(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】SCN9A発現を阻害するための増強されたオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20230530BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230530BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230530BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230530BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230530BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230530BHJP
A61K 47/51 20170101ALI20230530BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
C12N15/113 140Z
A61P25/04 ZNA
A61P25/02
A61P29/00
A61K31/7088
A61K48/00
A61K47/51
A61P19/02
(21)【出願番号】P 2021523913
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2020086916
(87)【国際公開番号】W WO2021123086
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-06-02
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ピーダスン,リュケ
(72)【発明者】
【氏名】ラスムセン,セーレン・ウ
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-531287(JP,A)
【文献】国際公開第2019/233921(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/141723(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/138057(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0306654(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0273857(US,A1)
【文献】Pain,2018年,Vol.159, No.1,pp.139-149
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Genbank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式2
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式3
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
式4
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
式5
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
式6
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
式7
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
式8
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
式9
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
式10
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
式11
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
式12
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
式13
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
式14
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
式15
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
式16
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
式17
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
式18
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
式19
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
式20
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
式21
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
式22
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
式23
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
式24
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
式25
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
式26
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
式27
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
式28
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
式29
:
に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分を含むコンジュゲート。
【請求項31】
請求項1~29のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項30に記載のコンジュゲートの、薬学的に許容される塩。
【請求項32】
ナトリウム塩又はカリウム塩である、請求項31に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容される塩。
【請求項33】
請求項1~29のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項30に記載のコンジュゲート、又は請求項31若しくは32に記載の薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又は佐剤とを含む医薬組成物。
【請求項34】
SCN9Aを発現している標的細胞中のSCN9A発現を阻害するための医薬組成物であって、有効量の請求項1~29のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項30に記載のコンジュゲート、又は請求項31若しくは32に記載の薬学的に許容される塩を含む、
医薬組成物。
【請求項35】
疼痛を患っているか、又は患う可能性があるヒトなどの対象において疼痛を治療又は予防するための医薬組成物であって、前記疼痛を予防又は緩和するように、治療又は予防有効量の請求項1~29のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項30に記載のコンジュゲート、又は請求項31若しくは32に記載の薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項36】
前記疼痛が、
a.慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、又は
b.侵害受容性疼痛、又は
c.糖尿病性ニューロパチー、がん、頭蓋神経痛、帯状疱疹後神経痛及び術後神経痛からなる群から選択される障害により引き起こされるか、若しくはそれと関連付けられる疼痛、又は
d.遺伝性肢端紅痛症(EIM)若しくは発作性激痛障害(PEPD)若しくは三叉神経痛により引き起こされるか、若しくはそれと関連付けられる疼痛、又は
e.神経障害性疼痛、慢性疼痛、そしてまた侵害受容性疼痛(例えば、神経の減圧)、若しくは神経障害性疼痛(例えば、糖尿病性ニューロパチー)、内臓疼痛、若しくは混合疼痛の一般的治療、又は
f.腰痛、若しくは炎症性関節炎
のいずれかである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
薬剤において使用するための、請求項1~29のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項30に記載のコンジュゲート、又は請求項31若しくは32に記載の薬学的に許容される塩。
【請求項38】
疼痛、例えば、請求項36のパートa、b、c、d、e又はfにしたがって定義されるような疼痛の治療又は予防又は緩和において使用するための、請求項1~29のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項30に記載のコンジュゲート、又は請求項31若しくは32に記載の薬学的に許容される塩。
【請求項39】
疼痛、例えば、請求項36のパートa、b、c、d、e又はfにしたがって定義されるような疼痛の治療、予防又は緩和用の医薬の調製のための、請求項1~29のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項30に記載のコンジュゲート、又は請求項31若しくは32に記載の薬学的に許容される塩の使用。
【請求項40】
前記疼痛が、腰痛、又は炎症性関節炎である、請求項39に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SCN9A核酸の発現の阻害において使用するための、ヒトSCN9Aに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に関する。SCN9Aは、電位依存性ナトリウムチャネルNav1.7をコードする。SCN9A発現の阻害は、疼痛の予防又は治療において有用である。
【背景技術】
【0002】
電位依存性ナトリウムチャネル(Navs)は、興奮性組織において必須の役割を果たし、それらの活性化及び開通は、活動電位の初期相をもたらす。開通、閉鎖及び不活性化状態を通じたNavsのサイクリング、並びに他のイオンチャネルの活性とのそれらの密接に振り付けされた関係性は、細胞内イオン濃度の精巧な制御に繋がる。
【0003】
Nav1.7は、ほぼ排他的に小細胞末梢感覚神経において発現される電圧活性化イオンチャネルである。感覚ニューロン中のNav1.7の条件付きノックアウトを有するマウスは、抗侵害受容性表現型を表し示した(Nassar et al.,2004,Proc Natl Acad Sci U S A.2004 Aug 24;101(34):12706-11)。ヒトの疼痛感覚におけるNav1.7の役割は、自発性疼痛症候群遺伝性肢端紅痛症(IEM)(Yang et al.,J Med Genet.2004;41(3):171-4)及び発作性激痛障害(PEPD)(Fertleman et al.,J Neurol Neurosurg Psychiatry.2006 Nov;77(11):1294-5)とこれらの患者のNav1.7における機能突然変異の獲得の関連性により実証されている(Cummins et al.,J Neurosci.2004;24(38):8232-8236)。Nav1.7のさらなるサポートは、疼痛に対する先天性の無感覚をもたらす機能突然変異の喪失の同定により生成された(Cox et al.,Nature AAA.2006;7121:894-8)。これらの発見は、Nav1.7モジュレータの同定のための多数の小分子創薬プログラムに繋がったが、高い選択性及び良好なPK/PD特性を有する良好な化合物を見出すことが課題となってきたようである。
【0004】
米国特許出願公開第2016024208号は、Nav1.7に対するヒト抗体を開示している。
【0005】
国際公開第02083945号は、乳がんの治療において使用するための、SCN5A及び任意選択的にSCN9Aの特定の領域に対するアンチセンス配列を有する合成オリゴヌクレオチドに言及している。
【0006】
米国特許出願公開第2007/212685号は、鎮痛剤を同定する方法に言及しており、SCN9Aの細胞中での遺伝子発現又は遺伝子転写産物レベルをモジュレートする特定の化合物にはアンチセンス核酸が含まれることを記載している。
【0007】
米国特許出願公開第2010273857号は、Nav1.7チャネルをコードするアミノ酸配列の発現を抑制するか、又は他にNav1.7チャネルの機能を阻害するsiRNA分子を局所的に投与することを介して疼痛を治療するために使用される方法、配列及び核酸分子に言及しており、Nav1.7チャネルレベル及び/又は機能の局所的な抑制は、後根神経節の末梢感覚ニューロンにおいて起こることを報告している。
【0008】
国際公開第12162732号は、ナトリウムチャネル、特に電位依存性ナトリウムチャネルをモジュレートするための新規のスクリーニングアッセイに関する。
【0009】
韓国特許出願公開第20110087436号は、SCN9Aアンチセンスオリゴヌクレオチドを開示する。
【0010】
Mohan et al.は、Nav1.7を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドを開示し、げっ歯動物の脊髄及び後根神経節(DRG)におけるASOの薬力学的活性を特徴付けている(Pain(2018)Volume 159・Number 1,p139 - 149)。
【0011】
国際公開第18051175号は、ヒトSCN9AプレmRNAの部分を標的化するSCN9Aアンチセンスペプチド核酸オリゴヌクレオチドを開示する。ペプチド核酸誘導体は、細胞中でSCN9A mRNAのスプライスバリアントを強力に誘導し、Nav1.7活性を伴う疼痛又は状態を治療するために有用である。
【0012】
国際公開第19243430号は、SCN9Aを標的化するLNAギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドを開示している。
