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特許7287981軌道のナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるためのインパクトレンチ
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  • 特許-軌道のナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるためのインパクトレンチ 図1
  • 特許-軌道のナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるためのインパクトレンチ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】軌道のナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるためのインパクトレンチ
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20230530BHJP
   E01B 29/28 20060101ALI20230530BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20230530BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B25B21/02 Z
E01B29/28
B25F5/02
B25F5/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020560759
(86)(22)【出願日】2018-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2018064024
(87)【国際公開番号】W WO2019228609
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】507069564
【氏名又は名称】ローベル バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBEL Bahnbaumaschinen GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 31, D-83395 Freilassing, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オットー ヴィトルロイター
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0277129(US,A1)
【文献】特開2012-139763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0196555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/02
E01B 29/28
B25F 5/02
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道のレールと対応する枕木とを接続するためのナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるためのインパクトレンチであって、当該インパクトレンチは、
インパクトレンチ機構(3)と、
記インパクトレンチ(1)を保持するための少なくとも1つのハンドグリップ(10、11、13)とを有する、インパクトレンチにおいて、前記インパクトレンチは、
前記インパクトレンチ機構(3)を駆動する電気駆動モータ(2)と、
前記電気駆動モータ(2)に電気エネルギを供給する蓄電池(12)と、
少なくとも1つの前記ハンドグリップ(10、11、13)と、前記インパクトレンチ機構(3)とを振動絶縁するための振動絶縁装置(17)と、を有し、
前記振動絶縁装置(17)は、前記インパクトレンチ機構(3)と、少なくとも1つの前記ハンドグリップ(10、11、13)との間の絶縁面(E)を構成する少なくとも1つの振動減衰器(20)を有し、
前記インパクトレンチ機構(3)および前記電気駆動モータ(2)は、前記絶縁面(E)の作業側(21)に配置されており、
少なくとも1つの前記ハンドグリップ(10、11、13)および前記蓄電池(12)は、前記絶縁面(E)の操作側(22)に配置されている
インパクトレンチ。
【請求項2】
前記蓄電池(12)は、取り換え可能に支持フレーム(9)に固定されており、かつハンドグリップ(13)に接続されている、請求項記載のインパクトレンチ。
【請求項3】
制御装置(14)が、前記振動絶縁装置(17)によって構成される絶縁面(E)の操作側(22)に配置されている、請求項1または2記載のインパクトレンチ。
【請求項4】
