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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20230530BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20230530BHJP
【FI】
F24C1/00 370N
F24C1/00 310Z
F24C1/00 370Q
F24C1/00 360A
F24C7/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019195854
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021071202
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(72)【発明者】
【氏名】加古 英徳
(72)【発明者】
【氏名】木村 智志
(72)【発明者】
【氏名】太田 宣章
(72)【発明者】
【氏名】宿野 均
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 紀子
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-025685(JP,A)
【文献】特開2003-149990(JP,A)
【文献】特開平09-101807(JP,A)
【文献】特開2002-327922(JP,A)
【文献】特開平04-139314(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0209050(US,A1)
【文献】特開2017-194174(JP,A)
【文献】特開2014-214941(JP,A)
【文献】特開2017-003262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を内部に収容する調理室と、
前記被調理物を熱風コンベクション加熱するオーブン加熱手段と、
前記調理室内の温度を検出する庫内温度検出手段と、
前記被調理物を設定温度で加熱調理するように前記オーブン加熱手段を制御する加熱調理制御部と、を備え、
前記オーブン加熱手段は、空気を加熱するメインヒータおよびサブヒータと、当該メインヒータおよびサブヒータを通断電させる熱風ヒータ駆動手段と、を備え、前記メインヒータの電力の値が前記サブヒータの電力の値よりも多くなるように構成され、
前記調理室内の温度が前記設定温度以下の第1の閾値に達した後、当該設定温度から所定の温度だけ超過した第2の閾値以下のときは、前記加熱調理制御部は、前記メインヒータへの通電を維持した状態で前記サブヒータをPWM制御するように、前記熱風ヒータ駆動手段に制御信号を送出し、
前記調理室内の温度が前記第2の閾値を超過したときは、前記加熱調理制御部は、前記メインヒータおよび前記サブヒータをいずれも断電させるように前記熱風ヒータ駆動手段に制御信号を送出することを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記加熱調理制御部が、1/fゆらぎをデータ化したゆらぎデータを記憶する第1の記憶手段を備え、
前記加熱調理制御部は、前記記憶手段から前記ゆらぎデータを読み込んで、前記PWM制御の通電率を不規則に可変させるように前記熱風ヒータ駆動手段に制御信号を送出することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記調理室内に液体をミスト状にして噴出するミスト供給手段をさらに備え、
前記加熱調理制御部は、前記調理室内の温度が前記設定温度に達したときに前記液体を噴出するように前記ミスト供給手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記オーブン加熱手段は、前記調理室内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファンと、当該熱風ファンを所定方向に回転させる熱風モータと、当該熱風モータを回転駆動させる熱風モータ駆動手段と、をさらに備え、
前記加熱調理制御部が、1/fゆらぎをデータ化したゆらぎデータを記憶する第2の記憶手段を備え、
前記加熱調理制御部は、前記記憶手段から前記ゆらぎデータを読み込んで、
前記熱風ファンの回転数が所定の範囲で不規則に可変させるように前記熱風モータ駆動手段に制御信号を送出することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理室内に熱風を供給して被調理物を加熱調理する熱風ユニットを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器として、例えば特許文献1には、被調理物を内部に収容する調理室と、被調理物を熱風コンベクション加熱する熱風ユニットと、調理室内の温度を検出するサーミスタと、を備え、この熱風ユニットが、空気を加熱する熱風ヒータと、当該熱風ヒータを通断電させる熱風ヒータ駆動手段と、調理室内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファンと、当該熱風ファンを所定方向に回転させる熱風モータと、を備えたオーブンレンジが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-194174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のオーブンレンジなどの従来の加熱調理器では、調理室内の設定温度での飽和状態における庫内温度にムラがあって温度変化が大きく、例えばパンなどの被調理物へ焦げ色をつけるときに、被調理物の焦げ色がバラつく要因となっていた。
【0005】
図14は、従来の加熱調理器でオーブン加熱するときの調理室内の庫内温度の推移をあらわしたタイミングチャートであるが、従来の加熱調理器では、調理室内の温度Tが設定温度である200℃であるとサーミスタが検出すると、熱風ヒータ駆動手段が熱風ヒータ全体を断電させ、調理室内の温度Tが200℃を下回ったとサーミスタが検出すると、熱風ヒータ駆動手段が熱風ヒータ全体を通電させる温度制御(図9参照)のため、Tが最大で略230℃までオーバーシュートしてしまい、設定温度からのオーバーシュートの量が大きかった。そのため200℃で収束安定させて飽和状態にするまで略15分と時間がかかってしまい、また200℃での飽和状態における温度変化Diffが23℃~25℃と大きくなってしまっていた。また熱風ヒータ全体を通断電する構成のため、頻繁に通断電すると熱風ヒータに印加される入力電圧の印加、遮断による電圧フリッカーが発生する虞があり、頻繁に通断電できずに素早く正確な熱風ヒータの制御ができなかった。
【0006】
また被調理物は元来、石窯で加熱調理され、石窯の内部で燃料となる薪からの炎、すなわち薪炎がゆるやかにゆれて被調理物を焼くことで、この被調理物を美味しく焼くことができるとされている。そのため石窯は温度変化が少なく大きな熱容量が特徴であり、炎に近い場所では過加熱であり炎から遠い場所では加熱不足であるという課題がある。しかしながら、石窯内での薪炎は不規則にゆらいでおり、被調理物に対する加熱に適度なアクセントを加えることができるため、調理の都度、被調理物の出来上がりを適度に変化させて、味や食感に新鮮感を付加することができる。その一方で、従来の加熱調理器は石窯よりも温度のムラは少ない一方で上述したように温度変化が大きいという課題があり、また加熱を不規則に可変させることが困難であり、被調理物に対する加熱に適度なアクセントを加えることができなかった。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、電圧フリッカーの発生を抑制し、速やかに設定温度で収束安定させて飽和状態にし、調理室内の設定温度での飽和状態における温度変化を抑制することができる加熱調理器を提供することを第1の目的とする。
