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特許7288027積層造形のための物体モデルにおける入れ子型セグメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】積層造形のための物体モデルにおける入れ子型セグメント
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20230530BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20230530BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230530BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20230530BHJP
   G06F 113/10 20200101ALN20230530BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y50/00
B33Y30/00
G06F30/10 100
G06F113:10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021173590
(22)【出願日】2021-10-25
(62)【分割の表示】P 2019566625の分割
【原出願日】2017-07-10
(65)【公開番号】P2022031645
(43)【公開日】2022-02-22
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】シュラム,モーガン,ティー
(72)【発明者】
【氏名】シェパード,マシュー,エイ
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】レブロン,ヘクター
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーツウィベルト,ヴァネッサ
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229248(JP,A)
【文献】国際公開第2016/140670(WO,A1)
【文献】特開2015-093433(JP,A)
【文献】国際公開第2016/186613(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105538712(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 50/00
B33Y 30/00
G06F 30/10
G06F 113/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理回路を含む装置であって、前記処理回路が、
積層造形で生成される物体のデータモデルを受け取り、前記物体の少なくとも一部の表現を含む仮想造形体積のデータモデルをコアセグメントと周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割する、物体分割モジュール
を含み、
前記分割が、前記物体の幾何形状、及び意図された物体特性のうちの少なくとも一方に基づいて、前記周辺セグメントの寸法を決定することを含み、
前記物体分割モジュールは、
前記入れ子型セグメントのうちの少なくとも1つにおける物体領域の周辺セグメントの寸法を、前記物体内の前記物体領域の高さに基づいて決定し、
少なくとも1つの周辺セグメントを可変の厚みを有するように決定するものであり、
第1の向きを有する前記物体の表面を含む第1の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みが、第2の向きを有する前記物体の表面を含む第2の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みとは異なる、装置。
【請求項2】
処理回路を含む装置であって、前記処理回路が、
積層造形で生成される物体のデータモデルを受け取り、前記物体の少なくとも一部の表現を含む仮想造形体積のデータモデルをコアセグメントと周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割する、物体分割モジュール
を含み、
前記分割が、前記物体の幾何形状、及び意図された物体特性のうちの少なくとも一方に基づいて、前記周辺セグメントの寸法を決定することを含み、
前記物体分割モジュールは、
前記入れ子型セグメントのうちの少なくとも1つにおける物体領域の周辺セグメントの寸法を、前記物体内の前記物体領域の幅に基づいて決定し、
少なくとも1つの周辺セグメントを可変の厚みを有するように決定するものであり、
第1の向きを有する前記物体の表面を含む第1の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みが、第2の向きを有する前記物体の表面を含む第2の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みとは異なる、装置。
【請求項3】
前記処理回路は、物体を生成するための制御命令を生成する制御命令モジュールをさらに含み、
前記制御命令モジュールによる前記制御命令の生成は、異なるセグメントに対して異なる処理パラメタを使用する、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御命令に従って前記物体を生成する物体生成装置をさらに含む、請求項に記載の装置。
【請求項5】
積層造形で生成される物体の少なくとも一部を含む仮想造形体積のデータモデルを、プロセッサによって、周辺セグメントと物体コアセグメントとを含む複数の入れ子型セグメントとして表現し、
前記物体に関連するデータから、前記プロセッサによって、前記複数の入れ子型セグメントの相対的体積構成を決定すること
を含み、
前記データモデルを前記複数の入れ子型セグメントとして表現することは、決定された前記複数の入れ子型セグメントの前記相対的体積構成に基づいて前記周辺セグメントの形を決定することを含み、
前記複数の入れ子型セグメントの前記相対的体積構成を決定することは、前記物体の局所幾何形状、及び少なくとも1つの意図された物体特性に基づいて、前記物体内の前記複数の入れ子型セグメントの前記周辺セグメントと前記物体コアセグメントの間の複数の局所的な相対的体積構成を決定することを含む、方法。
【請求項6】
前記周辺セグメントが可変の厚みを有するように、前記仮想造形体積の前記データモデルを前記複数の入れ子型セグメントとして表現し、
第1の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第1の比率が得られ、かつ、前記第1の物体特徴よりも大きい第2の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第2の比率が得られるように、前記仮想造形体積の前記データモデルを前記複数の入れ子型セグメントとして表現することをさらに含み、
前記第2の比率は、前記第1の比率よりも小さい、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記仮想造形体積の前記データモデル内の前記物体の前記表現の外部にある周辺セグメントを決定することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
物体領域の周辺セグメントの寸法を、前記物体内の前記物体領域の位置に基づいて決定し、
少なくとも1つの周辺セグメントを可変の厚みを有するように決定すること
をさらに含み、
第1の向きを有する前記物体の表面を含む第1の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みが、第2の向きを有する前記物体の表面を含む第2の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みとは異なる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記入れ子型セグメントから積層造形制御命令を生成し、各セグメントについての前記積層造形制御命令が、異なる処理パラメタを使用して生成され、前記制御命令に基づいて、積層造形を使用して物体を生成することをさらに含む、請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