前記振動絶縁装置(17)によって構成される前記絶縁面(E)を通って、電気線路(23)だけが延在している、請求項1からまでのいずれか1項記載のインパクトレンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載された、軌道のナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるためのインパクトレンチに関する。
【0002】
軌道のねじおよびナットを締め付けるためおよび緩めるために使用可能な電気的に動作されるインパクトレンチは公知である。このようなインパクトレンチは、例えば、レールと、対応する枕木とを接続するナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるために使用される。このようなインパクトレンチを用いた作業は、インパクトレンチの動作時に大きなトルクおよび力が作用するため、作業員にとって極めて骨の折れるものである。
【0003】
本発明の根底にある課題は、高い操作快適性を可能にする、簡単に組み立てられかつ信頼性の高いインパクトレンチを提供することである。
【0004】
この課題は、請求項1の特徴的構成を有するインパクトレンチによって解決される。振動絶縁装置により、少なくとも1つのハンドグリップが、インパクトレンチ機構から、振動が減衰されるような仕方で絶縁される。振動絶縁装置は、好適には、作業員における手・腕の振動が、5m/sの境界値を上回らないように構成されている。少なくとも1つのハンドグリップは、インパクトレンチを両手で保持するために使用される。振動絶縁装置により、作業側を操作側から切り離す絶縁面が定められる。インパクトレンチ機構は、作業側に配置されているのに対し、少なくとも1つのハンドグリップは、操作側に配置されており、これにより、インパクトレンチ機構によって発生する力もしくは振動は、振動絶縁装置により、少なくとも1つのハンドグリップに、大きく減衰された形でのみ作用する。
【0005】
絶縁面という概念は機能的には、振動絶縁装置により、作業側が操作側から振動絶縁されることであると理解される。絶縁面という概念は、厳密に幾何学的に面と理解してはならない。
【0006】
請求項2に記載のインパクトレンチにより、高い操作快適性が保証される。少なくとも1つの振動減衰器は、弾性的に構成されており、これにより、振動絶縁もしくは振動減衰が実現される。好適には、少なくとも1つの振動減衰器は、エラストマ材料、特にゴム材料を有する。振動絶縁装置は、特に少なくとも2つの、特に少なくとも3つの、および特に少なくとも4つの振動減衰器を有する。振動減衰器は、好適には、電気駆動モータの回転軸線の周りに配置されている。少なくとも1つの振動減衰器により、インパクトレンチ機構と、少なくとも1つのハンドグリップとの間に絶縁面が構成される。
【0007】
請求項3に記載のインパクトレンチにより、高い操作快適性が容易に保証される。電気駆動モータが、インパクトレンチ機構と共に絶縁面の作業側に配置されていることにより、電気駆動モータによって生じる力もしくは振動も、振動絶縁装置によって絶縁もしくは減衰され、これにより、力もしくは振動も、少なくとも1つのハンドグリップに、大きく減衰された形でのみ作用する。電気駆動モータが作業側に配置されていることにより、インパクトレンチ機構との機械的な接続は、簡単かつ高い信頼性で構成される。特に、絶縁面を通して機械的な駆動軸を導く必要はなく、またこの機械的な駆動軸を介して伝達される振動も絶縁もしくは減衰させる必要がない。
【0008】
請求項4に記載のインパクトレンチにより、高い操作快適性が容易に保証される。蓄電池が操作側に配置されていることにより、この蓄電池は、インパクトレンチ機構に対する、また場合によって電気駆動モータに対するカウンタウェイトを形成し、これにより、この蓄電池によって、少なくとも1つのハンドグリップにおいて、効果的な振動減衰もしくは振動絶縁が行われる。蓄電池は、好適には支持フレームに固定されており、この支持フレーム自体には、少なくとも1つのハンドグリップおよび振動絶縁装置が固定されている。
【0009】
請求項5に記載のインパクトレンチにより、高い操作快適性が容易に保証される。蓄電池が、取り換え可能に支持フレームに固定されていることにより、インパクトレンチの動作時に、放電した蓄電池を迅速かつ容易に、充電された蓄電池と交換し、インパクトレンチの動作を継続させることができる。蓄電池に接続されているハンドグリップは、一方では、蓄電池の取り換えに使用され、他方では動作時におけるインパクトレンチの保持に使用される。蓄電池およびこれに固定されているハンドグリップが、操作側に配置されていることにより、蓄電池に固定されているハンドグリップも同様に振動絶縁もしくは振動減衰されている。
【0010】
請求項6に記載のインパクトレンチにより、高い信頼性および高い操作快適性が保証される。制御装置が操作側に配置されていることにより、この制御装置は、インパクトレンチ機構の減衰されていない力もしくは振動から保護されており、これにより、インパクトレンチの信頼性は高くなる。制御装置は、特に、電気駆動モータを駆動制御するための少なくとも1つの操作要素を有し、この操作要素は、少なくとも1つのハンドグリップの近くの、振動絶縁もしくは振動減衰された操作側に、もしくは少なくとも1つのハンドグリップに容易に固定される。