【0008】
また被調理物に対する加熱に適度なアクセントを加えることができる加熱調理器を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被調理物を内部に収容する調理室と、前記被調理物を熱風コンベクション加熱するオーブン加熱手段と、前記調理室内の温度を検出する庫内温度検出手段と、前記被調理物を設定温度で加熱調理するように前記オーブン加熱手段を制御する加熱調理制御部と、を備え、前記オーブン加熱手段は、メインヒータと、サブヒータと、熱風ヒータ駆動手段と、を備え、前記メインヒータの電力の値が前記サブヒータの電力の値よりも多くなるように構成され、前記調理室内の温度が前記設定温度以下の第1の閾値に達した後、当該設定温度から所定の温度だけ超過した第2の閾値以下のときは、前記加熱調理制御部は、前記メインヒータへの通電を維持した状態で前記サブヒータをPWM制御するように、前記熱風ヒータ駆動手段に制御信号を送出し、前記調理室内の温度が前記第2の閾値を超過したときは、前記加熱調理制御部は、前記メインヒータおよび前記サブヒータをいずれも断電させるように前記熱風ヒータ駆動手段に制御信号を送出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、PWM制御される熱風ヒータは電力の値が低いサブヒータのみであるので、熱風ヒータに印加される入力電圧の印加、遮断による電圧フリッカーの発生を抑制することができる。また調理室内の温度が設定温度からオーバーシュートする量を抑制することができるため、速やかに設定温度で収束安定させて飽和状態にすることができる。そして調理室内の設定温度での飽和状態における温度変化を抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、PWM制御されたサブヒータの加熱が「1/fゆらぎ」のように不規則に可変し、庫内温度をあえて一定にしないことで薪炎のゆらぎを再現させ、被調理物に対する加熱に適度なアクセントを加えることができるため、調理の都度、被調理物の出来上がりを適度に変化させて、味や食感に新鮮感を付加することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、ミストを瞬時に過熱水蒸気に気化させて、調理室内の被調理物を適度な水分子(過熱水蒸気)で加熱するため、庫内温度が不規則に可変する一方で、その温度変化の量は抑制されて均一化され、被調理物に対する加熱に適度なアクセントを加えつつ、表面はカリッと焼くことができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、位相制御された熱風ファンの回転数が「1/fゆらぎ」のように不規則に可変し、庫内温度をあえて一定にしないことで薪炎のゆらぎを再現させて、被調理物に対する加熱に適度なアクセントを加えることができるため、調理の都度、被調理物の出来上がりを適度に変化させて、味や食感に新鮮感を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態を示す加熱調理器の外観斜視図である。
図2】同上、扉を開けた時の正面前方から見た図である。
図3】同上、側面から見た縦断面図である。
図4】同上、キャビネットやオーブン後板を外した状態の正面前方から見た図である。
図5】同上、側面から見たマイクロ波発生装置とその周辺の要部縦断面図である。
図6】同上、本体の内部構造を示す概略図である。
図7】同上、主な電気的構成を示すブロック図である。
図8】同上、熱風ヒータの動作に関係する要部の回路図である。
図9】従来の加熱調理器と本発明の第1の実施形態の加熱調理器で、オーブン加熱するときの調理室内の庫内温度と、熱風ヒータに入力する電圧との推移をあらわしたタイミングチャートである。
図10】本発明の第2の実施形態を示す加熱調理器の熱風ヒータの動作に関係する要部の回路図である。
図11】従来の加熱調理器と本発明の第2の実施形態の加熱調理器で、オーブン加熱するときの調理室内の庫内温度と、熱風ヒータに入力する電圧との推移をあらわしたタイミングチャートである。
図12】本発明の第3の実施形態を示す加熱調理器の熱風ファンの動作に関係する要部の回路図である。
図13】従来の加熱調理器と本発明の第3の実施形態の加熱調理器で、オーブン加熱するときの調理室内の庫内温度と、熱風ファンの回転数と、熱風ヒータに入力する電圧との推移をあらわしたタイミングチャートである。
図14】従来の加熱調理器と本発明の第4の実施形態の加熱調理器で、ミスト過熱水蒸気を使ったスチーム加熱するときの調理室内の庫内温度と、熱風ヒータに入力する電圧との推移をあらわしたタイミングチャートである。
図15】従来の加熱調理器で、オーブン加熱するときの調理室内の庫内温度の推移をあらわしたタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。
【実施例1】
【0016】
先ず図1図7に基づいて、本発明の加熱調理器としてのオーブンレンジの第1の実施形態の全体構成を説明すると、1は略矩形箱状に構成される本体で、この本体1は、製品となるオーブンレンジの外郭を覆う部材として、金属製のキャビネット2を備えている。また3は、本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。
【0017】
扉3の上部には、縦開きの扉3を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉3の下部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段7が配設される。扉3の内部で操作パネル部5の後側には、図示しないが、表示手段6や操作手段7などの制御を行なうために、操作パネルPC(印刷回路)板が配置される。
【0018】
本体1の下部には、本体1の前面より着脱が可能な給水カセット8と水受け9が各々配設される。給水カセット8は、後述のミスト供給装置43から噴出するミストの供給源として、液体となる水を入れる有底状の容器である。また水受け9は、本体1からの食品カスや水滴、蒸気などを受ける有底状の容器である。
【0019】
本体1の左右側面と上面を形成するキャビネット2は、本体1ひいてはオーブンレンジの底面を形成するオーブン底板11を覆うように、本体1の前面を形成するオーブン前板12と、本体1の後面を形成するオーブン後板13との間に設けられる。また本体1には、加熱調理すべき被調理物Sを内部に収容する調理室14と、調理室14の温度を検出する温度検出素子たるサーミスタ15が設けられる。調理室14の前面はオーブン前板12に達していて、被調理物Sを出し入れするために開口しており、この開口を扉3で開閉する構成となっている。また庫内温度検知手段となるサーミスタ15は、調理室14内部において、扉3の近傍に配設される。また本実施形態のサーミスタ15は検知幅を限定することにより1digitが数℃になるようにしており、1digitが20℃程度の従来のオーブンレンジのサーミスタよりも分解能を良くして、感度を上昇させている。
