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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】容器装着用液体吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019198989
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070512
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163523(JP,A)
【文献】特開2015-224072(JP,A)
【文献】実開平6-39750(JP,U)
【文献】特開2015-85972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021376(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口頸部への装着用の筒状の装着部材(2)と、
この装着部材(2)の内側から垂下するシリンダ(10)の周壁部(12)の下部内に第1逆止弁(V1)が形成され、かつ前記周壁部(12)の上端部から継手筒(20)を起立させてなるシリンダ部材(8)と、
前記周壁部(12)内に下半部が上方付勢状態で昇降可能に嵌挿されており、かつ吐出ヘッド(48)を有する作動部材(40)と、
前記継手筒(20)に連結されるとともに、前記作動部材(40)を上方付勢力に抗した押し下げた状態で、前記吐出ヘッド(48)を螺着可能に設けたリングキャップ(50)と
を具備し、前記シリンダ(10)に対する前記作動部材(40)の昇降により、前記容器体内の液体を、前記第1逆止弁(V1)を介して前記シリンダ(10)内へ吸い上げるとともに、前記シリンダ(10)内の液体が第2逆止弁(V2)を介して前記吐出ヘッド(48)から吐出されるように構成しており、
前記リングキャップ(50)は、前記継手筒(20)に嵌着された連結筒(54)と、前記吐出ヘッド(48)に螺着可能な螺着筒(60)とを環状壁部(52)を介して連設させてなり、
前記継手筒(20)の外面から、前記リングキャップ(50)側に係止させる回り止め用突部(28)を側外方へ突設した容器装着用液体吐出器において、
前記継手筒(20)の外側に前記連結筒(54)を配置しており、
前記継手筒(20)は、前記連結筒(54)の下部と嵌着させる嵌合筒部(22)から、前記連結筒(54)の上部と係止する係止筒部(26)を上方へ延設してなり、
前記係止筒部(26)の外面に、前記回り止め用突部(28)を、また前記連結筒(54)の上部に前記回り止め用突部(28)とかみ合う係止突起(56)をそれぞれ形成したことを特徴とする、容器装着用液体吐出器。
【請求項2】
前記連結筒(54)の内面に、前記回り止め用突部(28)と係合する縦向きの係止突起(56)を形成し、
かつ前記継手筒(20)の外面全周に亘って前記複数の回り止め用突部(28)を形成し、
隣り合う回り止め用突部(28)同士の間に形成された受溝(30)内に前記係止突起(56)がかみ合うように設けたことを特徴とする、請求項1に記載の容器装着用液体吐出器。
【請求項3】
前記係止筒部(26)を前記嵌合筒部(22)よりも小外径に形成するとともに、
前記嵌合筒部(22)の外面に、第1抜止め突条(24)を、また前記連結筒(54)の下部内面に、前記第1抜止め突条(24)とかみ合う第2抜止め突条(58)をそれぞれ周設し、
かつ前記回り止め用突部(28)の突出長(L)を、当該回り止め用突部(28)が、上方から見た前記嵌合筒部(22)の輪郭を超えないように設計した
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の容器装着用液体吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器装着用液体吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の容器装着用液体吐出器として、容器体の口頸部への装着用の筒状の装着部材と、