【0013】
したがって、疼痛の予防又は治療などのための、ヒトにおけるSCN9Aなどの、電位依存性ナトリウムイオンチャネルをコードする核酸の発現の阻害において有効なアンチセンスオリゴヌクレオチド治療の必要性が存在する。
【0014】
発明の目的
本発明は、SCN9Aの発現を阻害することができ、鎮痛剤などの、疼痛の予防又は治療などのための薬剤において使用され得る、新規のオリゴヌクレオチドを同定する。本発明の化合物は、末梢疼痛の予防又は治療において使用され得る。
【発明の概要】
【0015】
発明の要約
本発明は、薬剤において使用するための、SCN9A核酸に相補的であり、かつその発現を阻害することができる、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0016】
本発明は、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択される、(配列番号1に示されるような)ヒトSCN9AプレmRNAの領域に相補的な、例えば完全に相補的な、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0017】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、12~24ヌクレオチド長であり、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択される、(配列番号1に示されるような)ヒトSCN9AプレmRNAの領域に相補的な、例えば完全に相補的な、少なくとも12ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。
【0018】
本発明は、配列番号28~52からなる群から選択される配列に対して100%同一の10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド10~30ヌクレオチド長を提供する。
【0019】
本発明は、配列番号28~52からなる群から選択される配列に対して100%同一の10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド10~30ヌクレオチド長を提供する。
【0020】
本発明は、配列番号28~52からなる群から選択される配列に対して100%同一の10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも16連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド10~30ヌクレオチド長を提供する。
【0021】
本発明は、配列番号28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、及び39からなる群から選択される配列に対して100%同一の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0022】
本発明は、配列番号28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、及び39からなる群から選択される連続ヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0023】
本発明は、配列番号29に対して100%同一の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16若しくは17連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0024】
本発明は、配列番号31に対して100%同一の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16、17若しくは18連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0025】
本発明は、配列番号33に対して100%同一の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16、17、18若しくは19連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0026】
本発明は、配列番号39に対して100%同一の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16、17若しくは18連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0027】
本発明は、配列番号47に対して100%同一の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16、17若しくは18連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0028】
本発明は、配列番号48に対して100%同一の連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16、17若しくは18連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0029】
本発明は、化合物番号29_15、29_10、29_22、39_6、39_1、39_2、39_7、31_1、31_3、31_4、31_5、33_1、33_2、33_3、47_1、48_8、29_24、29_25、29_26、39_9、39_10、48_10、29_35、29_34、39_17、39_18、39_19、39_20、及び29_11からなる群から選択される化合物の連続ヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、化合物番号29_33、39_13、48_9、29_33、39_13、48_9、29_33、39_13及び48_9からなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドではない。
【0031】
本発明は、表1に列記される群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0032】
本発明は、表3に列記される群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0033】
本発明は、
図1のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_15のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0034】
本発明は、
図2のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_10のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0035】
本発明は、
図3のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_22のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0036】
本発明は、
図4のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_6のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0037】
本発明は、
図5のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_1のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0038】
本発明は、
図6のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_2のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0039】
本発明は、
図7のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_7のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0040】
本発明は、
図8のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号31_1のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0041】
本発明は、
図9のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号31_3のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0042】
本発明は、
図10のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号31_4のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0043】
本発明は、
図11のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号31_5のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0044】
本発明は、
図12のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号33_1のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0045】
本発明は、
図13のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号33_2のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0046】
本発明は、
図14のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号33_3のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0047】
本発明は、
図15のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号47_1のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0048】
本発明は、
図16のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号48_8のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0049】
本発明は、
図17のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_24のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0050】
本発明は、
図18のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_25のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0051】
本発明は、
図19のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_26のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0052】
本発明は、
図20のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_9のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0053】
本発明は、
図21のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_10のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
本発明は、
図22のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号48_10のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0055】
本発明は、
図23のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_35のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0056】
本発明は、
図24のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_34のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0057】
本発明は、
図25のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_17のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0058】
本発明は、
図26のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_18のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0059】
本発明は、
図27のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_19のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0060】
本発明は、
図28のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号39_20のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0061】
本発明は、
図29のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、化合物番号29_11のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
Helmアノテーションの凡例:
[LR](G)はβ-D-オキシ-LNAグアニンヌクレオシドであり、
[LR](T)はβ-D-オキシ-LNAチミンヌクレオシドであり、
[LR](A)はβ-D-オキシ-LNAアデニンヌクレオシドであり、
[LR]([5meC]はβ-D-オキシ-LNA 5-メチルシトシンヌクレオシドであり、
[dR](G)はDNAグアニンヌクレオシドであり、
