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特許7287842自動車のバックドアランプ取付け補強構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】自動車のバックドアランプ取付け補強構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20230530BHJP
   B60Q 1/30 20060101ALI20230530BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20230530BHJP
   B60Q 1/44 20060101ALI20230530BHJP
   B60Q 1/22 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B60J5/10 Z
B60Q1/30 Z
B60Q1/34 B
B60Q1/44 A
B60Q1/22
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019114650
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021000876
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】江藤 康郎
(72)【発明者】
【氏名】船越 健司
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-116447(JP,A)
【文献】特開2007-126151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0176272(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0002434(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
B60Q 1/30
B60Q 1/34
B60Q 1/44
B60Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のバックドアランプ取付け構造において、インナーパネルに沿って設けたリインフォースメント部材とランプハウジング形成のためのアウターパネルとを共締めで接合してリインフォースメント部材本体とアウターパネルとの間に一定の閉鎖断面空間を形成し
前記リインフォースメント部材と前記アウターパネルとの共締めによる接合は、前記リインフォースメント部材に貫設されたランプ交換作業用孔の車両外方の上下両隅に車両前方に凸設された連結用固定部と、前記アウターパネルに設けられた凹部とが当接して締結可能に構成したことを特徴とする自動車のバックドアランプ取付け補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のバックドアの剛性を向上するための自動車のバックドアランプ取付け補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハッチバック式の自動車のバックドアには、給電するための配線やスペースの関係上、リアランプが搭載された車種はなかった。
【0003】
しかし、発光に使用される光源が白熱バルブ等からLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)に変更されることで、消費電流が低減され、給電するための配線径が細くなると共に、ランプハウジングの形状も薄くすることができるようになった。これに伴い、バックドアから車体後端部へ延出する形状のリアランプをバックドアに取り付けることが可能になり、意匠の要求もあって車体後端部の車両幅方向の両端部及びバックドアに、リアランプを取り付ける車種が増加してきた。
【0004】
例えば、図1の自動車の背面斜視図に示すように、車両1の車体後端部の車両幅方向の両端部に車両用リアランプ112、112を取り付け、バックドア2の下部両端部にドア用リアランプ111、111を取り付け、左右端のそれぞれのドア用リアランプ111と車両用リアランプ112とが連なりあって、両方のランプで一のリアランプを形成するものである。
【0005】
このため、従来車種にはなかったリアランプを取り付けるために後述する凹部113を、車両のバックドア2のアウターパネル120側に形成する必要が生じた。
以下、図面に基づき従来例について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0006】
図9は、バックドア2の内装材を取り外した状態を、車両後部右側面から車両後方(R)外方(OUT)から見た一例を示す斜視図である。本図において、バックドア2は、その周縁部に、機械的強度を保持するための梁部3が形成されている。
