報を受信し、
該撮像装置の識別情報が予め設定されている除外者登録用撮像装置であるか否かを判断する撮像装置判断部を有し、
前記撮像装置の識別情報が予め設定されている前記除外者登録用撮像装置であると前記撮像装置判断部が判断した場合、前記画像データ受信部が前記除外者登録用撮像装置から受信した前記頭頂部の画像データを第二の記憶部に登録する除外者登録部を有し、
前記画像検索部は、さらに前記画像データ受信部が前記撮像装置から受信した頭頂部の画像データを前記第二の記憶部で検索し、
前記画像データ受信部が前記撮像装置から受信した頭頂部の画像データに適合する画像データが前記第二の記憶部に記憶されている場合、
前記情報登録部は、前記画像データ受信部が前記撮像装置から受信した頭頂部の画像データ、該画像データが撮像された通過ポイント、及び、前記経過時間の初期値を前記第一の記憶部に登録しないことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項8】
外部との境界の通過ポイントを外出する方向でほぼ同じ撮像時刻に撮像された複数の頭頂部の画像データの少なくとも1つが前記第二の記憶部に記憶されていた場合、前記通報部は通報しないことを特徴とする請求項7に記載の通報システム。
【請求項9】
人が通過する通過ポイントに光軸を鉛直方向の下に向けて設置された複数の撮像装置と通信する情報処理装置であって、
前記通過ポイントを通過した人の頭頂部の画像データを前記撮像装置から受信する画像データ受信部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データ、前記頭頂部の画像データが撮像された通過ポイント、及び、該通過ポイントを通過してからの経過時間を記憶する第一の記憶部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データで、前記第一の記憶部に記憶した頭頂部の画像データを検索する画像検索部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データに適合する画像データが前記第一の記憶部に記憶されている場合、該頭頂部の画像データに対応付けて前記第一の記憶部に記憶している経過時間を初期化する情報登録部と、
前記経過時間が閾値を超えた場合、閾値を超えた前記経過時間に対応付けられている前記通過ポイントを指定して通報する通報部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
人が通過する通過ポイントに光軸を鉛直方向の下に向けて設置された複数の撮像装置と通信する情報処理装置を、
前記通過ポイントを通過した人の頭頂部の画像データを前記撮像装置から受信する画像データ受信部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データ、該頭頂部の画像データを撮像した通過ポイント、及び、該通過ポイントを通過してからの経過時間を記憶する第一の記憶部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データで、前記第一の記憶部に記憶した頭頂部の画像データを検索する画像検索部と、
前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データに適合する画像データが前記第一の記憶部に記憶されている場合、該頭頂部の画像データに対応付けて前記第一の記憶部に記憶している経過時間を初期化する情報登録部と、
前記経過時間が閾値を超えた場合、閾値を超えた前記経過時間に対応付けられている前記通過ポイントを指定して通報する通報部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報システム、情報処理装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
老人ホーム、介護施設、病院等の施設では主に高齢者や歩行困難者などの被介護者の生活が、同居できない親族の代わりにスタッフなどにより日夜見守られている。近年では各種のセンサを配置して、被介護者の安否を確認したり、異常を検出したりする通報システムの構築も進められている。通報システムにより安全でないと判断される場合や何らかの異常が検出された場合、施設のスタッフが安全を確保するために、被介護者がいる場所に駆けつけ適切な対応を取る。
【0003】
通報システムで使用されるセンサの1つに居住者の存在を検出するマットセンサがある(例えば、特許文献1参照。)。マットセンサは床に敷かれており、被介護者が通過する際にマットセンサを踏むと被介護者の体重を圧力として検出する。マットセンサを例えばベッドの脇、お風呂場、又はトイレなどに敷いておけば、被介護者が転倒したこと、転倒したあと動かないことなどを検出でき、スタッフが転倒場所まで駆けつけることができる。
【0004】
また、センサとしてカメラを用い、被介護者の移動を監視する技術が考案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、被介護者の当日の体調に応じて予想移動時間を設定し、予想移動時間までに目的地に到着していない場合、通知する通知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-045118号公報
【文献】特開2018-181080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、マットセンサを敷く方法では、被介護者がどこに存在するのかを特定できないという問題がある。すなわち、一般のマットセンサのサイズはそれほど大きくなく、施設の全体で居場所を把握するには、全ての床にマットセンサを敷き詰めなければならず、実用的ではない。また、ベッドの脇、お風呂場、又はトイレなどに敷かれたマットセンサを居住者が跨いでしまうことも多い。
【0007】
また、特許文献2の通知システムでは、被介護者が移動するたびに入力者(被介護者又はスタッフなど)が目的地を入力する必要があり、運用上の負担が大きいという問題がある。
【0008】
また、予想移動時間の経過後に被介護者が目的地に到着しなかった場合、被介護者が転倒したことなどを想定して通報されるが、被介護者が自室から目的地までのどこにいるかを特定できず、スタッフの対応が遅れてしまうという問題がある。
【0009】
更に、被介護者が目的地に到着後、自室に戻らず更に別の場所に移動した場合、又は、入力した目的地に移動する前に別の場所に立ち寄った場合、目的地到着までに予想移動時間よりも長い時間が必要になり、スタッフに不要な通報が届いてしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、運用上の負担が少なく、被介護者がどこに存在するのかを特定しやすく、被介護者が任意に移動可能な通報システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に鑑み、本発明は、人が通過する通過ポイントに光軸を鉛直方向の下に向けて設置された複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置と通信する情報処理装置と、を有する通報システムであって、
