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特許7287955シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの組成物及び使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/52 20060101AFI20230530BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230530BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230530BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230530BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230530BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230530BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230530BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230530BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230530BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230530BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
A61K31/52
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/38
A61P35/00
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020519276
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018054151
(87)【国際公開番号】W WO2019070845
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】62/568,107
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】スコット ボーン
(72)【発明者】
【氏名】トレーシー リー ガエベレ
(72)【発明者】
【氏名】ユ プ
(72)【発明者】
【氏名】リアンフェング フアング
【審査官】篭島 福太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09512124(US,B1)
【文献】特表2016-526558(JP,A)
【文献】特表2012-524032(JP,A)
【文献】特表2016-518408(JP,A)
【文献】特表2008-526989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/52
A61K 9/20
A61K 9/48
A61K 47/04
A61K 47/12
A61K 47/20
A61K 47/22
A61K 47/26
A61K 47/32
A61K 47/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30~40重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、50~60重量%の賦形剤、及び5~15重量%のトコフェルソランを含む、カプセル。
【請求項2】
前記賦形剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記カプセルが、約37重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、約53重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び約10重量%のトコフェルソランを含む、請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
60~70重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、20~30重量%の賦形剤、及び5~15重量%のトコフェルソランを含む、カプセル。
【請求項5】
前記賦形剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレートポリマー、又はビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーである、請求項4に記載のカプセル。
【請求項6】
前記カプセルが、約65重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、約25重量%の賦形剤、及び約10重量%のトコフェルソランを含む、請求項4又は5に記載のカプセル。
【請求項7】
45~55重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、35~45重量%の賦形剤、及び5~15重量%のトコフェルソランを含む、カプセル。
【請求項8】
前記賦形剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレートポリマー、又はビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーである、請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
前記カプセルが、約50重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、約40重量%の賦形剤、及び約10重量%のトコフェルソランを含む、請求項7又は8に記載のカプセル。
【請求項10】
.5~3重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩、及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、カプセル。
【請求項11】
前記カプセルが、約1.79重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩、及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項10に記載のカプセル。
【請求項12】
前記カプセルが、10~30重量%の微結晶性セルロース、55~75重量%のマンニトール、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ、及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを更に含む、請求項10又は11に記載のカプセル。
【請求項13】
前記カプセルが、約1.79重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩、約21.65重量%の微結晶性セルロース、約64.96重量%のマンニトール、約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウム、約5.0重量%のフマル酸、約4.0重量%のクロスポビドン、約0.6重量%のヒュームドシリカ、及び約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項12に記載のカプセル。
【請求項14】
~12重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩、及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、カプセル。
【請求項15】
前記カプセルが、約6.70重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩、及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項14に記載のカプセル。
【請求項16】
前記カプセルが、10~30重量%の微結晶性セルロース、50~70重量%のマンニトール、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ、及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを更に含む、請求項14又は15に記載のカプセル。
【請求項17】
前記カプセルが約6.70重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩、約20.42重量%の微結晶性セルロース、約61.28重量%のマンニトール、約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウム、約5.0重量%のフマル酸、約4.0重量%のクロスポビドン、約0.6重量%のヒュームドシリカ、及び約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項16に記載のカプセル。
【請求項18】
~20重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩、及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、カプセル。
【請求項19】
前記カプセルが、10~30重量%の微結晶性セルロース、50~70重量%のマンニトール、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ、及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを更に含む、請求項18に記載のカプセル。
【請求項20】
前記カプセルが、約10.72重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩、約19.41重量%の微結晶性セルロース、約58.27重量%のマンニトール、約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウム、約5.0重量%のフマル酸、約4.0重量%のクロスポビドン、約0.6重量%のヒュームドシリカ、及び約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項19に記載のカプセル。
【請求項21】
15~25重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその同位体置換体、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、32~43重量%の微結晶性セルロース、32~43重量%のマンニトール、2~6重量%のクロスカルメロースナトリウム、0.3~0.7重量%のヒュームドシリカ、及び0.5~1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、錠剤。
【請求項22】
前記錠剤が、約20重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその同位体置換体、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、約37.25重量%の微結晶性セルロース、約37.25重量%のマンニトール、約4重量%のクロスカルメロースナトリウム、及び約1重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項21に記載の錠剤。
【請求項23】
前記錠剤の総重量が約250mgである、請求項21又は22に記載の錠剤。
【請求項24】
前記シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの塩が、シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのHCl塩である、請求項2123のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項25】
前記シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの塩が、シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩である、請求項2123のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項26】
がんを治療するための、請求項1~20のいずれか一項に記載のカプセル、または請求項2125のいずれか一項に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月4日に出願された米国仮特許出願第62/568,107号の利益を主張するものであり、この内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
1.分野
シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、代替名称(1s,4s)-4-(2-(((3S,4R)-3-フルオロテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-8-((2,4,6-トリクロロフェニル)アミノ)-9H-プリン-9-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形の製剤及び剤形、ならびにがんの治療、予防または管理に使用されるような製剤が提供される。
【背景技術】
【0003】
2.背景
シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形は、抗がん活性を有することが示されている。例示的な使用方法は、米国特許第9,512,124号及び米国特許公開第2017/0281633号に提供されている。シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの例示的な多形は、米国特許公開第2017/0281633号に提供されている。
【0004】
シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形の更なる使用方法及び製剤が、がんの治療のために必要である。
【発明の概要】
【0005】
3.概要
ある特定の実施形態では、カプセルの30~40重量%の量の化合物1(シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、カプセルの50~60重量%の量の賦形剤及びカプセルの5~15重量%の量のトコフェルソラン(tocophersolan)を含むカプセルが本明細書において提供される。
【0006】
ある特定の実施形態では、60~70重量%の化合物1(シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、20~30重量%の賦形剤及び5~15重量%のトコフェルソランを含むカプセルが本明細書において提供される。
【0007】
ある特定の実施形態では、45~55重量%の化合物1(シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、35~45重量%の賦形剤及び5~15重量%のトコフェルソランを含むカプセルが本明細書において提供される。
【0008】
ある特定の実施形態では、45~55重量%の化合物1(シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形及び45~55重量%の賦形剤を含むカプセルが本明細書において提供される。
【0009】
ある特定の実施形態では、0.5~3重量%の化合物1(シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)のクエン酸塩、10~30重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、55~75重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウム、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ(例えば、AEROSIL 200)及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含むカプセルが提供される。
【0010】
ある特定の実施形態では、2~12重量%の化合物1(シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)のクエン酸塩、10~30重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、50~70重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウム、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ(例えば、AEROSIL 200)及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含むカプセルが提供される。
【0011】
ある特定の実施形態では、5~20重量%の化合物1(シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)のクエン酸塩、10~30重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、50~70重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウム、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ(例えば、AEROSIL 200)及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含むカプセルが提供される。
【0012】
ある特定の実施形態では、15~25重量%の化合物1(シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)のクエン酸塩、またはその同位体置換体(isotopologue)、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、32~43重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、32~43重量%のマンニトール(例えば、EMPROVE Parteck)、2~6重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.3~0.7重量%のヒュームドシリカ(例えば、AEROSIL 200)及び0.5~1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含むカプセルが提供される。
【0013】
一実施形態において、AEROSIL 200は、約175~約225m/g(例えば、約200m/g)の表面積を有するヒュームドシリカである。一実施形態において、Ac-Di-Solは、クロスカルメロースナトリウムである。一実施形態において、EMPROVE Parteckは、マンニトールである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
4.図面の簡単な説明
図1】化合物1の製剤を調製するブレンドプロセスを示す。
【0015】
図2】表4の溶解条件1でのゼラチンカプセル中の研究製剤1の溶解プロファイルを示す。
【0016】
図3】表4の溶解条件1でのHPMCカプセル中の研究製剤1の溶解プロファイルを示す。
【0017】
図4】表5の溶解条件2でのゼラチンカプセル中の研究製剤1の溶解プロファイルを示す。
【0018】
図5】表5の溶解条件2でのHPMCカプセル中の研究製剤1の溶解プロファイルを示す。
【0019】
図6】表4の溶解条件1でのゼラチンカプセル中の研究製剤2の溶解プロファイルを示す。
【0020】
図7】表4の溶解条件1での下でHPMCカプセル中の研究製剤2の溶解プロファイルを示す。
【0021】
図8】表5の溶解条件2でのゼラチンカプセル中の研究製剤2の溶解プロファイルを示す。
【0022】
図9】表5の溶解条件2でのHPMCカプセル中の研究製剤2の溶解プロファイルを示す。
【0023】
図10】表5の溶解条件2でのゼラチンカプセル中の研究製剤3の溶解プロファイルを示す。
【0024】
図11】表8の溶解条件3でのゼラチンカプセル中の研究製剤4の溶解プロファイルを示す。
【0025】
図12】表11の研究製剤4のF4-1の投与後の24時間の投与後時間にわたる化合物1の血漿中濃度を示す。
【0026】
図13】表11の研究製剤4のF4-5の投与後の24時間の投与後時間にわたる化合物1の血漿中濃度を示す。
【0027】
図14】表11の研究製剤4のF4-7の投与後の24時間の投与後時間にわたる化合物1の血漿中濃度を示す。
【0028】
図15】表13に提供されている、2つのpH制御イヌ群における研究製剤4の製剤F4-1、F4-5及びF4-7のAUC及びCmaxの比較を示す。
【0029】
図16】表19に提供されている、バスケット回転速度100RPM及びpH6.5絶食状態模擬腸液(FaSSIF)における表18の製剤F18-1~F18-6の溶解プロファイルを示す。
【0030】
図17】クエン酸を含有し、ゼラチンカプセルシェル内に封入された製剤F18-2及びF18-5が、40℃/75%RHで3か月後にカプセル脆性を示し、50℃/75%RHで1か月後にカプセル破損を示したことを示す。
【0031】
図18】0.1NのHCl中の表27の各製剤の放出プロファイルを示す。
【0032】
図19】pH4.5の酢酸塩緩衝剤(50mM)中の表27の各製剤の放出プロファイルを示す。
【0033】
図20】pH6.8のリン酸塩緩衝剤(50mM)中の表27の各製剤の放出プロファイルを示す。