命令を記憶している機械読み取り可能媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
積層造形で生成される物体の少なくとも一部を含む仮想造形体積のデータモデルを、周辺セグメントと物体コアセグメントとを含む複数の入れ子型セグメントとして表現させ、
前記物体に関連するデータから、前記複数の入れ子型セグメントの相対的体積構成を決定させるものであり、
前記プロセッサに、前記データモデルを前記複数の入れ子型セグメントとして表現させることは、前記プロセッサに、決定された前記複数の入れ子型セグメントの前記相対的体積構成に基づいて前記周辺セグメントの形を決定させることを含み、
前記プロセッサに、前記複数の入れ子型セグメントの前記相対的体積構成を決定させることは、前記プロセッサに、前記物体の局所幾何形状、及び少なくとも1つの意図された物体特性に基づいて、前記物体内の前記複数の入れ子型セグメントの前記周辺セグメントと前記物体コアセグメントの間の複数の局所的な相対的体積構成を決定させることを含む、機械読み取り可能媒体。
【請求項11】
前記命令が、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
物体領域の周辺セグメントの寸法を、前記物体内の前記物体領域の位置に基づいて決定させ、
少なくとも1つの周辺セグメントを可変の厚みを有するように決定させるものであり、
第1の向きを有する前記物体の表面を含む第1の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みが、第2の向きを有する前記物体の表面を含む第2の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みとは異なる、請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項12】
前記プロセッサによって実行されたときに、第1の処理パラメタを第1のセグメントに適用し、第2の処理パラメタを第2のセグメントに適用することにより物体を生成するための制御命令を、前記プロセッサに決定させる命令をさらに記憶している、請求項10又は請求項11に記載の機械読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
三次元(3D)印刷は、例えば造形材料の連続した層の選択的固化により、三次元物体を形成することができる積層造形プロセスである。形成される物体は、データモデルで表される場合がある。選択的固化は、例えば、焼結、押出し、及び照射を含む種々のプロセスによる融着、結合、又は固化によって達成され得る。そのようなシステムによって生成される物体の品質、外観、強度、及び機能は、使用される積層造形技術のタイプによって異なることがある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
次に、添付の図面を参照して、非限定的な例を説明する。
図1】積層造形で生成される物体の分割データモデルを生成する方法の例を示す図である。
図2A】分割モデルの例を示す図である。
図2B】分割モデルの例を示す図である。
図2C】分割モデルの例を示す図である。
図3】物体を生成する方法の例を示す図である。
図4】積層造形に関するデータを処理する装置の例を示す図である。
図5】積層造形に関するデータを処理する装置の例を示す図である。
図6】プロセッサに関連する機械読み取り可能媒体の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
詳細な説明
積層造形技術は、造形材料の固化によって、三次元物体を生成することができる。一部の例では、造形材料は、粉末状の粒状材料である場合があり、粒状材料は、例えば、プラスチック、セラミック、又は金属粉末であってよい。生成された物体の特性は、使用される造形材料のタイプ及び固化手段のタイプによって異なる可能性がある。造形材料は、例えばプリントベッド上に堆積され、例えば製造室内で、層ごとに処理される場合がある。
【0004】
一部の例では、選択的固化は、エネルギーの指向性印加により達成され、例えば、指向性エネルギーが印加された場所にある造形材料を固化させるレーザー又は電子ビームを使用して達成される。他の例では、少なくとも1つの印刷剤が、造形材料に選択的に付与される場合があり、印刷剤は、付与されるときに液体である場合がある。例えば、融着剤(「合体剤」又は「合体助剤」とも呼ばれる)は、生成される三次元物体のスライスを表すデータから導出されたパターン(これは、例えば、構造設計データから生成されてもよい)を成すように、造形材料の層の種々の部分に選択的に供給される場合がある。融着剤は、エネルギーを吸収する成分を有する場合があり、エネルギー(例えば、熱)を層に印加すると、造形材料が合体して固化し、パターンに従って三次元物体のスライスを形成するようになる。他の例では、合体は、何らかの他の方法で達成されてもよい。
【0005】
印刷剤の別の例は、合体変性剤(変性剤又はディテーリングエージェントと呼ばれることもある)である。合体変性剤は、例えば合体を抑制、低減、若しくは増加させることにより、融着剤及び/又は印加エネルギーの効果を変更し、又は、物体に特定の仕上げや外観を生成するのを助ける働きをする。一部の例では、特性変更剤(これには、例えば、染料、着色剤、導電剤、又は、透明性や弾性等を付与するための薬剤などが含まれる)が、融着剤若しくは変性剤として使用され、及び/又は印刷剤として使用され、物体に特定の特性を付与する場合がある。
【0006】
積層造形システムは、構造設計データに基づいて物体を生成することができる。これには、例えば、設計者が、コンピュータ支援設計(CAD)アプリケーションを使用して、生成される物体の三次元モデルを生成することが必要とされる。モデルは、物体の種々の立体部分を定義できる。積層造形システムを使用してモデルから三次元物体を生成するために、モデルデータを処理することにより、モデルの平行平面のスライスを生成することができる。各スライスは、積層造形システムによって固化され、又は合体される造形材料の各層の少なくとも一部を定義することができる。
【0007】
図1は、例えば少なくとも1つのプロセッサを使用して実行される、コンピュータで実施される方法であってもよい方法の一例を示しており、この方法は、積層造形で生成される物体について分割データモデルを生成する方法を含む場合がある。セグメントは、例えば、生成される物体の入れ子型の「シェル」、及び/又は、周囲の領域を表すことができ、周囲の領域は、異なる処理パラメタを使用して生成される場合がある。一部の例では、セグメントは、特定の組み合わせ及び/又は特定の量の印刷剤を使用して、例えば異なる色若しくは異なる力学的特性若しくは異なる機能的特性のような異なる特性を有するように生成されるべき物体部分を表す場合がある。例えば、特定の意図された色は、第1の色を有する外側シェル、別の色を有する内側シェル、及び第3の色を有するコアによって得られる場合がある。
【0008】
ブロック102は、積層造形で生成される物体のデータモデルをプロセッサで受け取ることを含む。データモデルは、例えば、メモリから受け取られてもよいし、ネットワークを介して受け取られてもよく、あるいは、通信リンク等を介して受け取られてもよい。データモデルは、物体の全部又は一部をモデル化することができる。一部の例では、データモデルは、例えば、物体モデルデータと、物体特性データとを含む場合がある。物体モデルデータは、モデル物体の少なくとも一部の三次元幾何学モデルを定義することができ、例えば、物体の種々の立体部分のような三次元座標系における物体の全部又は一部の形及び範囲を含む場合がある。一部の例では、データモデルは、物体の種々の表面を、例えばメッシュとして表すことができる。物体モデルデータは、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)アプリケーションによって生成される場合がある。物体特性データは、生成される三次元物体又はその一部について、少なくとも1つの物体特性を定義することができる。物体特性データが存在しない場合、物体には、使用された造形材料及び印刷剤に基づくデフォルト特性が付与される場合がある。一例では、物体特性データは、生成される物体の少なくとも一部について、色、可撓性、弾性、剛性、表面粗さ、多孔性、層間強度、密度、透明度、及び伝導性等の何れか、又は任意の組み合わせを含む場合がある。物体特性データは、物体の一部又は複数の部分について、複数の物体特性を定義することができ、指定される特性は、物体内のあちこちで異なる場合がある。