この装着部材の内側からシリンダを垂下し、このシリンダの周壁部の上端部から継手筒を起立させてなるシリンダ部材と、
前記周壁部内に下半部を上方付勢状態で昇降可能に嵌挿させた作動部材本体と、
作動部材本体の上部に取り付けられた吐出ヘッドと、
前記継手筒の外面に対して打栓されるとともに、前記作動部材を上方付勢力に抗した押し下げた状態で、前記吐出ヘッドを螺着可能に設けたリングキャップと
を具備するものが知られている(特許文献1)
前記リングキャップは、前記継手筒の内面と向かい合う垂下筒を有し、これら継手筒の内面と垂下筒の外面とに相互にかみ合う回り止め用突部が付設されている。
こうすることにより、前記リングキャップから、前記吐出ヘッドを螺脱させるときに、吐出ヘッドとともにリングキャップが回転することで吐出ヘッドが螺脱できないという不都合を回避している。
また前記リングキャップは、作動部材の下半部の抜止めのため、作動部材と継手筒との間に挿入された差込み筒を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-163523
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、前記継手筒の内面に前記回り止め用突部を付設したから、容器を組み立てる作業において、シリンダ内に挿入しようとした作動部材本体のパーツ(例えば後述のピストンや閉塞筒)に前記回り止め用突部が当たり、傷をつけてしまうおそれがあった。
また前記組立作業では、前記シリンダ内に作動部材本体をセットした後に、リングキャップを継手筒に対して打栓するという手順を取る場合があるが、このとき、前記差込み筒が前記回り止め用突部に接触することにより、リングキャップが斜めに打栓され、作動部材本体を傷付ける可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、組み立て作業の際にパーツに傷がつくリスクを低減した容器装着用液体吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体の口頸部への装着用の筒状の装着部材2と、
この装着部材2の内側から垂下するシリンダ10の周壁部12の下部内に第1逆止弁V1が形成され、かつ前記周壁部12の上端部から継手筒20を起立させてなるシリンダ部材8と、
前記周壁部12内に下半部が上方付勢状態で昇降可能に嵌挿されており、かつ吐出ヘッド48を有する作動部材40と、
前記継手筒20に連結されるとともに、前記作動部材40を上方付勢力に抗した押し下げた状態で、前記吐出ヘッド48を螺着可能に設けたリングキャップ50と
を具備し、前記シリンダ10に対する前記作動部材40の昇降により、前記容器体内の液体を、前記第1逆止弁V1を介して前記シリンダ10内へ吸い上げるとともに、前記シリンダ10内の液体が第2逆止弁V2を介して前記吐出ヘッド48から吐出されるように構成しており、
前記リングキャップ50は、前記継手筒20に嵌着された連結筒54と、前記吐出ヘッド48に螺着可能な螺着筒60とを環状壁部52を介して連設させてなり、
前記継手筒20の外面から、前記リングキャップ50側に係止させる回り止め用突部28を側外方へ突設した容器装着用液体吐出器において、
前記継手筒20の外側に前記連結筒54を配置しており、
前記継手筒20は、前記連結筒54の下部と嵌着させる嵌合筒部22から、前記連結筒54の上部と係止する係止筒部26を上方へ延設してなり、
前記係止筒部26の外面に、前記回り止め用突部28を、また前記連結筒54の上部に前記回り止め用突部28とかみ合う係止突起56をそれぞれ形成した
【0007】
本手段では、図1に示すシリンダ10の周壁部12の上端部から起立させた継手筒20に、リングキャップ50を装着させている。
このリングキャップは、図3に示す継手筒20に嵌着された連結筒54と、作動部材40の吐出ヘッド48に螺着可能な螺着筒60とを環状壁部52を介して連設させている。
そして前記継手筒20の外面に、前記リングキャップ50側に係止させる回り止め用突部28を設けている。
故に、作動部材40の下半部を前記シリンダ10内に挿入するときに、前記回り止め用突部28で前記作動部材40を傷付けることを防止できる。