【0034】
図21】0.1NのHCl、pH4.5の酢酸塩緩衝剤及びpH6.8のリン酸塩緩衝剤中における、装置Iによる100RPMでの25mgの増強製剤(F27-15、表27)の溶解プロファイルを示す。
【0035】
図22】0.1NのHCl、pH4.5の酢酸塩緩衝剤及びpH6.8のリン酸塩緩衝剤中における、装置Iによる100RPMでの従来の製剤(表11のF4-1)の溶解プロファイルを示す。
【0036】
図23】HPMCカプセルシェル(25mgの強さ)を有する増強製剤(F27-15、表27)の中性pHでの高い溶解変動を示す。
【0037】
図24】ゼラチンカプセルシェル(25mgの強さ)を有する増強製剤(F27-15、表27)の中性pHでの溶解に変動が観察されなかったことを示す。
【0038】
図25】HPMCカプセルシェル(25mgの強さ)を有する増強製剤(F27-15、表27)の0.5%SLSの溶解媒体中の中性pHでの高い溶解変動を示す。
【0039】
図26】ゼラチンカプセルシェル(25mgの強さ)を有する増強製剤(F27-15、表27)の0.5%SLSの溶解媒体中の中性pHでの溶動に変動が観察されなかったことを示す。
【0040】
図27】SLSのみの製剤(表27のF27-13)が、0.5%のSLSを有する及び0.5%のSLSを有さない溶解媒体においてHPMCカプセルシェル中で同様に挙動したことを示す。
【0041】
図28】SLSのみの製剤(表27のF27-13)が、0.5%のSLSを有する及び0.5%のSLSを有さない溶解媒体においてゼラチンカプセルシェル中で同様に挙動したことを示す。
【0042】
図29】CA+SLSの製剤(表27のF27-10)が、0.5%のSLSを有する及び0.5%のSLSを有さない溶解媒体においてHPMCカプセルシェル中で異なって挙動したことを示す。
【0043】
図30】HPMCカプセルが溶解の終了時にバスケット内にゲル状の塊だらけの残留固体を保持したことを示す。
【0044】
図31】600gの製剤を調製する600gのトライアル1のバッチプロセスの流れ図を示す。
【0045】
図32】600gの製剤を調製する600gのトライアル2のバッチプロセスの流れ図を示す。
【0046】
図33】2kgのテクニカルバッチ(technical batch)を製造するバッチプロセスの流れ図を示す。
【0047】
図34】90分間にわたる腸緩衝剤(intestinal buffer)溶解の化合物1製剤の溶解プロファイルを示す。
【0048】
図35】腸緩衝剤溶解による化合物1製剤の溶解プロファイ及び種形成を示す。
【0049】
図36】PVA-P製剤(カプセルB、カプセルE及びカプセルH)の溶解の比較を示す。
【0050】
図37】PVP VA64製剤(カプセルC及びカプセルF)の溶解の比較を示す。
【0051】
図38】HPMC製剤(カプセルA、カプセルD及びカプセルG)の溶解の比較を示す。
【0052】
図39】相対湿度に対するガラス転移温度を示す。
【0053】
図40】5%未満の相対湿度でのカプセルA及びカプセルHの可逆及び不可逆熱流を示す。
【0054】
図41】75%の相対湿度でのカプセルA及びカプセルHの可逆及び不可逆熱流を示す。
【0055】
図42】5%未満の相対湿度でのカプセルG及びカプセルEの可逆及び不可逆熱流を示す。
【0056】
図43】75%の相対湿度でのカプセルG及びカプセルEの可逆及び不可逆熱流を示す。
【0057】
図44】メトセル中のカプセルAの懸濁安定度を示す。
【0058】
図45】メトセル中のカプセルHの懸濁安定度を示す。
【0059】
図46】メトセル中のカプセルGの懸濁安定度を示す。
【0060】
図47】メトセル中のカプセルEの懸濁安定度を示す。
【0061】
図48】メトセル中のカプセルAの懸濁安定度をPLMにより可視化して示す。
【0062】
図49】メトセル中のカプセルHの懸濁安定度をPLMにより可視化して示す。
【0063】
図50】メトセル中のカプセルGの懸濁安定度をPLMにより可視化して示す。
【0064】
図51】メトセル中のカプセルEの懸濁安定度をPLMにより可視化して示す。
【0065】
図52】雄CD-1マウスへのカプセルGの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0066】
図53】雄CD-1マウスへのカプセルEの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0067】
図54】雄CD-1マウスへのカプセルIの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0068】
図54】雄CD-1マウスへのカプセルJの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0069】
図55】カプセルG、カプセルE、カプセルI及びカプセルJの単回経口投与後の濃度プロファイルの結果の比較を示す。
【0070】
図56】pH2のリン酸塩緩衝剤中の錠剤A、錠剤B及び錠剤Cの溶解を示す。
【0071】
図57】pH5のリン酸塩緩衝剤及び0.1%のラウレス硫酸ナトリウム中の錠剤A(中央曲線)、錠剤B(上側曲線)及び錠剤C(下側曲線)の溶解を示す。
【0072】
図58】pH5のリン酸塩緩衝剤及び0.1%のラウレス硫酸ナトリウム中の錠剤A(中央曲線)、錠剤B(上側曲線)及び錠剤C(下側曲線)の溶解を示す。
【0073】
図59】クエン酸塩が遊離塩基一水和物と比較してより良好な溶解プロファイルを有したことを示す。
【0074】
図60】化合物1の噴霧乾燥分散体製剤を提供する噴霧乾燥プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
5.詳細な説明
5.1 定義
本明細書で使用されるとき、用語「comprising(含む)」及び「including(含む)」は、区別することなく使用され得る。用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、記載された特徴または成分の存在を参照されるように特定するものと解釈されるが、1つ以上の特徴もしくは成分、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。追加的に、用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、用語「からなる(consisting of)」に包含される例を含むことが意図される。したがって、用語「からなる(consisting of)」を用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用して、本発明のより具体的な実施形態を提供することができる。
【0076】
用語「からなる(consisting of)」は、対象物が、それが構成する少なくとも90%、95%、97%、98%、または99%の記載する特徴または成分を有することを意味する。別の実施形態において、用語「からなる(consisting of)」は、達成される技術的効果に不可欠ではないものを除いて、後続の任意の列挙の範囲から他の任意の特徴または構成要素を除外する。
【0077】
本明細書で使用されるとき、用語「または」は、任意の1つまたは任意の組み合わせを意味する包括的な「または」と解釈されるべきである。したがって、「A、B、またはC」は、以下の「A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、A、B及びC」のいずれかを意味する。この定義の例外は、要素、機能、ステップ、または行為の組み合わせが何らかの形で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0078】
概して、本明細書に使用される命名法、ならびに本明細書に記載される有機化学、医薬化学及び薬理学の実験手順は、当該分野において周知であり、一般的に使用されるものである。特に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術用語及び科学用語は、概して、本開示が属する当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。
【0079】
化合物1という用語は、下記の構造を有する「シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド」、代替名称「(1s,4s)-4-(2-(((3S,4R)-3-フルオロテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-8-((2,4,6-トリクロロフェニル)アミノ)-9H-プリン-9-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド」:
【化1】
及びその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接体または多形を指す。ある特定の実施形態において、化合物1は、シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、及びその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物または多形を指す。ある特定の実施形態において、化合物1は、(1s,4s)-4-(2-(((3S,4R)-3-フルオロテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-8-((2,4,6-トリクロロフェニル)アミノ)-9H-プリン-9-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの多形体を指し、例えば、とりわけ、米国特許公開第2017/0283418号に記載されている遊離塩基形態A~I,クエン酸塩形態Y及びZ、ならびにHCl塩形態1~7である。
【0080】
本明細書に使用されるとき、特に指定がない限り、用語「薬学的に許容される塩(複数可)」には、化合物1の酸性または塩基性部分の塩が挙げられるが、これらに限定されない。塩基性部分は、様々な無機及び有機酸と多種多様な塩を形成することができる。そのような塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するのに使用できる酸は、非毒性の酸付加塩、例えば、薬理学的に許容されるアニオンを含有する塩を形成するものである。適切な有機酸には、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、ケイ皮酸、オレイン酸、タンニン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルコン酸、グルクロン酸(glucaronic)、サッカリン酸、イソニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはパモ酸(例えば、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な無機酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、または硝酸が挙げられるが、これらに限定されない。アミン部分を含む化合物は、上述の酸の他に、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。性質が酸性である化学部分は、様々な薬理学的に許容されるカチオンと塩基塩を形成することができる。そのような塩の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特に、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、カリウム塩、または鉄塩である。
【0081】
本明細書に使用されるとき及び特に指定がない限り、用語「溶媒和物」は、本明細書に提供される化合物またはその塩であり、更に、化学量論的または非化学量論的量の溶媒を非共有結合的分子間力によって含んでいるものを意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0082】
「薬学的に許容される賦形剤」は、例えば、活性剤の安定性を修飾することにより、または投与した際の対象による吸収を修飾することにより、対象への活性剤の投与を補助する物質を指す。薬学的に許容される賦形剤は、典型的には、患者に対して有意に有害な毒物学的作用を有さない。薬学的に許容される賦形剤の例には、例えば、水、NaCl(塩溶液を含む)、通常生理塩溶液、生理食塩水、スクロース、グルコース、増量剤、緩衝剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、アルコール、油、ゼラチン、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン及び着色剤などが挙げられる。当業者は、当該分野に既知である他の薬学的賦形剤が本発明に有用であることを認識し、そのような薬学的賦形剤には、例えば、The Handbook of Pharmaceutical Excipients,Rowe R.C.,Shesky P.J.,and Quinn M.E.,6th Ed.,The Pharmaceutical Press,RPS Publishing(2009)に列挙されるものが挙げられる。用語「増量剤」及び「緩衝剤」は、当該分野の範囲内の平易で通常の意味に従って使用される。
【0083】
本明細書に使用されるとき及び特に指定がない限り、用語「約」は、組成物または剤形の成分の用量、量、または重量パーセントに関して使用される場合、指定された用量、量、または重量パーセントから得られるものと等価な薬理学的効果をもたらすために、当業者により認識される用量、量、または重量パーセントが包含されることを意味する。具体的には、用語「約」は、指定された用量、量、または重量パーセントの30%、25%、20%、15%、10%、または5%以内の用量、量、または重量パーセントが包含されることを意図する。
【0084】
本明細書に使用されるとき、「投与する」または「投与」とは、対象の体外に存在する物質を物理的に対象内に送達する行為を指す。投与は、治療剤を送達するための当該分野に既知である全ての形態を含み、局所、経粘膜、注射、皮内、静脈内、筋肉内送達、または本明細書に記載される、もしくは当該分野に既知である他の物理的送達法(例えば、小型浸透圧ポンプなど徐放装置の対象への留置;リポソーム製剤;頬側;舌下;口蓋;歯肉;経鼻;経膣;直腸内;細動脈内;腹腔内;脳室内;頭蓋内;または経皮)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
「有効量」とは、投与して目的の効果(例えば、疾患を治療する、または疾患もしくは症状の1つ以上の症候を低減させる)を達成するのに十分な量である。このように、本明細書に記載される化合物の、ある「量」を対象に投与することは、所望の治療結果を達成するために「有効な量」を投与することを指す。したがって、本明細書の目的のために本明細書に記載される化合物の「治療有効量」は、当該分野で既知である考察により決定される。本明細書に記載される化合物の「治療有効量」という用語は、投与された場合に、本明細書に記載される疾患(例えば、がん)の1つ以上の症候を治療するのに十分な組成物の量を指す。本明細書に記載される化合物の投与は、例えば、個体の疾患の状態、年齢、性別及び体重などの要因に従って決定することができる。治療有効量は、また、化合物1の任意の毒性または有害作用よりも治療有益効果が勝ることを指す。治療される例示的な疾患は、米国特許第9,512,124号及び米国特許公開第2017/0281633号に提供されている。
【0086】
本明細書に使用されるとき及び特に指定がない限り、用語「treat(治療する)」、「treating(治療する)」及び「treatment(治療)」は、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害に関連した1つ以上の症候の根絶または回復を指す。ある特定の実施形態において、これらの用語は、疾患または障害のある患者に1種以上の予防剤または治療剤を投与した結果生じるような疾患または障害の拡散または悪化を最小限にすることを指す。いくつかの実施形態において、これらの用語は、特定の疾患の症状の発症後に、他の追加の活性剤を伴う、または伴わない、本明細書に提供される化合物の投与を指す。治療される例示的な疾患は、米国特許第9,512,124号及び米国特許公開第2017/0281633号に提供されている。
【0087】
本明細書に使用されるとき及び特に指定がない限り、用語「prevent(予防する)」、「preventing(予防する)」及び「prevention(予防)」は、疾患もしくは障害またはそれらの1つ以上の症候の発症、再発、または拡散を予防することを指す。ある特定の実施形態において、これらの用語は、症候の発生前に、特に本明細書に提供される疾患または障害のリスクのある患者に対して、他の追加の活性化合物を伴って、または伴わずに、本明細書に提供される化合物を用いて治療すること、または投与することを指す。これらの用語は、特定の疾患の症候の抑制または低減を包含する。特に、ある疾患の家族歴を有する患者は、ある特定の実施形態において、予防レジメンの候補である。加えて、症候再発の病歴を有する患者も、予防の潜在的な候補である。この点に関して、用語「予防」は、用語「予防的治療」と区別なく使用される。予防される例示的な疾患は、米国特許第9,512,124号及び米国特許公開第2017/0281633号に提供されている。
【0088】
本明細書に使用されるとき及び特に指定がない限り、用語「manage(管理する)」、「managing(管理する)」及び「management(管理)」は、疾患もしくは障害、またはそれらの1つ以上の症候の進行、拡散、または悪化を予防または緩徐することを指す。多くの場合、患者が予防剤及び/または治療剤から得る有益な効果は、疾患または障害の治癒をもたらさない。この点に関して、用語「managing(管理する)」は、特定の疾患を罹患したことがある患者に対して、その疾患の再発を予防または最小限にするために治療すること、または寛解期にある時間を延長することを包含する。管理される例示的な疾患は、米国特許第9,512,124号及び米国特許公開第2017/0281633号に提供されている。
【0089】
用語「対象」、「患者」、「その必要がある対象」及び「その必要がある患者」は、本明細書において区別なく使用され、本明細書に記載される組成物の投与により治療され得る1つ以上の本明細書に記載される疾患(例えば、がん)を罹患している生存生物を示す。生物の非限定例には、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ及び他の非哺乳類動物が挙げられる。複数の実施形態において、対象は、ヒトである。ヒト対象は、年齢が約1歳~約100歳であり得る。複数の実施形態において、本明細書の対象は、治療される疾患により特徴づけることができる(例えば、「がん対象」または「固形腫瘍対象」)。治療される例示的な疾患は、米国特許第9,512,124号及び米国特許公開第2017/0281633号に提供されている。
【0090】
本明細書に使用されるとき及び特に指定がない限り、化合物の「治療有効量」とは、疾患または障害の治療または管理に治療利益をもたらす、あるいは疾患または障害に関連する1つ以上の症候を遅延する、または最小限にするのに十分な量である。化合物の治療有効量とは、単独での、または疾患もしくは障害の治療もしくは管理に治療利益をもたらす他の療法と組み合わせた治療剤の量を意味する。用語「治療有効量」は、全体的な療法を改善する、疾患もしくは障害の症候もしくは病因を低減もしくは回避する、または別の治療剤の治療効力を増強する量を包含することができる。
【0091】
最後に、一般に、一実施形態の技術的教示を、本明細書に提供される他の実施形態に開示された教示と組み合わせることができる。
【0092】
5.2 化合物1
本明細書に提供される方法及び製剤における使用に適した化合物は、下記の構造を有する化合物1シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、代替名称(1s,4s)-4-(2-(((3S,4R)-3-フルオロテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-8-((2,4,6-トリクロロフェニル)アミノ)-9H-プリン-9-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド:
【化2】
またはその同位体置換体、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接体、もしくは多形である。
【0093】
化合物1は、本明細書に提供される実施例に記載の方法に従って、または米国特許第9,512,124号に記載されているよう調製することができ、この開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。この化合物は、本明細書の教示に基づいて、当業者に明らかな他の方法に従って合成することもできる。
【0094】
ある特定の実施形態において、化合物1は、固体である。ある特定の実施形態において、化合物1は、水和物である。ある特定の実施形態において、化合物1は、溶媒和物である。ある特定の実施形態において、化合物1は、無水物である。
【0095】
ある特定の実施形態において、化合物1は、非晶質である。ある特定の実施形態において、化合物1は、結晶性である。ある特定の実施形態において、化合物1は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2017/0283418号に記載されている結晶形である。化合物1の固体形態は、米国特許公開第2017/0283418号の開示に記載されている方法に従って調製することができる。固体形態は、当業者に明らかな他の方法に従って調製することもできる。
【0096】
一態様では、化合物1の安定した製剤が本明細書に提供される。一実施形態において、化合物1の製剤は、シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの固体形態を含む。実施形態において、化合物1の製剤は、シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの非晶形を含む。一実施形態において、化合物1の製剤は、シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの結晶形を含む。