【0009】
ブロック104は、プロセッサによって、物体の少なくとも一部(又は、その表現)を含む仮想造形体積を、コアセグメントと少なくとも1つの周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割することを含む。セグメントを決定することは、周辺セグメント(複数可)の寸法を決定することを含み、物体の幾何形状、及び意図された物体特性(例えば、色、強度、又は弾性等)のうちの少なくとも一方に基づく場合がある。
【0010】
仮想造形体積は、例えば、物体を取り囲む境界ボックスを含む場合がある。仮想造形体積は、物体のサイズ及び形であってもよく(すなわち、物体の表面に従っていてもよく)、及び/又は、物体がその内部で製造される造形体積の少なくとも一部を表していてもよい。一部の例では、仮想造形体積は、1以上の「スライス」を含む場合があり、各スライスは、物体の層ごとの積層造形で製造される物体の層、及び/又は、物体がその内部で製造されることになる製造室の少なくとも一部を表すことができる。
【0011】
一部の例では、以下で詳細に説明されるように、複数の入れ子型周辺セグメントを生成することができる。そのようなセグメントは、内側周辺セグメントの周囲、又はコアの周囲にある場合がある。
【0012】
セグメントの入れ子は、完全であってもよいし、部分的であってもよい(すなわち、周辺セグメントは、コアセグメント又は内側周辺セグメントの周囲全体にわたって延びていてもよいし、当該周囲の一部のみの周りに延びていてもよい)。一部の例では、少なくとも1つの周辺セグメントは、コアセグメントの周りにシェルを形成することができる。コアは、何れかの内側セグメントであって、その少なくとも一部の周りに周辺セグメントが形成されたものを含む場合がある。
【0013】
一部の例では、決定される周辺セグメントの寸法は、物体コアセグメント(複数可)の周りの少なくとも1つの周辺セグメントの厚み(この厚みは、二次元の厚みであってもよいし、三次元の厚みであってもよい)を含む。以下で詳しく説明されるように、一部の例では、そのような周辺セグメント(複数可)の厚みは、局所幾何形状及び/又は局所的に意図された物体特性に基づいて変わる場合がある。
【0014】
セグメントは、物体を生成するための命令を決定するときに、個別に処理される場合がある。例えば、異なるセグメントに対して、異なるマッピングリソース又はルールを適用することができる。
【0015】
セグメント間に差異を作ることには、積層造形において多数の利点がある。例えば、三次元カラー物体を印刷する場合、物体の所望の色と、物体の力学的特性との間には、種々のトレードオフが存在することがある。層を融着するために造形材料に印加される熱エネルギーの量を増やせば、大きい力学的強度及び機能性を有する高密度の三次元物体を生成することができる。融着に利用可能な熱エネルギーの量は、融着剤が放射線を吸収する強度に、ある程度左右され、融着剤の放射線吸収度は、融着剤の色に、ある程度左右される。例えば、シアン、マゼンタ、又はイエロー(C、M、又はY)の着色剤を含む近赤外色の融着剤の吸収強度は、一般に、例えば、エネルギーの有効な吸収剤であるカーボンブラック系融着剤の吸収強度よりも低い。したがって、着色剤が付与された造形材料の融着度は、同様に作成された三次元印刷された黒い物体の場合よりも低くなる場合があり、その結果、生成されるカラー物体は、同等の黒い物体に比べて、低い密度、小さい力学的強度、及び機能を有する場合がある。
【0016】
しかしながら、物体を生成するための命令を生成するときにセグメント間に差異を作ることにより、例えば、周辺セグメントに対応するカラフルなシェルを、カーボンブラック系融着剤が付与された丈夫なコアの周りに形成することができる。これにより、物体の強度を過度に損なうことなく、物体をカラフルにすることができる。
【0017】
一部の例では、カーボンブラック系融着剤を使用して融着されたコアセグメントの周りに、色付きの周辺セグメントを決定する場合があるが、結果として生成される物体の色域は、下側のコアセグメントの表面可視性によって低下する場合がある(特に、部分的に透明な外側周辺セグメントの場合)。外側セグメントを厚くすると、コアの色のマスキングの度合いは高くなるが、強度が犠牲になり、及び/又は、コストが増加する可能性がある(例えば、着色剤のコストが高くなる場合がある)。少なくとも1つの中間周辺セグメントを提供することで、特性の変化(例えば、黒からカラフルな状態への変化)を緩やかにすることができる場合がある。
【0018】
ここでは色の例を使用したが、同じことは、他の特性にも当てはまる。例えば、物体を、比較的丈夫であるが比較的脆いコアを含むように生成することができる。このコアは、比較的弾力性のある外側セグメントによって保護されてもよく、当該セグメントの厚みは、必要とされる保護のレベルに従って決定される。複数の周辺セグメント(例えば、n個のシェル)を設けることにより、コアから表面への滑らかな、及び/又は段階的な変化を形成することができる。逆にもし、例えば、丈夫なコアの周りに脆い外側セグメントがあった場合、脆い外側セグメントは、コアに突然の負荷スパイクをもたらす形で崩れ落ちる可能性がある。n個の入れ子型セグメントにわたる滑らかな変化により、弱い外側セグメントは、応力を受けて徐々に崩れ落ちることができる。
【0019】
また、表面に向かって増加する弾性を有する複数の周辺セグメントを積層することは、意図した表面弾性を付与しつつエネルギーを吸収することにより、コアを取り囲む単一の弾力性セグメントよりも効果的に衝撃からコアセグメントを保護することができる。したがって、そのような周辺セグメントの弾性、及びそれらの厚みは、セグメントごとに決定される場合がある。
【0020】
一部の例では、例えば、別のセグメントが占める体積の比率の増大を可能にするために、あるセグメントの厚みを犠牲にする場合がある。例えば、外側周辺セグメントの厚みを縮小することにより、内側セグメント(コアセグメントであっても、内側周辺セグメントであってもよい)は、特定の強度、融着熱、しきい値サイズなどを有することが可能になる場合がある。
【0021】
寸法(例えば、厚み)の決定が物体の幾何形状に基づく例では、これは例えば、ある場所における物体の断面積のような局所的特徴サイズの決定を含む場合がある。別の例では、物体の幾何形状に基づく厚みの決定は、物体内のセグメント(若しくは当該セグメントの一部)の位置の決定を含む場合がある。例えば、物体の高い部分(製造プロセスの比較的遅くに形成される部分)は、低い部分とは異なるセグメント厚に関連する場合があり、及び/又は、上向きの面は、下向きの面とは異なるセグメント厚に関連する場合があり、これは、製造時の熱的考慮事項を考慮に入れる場合がある。
【0022】
寸法の決定が物体特性(これは、物体間及び/又は物体内で異なる場合がある)に基づく例では、寸法の決定は、特性しきい値、意図された特性勾配(例えば、導電率勾配や、弾性対剛性の勾配など)、及び/又は品質仕様に基づく寸法の決定を含む場合がある。
【0023】