[dR](T)はDNAチミンヌクレオシドであり、
[dR](A)はDNAアデニンヌクレオシドであり、
[dR]([C]はDNAシトシンヌクレオシドであり、
[mR](G)は2’-O-メチルRNAグアニンヌクレオシドであり、
[mR](U)は2’-O-メチルRNA DNAウラシルヌクレオシドであり、
[mR](A)は2’-O-メチルRNA DNAアデニンヌクレオシドであり、
[mR]([C]は2’-O-メチルRNA DNAシトシンヌクレオシドであり、
[sP]はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは1つ以上のコンジュゲート基を含んでもよく、すなわち、アンチセンスオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートであってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列からなる。
【0068】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、並びに、薬学的に許容される希釈剤、担体、塩、及び/又は佐剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0069】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される。
【0070】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド及び薬学的に許容される溶媒、例えばリン酸緩衝生理食塩水を含む、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的溶液を提供する。
【0071】
本発明は、固体粉末化形態、例えば凍結乾燥粉末の形態の、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0072】
本発明は、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分を含むコンジュゲートを提供する。
【0073】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明によるコンジュゲートの薬学的に許容される塩を提供する。
【0074】
本発明は、ナトリウム又はカリウム塩である、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容される塩を提供する。
【0075】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、並びに、薬学的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩、及び/又は佐剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0076】
本発明は、SCN9Aを発現している標的細胞中のSCN9A発現を阻害する方法であって、有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物を前記細胞に投与することを含む、方法を提供する。本発明は、インビボ方法又はインビトロ方法であり得る。
【0077】
本発明は、疼痛を患っているか又は患う可能性があるヒトなどの対象において疼痛を治療又は予防する方法であって、疼痛を予防又は緩和するように、治療又は予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物は、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、又は自発性疼痛の治療において使用するためのものである。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物は、侵害受容性疼痛の治療において使用するためのものである。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物は、糖尿病性ニューロパチー、がん、頭蓋神経痛、帯状疱疹後神経痛及び術後神経痛からなる群から選択される障害により引き起こされるか、又はそれと関連付けられる疼痛の治療において使用するためのものである。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物は、遺伝性肢端紅痛症(EIM)又は発作性激痛障害(PEPD)又は三叉神経痛により引き起こされるか、又はそれと関連付けられる疼痛の治療において使用するためのものである。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物は、神経障害性疼痛(neurophathic pain)、慢性疼痛の治療において使用するためのものであるが、侵害受容性疼痛(例えば、神経の減圧)、又は神経障害性疼痛(例えば、糖尿病性ニューロパチー)、内臓疼痛、又は混合疼痛の一般的治療においても使用するためのものである。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物は、腰痛、又は炎症性関節炎の治療において使用するためのものである。
【0084】
本発明は、薬剤において使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の組成物若しくは塩を提供する。
【0085】
さらなる態様では、本発明は、SCN9Aを発現している標的細胞中のSCN9A発現の阻害方法のための方法であって、有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物を前記細胞に投与することによる、方法を提供する。さらなる態様では、本発明は、SCN9Aを発現している標的細胞中のSCN9A発現の阻害のためのインビボ又はインビトロ方法のための方法であって、有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は組成物を前記細胞に投与することによる、方法を提供する。細胞は、例えば、ヒト細胞、例えば神経細胞、例えば末梢神経細胞、又は初代神経細胞であり得る。
【0086】
さらなる態様では、本発明は、疼痛、例えば末梢疼痛からなる群から選択される疾患を治療若しくは予防するため、又はその予防のための方法であって、治療又は予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、疼痛、例えば末梢疼痛を患っているか、又は患い易い対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0087】
さらなる態様では、本発明は、疼痛、例えば末梢疼痛の治療又は予防用の医薬の製造において使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、コンジュゲート、又は医薬組成物を提供する。
【0088】
さらなる態様では、本発明は、鎮痛剤の製造において使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、コンジュゲート、又は医薬組成物を提供する。
【0089】
本発明は、疼痛、例えば末梢疼痛の治療において使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0090】
本発明は、鎮痛剤として使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0091】
さらなる態様では、本発明は、疼痛を治療又は予防する方法であって、治療又は予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、疼痛を患っているか、又は患い易い対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0092】
さらなる態様では、本発明は、末梢疼痛を治療又は予防する方法であって、治療又は予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、末梢疼痛を患っているか、又は患い易い対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0093】
配列表
本出願と共に提出された配列表が参照により本明細書に組み込まれる。配列表に列記されるアンチセンスオリゴヌクレオチド配列モチーフはDNA配列として示される。なお、本明細書に開示される試験された化合物のいくつかにおいて、チミン塩基の代わりに(in place or)ウラシル塩基を用いて2’-O-メチルRNAヌクレオシドが使用される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図30】低フラッシング体積対高フラッシング体積。チャートは、16mgの化合物の投薬後の高(左)及び低(右)フラッシング体積の関数としての曝露を示す。各DRGデータ点は、1匹のカニクイザル(cynomolus)から2つのDRGをプールしたものからであった(N=3)。全てのデータ点は、化合物番号31_1の単回の16mgの用量の14日後に屠殺されたカニクイザルからのものであった。
【
図31】投薬後の日数の関数としての後根神経節の曝露。各データ点は、カニクイザルから2つのDRGをプールしたものからであった(N=3)。全てのデータは、低フラッシング体積群かつ16mgの化合物番号31_1の単回用量からのものであった。
【発明を実施するための形態】
【0095】
定義
オリゴヌクレオチド
用語「オリゴヌクレオチド」とは、本明細書で使用される場合、それが当業者により、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として一般的に理解されているように定義される。そのような共有結合ヌクレオシドは、核酸分子又はオリゴマーとも称され得る。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、その後の精製及び単離によって研究室内で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合、共有結合したヌクレオチド又はヌクレオシドの核酸塩基部分の配列若しくは順序、又はその修飾が参照される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工であり、化学的に合成され、典型的には精製又は単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ以上の修飾ヌクレオシドを含んでもよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、1以上のホスホロチオエートのヌクレオシド間結合のような、1以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。
【0096】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、本明細書で使用される場合、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNA又はshRNAではない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは単鎖である。本発明の単鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの全長にわたって内部(intra)又は相互(inter)の自己相補性の程度が50%未満である限り、ヘアピン又は分子間二重鎖構造(同じオリゴヌクレオチドの2分子間の二重鎖)を形成できることが理解される。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明の単鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、非修飾RNAヌクレオシドを含有しなくてもよい。
【0098】
有利には、本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含む。さらに、修飾されていないヌクレオシドがDNAヌクレオシドであることは有利である。
【0099】
連続ヌクレオチド配列
用語「連続ヌクレオチド配列」とは、標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書で用語「連続核酸塩基配列」及び用語「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」と互換的に使用される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの全ヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列を構成する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、F-G-F’ギャップマー領域のような連続ヌクレオチド配列を含み、任意には、更なるヌクレオチド(複数可)、例えば、官能基(例えば、コンジュゲート基)を連続ヌクレオチド配列に結合するために使用され得るヌクレオチドリンカー領域を含み得る。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に相補的であっても相補的でなくてもよい。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、連続ヌクレオチド配列を構成である。
【0100】
ヌクレオチド及びヌクレオシド
ヌクレオチド及びヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの構成単位であり、本発明の目的のために、天然に存在するヌクレオチド及びヌクレオシドと、天然に存在しないヌクレオチド及びヌクレオシドとの両方を含む。本来、DNA及びRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分及び1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドに存在しない)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、「単位」又は「モノマー」と互換的に称されてもよい。
【0101】
修飾ヌクレオシド
本明細書で使用される用語「修飾ヌクレオシド」又は「ヌクレオシド修飾」は、等価なDNA又はRNAヌクレオシドと比較して、糖部分又は(核酸)塩基部分の1つ以上の修飾の導入によって修飾されたヌクレオシドを指す。有利には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの修飾ヌクレオシドのうちの1つ以上は、修飾糖部分を含む。用語「修飾ヌクレオシド」はまた、用語「ヌクレオシド類似体」又は修飾「単位」又は修飾「モノマー」と本明細書では互換的に使用されてもよい。非修飾DNA又はRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書でDNA又はRNAヌクレオシドと称される。DNA又はRNAヌクレオシドの塩基領域における修飾を有するヌクレオシドは、それらがWatson Crick塩基対合が可能であれば、依然として一般にDNA又はRNAと称される。