また本手段では、前記継手筒20の構造として、図3に示すように、前記連結筒54の下部と嵌着させる嵌合筒部22から、前記連結筒54の上部と係止する係止筒部26を上方へ延設している。
この構造によれば、継手筒20が高くなることにより、リングキャップ50の外周面の把持用スペースが広がるので持ち易い。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記連結筒54の内面に、前記回り止め用突部28と係合する縦向きの係止突起56を形成し、
かつ前記継手筒20の外面全周に亘って前記複数の回り止め用突部28を形成し、
隣り合う回り止め用突部28同士の間に形成された受溝30内に前記係止突起56がかみ合うように設けた。
【0009】
本手段では、図3に示すように、前記継手筒20の外側に配置された連結筒54の内面に、縦向きの係止突起56を形成している。
また図2に示すように、前記継手筒20の外面全周に亘って前記複数の回り止め用突部28を形成し、隣り合う回り止め用突部28同士の間に形成された受溝30内に前記係止突起56がかみ合うように設けている。
この構造によれば、前記継手筒20の周方向のどこに前記係止突起56が位置していても、いずれかの受溝30とかみ合わせることができ、継手筒及びキャップリングとの間での位置合わせが不要であるので、継手筒20へのリングキャップ50の装着が容易である。
【0012】
の手段は、第の手段又は第2の手段を有し、かつ前記係止筒部26を前記嵌合筒部22よりも小外径に形成するとともに、
前記嵌合筒部22の外面に、第1抜止め突条24を、また前記連結筒54の下部内面に、前記第1抜止め突条24とかみ合う第2抜止め突条58をそれぞれ周設し、
かつ前記回り止め用突部28の突出長Lを、当該回り止め用突部28が、上方から見た前記嵌合筒部22の輪郭を超えないように設計した。
【0013】
本手段では、図3に示すように、前記係止筒部26を前記嵌合筒部22よりも小外径に形成に形成するとともに、前記嵌合筒部22の外面に、第1抜止め突条24を、また前記連結筒54の下部内面に、前記第1抜止め突条24とかみ合う第2抜止め突条58をそれぞれ周設している。
また図4に示す回り止め用突部28の突出長Lを、当該回り止め用突部28が、上方から見た前記嵌合筒部22の輪郭を超えないように設計している。
この構造によれば、継手筒20の構造を筒径方向に嵩張らないコンパクトな構造とすることができる。
また、前記継手筒20にリングキャップ50を装着する際に、前記連結筒54の下部内面に周設した第2抜止め突条58が回り止め用突部28に当たることを回避できるので、前記継手筒20へのリングキャップ50の装着が容易となる。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段に係る発明によれば、容器体口頸部への装着部材2の内側からシリンダ10を垂下し、このシリンダ10の周壁部12の上端部から起立させた継手筒20に、リングキャップ50を装着させるとともに、継手筒20の外面に、前記リングキャップ50側に係止させる回り止め用突部28を設けたから、作動部材40の下半部を前記シリンダ10内に挿入するときに、前記回り止め用突部28で前記作動部材40を傷付けることを防止できる。
また第1の手段に係る発明によれば、前記継手筒20の構造として、前記連結筒54の下部と嵌着させる嵌合筒部22から、前記連結筒54の上部と係止する係止筒部26を上方へ延設したから、継手筒20が高くなることにより、リングキャップ50の外周面の把持用スペースも広がるので持ち易い。
第2の手段に係る発明によれば、前記継手筒20の外側に配置された連結筒54の内面に、前記回り止め用突部28と係合する縦向きの係止突起56を形成し、かつ前記継手筒20の外面全周に亘って前記複数の回り止め用突部28を形成し、隣り合う回り止め用突部28同士の間に形成された受溝30内に前記係止突起56がかみ合うように設けたから、前記継手筒20の周方向のどこに前記係止突起56が位置していても、いずれかの受溝30とかみ合わせることができ、継手筒20へのリングキャップ50の装着が容易である。