【0020】
調理室14の内面を形成する周壁は、天井壁14aと、底壁14bと、左側壁14cと、右側壁14dと、奥壁14eとからなる。調理室14の奥壁14eは、その中央に吸込み口16を備えており、吸込み口16の周囲には複数の吹出し口17を備えている。また、調理室14の上壁面となるドーム状の天井壁14aに対向して、本体1の上部には、調理室14の上方から被調理物Sを輻射加熱するグリル用の上ヒータ18が設けられ、本体1の底部には、調理室14内に電波であるマイクロ波を供給するために、マグネトロンを含むマイクロ波発生装置19が設けられる。これにより、上ヒータ18への通電に伴う熱放射によって、調理室14内に収容した被調理物Sを上方向からグリル加熱し、またマイクロ波発生装置19への通電動作により、調理室14内に収容した被調理物Sにマイクロ波を放射して、被調理物Sをレンジ加熱する構成となっている。なお後述するように、サーミスタ15の他にも被調理物Sの載置位置の近傍、例えば左側壁14cまたは右側壁14dの下部中央や底壁14bの被調理物Sの載置位置近辺に温度検出素子たるサーミスタを設け、後述するように、当該サーミスタから被調理物S近傍の温度の情報をより素早く正確にフィードバックできるように構成してもよい。
【0021】
調理室14の左側壁14cと右側壁14dには、調理室14の内部に金属製の角皿21を吊設状態で収納保持するために、左右一対の棚支え22を上下二段に備えている。ここで使用する角皿21は、上面を開口した有底凹状で、その他は無孔に形成される収容部21Aと、収容部21Aの上端より外側水平方向に延設されるフランジ部21Bとにより構成される。またフランジ部21Bには、角皿21を通して熱風の流通を可能にする通気孔21Cが開口形成される。図2では、調理室14の内部で下段の棚支え22に角皿21のフランジ部21Bを載せて、収容部21Aに被調理物Sを載せた状態を示しているが、調理に応じて角皿21を上段の棚支え22にだけ載せたり、2枚の角皿21を上段と下段の棚支え22に各々載せたりしてもよく、角皿21に代えて、焼き網(図示せず)などの別な付属品を収容保持してもよい。また上述したマイクロ波発生装置19によるレンジ加熱では、調理室14の内部に角皿21や焼き網などを入れずに、調理室14の内部で被調理物Sをレンジ加熱の可能な容器(図示せず)に入れて加熱調理することができる。
【0022】
24は、本体1の内部において、調理室14の室外後方から下方にかけて具備されるオーブン加熱用の熱風ユニットである。この熱風ユニット24は、被調理物Sの加熱手段として、奥壁14eに取付けられる凸状のケーシング26と、空気を加熱する熱風ヒータ27と、調理室14内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファン28と、熱風ファン28を所定方向に回転させる電動の熱風モータ29と、熱風モータ29からの駆動力を熱風ファン28に伝達する伝達機構30と、により概ね構成される。奥壁14eとケーシング26との間の内部空間として、調理室14の室外後方に形成された加熱室31には、熱風ヒータ27と熱風ファン28がそれぞれ配設される一方で、本体1の内部に形成された調理室14とオーブン底板11との間の下部空間32には、熱風モータ29が配設される。そして、熱風ユニット24全体を後側外方から覆うように、本体1の後部にオーブン後板13が配設される。
【0023】
本実施形態の熱風ファン28は、軸方向に取り入れた空気を、回転時の遠心力によって、軸方向と直角な放射方向に吐き出すいわゆる遠心ファンとして設けられており、管状の熱風ヒータ27は熱風ファン28の放射方向を取り囲んで配置される。発熱部でもある熱風ヒータ27は、例えばシーズヒータ、マイカヒータ、石英管ヒータやハロゲンヒータなどを用いる。前述した吸込み口16や熱風吹出し口17は、調理室14と加熱室31との間を連通する通風部として機能するものである。
【0024】
そして本実施形態では、熱風モータ29への通電に伴い熱風ファン28が回転駆動すると、調理室14の内部から吸込み口16を通して吸引された空気が、熱風ファン28の放射方向に吹出して、通電した熱風ヒータ27により加熱され、熱風が吹出し口17を通過して、調理室14内に供給される。これにより、調理室14の内外で熱風を循環させる経路が形成され、調理室14内の被調理物Sを熱風コンベクション加熱する構成となっている。
【0025】
続いて、被調理物Sを加熱する加熱手段として、マイクロ波加熱手段としてのマイクロ波発生装置19と、その周辺の細部構造について説明する。調理室14の底壁14bは、金属板材34に形成された凹状のアンテナ収納部35の上面開口を、セラミック板などのマイクロ波が透過可能な底板36で覆うことで構成される。マイクロ波が透過不能な金属板材34は、底壁14bの周囲部のみならず、左側壁14cや、右側壁14dや、奥壁14eを一体的に形成するもので、底板36を除く調理室14の内面は、全てマイクロ波が透過不能な材料で形成される。
【0026】
マイクロ波発生装置19は、マイクロ波の供給源となるマグネトロン(図示せず)の他に、本体1内部の下部空間32において、マグネトロンで発振されたマイクロ波をアンテナ収納部35の直下に導く導波管37と、導波管37の下方に配設されるアンテナモータ38と、その下端部が導波管37の内部に配置され、アンテナモータ38の回転軸に取付け固定されるアンテナホルダ39と、アンテナホルダ39内に挿入固定される円柱状のケーブル軸40と、その中心にケーブル軸40の上端部が取付け固定され、アンテナ収納部35の内部で回動可能に設けられるアンテナ41と、により主に構成される。アンテナ収納部35の上面開口を底板36で塞いだ状態では、調理室14の底壁14bを形成する平板状の底板36に対向して、アンテナ41の全体が底板36と平行に配置される。
【0027】
調理室14内にミストを送り込むミスト供給装置43は、上述した給水カセット8の他に、供給される液体である水をミスト状にするノズル45と、給水カセット8とノズル45との間に連結する給水管46と、給水カセット8からの水をノズル45に導く給水ポンプ47と、ノズル45内に連通する複数のミスト噴出孔44と、を備えている。これによりミスト供給装置43の動作中には、給水カセット8からの水を給水ポンプ47でノズル45に送り込み、このノズル45で供給された水がミスト化され、ミスト噴出孔44から調理室14の内部に供給される。このとき、調理室14内の温度が大気圧でセ氏100℃(以下、温度の値は大気圧でセ氏での温度の値とする)より高い場合は、このミストが調理室14内で瞬時に気化して過熱水蒸気になることにより、調理室14内に入れられた被調理物Sを適度な水分子(過熱水蒸気)ですばやく、ムラなく加熱する構成となっている。
【0028】
図7は、上記オーブンレンジの主な電気的構成を図示したものである。同図において、51はマイクロコンピュータにより構成される制御手段であり、この制御手段51は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマや、入出力デバイスなどを備えている。
【0029】
制御手段51の入力ポートには、前述したキーやタッチパネルによる操作手段7の他に、検出素子となる赤外線センサ53Aにスイング機構を装備して構成され、調理室14内全体の温度分布を検出することで、そこに収容された被調理物Sの表面温度を赤外線センサ53Aで検出可能にする被調理物温度検出手段53と、調理室14内の温度を検出するサーミスタ15などの庫内温度検出手段54と、熱風モータ29の回転を検出する熱風モータ回転検出手段55と、扉3の開閉状態を検出する扉開閉検出手段56と、マイクロ波発生装置19を構成するアンテナの原点位置を検出するアンテナ位置検出手段57とが、それぞれ電気的に接続される。
