(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】バネ表面の植毛加工方法
(51)【国際特許分類】
B05D 1/04 20060101AFI20230530BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20230530BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20230530BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20230530BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230530BHJP
F16F 1/12 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B05D1/04 K
B05D1/36 Z
B05D3/00 C
B05D7/14 P
B05D7/24 301P
F16F1/12 C
(21)【出願番号】P 2020558670
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2018112543
(87)【国際公開番号】W WO2019137069
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】201820056927.0
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201820170441.X
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520258297
【氏名又は名称】太倉▲カ▼蘭平汽車零部件有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】趙春嘯
(72)【発明者】
【氏名】葛敬東
(72)【発明者】
【氏名】唐朋萬
(72)【発明者】
【氏名】唐書豪
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-126602(JP,A)
【文献】特開昭59-97333(JP,A)
【文献】国際公開第2017/082252(WO,A1)
【文献】特開2008-68991(JP,A)
【文献】特開2001-58145(JP,A)
【文献】中国実用新案第204564500(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05C 1/00-21/00
F16F 1/00-6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フックを使用して搬送チェーンの上方にバネを固定し、前記バネは前記搬送チェーンと共に生産ラインに入り、
接着剤のスプレー塗布の間、接着剤はノズルによって噴霧されて負に帯電され、前記バネは接地されるか又はゼロ電位に接続され、前記接着剤は静電吸着によってバネ表面に均一に吸着され、
接着剤のスプレー塗布後の前記バネは、植毛のために静電植毛室に入り、前記バネは接地されるか又はゼロ電位に接続され、移動中に繊維がバネ表面に接触すると、前記繊維は直交方向において前記バネ表面に対して垂直となり、静電引力の作用で前記接着剤に挿入され、
植毛後の前記バネは、乾燥のために乾燥装置に入り、
乾燥後の前記バネはブラシを通過し、前記バネ表面は圧縮空気を吹き付けられて、前記バネ表面の余分な繊維が取り除かれ、
植毛され且つ余分な繊維が取り除かれた後の前記バネは、降ろされてパッケージに入れられる、
手順を少なくとも含むことを特徴とするバネ表面の植毛加工方法。
【請求項2】
前記バネが前記生産ラインに入って前進する間、前記バネ自身は自軸を中心に回転し、前記植毛中に、前記接着剤及び前記繊維が前記バネ表面に均等に植え付けられ得ることを保証することを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項3】
光電センサスイッチが、前記接着剤のスプレー塗布の動作を制御し、
前記光電センサスイッチが前記バネを検知すると、静電式の接着剤スプレー塗布装置が動作を開始することを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項4】
前記接着剤スプレー塗布装置は、前記接着剤の流量を調節することによって前記接着剤の厚さを制御することができ、前記接着剤の厚さを0.05mm~0.2mmとすることを特徴とする、請求項3に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項5】