の手段に係る発明によれば、前記係止筒部26を前記嵌合筒部22よりも小外径に形成に形成するとともに、前記回り止め用突部28の突出長Lを、当該回り止め用突部28が、上方から見た前記嵌合筒部22の輪郭を超えないように設計したから、継手筒20の構造を筒径方向に嵩張らないコンパクトな構造とすることができ、前記継手筒20へのリングキャップ50の装着が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る容器装着用液体吐出器の側面図である。
図2図1の容器のII-II方向から見た断面図である。
図3図2のIII-III方向から見た前記容器の要部の断面図である。
図4図3に示す要部のうちでシリンダ側の構造を示す図である。
図5図1の容器の組み立て作業を示す説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る容器装着用液体吐出器の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から図5は、本発明の第1実施形態に係る容器装着用液体吐出器を示している。この容器装着用液体吐出器は、装着部材2と、シリンダ部材8と、作動部材40と、リングキャップ50とで形成されている。
【0017】
装着部材2は、容器体の口頸部に嵌合(図示例では螺合)された装着筒4を有し、この装着筒4の上端から内向きフランジ6を内方突出させている。
【0018】
シリンダ部材8は、シリンダ10と、吸上げパイプ18と、弁部材32とで形成されている。
前記シリンダ10は、縦長の周壁部12を有し、この周壁部の上端に付設された鍔部14を前記内向きフランジ6の下面側に固定して、容器体内に垂設されている。
なお、前記鍔部14の裏側にはパッキンPが取り付けられている。
前記周壁部12の上部には通気孔bが開口されている。
前記周壁部12の上端部からは、継手筒20が起立されている。継手筒20の外面の適所には、第1抜止め突条24が形成されている。この継手筒20に関しては後述する。
前記周壁部12の下端部には、第1弁座15が形成されている。図示例では、周壁部12の下端に連設させて、上面が平坦な環状底壁を形成し、この環状底壁の内周部を第1弁座15としている。
また前記環状底壁からは、パイプ嵌着筒16が垂下されている。
このパイプ嵌着筒16内には、前記吸上げパイプ18の上端部が嵌合されている。吸上げパイプ18は、容器体の底部へ垂下されている。
前記弁部材32は、前記周壁部12の下部内に配置されている。
前記弁部材32は、前記環状底壁の上に載置した複数(図示例では一対)の脚部34を有し、これら脚部34の下部内面より内方突出する複数の弾性支持片35を介して、第1弁板36を支持させている。それら脚部34は、相互に対向する位置に形成される。
この第1弁板36と前記第1弁座15とで第1逆止弁V1が形成している。
また前記脚部34の内側から有頂の台座部38が起立されている。この台座部38は、前記作動部材40を下限位置まで下降させたときに、後述のピストンガイド42の底壁42aを支えるように形成されている。
前記弁部材32の適所には、液体の通路を形成する。図示例では、対向位置に配置した前記脚部同士の間から液体が流れるように設けている。
【0019】
作動部材40は、本実施形態では、ピストンガイド42と、ステム44と、筒状ピストン46と、閉塞筒47と、吐出ヘッド48とで構成されている。もっともこの構造は適宜変更することができる。
【0020】
前記ピストンガイド42は、図示例において、底壁42aの上面から起立壁部42bを上方へ突設するとともに、前記底壁42aの周縁から前記シリンダ10の周壁部12の内面近くまで外向きフランジ状壁42cを延出している。そしてこの外向きフランジ状壁42cの周端から環状の垂直筒部42eを垂下している。この垂直筒部42eと前記周壁部12の内面との間には液体の通路を設ける。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
前記外向きフランジ状壁42cと前述の脚部34の上端との間には、作動部材40を上方に付勢するスプリングSが介装されている。