【0030】
制御手段51の出力ポートには、前述した表示手段6の他に、マイクロ波発生装置19のマグネトロンやその駆動手段を含むマイクロ波加熱手段61と、グリル加熱用の上ヒータ18やオーブン加熱用の熱風ヒータ27をそれぞれ通断電させるリレーなどのヒータ駆動手段62と、調理室14内にマイクロ波を放射するアンテナを回転駆動させるためのアンテナ駆動手段63と、熱風モータ29を回転駆動させるための熱風モータ駆動手段64と、ミスト供給装置43の給水ポンプ47を動作させるためのポンプ駆動手段65が、それぞれ電気的に接続される。
【0031】
制御手段51は、操作手段7からの操作信号と、被調理物温度検出手段53や、庫内温度検出手段54や、熱風モータ回転検出手段55や、扉開閉検出手段56や、アンテナ位置検出手段57からの各検出信号を受けて、計時手段からの計時に基づく所定のタイミングで、マイクロ波加熱手段61と、ヒータ駆動手段62と、アンテナ駆動手段63と、熱風モータ駆動手段64と、ポンプ駆動手段65に駆動用の制御信号を出力し、また表示手段6に表示用の制御信号を出力する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての前記メモリに記録したプログラムを、制御手段51が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、制御手段51を加熱調理制御部67と、表示報知制御部68として機能させるプログラムを備えている。
【0032】
加熱調理制御部67は、主に被調理物Sの加熱調理に係る各部の動作を制御するもので、操作手段7の操作に伴う操作信号を受け取ると、扉開閉検出手段56からの検出信号により、扉3が閉じていると判断した場合に、その操作信号に応じて、マイクロ波加熱手段61や、ヒータ駆動手段62や、アンテナ駆動手段63や、熱風モータ駆動手段64や、ポンプ駆動手段65に制御信号を送出して、調理室14内の被調理物Sに対する加熱調理を制御する。また、様々な加熱調理を実行するための被調理物Sの材料や加熱条件などを含む調理情報として、予め複数の調理メニューが前記メモリに記憶保持されており、加熱調理制御部67は操作手段7に組み込まれたメニュー選択設定手段7Aが適宜操作されると、その中から選択された一乃至複数の調理メニューを、これから加熱調理を行なう特定の調理メニューとして設定し、その調理メニューに従う所定の手順で被調理物Sを自動的に加熱調理する構成となっている。
【0033】
メニュー選択設定手段7Aは、具体的には表示手段6となるLED表示器の表面上に設けられ、LED表示器に表示される複数のメニューの中から特定のメニューを選択可能にするタッチキーと、当該タッチキーの操作により特定のメニューを選択した状態で押動操作されると、その特定のメニューが加熱調理制御部67により設定記憶され、特定のメニューに従う所定の手順で、被調理物Sの加熱調理を開始させるスタートキーと、により構成される。なお、これはあくまでも一例であり、メニュー選択設定手段7Aをどのような構成にするかは特に限定しない。
【0034】
次に上記構成のオーブンレンジについて、その作用を詳しく説明する。予め調理室14内に被調理物Sを入れた状態で、ハンドル4を手で握りながら扉3を閉め、メニュー選択設定手段7Aなどにより特定の調理メニューを選択操作した後に、被調理物Sの加熱調理開始を指示すると、制御手段51のメモリに組み込まれた制御プログラムに従って、選択した調理メニューに対応して生成された制御信号が、制御手段51の出力ポートから所定のタイミングで出力され、被調理物Sが加熱調理される。
【0035】
ここで、例えばレンジ調理のメニューを選択した場合、加熱調理制御部67は被調理物温度検出手段53からの検出信号を受けて、被調理物Sが設定した温度に加熱されるように、アンテナ位置検出手段57からの検出信号で、アンテナ41の原点位置を確認しながら、マイクロ波加熱手段61とアンテナ駆動手段63に適切な制御信号をそれぞれ送出する。これにより、マイクロ波発生装置19のマグネトロンやアンテナ41が動作して、回転するアンテナ41の表面から発生したマイクロ波が調理室14内に供給され、調理室14内の被調理物Sが高周波加熱される。
【0036】
またグリル調理のメニューを選択した場合、加熱調理制御部67は庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、調理室14内が設定した温度に加熱されるように、ヒータ駆動手段62により上ヒータ18の通断電を制御し、調理室14内の被調理物Sが上方向からグリル加熱される。
【0037】
そしてミスト過熱水蒸気を使った蒸し料理(スチーム調理)のメニューを選択した場合、加熱調理制御部67は庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、調理室14内が設定した温度に加熱されるように、ヒータ駆動手段62により上ヒータ18の通断電を制御する。そして調理室14の庫内温度が設定した温度に達していると加熱調理制御部67が判断すると、ポンプ駆動手段65に制御信号を送出し、ミスト供給装置43に組み込まれた給水ポンプ47の動作を制御して、ミスト噴出孔44から調理室14の内部に水を噴出してミストを供給する。このとき加熱調理制御部67は、調理室14内において設定温度で気化できる量の上限以下の水を1回で噴出するように、給水ポンプ47の動作を制御している。これにより、調理室14内が設定した温度に加熱されているためにミストが瞬時に過熱水蒸気に気化し、このとき気化しなかったミストも調理室14のいずれかの壁14a~14eに接触することで蒸発して過熱水蒸気に気化し、調理室14内の被調理物Sが適度な水分子(過熱水蒸気)ですばやく、ムラなく加熱される。したがって、被調理物Sの水っぽさを低減させて美味しく焼くことができる。また使用する水Wの量を半減できるためにドレンの量を減少させ、ほとんど無くすることができ、水受け9や調理室14のお手入れを容易にすることができる。
【0038】
調理室14の内部にミストを供給すると、調理室14内の庫内温度が減少する。加熱調理制御部67は調理室14の庫内温度が設定した温度に達しているかどうかを庫内温度検出手段54からの検出信号により判断し、達していないと加熱調理制御部67が判断した場合、加熱調理制御部67は調理室14内が設定した温度に加熱されるように、ヒータ駆動手段62により上ヒータ18の通断電を制御する。そして調理室14の庫内温度が設定した温度に達していると加熱調理制御部67が判断した場合は、上述のように調理室14の内部に水を噴出してミストを再度供給する。これにより、ミストを瞬時に過熱水蒸気に気化させて、調理室14内の被調理物Sを適度な水分子(過熱水蒸気)で加熱するため、加熱時の減塩・脱油の機能を有することができる。また被調理物Sを焦がさすに焼くことで、被調理物Sの本来の美味しさを引き出すことができる。
【0039】