【0007】
具体的には、梁部3は、バックドア2を形成するインナーパネル121の周縁部に沿って断面略コの字状に車両内方(IN方向)に隆起させて成型するとともに、その周縁端はアウターパネル120と折り曲げて接合し溶接することにより形成されている。なお、アウターパネル120は、バックドア2の外装を形成するパネルであり、緩やかな曲線状に外方(OUT方向)に張り出して形成されている。
【0008】
梁部3の断面は、図10に示すようにインナーパネル121とアウターパネル120の周縁端129が溶接されて閉鎖断面空間を形成している。すなわち、閉鎖断面空間は、インナーパネル121とアウターパネル120に囲まれた断面略台形状をしており、機械的強度を確保するためにさらに内部にリインフォースメント123、124を挿入し、一端をボルトナットなどの締結部材141で締付け固定し、他端は溶接により連結固定している。
また、梁部3の車両上方にはバックドアガラス4が嵌め込まれ、車両外方の側面にはバックドア2の開閉を支持するダンパー5、5が配設されている。
【0009】
ドア用リアランプ111及び車両用リアランプ112にLEDを採用することによりドア用リアランプ111及び車両用リアランプ112は薄型化されるものの、ドア用リアランプ111のランプハウジング110を収容するためのスペースを確保するために、図11に示すように、アウターパネル120のドア用リアランプ111、111取付位置には凹部113が形成されている。そして、アウターパネル120に設けられた凹部113の中央部にはランプ交換作業用孔115が貫設され、インナーパネル121には、これに対応する位置にランプ交換作業用孔125が貫設されて両者を連通する一の孔を形成している。
【0010】
図12は、バックドア2にドア用リアランプ111のランプハウジング110を取り付けた状態を、車両内部から車両後方(R)に向かって見た図である。ランプ交換作業用孔125からは、アウターパネル120の裏面を覗かせている。また、前記アウターパネル120の凹部113に貫設されたランプ交換作業用孔115からは、ランプハウジング110の背面を覗かせている。
【0011】
そして、ランプハウジング110の背面からは、ドア用リアランプ111に給電を行うワイヤハーネス131が延出しており、ワイヤハーネス131の先端には接続用のコネクタ132が装着されている。接続用のコネクタ132には、図示しない給電用ワイヤハーネスのコネクタが接続されバッテリから給電される。
【0012】
凹部113の断面構造は、図13に示すように、ランプ交換作業用孔115、125のD-D方向矢視(図12において上から見た図)の断面図において、アウターパネル120とインナーパネル121は、バックドア2の車両外方側の周縁端129を折り曲げて重ね、溶接によって接合している。他方、車両内方側、すなわちランプ交換作業用孔115、125の側は、溶接などによって接合しておらず、開放状態となっており、図10に示すような閉鎖断面空間を形成していなかった。
【0013】
このような構造とされた理由は、ドア用リアランプ111の意匠上の制約と取り付け上の制約から、梁部3の車両内方の直近にランプ交換作業用孔115、125を開口しなければならないため、梁部3とランプ交換作業用孔125との間に溶接可能とするためのスペースを確保することができず、溶接をすることが困難であったからである。また、インナーパネル121の断面略コの字状の内側端をアウターパネル120に届く位置までプレス加工し、アウターパネル120と溶接することも考えられるが、梁部3の絞りが深くなるため、ストロークの長いプレス設備が必要となり望ましくない。
【0014】
このために、梁部3とランプ交換作業用孔125との間のインナーパネル121とアウターパネル120の溶接を断念し、インナーパネル121とアウターパネル120と対向する面にリインフォースメント123及びリインフォースメント124を設けて補強することにより、ランプハウジング110の装着部分の構造の剛性や捩じり強度を保持するように構成していた。
【0015】
ここで、インナーパネル121とランプハウジング110を取り付けるアウターパネル120との構造については、下記特許文献1乃至2に開示されている技術がある。
【0016】
特許文献1には、車両用後部ドア構造は、アウターパネルが、アッパーパネルとロワーパネルとを備えて上下方向に分割され、前記アッパーパネルの突き合わせ部と前記ロワーパネルの突き合わせ部とを突き合わせて接合させた際に、前記アッパーパネルの突き合わせ部と前記ロワーパネルの突き合わせ部とを突き合わせて接合した接合部の両端部に、リヤコンビネーションランプを組み付けるための切欠部が形成されることにより、デザインの自由度を確保し、コストおよび重量を抑え、ランプ取付部の変形を抑え、かつ、成形性および歩留まりを向上させることのできる車両用後部ドア構造が開示されている。
【0017】
