(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】通信経路表示装置、通信経路表示方法及び通信経路表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/14 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
G06F3/14 320A
(21)【出願番号】P 2021052871
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後沢 忍
(72)【発明者】
【氏名】古谷 信司
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016980(JP,A)
【文献】特開平04-266249(JP,A)
【文献】国際公開第2006/117831(WO,A1)
【文献】特開平06-348621(JP,A)
【文献】特開2002-318650(JP,A)
【文献】特開2007-164419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示する図表示部と、
前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記図表示部によって表示された前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記図表示部によって表示された前記選択図に表示する経路表示部と
、
前記選択図における前記部分経路の端点となるネットワーク機器である端点機器が指定されると、前記通信経路において前記端点機器と隣接する、前記選択図に含まれないネットワーク機器を含む設計図へのリンク情報を表示するリンク表示部と
を備え、
前記経路表示部は、前記部分経路が通る複数のネットワーク機器それぞれを対象機器として、前記選択図における前記対象機器を表す図形を特定し、前記部分経路において前記対象機器と隣接するネットワーク機器を表す図形の間に、送信元のネットワーク機器を表す図形側から送信先のネットワーク機器を表す図形側への方向を示す矢印を表示
し、
前記図表示部は、前記リンク表示部によって表示された前記リンク情報が選択された場合には、前記リンク情報が示す設計図を前記選択図として表示する通信経路表示装置。
【請求項2】
複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示する図表示部と、
前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記図表示部によって表示された前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記図表示部によって表示された前記選択図に表示する経路表示部と
を備え、
前記経路表示部は、前記部分経路が通る複数のネットワーク機器それぞれを対象機器として、前記選択図における前記対象機器を表す図形を特定し、前記部分経路において前記対象機器と隣接するネットワーク機器を表す図形の間に、送信元のネットワーク機器を表す図形側から送信先のネットワーク機器を表す図形側への方向を示す矢印を表示
し、
前記経路表示部は、複数の矢印が重なって配置される場合には、重なる本数の多い矢印から順に、他の矢印と重ならないように曲げて表示し、重なる本数が同じ場合には、長い矢印から順に、他の矢印と重ならないように曲げて表示する通信経路表示装置。
【請求項3】
前記設計図では、各ネットワーク機器が基準図形とネットワーク機器の識別情報との組によって表され、
前記経路表示部は、前記部分経路が通る複数のネットワーク機器それぞれを対象機器として、前記対象機器の識別情報に基づき前記対象機器を表す基準図形を特定し、特定された基準図形の間に、送信元のネットワーク機器を表す図形側から送信先のネットワーク機
器を表す図形側への方向を示す矢印を表示する
請求項1又は2に記載の通信経路表示装置。
【請求項4】
前記経路表示部は、前記選択図から前記基準図形を特定し、特定された前記基準図形に関連付けられた情報から前記対象機器の識別情報と前記基準図形に関する形式文字列とを削除し、前記識別情報と前記形式文字列とを削除して残った情報に基づき、特定された前記基準図形から前記対象機器を表す基準図形を特定する
請求項3に記載の通信経路表示装置。
【請求項5】
複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示する図表示部と、
前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記図表示部によって表示された前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記図表示部によって表示された前記選択図に表示する経路表示部と
を備え、
前記設計図では、各ネットワーク機器が基準図形とネットワーク機器の識別情報との組によって表され、
前記経路表示部は、前記部分経路が通る複数のネットワーク機器それぞれを対象機器として、前記選択図から前記基準図形を特定し、特定された前記基準図形に関連付けられた情報から前記対象機器の識別情報と前記基準図形に関する形式文字列とを削除し、前記識別情報と前記形式文字列とを削除して残った情報に基づき、特定された前記基準図形から前記対象機器を表す基準図形を特定し、特定された基準図形の間に前記部分経路に含まれるネットワーク機器と前記部分経路に含まれる別のネットワーク機器との間の通信の方向を示す矢印を表示する通信経路表示装置。
【請求項6】
前記基準図形は長方形であり、
前記経路表示部は、前記基準図形を基準サイズだけ小さくした長方形に内接する楕円の周に前記矢印の端点が配置されるように前記矢印を表示する
請求項3から5までのいずれか1項に記載の通信経路表示装置。
【請求項7】
前記経路表示部は、前記基準図形の長辺方向のサイズが閾値よりも大きい大型図形については、前記大型図形における前記矢印で接続する先の基準図形の位置に応じた位置における長方形であって、前記大型図形の短辺方向のサイズに応じた長方形に内接する楕円又は円の周に前記矢印の端点が配置されるように前記矢印を表示する
請求項6に記載の通信経路表示装置。
【請求項8】
前記経路表示部は、通信方式に応じて異なる矢印を表示する
請求項1から
7までのいずれか1項に記載の通信経路表示装置。
【請求項9】
前記通信経路表示装置は、さらに、
前記複数の設計図に含まれる1つ以上の設計図を1つのノードとして表すことにより前記ネットワークシステムの構成を示した鳥瞰図を生成し、生成された前記鳥瞰図を表示する鳥瞰表示部
を備える請求項1から
8までのいずれか1項に記載の通信経路表示装置。
【請求項10】