前記静電植毛室は、下部に負電圧、上部に正電圧を有する高圧電界で構成されており、高圧静電界の作用を受けて、前記繊維が磁束線方向に移動し、連続的に帯電と放電とを行うことを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項6】
前記繊維が、ナイロンPA66又はポリエステルPE66から作製されており、3.3dtexの繊度及び0.5mm~1.0mmの長さを有することを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項7】
乾燥温度が70℃~200℃、時間が20分~1時間であることを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項8】
前記バネ表面の余分な繊維が圧縮空気によって除去された後に、前記バネから吹き飛ばされた
余分な繊維を繊維収集装置によって収集することをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項9】
前記バネの外表面にのみ植毛するステップさらに含み、
このステップが、
(1)一端が固定された金属ロッド内に前記バネを配置し、圧縮装置で前記バネを圧縮し、次に金属ロッドの反対側に金属プラグピンを挿入して前記バネを固定すること、
(2)圧縮された前記バネを金属ロッドと共に、表面植毛のために搬送装置に接続すること、及び、
(3)前記バネを降ろして圧縮のために前記圧縮装置に戻し、次に
前記金属プラグピンを取り外して前記バネを解放すること、
を特に含むことを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項10】
前記バネの金属表面が、電着コーティング又は亜鉛-アルミニウムコーティングで被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項11】
前記バネは、円形のワイヤ、楕円形のワイヤ、又は長円形のワイヤから作製されていることを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項12】
前記接着剤のスプレー塗布の前に、電気集塵ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項13】
前記接着剤のスプレー塗布において、ロールコーティングにより前記接着剤を均一に塗布し得ることを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項14】
前記乾燥装置が、赤外線ヒータ又は電気ヒータと、温度調節装置とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項15】
前記高圧電界は、80000ボルトの電圧を有することを特徴とする、請求項5に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項16】
前記電着コーティング又は前記亜鉛-アルミニウムコーティングは、15μm~20μmの厚さを有することを特徴とする、請求項10に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【請求項17】
接着剤のスプレー塗布に使用される前記接着剤は、2500Cst~3500Cstの粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載のバネ表面の植毛加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面の植毛加工の分野に関し、特に、バネ表面の植毛加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活の質の向上に伴い、人々はますます静かで快適な環境を追求している。バネが動いているとき、金属表面とバネの外側又は内側との接触により、高デシベルのノイズが発生するので、摩擦低減とノイズ低減の効果を達成するために、バネ本体の表面に植毛加工(flocking)を施したものが市販されている。
【0003】
現在、中国では、植毛加工は非金属部品に適用されることが多く、主に装飾用である。自動化されたバネ植毛加工ラインを設計開発する能力はない。少数の工場だけが手動による植毛加工を行っているが、連続生産を達成できず、生産効率が低い。さらに、繊維(flocks)の厚さが不均一であるため、厚さの要件を保証することができず、安定性及び信頼性が低く、実際の使用においては大きな不確実性がある。
【0004】
楕円形ワイヤや長円形ワイヤなど、いくつかの特殊な形状のワイヤの表面に従来の植毛加工方法を適用する場合、接着剤や繊維の厚さの要件を保証することができない。