【0102】
修飾ヌクレオシド間結合
用語「修飾ヌクレオシド間結合」は、2つのヌクレオシドを互いに共有結合する、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者により理解されるように定義される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、1以上のホスホロチオエートのヌクレオシド間結合又は1以上のホスホロジチオエートのヌクレオシド間結合のような、1以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであり、オリゴヌクレオチド又はそのヌクレオチド配列の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%又は例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全部は、ホスホロチオエートである。
【0104】
いくつかの有利な実施形態では、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列の全ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであるか、又はオリゴヌクレオチドの全ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。
【0105】
欧州特許第2742135号に開示されているように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他のヌクレオシド間結合(ホスホジエステル、ホスホロチオエート及びホスホロジチオエート以外の)、例えばアルキルホスホネート/メチルホスホネートヌクレオシド間結合を含んでもよいことが認識され、これは欧州特許第2742135号によれば、例えば別のDNAホスホロチオエートのギャップ領域内で耐性であり得る。
【0106】
核酸塩基
「核酸塩基」という用語は、ヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えば、ウラシル、チミン、及びシトシン)部分を含み、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本発明の文脈において、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能性である修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」は、天然に存在する核酸塩基、例えばアデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン及びヒポキサンチンと、天然に存在しない変異体との両方を指す。そのような変異体は、例えばHirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。
【0107】
いくつかの実施形態では、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを修飾プリン又はピリミジン、例えば置換プリン又は置換ピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チアゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変えることにより修飾される。
【0108】
核酸塩基部分は、各々の対応する核酸塩基の文字コード、例えばA、T、G、C、又はUにより示され、ここで、各文字は、等価な機能の修飾核酸塩基を場合により含み得る。例えば、例示のオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C及び5-メチルシトシンから選択される。場合により、LNAギャップマーについて、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが使用され得る。
【0109】
修飾オリゴヌクレオチド
「修飾オリゴヌクレオチド」という用語は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを記述する。キメラ」オリゴヌクレオチドという用語は、糖修飾ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを記述するために文献で使用されている用語である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、有利にはキメラオリゴヌクレオチドである。
【0110】
相補性
用語「相補性」は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのWatson-Crickの塩基対合の能力を記述する。Watson-Crick塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)及びアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでもよく、例えば5-メチルシトシンは度々シトシンの代わりに使用され、したがって相補性という用語は、非修飾及び修飾核酸塩基の間のWatson Crick塩基対合を包含することが理解されるであろう(例えばHirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1を参照されたい)。
【0111】
用語「%相補的」とは、本明細書で使用される場合、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、標的配列又は配列モチーフ)に相補的である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセント)を指す。したがって、相補性のパーセンテージは、2つの配列間(標的配列5’-3’と3’-5’からのオリゴヌクレオチド配列とを整列させた場合)で相補的である(ワトソン・クリック塩基対から)整列した核酸塩基の数を数え、その数をオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。このような比較において、整列(塩基対を形成)しない核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと称される。挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。相補性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対合を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、%同一性の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0112】
「完全に相補的な」という用語は、100%の相補性を指す。
【0113】
同一性
用語「同一性」とは、本明細書で使用される場合、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、配列モチーフ)に同一である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセントで表される)を指す。したがって、同一性のパーセンテージは、2つの配列(本発明の化合物の連続ヌクレオチド配列及び参照配列における)の間で同一の(一致する)整列された核酸塩基の数を数え、その数をオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることにより計算される。したがって、同一性のパーセンテージ=(一致×100)/整列領域(例えば、連続ヌクレオチド配列)の長さ。挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の同一性のパーセンテージの計算において許容されない。同一性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対合を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、%同一性の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0114】
ハイブリダイゼーション
用語「ハイブリダイズしている」又は「ハイブリダイズする」とは、本明細書で使用される場合、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチド及び標的核酸)が対向する鎖上の塩基対の間で水素結合を形成することにより二重鎖を形成することとして理解するべきである。2つの核酸鎖の間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、度々、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖を形成する温度として定義される融解温度(Tm)によって記述される。生理学的条件では、Tmは親和性に厳密に比例しない(Mergny及びLacroix(2003年)「Oligonucleotides」第13巻第515~537頁)。標準状態ギブス自由エネルギーΔG°は、結合親和性をより正確に表し、ΔG°=-RTln(Kd)によって反応の解離定数(Kd)に関連付けられ、ここで、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水性濃度が1M、pHが7、温度が37℃の反応に関連したエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的反応であり、自発的反応の場合、ΔG°はゼロ未満である。ΔG°は、例えば、Hansen et al.,1965,Chem.36-38及びHoldgate et al.,2005,Drug Discov Todayに記載されているように、等温滴定型熱量測定(ITC)により、実験的に測定することができる。当業者は、ΔG°測定のために市販の装置が入手可能であることを知るであろう。ΔG°は、SantaLucia,1998,Proc Natl Acad Sci USA.95:1460-1465に記載されているように、Sugimoto et al.,1995,Biochemistry 34:11211-11216及びMcTigue et al.,2004,Biochemistry 43:5388-5405に記載されている適切に誘導した熱力学パラメータを使用して、最近接モデル(nearest neighbor model)を用いることにより数値的に推定することもできる。ハイブリダイゼーションによってその意図された核酸標的を調節する可能性を有するために、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドについて-10kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションの程度又は強度は、標準状態ギブス自由エネルギーΔG°により測定される。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドについて-10kcalの範囲未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、及び例えば-25kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズし得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、-10~-60kcal、例えば-12~-40、例えば-15~-30kcal、又は-16~-27kcal、例えば-18~-25kcalの推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。
【0115】
標的
「標的」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトナトリウム電位依存性チャネルアルファサブユニット9(SCN9A)、及び配列番号1として本明細書に示されるような、ヒトSCN9Aをコードする核酸を指すために使用される。ナトリウムチャネルのアルファサブユニットをコードするSCN9A核酸は、Nav1.7と呼ばれる。
【0116】
標的核酸
本発明によれば、標的核酸は、ヒトSCN9Aをコードする核酸であり、例えば遺伝子、RNA、mRNA、及びプレmRNA、成熟mRNA又はcDNA配列であり得る。したがって、標的は、SCN9A標的核酸と称され得る。インビトロ及びインビボでの使用のための好ましい標的核酸は、SCN9AをコードするプレmRNA又はmRNAである。本発明のオリゴヌクレオチドを研究又は診断に使用する場合、標的核酸は、DNA又はRNAに由来するcDNA又は合成核酸であり得る。
【0117】
好ましい標的遺伝子は、ヒトSCN9A、例えばヒトSCN9AプレmRNAである(表2に提供され、配列番号1として本明細書に示されるような遺伝子座表を参照。
【0118】
【0119】
いくつかの実施形態では、標的核酸は、配列番号1の転写産物バリアント、すなわち、ヒト染色体座位(座標は表2において同定される)からコードされるSCN9A遺伝子から転写される転写産物である。
【0120】
標的配列
用語「標的配列」とは、本明細書で使用される場合、標的核酸に存在するヌクレオチドの配列を指し、これは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドに相補的な核酸塩基配列を含む。いくつかの実施形態では、標的配列は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列に相補的な核酸塩基配列を有する標的核酸上の領域からなる。標的核酸のこの領域は、互換的に標的ヌクレオチド配列、標的配列又は標的領域と称され得る。いくつかの実施形態では、標的配列は、単一アンチセンスオリゴヌクレオチドの相補的配列よりも長く、例えば本発明のいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドによって標的化され得る標的核酸の好ましい領域を表すことができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択される標的配列に相補的、例えば完全に相補的である。
【0122】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸、例えば本明細書に記載される標的配列に相補的且つハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含む。