前記鳥瞰表示部は、前記通信経路を構成する2つのネットワーク機器であって、前記通信経路において隣接する2つのネットワーク機器の両方を含む設計図が前記複数の設計図に含まれていない場合に、前記隣接する2つのネットワーク機器の一方が含まれる設計図を表すノードと、他方が含まれる設計図を表すノードとの間を繋ぐ線を他の線と区別した前記鳥瞰図を生成する
請求項
9に記載の通信経路表示装置。
【請求項11】
前記鳥瞰表示部は、前記通信経路を構成するいずれか1つのネットワーク機器を含む設計図が前記複数の設計図に含まれていない場合に、前記1つのネットワーク機器についての架空の設計図を表すノードを用いて、前記鳥瞰図を生成する
請求項
9又は
10に記載の通信経路表示装置。
【請求項12】
複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示する図表示部と、
前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記図表示部によって表示された前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記図表示部によって表示された前記選択図に表示する経路表示部と、
前記複数の設計図に含まれる1つ以上の設計図を1つのノードとして表すことにより前記ネットワークシステムの構成を示した鳥瞰図を生成し、生成された前記鳥瞰図を表示する鳥瞰表示部と
を備え、
前記鳥瞰表示部は、前記通信経路を構成する2つのネットワーク機器であって、前記通信経路において隣接する2つのネットワーク機器の両方を含む設計図が前記複数の設計図に含まれていない場合に、前記隣接する2つのネットワーク機器の一方が含まれる設計図を表すノードと、他方が含まれる設計図を表すノードとの間を繋ぐ線を他の線と区別した前記鳥瞰図を生成する通信経路表示装置。
【請求項13】
複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示する図表示部と、
前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記図表示部によって表示された前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記図表示部によって表示された前記選択図に表示する経路表示部と、
前記複数の設計図に含まれる1つ以上の設計図を1つのノードとして表すことにより前記ネットワークシステムの構成を示した鳥瞰図を生成し、生成された前記鳥瞰図を表示する鳥瞰表示部と
を備え、
前記鳥瞰表示部は、前記通信経路を構成するいずれか1つのネットワーク機器を含む設計図が前記複数の設計図に含まれていない場合に、前記1つのネットワーク機器についての架空の設計図を表すノードを用いて、前記鳥瞰図を生成する通信経路表示装置。
【請求項14】
図表示部が、複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示し、
経路表示部が、前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す
部分経路情報を、前記選択図に表示し、
リンク表示部が、前記選択図における前記部分経路の端点となるネットワーク機器である端点機器が指定されると、前記通信経路において前記端点機器と隣接する、前記選択図に含まれないネットワーク機器を含む設計図へのリンク情報を表示し、
前記経路表示部が、前記部分経路が通る複数のネットワーク機器それぞれを対象機器として、前記選択図における前記対象機器を表す図形を特定し、前記部分経路において前記対象機器と隣接するネットワーク機器を表す図形の間に、送信元のネットワーク機器を表す図形側から送信先のネットワーク機器を表す図形側への方向を示す矢印を表示し、
前記図表示部は、前記リンク情報が選択された場合には、前記リンク情報が示す設計図を前記選択図として表示する通信経路表示方法。
【請求項15】
複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示する図表示処理と、
前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記図表示処理によって表示された前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記図表示処理によって表示された前記選択図に表示する経路表示処理と
、
前記選択図における前記部分経路の端点となるネットワーク機器である端点機器が指定されると、前記通信経路において前記端点機器と隣接する、前記選択図に含まれないネットワーク機器を含む設計図へのリンク情報を表示するリンク表示処理と
を行う通信経路表示装置としてコンピュータを機能させ、
前記経路表示処理では、前記部分経路が通る複数のネットワーク機器それぞれを対象機器として、前記選択図における前記対象機器を表す図形を特定し、前記部分経路において前記対象機器と隣接するネットワーク機器を表す図形の間に、送信元のネットワーク機器を表す図形側から送信先のネットワーク機器を表す図形側への方向を示す矢印を表示
し、
前記図表示処理では、前記リンク表示処理によって表示された前記リンク情報が選択された場合には、前記リンク情報が示す設計図を前記選択図として表示する通信経路表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、LAN(Local Area Network)といったネットワークシステムの設計図を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークシステムは、スイッチ及びルータといった複数のネットワーク機器が接続されて構成される。ネットワークシステムがある程度の規模になると、1つの設計図ではネットワークシステム全体の構成を表すことが困難になる。そのため、ネットワークシステムがある程度の規模になると、ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図によって、ネットワークシステム全体の構成が表される。
【0003】
ネットワークシステムの工事を行う場合等には、特定のネットワーク機器の間の通信経路を確認したいことがある。特許文献1には、ネットワーク機器間の通信経路を特定して表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネットワークシステムの工事を行う場合等には、通信経路とともに、設計図に記載されたネットワーク機器の機器情報を確認したい場合がある。特許文献1に記載された技術では、通信経路とは別に設計図を参照してネットワーク機器の情報を確認する必要がある。
本開示は、通信経路とともに、設計図に記載されたネットワーク機器の機器情報を容易に確認可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る通信経路表示装置は、
複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示する図表示部と、
