(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】酸化アルミニウムおよび二酸化チタンで被覆されたリチウム混合酸化物粒子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 51/00 20060101AFI20230530BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230530BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20230530BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230530BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20230530BHJP
【FI】
C01G51/00 A
H01M4/36 C
H01M4/485
H01M4/505
H01M4/525
(21)【出願番号】P 2019544665
(86)(22)【出願日】2018-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2018053580
(87)【国際公開番号】W WO2018149834
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-12-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-19
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エスケン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ホフマン
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】河本 充雄
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-016302(JP,A)
【文献】特開平5-286708(JP,A)
【文献】国際公開第2007/135984(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G45/00
C01G51/00
C01G53/00
H01M 4/00
JSTPlus/JST7580/
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆されたリチウム混合酸化物粒子の製造方法において、リチウム混合酸化物粒子と、それぞれが、凝集した一次粒子の形態で存在する酸化アルミニウムおよび二酸化チタンを含む混合物とを、使用されるリチウム混合酸化物粒子および混合物の合計1kgあたり0.1~1kWの比出力を有する混合ユニットを用いて、剪断条件下で乾式混合
し、前記酸化アルミニウムと前記二酸化チタンとの質量比は、30:70~70:30であり、ここで、(酸化アルミニウム+二酸化チタン)の割合は、リチウム混合酸化物粒子および(酸化アルミニウム+二酸化チタン)の合計に対して、0.1~2質量%であることを特徴とする、被覆されたリチウム混合酸化物粒子の製造方法。
【請求項2】
前記混合ユニットの出力は、0.1~1000kWであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記使用される混合ユニットの容積は、1L~2.5m
3であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
混合速度は、10~30ms
-1であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
混合の持続時間は、0.1~120分であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
少なくとも115m
2/gのBET表面積を有する酸化アルミニウム粒子を使用することを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記酸化アルミニウム粒子を、γ‐、θ‐、δ‐酸化アルミニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択することを特徴とする、請求項1から
6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
少なくとも40m
2/gのBET表面積を有する二酸化チタン粒子を使用することを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記使用される酸化アルミニウム粒子の前記BET表面積は、前記使用される二酸化チタン粒子の前記BET表面積よりも大きいことを特徴とする、請求項
8記載の方法。
【請求項10】
前記リチウム混合酸化物粒子を、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、およびその混合物からなる群から選択することを特徴とする、請求項1から
9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