ここでオーブン加熱のメニューを選択した場合の作用について、図8および図9に基づいて説明する。図8は、特に熱風ヒータ27の動作に関係する要部の回路構成を示したものである。同図において、71は電源プラグ付きのコード、72は電源プラグ付きコード71から供給される商用電圧から交流電圧を生成して出力する電源回路であり、電源回路72からの交流電圧が次段の熱風ヒータ27に入力電圧として印加される。本実施形態の熱風ヒータ27はメインヒータ27aおよびサブヒータ27bからなり、メインヒータ27aの電力の値がサブヒータ27bの電力の値よりも多くなり、かつ、サブヒータ27bのみをPWM制御するように構成されて、熱風ヒータ27に印加される入力電圧の印加、遮断による電圧フリッカーの発生を抑制するようにしている。なお本実施形態では、メインヒータ27aが1200Wであり、サブヒータ27bが200Wであるが、この値に限定されない。これらのメインヒータ27aの一端およびサブヒータ27bの一端が、電源回路72の一側と並列に接続される。メインヒータ27aの他端およびサブヒータ27bの他端はヒータ駆動手段62の熱風ヒータ駆動手段62aに接続され、この熱風ヒータ駆動手段62aが電源回路72の他側と接続されている。
【0040】
熱風ヒータ駆動手段62aは、リレーからなる第1のスイッチ素子73と、トライアックからなる第2のスイッチ素子74と、この第2のスイッチ素子74の発光側のLED素子に電流を流すためのIGBT素子75および抵抗76と、から構成され、この熱風ヒータ駆動手段62aに、加熱調理制御部67のPWM制御回路67aが接続される。具体的には、第1のスイッチ素子74は、一端がメインヒータ27aと直列に接続され、他端が電源回路72の他側と接続されて、第1のスイッチ素子73のON・OFFにより、メインヒータ27aに入力電圧が印加、遮断される構成となっている。
【0041】
第2のスイッチ素子74は、受光側のフォトトライアック素子の一端がサブヒータ27bと直列に接続され、このフォトトライアック素子の他端が、第1のスイッチ素子74と並列に、電源回路72の他側と接続される。そして第2のスイッチ素子74の発光側のLED素子のカソードが抵抗76の一端に接続され、このLED素子のアノードがIGBT素子75のエミッタと接続されて、当該LED素子に電流が流れてONになると、フォトトライアック素子がON動作をして第2のスイッチ素子74がONになり、サブヒータ27bに入力電圧が印加される構成となっている。
【0042】
IGBT素子75は、コレクタ端子がVcc電圧の端子Vccに接続され、ゲート端子がPWM制御回路67aに接続される。そして、抵抗76の他端がグランド端子Gと接続されており、IGBT素子75のゲート端子にPWM制御回路67Aからの信号が入力すると、コレクタ-エミッタ間に端子Vccからの電流が流れ、この電流が第2のスイッチ素子74の受光側のフォトトライアック素子を通って、抵抗76経由でグランド端子Gに流れる構成となっている。
【0043】
PWM制御手段67aは、庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、庫内温度が設定された温度に維持されるようなPWM制御信号をIGBT素子75に出力して、熱風ヒータ駆動手段62aでサブヒータ27bをPWM制御するものである。また本実施形態のPWM制御手段67aは通電率が50%~100%でPWM制御しており、被調理物Sに応じて通電率を変化させている。例えば被調理物Sがパンの場合は通電率が60%であるが、この値に限定されない。加熱調理制御部67は、庫内温度が設定された温度から所定の温度だけ超過した場合は、第1のスイッチ素子73、第2のスイッチ素子74共にOFFになるように制御する。一方で、庫内温度が設定された温度から所定の温度以内の場合は、第1のスイッチ素子73をONに維持してメインヒータ27aに入力電圧を印加させた状態で、PWM制御手段67aによりサブヒータ27bをPWM制御するように構成しており、入力電圧の印加、遮断による電圧フリッカーの発生を抑制し、調理室14内の庫内温度の変化を減少させている。
【0044】
オーブン加熱のメニューを選択した場合の作用について、図9に基づいて説明する。図9において、Tは本実施形態のオーブンレンジの庫内温度のグラフであり、Tは熱風ヒータ27全体により温度制御する従来のオーブンレンジの庫内温度のグラフである。先ず加熱調理制御部67は庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、調理室14内が設定した温度である200℃に加熱されるように、ヒータ駆動手段62と熱風モータ駆動手段64に各々制御信号を送出し、熱風ヒータ27またはメインヒータ27aおよびサブヒータ27bと、熱風モータ29と、の通断電を制御する(ステップS)。これにより、熱風モータ29に発生した回転力が熱風ファン28に伝達し、熱風ファン28が加熱室31の内部で回転して、その回転速度が熱風モータ回転検出手段55により加熱調理制御部67に取り込まれる。また熱風ファン28の回転により、調理室14から吸込み口16を通して加熱室31に吸込んだ空気を通電した熱風ヒータ27側に送り出し、ここで加熱された空気が吹出し口17を通して調理室14に熱風として供給することで、調理室14内の被調理物Sが熱風コンベクション加熱される。
【0045】
本実施形態のオーブンレンジでは、加熱調理制御部67は、庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて庫内温度Tが第1の閾値Thに達したと判断すると、第1のスイッチ素子73をONに維持した状態で、PWM制御手段67aによりサブヒータ27bをPWM制御するように、ヒータ駆動手段62の熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出する(ステップS)。第1の閾値Thの値は、ステップSでの庫内温度Tの上昇率を考慮し、設定した温度である200℃以下の値に設定されることが好ましい。これにより、メインヒータ27aに入力電圧を印加させつつ、サブヒータ27bがPWM制御されて、調理室14内の庫内温度Tの変化を減少させている。また本実施形態の庫内温度検出手段54としてのサーミスタ15は、分解能を良くしているため、より庫内温度Tを精密に検知することができ、より確実なサブヒータ27bのPWM制御ができる。このとき、例えば左側壁14cまたは右側壁14dの下部中央や底壁14bの被調理物Sの載置位置近辺など、被調理物Sの載置位置の近傍に庫内温度検出手段54としてのサーミスタが設けられている場合は、当該サーミスタから被調理物S近傍の温度の情報をより素早く正確に加熱調理制御部67へフィードバックできるため、より素早く正確にサブヒータ27bをPWM制御することができる。
【0046】
加熱調理制御部67は、庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて庫内温度Tが設定された温度である200℃から所定の温度だけ超過した第2の閾値Thに達したと判断すると、第1のスイッチ素子73および第2のスイッチ素子74をいずれもOFFにするように熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出する(ステップS)。これにより、メインヒータ27aおよびサブヒータ27bがいずれも断電されるため、庫内温度Tが低下する。
【0047】