前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記図表示部によって表示された前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記図表示部によって表示された前記選択図に表示する経路表示部と
を備える。
【0007】
前記通信経路表示装置は、さらに、
前記選択図における前記部分経路の端点となるネットワーク機器である端点機器が指定されると、前記通信経路において前記端点機器と隣接する、前記選択図に含まれないネットワーク機器を含む設計図へのリンク情報を表示するリンク表示部
を備える。
【0008】
前記経路表示部は、前記部分経路情報として、前記部分経路に含まれるネットワーク機器と前記部分経路に含まれる別のネットワーク機器との間の通信の方向を示す矢印を表示する。
【0009】
前記設計図では、各ネットワーク機器が基準図形とネットワーク機器の識別情報との組によって表され、
前記経路表示部は、前記部分経路が通る複数のネットワーク機器それぞれを対象機器として、前記対象機器の識別情報に基づき前記対象機器を表す基準図形を特定し、特定された基準図形の間に前記部分経路に含まれるネットワーク機器と前記部分経路に含まれる別のネットワーク機器との間の通信の方向を示す矢印を表示する。
【0010】
前記経路表示部は、前記選択図から前記基準図形を特定し、特定された前記基準図形に関連付けられた情報から前記対象機器の識別情報と前記基準図形に関する形式文字列とを削除し、前記識別情報と前記形式文字列とを削除して残った情報に基づき、特定された前記基準図形から前記対象機器を表す基準図形を特定する。
【0011】
前記基準図形は長方形であり、
前記経路表示部は、前記基準図形を基準サイズだけ小さくした長方形に内接する楕円の周に前記矢印の端点が配置されるように前記矢印を表示する。
【0012】
前記経路表示部は、前記基準図形の長辺方向のサイズが閾値よりも大きい大型図形については、前記大型図形における前記矢印で接続する先の基準図形の位置に応じた位置における長方形であって、前記大型図形の短辺方向のサイズに応じた長方形に内接する楕円又は円の周に前記矢印の端点が配置されるように前記矢印を表示する。
【0013】
前記経路表示部は、複数の矢印が重なって配置される場合には、重なる本数の多い矢印から順に、他の矢印と重ならないように曲げて表示する。
【0014】
前記経路表示部は、通信方式に応じて異なる矢印を表示する。
【0015】
前記通信経路表示装置は、さらに、
前記複数の設計図に含まれる1つ以上の設計図を1つのノードとして表すことにより前記ネットワークシステムの構成を示した鳥瞰図を生成し、生成された前記鳥瞰図を表示する鳥瞰表示部
を備える。
【0016】
前記鳥瞰表示部は、前記通信経路を構成する2つのネットワーク機器であって、前記通信経路において隣接する2つのネットワーク機器の両方を含む設計図が前記複数の設計図に含まれていない場合に、前記隣接する2つのネットワーク機器の一方が含まれる設計図を表すノードと、他方が含まれる設計図を表すノードとの間を繋ぐ線を他の線と区別した前記鳥瞰図を生成する。
【0017】
前記鳥瞰図生成部は、前記通信経路を構成するいずれか1つのネットワーク機器を含む設計図が前記複数の設計図に含まれていない場合に、前記1つのネットワーク機器についての架空の設計図を表すノードを用いて、前記鳥瞰図を生成する。
【0018】
本開示に係る通信経路表示方法は、
図表示部が、複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示し、
経路表示部が、前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記選択図に表示する。
【0019】
本開示に係る通信経路表示プログラムは、
複数のネットワーク機器を含むネットワークシステムの構成を示す複数の設計図であって、前記ネットワークシステムにおける一部のネットワーク機器についての接続関係を示す複数の設計図のうち選択された設計図である選択図を表示する図表示処理と、
前記複数のネットワーク機器における特定のネットワーク機器の間の通信経路のうち、前記図表示処理によって表示された前記選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報を、前記図表示処理によって表示された前記選択図に表示する経路表示処理と
を行う通信経路表示装置としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本開示では、ネットワークシステムの構成を示す設計図に通信経路を示す経路情報を表示する。これにより、通信経路とともに、設計図に記載されたネットワーク機器の機器情報を容易に確認可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態1に係る通信経路表示装置10の構成図。
【
図3】実施の形態1に係る通信経路表示装置10の処理の流れを示すフローチャート。
【
図4】実施の形態1に係る経路表示処理(
図3のステップS12)の説明図。
【
図5】実施の形態1に係るリンク表示処理(
図3のステップS13)の説明図。
【
図6】実施の形態1に係るリンク表示処理(
図3のステップS13)の説明図。
【
図7】変形例1に係る通信経路表示装置10の構成図。
【
図8】実施の形態2に係る経路表示処理(
図3のステップS12)のフローチャート。
【
図9】実施の形態2に係る矢印表示処理(
図8のステップS23)の説明図。
【
図10】実施の形態2に係る矢印変形処理(
図8のステップS24)の説明図。
【
図11】実施の形態2に係る矢印変形処理(
図8のステップS24)の説明図。
【
図12】変形例3に係る矢印表示処理(
図8のステップS23)の説明図。
【
図13】実施の形態3に係る通信経路表示装置10の構成図。
【
図14】実施の形態3に係る通信経路表示装置10の処理の流れを示すフローチャート。
【
図15】実施の形態3に係る鳥瞰図表示処理(
図14のステップS32)の説明図。
【
図16】実施の形態3に係る鳥瞰図表示処理(
図14のステップS32)の説明図。
【
図17】実施の形態3に係る2つのネットワーク機器41の両方を含む設計
図31がない場合の説明図。
【
図18】実施の形態3に係る2つのネットワーク機器41の両方を含む設計
図31がない場合の説明図。
【
図19】実施の形態3に係るあるネットワーク機器41を含む設計
図31がない場合の説明図。
【
図20】実施の形態3に係るあるネットワーク機器41を含む設計
図31がない場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る通信経路表示装置10の構成を説明する。
通信経路表示装置10は、コンピュータである。