【0123】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが相補的である標的配列は、一般に、少なくとも10ヌクレオチドの連続核酸塩基配列を含む。連続ヌクレオチド配列は、10~30ヌクレオチド長、例えば12~30、例えば14~20、例えば15~18連続ヌクレオチド長、例えば15、16、17連続ヌクレオチド長である。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの全長にわたり標的配列に完全に相補的である。
【0125】
標的細胞
本明細書で使用される用語「標的細胞」は、標的核酸を発現している細胞を指す。いくつかの実施形態では、標的細胞は、インビボ又はインビトロであり得る。いくつかの実施形態では、標的細胞は、哺乳動物細胞、例えばげっ歯類細胞、例えばマウス細胞若しくはラット細胞、又は霊長類細胞、例えばサル細胞若しくはヒト細胞である。
【0126】
典型的には、標的細胞は、SCN9AプレmRNA又はSCN9A成熟mRNAなどのSCN9A mRNAを発現する。実験的評価のために、標的配列を含む核酸を発現する標的細胞が使用され得る。
【0127】
SCN9A mRNAのポリAテールは、典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチド標的化では無視される。
【0128】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、例えばインビボ又はインビトロのいずれかにおいて、SCN9A標的核酸を発現する細胞(標的細胞)中のSCN9A標的核酸の発現を阻害することができる。
【0129】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さにわたって測定して、場合によりアンチセンスオリゴヌクレオチドをコンジュゲートなどの任意の官能基に結合し得るヌクレオチドベースのリンカー領域、又は他の非相補的末端ヌクレオチド(例えば、領域D’又はD’’)を除いて、SCN9A標的核酸、例えば配列番号1に相補的、例えば完全に相補的である。標的核酸は、例えば、SCN9AをコードするメッセンジャーRNA、例えば成熟mRNA又はプレmRNAであり得る。
【0130】
天然に存在する変異体
用語「天然に存在する変異体」は、標的核酸と同じ遺伝子座に由来するが、例えば、同じアミノ酸をコードする多数のコドンを引き起こす遺伝コードの縮重のために、又はプレmRNAの選択的スプライシング、又は多型、例えば単一ヌクレオチド多型(SNP)の存在に起因して異なり得るSCN9A遺伝子又は転写産物の変異体、及び対立遺伝子変異体を指す。オリゴヌクレオチドに対する十分な相補的な配列の存在に基づいて、本発明のオリゴヌクレオチドは、したがって、標的核酸及びその天然に存在する変異体を標的とし得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、天然に存在する変異体は、哺乳動物SCN9A標的核酸、例えば配列番号1からなる群から選択される標的核酸に対して少なくとも95%、例えば少なくとも98%又は少なくとも99%相同性を有する。いくつかの実施形態では、天然に存在する変異体は、配列番号1のヒトSCN9A標的核酸に対して少なくとも99%相同性を有する。
【0132】
発現の阻害
「発現の阻害」という用語は、本明細書で使用される場合、標的細胞中のSCN9Aの量又は活性を阻害するオリゴヌクレオチドの能力についての全体的な用語として理解される。活性の阻害は、SCN9AプレmRNA若しくはSCN9A mRNAのレベルを測定することにより、又は細胞中のSCN9A若しくはSCN9A活性のレベルを測定することにより決定され得る。発現の阻害は、したがって、インビトロ又はインビボで決定され得る。SCN9A発現の阻害はまた、Nav1.7の活性又はタンパク質レベルを測定することにより決定され得る。
【0133】
典型的には、発現の阻害は、標的細胞への有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与に起因する活性の阻害を比較し、そのレベルを、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与なし(対照実験)で標的細胞から得られた参照レベル、又は既知の参照レベル(例えば、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与前の発現レベル、若しくは予め決定する(predetermine)若しくは他に既知の発現レベル)に対して比較することにより決定される。
【0134】
例えば、対照実験は、生理食塩水組成物又は参照オリゴヌクレオチド(多くの場合、スクランブル化対照)を用いて処理された動物若しくはヒト、又は標的細胞であり得る。
【0135】
阻害又は阻害するという用語はまた、SCN9Aの発現を下方調節し、低減し、抑制し、減少させ、低下させることとして言及され得る。
【0136】
発現の阻害は、例えば、(例えば、RNaseH動員性オリゴヌクレオチド、例えばギャップマーを使用する)プレmRNA又はmRNAの分解により行われ得る。
【0137】
高親和性修飾ヌクレオシド
高親和性修飾ヌクレオシドは、修飾されたヌクレオチドであり、アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、例えば融解温度(Tm)によって測定されるように、その相補的標的に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの親和性を高める。本発明の高親和性修飾ヌクレオシドは、好ましくは、修飾ヌクレオシドあたり+0.5~+12℃、より好ましくは+1.5~+10℃、最も好ましくは+3~+8℃の融解温度の上昇をもたらす。多数の高親和性修飾ヌクレオシドが当技術分野にて既知であり、例えば、多くの2’置換ヌクレオシド及びロックド核酸(LNA)が含まれる(例えば、Freier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443 and Uhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213を参照されたい)。
【0138】
糖修飾
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾された糖部分、すなわち、DNA及びRNAに見られるリボース糖部分と比較した場合の糖部分の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含み得る。
【0139】
リボース糖部分の修飾を有する多数のヌクレオシドが、親和性及び/又はヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドのある特定の特性を改善することを主な目的として作製されている。
【0140】
そのような修飾には、例えばヘキソース環(HNA)若しくは二環式環(典型的には、リボース環(LNA)のC2及びC4炭素の間にバイラジカル架橋を有する)、又は非結合リボース環(典型的には、C2及びC3炭素の間の結合を欠く(例えば、UNA))で置き換えることにより、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えばビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)又は三環式核酸(国際公開第2013/154798号)が含まれる。修飾ヌクレオシドには、例えばペプチド核酸(PNA)の場合には、糖部分が非糖部分で置き換えられているヌクレオシド、又はモルホリノ核酸も含まれる。
【0141】
糖修飾には、リボース環上の置換基を水素以外の基、又はDNA及びRNAヌクレオシドに天然に存在する2’-OH基に変更することによる修飾も含まれる。置換基は、例えば2’、3’、4’又は5’位で導入され得る。
【0142】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にH若しくは-OH以外の置換基を有し(2’置換ヌクレオシド)、又は2’炭素とリボース環の第2の炭素との間に架橋を形成できる2’結合バイラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’-4’バイラジカル架橋)である。
【0143】
実際、2’糖置換ヌクレオシドの開発には多くの注目が集まっており、数多くの2’置換ヌクレオシドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれた際に有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾糖は、向上された結合親和性、及び/又は増大されたヌクレアーゼ耐性をアンチセンスオリゴヌクレオチドに提供することができる。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA及び2’-F-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えばFreier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213、及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology 2012,19,937を参照。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの説明である。
【化1】
【0144】
本発明に関して、2’置換糖修飾ヌクレオシドは、LNAのような2’架橋ヌクレオシドを含まない。
【0145】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNAヌクレオシド)
「LNAヌクレオシド」は、前記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’を結合するバイラジカル(「2’-4’架橋」とも称される)を含む2’修飾ヌクレオシドであり、これはリボース環の立体配座を制限又は固定する。これらのヌクレオシドは、文献にて架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも称されている。リボースの立体配座の固定は、LNAが相補的RNA又はDNA分子のアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の向上(二重鎖安定化)に関連している。これはアンチセンスオリゴヌクレオチド/相補的二重鎖の融解温度を測定することにより日常的に決定され得る。
【0146】
非限定的な、例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、国際公開第2004/046160号、国際公開第00/047599号、国際公開第2007/134181号、国際公開第2010/077578号、国際公開第2010/036698号、国際公開第2007/090071号、国際公開第2009/006478号、国際公開第2011/156202号、国際公開第2008/154401号、国際公開第2009/067647号、国際公開第2008/150729号、Morita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.12,73-76,Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81、及びMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238、及びWan and Seth,J.Medical Chemistry 2016,59,9645-9667に開示されている。
【0147】
さらなる非限定的な、例示的なLNAヌクレオシドは、スキーム1に開示されている。
スキーム1:
【化2】
【0148】
特定のLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNA、6’-メチル-β-D-オキシLNA、例えば(S)-6’-メチル-β-D-オキシ-LNA(ScET)及びENAである。特定の有利なLNAは、β-D-オキシ-LNAである。
【0149】
HELMアノテーション付きの例示的なヌクレオシド
DNAヌクレオシド
【化3】
【0150】
【0151】
【0152】
HELMアノテーション付きの例示的なホスホロチオエートヌクレオシド間結合
【化6】
【0153】
点線は、各ヌクレオシド及び5’又は3’ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の間の共有結合を表す。5’末端ヌクレオシドにおいて、5’の点線は、水素原子への結合(5’末端-OH基を形成する)を表す。3’末端ヌクレオシドにおいて、3’の点線は、水素原子への結合(3’末端-OH基を形成する)を表す。
【0154】
RNase H活性及び動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNase H活性は、相補的RNA分子と二重鎖を形成するときにRNase Hを動員するその能力を指す。国際公開第01/23613号は、RNase Hを動員する能力を決定するために使用され得る、RNase H活性を決定するためのインビトロ方法を提供する。典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的な標的核酸が提供された場合、pmol/L/分で測定して、試験されている修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、アンチセンスオリゴヌクレオチドの全モノマー間にホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーのみを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用し、そして国際公開第WO01/23613号(参照により本明細書に組み込まれる)の実施例91~95により提供される方法論を使用したときに決定された初期率の少なくとも5%、例えば少なくとも10%又は20%超を有する場合に、RNase Hを動員することができると見なされる。RNase H活性の決定での使用について、組換えヒトRNase H1は、Creative Biomart(登録商標)(大腸菌で発現したHisタグと融合した組換えヒトRNASEH1)から入手できる。
【0155】
ギャップマー