前記情報処理装置は、前記通過ポイントを通過した人の頭頂部の画像データを前記撮像装置から受信する画像データ受信部と、前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データ、該頭頂部の画像データを撮像した通過ポイント、及び、該通過ポイントを通過してからの経過時間を記憶する第一の記憶部と、前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データで、前記第一の記憶部に記憶した頭頂部の画像データを検索する画像検索部と、前記画像データ受信部が受信した頭頂部の画像データに適合する画像データが前記第一の記憶部に記憶されている場合、該頭頂部の画像データに対応付けて前記第一の記憶部に記憶している経過時間を初期化する情報登録部と、前記経過時間が閾値を超えた場合、閾値を超えた前記経過時間に対応付けられている前記通過ポイントを指定して通報する通報部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運用上の負担が少なく、被介護者がどこに存在するのかを特定しやすく、被介護者が任意に移動可能な通報システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】通報システムのシステム構成図の一例である。
【
図3】施設に設置された通過ポイントの一例を示す図である。
【
図4】情報処理装置の概略的なハードウェア構成を示したブロック図である。
【
図5】情報処理装置が備える各機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図6】被介護者の通過方向の判断方法を説明する図の一例である。
【
図7】情報処理装置が頭頂部の画像データに基づいて通報するまでの処理の一例を説明するフローチャート図である。
【
図8】被介護者の施設内における移動例を示す図である。
【
図10】来訪者の施設内における移動例を示す図である。
【
図12】スタッフの施設内における移動例を示す図である。
【
図14】外出処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図15】通報時に携帯端末又は端末装置が表示する画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
<本実施形態の通報システムの動作の概略>
図1を用いて、通報システム100がどのように被介護者7を見守るかの概略について説明する。
図1は、通報システム100の概略構成図の一例である。通報システム100は以下のような構成を有している。
【0016】
(i) 施設5内の被介護者7が通過しうる場所を通過ポイントPといい、各通過ポイントPに撮像装置10が設置されている。
図1では、被介護者7が居住する居室96の出入り口、脱衣所99(浴室97の手前)の出入り口、及び、トイレ98の出入り口にそれぞれ撮像装置10が配置されている。撮像装置10は、被介護者7の頭頂部を撮像できるが、顔などの人物の特定につながる部位を撮像しないように画角が設定されている(画角が狭い)。これにより、被介護者7のプライバシーを確保する。
【0017】
(ii) 各撮像装置10は管理室6の情報処理装置20と通信可能であり、通過ポイントPを通過した被介護者7の頭頂部の画像データをリアルタイムに情報処理装置20に送信する。情報処理装置20は端末装置40、及び、スタッフ8が携帯する携帯端末50と通信可能であり、緊急時にはスタッフ8が速やかに対応できるようになっている。
【0018】
(iii) 施設5内には複数の被介護者7が存在してよい。被介護者7は頭頂部の画像データからは個人を特定できないが、頭頂部の画像データにより他の被介護者7との判別(同定)が可能になっている。
【0019】
このような構成を使って、通報システム100は以下のような処理を行う。
【0020】
(1)情報処理装置20は、頭頂部の画像データにより通過ポイントPの被介護者7の通過が検出されると、経過時間の測定を開始する。各通過ポイントPには、次に通過する可能性がある通過ポイントPまでの想定移動時間が予め設定されている。通過ポイントPでは通過した方向を特定できるので、通過ポイントPの通過方向ごとに想定移動時間を設定している。情報処理装置20は、ある通過ポイントPで得た頭頂部の画像データにより被介護者7の通過方向を判断し、経過時間が想定移動時間を超えるかどうかを判断する。
【0021】
例えば、
図1では、居室96を出た被介護者7は脱衣所99又はトイレ98に移動するか、どこにも行かずにそのまま居室に戻る可能性がある。そこで、脱衣所99又はトイレ98のうち遠い方に到着するまでに必要と考えられる時間を想定移動時間とする。情報処理装置20は、経過時間が想定移動時間を超えても、居室96を出た被介護者7の頭頂部の画像データと同じ画像データを脱衣所99又はトイレ98あるいは居室96の撮像装置10から受信していない場合、スタッフ8に通報する。
【0022】
(2)被介護者7が次の通過ポイントP(例えば脱衣所99又はトイレ98)を通過すると、情報処理装置20は、直前に通過した通過ポイントP(居室96)の通過により測定を開始していた経過時間の測定を終了する。また、新たに通過した通過ポイントP(例えば脱衣所99又はトイレ98)について想定移動時間を設定し経過時間の測定を開始する。脱衣所99(浴室97)又はトイレ98のように通過するだけでなく、被介護者7が用事を済ますために滞在する場所の通過ポイントPには滞在の目的に妥当な想定移動時間を設定する。
【0023】
(3)また、情報処理装置20は、頭頂部の画像データに対応付けて、頭頂部の画像データが撮像された通過ポイントP、通過方向、通過時刻、想定移動時間、及び、経過時間(リアルタイムの測定値)を登録している(以下、これらを監視情報という)。例えば、居室96から移動を開始したとして、同じ居室96の撮像装置10が居室から出て行った被介護者7の頭頂部の画像データを撮像した場合、情報処理装置20は、被介護者7が居室96に戻ったと判断できる。これにより、居室96に戻った被介護者7の追跡を終了でき、監視情報からこの被介護者7の情報を削除できる。
【0024】
(4)また、後述するように、スタッフ8や来訪者(以下、除外者という)を監視対象から除外する者として登録するための除外者登録用撮像装置(
図1では不図示)を設置することで、情報処理装置20は除外者を監視から除外できる。これにより、除外者による誤通報を抑制できる。
【0025】
したがって、(1)~(4)の構成により、被介護者7は通過ポイントPを通過するだけで監視対象となるので、目的地等の入力が不要であり、通報システム100の運用上の負担が少ない。また、撮像装置10の画角が狭いので、被介護者7のプライバシーを確保できる。更に、(1)~(3)の構成により、被介護者7がどこに存在するのかをすぐに特定できる。また、(1)及び(2)の構成により、被介護者7が任意の場所に立ち寄っても、通報されることがなく、被介護者7は自由に行動できる。
【0026】
また、除外者は出勤時や来訪時に、被介護者7は居室から出る時に、それぞれ頭頂部の画像データを登録するので、予め頭頂部の画像データを登録しておく必要がなく、ヘアスタイルが変化しても変化後の頭頂部の画像データで人物を監視できる。一般には予め頭頂部の画像データを登録しておき、ヘアスタイル等が変化したら再度、登録するなどの手間が必要か、又は、同一の被介護者7を別の被介護者7と判別してしまうおそれがあるが、本実施形態ではこのような不都合がない。
【0027】
<用語について>
人の頭頂部とは、頭頂骨のある位置に対応する皮膚の場所であり、簡単には頭の頂点部分をいう。本実施形態では光軸を鉛直方向の下に向けて設置された撮像装置で撮像される頭部の範囲でよい。
【0028】