酸化アルミニウムと二酸化チタンとの混合物をシェル材料として含む被覆されたリチウム混合酸化物粒子において、前記酸化アルミニウムおよび前記二酸化チタンは、凝集した一次粒子の形態で存在し、
前記酸化アルミニウムと前記二酸化チタンとの質量比は、30:70~70:30であり、ここで、(酸化アルミニウム+二酸化チタン)の割合は、リチウム混合酸化物粒子および(酸化アルミニウム+二酸化チタン)の合計に対して、0.1~2質量%であることを特徴とする、被覆されたリチウム混合酸化物粒子。
【請求項12】
請求項
11記載の前記被覆されたリチウム混合酸化物粒子を含有する、バッテリーセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化アルミニウムおよび二酸化チタンで被覆されたリチウム混合酸化物粒子の製造方法に関する。さらに、本発明は、酸化アルミニウムおよび二酸化チタンで被覆された、特定のリチウム混合酸化物粒子に関する。
【0002】
リチウム混合酸化物粒子を金属酸化物でコーティングすることによって、電解質と電極材料との望ましくない反応を抑制できることは公知である。
【0003】
国際公開第2012022624号(WO2012022624)には、(NixMnyCoz)a(Al2O3)b(ここで、0.3≦x≦0.9、0≦y≦0.45、0<z≦0.4、x+y+z=1およびa+2b=1、b≦0.4)の製造方法であって、前駆体化合物[NixMnyCoz]OOHを、剪断条件下で、酸化アルミニウム、例えば熱分解法による酸化アルミニウムと乾式接触させる方法が開示されている。これによって、酸化アルミニウムから構成される固体シェルが形成される。引き続く温度処理によって、生成物が得られる。
【0004】
国際公開第00/70694号(WO00/70694)から、Zr、Al、Zn、Y、Ce、Sn、Ca、Si、Sr、MgおよびTiの酸化物または混合酸化物でコーティングされたリチウム混合酸化物粒子が公知である。これらは、コーティングされていない粒子を有機溶媒に懸濁させ、この懸濁液を、加水分解性金属化合物の溶液および加水分解溶液と混合し、その後、コーティングされた粒子をろ過、乾燥、か焼することによって得られる。
【0005】
米国特許出願公開第2004091779号明細書(US2004091779)の開示も同様である。ここでは、組成Li1+xNiαMnβCoγM’δO2-zXz(ここで、M’=Mg、Zn、Al、Ga、B、Zr、Ti;X=F、S、Cl、l;、0<x<0.333、0.2≦α≦0.6、0.2≦β≦0.667、0≦γ≦0.333、δ≦0≦0.2、および0<z<0.5)のカソード材料を、Al、Bi、Ga、Ge、In、Mg、Pb、Si、Sn、Ti、Tl、Zn、Zrの1つ以上の酸化物でコーティングする。
【0006】
国際公開第2011/031544号(WO2011/031544)の開示も同様である。ここでは、カソード材料Li1+xM1-xO2-zFz(ここで、MはLiを除く金属であり、0.01<x<0.3、0<z<0.2)を、Al2O3、Bi2O3、B2O3、ZrO2、MgO、Cr2O3、MgAl2O4、Ga2O3、SiO2、SnO2、CaO2、SrO、BaO、TiO2、Fe2O3、MoO3、MoO2、CeO2、La2O3、ZnOの1つ以上の金属酸化物でコーティングする。
【0007】
国際公開第2014/142803号(WO2014/142803)には、無機基材上に酸化コーティングを堆積させる方法であって、テトラアルキルアンモニウムポリオキソアニオンおよび水酸化リチウムを含有する水性組成物を無機基材の表面に堆積させ、リチウムポリオキソアニオンが酸化物に変換されるまで熱処理することを含む方法が、特許請求の範囲に記載されている。該テトラアルキルアンモニウムポリオキソアニオンは、一般式AxOy
z-(ここで、Aは遷移金属またはAl、Si、B、Ga、Ge、As、Sn、Sb、Tl、PbおよびBiから選択される金属もしくはメタロイド、またはそれらの組合せであり、Oは酸素原子であり、x、yおよびzの値は、ポリオキソアニオン中のAの価数に依存し、かつy>xである)のものを含む。
【0008】
米国特許出願公開第2015340689号明細書(US2015340689)から、リチウムの挿入および脱離が可能であり、かつナノスケールの酸化ジルコニウムから構成されるコーティングおよびMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrの酸化物またはそれらの混合物から構成されるさらなるコーティングを備えた材料から構成されるコアを有するカソード活物質が公知である。
【0009】
国際公開第2005011044号(WO2005011044)には、リチウム混合酸化物を電気的に不活性なナノスケール金属酸化物と乾式混合することによって得られるカソード材料であって、該金属酸化物は、Al2O3、SiO2、MgO、TiO2、SnO2、B2O3、Fe2O3、ZrO2およびそれらの混合物からなる群から選択されるカソード材料が開示されている。
【0010】
リチウムイオン電池のカソード材料を金属酸化物で、また金属酸化物の混合物でコーティングすることは公知である。コーティングによって、電解質とカソード材料との望ましくない反応を低減することができる。それにもかかわらず、これらのコーティングを改善するという課題が依然として存在する。
【0011】