【0005】
手動植毛加工用の既存の繊維は、植毛される部品の接着剤が塗布された表面上に自由に散らばる。これにより、繊維を接着剤に直接挿入することができず、繊維の固着度(firmness)が不安定になり、摩擦を伴う使用中、いくつかの繊維が使用中に脱落して信頼性を低下させると共に、脱落した繊維が他の部品を汚染する。
【0006】
従来の植毛バネは、すべて接着剤のスプレー塗布と静電植毛とによって形成され、形成後は、バネの内側と外側の両方に植毛加工が施されている。バネ本体の内側に植え付けられた繊維は、摩擦を減少させないだけではなく、バネの内径及び外径を増大させるので、設計スペースが比較的小さい多くのシステムでは、バネの内径及び外径の増大によりバネの設計と組み立てが非常に困難になる。
【0007】
バネの防錆性能を高めるためには、金属表面に防錆処理を施す必要がある。現在、市販の電動テールゲートに適用される植毛バネは、下部の防錆コーティング(bottom anti-rust coating)の電着塗料表面に植毛加工されている。しかしながら、電着塗料によって生成される廃水は、環境問題を引き起こす。さらに、電着(electrophoretic)コーティングは密閉コーティングであり、一旦、コーティングが異物によって傷つけられると、錆がすぐに発生し徐々に広がる。バネ表面のコーティングとしては、亜鉛-アルミニウムコーティングが使用される。しかしながら、一般的な接着剤が亜鉛-アルミニウムコーティングの表面に塗布される場合、接着剤はコーティングの表面にしっかりと吸収され得ず、したがって容易にこすり落とされる可能性がある。
【0008】
このため、当業者は、接着剤と繊維とが安定した厚さを有するように、自動で接着剤をスプレー塗布して植毛を行う、バネ表面の植毛加工方法の開発に専念すると共に、従来のスプレー塗布方法とは異なり、特殊な形状のワイヤ表面への植毛加工でさえも要件を満たす植毛加工用の静電植毛方法の設計に専念する。
【発明の概要】
【0009】
従来技術の上記欠点に鑑みて、本発明によって解決される技術的課題は、手動の植毛加工の代わりにバネ表面の植毛加工に適用される全自動植毛加工ラインであって、連続生産を達成しかつ高い生産効率を有する全自動植毛加工ラインを設計することである。さらに、自動で接着剤スプレー塗布及び植毛を行うことにより、接着剤の厚さ及び繊維の厚さが安定する。静電植毛法は、従来のスプレー塗布方法とは異なり、植毛加工用に設計されており、特殊な形状のワイヤの表面を均一に植毛加工するという要件を満たす。静電植毛を使用すると、接着剤が硬化した後、繊維の固着度(firmness)は高く、40000回の繊維固着度テスト後でも表面基材が露出しない。バネは、工具(tooling)によって完全に圧縮され、次に、工具と一緒に植毛装置内に配置される。これにより、バネの外表面のみに植毛加工を実現すると共に、外輪及び内輪の位置には植毛加工が施されないようにする。海外から輸入された接着剤を使用して、亜鉛-アルミニウムコーティングの表面の接着力を改善する。亜鉛-アルミニウムコーティング及び電着コーティングは、表面上で同時に使用することができる。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、バネ表面の植毛加工方法を提供し、この方法は、少なくとも以下のステップを含む。
フックを使用して搬送チェーンの上方にバネを固定する。バネは搬送チェーンと共に生産ラインに入る。
接着剤のスプレー塗布の間、接着剤は、ノズルによって噴霧されて負に帯電される。バネは、接地されるか又はゼロ電位に接続される。接着剤は、静電吸着によってバネ表面に均一に吸着される。
接着剤のスプレー塗布後のバネは、植毛のために静電植毛室に入る。バネは接地されるか又はゼロ電位に接続される。そして、移動中に繊維がバネ表面に接触すると、繊維は直交方向においてバネ表面に対して垂直となり、静電引力の作用で接着剤に挿入される。
植毛後のバネは、乾燥のために乾燥装置に入る。
乾燥後のバネはブラシを通過し、バネ表面は圧縮空気を吹き付けられて、バネ表面の余分な繊維が取り除かれる。
そして、植毛され、余分な繊維が取り除かれた後のバネは、降ろされてパッケージに入れられる。
【0011】
また、バネが生産ラインに入って前進する間、バネ自身は自軸を中心に回転し、植毛中に、接着剤及び繊維がバネ表面に均等に植え付けられ得ることを保証する。
【0012】
また、光電センサスイッチが接着剤のスプレー塗布動作を制御し、センサスイッチがバネを検知すると、静電式の接着剤スプレー塗布装置が動作を開始する。
【0013】
また、接着剤スプレー塗布装置は、接着剤の流量を調節することによって、接着剤の厚さを0.05mm~0.2mmに制御することができる。