また、特許文献2には、バックドアから車体後端部へ延出する形状のテールランプを配設した車両において、車体後部の開口部を上部に設けたヒンジを介して開閉可能に設けると共に、ドアガラスの後部にデッキ部を設けたバックドアにおいて、デッキ部を構成するアウターパネルとインナーパネルとの間に 、リインフォースメントを車幅方向に延設して設け、リインフォースメントのデッキ部に位置する上面部と、アウターパネル下面部と、を接着剤にて接合したことにより、バックドアデッキ部の車幅方向のねじり剛性を向上し、荒れた路面走行時の振動、低周波こもり音を抑制する車両のバックドア補強構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2014-172463号公報
【文献】特開2009-083800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
これらの先行技術はランプハウジングの形成に関連してハウジング形成部材を適宜組み合わせて構成しているが、リインフォースメントを専らアウターパネルやインナーパネル等の強度保持のための部材として機能させるものであり、バックドアの取付部の構成によりバックドアの剛性を向上させるものではない。
【0020】
すなわち、特許文献1は、デザインの自由度や生産性の向上及び品質改善を目的とするものであり、バックドアとバックドアランプのハウジングとの組付け構造の改善や強度の改善を図るものではない。
【0021】
また、特許文献2は、専らアウターパネル、インナーパネル等にリインフォースメントを組み合わせることによってバックドアデッキ部の車幅方向の捩じり剛性の向上等を行うものであり、バックドアとバックドアランプのハウジングとの組付け構造の改善によりバックドアの剛性を向上させるものではない。
【0022】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、車体後端部の車両幅方向の両端部に、車体後方に向けて延出するリアランプを取り付ける自動車のバックドアランプ取付構造において、リアランプ部材装着部分の構造の剛性や捩じり強度を向上するように構成した自動車のバックドアランプ取付け補強構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、自動車のバックドアランプ取付け構造において、インナーパネルに沿って設けたリインフォースメント部材とランプハウジング形成のためのアウターパネルとを共締めで接合してリインフォースメント部材本体とアウターパネルとの間に一定の閉鎖断面空間を形成してランプ部材装着部分の構造の剛性や捩じり強度を向上するように構成したことを特徴とする。
【0024】
また、前記リインフォースメント部材とランプハウジング形成のためのアウターパネルとの共締めによる接合は、前記リインフォースメント部材に貫設されたランプ交換作業用孔の車両外方の上下両隅に車両前方に凸設された連結用固定部と、アウターパネルに設けられた凹部とが当接して締結可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、自動車のバックドアランプ取付け構造において、インナーパネルの内側面に沿って設けたリインフォースメント部材とアウターパネルを共締めで接合して、リインフォースメント部材とランプハウジング締結のためのアウターパネルとの間に一定の閉鎖断面空間を形成するように構成したことにより、リインフォースメント部材の厚みを従来よりも薄くして軽量化を実現し、コスト低減を図ることができると共に、簡単な構造でバックドアのランプハウジングの装着部分の剛性や捩じり強度を向上することができる効果を奏する。
【0026】
また、発明によれば、リインフォースメント部材に貫設されたランプ交換作業用孔の車両外方の上下両隅に車両前方に凸設された連結用固定部を設けたことにより、ランプ交換作業用孔を塞ぐことなくアウターパネルとリインフォースメント部材とを連結固定することができるため、ランプ交換作業に支障をきたさないでランプハウジングの装着部分の剛性や捩じり強度を向上することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】バックドアにリアランプを取り付けた自動車又は本発明の実施形態における自動車の背面斜視図である。
図2】本発明の実施形態における自動車のバックドアを開状態にしたときの背面斜視図である。
図3】バックドアを構成するインナーパネルを車両前方から見た状態を示す図である。
図4図3におけるランプ交換作業用孔の周辺部分の拡大図である。
図5】本発明の実施形態における自動車のアウターパネルを車両後方から見た状態を示す図である。
図6図5に示す本発明の実施形態における自動車のアウターパネルのA-A方向矢視の断面図である。
図7】本発明の実施形態における自動車のバックドアに設けたランプ交換作業用孔を車両内から見た状態を示す図である。
図8図7に示すバックドアのB-B方向矢視の断面図である。