【0097】
本明細書に提供される製剤は、個々の単一単位剤形の調製に使用することができる。本明細書に提供される製剤及び剤形は、化合物1を含む。製剤及び剤形は、1つ以上の賦形剤を更に含むことができる。
【0098】
経口投与のために本明細書に提供される製剤は、圧縮カプセル剤、錠剤、粉薬錠剤、チュアブルロゼンジ剤(chewable lozenge)、急速溶解錠剤、複数の圧縮錠剤、または腸溶コーティング錠剤、糖衣錠、もしくはフィルムコート錠として提供され得るが、これらに限定されない。
【0099】
5.2.1 クエン酸塩形態Y
クエン酸塩を含む化合物1の固体形態も、本明細書に提供される。
【0100】
ある特定の実施形態では、クエン酸塩形態Yが本明細書に提供される。
【0101】
一実施形態において、クエン酸塩形態Yは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、クエン酸塩形態Yは、結晶性である。別の実施形態において、クエン酸塩形態Yは、無水物である。
【0102】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される固体形態、例えば、形態Yは、化合物の1のクエン酸塩であり、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書に提供される固体形態、例えば、形態Yは、およそ4.8、6.6、9.6、13.6、14.4、15.4、16.0、16.9、18.0、18.9、19.2、19.9、20.1、20.9、21.8、22.4、22.7、23.2、23.4、24.0、24.1、24.3、25.1、26.7、27.0、27.9、28.5、29.0、29.6、30.2、30.4、30.8、31.1、31.6、32.3、33.1、33.5、34.0、34.6、または35.1°2θ(±0.2°2θ)または(±0.1°2θ)で1個以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。特定の実施形態において、本明細書に提供される固体形態、例えば、形態Yは、およそ4.8、6.6、9.6、15.4、16.0、16.9、18.9、19.2、19.9、20.9、または28.5°2θ(±0.2°2θ)で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書に提供される固体形態は、およそ4.8、9.6、18.9、または19.2°2θ(±0.2°2θ)で1、2、3、または4個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、クエン酸塩形態Yである。別の実施形態において、クエン酸塩形態Yは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0103】
ある特定の実施形態において、結晶形は、およそ50℃~およそ220℃で加熱された場合、およそ50℃~およそ150℃で試料の総質量のおよそ0.1%の総質量損失を含む、TGAサーモグラムを示す。
【0104】
一実施形態では、およそ25℃~およそ260℃で加熱された場合、約213℃の開始温度及び約217℃のピーク最大温度で吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性クエン酸塩が、本明細書に提供される。
【0105】
なお別の実施形態において、クエン酸塩形態Yは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なクエン酸塩形態Yは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なクエン酸塩形態Yの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
【0106】
5.2.2 クエン酸塩形態Z
ある特定の実施形態では、クエン酸塩形態Zが本明細書に提供される。
【0107】
一実施形態において、クエン酸塩形態Zは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、クエン酸塩形態Zは、結晶性である。別の実施形態において、クエン酸塩形態Zは、無水物である。別の実施形態において、クエン酸塩形態Zは、水和物である。一実施形態において、クエン酸塩形態Zは、非化学量論的水和物である。なお別の実施形態において、クエン酸塩形態Zは、チャンネル水和物である。なお別の実施形態において、クエン酸塩形態Zは、非化学量論的チャンネル水和物である。なお別の実施形態において、クエン酸塩形態Zは、溶媒和物である。
【0108】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される固体形態、例えば、形態Zは、例えばX線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書に提供される固体形態、例えば、形態Zは、およそ4.6、6.6、9.4、13.1、14.1、15.3、15.6、17.4、18.8、19.0、19.9、20.4、21.1、21.9、22.2、22.7、23.5、23.9、25.2、26.3、26.8、27.8、28.3、28.7、29.8、31.2、31.9、32.6、33.7、35.1、35.9、37.4、または38.0°2θ(±0.2°2θ)または(±0.1°2θ)で1個以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。特定の実施形態において、本明細書に提供される固体形態は、およそ9.4、18.8、19.0、または28.7°2θ(±0.2°2θ)で1、2、3、または4個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、クエン酸塩形態Zである。別の実施形態において、クエン酸塩形態Zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、または33個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0109】
ある特定の実施形態において、結晶形は、およそ25℃~およそ300℃で加熱された場合、およそ50℃~およそ150℃で試料の総質量のおよそ0.1%の総質量損失を含む、TGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶形は、化合物1の無水物である。
【0110】
一実施形態では、およそ25℃~およそ260℃で加熱された場合、約217℃の開始温度及び約221℃のピーク最大温度で吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性クエン酸塩形態が、本明細書に提供される。
【0111】
ある特定の実施形態において、水和物は、およそ25℃~およそ300℃で加熱された場合、およそ25℃~およそ200℃で試料の総質量のおよそ2%の総質量損失を含む、TGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶形は、化合物1のクエン酸塩形態の水和物である。
【0112】
ある特定の実施形態において、非化学量論的水和物形態は、およそ50℃~およそ300℃で加熱された場合、およそ50℃~およそ200℃で試料の総質量のおよそ1.7%の総質量損失を含む、TGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶形は、化合物1のクエン酸塩形態の非化学量論的水和物である。
【0113】
ある特定の実施形態において、溶媒和物は、およそ25℃~およそ300℃で加熱された場合、およそ25℃~およそ200℃で試料の総質量のおよそ1.3%の総質量損失を含む、TGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶形は、化合物1のクエン酸塩形態の溶媒和物である。
【0114】
なお別の実施形態において、クエン酸塩形態Zは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なクエン酸塩形態Zは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なクエン酸塩形態Zの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
【0115】
化合物1のクエン酸塩の形態Y及び形態Zは、本明細書に提供される実施例に記載の方法に従って、または米国特許公開第2017/0283418A1号に記載されているように調製することができ、この開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。この固体形態は、本明細書の教示に基づいて、当業者に明らかな他の方法に従って合成することもできる。
【0116】
5.2.3 カプセル
化合物1を含むカプセルが本明細書において提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、化合物1のクエン酸塩を含む。別の実施形態において、カプセルは、化合物1のクエン酸塩及びラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0117】
一実施形態において、カプセルは、化合物1を含む。一実施形態において、カプセルは、賦形剤を含む。一実施形態において、カプセルは、トコフェルソラン(「TPGS」)を含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、20重量%~30重量%、30重量%~40重量%、40重量%~50重量%、または50重量%~60重量%の化合物1を含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、35重量%~45重量%、45重量%~55重量%、または55重量%~65重量%の賦形剤を含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、5重~15重量%のTPSGを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、20~30重量%の化合物1、60~70重量%の賦形剤及び5~15重量%のTPGSを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、45~55重量%の化合物1、35~45重量%の賦形剤及び5~15重量%のTPGSを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、45~55重量%の化合物1及び45~55重量%の賦形剤を含む。ある特定の実施形態において、賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)である。ある特定の実施形態において、賦形剤は、ポリビニルアセテートフタレートポリマー(「PVA-P」)である。ある特定の実施形態において、賦形剤は、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(「PVP VA64」)である。
【0118】
ある特定の実施形態では、35~45重量%の化合物1、50~60重量%のHPMC及び5~15重量%のTPGSを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、37重量%の化合物1、53重量%のHPMC及び10重量%のTPGSを含む。
【0119】
ある特定の実施形態では、20~30重量%の化合物1、60~70重量%のHPMC及び5~15重量%のTPGSを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、25重量%の化合物1、65重量%のHPMC及び10重量%のTPGSを含む。
【0120】
ある特定の実施形態では、20~30重量%の化合物1、60~70重量%のPVA-P及び5~15重量%のTPGSを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、25重量%の化合物1、65重量%のPVA-P及び10重量%のTPGSを含む。
【0121】
ある特定の実施形態では、20~30重量%の化合物1、60~70重量%のPVP VA64及び5~15重量%のTPGSを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、25重量%の化合物1、65重量%のPVP VA64及び10重量%のTPGSを含む。
【0122】
ある特定の実施形態では、45~55重量%の化合物1、35~45重量%のHPMC及び5~15重量%のTPGSを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、50重量%の化合物1、40重量%のHPMC及び10重量%のTPGSを含む。
【0123】
ある特定の実施形態では、45~55重量%の化合物1、35~45重量%のPVA-P及び5~15重量%のTPGSを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、50重量%の化合物1、40重量%のPVA-P及び10重量%のTPGSを含む。
【0124】
ある特定の実施形態では、45~55重量%の化合物1、35~45重量%のPVP VA64及び5~15重量%のTPGSを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、50重量%の化合物1、40重量%のPVP VA64及び10重量%のTPGSを含む。
【0125】
ある特定の実施形態では、45~55重量%の化合物1及び45~55重量%のHPMCを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、50重量%の化合物1及び50重量%のHPMCを含む。
【0126】
ある特定の実施形態では、45~55重量%の化合物1及び45~55重量%のPVA-Pを含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、50重量%の化合物1及び50重量%のPVA-Pを含む。
【0127】
ある特定の実施形態では、ゼラチンカプセル中に、ある量の化合物1を含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の量は100~150mgである。ある特定の実施形態において、化合物1の量は125mgである。
【0128】
ある特定の実施形態では、HPMCカプセル中に、ある量の化合物1を含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の量は100~150mgである。ある特定の実施形態において、化合物1の量は125mgである。
【0129】
ある特定の実施形態では、ゼラチンカプセル中に、化合物1及び微結晶性セルロース(Avicel)を含むカプセル製剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、カプセルは、ラウレス硫酸ナトリウムを更に含む。ある特定の実施形態において、化合物1及びAvicelは、カプセル中に2:1の比で存在する。ある特定の実施形態において、化合物1及びAvicelの総重量は100~120mgである。ある特定の実施形態において、化合物1及びAvicelの総重量は110mgである。
【0130】
ある特定の実施形態において、カプセルは、化合物1のクエン酸塩、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、マンニトール(例えば、Parteck M200)、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon CL)、コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸を含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、5~25重量%の化合物1のクエン酸塩、15~60重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、15~60重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、5~20重量%のクエン酸、2.5~10重量%のラウリル硫酸ナトリウム、2~8重量%の架橋ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon CL)、0.3~1.5重量%のコロイド状二酸化ケイ素及び0.5~2重量%のステアリン酸を含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約13.36重量%の化合物1のクエン酸塩、約33.02重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、約33.02重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、約10重量%のクエン酸、約5重量%のラウリル硫酸ナトリウム、約4重量%の架橋ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon CL)、約0.6重量%のコロイド状二酸化ケイ素及び約1重量%のステアリン酸を含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、5~25重量%の化合物1のクエン酸塩及び2.5~10重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約13.36重量%の化合物1のクエン酸塩及び約5重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0131】
ある特定の実施形態において、カプセルは、化合物1のクエン酸塩及びラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、0.5~3重量%の化合物1のクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約1.79重量%の化合物1のクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、2~12重量%の化合物1のクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約6.70重量%の化合物1のクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、5~20重量%の化合物1のクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約10.72重量%の化合物1のクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0132】
ある特定の実施形態において、カプセルは、化合物1のクエン酸塩、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、マンニトール(例えば、Parteck M200)、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸、クロスポビドン、ヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及びステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、0.5~3重量%の化合物1のクエン酸塩、10~30重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、55~75重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウム、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のAerosil 200及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約1.79重量%の化合物1のクエン酸塩、約21.65重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、約64.96重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウム、約5.0重量%のフマル酸、約4.0重量%のクロスポビドン、約0.6重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、0.5~3重量%の化合物1のクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約1.79重量%の化合物1のクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0133】
ある特定の実施形態において、カプセルは、2~12重量%の化合物1のクエン酸塩、10~30重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、50~70重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウム、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約6.70重量%の化合物1のクエン酸塩、約20.42重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、約61.28重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウム、約5.0重量%のフマル酸、約4.0重量%のクロスポビドン、約0.6重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、2~12重量%の化合物1のクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約6.70重量%の化合物1のクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0134】