特性しきい値の例を考えると、物体は、物体全体に同種類の印刷剤を付与することによって実現することは難しい2以上の特性を有する場合がある。例えば、しきい値しての強度と色が指定される場合がある。実際には、上記のように、一部の例では、色付きの物体は、比較的弱い場合がある。したがって、一部の例では、しきい値強度は、コア部分によって提供され、しきい値色は、周辺セグメントによって提供される場合がある。周辺セグメントの厚みは、少なくともしきい値強度を備えたコアが得られるように、及び/又は、輝度のようなしきい値色品質が得られるように決定される場合がある。一部の例では、所与の利用可能な材料又は物体の幾何形状等のもとで品質の組み合わせを提供することは、可能でない場合がある(例えば、高弾性と高強度の組み合わせや、高強度と高輝度の組み合わせを得ることは、困難又は不可能な場合がある)。そのような例では、第1のセグメントが、特性の一方が得られるように設計され(例えば、所定の階層にしたがって)、他方の特性が、与えられたその制約のもとで可能な限り近くなるように調整されてもよい。
【0024】
別の例では、色のような特性が指定される場合があり、その場合、セグメントは、可能な限り薄いセグメントでその色が得られるように決定される場合がある。色付きの印刷剤は、高いコストに関連する場合があるからである。例えば、これは、色の明るさ、及び/又は材料の透明度等に基づいて変わる場合がある。
【0025】
品質仕様の例を考えると、あるセグメント(このセグメントは、外側セグメントである場合がある)は、明るい色を得ることを意図した処理パラメタに関連する場合があり、この明るい色は、物体の強度を犠牲にして得られる場合がある(例えば、融着剤に対する着色剤の比率が、他の部分よりも高い場合がある)。高い色品質仕様に関連する物体のモデルを分割する場合、そのようなセグメントを、比較的厚くなるように指定することができる。一方、低い色品質が許容される場合、セグメントを、比較的薄くなるように指定することができる。この逆は、強度仕様についても当てはまる場合がある。すなわち、高い強度仕様は、薄くてカラフルなセグメントに関連する場合がある(なぜなら、上記のように、カラフルなセグメントは、一部の例では、弱くなりがちであるからである)。別の例では、セグメントは、特定の第1の特性(例えば、強度)のしきい値パラメタを提供するように決定され、残りのセグメントは、例えば、第1の特性に対する制約のもとで、第2の特性(例えば、彩度)を最適化するように決定される場合がある。
【0026】
特性勾配を考えると、各セグメントは、様々な特性パラメタで、ステージに関連付けられる場合がある。例えば、外側セグメントは、高い弾性を有する場合があり、中間セグメントは、中くらいの弾性を有する場合があり、コアは、比較的低い弾性を有する(一部の例では、比較的脆い)場合がある。別の例では、外側セグメントは、明るい色である場合があり、中間セグメントは、中くらいの色を有する場合があり、コアは、比較的暗い色を有する場合がある。こうした例では、セグメントの相対的厚みにより、物体の外観及び/又は機能的挙動が決定され、例えば、物体の永久的損傷を引き起こすしきい値力や、外側セグメントの明るさが決定される場合がある。したがって、セグメントの厚みは、それらに応じて選択される場合がある。
【0027】
セグメントは、物体全体に対して(すなわち、物体全体を包含する造形体積に対して)決定されてもよいし、あるいは、層ごとの積層造形プロセスで物体の層を生成するために処理される造形材料の層に対応する造形体積/物体の1つの「スライス」又は各「スライス」に対して決定されてもよい。
【0028】
図2Aは、複数のセグメントに分割された三次元物体200(この例では、球体)の表現の一例を示している。この例では、2つの同心のシェル状の周辺セグメント204、206によって囲まれたコアセグメント202がある。周辺セグメント204、206の厚みは、上記のブロック104の方法に従って決定することができる。説明の都合上、物体200は、コア(コア部分202)、マントル(内側シェル204)及びクラスト(外側シェル206)を含む「地質モデル」に類似した形で表現することができると考えられる。
【0029】
図1の方法の例では、ブロック102で受け取ったデータモデルは、球体のモデルである場合があり、セグメント202、204、206は、ブロック104で決定される場合がある。
【0030】
この例では、コアセグメント202が物体200内の実質的に中央にあるが、これが、すべての例に当てはまる必要はない。また、この例では、周辺セグメント204、206が同心であり、それらの境界が、物体200の表面の輪郭に沿っているが、他の例では、周辺セグメント204、206は、これらの品質のうちのいずれか一方、又は両方を欠いていてもよい。実際、一部の例では、複数の物体コアセグメント202があり、その周りに、周辺セグメント204、206が形成される場合がある。
【0031】
図2Bは、生成される物体のスライス208の表現を示している。この例では、物体は、狭い中央部210と、2つの広い端部212a、212bとを有する細長い構造からなる。この例では、コアセグメント214は、中央部210を介して物体のいずれかの端に向かって延びている。いずれの端にも、2つの周辺セグメント216、218が形成されている。外側周辺セグメント218は、中央部210を貫通しているが、内側周辺セグメント216は、そうではない(すなわち、一方向から見て、中央部の厚みはゼロである)。また、この例では、外側周辺セグメント218の厚みは、比較的狭い中央部210で減少しており、これによってコアセグメント214の幅を増加させることが可能となる。
【0032】
したがって、一部の例では、図2Bの例に示したように、ブロック104でセグメントを決定することは、ブロック102で受け取ったモデル(この例では、スライス208のモデル)を、可変の厚みを有する(すなわち、周辺セグメントが一部のポイントで他のポイントよりも厚くなる)ように少なくとも1つの周辺セグメントに分割すること、及び、第1の物体領域において非ゼロの厚みを有し、かつ第2の物体領域においてゼロの厚みを有する周辺セグメントを決定することとを含む場合がある。
【0033】
この例では、物体の外側に、さらに別の周辺セグメント220が形成されている。上記の地質モデルの例を続けるために、この周辺セグメント220は、物体の「大気」からなるものと考えられる。言い換えれば、一部の例では、ブロック104で周辺セグメントを決定することは、物体の外部にある少なくとも1つのセグメントを決定することを含む場合がある。このセグメントは、種々の印刷命令の定義に使用される場合があり、以下で詳しく説明されるように、印刷命令によれば、温度制御が可能となり、又は物体特性が向上される場合がある。
【0034】
図2Cでは、周辺セグメント222は、第2の領域226よりも第1の領域224の方が幅広く、これに対応して、コアセグメント228は、第2の領域226よりも第1の領域224の方が狭い。したがって、異なる領域224、226において、特性は、異なるものとなる。例えば、周辺セグメント222が、カラフルなシェルを提供するように処理され、コアが、強度を提供するように(例えば、「カーボンブラック」系融着剤を高比率で含有するように)処理される場合、第1の領域の厚みと第2の領域の厚みとの間には、次のような異なるトレードオフが存在する場合がある。例えば、第1の領域224は、厚い周辺セグメント222を有しているため、第2の領域226よりもカラフルであるのに対し、第2の領域の色は、コアセグメント228の色に支配される場合がある(コアセグメント228の色は、カーボンブラックから形成される場合があるので、たとえその上に比較的薄い周辺部分が積層された場合でも、比較的暗い色になる)。一方、第2の領域226は、比較的丈夫になる場合がある。なぜなら、上述のように、着色部分は一般に、放射線を吸収する能力が低いために、低い強度しか持たない場合があるからである。
【0035】
物体のスライスが、種々のセグメントに形成される場合、これは、異なるセグメントに対して独立して実行されてもよい。例えば、あるスライスのコアセグメントは、前のスライス又は後のスライスのコアセグメントに対して整列され、若しくは部分的に整列される場合があり、あるいは、前のスライス又は後のスライスのコアセグメントとは重ならないように配置される場合がある。異なるスライスは、異なる数のセグメントを含む場合がある。
【0036】
一部の例では、周辺セグメント(複数可)の厚みが、特性の変化率を決定する場合があり、したがって、各周辺セグメントの厚み(又は寸法)を選択することにより、特性の制御を増大できる場合がある。一部の例では、周辺セグメント(単数又は複数)の厚みにより、外観特性と力学的特性の間のトレードオフを制御できる場合がある。また、周辺セグメントの厚みは、例えば、しきい値サイズ又はしきい値体積比率の別の周辺セグメント(例えば、強度を提供するコア又は内側周辺セグメント)を設けることが可能となるように設定されてもよい。