通信経路表示装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0023】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0024】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0025】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)である。また、ストレージ13は、SD(登録商標,Secure Digital)メモリカード、CF(CompactFlash,登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。
【0026】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標,High-Definition Multimedia Interface)のポートである。
【0027】
通信経路表示装置10は、機能構成要素として、図表示部21と、経路表示部22と、リンク表示部23とを備える。通信経路表示装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、通信経路表示装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、通信経路表示装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0028】
ストレージ13には、複数の設計
図31が記憶されている。
【0029】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0030】
***動作の説明***
図2から
図6を参照して、実施の形態1に係る通信経路表示装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る通信経路表示装置10の動作手順は、実施の形態1に係る通信経路表示方法に相当する。また、実施の形態1に係る通信経路表示装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る通信経路表示プログラムに相当する。
【0031】
図2を参照して、実施の形態1に係る設計
図31について説明する。
ストレージ13に記憶された複数の設計
図31は、ネットワークシステム40の構成を示す。ネットワークシステム40は、複数のネットワーク機器41を含み、複数のネットワーク機器41の間が伝送路42によって接続されて構成される。各設計
図31は、ネットワークシステム40における一部のネットワーク機器41についての接続関係を示す。また、各設計
図31は、一部のネットワーク機器41について、機種名と、ホスト名と、IP(Internet Protocol)アドレスと、バージョンと、設定情報といった機器情報を示す。
図2に示すように、設計
図31は、各ネットワーク機器41が基準図形32とネットワーク機器の識別情報33との組によって表される。ここでは、基準図形は長方形であり、基準図形の中に機種名とホスト名とIP(Internet Protocol)アドレスといった識別情報が記述されている。また、設計
図31は、伝送路42による接続関係が各ネットワーク機器41を表す基準図形32の間の線34によって表される。ここでは、設計
図31は、イメージデータではなく、SVG(Scalable Vector Graphics)といったタグ形式のデータ、又は、タグ形式のデータに変換可能なデータであるとする。
【0032】
図3を参照して、実施の形態1に係る通信経路表示装置10の処理の流れを説明する。
図3に示す処理の前提として、ネットワークシステム40を構成する複数のネットワーク機器41のうちの特定のネットワーク機器41の間の通信経路が特定されているものとする。ここでは、ユーザから通信インタフェース14を介して、通信するネットワーク機器41の組が指定され、指定された組に含まれるネットワーク機器41の間の通信経路が特定されているとする。ネットワーク機器41の複数の組が指定されている場合には、各組について、その組に含まれるネットワーク機器41の間の通信経路が特定されているものとする。通信経路の特定は、既存の技術を用いることにより実現可能である。例えば、ユーザは、通信インタフェース14を介して、外部の装置のGUIにより表示された通信経路の一覧から通信経路を選択することにより、通信経路を特定することができる。
さらに、
図3に示す処理の前提として、特定された通信経路に係る複数の設計
図31が特定されているものとする。例えば、設計
図31と、設計
図31の中に表示されるネットワーク機器41との関係は、予めストレージ13に記憶されており、この情報から特定された通信経路に係る複数の設計
図31を特定してもよい。又は、設計
図31に含まれるデータから、設計
図31の中に表示されるネットワーク機器41を特定し、この情報から特定された通信経路に係る複数の設計
図31を特定してもよい。
さらに、
図3に示す処理の前提として、特定された通信経路に係り特定された設計
図31から、1つの設計
図31が選択されているものとする。例えば、設計
図31は、予め該当の通信経路の代表図としてストレージ13に記憶されているものが選択されてもよいし、最も多くのネットワーク機器41を含む選択
図31が選択されてもよいし、通信経路の端点を含む設計
図31のうちの1つが選択されてもよい。又は、設計
図31は、後述する実施の形態3のように、通信インタフェース14を介してユーザから選択されてもよい。このように選択された図を選択図という。
【0033】
(ステップS11:図表示処理)
図表示部21は、ストレージ13に記憶された複数の設計
図31のうち選択された設計
図31である選択図を表示する。
【0034】
(ステップS12:経路表示処理)
経路表示部22は、ステップS11で表示された選択図が示す接続関係に関する部分の通信経路である部分経路を示す部分経路情報43を、ステップS11で表示された選択図上に重畳して表示する。
具体的には、経路表示部22は、通信経路のうち、選択図が示す接続関係に関する部分の部分経路を抽出する。経路表示部22は、部分経路を示す部分経路情報43を選択図上に表示する。ここでは、
図4に示すように、部分経路情報43は、部分経路に含まれるネットワーク機器41のうち送信元のネットワーク機器41側から、部分経路に含まれるネットワーク機器41のうち送信先のネットワーク機器41側への方向を示す片方向の矢印である。双方向の通信が行われる場合には、部分経路情報43は、両方向の矢印になる。このように、経路表示部22は、部分経路情報43として、部分経路に含まれるネットワーク機器41と、部分経路に含まれる別のネットワーク機器41との間の通信の方向を示す矢印を表示する。ここで矢印とは、片方向の矢印と双方向の矢印を含む。