ある特定の実施形態において、カプセルは、5~20重量%の化合物1のクエン酸塩、10~30重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、50~70重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウム、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約10.72重量%の化合物1のクエン酸塩、約19.41重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、約58.27重量%のマンニトール(例えば、Parteck M200)、約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウム、約5.0重量%のフマル酸、約4.0重量%のクロスポビドン、約0.6重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、5~20重量%の化合物1のクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。ある特定の実施形態において、カプセルは、約10.72重量%の化合物1のクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0135】
5.2.4 錠剤
化合物1を含む錠剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、化合物1は、HCl塩である。ある特定の実施形態において、化合物1は、クエン酸塩である。
【0136】
ある特定の実施形態では、化合物1、ならびに充填剤、崩壊剤、滑沢剤、酸性化剤、界面活性剤、ポリマー及び/または流動促進剤(glidant)を含む錠剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、充填剤は、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、マンニトール、ラクトース、またはデンプンである。ある特定の実施形態において、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-sol),デンプングリコール酸ナトリウム、またはKollidon CLである。ある特定の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはフマル酸ステアリルナトリウムである。ある特定の実施形態において、酸性化剤は、酒石酸、フマル酸、またはクエン酸である。ある特定の実施形態において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、VE-TPGS,または硬化ヒマシ油である。ある特定の実施形態において、ポリマーは、HEC、HPC、PEG4000、PVP K30、Pluronic F127、PVP VA64、またはSB-beta-CDである。ある特定の実施形態において、流動促進剤は、Aerosil 200である。ある特定の実施形態において、化合物1と充填剤の比は、約1:5である。ある特定の実施形態において、化合物1と崩壊剤の比は、約2:1である。ある特定の実施形態において、化合物1と滑沢剤の比は、約20:1である。ある実施形態において、化合物1と酸性化剤の比は、約1:1である。ある特定の実施形態において、化合物1と界面活性剤の比は、約20:1である。ある特定の実施形態において、化合物1とポリマーの比は、約1:2である。ある特定の実施形態において、化合物1と流動促進剤の比は、約20:1である。
【0137】
ある特定の実施形態では、15~25重量%の化合物1のクエン酸塩、32~43重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、32~43重量%のマンニトール(例えば、Emprove Parteck)、2~6重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.3~0.7重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び0.5~1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む錠剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、錠剤は、20重量%の化合物1のクエン酸塩、37.25重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、37.25重量%のマンニトール(例えば、Emprove Parteck)、4重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.5重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び1重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、錠剤の総重量は225~275mgである。ある特定の実施形態において、錠剤の総重量は250mgである。ある特定の実施形態において、化合物1は、HCl塩である。ある特定の実施形態において、化合物1は、クエン酸塩である。
【0138】
ある特定の実施形態では、15~25重量%の化合物1のクエン酸塩、32~43重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、32~43重量%のマンニトール(例えば、Emprove Parteck)、2~6重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.3~0.7重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び0.5~1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含むカプセルが本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、錠剤は、20重量%の化合物1のクエン酸塩、37.25重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、37.25重量%のマンニトール(例えば、Emprove Parteck)、4重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.5重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び1重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、錠剤の総重量は225~275mgである。ある特定の実施形態において、錠剤の総重量は250mgである。
【0139】
ある特定の実施形態では、15~25重量%の化合物1のHCl塩、32~43重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、32~43重量%のマンニトール(例えば、Emprove Parteck)、2~6重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.3~0.7重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び0.5~1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含むカプセルが本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、錠剤は、20重量%の化合物1のHCl塩、37.25重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、37.25重量%のマンニトール(例えば、Emprove Parteck)、4重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.5重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び1重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、錠剤の総重量は225~275mgである。ある特定の実施形態において、錠剤の総重量は250mgである。
【0140】
ある特定の実施形態では、15~25重量%の化合物1のクエン酸塩、32~43重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、32~43重量%のマンニトール(例えば、Emprove Parteck)、2~6重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.3~0.7重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び0.5~1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む錠剤が本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、錠剤は、20重量%の化合物1のクエン酸塩、37.25重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、37.25重量%のマンニトール(例えば、Emprove Parteck)、4重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol)、0.5重量%のヒュームドシリカ(例えば、Aerosil 200)及び1重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ある特定の実施形態において、錠剤の総重量は225~275mgである。ある特定の実施形態において、錠剤の総重量は250mgである。
【0141】
5.2.5 噴霧乾燥分散体製剤
ある特定の実施形態では、化合物1の噴霧乾燥分散体製剤が本明細書に提供される。
【0142】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される噴霧乾燥分散体製剤は、図60に実質的に示されている化合物1の噴霧乾燥プロセスによって得ることができる。ある特定の実施形態において、噴霧乾燥プロセスは、1)化合物1及び賦形剤を溶媒(例えば、アセトン、メタノール、水、またはこれらの混合物)と混合すること、2)混合物をある特定の温度(例えば、約80℃)に加熱すること、3)混合物を噴霧乾燥すること及び4)得られた固体を回収することを含む。ある特定の実施形態において、賦形剤はポリマーである。別の実施形態において、賦形剤は、HPMCAS-M、PVP VA64、PVA-P及びHPMC E3からなる群から選択されるポリマーである。一実施形態において、溶媒はアセトンである。別の実施形態において、溶媒は、メタノールと水(例えば、v/v 9:1)の混合物、またはアセトンと水(例えば、v/v9:1)の混合物である。
【0143】
ある特定の実施形態において、噴霧乾燥分散体製剤は、化合物1の遊離塩基、HPMC、TPGS、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、マンニトール、架橋ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon CL)、コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸を含む。ある特定の実施形態において、噴霧乾燥分散体製剤は、約10~40重量%の化合物1の遊離塩基、約15~60重量%のHPMC、約2~10重量%のTPGS、約10~40重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、約10~40重量%のマンニトール、約2~8重量%の架橋ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon CL)、約0.3~1.5重量%のコロイド状二酸化ケイ素及び約0.5~2重量%のステアリン酸を含む。ある特定の実施形態において、噴霧乾燥分散体製剤は、約20重量%の化合物1の遊離塩基、約28.6重量%のHPMC、約5.4重量%のTPGS、約20.2重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH102)、約20.2重量%のマンニトール、約4重量%の架橋ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon CL)、約0.6重量%のコロイド状二酸化ケイ素及び約1重量%のステアリン酸を含む。
【0144】
5.3 キット
本明細書に提供される医薬組成物または剤形を含む医薬パックまたはキットも、提供される。例示的なキットは、医薬品の製造、使用、または販売を管轄する政府機関により規定された書式の注意書きを含み、この注意書きは、ヒト投与に関する製造、使用、または販売の政府機関による承認を反映している。
【0145】
5.4 使用方法
本明細書に記載の化合物1の製剤は、動物またはヒトの症状を治療、予防、または改善するための医薬品としての有用性を有する。したがって、本明細書に提供される全ての方法に使用することができる本明細書に記載の化合物1の製剤が、本明細書に提供される。特に、本明細書に提供される化合物1の製剤は、がんの治療または予防の方法に使用するためのものである。例えば、本明細書に提供される化合物1の製剤は、がんの治療方法に使用するためのものである。本明細書に提供される方法は、有効量の1つ以上の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む。本明細書に記載の方法は、また、下記に提供されるものなどの医薬組成物による治療を含むことも、理解されるべきである。
【0146】
別の態様では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんの治療または予防方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、がんは、固形腫瘍または血液腫瘍である。いくつかの実施形態において、がんは、黒色腫ではない。
【0147】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、黒色腫、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、膀胱癌、CNS癌、肺癌、膵癌及び軟部組織癌である。一実施形態において、固形腫瘍は、内分泌癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、十二指腸癌、神経膠腫、頭頸部癌、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌NSCLC)、食道癌、甲状腺癌、または膵癌である。
【0148】
他の実施形態において、がんは、膀胱癌、乳癌(例えば、HER陽性、HER陰性、もしくはEGFR陽性乳癌)、CNS癌(神経芽細胞腫及び神経膠腫を含む)、結腸癌、胃腸癌(例えば、胃癌及び結腸癌)、内分泌癌(例えば、甲状腺癌もしくは副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮頸癌、卵巣明細胞癌、外陰部癌、子宮癌、もしくは卵巣癌)、頭頸部癌、造血器癌(例えば、白血病もしくは骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLCもしくはSCLC)、黒色腫、膵癌、前立腺癌、または軟部組織癌(例えば、肉腫もしくは骨肉腫)である。
【0149】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、肝細胞癌(HCC)の治療または予防方法も本明細書に提供される。
【0150】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤、または本明細書に記載のその医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、結腸直腸癌(CRC)、黒色腫、胃癌、HCC、肺癌、膵癌、白血病、または多発性骨髄腫の治療または予防方法も本明細書に提供される。一実施形態において、CRC、胃癌、またはHCCは、βカテニン突然変異によって特徴づけられるがんである。また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、結腸直腸癌(CRC)、胃癌、HCC、肺癌、膵癌、白血病及び多発性骨髄腫の治療または予防方法も本明細書に提供される。
【0151】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物1の製剤またはその医薬組成物を投与することを含む、白血病の治療方法が本明細書に提供される。白血病は、慢性骨髄性白血病(CML)であり得る。別の実施態様において、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。一実施形態において、白血病はFLT-3突然変異AMLである。
【0152】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物1の製剤またはその医薬組成物を投与することを含む、リンパ腫の治療方法が本明細書に提供される。リンパ腫は、バーキットリンパ腫であり得る。一実施形態において、白血病は、ホジキンリンパ腫である。別の実施態様において、白血病は、B細胞リンパ腫である。別の実施態様において、白血病は、T細胞リンパ腫である。なお別の実施形態において、リンパ腫は、原発性滲出性リンパ腫(PEL)である。
【0153】
化合物1の製剤は、様々ながん細胞株に抗増殖活性を示す。これらのがん細胞株における抗増殖活性は、化合物1の製剤が、造血器及び固形腫瘍を含むがんの治療に有用であることを示している。一実施形態において、造血器及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌及び外陰部癌)、頭頸部癌(例えば、食道癌)、造血癌及びリンパ球癌(例えば、リンパ腫、白血病及び骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫及び癌腫)、軟部組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌、ならびに精巣癌から選択される。一実施形態において、造血器及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮癌、子宮頸癌及び外陰部癌)、頭頸部癌、造血癌及びリンパ球癌(例えば、リンパ腫、白血病及び骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫及び癌腫)、軟部組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌、ならびに精巣癌から選択される。
【0154】
別の実施形態において、本明細書に記載の化合物1の製剤は、様々ながん細胞株においてアポトーシスを誘導する。アポトーシスの誘導は、本明細書に記載の化合物1の製剤が、造血器及び固形腫瘍を含むがんの治療に有用であることを示している。一実施形態において、造血器及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経芽細胞腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌及び外陰部癌)、頭頸部癌(例えば、食道癌)、造血癌及びリンパ球癌(例えば、リンパ腫、白血病及び骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫及び癌腫)、軟部組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌、ならびに精巣癌から選択される。一実施形態において、造血器及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経芽細胞腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、外陰部癌)、頭頸部癌(例えば、食道癌)、造血癌及びリンパ球癌(例えば、リンパ腫及び白血病)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫)、軟部組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌、ならびに精巣癌から選択される。一実施形態において、造血器及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、胎盤癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌及び外陰部癌)、頭頸部癌(例えば、食道癌)、造血癌及びリンパ球癌(例えば、リンパ腫、白血病及び骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫及び癌腫)、軟部組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌、ならびに精巣癌から選択される。