図9】従来の車両のバックドアの内装材を取り外した状態を、車両後部右側面から車両後方外方に向かって見た斜視図である。
図10図9に示すバックドアのC-C方向矢視の断面図である。
図11】従来のドア用リアランプを取り外した部分のアウターパネルの背面図である。
図12】従来の車両のバックドアに設けたランプ交換作業用孔を車両内から見た状態を示す図である。
図13図12に示すバックドアのD-D方向矢視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、自動車のバックドアランプ取付け構造において、インナーパネルの内側面に沿って設けたリインフォースメント部材をアウターパネルに共締めしてリインフォースメント部材とランプハウジング締結のためのアウターパネルとの間に一定の閉鎖断面空間を形成してランプ部材装着部分の剛性や捩じり強度を向上するように構成したことを要旨としている。
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、図面は模式的なものであり、各部の配置や寸法の比率等は現実のものとは必ずしも一致しない。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態における自動車のバックドアランプ取付け補強構造を備えたハッチバック式の自動車の背面斜視図である。
本図に示すように、例えば、コンパクトカーやステーションワゴンあるいはミニバンなどと呼ばれているいわゆるワンボックスカーの後部には、上方に開閉可能なバックドア2が取り付けられている。
【0031】
図2は、本発明の実施形態における自動車のバックドア2を開状態にしたときの背面斜視図である。本図に示すように、いわゆるワンボックスカーのバックドア2は、車両後部上端を支点にして上方に大きな角度で広い面積のドアを開閉することができるため、車両の後部からトランクに荷物の出し入れを容易にすることができ、また、トランクの容量を大きく確保することができるなどの利便性を有している。
【0032】
図3は、バックドア2を構成するインナーパネル21を車両前方から見た状態を示す図である。本図に示すように、バックドア2のインナーパネル21は、側面視で一部屈曲を有する略薄型方形状で、上半部分に略長方形の開口部28を有し、開口部28の下端周縁には梁部27が、車両幅方向に延設され、梁部27の両端は、前記バックドア2の外周に形成された梁部3と接合して、梁部3及び梁部27全体として略日の字状の梁部を形成している。
【0033】
すなわち、バックドア2は、前記インナーパネル21と、自動車の外装を形成するアウターパネル20と、補強用のリインフォースメント23とを溶接などにより連結固定して構成されている。ここで、インナーパネル21、アウターパネル20及びリインフォースメント23は、例えば、自動車用冷間圧延鋼板や自動車用高張力鋼板をプレス加工して形成されており、バックドア2は、従来例の図9で説明したのと同様に、車両内方に配設されたインナーパネル21と、車両外方に配設されたアウターパネル20と、両者の間に挿入されたリインフォースメント23とを溶接などにより連結固定されて、バックドア2の骨格を構成している。
【0034】
そして、バックドア2の上半部に形成された前記開口部28は、バックドアガラス4の形状に沿った形状に開口しており、そこにバックドアガラス4が、嵌め込まれ、その周縁を接着材などにより接着することによって固定されている。
【0035】
また、バックドア2は、図2に示すように、その上端部の両端と車両後端上部のルーフ部分とがヒンジ6、6を介して上下に開閉自在に取付けられており、いわゆる跳ね上げ式の車両用後部ドアを形成している。ヒンジ6、6は、開閉作動の支点として作用し、例えば、ステンレス鋼などで形成されており、ボルト及びナット等を用いてバックドア2を車両後端上部に連結している。
【0036】
また、バックドア2に形成された上下方向の梁部3の外方側面には、図9に示す従来例と同様に、それぞれダンパー5、5が設けられている。
ダンパー5は、例えば、ピストンロッド5bとシリンダー5aとから構成され、シリンダー5aの内部にはオイルとガスが封入されており、バックドア2を開くとき又は閉じるときにピストンロッドが伸張又は収縮し、閉じるときは油圧で閉じる速度を緩衝するとともに、開くときはガスの膨張と油圧により付勢して跳ね上げ作動を行うものである。
【0037】
ダンパー5、5の連結は、具体的には、図2に示すように、本図から見て右側のダンパー5は、シリンダー5a側が右側のリアピラー9の車両内方の上部に取付具54により連結されている。また、ピストンロッド5b側は、バックドア2の開口部28の下端周縁の梁部3の右側面に図示しない取付具52により連結されている。
【0038】
同様に、左側のダンパー5は、シリンダー5a側が左側のリアピラー9の車両内方の上部に取付具56により連結されている。また、ピストンロッド5b側は、バックドア2の開口部28の下端周縁の梁部3の左側面に取付具52により連結されている。