経路表示部22は、ネットワーク機器41の複数の組が指定されている場合には、各組について、その組に含まれるネットワーク機器41の間の通信経路から部分経路を抽出する。そして、経路表示部22は、各組についての部分経路を示す部分経路情報43を選択図上に表示する。この際、経路表示部22は、組毎に、部分経路情報43である矢印の色を変える、矢印の線種を変える等して、各組の部分経路情報43を区別して表示する。このネットワーク機器41の複数の組は、同じ組について、異なる通信経路が特定されたものであってもよい。例えば、異なる通信経路は、あるネットワーク機器41の組の間に含まれるネットワーク機器41がすべて正常に動作している場合の通信経路と、これらのネットワーク機器41の一部が障害のため停止したと仮定した場合に、異なる経路となる通信経路であってもよい。
【0035】
(ステップS13:リンク表示処理)
リンク表示部23は、ステップS11で表示された選択図における部分経路の端点となるネットワーク機器41である端点機器44が指定されると、通信経路において端点機器44と隣接する、選択図に含まれないネットワーク機器41を含む設計
図31へのリンク情報45を表示する。
具体的には、リンク表示部23は、選択図における部分経路の端点となるネットワーク機器41である端点機器44を特定する。
図5に示すように、リンク表示部23は、端点機器44を他のネットワーク機器41と区別して表示する。例えば、リンク表示部23は、端点機器44を他のネットワーク機器41とは別の色を背景色として用いて表示する。
図5では、端点機器44を表す基準図形32の周縁に斜線のハッチングが付されている。また、リンク表示部23は、ネットワークシステム40のユーザによって使用される端末が接続されたネットワーク機器41と、サーバといった装置が接続されたネットワーク機器41とについても、端点機器44及び他のネットワーク機器41と区別して表示する。例えば、リンク表示部23は、ネットワークシステム40のユーザによって使用される端末が接続されたネットワーク機器41と、サーバといった装置が接続されたネットワーク機器41とを、端点機器44及び他のネットワーク機器41とは別の色を背景色として用いて表示する。
図5では、サーバといった装置が接続されたネットワーク機器41を表す基準図形32の周縁にひし形のハッチングが付されている。
そして、カーソルを合わせるといった操作により、端点機器44が指定される。すると、リンク表示部23は、
図6に示すように、通信経路において端点機器44と隣接する、選択図に含まれないネットワーク機器41を含む設計
図31へのリンク情報45を表示する。
【0036】
リンク表示部23は、リンク情報45が選択された場合には、リンク情報45が示す設計
図31が選択図として選択されたものとして、処理をステップS11に戻す。
すると、ステップS11では、図表示部21は、リンク情報45が示す設計
図31を選択図として表示する。ステップS12では、図表示部21は、リンク情報45が示す設計
図31である選択図についての部分経路情報43を、選択図上に表示する。ステップS13では、リンク表示部23は、選択図における端点機器44を他のネットワーク機器41と区別して表示し、端点機器44が指定されるとリンク情報45を表示する。
【0037】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る通信経路表示装置10は、選択された設計
図31である選択図上に、部分経路情報43である矢印を表示する。これにより、通信経路とともに、設計
図31に記載されたネットワーク機器41の機器情報を容易に確認可能である。
【0038】
また、実施の形態1に係る通信経路表示装置10は、端点機器44が指定されると、通信経路において端点機器44と隣接する、選択図に含まれないネットワーク機器41を含む設計
図31へのリンク情報45を表示する。これにより、リンク情報45を辿ることにより、通信経路を辿りながら通信経路を構成するネットワーク機器41の機器情報を確認することが可能である。
【0039】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例1として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例1について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0040】
図7を参照して、変形例1に係る通信経路表示装置10の構成を説明する。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、通信経路表示装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路15を備える。電子回路15は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0041】
電子回路15としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が想定される。
各機能構成要素を1つの電子回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路15に分散させて実現してもよい。
【0042】
<変形例2>
変形例2として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0043】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路15とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態2では、部分経路情報43の表示方法について説明する。実施の形態2では、実施の形態1と異なる点のみ説明し、同一の点については説明を省略する。
【0045】
***動作の説明***
図8から
図11を参照して、実施の形態2に係る通信経路表示装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係る通信経路表示装置10の動作手順は、実施の形態2に係る通信経路表示方法に相当する。また、実施の形態2に係る通信経路表示装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態2に係る通信経路表示プログラムに相当する。
【0046】
図8を参照して、実施の形態2に係る経路表示処理(
図3のステップS12)の処理を説明する。
(ステップS21:経路特定処理)
経路表示部22は、通信経路のうち、選択図が示す接続関係に関する部分の部分経路を抽出する。
【0047】
(ステップS22:位置特定処理)
経路表示部22は、ステップS21で抽出された部分経路が通る複数のネットワーク機器41それぞれを対象機器として設定する。経路表示部22は、選択図から対象機器を表す基準図形32を特定する。
設計