【0037】
一部の例では、少なくとも一部のセグメントに関して、カーボンブラックの代わりに、もっと薄い色彩の融着剤を使用してもよく、これにより、物体に得られる色域を拡大できる場合がある。ただし、そのような代わりの融着剤が、効率の低い熱吸収剤である場合、及び/又は比較的高価である場合(それ自体が高価である場合や、融着温度に到達するために、より多くの薬剤又はエネルギーが使用される場合)、その使用は、制限される場合があり、例えば色彩のような特定の利点が得られる状況でのみ、代わりの融着剤が使用されるようにしてもよい。例えば、代わりの融着剤の使用は、エンドユーザーが色彩を見ることができる周辺セグメント(複数可)(例えば、外側周辺セグメント(複数可))での使用に制限される場合がある。
【0038】
例えば、物体の下部スライス(物体の初期層として形成されるスライス、すなわち、層ごとの製造プロセスで最初に製造されるスライス)は、前の層から熱を吸収する可能性がある上部層に付与される融着剤の量よりも多い量の融着剤(あるいは、カーボンブラックのような、より効率的なエネルギー吸収率に関連する融着剤)が付与されるように分割される場合がある。別の例では、積層造形の本来の性質から、物体の表面の色は、表面の空間的向きに左右される場合がある。そのため、セグメントは、セグメントによって影響を受ける物体の表面の少なくとも一部の向きに少なくとも部分的に基づいて形成される場合がある。
【0039】
したがって、一部の例では、セグメントを定義することで、各セグメントの処理により、異なる特性を得ることが可能になる。例えば、コアを処理することにより、高濃度及び高い力学的強度を得ることができ、当該コアを、低濃度で高品質の鮮やかな色の外側シェル構造で取り囲むことができる。間にある周辺セグメントは、そのような鮮やかな色の外側周辺セグメントに対する暗いコアの影響を目立たないようにし、又は低減することができる。物体内の各セグメントは、そのセグメントの意図された特性を達成するように選択された異なる三次元印刷処理パラメタを使用して、処理される場合がある。処理パラメタによれば、所定の薬剤、及び/又はそのような薬剤の所定の量若しくは割合の選択が可能となる場合がある。他の例では、薬剤の付与のパターンは、層間で異なる場合がある。例えば、特定の特性を得るため若しくは強化するために、薬剤群は、変更されてもよい。
【0040】
一部の例では、セグメントに関連する処理パラメタによれば、アクセス可能な印刷剤、印刷剤の組み合わせ(複数可)、及び/又は印刷剤の量を指定することができ、処理パラメタは、セグメント間で異なる場合がある。一部の例では、処理パラメタは、特定の物体セグメントに対応する物体領域に付与する印刷剤の量及び/又は印刷剤の組み合わせを識別するために使用されるルックアップテーブル又はマッピングアルゴリズムのようなマッピングリソースの形で保持される場合があり、異なるマッピングリソース若しくは変更されたマッピングリソースが、異なるセグメントに関連する場合がある。
【0041】
上記のように、一部の例では、入れ子型周辺セグメントの寸法を異ならせることができ、これによって積層造形の汎用性が高まり、例えば、物体の特性や機能の範囲を拡大することができる。例えば、色についての視覚的要件を、物体のあちこちで異ならせることができる。例えば、通常の使用時には見えそうにない物体の部分や、比較的小さい部分若しくは幾何学的に複雑な部分(人間の目は、そのような領域の色の変化に比較的敏感ではない)は、知覚される物体の色品質を犠牲にすることなく、色に適用される低品質標準で印刷されてもよい。したがって、そのような部分では、周辺セグメントを薄くすることができ、周辺セグメントがもし厚かった場合に比べて、カラー印刷剤の使用を、少なくすることができる。別の例では、物体の下部において、部品の上部とは異なる寸法公差又は強度特性を得ることができる場合がある。そのような物体部分では、コアセグメントの体積を増やすことができる。微細な特徴は、広い断面を有する部分よりも弱い場合があるため、コアは何れも、例えば、そのような点で物体の断面積の比較的大きな割合を占めることができる(これは、例えば、上記のように色彩を犠牲にする可能性があるが、これは、小さい領域にとってはそれほど重大ではない)。また、これによって、融着処理の際に、物体の位置に応じた異なる温度特性が可能になる場合がある。例えば、初期層に大きなコア又は内部セグメントを指定することにより、初期層(すなわち、積層造形の初期に形成された層)に、上層よりも多い量の融着剤(又はより効果的な融着剤)を付与することができ、そのような融着剤は、前の層から熱を吸収することができる。
【0042】
上述のように、一部の例では、少なくとも1つの周辺セグメントは、物体のモデルの外側にあり、「大気」セグメントを含む場合がある。これは例えば、物体の周りに付与されるディテーリングエージェントの範囲を調節するために使用される場合がある。そのような薬剤は、熱の減少と考えることができ、薬剤は、物体の一部の場所に生成される可能性がある熱の量に合わせて調合される場合がある。例えば、一般に、断面積の小さい物体部分は、断面積の大きい物体部分に比べて、少ない量の熱しか発生しない。一部の例では、物体の外側からの造形材料が、物体の表面に付着することがあり、それが、物体の外観の品質を低下させることがある。例えば、これは、白い外観を有する未溶融の造形材料や部分的に溶融された造形材料が、物体の表面に付着したときに発生することがある。そのため、一部の例では、外部セグメントに対応する造形材料の部分に色を付加することにより、生成中の物体の色と調和させることができる。言い換えれば、大気色が付与された造形材料の一部が物体に付着するため、生成中の物体の外側にあることが意図されたものに、色を付与することができる。また、上記のように、物体の表面の色は、表面の空間的向きに左右される場合がある。目標の色を生成する比較的厚い外側周辺セグメント(単数又は複数)がある場合、比較的厚い「大気」セグメントを指定することができる。例えば、上向きの表面は、比較的濃い色のセグメント(複数可)と、比較的厚い外部周辺セグメントとを有するように指定される場合がある。
【0043】
物体の外部にあることが意図された領域に色を付与することは、リソースを利用し、及び/又は造形材料のリサイクル性に影響を与える可能性があるため、外観の品質があまり重要ではないと見なされる領域では、そのようなセグメントの厚みを減らしてもよく、ゼロまで減らしてもよい。他の例では、物体に近い第1の外部セグメントでは、色が使用され、物体から遠い第2の外部セグメントでは、色の使用が省略されるが、第2の外部セグメントには依然として、冷却ディテーリングエージェントが付与される場合がある。なぜなら、第1の外部セグメントの厚みが増加すると、未着色の造形材料が物体に付着することを防止する作用は、リソースコストとともに増加する場合があるからである。第1のセグメントの厚みを調節できるようにすることで、着色剤を過剰に使用することなく、所与の造形動作における意図された品質仕様を満たすことが可能になる場合がある。
【0044】
図3は、物体を生成する方法の例であり、図中、ブロック302~310は、上記のブロック104を実行する方法の一例である。
【0045】
この例では、決定される寸法は、厚みであり、より具体的には、周辺セグメントの可変の厚みを決定する。
【0046】
ブロック302では、物体の幾何形状を考慮する。この例では、セグメントが存在する可能性がある各ポイントにおける物体の局所幾何形状を考慮する。物体のスライスを考慮する場合、これは、そのポイントにおけるスライスの断面を含む場合がある。物体全体を分割する場合、物体特徴のサイズを決定することができる。一例では、これは、「ボクセル密度」を積分することを含む場合がある。ボクセルは、モデルの一領域を表すことができ、三次元ピクセルに類似している。ボクセルは、一貫した形及びサイズを有することができ、一部の例では、各ボクセルは、物体生成装置によって個別にアドレス指定できるように決定された直方体である(ただし、このような装置は、サブボクセルの解像度で印刷剤を付与することができる場合もある)。一部の例では、物体特性は、ボクセル解像度で指定される。