【0155】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、BRAF突然変異及び/またはβカテニン突然変異(CTNNB1突然変異と代替的に呼ばれる)によって特徴づけられるがんの治療または予防方法も、本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、がんは、BRAF突然変異によって特徴づけられる。別の実施形態において、がんは、βカテニン突然変異によって特徴づけられる。なお別の実施形態において、がんは、活性化βカテニン経路によって特徴づけられる。いくつかのこのような実施形態において、がんは、BRAF突然変異によって特徴づけられたCRCまたは黒色腫である。他の実施形態において、がんは、βカテニン突然変異によって特徴づけられたCRCであり、追加的に、EGFR突然変異または増加したEGFR活性を含む(例えば、活性化βカテニン経路及びEGFR突然変異によって特徴づけられたCRC、または活性化βカテニン経路及び増加したEGFR活性によって特徴づけられたCRCである)。なお他の実施形態において、がんは、βカテニン突然変異によって特徴づけられた胃癌であり、追加的に、KRAS突然変異を含む(すなわち、活性化βカテニン経路及びKRAS突然変異により特徴づけられた胃癌である)。別の実施形態において、がんは、活性化βカテニン経路によって特徴づけられたHCCである。いくつかのこのような実施形態において、BRAF突然変異は、BRAF V660Eである。いくつかのこのような実施形態において、BRAF突然変異は、BRAF V600Eである。いくつかのこのような実施形態において、BRAF突然変異は、BRAF V600E、BRAF T119S、またはBRAF G596Rのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、βカテニン突然変異は、βカテニンのS33Y、G34E、S45del、またはS33Cのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、EGFR突然変異は、EGFRのE282K、G719S、P753S、またはV1011Mのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、KRAS突然変異は、A146T、G12C、G12D、G12V、G13D、またはQ61Lである。
【0156】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、PD-L1を発現するがんの治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、PD-L1発現がんは、黒色腫、肺癌、腎細胞癌(RCC)、またはHCCである。
【0157】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、BRAF突然変異によって特徴づけられたがんの治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、BRAF突然変異によって特徴づけられたがんは、CRC、甲状腺癌、黒色腫、または肺癌である。いくつかのこのような実施形態において、BRAF突然変異によって特徴づけられたがんは、CRC、甲状腺癌、または肺癌である。いくつかのこのような実施形態において、BRAF突然変異は、BRAF V660Eである。いくつかのこのような実施形態において、BRAF突然変異は、BRAF V600Eである。他の実施形態において、BRAF突然変異は、BRAF V600E、BRAF T119S、またBRAF G596Rのうちの1つ以上である。
【0158】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、NRAS突然変異によって特徴づけられたがんの治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、NRAS突然変異によって特徴づけられたがんは、黒色腫である。
【0159】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、KRAS突然変異によって特徴づけられたがんの治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、KRAS突然変異によって特徴づけられたがんは、CRC、膵癌、または肺癌である。
【0160】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、βカテニン突然変異によって特徴づけられたがんの治療または予防方法も本明細書に提供される。また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、活性化βカテニン経路によって特徴づけられたがんの治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、βカテニン突然変異によって特徴づけられたがんは、CRC、胃癌、HCC、または肉腫である。いくつかのこのような実施形態において、活性化βカテニン経路によって特徴づけられたがんは、CRC、胃癌、HCC、または肉腫である。
【0161】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、肝細胞癌(HCC)の治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、HCCは、βカテニン突然変異及び/または増加したYAP発現によって特徴づけられる。いくつかのこのような実施形態において、HCCは、活性化βカテニン経路及び/または増加したYAP増幅発現によって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、増加したYAP発現は、増幅又は突然変異によるものである。
【0162】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、直腸結腸癌(CRC)の治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、CRCは、BRAF突然変異及び/またはβカテニン突然変異によって特徴づけられる。いくつかのこのような実施形態において、CRCは、BRAF突然変異及び/または活性化βカテニン経路によって特徴づけられる。
【0163】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、胃癌の治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、胃癌は、βカテニン突然変異によって特徴づけられる。いくつかのこのような実施形態において、胃癌は、活性化βカテニン経路によって特徴づけられる。
【0164】
また、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、黒色腫の治療または予防方法も本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、黒色腫は、BRAF突然変異及び/またはNRAS突然変異によって特徴づけられる。
【0165】
更に、遺伝子突然変異によって特徴づけられるがんを有する患者において、本明細書に記載の化合物1の製剤による治療への応答を予測する方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を得ること、b)前記生物学的試験試料中のBRAF、NRAS、KRAS及び/またはCTNNB1から選択される1つ以上の遺伝子の遺伝子配列を得ること、c)前記遺伝子配列(複数可)を、生物学的野生型試料の遺伝子配列(複数可)と比較して、突然変異の存在が、本明細書に記載の化合物1の製剤による前記患者のがん治療への応答の可能性の増大を示すことを含む方法が、本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、本方法は、追加的に、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を投与することを含む。
【0166】
更に、遺伝子突然変異によって特徴づけられるがんを有する患者の治療において、本明細書に記載の化合物1の製剤による治療効力を予測する方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を得ること、b)前記生物学的試験試料中のBRAF、NAS、KRAS及び/またはCTNNB1から選択される1つ以上の遺伝子の遺伝子配列(複数可)を得ること、c)前記遺伝子配列(複数可)を、生物学的野生型試料の遺伝子配列(複数可)と比較して、突然変異の存在が、前記患者における本明細書に記載の化合物1の製剤による前記治療に対する治療効力の可能性の増大を示すことを含む方法が、本明細書に提供される。いくつかのこのような実施形態において、本方法は、追加的に、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を投与することを含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、がん転移の治療及び予防方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、がんは、転移性がん、特に転移性固形腫瘍または転移性血液癌であり、固形腫瘍及び血液癌は、本明細書に記載のものである。他の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、がん転移の治療及び予防方法が本明細書に提供される。なお別の態様では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象においてがん幹細胞を根絶する方法が本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象においてがん幹細胞の分化を誘導する方法が本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象においてがん幹細胞死を誘導する方法が本明細書に提供される。いくつかのそのような実施形態において、がんは、本明細書に記載の固形腫瘍または血液癌である。
【0168】
一実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含む、患者において完全な応答、部分的な応答、または安定した疾患の固形腫瘍効果判定基準(RECIST 1.1)を達成する方法が、本明細書に提供される。別の実施形態では、カプラン・マイヤー推定値により決定した、無増悪生存率を増大させる方法が本明細書に提供される。
【0169】
一実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含む、患者において進行性疾患の固形腫瘍効果判定基準(RECIST 1.1)を予防または遅延する方法が、本明細書に提供される。一実施形態において、進行性疾患の予防または遅延は、標的病変の全体的なサイズに、治療前と比較して、例えば-30%~+20%の変化があることによって特徴づけられる、または達成される。別の実施形態において、標的病変のサイズの変化は、治療前と比較した標的病変のサイズの全体的なサイズにおける30%を超える低減、例えば50%を超える低減である。別の実施形態において、予防は、治療前と比較して、非標的病変のサイズの低減または進行の遅延によって特徴づけられる、または達成される。一実施形態において、予防は、治療前と比較して、標的病変の数の低減によって達成される、または特徴づけられる。別の実施形態において、予防は、治療前と比較して、非標的病変の数または質の低減によって達成される、または特徴づけられる。一実施形態において、予防は、治療前と比較して、標的病変の不在または消滅によって達成される、または特徴づけられる。別の実施形態において、予防は、治療前と比較して、非標的病変の不在または消滅によって達成される、または特徴づけられる。別の実施形態において、予防は、治療前と比較して、新たな病変の予防によって達成される、または特徴づけられる。なお別の実施形態において、予防は、がん関連悪液質または疼痛増加など、治療前と比較して疾患進行の臨床徴候または症候の予防によって達成される、または特徴づけられる。
【0170】
ある特定の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含む、治療前と比較して、患者における標的病変のサイズを減少する方法が本明細書に提供される。
【0171】
ある特定の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含む、治療前と比較して、患者における非標的病変のサイズを減少する方法が本明細書に提供される。
【0172】
ある特定の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含む、治療前と比較して、患者における標的病変の数の低減を達成する方法が本明細書に提供される。
【0173】
ある特定の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含む、治療前と比較して、患者における非標的病変の数の低減を達成する方法が本明細書に提供される。
【0174】
ある特定の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含む、患者における全ての標的病変の消滅を達成する方法が本明細書に提供される。
【0175】
ある特定の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含む、患者における全ての非標的病変の消滅を達成する方法が本明細書に提供される。
【0176】
ある特定の実施形態では、がん、特に本明細書に記載の固形腫瘍を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に固形腫瘍を有する患者に投与することを含み、治療が、固形腫瘍効果判定基準(RECIST 1.1)より決定して、完全な応答、部分的な応答、または安定した疾患をもたらす方法が、本明細書に提供される。
【0177】
ある特定の実施形態では、がん、特に本明細書に記載の固形腫瘍を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含み、治療が、治療前と比較して、標的病変サイズの低減、非標的病変サイズの低減、ならびに/または新たな標的及び/もしくは非標的病変の不在をもたらす方法が、本明細書に提供される。
【0178】
ある特定の実施形態では、がん、特に本明細書に記載の固形腫瘍を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍を有する患者に投与することを含み、治療が、がん関連悪液質または疼痛増加などの臨床進行に予防または遅延をもたらす方法が、本明細書に提供される。
【0179】
別の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載のリンパ腫などの血液癌を有する患者に投与することを含む、患者のNHLの国際ワークショップ基準(International Workshop Criteria (IWC)(Cheson BD,Pfistner B,Juweid,ME,et.al.Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma.J.Clin.Oncol:2007:(25)579-586を参照すること)によって特徴づけられる治療応答を誘導する方法が、本明細書に提供される。別の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載のリンパ腫などの血液癌を有する患者に投与することを含む、患者においてNHLの国際ワークショップ基準(IWC)によって決定して完全な寛解、部分的な寛解、または安定した疾患を達成する方法が、本明細書に提供される。別の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載のリンパ腫などの血液癌を有する患者に投与することを含む、患者においてNHLの国際ワークショップ基準(IWC)によって決定して全生存期間、無増悪生存期間、無イベント生存期間、腫瘍増殖停止時間、無病生存期間、または無リンパ腫生存期間の増加を達成する方法が、本明細書に提供される。
【0180】
別の実施形態では、有効量の化合物1の製剤を、がんを有する、特に多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、多発性骨髄腫の治療効果判定国際統一基準(International Uniform Response Criteria for Multiple Myeloma)(IURC)(Durie BGM,Harousseau J-L,Miguel JS,et al. International uniform response criteria for multiple myeloma.Leukemia,2006;(10)10:1-7を参照すること)により評価した治療応答を誘導する方法が、本明細書に提供される。別の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、患者において多発性骨髄腫の治療効果判定国際統一基準(IURC)によって決定して厳密完全応答、完全応答、非常に良好な部分応答、または部分応答を達成する方法が、本明細書に提供される。別の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、患者において全生存期間、無増悪生存期間、無イベント生存期間、腫瘍増殖停止時間、または無病生存期間の増加を達成する方法が、本明細書に提供される。
【0181】
別の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に多形神経膠芽腫(GBM)を有する患者に投与することを含む、患者のGBMの神経腫瘍学における応答評価(Response Assessment for Neuro-Oncology)(RANO)ワーキンググループ(Wen P.,Macdonald,DR.,Reardon,DA.,et al. Updated response assessment criteria for high-grade gliomas:Response assessment in neuro-oncology working group.J.Clin.Oncol.2010;28:1963-1972を参照すること)により評価した治療応答を誘導する方法が、本明細書に提供される。一実施形態において、RANOは、GBMタイプの有効性評価対象に対して、治療1日目から6か月目の無増悪対象の割合を確立するために使用される。
【0182】
別の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍または血液癌を有する患者に投与することを含む、患者の米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス(Performance Status)を改善する方法が、本明細書に提供される。
【0183】
別の実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍または血液癌を有する患者に投与することを含む、患者の陽電子放射断層撮影(PET)の結果により評価した治療応答を誘導する方法が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、がん、特に本明細書に記載の固形腫瘍または血液癌を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物1の製剤を、がんを有する、特に本明細書に記載の固形腫瘍または血液癌を有する患者に投与することを含み、治療が、例えば、PET画像化により測定して腫瘍代謝活性の低減をもたらす方法が、本明細書に提供される。
【0184】
更に、がん、特に本明細書に記載の固形腫瘍または血液癌が予め治療されている患者、ならびに予め治療されていない患者を治療する方法が、本明細書に提供される。そのような方法は、本明細書に記載の化合物1の製剤の投与を含む。がんを有する患者は、異質の臨床徴候及び様々な臨床結果を有するため、患者に施される治療は、その予後に応じて異なり得る。熟練の臨床医は、過剰な実験を行うことなく、がんを有する個々の患者の治療に有効に使用され得る、特定の二次作用物質、手術の種類、及び非薬物系標準療法の種類を用意に決定することができる。
【0185】
本明細書に提供される化合物1の製剤は、上記に記載の方法のいずれかに使用することができる。
【実施例
【0186】
6.実施例
以下の実施例は、例示として提示されており、限定するものではない。化合物は、ChemBiodraw Ultra(Cambridgesoft)により提供された自動名称生成ツールを用いて命名され、これは、立体化学のカーン・インゴルド・プレローグ則の支援で化学構造の系統名を生成する。当業者は、例示的な実施例に記載する手順を修正して、所望の生成物に達することができる。
【0187】
使用される略語:
【表1】
【0188】
6.1 噴霧乾燥分散体製剤の調製
化合物1の噴霧乾燥分散体製剤は、図60に描写された化合物1の噴霧乾燥プロセスによって得た。噴霧乾燥プロセスは、(1)化合物1を溶媒と25℃で混合して、懸濁液を得ること、(2)懸濁液を約80℃(78~88℃)に加熱すること、(3)表1または表2の条件下で噴霧乾燥して、噴霧乾燥分散体製剤を生じること、及び(4)得られた固体を回収すること、から構成される。
【0189】
表1.噴霧乾燥条件パートA
【表2】
【0190】
表2.噴霧乾燥条件パートB
【表3】
【0191】
6.2 化合物1の動物薬物動態(PK)製剤開発試験の概要
化合物1は、基本的な部分であり、pH依存性溶解プロファイルを有する。正常な胃のpH範囲の下では、溶解度及びバイオアベイラビリティは変わることが予想され、患者内及び患者間のPK変動をもたらす。様々なブレンド・イン・カプセル(Blend in Capsule )(BIC)製剤のインビトロ及びインビボ評価を行って、原薬放出のpH依存性を最小限にした。
【0192】
系統的製剤開発を行い、イヌPK研究による評価のために3つの製剤を選択した(従来の製剤(表11のF4-1)(A)、増強製剤(F15、表27)(B)及び乾燥分散体(エントリ1、表1~表2)(SDD)(C))。製剤A(従来の賦形剤)は、暴露に最高の変動を実証し、胃のpHの増加で暴露の低減を実証した。製剤C(SDD)は、最高の暴露を示したが、増加した胃のpHでは暴露の中程度の低減を示した。
【0193】