通報とは告げ知らせることを言う。通知、報知、警報、警告、などと称してもよい。
【0029】
施設とはある目的のための設備をいう。人が存在する設備であればよい。例えば、老人ホーム、介護施設、病院等であるが、これらには限られない。また、被介護者に限らず企業や学校などで人がどこに存在するかを把握するために使用されてもよい。
【0030】
人とは監視の対象をいう。本実施形態では、被介護者7、スタッフ8、来訪者が挙げられる。また、犬や猫などの動物を監視することも可能である。
【0031】
<構成例>
図2は、通報システム100のシステム構成図の一例である。通報システム100は、複数の撮像装置10、1つ以上の除外者登録用撮像装置11A、11B、外部との境界の撮像装置12、情報処理装置20、端末装置40、1つ以上の携帯端末50、及び、1つ以上の警報ランプ51を有している。
【0032】
複数の撮像装置10は、上記のように各通過ポイントPの天井など、頭頂部を見下ろす場所に、光軸を鉛直方向の下に向けて設置されている。好ましくはカラーで撮像できる撮像装置10であるとよいが、白黒でも支障はない。それぞれの撮像装置10は、同じ大きさの被写体を同じ大きさで撮像できることが好ましい。頭頂部の大きさを被介護者7の判別の要素にできるためである。例えば、複数の撮像装置10の高さを揃えて設置する、又は、画角を調整しておく、ことなどが考えられる。ただし、情報処理装置20は、画像処理により同じ大きさの被写体を同じ大きさの画像データに補正することもできる。
【0033】
それぞれの撮像装置10は、静止画又は動画のいずれを撮像してもよい。静止画を撮像する場合、撮像装置10に人感センサを併設し、人感センサが人を検出した場合にだけ複数の静止画を撮像する。これにより、被介護者7が通過しない状況で撮像する無駄を低減でき、撮像装置10の下を被介護者7が通過する間の頭頂部の画像データが得られ、情報処理装置20が被介護者7の通過方向を判断できる。動画の場合は、情報処理装置20が画像処理により頭頂部が撮像されたことを検出して、撮像装置10の下を通過する間の頭頂部の画像データを抽出する。また、撮像装置10は定期的に撮像して画像に変化がある場合に一定時間又は画像に変化がなくなるまで動画を撮像してもよい。静止画においても確認のため画像処理により頭頂部が撮像されたことを検出するとよい。
【0034】
なお、上記のように、被介護者7が撮像装置10の真下を通過した際に頭頂部のみが撮像できる程度の画角に設定されており、プライバシーを確保している。レンズなどで焦点距離が調整されていてもよいし、撮像装置10が画像データの中央部分をトリミングしてもよい。
【0035】
除外者登録用撮像装置11Aはスタッフの頭頂部の画像データを監視対象から除外するために、スタッフの頭頂部の画像データを登録するための撮像装置である。これにより、スタッフが通過ポイントPを通過し、作業などのために経過時間が想定移動時間を超えても、情報処理装置20が通報することを抑制できる(そもそも除外者は経過時間が測定されない)。除外者登録用撮像装置11Aは、後述するようにスタッフの更衣室の出入り口など、主にスタッフしか通過しない通過ポイントPに配置するとよい。
【0036】
除外者登録用撮像装置11Bは来訪者の頭頂部の画像データを監視対象から除外するために、来訪者の頭頂部の画像データを登録するための撮像装置である。これにより、来訪者が通過ポイントPを通過し、被介護者7やスタッフと会話するなどのために経過時間が想定移動時間を超えても、情報処理装置20が通報することを抑制できる(そもそも除外者は経過時間が測定されない)。除外者登録用撮像装置11Bは、後述するように受付など、来訪者が必ず通過する通過ポイントPに配置するとよい。
【0037】
外部との境界の撮像装置12は、施設5の屋内と屋外の境界となる場所(例えば玄関)に配置される撮像装置である。外部との境界の撮像装置12は、主に被介護者7の外出を監視するための撮像装置であるが、詳細は
図3にて説明する。
【0038】
情報処理装置20は、通報システム100の全体を制御する。各撮像装置10、除外者登録用撮像装置11A,11B、及び、外部との境界の撮像装置12から頭頂部の画像データを取得する。動画の場合や定期的な静止画が撮像された場合は、単に床面が写っている画像データを受信する場合もある。したがって、情報処理装置20は頭頂部が写っているかどうかを判断する機能を有するとよい。
【0039】
情報処理装置20は、除外者の頭頂部の画像データを登録しておき、被介護者7か除外者かを判断し、被介護者7の場合は経過時間と想定移動時間とを比較して、携帯端末50に通報したり、警報ランプ51を点灯したりする。
【0040】
情報処理装置20は、PC(Personal Computer)やワークステーションなど、プログラムを実行して情報を処理する装置である。サーバの機能を有していてもよい。
【0041】
情報処理装置20は例えば施設内に配置される。あるいは、クラウド上などに配置されてもよい。施設内の場合、どこに配置されてもよいが、被介護者7が不用意に触らないことを考慮すると、スタッフが待機する管理室6などに配置される。
【0042】
端末装置40は、監視情報や施設内のマップを表示し、主にスタッフがそれを見て被介護者7の安否を確認する装置である。端末装置40は、情報処理装置20に表示装置(ディスプレイ)と入力装置(キーボード、マウス、又はタッチパネル)が接続されたコンソールタイプとすることが考えられる。この場合、情報処理装置20ではアプリケーションソフトが動作しており、監視情報や施設内のマップを表示する画面を生成して表示装置に表示する。あるいは、端末装置40をクライアント、情報処理装置20をサーバという形態でシステムが構築されてもよい。この場合、情報処理装置20と端末装置40はネットワークを介して接続され、情報処理装置20ではWebアプリなどと呼ばれるサーバプログラムが動作し、端末装置40ではブラウザソフトが動作する。端末装置40がどこにあってもネットワークに接続してスタッフが監視情報や施設内のマップを閲覧できる。
【0043】
なお、端末装置40は施設の内側だけでなく外側に配置されてもよい。スタッフがいつでも監視できるようにするには、管理室6に配置することが考えられるが、配置場所は任意でよい。また、複数の端末装置40が配置されてもよい。
【0044】
携帯端末50は、主にスタッフが携帯しており、経過時間が想定移動時間を超えた場合に、情報処理装置20から通報を受信するための端末である。携帯端末50では端末アプリが動作しており、通報を受信できるようになっている。端末アプリがメールアプリやブラウザによりメールを受信する場合は、電子メールで通報を受信できる。また、端末アプリが通報システム100に専用の専用アプリの場合、専用アプリへの通知という形態で通報を受信できる。
【0045】
携帯端末50は例えば、スマートフォン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、及び、ウェアラブルPC(例えば、腕時計型、サングラス型など)などであるが、これらに限定されるものではない。携帯端末50は施設の外で携帯されていたりスタッフの自宅に置いてあったりしても通報を受信できる。
【0046】
警報ランプ51は、施設内の主要な場所に配置されており、情報処理装置20からの制御により点灯する。点灯と共に警報音を吹鳴してもよい。
【0047】
<通過ポイントPの配置例>
図3を用いて施設の各通過ポイントPについて説明する。