【0047】
ボクセル密度の積分は、例えば、物体モデルの一部を含む一定球面半径内のボクセルの数を判定することにより、局所的特徴サイズ(又は、スライス内の円形半径)を決定することを含む場合がある。そのような例では、物体で満たされたこの局所的近傍内に高い割合でボクセルがある場合、その特徴は、比較的大きいと判断することができる。局所的近傍内にボクセルがほとんどない場合、小さい特徴を識別することができる。他の例では、特徴サイズは、何らかの他の方法で決定されてもよく、例えば、ユーザー等によってタグ付けされていてもよい。
【0048】
ブロック304は、第1の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第1の比率が得られ、かつ、第1の物体特徴よりも大きい第2の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第2の比率が得られるように、セグメントを決定することを含む。外側セグメントと内側セグメントが、両方とも周辺セグメントからなる場合もあれば、内側セグメントは、コアからなる場合もある。換言すれば、これらのセグメントが占める相対的体積は、特徴のサイズに基づいて変わる場合がある。一部の例では、一方の周辺セグメントの厚みを、ゼロの厚みまで減らすことにより、コア等のサイズを増加させることが可能となる場合がある。一部の例では、これは、比較的小さい物体特徴の領域で行われる場合がある(図2Bに示したように)。一部の例では、小さい物体特徴の領域における周辺セグメントの厚みを、大きい物体特徴の領域における周辺セグメントの厚みよりも、小さくすることができる(これによって、例えばコアは、小さい物体特徴のより大きい比率及び/又はしきい値体積を占めることが可能となる場合がある)。
【0049】
ブロック306は、物体内の物体領域の位置を判定することを含み、ブロック308は、物体内の物体領域の位置に基づいて、物体領域内の周辺セグメントの寸法を決定することを含む。例えば、前述のように、物体内の位置は、意図された物理特性に関連する場合がある。例えば、物体がぐらつきに堪えるようにするために、物体の底部、すなわち基部は、生成時に、比較的丈夫であること、若しくは重いことが意図される場合がある。したがって、そのような領域では、コアは、比較的薄い厚みの、若しくは厚みがゼロの周辺セグメントよりも、強調される場合がある。ただし、上部は、別の方法で分割されてもよい。他の例では、これは、セグメント(又は、その少なくとも一部)を形成するタイミングを決定することを含む場合があり、例えば、そのタイミングが、積層造形プロセスの開始時であるか、それとも終了に近い時であるかを決定することを含む場合がある。他の例では、これは、温度的な考慮事項に基づいて行われる場合がある。
【0050】
ブロック308は、例えば、少なくとも1つのセグメントを可変の厚みを有するように決定することを含む場合がある。第1の向きを有する物体の表面を含む第1の物体領域内のセグメントの厚みは、第2の向きを有する物体の表面を含む第2の物体領域内のセグメントの厚みとは異なる。その結果、例えば、物体表面を、異なる機能特性又は外観特性を提供するように生成することができる。
【0051】
ブロック310は、入れ子型物体セグメントから積層造形制御命令を生成することを含む。各セグメントについての積層造形制御命令は、異なる処理パラメタを使用して生成される。一部の例では、これは、ルックアップテーブルのような少なくとも1つのマッピングリソースを利用する場合がある。例えば、利用可能な融着剤及び/又は付与すべき量がセグメント間で異なる場合、処理パラメタは、少なくとも1つの融着剤の選択を可能にすることを含む場合がある。内側セグメントについての処理パラメタによれば、例えば、「カーボンブラック」融着剤の選択(一部の例では、薄い色彩の融着剤と組み合わせて)が可能となる一方、表面セグメントによれば、カーボンブラック融着剤ではなく、薄い色彩の融着剤の選択が可能となる場合がある。外側周辺セグメントによれば、内部セグメントに比べて広い色域へのアクセスを提供する着色剤の選択が可能となる場合がある。物体の外部にある1以上の「大気」セグメントは、特定のディテーリングエージェントの利用可能性及び/又は着色剤の選択に関して異なる場合がある。
【0052】
ブロック312は、制御命令に基づいて、積層造形を使用して物体を生成することを含む。例えば、これは、プリントベッド上に造形材料の連続した層を形成し、その層に対する制御命令に従って印刷剤を付与し、その層を放射線にさらすことを含む場合がある。その結果、造形材料は、加熱され、融着される。
【0053】
スライスごとに分割が実行される例では、ブロック302~310は、それぞれ、スライスごとに実行される場合がある。他の例では、物体モデルの全体を分割した後、スライスする場合がある。この場合、各スライスについてブロック306を実行してもよいし、ブロック308若しくはブロック310が実行された後にスライス動作を実行してもよい。
【0054】
考えられる幾何形状の別の態様は、物体内のセグメントの向き(例えば、それが正面、背面、上向きの面、下向きの面、又は何らかの特定の角度で形成された面の近くにあるか否か)である。
【0055】
図4は、処理回路402を含む装置400の例である。この例では、処理回路402は、物体分割モジュール404と、モデル評価モジュール406とを含む。装置400の使用において、物体分割モジュール404は、例えば上述のように、積層造形で生成される物体の少なくとも一部を含む仮想造形体積を、周辺セグメントと物体コアとを含む複数の入れ子型セグメントとして表現し、モデル評価モジュール406は、物体に関連するデータから、物体の幾何形状に基づいて、セグメントの相対的体積構成を決定する。より具体的には、物体分割モジュール404は、モデル評価モジュール406の決定に基づいて、周辺セグメント(複数可)の形を決定する。この形は、物体の表面の輪郭に沿っていてもよいし、物体の表面の輪郭とは異なっていてもよい。この形は、少なくとも1つの周辺セグメントが、可変の厚みを有するように決定されてもよい。一部の例では、物体分割モジュール404は、受け取った物体モデルから仮想造形体積を生成することができ、仮想造形体積の生成は、例えば受け取った物体モデルを分割することにより、受け取った物体モデルを変更することを含む場合がある。
【0056】
例えば、上述のように、モデル評価モジュール406は、物体の局所幾何形状、及び少なくとも1つの意図された物体特性に基づいて、物体内のセグメントの複数の局所的な相対的体積構成を決定することができる。例えば、コアセグメントは、大きい物体特徴の領域よりも、小さい物体特徴の領域において、比較的大きい相対的体積を占める場合がある。別の例では、コアセグメントは、物体の上部領域よりも、物体の下部領域において、比較的大きい相対的体積を占める場合がある。別の例では、周辺セグメント(例えば、表面セグメント)は、低い外観品質レベルが許容される意図された背面又は底面よりも、物体の意図された正面において、大きい相対的体積を占める場合がある。
【0057】
処理回路402は、図1の方法、及び/又は図3の少なくとも一部を実行することができる。
【0058】
図5は、物体分割モジュール404及びモデル評価モジュール406並びに制御命令モジュール504を含む処理回路502を含む装置500の例を示している。装置500は、物体生成装置506をさらに含む。
【0059】
装置500の使用において、制御命令モジュール504は、物体を生成するための制御命令を生成する。制御命令の生成は、例えば図3に関して上で説明したように、異なるセグメントに対して異なる処理パラメタを使用する。
【0060】
物体生成装置506は、制御命令に従って物体を生成する。その目的のために、本明細書では詳細に説明しないが、物体生成装置506は、プリントベッド、造形材料付与装置、印刷剤付与装置、及び熱源等の追加のコンポーネントを含む場合がある。
【0061】
装置500は、図1及び/又は図2の方法を実行することができる。
【0062】