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列はギャップマーであってもよく、また、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチド又はギャップマー設計とも称され得る。ギャップマーは、通常、RNase H媒介分解を介して標的核酸を阻害するのに使用される。ギャップマーは、少なくとも3つの区別される構造領域、5’-フランク、ギャップ及び3’-フランク、F-G-F’を5’->3’配向で含む。「ギャップ」領域(G)は、ギャップマーがRNase Hを動員することを可能にする連続DNAヌクレオチドのストレッチを含む。ギャップ領域は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む5’隣接領域(F)と、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む3’隣接領域(F’)とが隣接する。領域F及びF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するギャップマーの親和性を増強する(すなわち、これは親和性増強糖修飾ヌクレオシドである)。いくつかの実施形態では、領域F及びF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、2’糖修飾ヌクレオシド、例えばLNA及び2’-MOEから独立して選択される、例えば高親和性2’糖修飾である。
【0156】
ギャップマー設計において、ギャップ領域の最も5’及び3’のヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり、各々、5’(F)又は3’(F’)領域の糖修飾ヌクレオシドに隣接して配置されている。フランクは更に、ギャップ領域から最も遠い端、すなわち5’フランクの5’末端及び3’フランクの3’末端に少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシドを有することによって定義してもよい。
【0157】
領域F-G-F’は、連続ヌクレオチド配列を形成する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列は、式F-G-F’のギャップマー領域を含んでもよい。
【0158】
ギャップマー設計F-G-F’の全長は、例えば12~32ヌクレオシド、例えば13~24、例えば14~22ヌクレオシド、例えば14~17、例えば16~18ヌクレオシドであってもよい。
【0159】
例として、本発明のギャップマーオリゴヌクレオチドは、以下の式により表すことができる:
F1-8-G5-16-F’1-8、例えば
F1-8-G7-16-F’2-8
ただし、ギャップマー領域 F-G-F’の全長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0160】
本発明の一態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、式5’-F-G-F’-3’のギャップマーからなるか又はそれを含み、式中、領域F及びF’が独立して1~8個のヌクレオシドを含むか又はそれらからなり、そのうち1~4個が2’糖修飾され、F及びF’領域の5’及び3’末端を規定し、GがRNase Hを動員することができる6~16個のヌクレオシドの領域である。
【0161】
領域F、G及びF’は、さらに以下に定義され、F-G-F’式に組み込まれることができる。
【0162】
LNAギャップマー
LNAギャップマーは、領域F及びF’の一方又は両方のいずれかが、LNAヌクレオシドを含み、又はそれからなるギャップマーである。β-D-オキシギャップマーは、領域F及びF’の一方又は両方のいずれかが、β-D-オキシLNAヌクレオシドを含み、又はそれからなるギャップマーである。
【0163】
いくつかの実施形態では、LNAギャップマーは、式:[LNA]1-5-[領域G]-[LNA]1-5であり、ここで、領域Gは、RNase Hを動員することができる連続DNAヌクレオシドの領域であるか、又はそれを含む。
【0164】
MOEギャップマー
MOEギャップマーは、領域F及びF’がMOEヌクレオシドからなるギャップマーである。いくつかの実施形態では、MOEギャップマーは、設計[MOE]1-8-[領域G] 5-16-[MOE]1-8、例えば[MOE]2-7-[領域G]6-14-[MOE]2-7、例えば[MOE]3-6-[領域G]8-12-[MOE]3-6のものであり、ここで、領域Gはギャップマーの定義に規定した通りである。5-10-5設計(MOE-DNA-MOE)を有するMOEギャップマーは、当技術分野で広く使用されている。
【0165】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャップマーは、領域F及びF’の一方又は両方が、2’置換ヌクレオシド、例えば2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、アラビノ核酸(ANA)単位及び2’-フルオロ-ANA単位から独立して選択される2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシドを含むLNAギャップマーである。いくつかの実施形態では、領域F及びF’の少なくとも一方、又は領域F及びF’の両方が、少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含み、領域F及びF’の残りのヌクレオシドは、MOE及びLNAからなる群より独立して選択される。いくつかの実施形態では、領域F及びF’の少なくとも一方、又は領域F及びF’の両方が、少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含み、領域F及びF’の残りのヌクレオシドは、MOE及びLNAからなる群より独立して選択される。いくつかの混合ウイング実施形態では、領域F及びF’の一方又は両方が、1つ以上のDNAヌクレオシドをさらに含んでもよい。
【0166】
交互フランクギャップマー
隣接領域は、LNA及びDNAヌクレオシドの両方を含み得、それらがLNA-DNA-LNAヌクレオシドの交互モチーフを含むので、「交互フランク」と称される。このような交互フランクを含むギャップマーは、「交互フランクギャップマー」と称される。「交互フランクギャップマー」はそれ故、LNAギャップマーオリコヌクレオチドであり、フランクの少なくとも一方(F又はF’)が、LNAヌクレオシドに加えてDNAを含む。いくつかの実施形態では、領域F若しくはF’の少なくとも一方、又は領域F及びF’の両方は、LNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシドの両方を含む。そのような実施形態では、隣接領域F若しくはF’、又はF及びF’の両方は、少なくとも3つのヌクレオシドを含み、F及び/又はF’領域の最も5’及び3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。
【0167】
アンチセンスオリゴヌクレオチドにおける領域D’又はD’’
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマー領域F-G-F’、並びに更に5’及び/又は3’ヌクレオシドを含むか又はそれからなり得る。さらなる5’及び/又は3’ヌクレオシドは、標的核酸に完全に相補的であってもよく、又は完全に相補的でなくてもよい。このようなさらなる5’及び/又は3’ヌクレオシドは、本明細書で領域D’及びD”と称され得る。
【0168】
領域D’又はD”の追加は、連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマーをコンジュゲート部分又は他の官能基に連結することを目的として用いられ得る。連続ヌクレオチド配列をコンジュゲート部分に連結するのに使用される場合、生体切断可能なリンカーとしての役割を果たし得る。或いは、それはエキソヌクレオアーゼ(exonucleoase)保護を提供するために、又は合成若しくは製造を容易にするために使用され得る。
【0169】
領域D’及びD’’は、各々、領域Fの5’末端又は領域F’の3’末端に結合されて、以下の式D’-F-G-F’、F-G-F’-D’’又はD’-F-G-F’-D’’の設計を生成し得る。この場合、F-G-F’はアンチセンスオリゴヌクレオチドのギャップマー部分であり、領域D’又はD’’はアンチセンスオリゴヌクレオチドの別個の部分を構成する。
【0170】
領域D’又はD”は、独立して、1、2、3、4又は5個の追加のヌクレオチドを含み、又はそれからなり、標的核酸に相補的であっても、又は相補的でなくてもよい。F又はF’領域に隣接するヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオチドではなく、例えばDNA又はRNA又はこれらの塩基修飾バージョンである。D’及びD”領域は、ヌクレアーゼ感受性の生体切断可能なリンカーとしての役割を果たし得る(リンカーの定義を参照されたい)。いくつかの実施形態では、追加の5’及び/又は3’末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結され、DNA又はRNAである。領域D’及びD”としての使用に好適なヌクレオチドベースの生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号に開示されており、これは例としてホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドを含む。ポリオリゴヌクレオチド構築物における生体切断可能なリンカーの使用は国際公開第WO2015/113922号に開示されており、それらは複数のアンチセンス構築物(例えば、ギャップマー領域)を単一のアンチセンスオリゴヌクレオチド内で結合するのに使用されている。
【0171】
一実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーを構成する連続ヌクレオチド配列に加えて、領域D’及び/又はD’’を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下の式により表すことができる:
F-G-F’;特にF1-8-G5-16-F’2-8
D’-F-G-F’、特にD’1-3-F1-8-G5-16-F’2-8
F-G-F’-D’’、特にF1-8-G5-16-F’2-8-D’’1-3
D’-F-G-F’-D’’、特にD’1-3-F1-8-G5-16-F’2-8-D’’1-3。
【0173】
いくつかの実施形態では、領域D’と領域Fとの間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。いくつかの実施形態では、領域F’と領域D’’との間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。
【0174】
コンジュゲート
本明細書で使用されるコンジュゲートという用語は、非ヌクレオチド部分に共有結合したアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す(コンジュゲート部分又は領域C又は第3の領域)。コンジュゲート部分は、場合により領域D’又はD’’などのリンカー基を介して、アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合していてもよい。
【0175】
アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート及びそれらの合成は、Manoharan、「Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications」、S.T.Crooke編、第16章、Marcel Dekker,Inc.(2001年)及びManoharan、「Antisense and Nucleic Acid Drug Development」(2002年)第12巻第103頁による包括的レビューにおいても報告されている。
【0176】
いくつかの実施形態では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物(例えば、GalNAc)、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)、又はそれらの組合せからなる群より選択される。
【0177】
リンカー
リンケージ又はリンカーは、1つ以上の共有結合を介して、対象の化学基又はセグメントを別の対象の化学基又はセグメントに連結する2つの原子間の接続である。コンジュゲート部分は、直接、又は連結部分(例えば、リンカー又はテザー)を介してアンチセンスオリゴヌクレオチドに付着させることができる。リンカーは、例えばコンジュゲート部分などの第3の領域(領域C)を、例えば標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列などの第1の領域(領域A)に共有結合的に接続するのに役立つ。
【0178】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のコンジュゲート又はアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、場合により、標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A又は第1の領域)の間に位置するリンカー領域(第2の領域又は領域B及び/又は領域Y)と、コンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)とを含み得る。
【0179】
領域Bは、哺乳動物の体内で通常遭遇する又は遭遇するものに類似した条件下で切断可能である生理学的に不安定な結合を含み、又はそれからなる生体切断可能なリンカーを指す。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換(例えば、切断)を受ける条件には、pH、温度、酸化若しくは還元条件又は薬剤などの化学条件、及び哺乳動物細胞で見られる又は遭遇するものに類似した塩濃度が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解酵素又は加水分解酵素又はヌクレアーゼなどの哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。一実施形態では、生体切断可能なリンカーは、S1ヌクレアーゼ切断の影響を受けやすい。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ感受性リンカーは1~5個のヌクレオシド、例えば、少なくとも2つの連続ホスホジエステル結合を含むDNAヌクレオシドを含む。ホスホジエステルを含む生体切断可能なリンカーは、国際公開第WO2014/076195号により詳細に記載されている。
【0180】