前記起立壁部42bは、図示例において、図2に示す如く、円筒壁を三つの部分に分割するとともに、それら各部分を上方で見て略Y字形の補強壁で連結した形状としている。
なお、前記起立壁42bの内部は、後述の第2逆止弁V2と連通している。
これらの形状は、適宜変更することができる。
前記外向きフランジ状壁42cの上面は第2弁座42dに形成する。この第2弁座42dと後述の筒状ピストン46の内筒部46aの下端部とで第2逆止弁V2を形成している。
【0021】
前記ステム44は、縦長の主筒部44aの下端から拡径部44bを介して拡径筒部44cを垂設させてなる。図示例では、前記主筒部44aの内面下端寄りに当接リブ44dを付設している。
そしてこの当接リブ44dに突き当たるまで、前記主筒部44aの下部内に前記起立壁部42bを嵌挿させる。
【0022】
前記筒状ピストン46は、前記起立壁部42bを囲む内筒部46aと、前記シリンダ10の周壁部12の内面へ摺接させる外筒部46bとを有する。これら両筒部は環状連結部46cで連結されている。
そして前記内筒部46aの上部外面は、前記ステム44の拡径筒部44cの内面に摺動可能にかつ液密に嵌合させている。
【0023】
前記閉塞筒47は、前記ステム44を囲む外ステムであり、直筒状の基筒部47aの下端から、前記周壁部12に摺接する摺動部47bを突設してなる。
前記閉塞筒47は、前記ステム44及び後述のリングキャップ50の間の隙間から、シリンダ10の内面まで挿入されている。
この閉塞筒47の役割は、吐出ヘッド48が前記リングキャップ50側へ螺着可能な状態で前記摺動部47bにより前記通気孔bを塞ぐことである。
すなわち、前記吐出ヘッド48をリングキャップ50との螺着位置まで押し下げると、後述の吐出ヘッド48の下向き段部aが基筒部47aの上端部に突き当たって閉塞筒47を下降させ、これにより、前記通気孔bが閉塞される。
【0024】
前記吐出ヘッド48は、ヘッド頂壁48aの裏面中央部付近から取付筒部48b及び取付筒部を囲むネジ付き周壁48cを、それぞれ垂下している。
また前記ヘッド頂壁48aの周端部からは、ヘッド周壁48dを垂下している。
そして取付筒部48bの上部からネジ付き周壁48c及びヘッド周壁48dを貫通して、ノズル48eを側外方へ突設している。
前記取付筒部48bは、前記ステム44の主筒部44aの上端内に嵌着されている。図示例では、取付筒部48bの外面上部に下向き段部aを形成し、この下向き段部aに前記主筒部44aの先端部を突き当てている。
前記ネジ付き周壁48cの内面には雌ネジが形成されている。
【0025】
リングキャップ50は、前記継手筒20に嵌合させた連結筒54と、前記ネジ付き周壁48cに螺合可能な螺着筒60と有する。これら両筒部は、水平な環状壁部52で連結されている。
図示例では、前記連結筒54の上端から内方突出された環状壁部52を介して前記螺着筒60を起立している。
また前記螺着筒60の下端から、前記摺動部47bの上方抜け出しを防止する差込み筒62を前記継手筒20の内側へ垂設している。
前記連結筒54の内面には、継手筒20に対してリングキャップ50を打栓することにより、前記第1抜止め突条24の下面とかみ合う第2抜止め突条58が形成されている。
前記差込み筒62は、前記継手筒20及び閉塞筒47の間に挿入されている。
また図示例では、前記環状壁部52を側外方へ延設し、この環状壁部52の外周端から把持筒64を垂設している。
前記継手筒20とリングキャップ50との間には回り止め手段が設けられている。これについては後述する。
【0026】
前記構成において、本発明の容器装着用液体吐出器を使用するときには、図1の状態から、吐出ヘッド48を押し下げる。そうすると、第1逆止弁V1が閉じるとともに第2逆止弁V2が開く。そして、シリンダ10内の液体が第2逆止弁V2及びステム44の内部を通って吐出ヘッド48のノズル48eから吐出される。
前記吐出ヘッド48の押下げを解放すると、スプリングSの弾性復元力により、前記作動部材40が上昇し、シリンダ10の内部が負圧化する。これにより、第2逆止弁V2が閉じるとともに第1逆止弁V1が開き、容器体内の液体をシリンダ10内へ吸い上げる。
【0027】