図6は、プロセッサ602に関連する有形の非一時的機械読み取り可能媒体600の一例である。機械読み取り可能媒体600は、非一時的なものであってもよく、命令604を記憶している。命令604は、プロセッサ602によって実行されたときに、プロセッサ602に種々の処理を実行させる。命令604は、三次元物体生成で生成される物体の少なくとも一部を含む仮想造形体積のデータモデルを、コアセグメントの周りに配置された少なくとも1つの周辺セグメントに分割する命令606を含む。少なくとも1つの周辺セグメントは、可変の厚みを有する。例えば、周辺セグメントは、ある領域では別の領域よりも厚い場合がある。
【0063】
一部の例では、命令604は、物体領域におけるセグメントの厚みを得るために、(i)物体の局所的サイズ、(ii)物体特徴の局所的向き、(iii)製造の向きにおける物体内の前記物体領域の垂直位置、及び(iv)意図された物体特性(これは、物体内の意図された特性勾配を含む場合がある)のうちの少なくとも1つに基づいて、プロセッサ602に物体のデータモデルを分割させる命令を含む場合がある。
【0064】
一部の例では、命令604は、第1の処理パラメタを第1のセグメントに適用し、第2の処理パラメタを第2のセグメントに適用することにより物体を生成するための制御命令を、プロセッサ602に決定させる命令を含む場合がある。例えば、処理パラメタの適用は、特定のマッピングリソースの使用を含む場合がある。
【0065】
プロセッサ602に関連する機械読み取り可能媒体600は、図1及び/又は図3のブロックの少なくとも1つを実行することができ、及び/又は、図4又は図5のモジュールを提供することができる。
【0066】
本開示の例は、方法、システム、あるいは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア等の任意の組み合わせのような機械読み取り可能命令として提供されることがある。そのような機械読み取り可能命令は、コンピュータ読み取り可能プログラムコードを有するコンピュータ読み取り可能記憶媒体(限定はしないが、ディスク記憶装置、CD-ROM、光学記憶装置等を含む)に含まれる場合がある。
【0067】
本開示は、本開示の例による方法、装置、及びシステムのフロー図及びブロック図を参照して説明されている。上で説明したフロー図は特定の実行順序を示しているが、実行順序は、描かれた順序とは異なっていてもよい。あるフロー図に関連して説明されたブロックは、別のフロー図のブロックと組み合わせることができる。フロー図及びブロック図における種々のブロック、及びそれらの組み合わせは、機械読み取り可能命令によって実現されてもよいものと理解すべきである。
【0068】
機械読み取り可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、組み込みプロセッサ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行され、本説明及び図面に記載した機能を実現することができる。特に、プロセッサや処理装置は、機械読み取り可能命令を実行することができる。したがって、装置やデバイスの機能モジュール(例えば、物体分割モジュール404、モデル評価モジュール406、及び制御命令モジュール504など)は、メモリに記憶された機械読み取り可能命令を実行するプロセッサによって実施されもよいし、論理回路に組み込まれた命令に従って動作するプロセッサによって実施されてもよい。「プロセッサ」という用語は、CPU、処理装置、ASIC、論理装置、又はプログラマブルゲートアレイなどを含むように、広く解釈されるべきである。方法及び機能モジュールはすべて、単一のプロセッサによって実施されもよいし、複数のプロセッサに分割されてもよい。
【0069】
そのような機械読み取り可能命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を特定のモードで動作するように導くことが可能なコンピュータ読み取り可能な記憶装置に記憶されてもよい。
【0070】
そのような機械読み取り可能命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードされてもよく、その結果、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置は、一連の動作を実行し、コンピュータで実施される処理を生成することができ、したがって、コンピュータ又は他のプログラマブル装置により実行された命令は、フロー図のフロー(複数可)及び/又はブロック図のブロック(複数可)で指定された機能を実現することができる。
【0071】
また、本明細書の教示は、コンピュータソフトウェア製品の形で実施されてもよい。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶され、本開示の例に記載された方法をコンピュータ装置に実施させるための複数の命令を含む。
【0072】
方法、装置、及び関連する態様を特定の例を参照して説明したが、本開示の思想から外れることなく、さまざまな修正、変更、省略、及び置換を行うことができる。したがって、方法、装置、及び関連する態様は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等の範囲によってのみ制限されることが意図されている。上記の例は、本明細書に記載したものを、制限するものではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲から外れることなく、多くの代替実施形態を設計できることに留意してもらいたい。ある例に関連して説明された特徴は、別の例の特徴と組み合わせることができる。
【0073】
「含む」という語は、請求項に記載された要素以外の要素の存在を除外しない。単一のプロセッサその他のユニットが、請求項に記載した複数のユニットの機能を実現してもよい。
【0074】
従属請求項の特徴は、独立請求項又は他の従属請求項のいずれかの特徴と組み合わせることができる。
【0075】
本発明の例示的実施形態を以下に列挙する。
1. 積層造形で生成される物体のデータモデルをプロセッサで受け取り、
前記物体の少なくとも一部の表現を含む仮想造形体積のデータモデルを前記プロセッサによって分割すること
を含む方法であって、前記仮想造形体積の前記データモデルが、コアセグメントと周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割され、
前記分割することが、前記物体の幾何形状、及び意図された物体特性のうちの少なくとも一方に基づいて、前記周辺セグメントの寸法を決定することを含み、
前記方法が、
前記周辺セグメントが可変の厚みを有するように、前記仮想造形体積の前記データモデルを分割すること、及び
第1の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第1の比率が得られ、かつ、前記第1の物体特徴よりも大きい第2の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第2の比率が得られるように、前記仮想造形体積の前記データモデルを前記複数の入れ子型セグメントに分割することを含み、前記第2の比率は、前記第1の比率よりも小さい、方法。
2. 積層造形で生成される物体のデータモデルをプロセッサで受け取り、
前記物体の少なくとも一部の表現を含む仮想造形体積のデータモデルを前記プロセッサによって分割すること
を含む方法であって、前記仮想造形体積の前記データモデルが、コアセグメントと周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割され、
前記分割することが、前記物体の幾何形状、及び意図された物体特性のうちの少なくとも一方に基づいて、前記周辺セグメントの寸法を決定することを含み、
前記方法が、前記仮想造形体積の前記データモデル内の前記物体の前記表現の外部にある周辺セグメントを決定することを含む、方法。
3. 積層造形で生成される物体のデータモデルをプロセッサで受け取り、
前記物体の少なくとも一部の表現を含む仮想造形体積のデータモデルを前記プロセッサによって分割すること
を含む方法であって、前記仮想造形体積の前記データモデルが、コアセグメントと周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割され、