領域Yは、必ずしも生体切断可能ではないが、主にコンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)をアンチセンスオリゴヌクレオチド(領域A又は第1の領域)に共有結合させるのに役立つリンカーを指す。領域Yリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位又はアミノアルキル基などの反復単位の鎖構造又はオリゴマーを含み得る。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、以下の局所要素A-C、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-C又はA-Y-Cから構築することができる。いくつかの実施形態では、リンカー(領域Y)は、例えばC6~C12アミノアルキル基を含むC2~C36アミノアルキル基などのアミノアルキルである。いくつかの実施形態では、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。いくつかの実施形態では、リンカーはNAである。
【0181】
治療
用語「治療」とは、本明細書で使用される場合、既存の疾患(例えば、本明細書で言及される疾患又は障害)の治療、又は疾患の予防(prevention)、すなわち予防(prophylaxis)の両方を指す。したがって、本明細書で言及される治療は、いくつかの実施形態では、予防的であり得ることが認識されるであろう。
【0182】
発明の詳細な説明
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明のオリゴヌクレオチドは、SCN9Aを標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0183】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的の発現を阻害又はダウンレギュレートすることにより調節することができる。好ましくは、そのような調節は、標的の正常な発現レベルと比較して少なくとも20%の発現の阻害、より好ましくは、標的の正常な発現レベルと比較して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%の阻害をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SK-N-AS細胞への0.031μM、0.1μM、及び0.4μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドの適用後に、インビトロで少なくとも60%又は70%だけSCN9A mRNAの発現レベルを阻害することができる。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SK-N-AS細胞への0.031μM、0.1μM、及び0.4μMのオリゴヌクレオチドの適用後に、インビトロで少なくとも50%だけSCN9Aタンパク質の発現レベルを阻害することができる。好適には、実施例は、SCN9A RNA又はタンパク質阻害を測定するために用いられ得るアッセイを提供する(例えば、実施例1及び実施例3を参照)。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1μM以下、より好ましくは0.5μM以下の半数最大有効濃度(EC50)で細胞中の標的RNA又はタンパク質の発現レベルを阻害することができる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SK-N-AS細胞へのオリゴヌクレオチドの適用後に、0.3μM以下、例えば0.20μM以下、例えば0.15μM以下、例えば0.10μM以下、例えば0.08μM以下、例えば0.07μM以下、例えば0.06、0.05、0.04又は0.03μM以下のEC50でSCN9A mRNA(又はタンパク質)の発現レベルを阻害できるものであり得る。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SK-N-AS細胞において、0.03μM~0.15μMの範囲内、例えば0.05~0.10μMの範囲内、例えば約0.07μMのEC50でSCN9A mRNAの発現レベルを阻害できるものであり得る。好適には、これは、実施例3で提供されるアッセイにおいて評価され得る。
【0184】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、標的核酸、例えば、SCN9A mRNAに対する高い選択性により特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的配列を含む核酸を発現する標的細胞中で、例えば、SK-N-AS細胞中でのそのEC50の約50倍に対応する濃度において標的細胞に適用された場合に、少数又は0個のオフターゲット核酸、例えば、20個以下、例えば15個以下、例えば12個以下、例えば10個以下、例えば、8、7、6、5、4、3、2若しくは1個以下のオフターゲット遺伝子、又は0個のオフターゲット遺伝子の発現を低減し得る。「オフターゲット遺伝子」は、SCN9Aの遺伝子でも遺伝子転写産物、例えば、mRNAでもないが、その発現がアンチセンスオリゴヌクレオチドにより低減される任意の遺伝子又は遺伝子転写産物を含むことが理解されるべきである。好ましくは、約3μMの濃度においてヒトニューロン細胞、例えば、human iCell GlutaNeuron(表10を参照)に適用された場合に、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5個以下、例えば3個以下、例えば1個以下のオフターゲット遺伝子、例えば0個のオフターゲット遺伝子の発現を低減し得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドの選択性を評価するための好適なアッセイは、実施例4に提供される。いくつかの実施形態では、オフターゲット遺伝子は、実施例4のアッセイにおいて試験された場合に、対照条件に対して調整p値<0.05で低減した発現を有するとして、任意選択的にはまた、結合親和性予測に基づいて予測されるオフターゲット遺伝子の上位1%に入ること、又は1つのミスマッチを有する対応するスプライシングされていない転写産物に結合できることとして定義され得る。
【0185】
標的調節は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列と標的核酸との間のハイブリダイゼーションによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間のミスマッチを含む。ミスマッチにもかかわらず、標的核酸へのハイブリダイゼーションは、SCN9A発現の所望の調節を示すのに尚十分であり得る。ミスマッチから生じる結合親和性の低下は、アンチセンスオリゴヌクレオチド内のヌクレオチド数の増加、及び/又は、標的への結合親和性を増加させることができる修飾ヌクレオシドの数、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド配列内に存在する、LNAを含む2’糖修飾ヌクレオシドの数の増加により有利に補償され得る。
【0186】
本発明の一態様は、SCN9AプレmRNA、例えば配列番号1、又はそれに由来する転写産物バリアントに対して少なくとも90%の相補性を有する10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0187】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長の連続配列を含み、これは、標的核酸又は標的配列の領域と、少なくとも90%相補的、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、又は100%相補的である。
【0188】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、標的核酸の領域に完全に相補的(100%相補的)である場合、又はいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つ又は2つのミスマッチを含み得る場合に有利である。
【0189】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される(selected from the group consisting of selected from)配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して少なくとも90%相補的な、例えば完全に(又は100%)相補的な10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な14~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な15ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な16ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な17ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な18ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な19ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な21ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド97704~97732、103232~103259、151831~151847、及び151949~152006から選択されるものからなる群から選択される配列番号1に存在する標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な22ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、及び27からなる群から選択される標的核酸の領域に対して少なくとも90%相補的な、例えば少なくとも95%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、及び27からなる群から選択される標的核酸の領域に対して完全に(又は100%)相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
【0201】
本発明のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の領域、例えば本明細書に記載される標的配列に相補的又はハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含む。
【0202】
治療用アンチセンスオリゴヌクレオチドが相補的又はハイブリダイズする標的核酸配列は、一般に、少なくとも10ヌクレオチドの連続核酸塩基のストレッチを含む。連続ヌクレオチド配列は、12~70ヌクレオチド、例えば12~50、例えば13~30、例えば14~25、例えば14~20連続ヌクレオチドである。
【0203】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列は、10~30ヌクレオチド長、例えば12~25、例えば11~22、例えば12~20、例えば14~18又は14~16連続ヌクレオチド長を含み、又はそれからなる。
【0204】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、22以下のヌクレオチド、例えば20以下のヌクレオチド、例えば18以下のヌクレオチド、例えば14、15、16又は17ヌクレオチドを含み、又はそれからなる。本明細書で提供されるいずれの範囲も、範囲の終点を含むことを理解するべきである。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドが10~30ヌクレオチドを含むと記される場合、10ヌクレオチド及び30ヌクレオチドの両方が含まれる。
【0205】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30連続ヌクレオチド長を含み、又はそれからなる。
【0206】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号28~52から選択される配列を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22連続ヌクレオチド長を含むか、又はそれからなる。
【0207】
有利な実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、例えば1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA、及びLNAヌクレオシドからなる群より独立して選択される1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含む。修飾ヌクレオシドの1つ以上がロックド核酸(LNA)である場合、有利である。
【0208】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシドを含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシド及び2’-O-メチルRNAヌクレオシドを含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシド及び2’-O-メチルRNAヌクレオシドを含み、かつ連続ヌクレオチド結合の各ヌクレオシド間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0212】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシド及び2’-O-メチルRNAヌクレオシドを含み、かつ連続ヌクレオチド結合の各ヌクレオシド間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0213】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)ヌクレオシドを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含む。
【0215】
有利には、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列の最も3’のヌクレオシドは、2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0216】
有利には、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、例えばホスホロチオエート又はホスホロジチオエートを含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0218】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合は、ホスホロジチオエートヌクレオシド間結合である。