図3は、施設に設置された通過ポイントPの一例を示す。通過ポイントPは撮像装置10、除外者登録用撮像装置11A,11B、及び、外部との境界の撮像装置12が設置された場所なので、撮像装置の設定場所と称してもよい。図示するように、以下の場所が通過ポイントPである。なお、通過ポイントPn(nは通過ポイントの番号)の後のかっこ内の数値は撮像装置の符号である)。
a.居室A~Iの出入り口
b. 共同施設(トイレ98、浴室97、食堂61等)の出入り口
c.廊下の端部(一方の端と他方の端)
d.玄関65(外部との境界)
e.受付64
f.事務室63の出入り口
このうち、d、e、fの通過ポイントPは特定の通過ポイントPであり、e,fはスタッフ又は来訪者の頭頂部の画像データを登録するために使用され、dは被介護者7の外出の判断などに使用される。
【0048】
d.玄関65(外部との境界)の通過ポイントP31について補足する。
出入りするのはスタッフ又は来訪者であるが、来訪者は受付64の除外者登録用撮像装置11Bで登録済みのため、外部との境界の撮像装置12で撮像された頭頂部の画像データは監視の対象とならない。スタッフについては受付64を通過しないため監視対象として登録されるが、予め設定した想定移動時間以内に事務室63に入り除外者登録用撮像装置11Aで撮像された場合は監視対象から除外する。また、事務室63から出る時に除外者登録用撮像装置11Aで登録する。つまり、スタッフと判断された時点で監視対象から除外される。
・屋内から屋外に頻繁に外出するのはスタッフ又は来訪者であるが、外部との境界の撮像装置12により外部への外出が確認されても、そもそも監視対象から除外されているので、通報されない。
・屋内から屋外に被介護者7が外出したことが外部との境界の撮像装置12により確認された場合、一人であれば通報の対象となり、除外者を含む複数人であれば通報の対象外である。
【0049】
e.受付64の通過ポイントP32について補足する。
来訪者は受付64で記名し、受付係により玄関65のドアが解錠されると屋内に進入できる。したがって、来訪者は必ず受付64を通過する。本実施形態ではこれを利用して、受付64に通過ポイントP32(除外者登録用撮像装置11B)を設置し、来訪者の頭頂部の画像データを登録する。受付64の通過ポイントP32には想定移動時間が設定されておらず、経過時間の測定も開始されない。
【0050】
f.事務室63の出入り口の通過ポイントP33について補足する。
事務室63は主にスタッフが使用する部屋である。事務室63の出入り口は、タイムカードなどの押下のため、出勤したスタッフが必ず通過する通過ポイントP33である。本実施形態ではこれを利用して、事務室63の出入り口に通過ポイントP33(除外者登録用撮像装置11A)を設置し、勤務開始時のスタッフの頭頂部の画像データを登録する。事務室63の出入り口の通過ポイントP33には想定移動時間が設定されておらず、経過時間の測定も開始されない。
【0051】
想定移動時間について説明する。想定移動時間はある通過ポイントPの次に通過しうる通過ポイントPのうち、最も遠い通過ポイントPなので、例えば、居室Aの通過ポイントP1を例にすると、次に通過しうる通過ポイントPは通過ポイントP1~3、P10,P11、P15、P18である。このうち通過ポイントP1から最も遠いのは通過ポイントP18なので、通過ポイントP1から通過ポイントP18の距離を被介護者7が移動するに必要な時間を考慮して想定移動時間を設定する。
【0052】
このような観点から、除外者登録用撮像装置11A,11Bを除いて、通過ポイントP1~P21、P31には想定移動時間を設定する。想定移動時間は被介護者7が最もゆっくりと移動した場合の時間にマージンαを追加して設定するとよい。これにより誤通報を抑制できる。
【0053】
なお、例えば、通過ポイントP10を見ると明らかなように、通過方向によって最も遠い通過ポイントPが異なるので、想定移動時間は通過方向ごとに設定する。
【0054】
<ハードウェア構成例>
図4は、情報処理装置20の概略的なハードウェア構成を示したブロック図である。情報処理装置20は、概ねパーソナル・コンピュータ、ワークステーション又はアプライアンス・サーバとして実装することができる。情報処理装置20は、CPU201と、CPU201が使用するデータの高速アクセスを可能とするメモリ202とを備える。CPU201及びメモリ202は、システム・バス203を介して、情報処理装置20の他のデバイス又はドライバ、例えば、グラフィックス・ドライバ204及びネットワーク・ドライバ(NIC)205へと接続されている。
【0055】
LCD(表示装置)206はグラフィックス・ドライバ204に接続されて、CPU201による表示指示を実行し画面を表示する。LCD206にはタッチパネルが一体に配置されていてもよい。
【0056】
また、ネットワーク・ドライバ205は、トランスポート層レベル及び物理層レベルで情報処理装置20をネットワークNへと接続して、通信相手とのセッションを確立させている。
【0057】
システム・バス203には、更にI/Oバス・ブリッジ207が接続されている。I/Oバス・ブリッジ207の下流側には、PCIなどのI/Oバス208を介して、IDE、ATA、ATAPI、シリアルATA、SCSI、USBなどにより、HDD209などの記憶装置が接続されている。HDD209の代わりに又はHDD209と共にSSD(Solid State Drive)を有していてもよい。
【0058】
HDD209は情報処理装置20の全体を制御するプログラム209pを記憶している。情報処理装置20はプログラム209pを実行することで、監視員の操作を受け付けたり学習したりする。プログラム209pは、プログラムを配信するサーバから配信される他、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0059】
また、I/Oバス208には、USBなどのバスを介して、キーボード及びマウス(ポインティング・デバイスと呼ばれる)などの入力装置210が接続され、オペレータ(例えばスタッフ)による入力及び指令を受け付けている。
【0060】
情報処理装置20はクラウドコンピューティングに対応していてもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。
【0061】
また、端末装置40及び携帯端末50のハードウェア構成図は
図4と同等か、又は異なっていても本実施形態の説明上、支障がないものとする。
【0062】
<機能について>
続いて、
図5を用いて情報処理装置20の機能について説明する。
図5は、情報処理装置20が備える各機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。情報処理装置20は、画像データ受信部21、画像処理部22、撮像装置判断部23、除外者登録部24、画像検索部25、情報登録部26、時間測定部27、画面情報生成部28、及び、通報部29を有している。これらの各機能は
図4に示したCPU201がプログラム209pを実行して情報処理装置20のハードウェアと協働することで実現される機能又は手段である。ハード的又はソフト的に実現される機能を明確に区別する必要はなく、これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0063】
また、情報処理装置20は、
図4に示したメモリ202又はHDD209より構築される想定移動時間DB31、除外者画像DB32(第二の記憶部の一例)、及び、監視情報DB33(第一の記憶部の一例)を有している。これらDBは、情報処理装置20が直接有していなくてもよく、情報処理装置20がアクセス可能なネットワーク上の任意の場所にあればよい。まず、各DBについて説明する。