その後、加熱調理制御部67は、庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて庫内温度Tが200℃を下回ったと判断すると、再度、第1のスイッチ素子73をONに維持した状態で、PWM制御手段67aによりサブヒータ27bをPWM制御するように、ヒータ駆動手段62の熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出する(ステップS)。これにより、庫内温度が設定温度からオーバーシュートする量を抑制することができるため、速やかに設定温度で収束安定させて飽和状態にすることができ、また設定温度での飽和状態における温度変化を抑制することができる。そして加熱調理制御部67は、庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、庫内温度Tが再度第2の閾値Thに達したと判断すると、再度、第1のスイッチ素子73および第2のスイッチ素子74をいずれもOFFにするように熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出する(ステップS)。その後、制御手段51の計時手段としてのタイマの計時が終了してオーブン加熱が終了するまで、加熱調理制御部67は上述したステップS~Sの動作を繰り返す。
【0048】
図9において、本実施形態のオーブンレンジの庫内温度Tと、熱風ヒータ27全体により温度制御する従来のオーブンレンジの庫内温度Tとを比較すると、設定した温度である200℃からのオーバーシュートの量の最大値は従来のオーブンレンジの庫内温度Tが略30℃に対して、本実施形態のオーブンレンジの庫内温度Tが略5℃であり、オーバーシュートする量を抑制していることを確認できた。このため200℃で収束安定させて飽和状態にする時間は、従来のオーブンレンジの庫内温度Tが略15分であるのに対して、本実施形態のオーブンレンジの庫内温度Tが略5分であり、速やかに設定温度で収束安定させて飽和状態にすることを確認できた。また200℃での飽和状態における温度変化Diffは、従来のオーブンレンジの庫内温度Tが23~25℃であるのに対して、本実施形態のオーブンレンジの庫内温度Tが8℃以下であり、設定温度での飽和状態における温度変化を抑制していることが併せて確認でき、本実施形態のオーブンレンジの優位性が確認できた。
【0049】
以上のように、本実施形態のオーブンレンジは、被調理物Sを内部に収容する調理室14と、被調理物Sを熱風コンベクション加熱するオーブン加熱手段としての熱風ユニット24と、調理室14内の温度Tを検出する庫内温度検出手段54と、被調理物Sを設定温度で加熱調理するように熱風ユニット24のヒータ駆動手段62および熱風モータ駆動手段64を制御する加熱調理制御部67と、を備え、熱風ユニット24は、空気を加熱するメインヒータ27aおよびサブヒータ27bと、当該メインヒータ27aおよびサブヒータ27bを通断電させる熱風ヒータ駆動手段62aと、を備え、メインヒータ27aの電力の値がサブヒータ27bの電力の値よりも多くなるように構成され、調理室14内の温度Tが設定温度である200℃以下の第1の閾値Thに達した後、当該200℃から所定の温度だけ超過した第2の閾値Th以内のときは、加熱調理制御部67は、メインヒータ27aへの通電を維持した状態でサブヒータ27bをPWM制御するように、熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出し、調理室14内の温度が第2の閾値Thを超過したときは、加熱調理制御部67は、メインヒータ62aおよびサブヒータ62bをいずれも断電させるように熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出する構成としている。
【0050】
この場合PWM制御される熱風ヒータ27は、電力の値が低いサブヒータ27bのみであるので、熱風ヒータ27に印加される入力電圧の印加、遮断による電圧フリッカーの発生を抑制することができる。また調理室14内の温度Tが200℃からオーバーシュートする量を抑制することができるため、速やかに設定温度で収束安定させて飽和状態にすることができる。そして調理室14内の温度Tで、200℃での飽和状態における温度変化Diffを抑制することができる。
【0051】
また本実施形態の庫内温度検出手段54であるサーミスタが被調理物Sの載置位置の近傍に設けられてもよく、当該サーミスタから被調理物S近傍の温度の情報をより素早く正確に加熱調理制御部67へフィードバックできるため、より素早く正確にサブヒータ27bをPWM制御することができる。
【実施例2】
【0052】
以下、本発明における加熱調理器としてのオーブンレンジの第2の実施形態について、図10および図11を参照しつつ説明する。本実施形態では、第1の実施形態のオーブンレンジの構成に加えて、薪炎のゆらぎデータを記憶したゆらぎデータ記憶部81を備えて構成される。
【0053】
図10は本実施形態における、特に熱風ヒータ27の動作に関係する要部の回路構成を示したものであり、PWM制御手段67aにゆらぎデータ記憶部81が組み込まれている点が、図8で説明した第1の実施形態の回路構成と相違している。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
ゆらぎデータ記憶部81は、薪炎のゆらぎに対応している「ゆらぎデータ」を記憶している。この「ゆらぎデータ」は、時間と共にその信号強度が不規則に変化する「1/fゆらぎ」をデータ化したものである。自然界には人にとって心地良いと感じる音のゆらぎが存在すると言われており、心拍音、川のせせらぎ、炎のゆれ、さざ波、雨音などの、多くのゆらぎが溢れている。これらは何れも一定のようでいて、その中に予測できない不規則なゆらぎがある「1/fゆらぎ」として知られている。石窯で使用される薪の炎も、「1/fゆらぎ」のように不規則にゆれて被調理物を加熱し、人の心を癒すもので、本実施形態のオーブンレンジでは、こうした石窯の振る舞いを実現するためにゆらぎデータを利用して、サブヒータ27bの出力が連続的に変化して不規則にゆらぐような所定の加熱パターンをPWM制御回路67aで設定し、設定した所定の加熱パターンに従って、PWM制御回路67aがサブヒータ27bを制御する構成となっている。したがって、ゆらぎデータ記憶部81に記憶されるゆらぎデータが、PWM制御回路67aに読み込まれ、サブヒータ27bのPMW制御に反映される。
【0055】
なお真の意味でランダムに波形化されたデータは、その信号強度が不規則に変化しない虞があり、また「1/fゆらぎ」のように不規則にゆれない虞がある。そのため本実施形態のゆらぎデータは、通電率や周期などを「1/fゆらぎ」のように不規則にゆらしたデータが予めプログラムされており、このプログラムされたゆらぎデータがゆらぎデータ記憶部81に記憶されている。
【0056】
本実施形態でオーブン加熱のメニューを選択した場合の作用について、図11に基づいて説明する。図11において、Tは本実施形態のオーブンレンジの庫内温度のグラフであり、Tは熱風ヒータ27全体により温度制御する従来のオーブンレンジの庫内温度のグラフである。本実施形態のオーブンレンジの庫内温度を設定した温度である200℃で収束安定させて飽和状態にするまでの作用は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