製剤Bは、ファースト・イン・ヒューマン(FIH)製剤の開発のための基礎として推奨された。酸性化剤(例えば、クエン酸)と界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)の組合せは、局所pHを制御し、同時に薬物溶解度を高めることによって相乗効果を提供した。製剤B及びCは、両方とも胃のpHの影響を緩和する可能性を実証した。製剤Cは、非晶質SDD薬品中間体を利用した。
【0194】
6.3 試験1プロトタイプ製剤
薬物放出(溶解)の評価のため、図1に列挙されたプロセスによって7個の化合物1のブレンドを調製した。各ブレンドの組成を表3に示す。機能性賦形剤を3つのクラス:酸性化剤(酒石酸、フマル酸及びクエン酸)、沈殿防止剤(PEG4000及びヒドロキシプロピルセルロース)、ならびに可溶化剤(ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)に分けた。
【0195】
表3 プロトタイプ製剤の組成(試験1)
【表4】
【0196】
HPC=ヒドロキシプロピルセルロース;HP-β-CD=ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン;MCC=微結晶性セルロース;PEG=ポリエチレングリコール。
【0197】
溶解条件1(表4)を使用して、ゼラチン(図2)及びHPMC(図3)のカプセルシェル中の試験1製剤(セクション6.3)の放出を評価した。2段階溶解条件2(表5)使用して、ゼラチン(図4)及びHPMC(図5)のカプセルシェル中の試験1製剤の放出も評価した。
【0198】
溶解条件1
【0199】
表4 製剤試験1、2の溶解方法(FaSSIF)
【表5】
【0200】
FaSSIF=絶食状態模擬腸液
【0201】
溶解条件2
【0202】
表5 製剤研究1の溶解方法(2段階)
【表6】
【0203】
FaSSIF=絶食状態模擬腸液
【0204】
薬物放出率によって決定される胃のpHの影響を緩和する能力を理解するため、研究1の結論では、検討から賦形剤(酒石酸、ヒドロキシプロピルセルロース及びHP-β-CD)を排除している。
【0205】
化合物1は、F1-2ゼラチンカプセル中における2段階溶解の緩衝剤段階(pH6.8)で沈殿した(酒石酸)。
【0206】
F1-5(PEG4000)の放出率は、FaSSIF条件では低かった。
【0207】
F1-6(HPC)の放出率は、FaSSIF及び2段階溶解の両方で低かった。
【0208】
6.4 研究2プロトタイプ製剤
薬物放出(溶解)の評価のため、図1に記載されたプロセスによって6個の化合物1のブレンドを調製した。各ブレンドの組成を表6に示す。製剤は、種々な機能性賦形剤、すなわち、界面活性剤(SLS)、酸性化剤+沈殿防止剤(フマル酸またはクエン酸+PEG4000)、酸性化剤+界面活性剤(クエン酸+SLS)、沈降防止剤+界面活性剤(PEG4000+SLS)、酸性化剤+沈降防止剤+界面活性剤(クエン酸+PEG4000+SLS)の組み合わせに基づいて評価した。表7を参照すること。
【0209】
表6 プロトタイプ製剤(研究2)の組成
【表7】
【0210】
MCC=微結晶性セルロース;PEG=ポリエチレングリコール;SLS=ラウリル硫酸ナトリウム。
【0211】
上記の6個の増強製剤に加えて、化合物1の噴霧乾燥分散体(SDD)ブレンドを含有する1個の製剤も、薬物放出(溶解)評価のために調製した。SDD製剤ブレンドの組成を表7に示す。
【0212】
SDD中間体は、以下の手順により調製した:化合物1を容器1中のアセトンに溶解した。HPMC及びTPGSを容器2中の水に溶解した(約80℃に加熱)。次いでアセトン溶液中のAPIを、HPMC/TPGS水溶液に4:6の比で加え、混合して、清澄及び均質の溶液にした。次いで溶液を、指定された流量及び入口温度でBuchi B-290に供給した。SDD中間体粉末を回収容器に得た。
【0213】
10グラムの製剤ブレンドを図1に記載されたプロセスに従って調製し、化合物1はSDDであった。
【0214】
表7 研究2のプロトタイプ製剤F2-7(SDD)の組成
【表8】
【0215】
HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロース;MCC=微結晶性セルロース;TPGS=ビタミンE(d-α-トコフェリル)ポリエチレングリコール1000スクシネート。
【0216】
溶解条件1(表4)を使用して、ゼラチン(図6)及びHPMC(図7)のカプセルシェル中の研究2製剤の放出を評価した。溶解条件3(表8)を使用して、ゼラチン(図8)及びHPMC(図9)のカプセルシェル中の研究2製剤の放出も評価した。
【0217】
表6に提供される製剤のうち、SLS単独のもの(F2-3)及び酸(F2-4)またはポリマー(F2-5)と組み合わせたものは、他の製剤と比較して優れた放出率を提供し、SLSが、化合物1の迅速で即時の放出のために重要であることを示唆している。酸とポリマーの組合せ(F2-1、F2-2)は、相乗効果を提供しない。同様に、SLS、酸及びポリマー(F2-6)の組合せは、無限大時点までゼラチンカプセル中の化合物1の完全放出をもたらさず、HPMCカプセル中に僅かな緩徐放出を有する。したがって、PEG4000は、原薬放出を改善せず、したがって更なる評価から除外した。SDD(F2-7)は、緩徐放出プロファイルを有するが、無限大にするより前に完全放出を有する。
【0218】
化合物1の溶解度を様々な率のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)で決定した。0.03%のSLSを、溶解条件3の媒体に選択した。0.2μmのナイロンシリンジフィルタを使用して、試料を濾過し、表9に列挙された方法パラメータを利用して、UPLC-UVにより分析した。
【0219】
表8 SLSを用いたpH6.5のリン酸塩緩衝剤中の化合物1クエン酸塩の溶解度
【表9】
【0220】
SLS=ラウリル硫酸ナトリウム
【0221】
表9 製剤の安定性についてのUPLC方法の条件
【表10】
【0222】
6.5 研究3プロトタイプ製剤
研究3には、研究1及び2で調製されたカプセルが含まれた。F3-1は、サイズ#00の白色不透明ゼラチンカプセルに充填された試験1のF1-1であった。F3-2は、サイズ#00の白色不透明ゼラチンカプセルに充填された研究1のF1-4であった。F3-3は、サイズ#00の白色不透明ゼラチンカプセルに充填された研究2のF1-3であった。F3-4は、サイズ#00の白色不透明ゼラチンカプセルに充填された純粋なSDD中間体粉末であった。SDD中間体の低い嵩密度のため、最大量の108.08mgをカプセルシェルに充填し、これは、40mg用量の化合物1遊離塩基に相当した。F3-5は、錠剤に圧縮された研究2のF2-7であった。200mgのF3-5ブレンドを、2000lbの圧縮力及び標準平面ツールを使用するCarver Pressによって単一錠剤に圧縮した。F3-6は、F3-5と同様の製剤構成成分を有したが、4%の代わりに10%に増加したレベルの崩壊剤(Kollidon CL)を有した。F3-6を研究2で調製されたF2-7と同じ方法で調製した。F3-4とF3-5の溶解プロファイルを比較するため、F3-6は、サイズ#0のゼラチンカプセルに充填した200mgのブレンドを有して、F3-4及びF3-5と同じ用量強度の40mgにした。各ブレンドの組成を表10に示す。
【0223】
表10 プロトタイプ製剤(研究3)の組成
【表11】
【0224】
MCC=微結晶性セルロース;SLS=ラウリル硫酸ナトリウム。F3-1=F1-1(研究1);F3-2=F1-4(研究1);F3-3=F2-3(研究2);F3-5(錠剤に圧縮)=F2-7(カプセルとして調製した試験2)。
【0225】
SDD=37/53/10%w/w/wの化合物1遊離塩基/HPMC/TPGS。
【0226】
溶解性能に大きな差が、研究1及び研究2の同じ製剤のゼラチンカプセルとHPMCカプセルにおいて観察されなかったので、ゼラチンカプセルをその後の溶解の評価のために選択した。溶解条件3(表8)を使用して、研究3製剤の放出を評価した(図10)。研究3は、研究1及び2で調製されたゼラチンカプセルを含み、溶解方法3を使用して分析し、研究2の試料を評価するためにも使用した(図8)。
【0227】
F3-1は、F1-1と同様に研究1で調製した。F3-2は、F1-4と同様に研究1で調製した。F3-3は、F2-3と同様に研究2で調製した。F3-4は、カプセルに充填されたSDD中間体のみを含有した。F3-5は、F2-7SDDと同様に研究2で調製し、錠剤に圧縮した。F3-6は、研究3の新たなSDD製剤(増加したレベルの崩壊剤を有する)であった。
【0228】
F3-3は、6個の製剤の全てのうちで最速の薬物放出を実証して、研究2の結論、すなわち、SLSが、増強された薬物放出プロファイルに重要な貢献をしたことを確認した。F3-2(クエン酸)は、F3-1(従来)と同様の溶解プロファイルを実証して、酸単独では、薬物溶解を増強するのにSLSと同じ有効性がないことを示唆した。新しいSDDの製剤F3-6の溶解は、元のSDD製剤と比較して改善され、それは、製剤中の崩壊剤の増加レベルに起因する可能性が最も高かった。しかし、依然として、SLSを有する増強製剤のF3-3より遅かった。F3-5(SDD錠剤)は崩壊せず、超崩壊剤(例えば、Ac-Di-Sol、クロスカルメロースナトリウム)の添加は、錠剤製剤が将来的に検討される場合、薬物放出にとって有利になる可能性がある。
【0229】
6.6 研究4プロトタイプ製剤
研究4は、酸性化剤、界面活性剤及び酸性化剤と界面活性剤の組み合わせを評価した。薬物放出(溶解)の評価のため、表1に記載されたプロセスによって7個の化合物1のブレンドを調製した。各ブレンドの組成を表11に示す。本研究では、薬物負荷量は、動物PK研究に必要な用量強度を一致させるために、26.7%(50mg用量)から13.36%(20mg用量)に低減させ、充填重量を200mgに設定した。
【0230】
表11 プロトタイプ製剤(研究4)の組成
【表12】
【0231】
MCC=微結晶性セルロース;SLS=ラウリル硫酸ナトリウム。
【0232】
SDD=37/53/10%w/w/wの化合物1遊離塩基/HPMC/TPGS。
【0233】
溶解条件3(表8)を使用して、ゼラチン(図11)カプセルシェル中の研究4製剤の放出を評価した。
【0234】
差は使用された溶解条件下で有意ではないが、クエン酸+SLS(F4-5)製剤は、溶解放出が他の製剤より優れていた。研究4の用量強度を、その後の動物PK研究に使用される用量強度を模倣するため、研究1~3に使用したカプセル1個あたり50mgからカプセル1個あたり20mgに低減した。
【0235】
SDDカプセル(F4-7)の崩壊は、噴霧乾燥中間体における多量の無極性HPMCにおかげで遅い。
【0236】
F4-1(従来)、F4-5(増強:クエン酸+SLS)及びF4-7(有効:SDD)を、1か月の安定性評価(セクション6.7)及びイヌPK研究(セクション6.8)のために選択する。
【0237】
6.7 選択されたカプセル製剤のための予備安定性の結果
研究4(セクション6.6)から選択された3個の製剤を、開放皿条件下での安定性について評価した。アッセイ及び不純物を、25℃/60%RH及び40℃/75%RHで1か月間まで保存して評価した。液体クロマトグラフィーを使用して試料を評価した。
【0238】
表12 選択された製剤のHPLCアッセイ及び不純物の結果
【表13】
【0239】
QL=定量限界=0.05%;RRT=相対保持時間。網掛け=観察の変更;ND=未決定
【0240】
1か月40℃/75%RH条件のF4-5を除いて、アッセイに有意な変化は観察されなかった。不純物プロファイルには変化はなく、この結果は、アッセイ方法に利用されたカプセル充填重量または抽出手順に関係する可能性があった。
【0241】
有意な変化なし(≧0.10%)が、いずれの製剤の不純物においても観察された。F4-5は、同等の不純物値(なし≧QL)を有した。F4-1及びF4-7は、それぞれ、40℃/75%RHの条件下でQLを超えて増える1つの不純物を有した。F4-1不純物(RRT0.96)の結果は、1か月40℃/75%RHの試料において繰り返されず、関連した試料である可能性が低かった。F4-7不純物(RRT0.89)の結果は、2週間及び1か月40℃/75%RHの試料において繰り返され、関連した試料である可能性が高かった。
【0242】
許容される安定性は、25℃/60RH及び40℃/75%RHで1か月間保存した場合、3個の製剤によって実証された。
【0243】
6.8 イヌPKの概要
3個の製剤を、暴露を評価するため及びファースト・イン・ヒューマン・リード製剤を確認するために動物PK研究で試験した。
【0244】
この研究では、15匹の絶食雄犬(5匹/群)に、2用量のペンタガストリン(0.006mg/kg)を60分間隔で別々の筋肉内経路により投与して、胃酸分泌を増加させた。20mgの単一化合物1カプセル(~2mg/kと同等)を、ペンタガストリンの2番目の用量の30分後に投与した。
【0245】
1週間の休薬期間の後、全ての動物を絶食させ、20mgの単一化合物1カプセルを投与するおよそ30分前に、胃酸生成を抑制するために40mgのファモチジンの経口用量を投与した。
【0246】
各動物の胃内pHを、予備治療前及び化合物1投与の前に測定した。血液試料を各動物から採取して、化合物1の濃度を得た。
【0247】
研究で試験した製剤は、表11に記載されており、下記に要約されている。
【0248】
F4-1:従来の製剤:10%化合物1
【0249】
F4-5:増強製剤:10%化合物1+10%クエン酸+5%SLS
【0250】
F4-7:有効製剤:噴霧乾燥中間体(10%活性剤、14.8%HPMC、2.8%TPGS)と従来の賦形剤
【0251】
表13は、研究の胃内pH及びPKの結果を列挙する。図12図13及び図14は、24時間の投与後時間にわたる化合物1の血漿中濃度を示す。図15は、2つのpH制御イヌ群における3個の異なる製剤のAUCとCmaxの比較を示す。
【0252】
表13 雄ビーグル犬への化合物1の単回経口カプセル投与後の平均薬物動態パラメータ
【表14】
【0253】
AUC24時間=用量の0時点から24時間後の血漿中濃度時間曲線下面積;Cmax=最大血漿中濃度;Tmax=最大血漿中濃度(Cmax)までの時間
【0254】
胃内pHは、化合物1の投与前に測定した。各群の平均及び範囲が報告された。
【0255】
max値は、中央値(範囲)として報告され、一方、他のパラメータは平均値±SD(n=5)として報告されている。
【0256】
従来の製剤(F4-1)は、2つのpH治療群における暴露で最高の変動を示し、FIH製剤として提案されない。
【0257】
SDDを含有する有効製剤(F4-7)は、増強製剤(F4-5)より高いCmax及びAUCを実証し、F4-1と比較して少ない変動を実証した。
【0258】
結晶性APIを含有する増強製剤(F4-5)は、最も一貫したCmax及びAUC値を、低及び高胃内pH条件の両方において実証した。平均Cmax及びAUC値は、F4-1とほぼ同等であり、平均AUCは75%であり、Cmaxは、F4-7の結果のおよそ65%であった。
【0259】
増強製剤は、研究したpH範囲でより一貫したKの結果があり、かつ粉末乾燥分散体(SDD)の製造が排除されるのでFIH製剤に選択した。
【0260】
6.9 結論
化合物1への臨床曝露は、患者の胃内pHに基づいて変わり得る。系統的な製剤の開発は、暴露に対する胃内pHの変動への影響を最小限にし、それによって患者内及び患者間のPK変動を低減させるために行った。
【0261】
クエン酸及びラウリル硫酸ナトリウムを含有する増強製剤は、動物PK研究における胃内pH変化による暴露に対して最少の変動を実証した。
【0262】
SDDを含有する有効製剤は、最高の全体的暴露を有し、胃内pHで適度な暴露変動を示した。臨床研究において興味深い用量範囲を考えると、最も興味深いものは絶対的暴露ではなく、暴露変動である。この製剤は、製造プロセスにおいて追加の噴霧乾燥ステップを必要とし、増強製剤に対する利点をほとんど提供しなかった。
【0263】
6.10 化合物1ファースト・イン・ヒューマン製剤(FIH)開発研究の要約
化合物1は、結腸直腸癌の治療を目的とする。プロトンポンプ阻害剤(PPI)を受ける患者集団の大部分は、正常な患者よりも高い胃内pHを示すことがある。化合物1は、pH依存性溶解プロファイルを有し、潜在的な患者内及び患者間K変動をもたらす。ブレンド・イン・カプセル製剤の開発は、原薬放出のpH依存性を最小限にするために行った。
【0264】
局所pHを制御するため及び薬物溶解度を高めるために酸性化剤(クエン酸)及び界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)と組み合わせた増強製剤は、ペンタガストリン(胃酸分泌を増加する)またはファモチジン(胃酸生成を抑制する)で予備治療したイヌにおける化合物1の暴露に最小の変化を示した。この製剤は、FIH製剤開発研究のための出発組成物であった。
【0265】
従来の賦形剤、酸性化剤、界面活性剤、酸化防止剤及び滑沢剤を含有する製剤の系統的開発、ならびに評価(安定性及び溶解度)を実施した。界面活性剤と酸性化剤の組み合わせは、界面活性剤だけより化学的安定性を改善し、フマル酸はクエン酸よりも良好な化学的安定性を有する。クエン酸(ゼラチンカプセル中の低用量)を含有する製剤は、加速安定性条件下でカプセルシェル破壊を示した。したがって、クエン酸の代わりにフマル酸を製剤中の酸性化剤として選択した。加速安定性評価プログラム(ASAPの)データに基づいて、FIH製剤は、パッケージング及び乾燥剤の添加にかかわらず、室温で3年間の予測貯蔵寿命を有した。
【0266】
従来の製剤への界面活性剤と酸性化剤の添加は、生理学的pH範囲にわたって溶解放出プロファイルの差を低減させ、pH6.8の緩衝剤系が最速の放出を有した。カプセル間の溶解放出の変動が、HPMCカプセルシェルに充填されたフマル酸及びラウレス硫酸ナトリウムを含有する製剤で認められた。同じ製剤をゼラチンカプセルシェルに充填したとき、溶解の変動が劇的に最小化されたことに留意すべきである。このように、ゼラチンカプセルシェルが、この製剤のために推奨された。
【0267】
FIH製剤では2kgに拡大することに成功している。臨床用量範囲は1~150mgであり、一般的なブレンドは全ての範囲を網羅しないことがある。加えて、原薬の針粒子形態は、高い薬物負荷ブレンドのため不十分な流動をもたらした。最初に、3つのカプセル強度(1、5、25mg)を目標としたが、薬物負荷と、通過可能な流動及びカプセルサイズとを釣り合わせると、最も高いカプセル強度を20mgまで低減した。ブレンドの流動、成層カプセルの均質性及びタンピングピンへの付着は、製造上の難題となることがあり、開発中にモニターされた。
【0268】
6.11 序文
化合物1のファースト・イン・ヒューマン(FIH)開発プログラムの目的は、段階的に適切な(phase-appropriate)即時放出固体経口剤形を作り出すこと、ならびに製品の意図した貯蔵寿命にわたって目標製品品質プロファイル(QTPP)の安全性及び有効性の要件を一貫して満たしている製造プロセスを作り出すことであった。
【0269】
プロトタイプのブレンド・イン・カプセル(BIC)製剤は、FIH製剤開発の出発点として、前記の動物PK研究に基づいて選択した。当初の目標製品プロファイル(TPP)の情報を、表14に要約されている医薬品の設計基準として使用した。
【0270】
表14:目標製品プロファイル(FIHの初期)
【表15】
【0271】
表15は、目標製品品質プロファイルの現代的な形態を表し、FIHの製剤開発中に更なる指針を提供するために使用された情報の種類を列挙している。
【0272】
表15:目標製品品質プロファイル(FIHの初期)
【表16】
【0273】
6.12 製剤開発及び評価
イヌのPK研究に基づいて、ゼラチンカプセル中に酸性化剤及び界面活性剤を含有する増強製剤ブレンド(F4-5)(表16)を、FIH製剤開発のためのベース製剤として選択した。F4-5の1か月安定性研究は、25℃/60%RH及び40℃/75%RHで保存した後、不純物プロファイルに変化を示さなかった。
【0274】
表16:プロトタイプイヌPK製剤の組成
【表17】
【0275】
6.13 用量強度及び薬物負荷の選択
予測臨床用量範囲は1~150mgであり、3つの剤形強度(1、5、25mg)を目標とした。
【0276】
いくつかの薬物負荷の予備的な評価を、得られたブレンドの嵩密度及び潜在的な投与単位サイズに基づいて実施した(表17)。加工性の観点から75mgのカプセル充填重量の下限を考えると、最も低い薬物負荷を1mgの用量強度で1.8%と決定した。望ましいカプセルサイズは、患者の服薬遵守の観点からサイズ1以下とする。したがって、「一般的なブレンド」の手法は、乾式混合プロセスには適用できないと考えられた。その結果、6.8%及び22.5%の薬物負荷を、それぞれ5mg及び25mgの用量強度に選択した。1.8%の低い薬物負荷及び22.5%の高い薬物負荷を、その後の製剤開発研究において、それぞれ、化学的安定性の観点及び溶解性の観点から評価した。
【0277】
表17:製剤及び剤形の特徴
【表18】
【0278】
6.14 製剤の安定性及び溶解性の評価
動物PK研究に選択されたベース製剤(表16)を、望ましい製剤安定及び溶解プロファイルを達成するために最適化した。実験を実施して、FIH製剤に組み込むのに適した賦形剤の種類及びレベルを決定した。
【0279】
6.15 溶解性に対する賦形剤レベルの影響
10%クエン酸及び5%SLSをベース製剤に使用した。賦形剤のレベルを最適化するため、対照としてF18-1(従来)、ならびに様々なレベルの酸性化剤(クエン酸-CA)及び界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム-SLS)の6個のゼラチンカプセル中25mg製剤を調製した(表18)。pH6.5のFaSSIF媒体中の各製剤の溶解性を評価し、結果を表19に列挙し、図16にプロットした。
【0280】
表18:様々なレベルの酸性化剤及び界面活性剤の製剤F18-1~F18-6
【表19】
【0281】
表19:F18-1~F18-6バスケット、100RPM、pH6.5のFaSSIFでの溶解比較
【表20】
【0282】
溶解条件:900mLのFaSSIF、機器I(バスケット)、100rpm。FaSSIF=絶食状態模擬腸液(pH6.5及び3mMのタウロコール酸ナトリウム、0.75mMのレシチンを含有)。
【0283】