【0064】
【表1】
表1は、想定移動時間DB31に記憶している想定移動時間情報を模式的に示す。想定移動時間情報は通過ポイントごとに予め設定された想定移動時間や通過ポイントPが具体的にどの場所に対応するかなどの情報を有している。想定移動時間情報は、撮像装置IDに対応付けて、通過方向ごとの想定移動時間を登録している。撮像装置IDは撮像装置10を一意に識別するための識別情報である。表1では、通過ポイントP1~P21,P31~P33に対応させて、撮像装置IDはC1~C21,C31~C33を登録している。通過方向は通過ポイントPを通過しうる方向であり主に2方向とするが3方向以上が存在してもよい(設置する撮像装置10の数を減らすことができる)。通過方向ごとに想定移動時間が設定されている。また、居室のように「入」の方向では想定移動時間が不要なので、想定移動時間は設定していない(「-」を設定している)。居室以外の通過ポイントP(例えば廊下など)では通過方向が分かるように東西南北を設定している。通過方向は右左上下などを設定してもよい。
【0065】
【表2】
表2は、除外者画像DB32に記憶している除外者登録情報を模式的に示す。除外者登録情報は除外者(スタッフ又は来訪者)の頭頂部の画像データを登録した情報である。除外者登録情報は、頭頂部の画像データと撮像日時の各項目を有している。頭頂部の画像データは、時系列に登録されている。頭頂部の画像データはスタッフ又は来訪者が外出して一定時間が経過すると削除されることが好ましい。これにより、除外者画像DB32の記憶領域が増大することを抑制できる。
【0066】
【表3】
表3は、監視情報DB33に記憶している監視情報を模式的に示す。監視情報は被介護者7の一人一人を監視する(見守る)ための情報である。監視情報は、頭頂部の画像データ、通過ポイントP、通過方向、通過時刻、想定移動時間、経過時間、及び、最初の通過ポイントの各項目を有している。頭頂部の画像データは主に被介護者7のものであるが、外部との境界の撮像装置12(通過ポイントP31)で撮像されたスタッフの頭頂部の画像データが登録される場合がある。通過ポイントPは頭頂部の画像データが最後に撮像された通過ポイントPであり、通過方向は被介護者7が通過した方向である。通過時刻は頭頂部の画像データが撮像された撮像時刻又は受信した時刻である(日にちを登録してもよい)。想定移動時間は、想定移動時間DB31において頭頂部の画像データを撮像した撮像装置10に対応付けられている想定移動時間である。経過時間は、通過時刻をゼロとしてリアルタイムに測定されている経過時間である。経過時間は、同じ被介護者7が次の通過ポイントPを通過するとゼロになる。最初の通過ポイントは、当該頭頂部の画像データが最初に撮像された通過ポイントPである。
【0067】
なお、頭頂部の画像データに関しては、同じ被介護者7の頭頂部の画像データが次の通過ポイントPで撮像されるごとに更新してもよいし、最初の通過ポイントP(例えば、居室の出入り口)で撮像したものを保持していてもよいし、同じ被介護者7の全ての頭頂部の画像データを関連づけて保持してもよい。本実施形態では次の通過ポイントPで撮像されるごとに更新されるものとして説明する。これにより、徐々に髪型などが崩れても最新の頭頂部の画像データを登録するので、同一の被介護者7を同一であると判断しやすい。
【0068】
図5に戻って説明する。画像データ受信部21は、通過ポイントPの撮像装置10、除外者登録用撮像装置11A,11B、及び、外部との境界の撮像装置12から撮像装置IDと頭頂部の画像データを受信する。撮像装置IDは通過ポイントPでもよい。頭頂部の画像データは、通過方向が分かるように1つの撮像装置10から複数枚送信されるが、通過方向を特定しない場合は1枚でもよい。
【0069】
画像処理部22は、画像データ受信部21が受信した画像データに画像処理を施す。まず、通過方向を判断するが、これについて詳細は
図6にて説明する。また、例えば、撮像装置10によって異なる輝度が等しくなるように補正する処理、同じサイズのものが同じ大きさに写るように補正する処理、通過方向を北向きにする処理(つまり顔が上を向くように回転する)、などを行う。また、機械学習などで頭頂部の画像データを学習しておき、頭頂部が写っているかどうかを判断して、頭頂部が写っている画像データのみを後段に渡す処理を行ってよい。更に、画像データのうち、頭頂部が写っている範囲を矩形などで囲んでおき、後述する比較処理の時間を短縮してもよい。
【0070】
撮像装置判断部23は、画像処理部22が画像処理した画像データが除外者登録用撮像装置11A,11Bで撮像した画像か否かを、撮像装置IDに基づいて判断する。除外者登録用撮像装置11A,11Bで撮像された頭頂部の画像データは除外者登録部24に送出され、そうでない頭頂部の画像データは画像検索部25に送出される。
【0071】
除外者登録部24は、除外者画像DB32に除外者登録情報を登録する。すなわち、除外者(スタッフ又は来訪者)の頭頂部の画像データと撮像日時を除外者画像DB32に登録する。
【0072】
画像検索部25は、除外者画像DB32及び監視情報DB33の頭頂部の画像データを、撮像装置判断部23から送出されたリアルタイムの頭頂部の画像データで検索する。除外者画像DB32の検索にヒットした(適合した)頭頂部の画像データはスタッフ又は来訪者のものであり、監視情報DB33の検索にヒットした頭頂部の画像データは被介護者7のものである。また、どちらにも登録されていない頭頂部の画像データは、新たに監視情報DB33に登録される対象となる。
【0073】
検索方法は、例えば頭頂部の縦横の大きさが同程度のものを絞り込み、パターンマッチングする方法がある。撮像装置10がカラーの画像データを撮像する場合は、色のヒストグラムを作成して比較することもできる。あるいは、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)などの特徴点を検出して、特徴点を比較してもよい。
【0074】
情報登録部26は、除外者画像DB32及び監視情報DB33のどちらにも登録されていない頭頂部の画像データを監視情報DB33に登録する。また、頭頂部の画像データと共に、通過ポイントP、通過方向、通過時刻、想定移動時間、経過時間、及び、最初の通過ポイントPを登録する。経過時間の初期値はゼロである。また、すでに監視情報DB33に登録されている頭頂部の画像データが撮像された場合(検索にヒットした場合)、頭頂部の画像データ、通過ポイントP、通過方向、通過時刻、想定移動時間、及び、経過時間を更新する。
【0075】
時間測定部27は、時間を測定しており、監視情報DB33の経過時間を、時間の経過に伴って更新する。
【0076】
通報部29は、監視情報DB33の想定移動時間と経過時間を定期的に比較し、経過時間が想定移動時間を超えた場合、携帯端末50に通報し、又は/及び警報ランプ51を点灯させる。通過ポイントPと通過方向が分かるので、通報の際は、最後に通過した通過ポイントPと通過方向を通報する。また、通報の際は、画面情報生成部28が生成した施設内のマップを送信するとよい。これにより、スタッフは被介護者7が転倒などで動けなくなっている場所を早期に特定でき、駆けつけることができる。また、通報部29は、外部との境界の通過ポイントP31を被介護者7が外出する場合は、所定の条件を満たす場合にだけ通報する。詳細は
図14等で詳述する。
【0077】