本発明では、酸化アルミニウムと二酸化チタンとの特定の混合物をコーティング材料として使用する方法を特許請求の範囲に記載している。挙げられた従来技術は、酸化アルミニウムおよび二酸化チタンから構成される混合物を含むが、特定の混合物を使用する方法についての根拠は記載されていない。
【0012】
本発明の対象は、被覆されたリチウム混合酸化物粒子の製造方法において、リチウム混合酸化物粒子と、酸化アルミニウムおよび二酸化チタンを含む混合物とを、使用されるリチウム混合酸化物粒子および混合物の合計1kgあたり0.1~1、好ましくは0.2~0.8kWの比出力を有する混合ユニットを用いて、剪断条件下で乾式混合する方法である。
【0013】
乾式混合とは、液体を使用しないことを意味する。しかしながら、使用物質に水分が付着しているか、または使用物質が結晶水を含む場合がある。
【0014】
比出力が、使用されるリチウム混合酸化物粒子および混合物の合計1kgあたり0.1kW未満の場合、不均一なコーティングが生じ、このようなコーティングは核としっかりとは結合しない。
【0015】
使用されるリチウム混合酸化物粒子および混合物の合計1kgあたり1kWを超える比出力は、より劣悪な電気化学的特性を招く。さらに、コーティングがもろく、壊れやすくなる危険性がある。
【0016】
混合ユニットの出力は、広範囲にわたって変えることができる。例えば、0.1~5kWの出力を有する実験室規模の混合ユニット、または10~1000kWの出力を有する生産規模の混合ユニットを使用することができる。
【0017】
同様に、混合ユニットの容積を、広範囲にわたって変えることができる。例えば、1~10 lの容積を有する実験室規模の混合ユニット、または0.1~2.5m3の容積を有する生産規模の混合ユニットを使用することができる。
【0018】
本発明による方法の場合、高速混合器具を備えた強力ミキサーの形態の強制ミキサーを使用することが好ましい。10~30ms-1、特に好ましくは15~25ms-1の混合器具の速度が、最良の結果をもたらすことが判明した。市販の混合ユニットは、例えば、ヘンシェルミキサーまたはアイリッヒミキサーとして公知である。
【0019】
混合の持続時間は、好ましくは0.1~120分、特に好ましくは0.2~60分、極めて特に好ましくは0.5~10分である。
【0020】
混合に引き続き、さらに温度処理を続けることができる。従来技術において、そのような処理は、シェルをしっかりとリチウム混合酸化物粒子に結合させるために設けられている。この処理は通常、本発明による方法の場合には必要ではない。それというのも、酸化アルミニウムと二酸化チタンとの混合物が、リチウム混合酸化物粒子に十分にしっかりと付着するからである。したがって、本発明による方法の好ましい一実施形態では、混合後に温度処理が予定されない。
【0021】
本発明の範囲内で、混合物とは、二酸化チタン粒子の他に酸化アルミニウム粒子が存在する物理的混合物と理解されるべきである。同様に、混合物は、混合酸化物であってよく、該混合酸化物において、混合酸化物成分が原子レベルで混合されていても、またTi-O-Al結合を有してもよい。物理的混合物が、シェルの安定性に関してより良い結果を示すことが判明した。
【0022】
酸化アルミニウムと二酸化チタンとの質量比は、好ましくは10:90~90:10、特に好ましくは30:70~70:30に選択される。
【0023】
酸化アルミニウム粒子が、50m2/g、特に好ましくは、少なくとも100m2/g、極めて特に好ましくは、100~150m2/gを超えるBET表面積を有する場合、リチウム混合酸化物粒子への付着に関して最良の結果が得られることが判明した。
【0024】
本発明による方法で使用される酸化アルミニウム粒子は、好ましくは、γ‐、θ‐、δ‐酸化アルミニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択されるものである。これらの酸化アルミニウム相は、リチウム混合酸化物粒子への良好な付着をもたらす。それとは逆に、α-酸化アルミニウム粒子は、より劣悪な結果をもたらす。酸化アルミニウム相は、混合物として存在する間、粒子内で相互にしっかりと成長した相として存在し得る。
【0025】
本発明による方法の場合、混合物は、酸化アルミニウム粒子の他に二酸化チタン粒子も含む。使用される二酸化チタン粒子のBET表面積は、好ましくは、少なくとも40m2/g、特に好ましくは、40~100m2/gである。
使用される酸化アルミニウム粒子のBET表面積は、使用される二酸化チタン粒子のBET表面積よりも大きいことが好ましい。
【0026】
本発明による方法の特別な一実施形態では、酸化アルミニウム粒子または二酸化チタン粒子の粒子タイプの少なくとも1つが凝集した一次粒子の形態で存在することが予定される。酸化アルミニウム粒子および二酸化チタン粒子の両方が、凝集した一次粒子の形態で存在し、使用されることが特に好ましい。
【0027】
これらの凝集した一次粒子を、とりわけ熱分解法によって得ることができる。ここで、熱分解法によるとは、燃料ガス、好ましくは水素および酸素の反応によって生成される火炎内でのアルミニウムまたはチタンの化合物の加水分解と理解するべきである。この場合、先ず高度に分散された非多孔性の一次粒子が形成され、これらはさらなる反応過程において合着しアグリゲートとなり、かつこれらはさらに集まってアグロメレートとなる。アグリゲートは互いにしっかりと合着するのに対して、アグロメレートは、剪断条件下で、完全にまたは部分的にアグリゲートへと分解される可能性がある。