図31がSVG形式のデータであるとして具体的に説明する。経路表示部22は、選択図に含まれる基準図形32を特定する。ここでは、経路表示部22は、設計
図31から長方形を表す記述を検索することにより、基準図形32を特定することができる。長方形を表す記述は、rectタグの記載があるgタグである。
経路表示部22は、特定された基準図形32に関連付けられた情報から対象機器の識別情報33と基準図形に関する形式文字列とを削除する。基準図形32に関連付けられた情報は、基準図形32を表すgタグについての記述である。形式文字列は、各種タグである。経路表示部22は、gタグについてのtextタグを抽出することにより、テキスト記述を特定する。経路表示部22は、テキスト記述から形式文字列である各種タグを削除する。このとき、経路表示部22は、改行を示すタグはスペース1文字に変換する。経路表示部22は、テキスト記述から、対象機器の識別情報33であるホスト名を検索して、ヒットした場合には削除する。同様に、経路表示部22は、テキスト記述から、対象機器の識別情報33であるIPアドレスを検索して、ヒットした場合には削除する。同様に、経路表示部22は、テキスト記述から、対象機器の識別情報33である機種名を検索して、ヒットした場合には削除する。
経路表示部22は、識別情報33と形式文字列とを削除して残った、基準図形32に関連付けられた情報が、スペースだけである基準図形32を対象機器を表す基準図形32として特定する。
【0048】
ここで、単純に関連する情報に識別情報33を含む基準図形32を対象機器を表す基準図形32として特定しないのは、以下の理由による。
設計
図31には、ネットワーク機器41に関する説明が記述されていることがある。この記述には、どのネットワーク機器41に関する内容であるかを特定可能にするために、ネットワーク機器41の識別情報33が含まれることがある。また、設計
図31を作成するユーザによっては、ネットワーク機器41を表す基準図形32を使って説明を記述してしまう場合がある。例えば、基準図形32である長方形の中に説明を記述し、長方形の枠線を非表示にすることにより、一見すると基準図形32には見えないような形式で説明が記述されることがある。
このように、ネットワーク機器41を表していないにも関わらず、ネットワーク機器41の識別情報33が含まれる基準図形32が設計
図31に含まれていることがある。そのため、単純に関連する情報に識別情報33を含む基準図形32を、対象機器を表す基準図形32として特定してしまうと、誤った基準図形32が特定されてしまう可能性がある。
【0049】
(ステップS23:矢印表示処理)
経路表示部22は、例えば、特定された基準図形32の間に送信元のネットワーク機器41側から送信先のネットワーク機器41側への方向を示す矢印を表示する。
具体的には、
図9に示すように、経路表示部22は、基準図形32を基準サイズだけ小さくした長方形に内接する楕円を計算する。基準サイズは、事前に設定されたサイズであり、例えば基準図形32の90%のサイズである。経路表示部22は、送信元のネットワーク機器41を表す基準図形32の中心から、送信先のネットワーク機器41を表す基準図形32の中心に向かう直線の矢印を表示する。この際、経路表示部22は、計算された楕円の周に矢印の端点が配置されるように矢印を表示する。すなわち、送信元のネットワーク機器41を表す基準図形32の中心から、送信先のネットワーク機器41を表す基準図形32の中心に向かう直線と、計算された楕円の周の交点を矢印の端点とする。双方向の矢印の場合も同様に表示する。
図9における破線、点線、基準図形の中心点は、説明のためのものであり、実際には表示されない。
【0050】
(ステップS24:矢印変形処理)
経路表示部22は、複数の矢印が重なって配置される場合には、重なる本数の多い矢印から順に、他の矢印と重ならないように曲げて表示する。経路表示部22は、重なる本数が同じ複数の矢印が重なって配置される場合には、長い矢印から順に、他の矢印と重ならないように曲げて表示する。
具体的には、経路表示部22は、各矢印について他の矢印と重なっているか否かを判定する。経路表示部22は、以下の3つの条件を満たす矢印を重なっていると判定する。条件1:傾きが同じである。条件2:設計
図31におけるX軸(横軸)方向及びY軸(縦軸)方向の両方で同じ座標となる部分がある。条件3:一方の矢印の線分の端点が、他方の矢印の延長線上にある。ここで、他方の矢印については、線分を延長して判断する。なお、条件1及び条件3については、経路表示部22は、矢印の線の幅2~3本分の誤差範囲を設けておき、誤差範囲であれば条件を満たすと判定してもよい。
【0051】
経路表示部22は、重なって配置されている複数の矢印のグループを特定する。例えば、(1)ある矢印を判定対象の矢印として、経路表示部22は、判定対象の矢印と重なる矢印を特定し、判定対象の矢印と特定された矢印とを同じグループに分類する。その後、(2)経路表示部22は、グループに含まれるいずれかの矢印と重なる矢印を特定して、グループに加える。
経路表示部22は、グループに含まれるいずれの矢印とも重なる矢印がなくなると、いずれのグループにも含まれていない矢印を判定対象の矢印として、(1)の処理から再実行する。
【0052】
経路表示部22は、各グループを順に対象のグループに設定する。
図10に示すように、経路表示部22は、対象のグループに含まれる矢印のうち、重なる本数の多い矢印から順に、曲げ対象の矢印に設定する。経路表示部22は、重なる本数が同じ矢印が複数ある場合には、重なる本数が同じ矢印のうち、長い矢印から順に、曲げ対象の矢印に設定する。経路表示部22は、重なる本数が同じであり、長さも同じである矢印については任意の順に曲げ対象の矢印に設定する。
図10では、矢印Aは4本の矢印(矢印B,C,D,E)と重なり、矢印Bは4本の矢印(矢印A,C,D,E)と重なり、矢印Cは3本の矢印(矢印A,B,D)と重なり、矢印Dは3本の矢印(矢印A,B,C)と重なり、矢印Eは2本の矢印(矢印A,B)と重なる。また、矢印Aは矢印Bより長く、矢印Cは矢印Dより長い。したがって、矢印A、矢印B、矢印C、矢印D、矢印Eの順に曲げ対象の矢印に設定される。
【0053】
そして、経路表示部22は、曲げ対象の矢印を他の矢印と重ならないように曲げて表示する。ここでは、経路表示部22は、対象のグループに含まれる矢印について、順に曲げる方向を逆側にするとともに、徐々に曲げの大きさを大きくする。
図11に示すように、矢印1、矢印2、矢印3、矢印4、矢印5の順に曲げ対象の矢印に設定されるとする。この場合には、経路表示部22は、矢印5を上側に第1幅だけ離れるように曲げる。経路表示部22は、矢印4を下側に第1幅だけ離れるように曲げる。経路表示部22は、矢印3を上側に第1幅よりも広い第2幅だけ離れるように曲げる。経路表示部22は、矢印2を下側に第2幅だけ離れるように曲げる。経路表示部22は、矢印1を上側に第2幅より広い第3幅だけ離れるように曲げる。