画面情報生成部28は、監視情報DB33の監視情報を用いて端末装置40が表示する画面情報を生成する。例えば、監視情報そのものをリスト状に表示する画面情報を生成する。また、通報部29と同様な判断を行い、通報すると判断した場合は、最後に通過した通過ポイントPと通過方向を
図3のような施設のマップに表示する画面情報を生成する。これにより、スタッフは通過ポイントPの番号だけでは分かりにくい場所であっても、被介護者7が存在する可能性が高い場所を視覚的に把握できる。
【0078】
<通過方向の判断>
図6を用いて、頭頂部の画像データに基づく被介護者7の通過方向の判断について説明する。
図6は被介護者7の通過方向の判断方法を説明する図の一例である。
図6(a)~(c)の頭頂部の画像データはある通過ポイントにおいて、同じ被介護者7の頭頂部が時間と共にどのように撮像されるかを示す。
【0079】
図6(a)は撮像装置10の画角に頭頂部が写り始めた画像データの一例を示す。撮像装置10の画角が狭いので、被介護者7が真下の近くに来るまでは、頭頂部は写らない。画像処理部22は、例えば、画像が変化する前(床が写っている画像データ)と後の画像データの差分を取って、変化領域の重心Gを決定する。
【0080】
図6(b)は、撮像装置10の画角の中央で頭頂部が写った画像データの一例を示す。つまり、被介護者7が撮像装置10の真下に移動した。画像処理部22は同様に重心Gを決定できる。
図6(c)は、撮像装置10の画角から外れそうな状態で頭頂部が写った画像データの一例を示す。被介護者7は撮像装置10の下を過ぎ去ろうとしている。画像処理部22は同様に重心Gを決定できる。
【0081】
このように、画像処理部22は、時系列の頭頂部の画像データにおいて頭頂部の重心Gを決定し、最小二乗法などで直線に近似する。直線の長さを水平方向(東西方向)と垂直方向(南北方向)に分解して、どちらの成分がより長いかを判断すれば、通過方向を決定できる。あるいは、単に頭頂部が東西南北のどの方角から現れ、どの方角に消えたのかにより判断してもよい。
【0082】
<動作手順>
続いて、
図7を用いて情報処理装置20の処理の流れを説明する。
図7は、情報処理装置20が頭頂部の画像データに基づいて通報するまでの処理の一例を説明するフローチャート図である。
図7の処理は、通報システム100が稼動中、繰り返し実行される。
【0083】
ステップS1において、画像データ受信部21が画像データを受信する。ステップS2において、画像処理部22は、頭頂部の画像データであるか否かを判断する。頭頂部の画像データである場合、画像処理部22は上記の画像処理を行う。頭頂部の画像データでない場合、処理はステップS16に進む。
【0084】
頭頂部の画像データである場合、ステップS3において、撮像装置判断部23は外部との境界の通過ポイントPを外出したか否かを、画像データと共に送信された撮像装置IDと通過方向に基づいて判断する。ステップS3の判断がYesの場合、ステップS4の外出処理が実行される。外出処理については
図14にて説明する。
【0085】
ステップS3の判断がNoの場合、ステップS5において、撮像装置判断部23は除外者登録用撮像装置11A,11Bが撮像した画像データであって、通過方向が所定方向か否かを、画像データと共に送信された撮像装置IDと画像処理部22が検出した通過方向に基づいて判断する。この所定方向は除外者登録用撮像装置11Aで撮像された頭頂部の画像データが事務室63から出る方向である。つまり、これから勤務するかどうかが判断される。受付64の除外者登録用撮像装置11Bにおける通過方向は屋内に移動する方向に決まっているが、除外者登録用撮像装置11Bにおいても通過方向を判断してもよい。
【0086】
ステップS5の判断がYesの場合、ステップS6において、除外者登録部24は除外者画像DB32に除外者の頭頂部の画像データと撮像日時を登録する。
【0087】
ステップS5の判断がNoの場合、ステップS7において、画像検索部25は、画像データ受信部21が受信した頭頂部の画像データで除外者画像DB32と監視情報DB33を検索する。なお、除外者画像DB32と監視情報DB33のどちらかで検索にヒットした場合は、他方のDBを検索しなくてよい。また、どちらを先に検索してもよい。
【0088】
ステップS8において、検索の結果、画像検索部25は除外者であるか否か(除外者画像DB32で検索にヒットしたか)を判断する。除外者の場合、処理はステップS9に進む。
【0089】
除外者である場合、ステップS9において、情報登録部26は監視を終了する。この場合、スタッフ(又は何らの手違いで来訪者の場合もある)が出勤時に外部との境界の撮像装置12で監視情報DB33に登録されている可能性がある。監視対象として登録されたスタッフについては、予め設定した想定移動時間以内に事務室63に入り除外者登録用撮像装置11Aで撮像された場合、情報登録部26は、監視情報DB33から頭頂部の画像データ、通過ポイントP、通過方向、通過時刻、想定移動時間、及び、経過時間を削除する。あるいは、データを残したまま、監視対象でない旨を登録してもよい。
【0090】
除外者でない場合、ステップS10において、画像検索部25は新たな頭頂部の画像データであるか否かを判断する。つまり、除外者画像DB32にも監視情報DB33にも登録されていない頭頂部の画像データであるか否かを判断する。
【0091】
新たな頭頂部の画像データである場合、ステップS11において、情報登録部26が監視情報DB33に頭頂部の画像データを登録する。
【0092】
そして、ステップS12において、情報登録部26は、画像データと共に送信された撮像装置IDに基づいて想定移動時間DB31から取得した通過ポイントPと想定移動時間、画像処理部22が判断した通過方向、画像データを受信した(又は撮像された時刻)通過時刻、及び、経過時間(初期値ゼロ)を監視情報DB33に登録する。監視情報DB33の経過時間は、頭頂部の画像データの受信とは非同期に、時間測定部27が頭頂部の画像データに対応付けられた経過時間を一定の周期で大きくする処理を行う。
【0093】
一方、新たな頭頂部の画像データでない場合(監視情報DB33で検索にヒットした場合)、ステップS13において、情報登録部26は、画像データ受信部21が受信した頭頂部の画像データで監視情報DB33の頭頂部の画像データを更新する。また、情報登録部26は、監視情報DB33でヒットした頭頂部の画像データに対応付けられた、通過ポイントPと想定移動時間を、画像データと共に送信された撮像装置IDに基づいて想定移動時間DB31から取得した通過ポイントPと想定移動時間で更新する。同じく通過方向を画像処理部22が判断した通過方向で更新する。同じく、通過時刻を更新する。また、経過時間をゼロに初期化する。
【0094】
また、ステップS14において、情報登録部26は被介護者7が居室に戻ったか否かを判断する。この判断は、監視情報DB33でヒットした頭頂部の画像データに対応付けられた通過ポイントPが、最初の通過ポイントPと同じであり、通過方向が「入」か否かにより判断される。居室に戻っていない場合、処理はステップS16に進む。
【0095】
居室に戻った場合、ステップS15において、情報登録部26は監視を終了する。情報登録部26は、監視情報DB33から頭頂部の画像データ、通過ポイントP、通過方向、通過時刻、想定移動時間、及び、経過時間を削除する。あるいは、データを残したまま、監視対象でない旨を登録してもよい。
【0096】
ステップS16において、通報部29は、経過時間が想定移動時間を超えた被介護者7がいるか否かを判断する。
【0097】