前記容器装着用液体吐出器を組み立てる手順の一例を説明すると、シリンダ10内に、弁部材32、装着部材2、スプリングS、ピストンガイド42、筒状ピストン46、ステム44、閉塞筒47を組み付けて、セットする。
その後、シリンダ10の継手筒20に前記リングキャップ50を打栓する。
この打栓工程により、図4に想像線で示す第2抜止め突条58が第1抜止め突条24を乗り越え、この第1抜止め突条の下面に食い込む。
これにより、シリンダ10に対してリングキャップ50を組み付ける。
次にリングキャップ50に対して吐出ヘッド48を螺着させることで液体吐出器の組み立てが完了する。
なお、予め吐出ヘッド48にリングキャップ50を連結しておき、このリングキャップ50を、前記継手筒20に組み付けてもよい。
【0028】
本発明の液体吐出器をはじめて使用するときには、例えば装着部材2を把持するとともに、図1に想像線で示す吐出ヘッド48のヘッド周壁48dを開方向へ回転させればよい。
そうすると、シリンダ10の鍔部14が前記装着部材2の内向きフランジ6と容器体の口頸部との間に挟持されているので、シリンダ10は装着部材2に対して回転しない。
そしてシリンダ10の継手筒20とリングキャップ50とも回り止めされているので、リングキャップ50から吐出ヘッド48を螺脱させることができる。
【0029】
本発明においては、前記シリンダ10の継手筒20の外面に、回り止め用突部28を設け、この回り止め用突部28を前記リングキャップ50の対応箇所(図示例では前記連結筒54の内面)に係止させることで、前記シリンダ10と前記リングキャップ50との回り止めを実現している。
この構造では、前記容器装着用液体吐出器の組立作業において、筒状ピストン46や閉塞筒47が前記継手筒20の内面に当たったとしても、この内面には回り止め用突部28が存在しない。
従って従来技術のように回り止め突部との接触により、筒状ピストン46や閉塞筒47が傷つくことがない。
また前記継手筒20に前記リングキャップ50を打栓する際にも、従来技術のように、リングキャップの差込み筒が継手筒20の内面の回り止め突部との接触により、リングキャップが斜めに打栓されてしまい、筒状ピストンや閉塞筒を傷つけるという不具合を生じない。
【0030】
本実施形態の継手筒20は、前記シリンダ10の上端から、連結筒54の下部と嵌着させた嵌合筒部22を起立するとともに、この嵌合筒部22の上端から、連結筒54の上部に対して回り止めさせた係止筒部26を上方へ延設している。
前記嵌合筒部22の外面には前記第1抜止め突条24が、また前記連結筒54の下部の内面には前記第2抜止め突条58がそれぞれ周設されている。
もっともこの構造は適宜変更することができ、例えば2つの突条の一方を、周方向の一部に設けた凸部としてもよい。
なお、前記第2抜止め突条58の連結筒からの突出長は、リングキャップを金型で一体成形した場合に、リングキャップの内側の金型の無理抜きが可能な程度に設計するとよい。
前記第1抜止め突条24に関しても、同様である。
前記係止筒部26の外面には、図3に示す如く、回り止め用突部28が、また前記連結筒54の上部内面には、回り止め用突部28とかみ合う縦向きの係止突起56がそれぞれ形成されている。
この構造によれば、継手筒20として、嵌合筒部22の上端から係止筒部26を上方へ延設したから、継手筒20の筒長が長くなり、それに応じて前記把持筒64の長さも大きくすることができるので、把持用のスペースが広がり、使い勝手がよい。
【0031】
さらに好適な図示例では、図3に示すように、前記係止筒部26を前記嵌合筒部22より小外径に形成している。
そして図4中に示す、前記係止筒部26からの回り止め用突部28の突出長Lは、当該回り止め用突部28が、上方から見た嵌合筒部22の輪郭を超えて外側に出ないように設計されている(図2参照)。
こうすることで、前記リングキャップ50を真上から前記継手筒20へ打栓したときに、前記第2抜止め突条58が回り止め用突部28に当たることを防止している。
また前記係止筒部26を前記嵌合筒部22より小外径に形成したことにより、継手筒20の構造を筒径方向に嵩張らないコンパクトな構造とすることができる。
【0032】
本実施形態の回り止め用突部28は、縦リブに形成されている。しかしながら、回り止めの機能を果たす限り、どのような構造でも構わない。