前記分割することが、前記物体の幾何形状、及び意図された物体特性のうちの少なくとも一方に基づいて、前記周辺セグメントの寸法を決定することを含み、
前記方法が、
物体領域の周辺セグメントの寸法を、前記物体内の前記物体領域の位置に基づいて決定すること、及び
少なくとも1つの周辺セグメントを可変の厚みを有するように決定することを含み、第1の向きを有する前記物体の表面を含む第1の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みが、第2の向きを有する前記物体の表面を含む第2の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みとは異なる、方法。
4. 前記入れ子型セグメントから積層造形制御命令を生成し、各セグメントについての前記積層造形制御命令が、異なる処理パラメタを使用して生成され、前記制御命令に基づいて、積層造形を使用して物体を生成することをさらに含む、1~3の何れか一項に記載の方法。
5. 処理回路を含む装置であって、前記処理回路が、
積層造形で生成される物体の少なくとも一部を含む仮想造形体積のデータモデルを、周辺セグメントと物体コアセグメントとを含む複数の入れ子型セグメントとして表現する、物体分割モジュールと、
前記物体に関連するデータから、前記複数の入れ子型セグメントの相対的体積構成を決定するモデル評価モジュールと
を含み、前記物体分割モジュールは、前記モデル評価モジュールの決定に基づいて前記周辺セグメントの形を決定し、
前記モデル評価モジュールは、前記物体の局所幾何形状、及び少なくとも1つの意図された物体特性に基づいて、前記物体内の前記複数の入れ子型セグメントの複数の局所的な相対的体積構成を決定する、装置。
6. 前記物体分割モジュールはさらに、前記周辺セグメントが可変の厚みを有するように、前記仮想造形体積の前記データモデルを前記複数の入れ子型セグメントとして表現し、
前記物体分割モジュールはさらに、第1の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第1の比率が得られ、かつ、前記第1の物体特徴よりも大きい第2の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第2の比率が得られるように、前記仮想造形体積の前記データモデルを前記複数の入れ子型セグメントとして表現し、前記第2の比率は、前記第1の比率よりも小さい、5に記載の装置。
7. 前記物体分割モジュールはさらに、前記仮想造形体積の前記データモデル内の前記物体の前記表現の外部にある周辺セグメントを決定する、5に記載の装置。
8. 前記物体分割モジュールはさらに、物体領域の周辺セグメントの寸法を、前記物体内の前記物体領域の位置に基づいて決定し、
前記物体分割モジュールはさらに、少なくとも1つの周辺セグメントを可変の厚みを有するように決定し、第1の向きを有する前記物体の表面を含む第1の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みが、第2の向きを有する前記物体の表面を含む第2の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みとは異なる、5に記載の装置。
9. 前記処理回路は、物体を生成するための制御命令を生成する制御命令モジュールをさらに含み、
前記制御命令モジュールによる前記制御命令の生成は、異なるセグメントに対して異なる処理パラメタを使用する、5~8の何れか一項に記載の装置。
10. 前記制御命令に従って前記物体を生成する物体生成装置をさらに含む、9に記載の装置。
11. 命令を記憶している機械読み取り可能媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
三次元物体生成で生成される物体の少なくとも一部を含む仮想造形体積のデータモデルを、コアセグメントの周りに配置された少なくとも1つの周辺セグメントに分割させ、
少なくとも1つの周辺セグメントが、可変の厚みを有し、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
前記物体の局所的サイズ、
物体特徴の局所的向き、及び
製造の向きにおける前記物体内の物体領域の垂直位置
のうちの少なくとも1つに基づいて前記物体領域における前記周辺セグメントの厚みを得るように前記データモデルを分割させる、機械読み取り可能媒体。
12. 命令を記憶している機械読み取り可能媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
積層造形で生成される物体のデータモデルを受け取らせ、
前記物体の少なくとも一部の表現を含む仮想造形体積のデータモデルを、コアセグメントと周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割させ、前記分割が、前記物体の幾何形状、及び意図された物体特性のうちの少なくとも一方に基づいて、前記周辺セグメントの寸法を決定することを含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
前記周辺セグメントが可変の厚みを有するように、前記仮想造形体積の前記データモデルを分割させ、
第1の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第1の比率が得られ、かつ、前記第1の物体特徴よりも大きい第2の物体特徴の局所において外側セグメントの厚みに対する内側セグメントの厚みの第2の比率が得られるように、前記仮想造形体積の前記データモデルを前記複数の入れ子型セグメントに分割させ、前記第2の比率は、前記第1の比率よりも小さい、機械読み取り可能媒体。
13. 命令を記憶している機械読み取り可能媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
積層造形で生成される物体のデータモデルを受け取らせ、
前記物体の少なくとも一部の表現を含む仮想造形体積のデータモデルを、コアセグメントと周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割させ、前記分割が、前記物体の幾何形状、及び意図された物体特性のうちの少なくとも一方に基づいて、前記周辺セグメントの寸法を決定することを含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
前記仮想造形体積の前記データモデル内の前記物体の前記表現の外部にある周辺セグメントを決定させる、機械読み取り可能媒体。
14. 命令を記憶している機械読み取り可能媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
積層造形で生成される物体のデータモデルを受け取らせ、
前記物体の少なくとも一部の表現を含む仮想造形体積のデータモデルを、コアセグメントと周辺セグメントとを含む複数の入れ子型セグメントに分割させ、前記分割が、前記物体の幾何形状、及び意図された物体特性のうちの少なくとも一方に基づいて、前記周辺セグメントの寸法を決定することを含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
物体領域の周辺セグメントの寸法を、前記物体内の前記物体領域の位置に基づいて決定させ、
少なくとも1つの周辺セグメントを可変の厚みを有するように決定させ、
第1の向きを有する前記物体の表面を含む第1の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みが、第2の向きを有する前記物体の表面を含む第2の物体領域内の前記周辺セグメントの前記厚みとは異なる、機械読み取り可能媒体。
15. プロセッサによって実行されたときに、第1の処理パラメタを第1のセグメントに適用し、第2の処理パラメタを第2のセグメントに適用することにより物体を生成するための制御命令を、前記プロセッサに決定させる命令をさらに記憶している、11~14の何れか一項に記載の機械読み取り可能媒体。

図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6