【0028】
一次粒子の直径は、BET表面積から見積もることができ、熱分解法による粒子の場合は、約10~25nmである。アグリゲートの直径は、約50~1000nm、アグロメレートの直径は、1~2μmである。
【0029】
粒子の表面は、ヒドロキシ基を有する。そのように製造された粒子は、少なくとも99.5質量%、通常は少なくとも99.8質量%の純度を有する。凝集粒子の形態の市販の熱分解法による粉末には、例えば、AEROXIDE(登録商標)Alu65、AEROXIDE(登録商標)AluC、AEROXIDE(登録商標)Alu130、AEROXIDE(登録商標)TiO2P25およびAEROXIDE(登録商標)P90(いずれもEvonik Resource Efficiency GmbH)がある。
【0030】
本発明による方法において好ましく使用されるリチウム混合酸化物は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物またはその混合物からなる群から選択される。
【0031】
(酸化アルミニウム+二酸化チタン)の割合は、それぞれリチウム混合酸化物粒子および(酸化アルミニウム+二酸化チタン)の合計に対して、好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.1~2質量%である。この割合が0.05質量%未満であると、リチウム混合酸化物粒子の完全な被覆は保証されない。5質量%を超えると、付加的な効果は観察されない。
【0032】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法により得ることができる被覆されたリチウム混合酸化物粒子である。
【0033】
さらなる対象として、本発明は、酸化アルミニウムおよび二酸化チタンの混合物をシェル材料として含む被覆されたリチウム混合酸化物粒子を提案し、ここで、酸化アルミニウムおよび二酸化チタンは、凝集した一次粒子の形態で存在し、酸化アルミニウムと二酸化チタンとの質量比は、10:90~90:10、好ましくは、30:70~70:30である。
【0034】
被覆されたリチウム混合酸化物粒子は、好ましくは、2~20μmの直径、かつ被覆は、50~500nmの厚さを有する。
【0035】
最後に、被覆されたリチウム混合酸化物粒子を含有するバッテリーセルは、本発明の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】サイクル数に関連付けた、セル容量への被覆の影響を示すグラフ。
【0037】
例
使用物質
AEROXIDE(登録商標)Alu130、BET表面積130±20m2/g;Al2O3含有量≧99.8質量%。
AEROXIDE(登録商標)TiO2P25、BET表面積50±15m2/g;TiO2含有量≧99.5質量%、両方ともEvonik Resource Efficiency GmbH。
リチウムコバルト酸化物粉末、LCO LC412;平均直径d50=11±2μm(レーザー回折による)、BET表面積<0.5m2/g;Gelon。
【0038】
例:
5gのAEROXIDE(登録商標)Alu130および5gのAEROXIDE(登録商標)TiO2P25を、低エネルギー入力で混ぜ合わせる。この混合物に、990gのLCO LC412を加え、引き続き、強力実験ミキサーにおいて、0.25KWの出力で1分間にわたって混合する。
比出力=0.25kW/kg;比エネルギー=0.042kWh/kg=15KJ/kg。
割合(酸化アルミニウム+二酸化チタン)=1質量%。
速度混合器具速度22ms-1。
100~200nmの層厚さを有する被覆されたLCO粉末が得られる。
【0039】
図1は、サイクル数に関連付けた、セル容量への被覆の影響を示している。ここで、
(A)本発明による方法により、AEROXIDE(登録商標)Alu130およびAEROXIDE(登録商標)TiO
2P25の50:50の混合物で被覆されたLCO粉末と、
(B)AEROXIDE(登録商標)Alu130でのみ被覆されたLCO粉末と、
(C)被覆されていないLCO粉末と
を比較する。
x軸=サイクル数;y軸=正規化されたセル容量(%);
充電遮断電圧=4.4V;温度=45℃。
(A)は、サイクル範囲全体にわたって高いセル容量を示している。
【0040】
セルのサイクル運転の際に、セルの内部抵抗およびその温度を高める可能性のある分解生成物が生じることが公知である。したがって、DCIR値が非常に低く、数百サイクルにわたって比較的安定していることが望ましい。コーティングされていないLCO、およびAl2O3でコーティングされたLCOの場合には、次第に電流を通しにくくなる層が、カソード活物質の周りで成長し、このことが、より高いDCIRの形で現れる。
【0041】
表は、本発明により被覆されたリチウム混合酸化物粒子の場合、この効果が明らかにあまり顕著でないことを示す。
表:コーティングあり/なしの電気化学セルの単位の内部抵抗(DCIR
*)(Ω・cm
2)
【表1】
* 直流内部抵抗(direct current internal resistance);パウチフルセル試験;電圧範囲:3.0~4.4V;温度:45℃;0.02C/0.3Cでの形成;1C/1Cでのサイクル運転;電極サイズ:25cm
2。