また図示例では、前記係止筒部26の全周に亘り、複数の回り止め用突部28を等間隔で平目ローレット形状に設ける。そして図2に示す如く、隣り合う回り止め用突部28同士の間に前記係止突起56とかみ合う受溝30を形成している。
他方、前記係止突起56は、前記連結筒54の全周に離散的(間欠的)に配置されており、周方向のところどころで、前記受溝30と係合するように設けている。
この構造によれば、連結筒54の周方向の位置を前記係止筒部26に対して特に位置合わせしなくても、各係止突起56はいずれかの受溝30とかみ合うので使い勝手がよい。
特に前記継手筒20に対してリングキャップ50を機械的に打設するときには、位置合わせの機構を打設機械に採用する必要がないので有利である。
なお、前記構造は適宜変更することができ、例えば複数の係止突起を連結筒54の全周に亘って等間隔でローレット状に設け、他方、回り止め用突部28を離散的に配置しても構わない。
【0033】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。これらの説明において、第1実施形態と同じ構造については、解説を省略する。
【0034】
図6は、本発明の第2実施形態に係る容器装着用液体吐出器を示している。
本実施形態では、まずリングキャップ50の構造が異なり、前記連結筒54の上端から環状壁部52を介して連結筒54より大径の螺着筒60を下外方へ垂下している。
またこの螺着筒60の下端から外向きフランジ66を介して拡開筒部68を垂下している。この拡開筒部68は、前記ヘッド周壁48dと略同径に形成されている。もっとも拡径筒部68は、省略してもよい。
また前記リングキャップ50は、前記環状壁部52を内方へ延設して、延長部分の裏面から、差込み筒62を前記継手筒20と作動部材40との間に垂下している。
また本実施形態では、作動部材40は、前記ピストンガイドと筒状ピストンと閉塞筒とを省略して、代わりに、ステム44の主筒部44aの下端に前記シリンダ10の周壁部12の内面に周設するピストン部44eを形成している。
もっともこの構造は適宜変更することができる。例えば閉塞筒は省略せず、筒状ピストンのみを、主筒部44aの下端部に付設したピストン部44eに置き換えてもよい。
前記主筒部44aの下部には、上向き段部cが形成されている。
さらに作動部材40は、図示した構造以外にも適宜変更することができるものとし、少なくともピストン部(又は筒状ピストン)に相当する部位を有し、ポンプ機能を実現できれば、どのような構造でもよい。
また図示例の差込み筒62は、小径筒部62a及び大径筒部62bからなる2重筒に形成されている。
大径筒部62bは継手筒20の内面に、また小径筒部62aは、前記主筒部44aの外面にそれぞれ接している。
そして前記小径筒部62aの下端は前記上向き段部cに当接されている。
【符号の説明】
【0035】
2…装着部材 4…装着筒 6…内向きフランジ
8…シリンダ部材 10…シリンダ 12…周壁部 14…鍔部 15…第1弁座
16…パイプ嵌着筒 18…吸上げパイプ
20…継手筒 22…嵌合筒部 24…第1抜止め突条 26…係止筒部
28…回り止め用突部 30…受溝
32…弁部材 34…脚部 35…弾性支持片 36…第1弁板 38…台座部
40…作動部材 42…ピストンガイド 42a…底壁 42b…起立壁部
42c…外向きフランジ状壁 42d…第2弁座 42e…垂直筒部
44…ステム 44a…主筒部 44b…拡径部 44c…拡径筒部
44d…当接リブ 44e…ピストン部
46…筒状ピストン 46a…内筒部 46b…外筒部 46c…環状連結部
47…閉塞筒 47a…基筒部 47b…摺動部
48…吐出ヘッド 48a…ヘッド頂壁 48b…取付筒部 48c…ネジ付き周壁
48d…ヘッド周壁 48e…ノズル
50…リングキャップ 52…環状壁部 54…連結筒 56…係止突起
58…第2抜止め突条 60…螺着筒 62…差込み筒 62a…小径筒部
62b…大径筒部 64…把持筒 66…外向きフランジ 68…拡開筒部
a…下向き段部 b…通気孔 c…上向き段部 P…パッキン S…スプリング
V1…第1逆止弁 V2…第2逆止弁

図1
図2
図3
図4
図5
図6