【0014】
また、静電植毛室は、下部に負電圧、上部に正電圧を有する高圧電界で構成されており、高圧静電界の作用を受けて、繊維が磁束線(magnetic induction line)方向に移動し、連続的に帯電と放電とを行う。高周波交流を用いると繊維吸着の利用率が高い。搬送ベルトの速度によって繊維の密度が制御される。バネはゼロ電位に接続され、最後にバネを放電させる必要はない。
【0015】
また、繊維は、ナイロンPA66又はポリエステルPE66から作製されており、3.3dtex(デシテックス)の繊度(fineness)及び0.5mm~1.0mmの長さを有する。
【0016】
また、乾燥温度は70℃~200℃、時間は20分~1時間である。
【0017】
また、ステップS5は、バネから吹き飛ばされた繊維を、繊維収集装置によって収集することをさらに含む。
【0018】
また、本方法は、バネの外表面に植毛するステップをさらに含み、特に以下のステップを含む。
(1)一端が固定された金属ロッド内にバネを配置し、圧縮装置でバネを圧縮し、次に金属ロッドの反対側に金属プラグピンを挿入してバネを固定すること、
(2)圧縮されたバネを金属ロッドと共に、表面植毛のために搬送装置に接続すること、
及び、
(3)バネを降ろして圧縮のために圧縮装置に戻し、次にプラグピンを取り外してバネを解放すること。
【0019】
また、バネの金属表面は、電着コーティング又は亜鉛-アルミニウムコーティングで被覆される。
【0020】
また、バネは、円形(circular)ワイヤ、楕円形ワイヤ、又は長円形ワイヤから作製されている。
【0021】
また、ステップS2の接着剤のスプレー塗布の前に、電気集塵ステップをさらに含む。
【0022】
また、ステップS2の接着剤のスプレー塗布では、ロールコーティングにより接着剤を均一に塗布することもできる。
【0023】
また、乾燥装置は、赤外線ヒータ又は電気ヒータと、温度調節装置とを備えている。
【0024】
また、高圧電界は80000ボルトの電圧を有する。
【0025】
また、電着コーティング又は亜鉛-アルミニウムコーティングは、15μm~20μmの厚さを有する。
【0026】
また、接着剤のスプレー塗布に使用される接着剤は、2500Cst~3500Cst(センチストークス)の粘度を有する。
【0027】
全自動の植毛加工ラインは、本発明により手動の植毛加工の代わりにバネ表面の植毛加工に適用されるように設計されて、連続生産を達成すると共に、高い生産効率を有する。さらに、自動の接着剤スプレー塗布及び植毛により、接着剤及び繊維は厚さが安定する。本発明は、植毛加工に静電植毛を使用する。静電植毛は、円形ワイヤのバネに加えて、楕円形ワイヤ及び長円形ワイヤ等の他の特殊な形状のワイヤにも適用することができる。それには、幅広い用途がある。本発明は、繊維が静電吸着によって接着剤に植え付けられる静電植毛を使用して、硬化後に繊維の高い固着度を達成する。バネの性能に影響を及ぼし、他の部品や環境を汚染する、繊維の落下は生じない。本発明は、海外から輸入された特殊な接着剤を使用する。これは、電着コーティング及び亜鉛-アルミニウムコーティングが施された表面上の植毛加工に同時に適用することができる。
【0028】
以下、本発明の目的、特徴及び効果を十分に理解するために、図面を参照して本発明の概念、具体的な構成及びその技術的効果について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の1つの好適な実施形態に係るバネの植毛加工プロセスのフローチャートである。
【
図2】バネの外表面の一部が植毛加工された、本発明の1つの好適な実施形態に係るバネの概略図である。
【
図3】本発明の1つの好適な実施形態に係る静電植毛の原理の概略図である。
【
図4】本発明の1つの好適な実施形態に係る金属表面上の繊維の概略図である。
【
図5】単一の材料トレイが、本発明の1つの好適な実施形態に係る接着剤スプレー塗布及び植毛に入る状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態について、その技術的内容をより明確かつ理解しやすくするために、図面を参照しながら説明する。本発明は、様々な形態の実施形態で具現化することができ、本発明の保護範囲は、本明細書に記載された実施形態に限定されない。
【0031】
図面において、同一の参照番号は、同一の構造を有する構成要素を示し、同様の参照番号は、全体を通して同様の構造又は機能を有するアセンブリを示す。図示されている各アセンブリのサイズ及び厚さは任意に示されており、本発明は各アセンブリのサイズ及び厚さを規定していない。図を分かり易くするために、図面の一部の構成要素の厚さは適切に誇張されている。