【0039】
また、図1に示すように、車体後端部の車両幅方向の両端部に、バックドア2から車体後端部へ延出する形状のドア用リアランプ11、11及び車両用リアランプ12、12が取り付けられている。すなわち、バックドア2には当該ドア用リアランプ11、11が取り付けられ、車体後端部の両端部からリアフェンダーパネル7に延出して車両用リアランプ12、12が取り付けられている。そして、バックドア2を閉じたときに、ドア用リアランプ11と車両用リアランプ12が連なりあって、両方のランプで一のリアランプを構成する。
【0040】
ドア用リアランプ11及び車両用リアランプ12は、例えば、赤色のテールランプやブレーキランプ、白色のバックランプ(後進ランプ)及び黄色のターンシグナルランプなどで構成され、光源としてLEDと、LEDを搭載するプリント基板と、プリント基板を接続するコネクタ32付のワイヤハーネス31と、LEDの光を反射させる反射鏡と、LEDの光を集光または散光するレンズと、これらを収容するランプハウジング10などから構成されている。
そしてこれらのドア用リアランプ11と車両用リアランプ12が点灯又は点滅することにより車両の運行を円滑に行うことができるよう構成されている。
【0041】
次に、バックドア2におけるドア用リアランプ11、11の取付構造について説明する。図4は、図3におけるインナーパネル21に、リインフォースメント23などを取り付けたときのランプ交換作業用孔25の周辺部分の拡大図である。図3図4において、インナーパネル21の下半部の梁部3の近傍に略長方形状のランプ交換作業用孔25が貫設されており、ランプ交換作業用孔25の右辺中央には略半円の切欠き25aが設けられている。
【0042】
リインフォースメント23は、インナーパネル21のアウターパネル20と対向する側に配設され、溶接によりインナーパネル21に連結固定されている。リインフォースメント23には、前記ランプ交換作業用孔25に対応する位置にランプ交換作業用孔35が貫設されており、ランプ交換作業用孔25の切欠き25aに対応する位置に略半円の切欠き35aが設けられている。したがって、リインフォースメント23に貫設されたランプ交換作業用孔35と、インナーパネル21のランプ交換作業用孔25とが重ね合わされて連通する一の孔を形成している。
【0043】
また、リインフォースメント23のランプ交換作業用孔35には、その車両外方(OUT)の上下両隅に略方形状の連結用固定部36、36が凸設されている。そして、当該連結用固定部36、36の中央には、アウターパネル20と連結するための固定用孔35b、35bが貫設されている。
【0044】
図5は、本発明の実施形態における自動車のアウターパネル20を車両後方から見た状態を示す図である。アウターパネル20には、図6のA-A方向矢視の断面図に示すように、ランプハウジング10を取り付けるための凹部13が設けられている。本図において、当該凹部13は、ランプハウジング10の背面の形状に合わせて、本実施例では2段階に形成されている。そして、図5に示すように、凹部13の最下段の中央部には、車両外方斜め上方に向いた略長瓢箪状のランプ交換作業用孔15が貫設置されている。
【0045】
また、凹部13には、ドア用リアランプ11を取り付けるための位置決め孔又は取付け孔14a乃至14eが、前記ランプ交換作業用孔15の周辺に貫設されている。
【0046】
図7は、本発明の実施形態における自動車のバックドア2の凹部13に、ドア用リアランプ11を取り付けたときのランプ交換作業用孔15、35を車両内から見た状態を示す図である。
【0047】
本図において、梁部3の車両内方側にリインフォースメント23に貫設されたランプ交換作業用孔35が開口し、アウターパネル20の裏面を覗かせている。また、アウターパネル20に貫設されたランプ交換作業用孔15からは、ドア用リアランプ11のランプハウジング10が背面を覗かせている。そして、ランプハウジング10及びアウターパネル20は、ネジなどの締結部材41を用いてリインフォースメント23に凸設された前記連結用固定部36、36に共締めにより連結固定されている。なお詳細は後述する。
【0048】
また、ランプハウジング10の背面からは、ドア用リアランプ11に給電用のワイヤハーネス31が延出しており、ワイヤハーネス31の先端には接続用のコネクタ32が装着されている。接続用のコネクタ32には、図示しない給電用のワイヤハーネス31のコネクタが接続されバッテリから給電される。
【0049】
次に、バックドア2のドア用リアランプ11の取付け補強構造についてさらに詳しく説明する。図8は、図7に示すバックドアのB-B方向矢視、すなわち車両の上方から見た断面図である。本図において、アウターパネル20は、周縁端29から車両内方(図8の右方)に向かって略直線状に延設されている。このアウターパネル20の断面の形状は、前記凹部13の底面の断面形状である。また、アウターパネル20は、周縁端29において、インナーパネル21を包み込むように折り曲げ重ねられて溶接することでインナーパネル21と連結固定されている。