【0011】
請求項7に記載のインパクトレンチにより、高い操作快適性が容易に保証される。絶縁面を通って、線路だけが延在していることにより、すなわち絶縁面を通して、インパクトレンチ機構を駆動するための機械的な接続が延在していないことにより、最適な振動絶縁もしくは振動減衰が可能になる。線路は、電気駆動モータを駆動制御しかつこれにエネルギを供給する電気線路であり、また場合によって少なくとも1つの冷却材管路である。蓄電池が操作側に配置されかつ電気駆動モータがインパクトレンチ機構と共に作業側に配置されていることにより、絶縁面を通して、電気駆動モータを駆動制御しかつこれにエネルギを供給する電気線路、また場合によって少なくとも1つの冷却材管路だけが延在するので十分である。これらの線路により、作業側から操作側に実質的に力もしくは振動は伝達されない。
【0012】
本発明の別の特徴的構成、利点および詳細は、一実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】インパクトレンチの斜視図である。
図2図1のインパクトレンチの断面図である。
【0014】
電気的に動作させることが可能なインパクトレンチ1は、トルクを伝達するようにインパクトレンチ機構3に接続されている電気駆動モータ2を有する。インパクトレンチ機構3には、スクリューヘッド4が固定されている。電気駆動モータ2およびインパクトレンチ機構3は、公知でありかつ一般的である。
【0015】
電気駆動モータ2およびインパクトレンチ機構3は、2つの部分から構成されているハウジング5に配置されている。第1ハウジング部分6には、電気駆動モータ2が配置されているのに対し、第2ハウジング部分7には、インパクトレンチ機構3が配置されている。ハウジング5には、支持グリップ8が固定されている。
【0016】
インパクトレンチ1にはさらに、支持フレーム9が含まれており、この支持フレーム9には、第1ハンドグリップ10が実質的に中央に、また第2ハンドグリップ11が側方に配置されている。支持フレーム9には、蓄電池12が取り換え可能に固定されている。蓄電池12は、第3ハンドグリップ13に接続されている。蓄電池12により、電気駆動モータ2および制御装置14に電気エネルギが供給される。制御装置14は、支持フレーム9に固定されている制御部15と、第2ハンドグリップ11に固定されている操作ユニット16とを有する。操作ユニット16は、例えば、電気駆動モータ2を駆動制御するための少なくとも1つの操作要素を有する。
【0017】
インパクトレンチ機構3および電気駆動モータ2からハンドグリップ10、11、13を振動絶縁するために、インパクトレンチ1は、振動絶縁装置17を有する。振動絶縁装置17は、支持フレーム9に固定されている操作者側の固定要素18と、第1ハウジング部分6に固定されている作業側の固定要素19とを有する。振動絶縁装置17はさらに、振動が減衰されるように操作者側の固定要素18と作業側の固定要素19とを接続する複数の振動減衰器20を有する。振動減衰器20は、エラストマ材料から、例えばゴム材料から作製されている。例えば、インパクトレンチ1は、電気駆動モータ2の回転軸線Dの周囲に配置されている4つの振動減衰器20を有する。
【0018】
振動絶縁装置17もしくは振動減衰器20は、作業側21を操作側22から絶縁する絶縁面Eを構成する。作業側21には、電気駆動モータ2、インパクトレンチ機構3およびスクリューヘッド4が配置されている。これに対し、操作側22には、ハンドグリップ10、11を備えた支持フレーム9と、ハンドグリップ13を備えた蓄電池12と、制御装置14とが配置されている。
【0019】
電気駆動モータ2を制御しかつこれにエネルギを供給する電気線路23だけが、絶縁面Eを通って操作側22から作業側21に延在している。電気線路23は、図2において概略的にのみ示されている。
【0020】
インパクトレンチ1は、軌道のナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるために使用される。ナットおよびねじは、レール軌道と対応する枕木とを接続するために必要である。ナットおよびねじを締め付けるためおよび緩めるためには、大きなトルクと力が必要である。
【0021】
制御装置14により、電気駆動モータ2が駆動制御され、これにより、作業員はインパクトレンチ1の動作時にナットおよびねじを所望のように操作することができる。この際に作業員は、例えばハンドグリップ10および11または13および11においてインパクトレンチ1を両手で保持する。振動絶縁装置17により、電気駆動モータ2およびインパクトレンチ機構3によって発生する力もしくは振動は、効果的に減衰されるため、作業側21は操作側22から振動絶縁されている。蓄電池12は、ここでは、操作側22においてカウンタウェイトとして作用し、効果的な振動減衰を生じさせる。
【0022】
蓄電池12が放電されると、蓄電池12は、ハンドグリップ13を用いて容易に取り換えることができ、充電された蓄電池12と交換される。制御装置14が操作側22に配置されていることにより、制御装置14は、振動から保護されている。
図1
図2