加熱調理制御部67は、庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、庫内温度Tの温度変化Diffが所定の値である8℃以下になり、200℃で飽和状態になったと判断すると(場所P)、ゆらぎデータ記憶部81に記憶されたゆらぎデータをPWM制御回路67aに送出するように制御信号を送出する。ゆらぎデータを受信したPWM制御回路67aは、当該ゆらぎデータを読み込んで、サブヒータ27bのPWM制御の通電率を50%~100%で不規則に可変させるようにヒータ駆動手段62の熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出する。これにより、PWM制御されたサブヒータ27bの加熱が「1/fゆらぎ」のように不規則に可変し、庫内温度Tをあえて一定にしないことで薪炎のゆらぎを再現させ、被調理物Sに対する加熱に適度なアクセントを加えることができるため、調理の都度、被調理物Sの出来上がりを適度に変化させて、味や食感に新鮮感を付加することができる。
【0058】
加熱調理制御部67は、計時手段としてのタイマからの信号を受けてオーブン加熱が仕上げの時間tに達した(場所P)と判断すると、ゆらぎデータの送出を停止するようにゆらぎデータ記憶部81に制御信号を送出する。これにより、PWM制御回路67aは、第1の実施形態で説明したようなPWM制御を行なうように熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出し、庫内温度Tが200℃からオーバーシュートする量を抑制して、200℃での飽和状態における温度変化を抑制している。したがって庫内温度Tの温度変化Diffを安定的に少なくして、被調理物Sに対する焦げ色のムラを無くすことができる。
【0059】
以上のように本実施形態のオーブンレンジは、加熱調理制御部67が「1/fゆらぎ」をデータ化したゆらぎデータを記憶する第1の記憶手段としてのゆらぎデータ記憶部81を備え、加熱調理制御部67のPWM制御回路67aは、ゆらぎデータ記憶部81からゆらぎデータを読み込んで、サブヒータ27bのPWM制御の通電率を不規則に可変させるように熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出する構成としている。
【0060】
この場合、PWM制御されたサブヒータ27bの加熱が「1/fゆらぎ」のように不規則に可変し、庫内温度Tをあえて一定にしないことで薪炎のゆらぎを再現させて、被調理物Sに対する加熱に適度なアクセントを加えることができるため、調理の都度、被調理物Sの出来上がりを適度に変化させて、味や食感に新鮮感を付加することができる。
【0061】
また本実施形態のオーブンレンジは計時手段としてのタイマをさらに備え、加熱調理としてのオーブン加熱が仕上げの時間tに達したとき(場所P)に、PWM制御回路67aが、ゆらぎデータ記憶部81からのゆらぎデータの読み込みを停止して、サブヒータ27bをPWM制御するように、前記熱風ヒータ駆動手段に制御信号を送出する構成としている。
【0062】
この場合、庫内温度Tが設定温度である200℃からオーバーシュートする量を抑制して、200℃での飽和状態における温度変化Diffを抑制している。したがって庫内温度Tの温度変化Diffを安定的に少なくして、被調理物Sに対する焦げ色のムラを無くすことができる。
【実施例3】
【0063】
以下、本発明における加熱調理器としてのオーブンレンジの第3の実施形態について、図12および図13を参照しつつ説明する。本実施形態では、熱風ファン28の回転数を不規則に可変させることにより、庫内温度Tをあえて一定にしないことで薪炎のゆらぎを再現させて、被調理物Sに対する加熱に適度なアクセントを加えている。
【0064】
図12は本実施形態における、特に熱風ファン28の動作に関係する要部の回路構成を示したものである。同図において、熱風モータ29の一端が、電源回路72の一側と並列に接続され、電源回路72からの交流電圧が次段の熱風モータ29に入力電圧として印加される。熱風モータ29の他端は熱風モータ駆動手段64に接続され、この熱風モータ駆動手段64が電源回路72の他側と接続されている。
【0065】
熱風モータ駆動手段64は、トライアックからなる第3のスイッチ素子84と、この第3のスイッチ素子84の発光側のLED素子に電流を流すためのIGBT素子85および抵抗86と、から構成され、この熱風モータ駆動手段64に、加熱調理制御部67の位相制御回路67bが接続される。第3のスイッチ素子84と、IGBT素子85と、抵抗86と、の接続は上述した熱風ヒータ駆動手段62aのものと同様であるので説明を省略する。
【0066】
位相制御回路67bは、熱風モータ回転検出手段55からの検出信号を受けて、熱風ファン28が所定の回転数で回転するように、熱風モータ29の入力電圧の周期ごとにおけるON時間の割合を変化させるような制御信号をIGBT素子85に出力して、熱風モータ駆動手段64で熱風モータ29を位相制御するものである。第1および第2の実施形態における位相制御回路67bは、熱風コンベクション加熱するときに、熱風ファン28が所定の回転数に維持されるような位相制御信号をIGBT素子85に出力している。
【0067】
本実施形態の位相制御回路67bではゆらぎデータ記憶部81’が組み込まれており、このゆらぎデータ記憶部81’は、上述した薪炎のゆらぎに対応している「ゆらぎデータ」を記憶している。そして、このゆらぎデータが位相制御回路67bに読み込まれ、熱風モータ29の位相制御に反映される。
【0068】
本実施形態でオーブン加熱のメニューを選択した場合の作用について、図13に基づいて説明する。図13において、Tは本実施形態のオーブンレンジの庫内温度のグラフであり、Tは熱風ヒータ27全体により温度制御する従来のオーブンレンジの庫内温度のグラフである。本実施形態のオーブンレンジの庫内温度を設定した温度である200℃で収束安定させて飽和状態にするまでの作用は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
加熱調理制御部67は、庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、庫内温度Tの温度変化Diffが所定の値である8℃以下になり、200℃で飽和状態になったと判断すると(場所P)、ゆらぎデータ記憶部81’に記憶されたゆらぎデータを位相制御回路67bに送出するように制御信号を送出する。ゆらぎデータを受信した位相制御回路67bは、当該ゆらぎデータを読み込んで、熱風ファン28の回転数が所定の範囲、例えば500rpm~2500rpmの間で不規則に可変させるように熱風モータ駆動手段64に制御信号を送出する。このようにすることでも、位相制御された熱風ファン28の回転数が「1/fゆらぎ」のように不規則に可変し、庫内温度Tをあえて一定にしないことで薪炎のゆらぎを再現させて、被調理物Sに対する加熱に適度なアクセントを加えることができるため、調理の都度、被調理物Sの出来上がりを適度に変化させて、味や食感に新鮮感を付加することができる。
【0070】
加熱調理制御部67は、制御手段51の計時手段としてのタイマからの信号を受けてオーブン加熱が仕上げの時間tに達した(場所P)と判断すると、ゆらぎデータの送出を停止するようにゆらぎデータ記憶部81’に制御信号を送出する。これにより位相制御回路67bは、熱風ファン28が所定の回転数に維持されるように熱風モータ駆動手段64に制御信号を送出して、200℃での飽和状態における温度変化Diffを抑制している。したがって第2の実施形態と同様に、庫内温度Tの温度変化Diffを安定的に少なくして、被調理物Sに対する焦げ色のムラを無くすことができる。
【0071】