最も遅い溶解は、酸性化剤または界面活性剤を有さない従来の製剤(F18-1)であった。F18-6(5%CA及び2.5%SLS)は、最速の放出プロファイルを有し、F18-5(5%CA及び5%SLS)より僅かに速かった。両方とも、F18-2(1%SLS)、F18-3(2.5%SLS)及びF18-4(5%CA)より速い放出を示し、界面活性剤と組み合わせた酸性化剤の薬物溶解への相乗効果を示した。1%の界面活性剤レベルによる放出プロファイルは、5%SLSに匹敵した。したがって、5%CA及び1%SLSを含有するベース製剤を、その後の製剤開発研究のために選択した。
【0284】
6.16 様々な希釈剤、酸性化剤、酸化防止剤及び滑沢剤による安定性研究
製剤の様々な構成成分を評価する安定性研究を検討した。
【0285】
クエン酸(CA)及びステアリン酸(SA)は、賦形剤適合性研究で分解を示した。そのため、代替の酸性化剤及び滑沢剤では、潜在的な安定性のリスクの緩和について評価した。製剤F20-1(従来)は対照であり、8個の追加の製剤を調製した。F20-2は、CA+SLSを含有し、F20-3及びF20-4は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)または酸化防止剤としてメタ重亜硫酸ナトリウム(SMB)のいずれかを含み、F20-5及びF20-6は、CAまたはSLSのいずれかを含み、F20-7は、代替の酸性化剤(フマル酸)を含み、F20-8及びF20-9は、代替の滑沢剤であるステアリン酸またはステアリルフマル酸ナトリウム(SAまたはSSF)を含む。
【0286】
製剤の組成を表20に列挙する。製剤を硬ゼラチンカプセルに封入した。カプセルを誘導加熱密閉HDPEボトルに(ボトル1本あたり7カウントで)パッケージし、50℃/75%RHで安定して保存した。
【0287】
表20:1mg製剤の構成成分の組成及び機能についてのスクリーニング
【表21】
【0288】
SLS=ラウリル硫酸ナトリウム
【0289】
6.17 化合物1の形態変換の評価
製剤を、初めにX線粉末回折(XRPD)により評価し、50℃/75%RHで1か月間保存した後、化合物1の多形形態の変換またはクエン酸塩の不均化について評価した(表21)。低い回折角での薬物のピークの消滅が観察されたが、形態Bから形態Aへの形態変化、または塩の不均化を1.84%の薬物負荷レベルで検出することは困難であった。XRPDも、高いDLの従来及び増強製剤(22%DL)に実施した。形態変化または塩不均化の証拠は観察されなかった。
【0290】
表21:F1~F9のXRPDの結果の要約
【表22】
【0291】
注:容易に識別され得る主要な化合物1の形態Bのピークは、4°~7°2θの間の3つのピークである。
【0292】
6.18 カプセルの外観
カプセル外観を50℃/75%RHで1か月の保存後に評価した。CAを含有する全ての製剤は、有意なカプセルシェルの破損を示した。クエン酸は吸湿性であり、水分の取り込みがカプセルシェルの脆性をもたらしたと疑われた。
【0293】
6.19 化学的安定性
50℃/75%RHで1か月間保存した後は、F20-1、F20-6、F20-7の製剤にのみ分解(RRT0.88)が観察された(表22)。これらの製剤はクエン酸を含有していない。質量分析法によるRRT0.88分解物の式は、C2426Clである。これは、フッ化水素の損失に相当する。この不純物は、アルカリ条件下で観察されている。
【0294】
式(F20-2)では分解が観察されなかった。
【0295】
表22:1mg製剤1~9の不純物%の安定性の結果
【表23】
【0296】
注:ピーク≧定量化レベルのみが報告された。
【0297】
6.20 2個の酸性化剤及びHPMC/ゼラチンカプセルシェルによる安定性研究
5個の、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルシェルに封入した1mg製剤を製造し、安定性について評価した。F20-2、F20-5、F20-6及びF20-7は表20に既に記載されており、新たな製剤F23-14は、酸性化剤のフマル酸(FA)を含有し、これはクエン酸の代わりである。製剤を表23に列挙する。
【0298】
表23:1mg製剤の組成
【表24】
【0299】
カプセルの外観及び分解物RRT0.88の形成を安定性についてモニターし、3か月までの結果を表24に提示する。
【0300】
クエン酸を含有し、ゼラチンカプセルシェル内に封入された製剤F20-2及びF20-5は、40℃/75%RHで3か月後にカプセル脆性を示し、50℃/75%RHで1か月後にカプセル破損を示した。概観の変化は、カプセルシェルの任意の他の製剤において認められなかった。
【0301】
SLSを含有し、酸性化剤を含有しない製剤F6は、最も高いレベルのRRT0.88分解物を有した。酸性化剤の添加が化学的安定性を改善した。F23-14(FA+SLS)製剤は、F20-2(CA+SLS)製剤より低いレベルのRRT0.88を示した。
【0302】
HPMC及びゼラチンカプセルシェル中のF23-14(FA+SLS)及びF20-7(FA)、ならびにHPMCシェル中のF20-5(CA)は、許容される加速安定性の結果を示した。
【0303】
表24:1mg製剤の安定性の結果
【表25】
【0304】
CA=クエン酸;FA=フマル酸;NT=未検証;SLS=ラウリル硫酸ナトリウム。
【0305】
加速安定性評価プログラム(ASAP)を製剤ブレンドF23-14(FA+SLS)及びF20-5(CA)に実施した(表25)。製剤F23-14は、研究を通して低いレベルのRRT0.88分解物を実証した。
【0306】
表25:ASAP安定性条件及びRRT0.88分解物レベ
【表26】
【0307】
湿度修正アレニウス式(humidity corrected Arrhenius equation)(すなわち、ASAP Primeバージョン4.0.1)を使用して、安定性の結果を評価した。活性化エネルギー(E)及び分解に対する水分感受性(B)を評価し、表26に列挙する。B項は、製剤が水分媒介分解に対して低度から中程度の感受性を有することを実証した。両方の製剤の活性化エネルギーは、他の試験製剤と比べて同等から低いものであり(試験した69個の製剤で平均して27kcal/mole)、組合せが安定した剤形をもたらすはずである。このことは、様々なシナリオの下で提案された貯蔵寿命を高い確率で満たすことによって裏付けられている。モデル予測に基づいて、F23-14は、乾燥剤を用いて、または用いないで25℃/60RHにおいて長期安定性を実証することが期待された。
【0308】
表26:分解動態及び貯蔵寿命確率
【表27】
【0309】
CA=クエン酸;FA=フマル酸;SLS=ラウリル硫酸ナトリウム。
【0310】
不純物の平均活性化エネルギーは27kcal/molである。
【0311】
不純物の平均水分感度係数は0.034である。
【0312】
合格仕様の確率
【0313】
仕様を満たす確率の減少は、不十分なモデル適合(データを適切にモデル化するには、研究中の分解が少なすぎること)によって引き起こされている可能性が高い。
【0314】
シミュレーションは、誘導加熱密閉された100ccのHDPEボトルにおいて7カウントを想定した。
【0315】
6.21 高い薬物負荷製剤のF10、F12、F13、F15、F16の溶解性
5個の高い薬物負荷(23%)の25mg製剤を調製し、ゼラチンカプセルに充填した。F27-10(CA+SLS)及びF27-11(従来)は対照であり、4個の追加の製剤を調製した。F27-12及びF27-16は、CAまたはFAのいずれかを含有し、F27-13はラウリル硫酸ナトリウムを含有し、F27-15は、CAの代わりにFAを有する他はF10と同じであった。製剤の組成を表27に列挙する。カプセルは機器I(バスケット)を100RPMで使用して試験した。
【0316】
表27:25mg製剤の組成
【表28】
【0317】
SLS=ラウリル硫酸ナトリウム
【0318】
0.1N HCl(図18)、pH4.5酢酸塩緩衝剤(50mM)(図19)及びpH6.8リン酸塩緩衝剤(50mM)(図20)中の各製剤の放出プロファイルが提供される。
【0319】
低いpHでは、化合物1は可溶性であった(約1.7mg/mL)。製剤を群に分け、従来のもの(F27-11)は、FAのみ(F27-16)またはCAのみ(F27-12)を含有する製剤より僅かに速く放出した。SLSを含有する製剤を同様に群に分け、F27-10(CA+SLS)は、F27-13(SLS)より速く放出し、F27-15(FA+SLS)と同様の放出プロファイルを有した。
【0320】
pH4.5では、化合物1(pKa約5.1)は、より酸性の媒体に比べて可溶性が少なかった(約0.25mg/mL)。製剤を群に分け、増強製剤は従来の製剤より速く放出した。増強製剤では、F27-10(CA+SLS)が、F27-15(FA+SLS)及びF27-13(SLS)より速く放出し、これらはFA(F27-16)及びCA(F27-12)製剤より僅かに速く放出した。
【0321】
pH6.8では、化合物1は、低い溶解度(pH7.3で0.002mg/mL)を有した。製剤をpH4.5と同じ順番で群に分けたが、群間の隔たりは大きかった。増強製剤では、F27-10(CA+SLS)が、F27-15(FA+SLS)及びF27-13(SLS)より速く放出し、これらはFA(F27-16)及びCA(F27-12)製剤より速く放出した。
【0322】
SLSを含有する製剤は、低いpHで最も遅い放出速度を有し、pH6.8で最も速く放出した。放出プロファイルは、低いpH媒体と比較すると、pH4.5でSLS製剤のほうが僅かに速かった。SLSはアニオン性であり、化合物1(pKa約5.1)は酸性媒体中でカチオン性である。イオン相互作用がSLSと原薬との間に発生し、これらの製剤の放出速度を抑制する中性種を作り出す可能性がある。
【0323】
0.1NのHCl、pH4.5の酢酸塩緩衝剤及びpH6.8のリン酸塩緩衝剤中における、装置Iによる100RPMでの25mgの増強製剤(FA+SLS)(F27-15、表27)の溶解プロファイルを図21に示す。
【0324】
比較のため、同じ溶解条件を使用して従来の製剤を評価し、プロファイルを図22に示す。プロファイルの比較は、増強FIH製剤が一貫した放出プロファイルを有し、従来の製剤と比較して、pHの関数としての変動が少ないことを示した
【0325】
pH4.5及び6.8では、非SLS含有製剤は、低いpHでかなり遅い放出を有した。酸性化剤とSLSの組み合わせは、適度及び中性pHで最速の溶解を提供し、低いpHで中程度の溶解性を提供した。
【0326】
6.22 溶解性に対するカプセルシェル組成物の評価
HPMC及びゼラチンシェルに封入した表27の製剤F27-15を、溶解媒体に0.05%のSLSを添加して及び添加することなく、pH6.8で評価した。
【0327】
中性pHでは、表27の製剤F27-15の溶解に高い変動が、HPMCカプセルシェルのFA+SLS製剤(25mgの強度)で観察されたが(図23)、ゼラチンカプセルシェルでは観察されなかった(図24)。
【0328】
0.5%のSLSを溶解媒体に加え、表27の製剤F27-15の高い溶解変動は、HPMCカプセルシェルのFA+SLS製剤で観察され続けたが(図25)、ゼラチンカプセルシェルでは観察されなかった(図26)。
【0329】
SLSのみの製剤(表27のF27-13)は同様に挙動したが(HPMC:図27、ゼラチン:図28)、この現象は、HPMC中のCA+SLS製剤(表27のF27-10)では観察されなかった(図29)。
【0330】
FA、SLS及びHPMCカプセルシェルの間の相互作用が、様々な薬物放出をもたらしたことが疑われた。
【0331】
溶解の終了時に、HPMCカプセルがバスケット内にゲル状の塊だらけの残留固体を保持した。図30を参照すること。これらのゼラチン状の物質が化合物1を捕捉すると、様々な溶解プロファイルがもたらされる可能性があった。
【0332】
6.23 結果
安定性および溶解性の結果に基づいて、5%のフマル酸及び1%のSLSを含有し、かつ硬ゼラチンカプセルに充填された表27の製剤27-15は、最良の全体的安定性及び溶解特性を有した。
【0333】
6.24 プロセスの開発及び評価
粒径、形状及び表面特性などの原薬の物理的性質は、製剤の製造性において役割を果たすことができる。化合物1(クエン酸塩形態B)は針状に結晶化した。
【0334】
針状粒子形状は、不十分な粉末流動及び低い密度を有する。化合物1は、0.2g/mLの嵩密度及び0.38g/mLのタップ密度を有した。低減された薬物負荷(不十分な流動構成成分の希釈)は、得られたブレンドの流動特性を改善した。6個の従来の製剤の流動性を表28に列挙する。
【0335】
表28:6個のプロトタイプ製剤ブレンドの流動性評価
【表29】
【0336】
FFC=流動関数係数
【0337】
流動関数係数(FFC)は、リング剪断により測定した。5を超えるFFC値は、良好な流動特性を有した。製剤F28-1及びF28-2は、良好な流動特性を有すると評価された。FFC値は、薬物負荷と直接関連している(F28-1<F28-2<F28-3<F28-4-F28-6)Avicelとマンニトール(F28-4対F28-5)の比を変えること、またはマンニトールをラクトース(F28-5対 F28-6)に変えることは、流動性に影響を与えなかった。
【0338】
6.25 600gの製造試験1
様々な薬物負荷の5個の製剤を開発して(表29)、予想FIH用量範囲を網羅した。
【0339】
1mgの用量及び75mgの重量では、得られた薬物負荷は1.8%であると算出された。5mgの用量では、100mgの充填重量は、6.9%の薬物負荷をもたらした。25mgの用量では、150mgの充填重量は、23%の薬物負荷をもたらした。高薬物負荷製剤(FFC=2.5、表28)の不十分な流動特性に基づいて、低いDL(13.81%、250mgの充填重量に対応)も評価した。20mg用量も開発し、250mgの充填重量は、11%の薬物負荷をもたらした。
【0340】
表29:製剤の組成及び特徴決定
【表30】
【0341】
SLS=ラウリル硫酸ナトリウム。NB Ref:8204-015。
【0342】
5個の600g試験製剤を、図31に示したプロセスフローによって製造した。
【0343】
5個の製剤は、1.8~23.0%の薬物負荷及び1~25mgの強度を網羅した。各製剤の嵩及びタップ密度が表30に含まれる。
【0344】
表30:製剤の特徴決定
【表31】
【0345】
遊離塩基に基づく。1.0mgの化合物1(遊離塩基)は、1.34mgの化合物1(クエン酸塩)と同等であった。これらの実験の原薬ロット効力係数は(0.725または1/1.38)であった。
【0346】
F29-1、F29-3及びF29-5のCU結果を表31に示す。不適合なCUデータは、プロセスに使用された手動の篩掛けがブレンドを脱凝集させるのに効果的な方法でなく、ブレンドの不均一性をもたらし得ることを示唆している。追加の試験を改善されたプロセス(手動篩に換えてComil)により実施し、次のセクションに記載した。
【0347】
表31:F29-1、F29-3及びF29-5の成層CUの結果
【表32】
【0348】
13.8%及び23%の薬物負荷を有する25mgの製剤は不十分な流動を有し、封入プロセスが数回、一時的に停止した。スパチュラまたはハンマーを使用して、供給ホッパー内の粉末の流れを促進した。このような高い薬物負荷は、乾式ブレンドプロセスには適していないと結論づけた。
【0349】
薬物負荷を11%に低減すると、流動が改善された。したがって、最高用量強度は、良好な加工性及び適切なカプセルサイズを確実にするために、初期目標の25mgから20mgに低減した。
【0350】
6.26 600gの製造試験2
試験1の結果に基づいて、2つの追加の600gバッチを製造し、第1の製剤はF29-1(1.8%の低薬物負荷)及び第2の製剤はF29-5(11%の高薬物負荷)であった(表29)。ブレンドの均一性を改善するため及びスケールアッププロセスのために、もっと代表的になるように、Quadro Comil U3を脱凝集に使用し、Bosch GKF 702を封入に使用した(図32)。両方のバッチの封入パラメータを表32に列挙する。
【0351】
表32:封入設定パラメータ
【表33】
【0352】
両方のバッチでは、ピンの先端に付着が観察された。1mgのロットでは、付着は、ハードタンピング(限界に達したピン、最大タンピング)に相関した。
【0353】
最終試料を除いて、良好な充填重量及び含量均一性(CU)の結果(表33)を得た。この不十分なCUは、実施の終わりに向かって供給フレームに不十分な粉末があったので、分離ではなく小さなバッチサイズになったことに起因した。プログラムの進行に伴って成層CU試料を試験して、この仮定を確認した。
【0354】
表33:F29-1及びF29-5の成層CUの結果
【表34】
【0355】
USP<905>投与単位均一性判定値(AV)≦15.0が要件に適合する。STD=標準偏差
【0356】
良好な効力及び判定値の結果に基づいて、プロセスを2kgのテクニカルバッチに拡大した。
【0357】
6.27 2kgのテクニカルバッチ製造試験
1、5及び20mgカプセル強度(F29-1、F29-3及びF29-5)の各1バッチを2kgのスケールで製造した。これらのバッチの製剤組成を表34に示す。
【0358】
FIHの最終製剤組成をセクション6.28に示す。
【0359】
表34:1mg、5mg及び20mgの2kgテクニカルバッチ
【表35】
【0360】
カプセル=ハードゼラチン、白色不透明
【0361】
遊離塩基に基づく。1.0mgの化合物1(遊離塩基)は、1.34mgの化合物1(クエン酸塩)と同等であった。これらの実験の原薬ロット効力係数は(0.725または1/1.38)であった。
【0362】
2kgのテクニカルバッチを製造するプロセスの流れ図を図33に示す。両方のバッチの封入パラメータを表35に列挙する。
【0363】
プロセスの記述を下記に列挙する。
【0364】
個々のプラスチックバッグに各原材料を計量する。
【0365】
ステアリン酸マグネシウムを除く分配API及び賦形剤を8-QT正方形Binに装填する。
【0366】
25rpmで10分間にわたって材料をブレンドする。
【0367】
ブレンドされた材料をComilに投入する。20メッシュComilスクリーンを使用して、およそ2800rpm(40%速度)でブレンドをCmilに通過させる。
【0368】
ブレンダーのビンに材料を移す。15rpmで15分間にわたって材料をブレンドする。
【0369】
分配ステアリン酸マグネシウムを30メッシュ(595ミクロン)スクリーンに通過させて、スクリーンパンに直接入れて、ブレンダーに加える。
【0370】
25rpmで2分間にわたって材料をブレンドする。
【0371】
Bosch GKF702 Encapsulatorの供給ボウルにブレンドを排出する。
【0372】
以下の変更部分を伴ってとBosch GKF702 Encapsulatorを設定する。
【0373】
a.75mg充填、サイズ#4カプセル:7mm固定投与ディスク
【0374】
b.100mgの充填、サイズ#4カプセル:12mm調整可能投与ディスク
【0375】
c.250mgの充填、サイズ#1カプセル:19.5mm調整可能投与ディスク
【0376】
封入速度を毎分90サイクルに設定する。封入を開始させ、目標重量を提供するように機械を調節する。
【0377】
Encapsulatorから排出されるカプセルを、適切な篩に回収する。カプセルが篩を充填すると、真空を使用してカプセルを除塵する。風袋を量った二重ポリエチレンバッグ内張り容器の中にカプセルを置く。
【0378】
バッグ容器内のバルクカプセルを100ccのHDPEボトルの中に入れる(1ボトルあたり7カウント、誘導加熱密閉)。
【0379】
表35:封入設定パラメータ
【表36】
【0380】
全てのバッチで、ピンの先端に原薬の付着が観察された。1mgのロットでは、タンピングピンを最大に設定した。
【0381】
2kgのテクニカルバッチの嵩及びタップ密度、ならびに流動特性を表36に列挙する。Carr(圧縮率)指数及びHausner比を表37に記載する。ブレンドの流動を、非常に不良~合格と評価した。
【0382】
表36:テクニカルバッチの嵩及びタップ密度、ならびに流動特性
【表37】
【0383】
Carr(圧縮率)指数=(タップ密度-嵩密度)*100/タップ密度
【0384】
Hausner比=タップ密度/嵩密度
【0385】
表37:流動特性の一般的に許容されるスケール
【表38】
【0386】
Carr(圧縮率)指数=(タップ密度-嵩密度)*100/タップ密度
【0387】
Hausner比=タップ密度/嵩密度
【0388】
FFCをリング剪断によって評価し、ブレンドは良好な流動特性を有すると評価した(表38)。
【0389】
表38:リング剪断による流動性の測定
【表39】
【0390】
FFC=流動関数係数
【0391】
5を超えるFFC値は、良好な流動特性を有し、3つのバッチは全てFFC>5を有した。
【0392】
製剤の粒径分布はスクリーンを使用して評価し、結果を表39に列挙する。
【0393】
表39:篩分析による粒径分布
【表40】
【0394】
成層CUを試験し、許容される結果を、初め、中間及び終了試料において得て、表40、表41及び表42に列挙した。
【0395】
表40:PD01-282(1mg)の含量均一性及び重量変動性
【表41】
【0396】
AV=判定値;LC=ラベルクレーム;SD=標準偏差;RSD=相対標準偏差
【0397】
表41:F3(5mg)の含量均一性及び重量変動性
【表42】
【0398】
AV=判定値;LC=ラベルクレーム;SD=標準偏差;RSD=相対標準偏差
【0399】
表42:F5(20mg)の含量均一性及び重量変動性
【表43】
【0400】
AV=判定値;LC=ラベルクレーム;SD=標準偏差;RSD=相対標準偏差
【0401】
3つのテクニカルバッチは、臨床プログラムをサポートするために、正式な(ICH)の安定性プログラムによって設定された。
【0402】
6.28 FIH製剤の組成
データを鑑み、安定性、溶解度及び製造性を考慮して、ゼラチンカプセルシェル中の増強製剤(フマル酸及びラウリル硫酸ナトリウムを含有)をFIH研究のために選択した。3つの強度の製剤の組成を表43に列挙する。
【0403】
表43:FIH製剤の組成
【表44】
【0404】
遊離塩基に基づく。1.0mgの化合物1(遊離塩基)は、1.34mgの化合物1(クエン酸塩)と同等である。実際の原薬重量は、原薬ロット効力係数に基づき、目標ブレンド重量を得るためにマンニトールで重量を調整した。
【0405】
カプセル=ハードゼラチン、白色不透明
【0406】
6.29 結論