【0032】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明は、バネ表面に適用される自動静電植毛プロセスを設計する。手動操作を必要とするローディング及びアンローディングを除き、プロセス全体のすべての部分が自動的に実行される。具体的な処理手順は以下の通りである。
【0033】
S1:ローディング:
フックは、搬送チェーンの上方にバネを固定するために使用される。バネは搬送チェーンと共に生産ラインに入る。バネが生産ラインに入って前進する間、バネ自身は自軸を中心に回転し、植毛中に、接着剤及び繊維がバネ表面に均等に植え付けられ得ることを保証する。
【0034】
S2:静電式の接着剤スプレー塗布:
図5に示すように、バネは搬送チェーンと共に自動生産ラインに入る。接着剤スプレー塗布手順に入ると、光電センサスイッチが接着剤のスプレー塗布動作を制御し、センサスイッチがバネを検知すると、静電式の接着剤スプレー塗布装置が動作を開始する。接着剤のスプレー塗布の間、接着剤はノズルによって噴霧され、負に帯電される。バネは、接地されるか又はゼロ電位に接続される。接着剤は、静電吸着によってバネ表面に均一に吸着される。接着剤の厚さは、接着剤の流量を調節することによって制御され、接着剤の厚さは、0.05mm~0.2mmであり、接着剤のスプレー塗布に使用される接着剤は、2500Cst~3500Cstの粘度を有する。
【0035】
S3:静電植毛:
図5に示すように、接着剤のスプレー塗布後のバネは、植毛のために静電植毛室に入る。静電植毛室は、下部に負電圧、上部に正電圧を有する高圧電界で構成されており、高圧静電界の作用を受けて、繊維が磁束線方向に移動し、連続的に帯電と放電とを行う。高周波交流では繊維吸着の利用率が高い。搬送ベルトの速度によって繊維の密度が制御されており、
図4に示すように、バネは接地されるか又はゼロ電位に接続され、移動中に繊維4がバネ表面6に接触すると、繊維4は直交方向においてバネ表面6に対して垂直となり、静電引力の作用を受けて接着剤5に挿入される。
図3に示すように、繊維は静電界中で連続的に帯電と放電とを行い、これにより繊維は静電界中で磁束線方向に連続的に移動する。繊維は、3.3dtex、0.5mm~1.0mmを使用する。高圧電界は80000ボルトの電圧を有する。
【0036】
S4:硬化:
植毛後のバネは、乾燥のために乾燥ラインに入る。乾燥温度は70℃~200℃、時間は20分~1時間である。乾燥装置は、赤外線ヒータ又は電気ヒータと、温度調節装置とを備えている。
【0037】
S5:余分な繊維の除去:
バネはブラシを通過し、バネ表面は圧縮空気を吹き付けられて、バネ表面の余分な繊維が取り除かれる。バネから吹き飛ばされた繊維は、繊維収集装置によって収集される。
【0038】
S6:アンローディング:
植毛加工後のバネを降ろして、パッケージに入れる。
【0039】
(第2の実施形態)
図2に示すように、本発明は、部分的に植毛加工されたバネを設計する。バネは、特殊な工具によって圧縮され、次に工具と共に自動植毛装置内に直接配置される。具体的な実施は以下の通りである。
【0040】
(1)一端が固定された金属ロッド内にバネ本体1を配置し、圧縮装置でバネを圧縮した後、金属ロッドの反対側に金属プラグピンを挿入してバネを固定する。
【0041】
(2)圧縮されたバネは、金属ロッドと共に、表面植毛のために搬送装置に接続される。その他の工程は上記と同様である。
【0042】
(3)バネを降ろして圧縮のために圧縮装置に戻し、次にプラグピンを取り外してバネを解放する。
【0043】
(第3の実施形態)
植毛加工後の防錆性能を向上させるために、接着剤が、輸入接着剤のサプライヤによってカスタマイズされる。輸入接着剤は、既存の電着コーティング表面に適しながらも、亜鉛-アルミニウムコーティング表面にも適用され得る。接着剤の亜鉛-アルミニウムコーティング表面への接着力は、顧客の要求を満たすようにされている。植毛加工後は、1.5kgの圧力下で40000回の耐摩耗性試験後でも、バネの基材は露出しない。
【0044】
(第4の実施形態)
本発明は、
図5に示すように、バネ表面に適用する半自動の静電植毛プロセスを設計して、少量多品種の迅速生産を実現する。具体的な工程は以下の通りである:
【0045】
S1:ローディング:
フック3は、バネ本体1をリバーシブル材料トレイ2に固定するために使用される。材料トレイは、180度回転可能であり、材料トレイは、バネを容易に引っ掛けることができるように連結可能なフックシートを備えている。
【0046】
S2:静電式の接着剤スプレー塗布:
リバーシブル材料トレイをブラケット7上に配置し、接着剤を手動のスプレーガンによりバネ表面6上に均一にスプレー塗布する。接着剤をスプレー塗布する間、接着剤5はノズルによって噴霧され、負に帯電される。バネ本体1は、接地されるか又はゼロ電位に接続される。接着剤は、静電吸着6によってバネ表面に均一に吸着される。接着剤の厚さは、接着剤5の流量を調節することによって制御され、接着剤の厚さは、0.05mm~0.2mmであり、接着剤のスプレー塗布に使用される接着剤は、2500Cst~3500Cstの粘度を有する。
【0047】
S3:
材料トレイを180度回転させ、S2に従って、接着剤5をバネの他の半分の表面上に均一にスプレー塗布する。
【0048】
S4:静電植毛:
バネの接着剤のスプレー塗布後、材料ブラケット全体を植毛のために植毛ボックス内に配置する。繊維は、静電吸着によって接着剤5内に植え付けられる。
【0049】
S5:硬化:
植毛後のバネを、リバーシブル材料トレイ3と一緒に、乾燥のために乾燥オーブンに入れる。乾燥温度は70~200℃、時間は20分~1時間である。乾燥装置には、赤外線ヒータ又は電気ヒータと温度調節装置が設けられている。
【0050】
S6:余分な繊維の除去:
バネはブラシを通過し、バネ表面は圧縮空気を吹き付けられて、バネ表面の余分な繊維が取り除かれる。バネから吹き飛ばされた繊維は、繊維収集装置によって収集される。
【0051】
S7:アンローディング:
植毛加工後のバネを降ろして、パッケージに入れる。
【0052】
従来の電動テールゲートバネは、丸い(round)スチールワイヤで作られており、より多くの取り付けスペースを必要とし、スペースが限られている多くの電動テールゲートシステムでは、植毛バネを使用してノイズを低減することができない。この従来の電動テールゲートバネを改良するために、本発明は、現行の植毛バネに対して、小さなスペースに取り付けることができ、同じ取り付けスペースという条件下でもバネのせん断応力を低下させて疲労寿命を長くできる、植毛バネの解決手段を設計する。本発明の主な技術的解決手段は、以下の通りである。
【0053】
(1)本発明の植毛バネは、バネ本体の金属、電着コーティング又は亜鉛-アルミニウムコーティング、及びバネの外表面の植毛層を含む。バネ本体は、システム内のバネの機械的特性及び疲労寿命を決定し、コーティングは、バネの耐食性を決定し、バネ表面の植毛層は、繊維を植毛加工することによって、バネ本体の金属とバネの外管との間の直接摩擦を分離し、それによってバネ本体と外管との間の摩擦による摩擦ノイズを除去する。電着コーティング又は亜鉛-アルミニウムコーティングは、15μm~20μmの厚さを有する。
【0054】
(2)本発明の植毛バネは、電動テールゲートバネが円形の(circular)スチールワイヤで作られているという従来の考え方を打破して、楕円形ワイヤが使用されるものであり、バネが完全に圧縮されたときに、圧縮高さが大幅に低減され、システムに取り付けることができなかったバネを既存のスペースに取り付けることができ、システムの構造を変更することなく、植毛加工とノイズ低減とを実現することができる。
【0055】
(3)本発明の植毛バネは、電動テールゲートバネが丸いスチールワイヤで作られているという従来の考え方を打破して、楕円形のスチールワイヤが使用されるものであり、同じ取り付けスペースという条件下でも、バネのスチールワイヤの直径を大きくすることができると共に、バネのせん断応力を小さくすることができ、それによりバネの疲労寿命を長くすることができる。
【0056】
(4)本発明の解決手段は以下の通りである。
顧客によって定義されたシステムの境界条件によれば、バネは、従来の丸いスチールワイヤを使用して設計されている。次に、直径を有する丸いスチールワイヤを、断面積換算によって同じ断面積を有する楕円形のスチールワイヤに変換する。これにより、バネの圧縮高さが大幅に低減された(この状態は、スチールワイヤ間のギャップがゼロである状態に対応する)バネ解決手段を得る。その結果、長手方向のスペースが小さいことに起因して本来は植毛加工の利用によりノイズを低減することができなかった電動テールゲートシステムの雑音問題を、いかなるパラメータを変更することなく解決する。バネは、長円形のワイヤでできていてもよい。
【0057】
以上、本発明の具体的で好適な実施形態ついて詳細に説明した。当業者であれば、いかなる発明的努力を伴うことなく、本発明の概念に従って修正及び変形を行うことができることを理解されたい。したがって、当業者が、従来技術に基づき、本発明の概念に従って、論理分析、推論、又は限定された試行によって得ることができる任意の技術的解決手段は、特許請求の範囲の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0058】
1 バネ本体
2 フック
3 リバーシブル材料トレイ
4 繊維
5 接着剤
6 バネ表面
7 ブラケット