図11では、経路表示部22は、曲線状に矢印を曲げているが、折れ線状に矢印を曲げてもよい。なお、
図11は、曲げ方を説明するための図である。実際の選択図では、グループに含まれるいずれの矢印とも重なる矢印がなくなると、曲げて表示はしないので、直線の矢印も残ることになる。
なお、経路表示部22は、対象のグループに含まれる矢印のうち曲げなくても重ならない矢印ついては、直線のままにする。
図10の例であれば、矢印Dと矢印Eとは他の矢印を曲げたことにより重ならないので、直線のままになっている。
【0054】
***実施の形態2の効果***
実施の形態2に係る通信経路表示装置10は、設計
図31におけるネットワーク機器41を表す基準図形32を適切に特定可能である。これにより、正しい位置に部分経路情報43である矢印を表示することが可能である。
【0055】
また、実施の形態2に係る通信経路表示装置10は、基準図形32を基準サイズだけ小さくした長方形に内接する楕円に接するように矢印を表示する。これにより、基準図形32内に表示されたネットワーク機器41の機器情報等と、矢印が重なる部分を少なくし、機器情報等を見やすい状態で矢印を表示することが可能である。
【0056】
また、実施の形態2に係る通信経路表示装置10は、矢印が重なる場合に、矢印が重ならないように矢印を曲げて表示する。これにより、適切に通信経路を把握することが可能である。
【0057】
***他の構成***
<変形例3>
図8のステップS23では、どの基準図形32についても同じ処理により矢印を表示した。しかし、基準図形32の長辺方向のサイズが大きい場合には、不必要に長い矢印になる場合と、見難い矢印になる場合とがある。基幹系のスイッチといったネットワーク機器41は、長辺方向のサイズが大きい基準図形32で表示されることが多い。そこで、基準図形32の長辺方向のサイズが閾値よりも大きい大型図形については、以下のように、大型図形における矢印で接続する先の基準図形32の位置に応じた位置に、大型図形の短辺方向のサイズに応じた長方形に内接する楕円又は円の周に前記矢印が接するように矢印を表示してもよい。閾値は、例えば、設計
図31の横又は縦の幅の半分である。
【0058】
図12に示すように、経路表示部22は、大型図形の長辺方向の外側に接続先のネットワーク機器41を表す基準図形32があるか、大型図形の長辺方向の内側に接続先のネットワーク機器41を表す基準図形32があるかを判定する。
(1)大型図形の長辺方向の外側に接続先の基準図形32がある場合には、経路表示部22は、大型図形の長辺方向における、接続先の基準図形32がある側の端部から第1距離だけ内側の位置を特定する。第1距離は、大型図形の長辺のサイズから計算された距離であり、例えば長辺の長さの10%の距離である。経路表示部22は、特定された位置に、大型図形の短辺方向のサイズよりも長辺が少し小さい長方形、又は、大型図形の短辺方向のサイズよりも少し小さい正方形を特定する。経路表示部22は、特定された長方形に内接する楕円又は正方形に内接する円に接するように直線の矢印を表示する。
(2)大型図形の長辺方向の内側に接続先の基準図形32がある場合には、経路表示部22は、接続先の基準図形32の数を特定する。経路表示部22は、接続先の基準図形32が1つである場合には、大型図形の長辺方向における、接続先の基準図形32の中心の位置を特定する。経路表示部22は、接続先の基準図形32が複数である場合には、大型図形の長辺方向における、接続先の基準図形32の中央の位置を特定する。経路表示部22は、特定された位置に、大型図形の短辺方向のサイズよりも長辺が少し小さい長方形、又は、大型図形の短辺方向のサイズよりも少し小さい正方形を特定する。経路表示部22は、特定された長方形に内接する楕円又は正方形に内接する円に接するように直線の矢印を表示する。
【0059】
<変形例4>
図8のステップS23では、経路表示部22は、通信方式に応じて異なる矢印を表示してもよい。
具体例としては、ネットワーク機器41間がL2(Layer2)接続されている場合とL3(Layer3)接続されている場合とがある。この場合には、経路表示部22は、L2接続されている箇所とL3接続されている箇所とで異なる矢印を表示してもよい。異なる矢印とは、例えば、矢印の先端形状を変えた矢印等である。
【0060】
実施の形態3.
実施の形態3は、鳥瞰
図35を生成して表示する点が実施の形態1,2と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0061】
***構成の説明***
図13を参照して、実施の形態3に係る通信経路表示装置10の構成を説明する。
通信経路表示装置10は、機能構成要素として、鳥瞰表示部24を備える点が
図1に示す通信経路表示装置10と異なる。鳥瞰表示部24の機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
【0062】
***動作の説明***
図14から
図18を参照して、実施の形態3に係る通信経路表示装置10の動作を説明する。
実施の形態3に係る通信経路表示装置10の動作手順は、実施の形態3に係る通信経路表示方法に相当する。また、実施の形態3に係る通信経路表示装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態3に係る通信経路表示プログラムに相当する。
【0063】
図14を参照して、実施の形態3に係る通信経路表示装置10の処理の流れを説明する。
図14に示す処理の前提として、実施の形態1と同様に、ネットワークシステム40を構成する複数のネットワーク機器41のうちの特定のネットワーク機器41の間の通信経路が特定されているものとする。さらに、
図14に示す処理の前提として、実施の形態1と同様に、特定された通信経路に係る複数の設計
図31が特定されているものとする。以降の処理の流れは、予め特定された通信経路に係る複数の設計
図31に係るものである。
(ステップS31:鳥瞰図生成処理)
鳥瞰表示部24は、ストレージ13に記憶された複数の設計
図31に含まれる1つ以上の設計
図31を1つのノードとして表すことによりネットワークシステム40の構成を示した鳥瞰
図35を生成する。
具体的には、鳥瞰表示部24は、設計
図31に割り当てられた番号に基づき、鳥瞰
図35を生成する。ここでは、各設計
図31には、
図X.Y-Zという形式の番号が割り当てられているとする。例えば、設計
図31がネットワークシステム40のどの場所を表しているか等に応じて、X,Y,Zの値が設定されている。つまり、本社であればX=1、第1支社であればX=2となり、本社の第1フロアであればY=1、本社の第2フロアであればY=2となり、本社の第1フロアの第1エリアであればZ=1、本社の第1フロアの第2エリアであればZ=2といったように番号が割り当てられる。
鳥瞰表示部24は、Xの値が同じ設計
図31を1つのノードとして表すことにより、第1階層の鳥瞰
図35を生成する。また、鳥瞰表示部24は、X及びYの値が同じ設計