ブレンド・イン・カプセル製剤の開発は、インビトロ溶解薬物溶出のpH依存性を最小限にするために行った。1、5及び20mgの製剤を、イヌPK、インビトロ溶解、製造性及び安定性研究に基づいてFIH臨床試験のために開発した。増強製剤は、局所的なpHの制御及び薬物剤溶解性を向上させるため、酸性化剤(フマル酸)及び界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を含有した。増強製剤をもたらす賦形剤の組み合わせは、様々なpH媒体において、従来の製剤で観察された溶解放出プロファイルの変動性を低減させた。
【0407】
乾式ブレンドプロセスを全ての強度のために開発した。製剤を2kgに拡大することに成功している。許容されるCUが2kgバッチサイズで実証された。同じプロセスが、3kgエンジニアリング及び臨床試験材料(CTM)のバッチを製造するため、契約製造組織に技術移転されると期待された。
【0408】
6.30 カプセルA~J
カプセルA~Hを下記の研究で製造及び検査した。各カプセルの組成を表44に提示する。
【0409】
表44:カプセルの組成
【表45】
【0410】
図34は、90分間にわたる腸緩衝剤溶解における化合物1製剤の溶解プロファイルを示す。
【0411】
図35は腸緩衝剤溶解による化合物1製剤の溶解プロファイ及び種形成を示す。カプセルEは、全ての可溶化薬物に関して最高の性能を示す。より高い負荷のPVA-P製剤は、それらの低い負荷の対応物と比較して良好な性能を示した。製剤へのTPGSの添加は、化合物1の溶解度に肯定的な影響を示した。
【0412】
図36は、PVA-P製剤(カプセルB、カプセルE及びカプセルH)の溶解の比較を示す。PVA-P製剤は、負荷が高いほど、またTPGSの添加によって良好に機能した。
【0413】
図37は、PVP VA64製剤(カプセルC及びカプセルF)の溶解の比較を示した。負荷の増加及びTPGSの添加は、他のポリマーと比較して、PVP VA64を有する製剤に中程度の改善のみを示した。
【0414】
図38は、HPMC製剤(カプセルA、カプセルD及びカプセルG)の溶解の比較を示す。HPMCに薬物負荷を増やしても、溶解性能にほとんど影響を与えなかった。TPGSは、カプセルAの化合物1の溶解度に有意な改善を示した。
【0415】
図39は、相対湿度に対するガラス転移温度を示す。
【0416】
図40は、5%未満の相対湿度でのカプセルA及びカプセルHの可逆及び不可逆熱流を示す。
【0417】
図41は、75%の相対湿度でのカプセルA及びカプセルHの可逆及び不可逆熱流を示す。
【0418】
図42は5%未満の相対湿度でのカプセルG及びカプセルEの可逆及び不可逆熱流を示す。
【0419】
図43は、75%の相対湿度でのカプセルG及びカプセルEの可逆及び不可逆熱流を示す。
【0420】
図44は、メトセル中のカプセルAの懸濁安定度を示す。
【0421】
図45は、メトセル中のカプセルHの懸濁安定度を示す。
【0422】
図46は、メトセル中のカプセルGの懸濁安定度を示す。
【0423】
図47は、メトセル中のカプセルEの懸濁安定度を示す。
【0424】
図48は、メトセル中のカプセルAの懸濁安定度をPLMにより可視化して示す。
【0425】
図49は、メトセル中のカプセルHの懸濁安定度をPLMにより可視化して示す。
【0426】
図50は、メトセル中のカプセルGの懸濁安定度をPLMにより可視化して示す。
【0427】
図51は、メトセル中のカプセルEの懸濁安定度をPLMにより可視化して示す。
【0428】
6.31 マウスのインビボ薬物動態研究
表45:mTOR+CD-1雄マウスの経口投与薬物動態パラメータ
【表46】
【0429】
この研究は、化合物1の雄CD-1マウスへの10mg/kgでの経口暴露に対する2つの噴霧乾燥分散体(SDD)製剤のカプセルG、カプセルE、カプセルA及びカプセルHの効果を評価した。SDD製剤は、化合物1の50%負荷を有した。全体的な暴露は、2つのDSS製剤間で同等であった。暴露データは、他の3つの試験製剤と同様であった。全体的に、全ての試験製剤は、CMC/Tween中の基準製剤と比較して、CD-1マウスにおける化合物1の10mg/kgでの暴露を改善しなかった。その結果は期待通りであり、それは、この化合物の溶解度/溶解性が、低用量レベルでの暴露に対する主要な制限要因ではなかったからである。
【0430】
表46は、雄CD-1マウスへのカプセルGの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0431】
表46:カプセルG:血漿中濃度の表形式の要約(μM)
【表47】
【0432】
図52は、雄CD-1マウスへのカプセルGの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0433】
表47は、雄CD-1マウスへのカプセルEの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0434】
表47:カプセルE:血漿中濃度の表形式の要約(μM)
【表48】
【0435】
図53は、雄CD-1マウスへのカプセルEの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0436】
表48は、雄CD-1マウスへのカプセルIの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0437】
表48:カプセルI:血漿中濃度の表形式の要約(μM)
【表49】
【0438】
図54は、雄CD-1マウスへのカプセルIの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0439】
表49は、雄CD-1マウスへのカプセルJの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0440】
表49:カプセルJ:血漿中濃度の表形式の要約(μM)
【表50】
【0441】
図55は、雄CD-1マウスへのカプセルJの単回経口投与後の血漿濃度プロファイルの結果を示す。
【0442】
図56は、カプセルG、カプセルE、カプセルI及びカプセルJの単回経口投与後の濃度プロファイルの結果の比較を示す。
【0443】
6.32 錠剤
錠剤A~Cを下記の研究で製造及び検査した。
【0444】
表50は、錠剤Aの組成を示す。
【0445】
表50:錠剤Aの組成
【表51】
【0446】
表51は、錠剤Bの組成を示す。
【0447】
表51:錠剤Bの組成
【表52】
【0448】
表52は、錠剤Cの組成を示す。
【0449】
表52:錠剤Cの組成
【表53】
【0450】
図57は、pH2のリン酸塩緩衝剤中の錠剤A、錠剤B及び錠剤Cの溶解を示す。
【0451】
図58は、pH5のリン酸塩緩衝剤及び0.1%のラウレス硫酸ナトリウム中の錠剤A(中央曲線)、錠剤B(上側曲線)及び錠剤C(下側曲線)の溶解を示す。化合物1のHCl塩は、化合物1の遊離塩基及び化合物1のクエン酸塩より高い溶解性を有した。
【0452】
6.33 実施例4:製剤及び安定性研究
溶解度研究:化合物1の遊離塩基のpKaは5.14であると決定した。したがって、化合物1の溶解度はpH依存性であり、水(pH8.1)では0.003mg/mlであり、模擬胃液(SGF)(pH1.9)では3.5mg/mlであり、模擬腸液(SIF)(pH7.3)では0.002mg/mlである。前臨床製剤の0.5%CMC/0.25%Tween80による溶解度は、pH8.1で0.18mg/mlであると決定した。絶食及び摂食条件下のSGF及びSIFでの化合物1の溶解度を表53に列挙する。
【0453】
表53:生体関連媒体(Bio-relevant Media)中における化合物1遊離塩基一水和物の24時間での溶解度
【表54】
【0454】
化学的安定性研究:化合物1の遊離塩基一水和物の固体状態を、80℃で2週間、ならびに40°C/75%RH、50°C/75%RH及び60℃で5週間まで評価した。結果は、化合物1の遊離塩基一水和物が全ての保存条件及び期間において化学的に比較的安定していることを示した。
【0455】
物理的安定性研究:遊離塩基一水和物を、60℃及び80℃で加熱した後に水分を失わせ、脱水物形態に変換させた。試料を室温及びRH>30%に暴露したとき、この脱水物形態は、直ちに一水和物に戻った。RHが5~30の範囲である場合、脱水物形態は、一水和物に戻るのに1~3日間かかることもある。
【0456】
6.34 溶液安定性研究:
水、SGF(pH1.3)、SIF(pH7.5)、ならびに37℃で光保護を伴う及び伴わない0.1N NaOH中の化合物1の遊離塩基の溶液安定性を試験した。結果は、化合物1の遊離塩基が、光保護を伴わない0.1N NaOH中の試料を除いて、全てのビヒクルにおいて4日間にわたって比較的安定している(>95%残留)ことを示した。この試料では有意な分解が観察され、僅か88%が1日目に残り、61%が4日目に残った。
【0457】
周囲温度及び2~8℃で7日間保存された0.5%CMC及び0.25%Tween 80中の6mg/mL懸濁製剤では、有意な分解が観察されなかった。
【0458】
6.35 製剤開発
遊離塩基一水和物
【0459】
FIH研究を支持するため、カプセル中に化合物1を使用することの実現可能性を評価するために、125mgの化合物1遊離塩基一水和物を含有するカプセルによる溶解研究を、は37℃で0.01N HCl及び0.001NのHCl媒体中で実施した。カプセルシェルの収縮が観察された。60分間で約80%の化合物1が、0.01N HCl中に放出され、僅か10%が0.001N HCl中に放出され、化合物1の遊離塩基一水和物の溶解性が、極めてpH依存的であったことを示唆しており、FIH研究を支持する遊離塩基一水和物のAIC製剤を開発が難題であり得ることを示唆している。ブレンド・イン・カプセルまたは他の製剤の手法が必要となり得る。
【0460】
クエン酸塩
【0461】
0.01N HCl中のカプセルにおけるクエン酸塩の溶解の研究も行った。図59に提示された結果は、クエン酸塩が、遊離塩基一水和物と比較してより良好な溶解プロファイルを有することを示し、FIHを支持するAIC製剤手法がクエン酸塩で実現可能であり得ることを示唆している。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
カプセルの30~40重量%の量のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、前記カプセルの50~60重量%の量の賦形剤、及び前記カプセルの5~15重量%の量のトコフェルソランを含む、カプセル。
(態様2)
シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)が約37重量%で存在する、態様1に記載のカプセル。
(態様3)
前記賦形剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、態様1に記載のカプセル。
(態様4)
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが約53重量%の量で存在する、態様3に記載のカプセル。
(態様5)
前記トコフェルソランが約10重量%の量で存在する、態様1に記載のカプセル。
(態様6)
60~70重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、20~30重量%の賦形剤、及び5~15重量%のトコフェルソランを含む、カプセル。
(態様7)
前記賦形剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、態様6に記載のカプセル。
(態様8)
前記賦形剤がポリビニルアセテートフタレートポリマーである、態様6に記載のカプセル。
(態様9)
前記賦形剤がビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーである、態様6に記載のカプセル。
(態様10)
前記カプセルが約65重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドを含む、態様6に記載のカプセル。
(態様11)
前記カプセルが約25重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドを含む、態様6に記載のカプセル。
(態様12)
前記カプセルが約10重量%のトコフェルソランを含む、態様6に記載のカプセル。
(態様13)
45~55重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、35~45重量%の賦形剤、及び5~15重量%のトコフェルソランを含む、カプセル。
(態様14)
前記賦形剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、態様13に記載のカプセル。
(態様15)
前記賦形剤がポリビニルアセテートフタレートポリマーである、態様13に記載のカプセル。
(態様16)
前記賦形剤がビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーである、態様13に記載のカプセル。
(態様17)
前記カプセルが約50重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドを含む、態様13に記載のカプセル。
(態様18)
前記カプセルが約40重量%の賦形剤を含む、態様13に記載のカプセル。
(態様19)
前記カプセルが約10重量%のトコフェルソランを含む、態様13に記載のカプセル。
(態様20)
シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩及びラウリル硫酸ナトリウムを含む、カプセル。
(態様21)
前記カプセルが、0.5~3重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様20に記載のカプセル。
(態様22)
前記カプセルが、約1.79重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様21に記載のカプセル。
(態様23)
前記カプセルが、10~30重量%の微結晶性セルロース、55~75重量%のマンニトール、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを更に含む、態様21に記載のカプセル。
(態様24)
前記カプセルが約1.79重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩を含む、態様23に記載のカプセル。
(態様25)
前記カプセルが約21.65重量%の微結晶性セルロースを含む、態様23に記載のカプセル。
(態様26)
前記カプセルが約64.96重量%のマンニトールを含む、態様23に記載のカプセル。
(態様27)
前記カプセルが約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様23に記載のカプセル。
(態様28)
前記カプセルが約5.0重量%のフマル酸を含む、態様23に記載のカプセル。
(態様29)
前記カプセルが約4.0重量%のクロスポビドンを含む、態様23に記載のカプセル。
(態様30)
前記カプセルが約0.6重量%のヒュームドシリカを含む、態様23に記載のカプセル。
(態様31)
前記カプセルが約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、態様23に記載のカプセル。
(態様32)
前記カプセルが、2~12重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様20に記載のカプセル。
(態様33)
前記カプセルが、約6.70重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様32に記載のカプセル。
(態様34)
前記カプセルが、10~30重量%の微結晶性セルロース、50~70重量%のマンニトール、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを更に含む、態様32に記載のカプセル。
(態様35)
前記カプセルが約6.70重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩を含む、態様34に記載のカプセル。
(態様36)
前記カプセルが約20.42重量%の微結晶性セルロースを含む、態様34に記載のカプセル。
(態様37)
前記カプセルが約61.28重量%のマンニトールを含む、態様34に記載のカプセル。
(態様38)
前記カプセルが約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様34に記載のカプセル。
(態様39)
前記カプセルが約5.0重量%のフマル酸を含む、態様34に記載のカプセル。
(態様40)
前記カプセルが約4.0重量%のクロスポビドンを含む、態様34に記載のカプセル。
(態様41)
前記カプセルが約0.6重量%のヒュームドシリカを含む、態様34に記載のカプセル。
(態様42)
前記カプセルが約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、態様34に記載のカプセル。
(態様43)
前記カプセルが、5~20重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩及び0.5~3重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様20に記載のカプセル。
(態様44)
前記カプセルが、約10.72重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩及び約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様43に記載のカプセル。
(態様45)
前記カプセルが、10~30重量%の微結晶性セルロース、50~70重量%のマンニトール、2~8重量%のフマル酸、1~7重量%のクロスポビドン、0.2~1重量%のヒュームドシリカ及び0.5~3重量%のステアリン酸マグネシウムを更に含む、態様43に記載のカプセル。
(態様46)
前記カプセルが約10.72重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩を含む、態様45に記載のカプセル。
(態様47)
前記カプセルが約19.41重量%の微結晶性セルロースを含む、態様45に記載のカプセル。
(態様48)
前記カプセルが約58.27重量%のマンニトールを含む、態様45に記載のカプセル。
(態様49)
前記カプセルが約1.0重量%のラウリル硫酸ナトリウムを含む、態様45に記載のカプセル。
(態様50)
前記カプセルが約5.0重量%のフマル酸を含む、態様45に記載のカプセル。
(態様51)
前記カプセルが約4.0重量%のクロスポビドンを含む、態様45に記載のカプセル。
(態様52)
前記カプセルが約0.6重量%のヒュームドシリカを含む、態様45に記載のカプセル。
(態様53)
前記カプセルが約1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、態様45に記載のカプセル。
(態様54)
15~25重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその同位体置換体、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形、32~43重量%の微結晶性セルロース、32~43重量%のマンニトール、2~6重量%のクロスカルメロースナトリウム、0.3~0.7重量%のヒュームドシリカ、及び0.5~1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、錠剤。
(態様55)
前記錠剤が、約20重量%のシス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、またはその同位体置換体、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形を含む、態様54に記載の錠剤。
(態様56)
前記錠剤が約37.25重量%の微結晶性セルロースを含む、態様54に記載の錠剤。
(態様57)
前記錠剤が約37.25重量%のマンニトールを含む、態様54に記載の錠剤。
(態様58)
前記錠剤が約4重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む、態様54に記載の錠剤。
(態様59)
前記錠剤が約1重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、態様54に記載の錠剤。
(態様60)
前記錠剤の総重量が約250mgである、態様54に記載の錠剤。
(態様61)
シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの塩が、シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのHCl塩である、態様54に記載の錠剤。
(態様62)
前記シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの塩が、シス-4-[2-{[(3S,4R)-3-フルオロオキサン-4-イル]アミノ}-8-(2,4,6-トリクロロアニリノ)-9H-プリン-9-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドのクエン酸塩である、態様54に記載の錠剤。
(態様63)
態様1~53のいずれか一項に記載のカプセル、または態様54~62のいずれか一項に記載の錠剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、がんの治療方法。
(態様64)
がんの治療方法に使用され、前記方法が、前記カプセルまたは前記錠剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、態様1~53のいずれか一項に記載のカプセル、または態様54~62のいずれか一項に記載の錠剤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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