【0050】
インナーパネル21は、車両内方に向かって延設されると直ぐに車内前方に屈曲した後、車両内方に延設され、さらに車内後方に屈曲して断面略コの字状に形成されている。また、リインフォースメント23も同様に車両内方に向かって直ぐに屈曲した後、車両内方に延設され、さらに車内後方に屈曲した後、車両内方に延設されて断面略コの字状に形成されている。そして、リインフォースメント23は、インナーパネル21の車両後方側、すなわち、アウターパネル20に対向する側に挿入され、インナーパネル21に重ねられて、所定の個所を溶接により連結固定されている。
これにより、インナーパネル21には、その周縁に沿って車両内方に隆起した断面略コの字状の梁部3が形成される。
【0051】
梁部3の車両内方側(図8の右方)の直近には、ランプ交換作業用孔25を開口しており、車両内方に延設されたインナーパネル21は、アウターパネル20に当接することができない。しかし、リインフォースメント23に貫設されたランプ交換作業用孔35の車両外方(OUT)の上下両隅に車両前方(F)に凸設された連結用固定部36、36は、図7に示すように、車両内方(図8の右方)に延設され、アウターパネル20に設けられた凹部13の裏面と当接するよう構成されている。
【0052】
ランプハウジング10は、図5図6に示すアウターパネル20の外面に形成された凹部13に、図7図8に示すように嵌め込まれ、その背面は凹部13に当接している。
当該凹部13の裏面は、先述のとおり、リインフォースメント23に凸設された前記連結用固定部36、36に当接している。
【0053】
そして、ランプハウジング10の車両内方において、図3に示すランプ交換作業用孔25に設けられた切欠き25a及びランプ交換作業用孔35に設けられた切欠き35aは、図5に示すアウターパネル20に貫設された取付け孔14cを介して、図7に示すように、インナーパネル21、アウターパネル20及びリインフォースメント23と重ね合わされて、ネジなどの締結部材41を用いて、共締めにより連結固定されている。
【0054】
また、ランプハウジング10の車両外方において、図5に示すアウターパネル20の凹部13に貫設された取付け孔14b、14dを介して、図7図8に示すように、前記連結用固定部36、36に貫設された固定用孔35b、35bにネジなどの締結部材41を用いて、共締めされている
【0055】
このように車両内方及び車両外方において上記連結固定をすることにより、断面略コの字状に形成されたインナーパネル21及びリインフォースメント23からなる接合体と、アウターパネル20とによって囲まれた断面略台形状の閉鎖断面空間を形成することができる。
【0056】
以上のように構成することにより、車体後端部の車両幅方向の両端部に、バックドア2から車体後端部へ延出する形状のドア用リアランプ11を取り付ける自動車のバックドアランプ取付け構造において、インナーパネル21に沿って設けた1枚のリインフォースメント23とランプハウジング10形成のためのアウターパネル20とを共締めで連結固定して、リインフォースメント23とアウターパネル20との間に一定の閉鎖断面空間を形成したため、ランプ部材装着部分の構造の剛性や捩じり強度を向上するように構成した自動車のバックドアランプ取付け補強構造を提供することができる効果を奏する。
【0057】
なお、上記実施の形態では、締結部材41はネジについて説明したが、ネジに限定されるものではなく、ボルト・ナットやスナップフィットなどを使用することは、何ら差し支えない。また、インナーパネル21やアウターパネル20の材料は、鋼板に限定されるものではなく、プラスチック材を使用することは何ら差し支えない。
【0058】
また、上記実施の形態では、ランプハウジング10は、インナーパネル21、アウターパネル20又はリインフォースメント23と共締めする構造について説明したが、ランプハウジング10をアウターパネル20にネジ止めなどにより固定し、このアウターパネル20をインナーパネル21又はリインフォースメント23と共締めする構造としてもよい。
【0059】
本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0060】
1 車体
2 バックドア
3、27 梁部
4 バックドアガラス
5 ダンバー
6 ヒンジ
9 リアピラー
10 ランプハウジング
11 ドア用リアランプ
12 車両用リアランプ
13 凹部
14a~e 取付け孔
15、25、35 ランプ交換作業用孔
20 アウターパネル
21 インナーパネル
23 リインフォースメント
28 開口部
35b 固定用孔
36 連結用固定部
41 締結部材
図1
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