経過時間が閾値に相当する想定移動時間を超えた被介護者7がいる場合、ステップS17において、通報部29は、被介護者7のいる場所が所定の場所で、かつ、複数の被介護者7がいるか否かを判断する。経過時間が想定移動時間を超えた場合であっても、経過時間が想定移動時間を超えた画像データに対応付けられた通過ポイントが予め決まった場所に関するもので、かつ、予め決まった通過方向が対応付けられており、経過時間が想定移動時間を超えた画像データとは別に、当該画像データと同じ通過ポイントと通過方向が対応付けられている画像データが監視情報DB33に記憶されている場合、通報部29は通報しない。所定の場所とは、食堂や談話室など複数の被介護者7が滞在する時間が長い場所である。また、複数の被介護者7がいることが条件なのは、緊急時にはどちらかが異常を知らせることができるためである。こうすることで、立ち寄り先で経過時間が想定移動時間より長くなっても、通報しなくなり、誤通報を抑制できる。
【0098】
通報部29は、監視情報DB33において経過時間>想定移動時間の被介護者7の通過ポイントPが所定の場所(所定の場所かどうかは想定移動時間DB31に登録されている)であり通過方向が「入」か否かを判断する。通過ポイントPが所定の場所であり通過方向が「入」の場合、同じ通過ポイントPで通過方向が「入」の他の被介護者7がいるかどうかを監視情報DB33で探し出す。
【0099】
被介護者7のいる場所が所定の場所でないか、又は、複数の被介護者7がいない場合、ステップS18において、通報部29が通報を行う。例えば、通過ポイントPと通過方向を指定して通報する。
【0100】
ステップS19において、除外者登録部24は外出から所定時間が経過した除外者情報が除外者画像DB32に登録されているか否かを判断する。
【0101】
所定時間が経過した除外者情報が除外者画像DB32に登録されている場合、ステップS20において、除外者登録部24は所定時間が経過した除外者情報を除外者画像DB32から削除する。なお、来訪者の除外者情報については、面会時間終了時に除外者画像DB32から来訪者の除外者情報を削除するようにしてもよい。
【0102】
以上のような処理により、頭頂部の画像データによりプライバシーを保持しながら、被介護者7が施設内を円滑に移動していることを見守ることができる。
【0103】
<移動例と監視情報DBの遷移例>
いくつか移動例を想定して、通報システムの動作例を説明する。
【0104】
<<被介護者の場合>>
図8は、被介護者7の施設内における移動例を示し、
図9は、監視情報DB33の遷移例を示す。
図8に示すように、居室Aの被介護者7は、居室A(通過ポイントP1)を出て、通過ポイントP18、P19を通過し、食堂に滞在した。その後、通過ポイントP19,P18、P1を通過して居室Aに戻った。
【0105】
図9(a)は通過ポイントP1を通過して居室Aから出た直後に登録された監視情報である。通過ポイントP1、通過方向「出」、通過時刻「13:15」、想定移動時間「5分」、経過時間「0」、最初の通過ポイントP1が登録されている。
【0106】
図9(b)は被介護者7が通過ポイントP18の少し手前に到達した状態の監視情報である。経過時間のみが更新され「60秒」が登録されている。したがって、経過時間が想定移動時間を超えないので通報されない。
【0107】
図9(c)は通過ポイントP18を通過した直後に登録された監視情報である。通過ポイントP18、通過方向「南」、通過時刻「13:17」、想定移動時間「3分」、経過時間「0」、最初の通過ポイントP1が登録されている。
【0108】
図9(d)は被介護者7が通過ポイントP19の少し手前に到達した状態の監視情報である。経過時間のみが更新され「15秒」が登録されている。したがって、経過時間が想定移動時間を超えないので通報されない。
【0109】
図9(e)は通過ポイントP19を通過した直後に登録された監視情報である。通過ポイントP19、通過方向「入」、通過時刻「13:18」、想定移動時間「30分」、経過時間「0」、最初の通過ポイントP1が登録されている。
【0110】
図9(f)は被介護者7が食堂で長時間、滞在している状態の監視情報である。経過時間のみが更新され「31分」が登録されている。経過時間が想定移動時間を超えているが、食堂に他の被介護者7がいたため通報されない。
【0111】
図9(g)は通過ポイントP19を出る方向に通過した直後に登録された監視情報である。通過ポイントP19、通過方向「出」、通過時刻「14:00」、想定移動時間「3分」、経過時間「0」、最初の通過ポイントP1が登録されている。
【0112】
その後、被介護者7は通過ポイントP18を通過して、通過ポイントP1に到達したものとする。
【0113】
図9(h)は通過ポイントP1を入る方向に通過した直後に登録された監視情報である。通過ポイントP1、通過方向「入」、通過時刻「14:05」、想定移動時間「-」、経過時間「0」、最初の通過ポイントP1が登録されている。
【0114】
通過ポイントP1は行動の監視を開始した最初の通過ポイントPであり、被介護者7の居室Aに対応するので、居室Aに被介護者7が戻ったと判断し、監視を終了する。
【0115】
<<来訪者の場合>>
図10は、来訪者の施設内における移動例を示し、
図11は、除外者画像DB32の登録例を示す。
図10に示すように、来訪者は、受付(通過ポイントP32)で受け付けを済ませて、通過ポイントP31、P21、P8を通過し、居室Hに入った。居室Hの被介護者7と所用を済ませて、通過ポイントP8、P21、P31を通過し、屋外に出た。
【0116】
図11(a)は、来訪者が受付(通過ポイントP32)を通過することで、除外者登録用撮像装置11Aで撮像され、除外者画像DB32に登録された除外者情報である。このように、除外者登録用撮像装置11Bで撮像されると頭頂部の画像データが除外者画像DB32に登録される。除外者画像DB32に登録されたため、来訪者が通過ポイントP31、P21、P8を通過しても監視情報DB33に登録されることはない。
【0117】
来訪者が一人で通過ポイントP8、P21、P31を通過した場合、通過ポイントP31は外部との境界の通過ポイントPで、外出したことになるため、外出処理が行われる。来訪者が一人で外出することは一般の施設では許容されるため、通報は行われない。
図11(b)に示すように、除外者登録部24は外出日時を除外者画像DB32に登録する。除外者登録部24は、例えば、面会終了時刻に登録されている来訪者の頭頂部の画像データを除外者画像DB32から削除する、あるいは、外出から所定時間が経過した来訪者の頭頂部の画像データが登録されている場合、除外者画像DB32からこの来訪者の頭頂部の画像データを削除する。このような処理により、来訪者が一時的に外出したような場合、再度、画像を登録する必要がない。
【0118】
なお、通過ポイントP31を外出したことが検出された場合、除外者登録部24は即座に除外者画像DB32から来訪者の頭頂部の画像データを削除してもよい。この場合は、来訪者が一時的に外出した場合でも、再度、受け付けを通過する必要があるが、セキュリティを向上できるというメリットがある。
【0119】
被介護者7が一人で通過ポイントP31を外部に通過した場合も外出処理が行われる。被介護者7が一人で外出することは一般の施設では許容されないため、通報される。
【0120】