図31を1つのノードとして表すことにより、第2階層の鳥瞰
図35を生成する。また、鳥瞰表示部24は、X、Y及びZの値が同じ設計
図31を1つのノードとして表すことにより、第3階層の鳥瞰
図35を生成する。
【0064】
(ステップS32:鳥瞰図表示処理)
鳥瞰表示部24は、ステップS31で生成された鳥瞰
図35を表示装置に表示する。例えば、
図15に示すように、鳥瞰表示部24は、第1階層の鳥瞰
図35を表示する。鳥瞰表示部24は、鳥瞰
図35に示されたノードが選択されると、
図16に示すように選択されたノードを第2階層のノードに展開して表示する。
図16では、
図15の本社を表すノードが展開された状態を示している。鳥瞰表示部24は、第2階層のノードが選択されると、選択されたノードを第3階層のノードに展開して表示する。鳥瞰表示部24は、第3階層のノードが選択されると、選択されたノードに対応する設計
図31を選択図として、処理を
図3のステップS11に移す。これにより、選択されたノードに対応する設計
図31が表示される。すなわち、実施の形態1の前提として、特定された通信経路に係り特定された設計
図31から、1つの設計
図31が選択されているという処理は、このようにして実現される。
【0065】
通信経路を構成する2つのネットワーク機器41であって、通信経路において隣接する2つのネットワーク機器41の両方を含む設計
図31がストレージ13に記憶された複数の設計
図31に含まれていない場合がある。この場合には、ステップS31で鳥瞰表示部24は、隣接する2つのネットワーク機器41の一方が含まれる設計
図31を表すノードと、他方が含まれる設計
図31を表すノードとの間を繋ぐ線を他の線と区別した鳥瞰
図35を生成する。
例えば、
図17に示すように、通信経路がネットワーク機器41Aとネットワーク機器41Bとネットワーク機器41Cとネットワーク機器41Dとを順に通っているとする。この場合に、ネットワーク機器41Aとネットワーク機器41Bとを含む設計
図31と、ネットワーク機器41Cとネットワーク機器41Dとを含む設計
図31とは存在するが、ネットワーク機器41Bとネットワーク機器41Cとを含む設計
図31が存在しない場合がある。すると、
図18に示すように、鳥瞰表示部24は、ネットワーク機器41Bが含まれる設計
図31を表すノードと、ネットワーク機器41Cが含まれる設計
図31を表すノードとの間を繋ぐ線を他の線と区別した鳥瞰
図35を生成する。
【0066】
通信経路を構成するいずれか1つのネットワーク機器41を含む設計
図31がストレージ13に記憶された複数の設計
図31に含まれていない場合がある。この場合には、ステップS31で鳥瞰表示部24は、設計
図31に含まれていないネットワーク機器41についての架空の設計
図31を表すノードを用いて、鳥瞰
図35を生成する。
例えば、
図19に示すように、通信経路がネットワーク機器41Aとネットワーク機器41Bとネットワーク機器41Cとネットワーク機器41Dとを順に通っているとする。この場合に、ネットワーク機器41Aとネットワーク機器41Bとを含む設計
図31と、ネットワーク機器41Dを含む設計
図31とは存在するが、ネットワーク機器41Cを含む設計
図31が存在しない場合がある。すると、
図20に示すように、鳥瞰表示部24は、ネットワーク機器41Cについての架空の設計
図31を表すノードを用いて、鳥瞰
図35を生成する。
なお、鳥瞰表示部24は、架空の設計
図31を表すノードを、他のノードと異なる色にする等して、区別して表示する。
【0067】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係る通信経路表示装置10は、設計
図31をノードとして表すことにより鳥瞰
図35を生成する。これにより、設計
図31からネットワークシステム40の広い範囲を俯瞰した鳥瞰
図35を生成可能である。
【0068】
また、実施の形態3に係る通信経路表示装置10は、通信経路において隣接する2つのネットワーク機器41の両方を含む設計
図31がない場合に、2つのネットワーク機器41を表すノードを繋ぐ線を他の線と区別した鳥瞰
図35を生成する。これにより、2つのネットワーク機器41の両方を含む設計
図31がないことが明らかになる。
ネットワーク機器41Bとネットワーク機器41Cとを含む設計
図31がある方が、ネットワーク工事の際には利便性が高く、望ましい状態である。そこで、2つのネットワーク機器41の両方を含む設計
図31がない状況を明らかにすることで、この設計
図31の作成が促される。
【0069】
また、実施の形態3に係る通信経路表示装置10は、通信経路を構成するいずれか1つのネットワーク機器41を含む設計
図31がない場合には、架空の設計
図31を表すノードを用いて、鳥瞰
図35を生成する。これにより、通信経路を構成するいずれか1つのネットワーク機器41を含む設計
図31がない場合にも、鳥瞰
図35を生成可能である。
ネットワークシステム40の一部を他社が構築しているような場合には、一部のネットワーク機器41に関して設計
図31が存在しない場合がある。このような場合には、設計
図31から鳥瞰
図35を生成しようとすると、鳥瞰
図35の生成ができなくなってしまう。あるいは、部分的に分断された鳥瞰
図35が生成されてしまう。しかし、架空の設計
図31を表すノードを用いることにより、適切な鳥瞰
図35を生成可能である。
【0070】
***他の構成***
<変形例5>
図3のステップS13では、端点機器44と隣接する、選択図に含まれないネットワーク機器41を含む設計
図31へのリンク情報45が表示された。リンク情報45は、原則として、端点機器44と、端点機器44と隣接する、選択図に含まれないネットワーク機器41との両方を含む設計
図31へのリンクである。
しかし、通信経路において隣接する2つのネットワーク機器41の両方を含む設計
図31がない場合がある。この場合には、リンク表示部23は、端点機器44は含まず、端点機器44と隣接する、選択図に含まれないネットワーク機器41を含む設計
図31へのリンクを示すリンク情報45を表示する。この場合には、リンク表示部23は、端点機器44が含まれないことを示す何らかの情報をリンク情報45とともに表示する。
【0071】
なお、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0072】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 通信経路表示装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、15 電子回路、21 図表示部、22 経路表示部、23 リンク表示部、24 鳥瞰表示部、31 設計図、32 基準図形、33 識別情報、34 線、35 鳥瞰図、40 ネットワークシステム、41 ネットワーク機器、42 伝送路、43 部分経路情報、44 端点機器、45 リンク情報。