以上のように本実施形態のオーブン加熱手段としての熱風ユニット24は、調理室14内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファン28と、当該熱風ファン28を所定方向に回転させる熱風モータ29と、当該熱風モータを回転駆動させる熱風モータ駆動手段64と、をさらに備え、加熱調理制御部67が、「1/fゆらぎ」をデータ化したゆらぎデータを記憶する第2の記憶手段としてのゆらぎデータ記憶部81’を備え、加熱調理制御部67の位相制御回路67bは、ゆらぎデータ記憶部81’からゆらぎデータを読み込んで、熱風ファン28の回転数が所定の範囲で不規則に可変させるように熱風モータ駆動手段64に制御信号を送出する構成としている。
【0072】
この場合、位相制御された熱風ファン28の回転数が「1/fゆらぎ」のように不規則に可変し、庫内温度Tをあえて一定にしないことで薪炎のゆらぎを再現させて、被調理物Sに対する加熱に適度なアクセントを加えることができるため、調理の都度、被調理物Sの出来上がりを適度に変化させて、味や食感に新鮮感を付加することができる。
【0073】
また本実施形態のオーブンレンジは計時手段としてのタイマをさらに備え、加熱調理としてのオーブン加熱が仕上げの時間tに達したときに、位相制御回路67bが、ゆらぎデータ記憶部81’からのゆらぎデータの読み込みを停止して、熱風ファン28が所定の回転数に維持されるように熱風モータ駆動手段64に制御信号を送出する構成としている。
【0074】
この場合、庫内温度Tが設定温度である200℃からオーバーシュートする量を抑制して、200℃での飽和状態における温度変化Diffを抑制している。したがって庫内温度Tの温度変化Diffを安定的に少なくして、被調理物Sに対する焦げ色のムラを無くすことができる。
【実施例4】
【0075】
以下、本発明における加熱調理器としてのオーブンレンジの第4の実施形態について、図14を参照しつつ説明する。本実施形態では、第2の実施形態のオーブンレンジの構成でミスト過熱水蒸気を使用してスチーム調理を行なっている。
【0076】
図14において、Tは本実施形態のオーブンレンジの庫内温度のグラフであり、Tは熱風ヒータ27全体により温度制御する従来のオーブンレンジの庫内温度のグラフである。本実施形態のオーブンレンジのメインヒータ27aおよびサブヒータ27bの制御については第2の実施形態のものと同様であるので、説明を省略する。
【0077】
本実施形態でミスト過熱水蒸気を使った蒸し料理(スチーム調理)のメニューを選択した場合、制御手段51の計時手段としてのタイマが計時を開始するとともに、加熱調理制御部67は庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて、第2の実施形態と同様にメインヒータ27aおよびサブヒータ27bを制御する。また加熱調理制御部67は、庫内温度検出手段54からの検出信号を受けて庫内温度Tが設定した温度である200℃に達したと判断すると、ポンプ駆動手段65に制御信号を送出し、ミスト供給装置43に組み込まれた給水ポンプ47の動作を制御して、ミスト噴出孔44から調理室14の内部に水を噴出してミストを供給する。これにより庫内温度Tが不規則に可変する一方で、その温度変化Diffの量は第2の実施形態のオーブンレンジのオーブン加熱の温度変化Diffの量よりも抑制されて均一化され、被調理物Sに対する加熱に適度なアクセントを加えつつ、表面はカリッと焼くことができる。またミストを瞬時に過熱水蒸気に気化させて、調理室14内の被調理物Sを適度な水分子(過熱水蒸気)で加熱するため、加熱時の減塩・脱油の機能を有することができる。
【0078】
このとき加熱調理制御部67では、調理室14の内部に水を噴出してから、再度水を噴出するまでの時間が設定されており、制御手段51のタイマの計時が仕上げの時間tに達するまで、加熱調理制御部67は上述した動作を繰り返す。なお、この再度水を噴出するまでの時間をユーザが設定できるように加熱調理制御部67を構成してもよい。
【0079】
加熱調理制御部67は、計時手段としてのタイマからの信号を受けてスチーム調理のメニューが仕上げの時間tに達した(場所P)と判断すると、ゆらぎデータの送出を停止するようにゆらぎデータ記憶部81に制御信号を送出し、PWM制御回路67aが、第1の実施形態で説明したようなPWM制御を行なうように熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出して、200℃での飽和状態における温度変化Diffを抑制する。併せて、加熱調理制御部67はポンプ駆動手段65への制御信号の送出を停止し、調理室14の内部へのミストの供給を停止させる。これにより、庫内温度Tの温度変化Diffを安定的に少なくして、被調理物Sに対する加熱ムラを無くすことができると共に、調理室14内に水がほとんど残らないためにドレンをほとんど出さず、ドレンレスにすることができる。
【0080】
以上のように本実施形態のオーブンレンジは、調理室14内に液体としての水をミスト状にして噴出するミスト供給手段としてのミスト供給装置43をさらに備え、加熱調理制御部67は、調理室14内の温度Tが設定温度である200℃に達したときに水を噴出するようにミスト供給装置43の給水ポンプ43を制御する構成としている。
【0081】
この場合、ミストを瞬時に過熱水蒸気に気化させて、調理室14内の被調理物Sを適度な水分子(過熱水蒸気)で加熱するため、庫内温度Tが不規則に可変する一方で、その温度変化Diffの量は第2の実施形態のオーブンレンジのオーブン加熱よりも抑制されて均一化され、被調理物Sに対する加熱に適度なアクセントを加えつつ、表面はカリッと焼くことができる。
【0082】
また本実施形態のオーブンレンジは計時手段としてのタイマをさらに備え、加熱調理としてのスチーム調理が仕上げの時間tに達したとき(場所P)に、PWM制御回路67aが、ゆらぎデータ記憶部81からのゆらぎデータの読み込みを停止して、サブヒータ27bをPWM制御するように、熱風ヒータ駆動手段62aに制御信号を送出し、かつ、調理室14の内部へのミストの供給を停止させるように、ポンプ駆動手段65への制御信号の送出を停止する構成としている。
【0083】
この場合、庫内温度Tの温度変化Diffを安定的に少なくして、被調理物Sに対する加熱ムラを無くすことができると共に、調理室14内に水がほとんど残らないためにドレンをほとんど出さず、ドレンレスにすることができる。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、第1~第4の実施形態を組み合わせて実施してもよく、また入力電圧の印加、遮断による電圧フリッカーの発生を抑制できれば、メインヒータ27aの電力の値がサブヒータ27bの電力の値よりも少なくてもよい。さらに、第1~第4の実施形態の各部の構成や形状は、図示したものに限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 オーブンレンジ本体(加熱調理器)
14 調理室
24 熱風ユニット(オーブン加熱手段)
27a メインヒータ
27b サブヒータ
28 熱風ファン
29 熱風モータ
43 ミスト供給装置(ミスト供給手段)
47 給水ポンプ(ミスト供給手段)
54 庫内温度検出手段
62 ヒータ駆動手段(オーブン加熱手段)
62a 熱風ヒータ駆動手段
64 熱風モータ駆動手段(オーブン加熱手段、熱風モータ駆動手段)
67 加熱調理制御部
67a PWM制御回路(加熱調理制御部)
67b 位相制御回路(加熱調理制御部)
81 ゆらぎデータ記憶部(第1の記憶手段)
81’ ゆらぎデータ記憶部(第2の記憶手段)
S 被調理物
Th 第1の閾値
Th 第2の閾値
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