来訪者と被介護者7が二人で通過ポイントP31を外部に通過した場合も外出処理が行われる。来訪者と被介護者7が外出することは一般の施設では許容されるため、通報は行われない。通報部29は、外部との境界の撮像装置12で撮像された頭頂部の画像データが被介護者7のものである場合、ほぼ同じ時間に、来訪者の頭頂部の画像データが外部との境界の撮像装置12で撮像されたかどうかを判断する。これにより、外部との境界の通過ポイントP31において、被介護者7が一人で外出した場合は通報でき、被介護者7が来訪者と通過ポイントP31を外部に通過した場合には誤通報を抑制できる。
【0121】
<<スタッフの場合>>
図12は、スタッフの施設内における移動例を示し、
図13は、監視情報DB33の登録例を示す。
図12に示すように、スタッフは、出勤時に通過ポイントP31、P33を通過し、事務室に入る。着替え等を済ませて、通過ポイントP33を出る方向に通過し、勤務を開始する。
【0122】
図13(a)はスタッフが通過ポイントP31を通過した直後に登録された監視情報である。通過ポイントP31、通過方向「入」、通過時刻「8:30」、想定移動時間「5分」、経過時間「0」、最初の通過ポイントP31が登録されている。このように、通過ポイントP31は除外者登録用撮像装置11A,11Bでないので、情報登録部26は監視情報を監視情報DB33に登録する。
【0123】
図13(b)はスタッフが通過ポイントP33を通過した直後に登録された監視情報である。通過ポイントP33、通過方向「入」、通過時刻「8:31」、想定移動時間「-」、経過時間「0」、最初の通過ポイントP31が登録されている。
【0124】
通過ポイントP33はスタッフのみが通過する事務室入り口の通過ポイントPであり、通過ポイントP33(除外者登録用撮像装置11A)を入る方向にスタッフが通過したので、出勤したスタッフであると判断し、監視を終了する。
【0125】
次に、スタッフが通過ポイントP33を出る方向に通過した。通過ポイントP33(除外者登録用撮像装置11A)を出る方向にスタッフが通過したので、スタッフの頭頂部の画像データが除外者画像DB32に登録される。
【0126】
なお、スタッフが作業のために通過ポイントP31を通過して一時的に屋外にいる場合、
図11(b)に示したように除外者画像DB32に外出日時が登録される。したがって、短時間であれば、除外者画像DB32に除外者情報が登録された状態を維持できる。また、スタッフが退勤した場合は、所定時間(例えば、8時間など)の経過により除外者画像DB32から除外者情報が削除される。仮に削除されないとしても、通過ポイントP33(除外者登録用撮像装置11A)を出る方向に通過することで新たに除外者情報を登録できる。
【0127】
<外出処理>
図14は外出処理を説明するフローチャート図の一例である。
図14の処理は外部との境界の通過ポイントP31をスタッフ、来訪者又は被介護者7が外出したと判断されるとスタートする。
【0128】
まず、ステップS21において、画像検索部25は外部との境界の撮像装置12が撮像した頭頂部の画像データで除外者画像DB32を検索し、除外者が外出したか否かを判断する。
【0129】
除外者が外出した場合、ステップS22において、除外者登録部24は外出日時を除外者画像DB32に登録する。
【0130】
次に、ステップS23において、画像検索部25は外部との境界の撮像装置12が撮像した頭頂部の画像データで監視情報DB33を検索し、被介護者7が外出したか否かを判断する。
【0131】
被介護者7が外出した場合、ステップS24において、画像検索部25はほぼ同じ時間に除外者と被介護者7が外出したか否かを判断する。例えば、外部との境界の撮像装置12が被介護者7の頭頂部の画像データを撮像してから1分以内などに除外者の外出日時が登録されているかどうかを判断する。
【0132】
被介護者7のみが外出した場合、ステップS25において、通報部29が通報する。ほぼ同じ時間に除外者と被介護者7が外出した場合、通報部29は通報しない。このような処理により、被介護者7だけが外出すると通報でき、被介護者7が除外者と共に外出すると通報しないことができる。
【0133】
<通報例>
続いて、
図15を用いて携帯端末50又は端末装置40が表示する通報の内容について説明する。
図15は、通報時に携帯端末50又は端末装置40が表示する画面例を示す図である。
図15(a)は携帯端末50が表示する通報画面300である。
図15(a)に示すように、通報画面300には、最後の通過ポイントP(符号301)、通過方向302、場所303、及び、通過時刻304が表示される。場所303とは想定移動時間DB31において通過ポイントPに対応付けられた備考欄の情報である。最後の通過ポイントP(301)、通過方向302及び通過時刻304は監視情報DB33に登録されている。スタッフは通報画面300を見て最後の通過ポイントPと通過方向により被介護者7がいる場所を絞り込むことができ、早期に被介護者7がいる場所に駆けつけることができる。
【0134】
図15(b)は端末装置40が表示する通報画面310の一例である。この通報画面310には施設のマップ上に、最後の通過ポイントP(符号は311)が強調して表示され、通過方向を示す矢印312、場所313(斜線部分)、及び、通過時刻314が明示されている。場所313については斜線などで強調されている。また、場所313には被介護者7のアイコン315も表示されている。これらにより、スタッフは視覚的に被介護者7がいる場所を把握でき、早期に被介護者7がいる場所に駆けつけることができる。
【0135】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の通報システム100は、以下のような効果を有する。被介護者7は通過ポイントPを通過するだけで監視対象となるので、目的地等の入力が不要であり、通報システム100の運用上の負担が少ない。撮像装置10の画角が狭いので、被介護者7のプライバシーを確保できる。また、被介護者7がどこに存在するのかをすぐに特定できる。また、被介護者7が任意の場所に立ち寄っても、通報されることがなく、被介護者7は自由に行動できる。
【0136】
また、除外者は出勤時や来訪時に、被介護者7は居室から出る時に、それぞれ頭頂部の画像データが登録されるので、予め頭頂部の画像データを登録しておく必要がなく、毎日のヘアスタイルの変化等にも対応できる。
【0137】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0138】
例えば、本実施形態では施設の内部で被介護者7を見守る例を説明したが、施設の範囲は屋内だけでなく屋外も含まれてよい。例えば、中庭などに通過ポイントを設定することもできる。
【0139】
また、施設は1フロアに限られず、複数のフロアに渡ってもよい。この場合は、階段やエレベータに監視ポイントが設置される。
【0140】
また、想定移動時間は予め設定されると説明したが、想定移動時間は実際に被介護者7が移動した時間のうち、最大値に基づいて自動的に更新されてもよい。例えば最大値の1.5倍などに決定する。これにより、実用的な想定移動時間を設定できる。
【0141】
また、複数の情報処理装置20が存在してもよく、複数の情報処理装置に跨って情報処理装置20の機能が分散していてもよい。
【0142】
また、
図5などの構成例は、情報処理装置20による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。情報処理装置20の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【符号の説明】
【0143】
5 施設
7 被介護者
10 撮像装置
11 除外者登録用撮像装置
20 情報処理装置
100 通報システム