【0219】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0220】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列内の全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0221】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列内の少なくとも75%のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0222】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列内の全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0223】
本発明の有利な実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNase H1などのRNase Hを動員することができる。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列はギャップマーである。
【0224】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列は、式5’-F-G-F’-3’のギャップマーからなる、又はこれを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、領域Gは6~16個のDNAヌクレオシドからなる。
【0226】
いくつかの実施形態では、領域F及びF’はそれぞれ、少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む。
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【表3-13】
ここで、下線を引いていない大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドであり、小文字はDNAヌクレオシドであり、全LNA Cは5-メチルシトシンであり、全ヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、下線を引いた大文字は2’-O-メチルRNAヌクレオシドである。
【0240】
薬学的に許容される塩
さらなる態様では、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートの薬学的に許容される塩、例えば、薬学的に許容されるナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩を提供する。
【0241】
製造方法
更なる態様では、本発明は、ヌクレオチド単位を反応させ、それによってアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる共有結合された連続ヌクレオチド単位を形成することを含む、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを製造する方法を提供する。好ましくは、この方法は、ホスホラミダイト化学を使用する(例えば、Caruthers et al,1987,Methods in Enzymology vol.154,pages 287-313を参照のこと)。更なる実施形態では、この方法は、連続ヌクレオチド配列を結合(conjugating)部分(リガンド)と反応させて、コンジュゲート部分をアンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合させることを更に含む。更なる態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は結合アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩、及び/又は佐剤と混合することを含む、本発明の組成物を製造する方法が提供される。
【0242】
医薬組成物
さらなる態様では、本発明は、前述のアンチセンスオリゴヌクレオチド及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート又はその塩のいずれかと、薬学的に許容される希釈剤、担体、塩及び/又は佐剤とを含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容される希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれ、薬学的に許容される塩には、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、滅菌リン酸緩衝生理食塩水又は滅菌炭酸ナトリウム緩衝液である。
【0243】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される希釈剤中の溶液、例えば、PBS又は炭酸ナトリウム緩衝液中に溶解した溶液の形態である。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩は、粉末、例えば凍結乾燥粉末などの固体形態である。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、溶液中に予め製剤化されていてもよく、又はいくつかの実施形態では、投与の前に薬学的に許容される希釈剤に溶解され得る乾燥粉末(例えば、凍結乾燥粉末)の形態であってもよい。
【0244】
好適には、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、0.1~100mg/ml、例えば1~10mg/の濃度で薬学的に許容される希釈剤に溶解され得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、0.5~100mg、例えば1mg~50mg、又は2~25mgの単位用量で製剤化される。
【0246】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、50~300μMの濃度で薬学的に許容される希釈剤中で使用される。
【0247】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、医薬組成物又は製剤の調製のために、薬学的に許容される活性又は不活性物質と混合されてもよい。医薬組成物の調製のための組成物及び方法は、限定されるものではないが、投与経路、疾患の程度、又は投与される用量を含む多くの基準に依存する。
【0248】
溶液などの医薬組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌され得るか、又は滅菌してフィルタにかけられ得る。得られた溶液は、そのまま使用するために包装するか、又は凍結乾燥することができ、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9又は6~8、最も好ましくは7~8、例えば7~7.5であろう。得られた固体形態の組成物は、錠剤又はカプセルの密封パッケージなどのように、各々が上記の薬剤又は薬剤群の固定量を含む複数の単回用量単位で包装することができる。固体形態の組成物はまた、局所適用可能なクリーム又は軟膏用に設計された絞り出し可能なチューブなどの柔軟な量の容器に包装することもできる。
【0249】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートはプロドラッグである。特にアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートに関して、プロドラッグが作用部位、例えば標的細胞に送達されると、コンジュゲート部分はアンチセンスオリゴヌクレオチドから切断される。
【0250】
用途
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、診断、治療及び予防のための研究試薬として利用され得る。
【0251】
研究では、そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、細胞(例えば、インビトロ細胞培養物)及び実験動物におけるNav1.7又はいくつかの態様ではNav1.8タンパク質の合成を特異的に調節し、それによって標的の機能分析又は治療的介入の標的としてのその有用性の評価を促進することができる。典型的には、標的調節は、タンパク質を生成するmRNAを分解又は阻害し、それによりタンパク質形成を防止することによって、又はタンパク質を生成する遺伝子若しくはmRNAのモジュレータを分解若しくは阻害することによって達成される。
【0252】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを研究又は診断に使用する場合、標的核酸は、DNA又はRNAに由来するcDNA又は合成核酸であり得る。
【0253】
本発明は、SCN9Aを発現している標的細胞におけるSCN9A発現を調節するためのインビボ又はインビトロ方法を提供し、前記方法は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを前記細胞に有効量で投与することを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、標的細胞は、哺乳動物細胞、特にヒト細胞である。標的細胞は、哺乳動物の組織の一部を形成するインビトロ細胞培養物又はインビボ細胞であってよい。好ましい実施形態では、標的細胞は、末梢神経系、例えば後根神経節に存在する。
【0255】
診断では、オリゴヌクレオチドを使用して、ノーザンブロッティング、in-situハイブリダイゼーション又は同様の技術により、細胞及び組織におけるSCN9A発現を検出及び定量することができる。
【0256】
治療応用
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、塩若しくは医薬組成物は、疼痛、例えば、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、又は侵害受容性疼痛の予防又は治療のために動物又はヒトに投与され得る。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲート、塩若しくは医薬組成物は、局所鎮痛剤として使用するためのものであり得る。
【0257】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、塩若しくは医薬組成物を用いて治療され得る疼痛は、末梢神経系における疼痛信号であり得る。顕著な末梢成分を伴う疼痛と関連付けられる適応症としては、例えば、糖尿病性ニューロパチー、がん、頭蓋神経痛、帯状疱疹後神経痛及び術後神経痛が挙げられる。
【0258】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、医薬組成物又は塩を使用して予防、治療又は寛解され得る疼痛は、例えば、遺伝性肢端紅痛症(EIM)、発作性激痛障害(PEPD)、三叉神経痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛、そしてまた侵害受容性(例えば、神経の減圧)、神経障害性疼痛(例えば、糖尿病性ニューロパチー)、内臓疼痛、又は混合疼痛の一般的治療と関連付けられる疼痛からなる群から選択され得る。
【0259】
本発明は、疼痛、例えば、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、又は侵害受容性疼痛の予防用又は治療用に使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、組成物又は塩を提供する。
【0260】
本発明はさらに、疼痛、例えば、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、又は侵害受容性疼痛の治療又は予防用の医薬の製造のための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物の使用に関する。
【0261】
本発明は、局所鎮痛剤として使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、医薬組成物又は塩を提供する。
【0262】
本発明は、局所鎮痛剤の製造のための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、医薬組成物又は塩の使用を提供する。
【0263】
本発明は、遺伝性肢端紅痛症(EIM)、発作性激痛障害(PEPD)、三叉神経痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛、そしてまた侵害受容性(例えば、神経の減圧)、神経障害性疼痛(例えば、糖尿病性ニューロパチー)、内臓疼痛、又は混合疼痛の一般的治療と関連付けられる疼痛の予防又は治療のために使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、医薬組成物又は塩を提供する。
【0264】
本発明はさらに、遺伝性肢端紅痛症(EIM)、発作性激痛障害(PEPD)、三叉神経痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛、そしてまた侵害受容性(例えば、神経の減圧)、神経障害性疼痛(例えば、糖尿病性ニューロパチー)、内臓疼痛、又は混合疼痛の一般的治療と関連付けられる疼痛の予防又は治療用の医薬の製造ための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物の使用 に関する。
【0265】
治療方法
本発明は、疼痛を患っているか、又は患う可能性があるヒトなどの対象において疼痛を治療又は予防する方法であって、治療又は予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物を、疼痛、例えば、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、自発性疼痛、又は侵害受容性疼痛を患っているか、又は患い易い対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0266】
例として、治療方法は、糖尿病性ニューロパチー、がん、頭蓋神経痛、帯状疱疹後神経痛及び術後神経痛からなる群から選択される適応症を患っている対象におけるものであり得る。
【0267】
本発明の方法は、疼痛、例えば、遺伝性肢端紅痛症(EIM)、発作性激痛障害(PEPD)、三叉神経痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛、そしてまた侵害受容性(例えば、神経の減圧)、神経障害性疼痛(例えば、糖尿病性ニューロパチー)、内臓疼痛、又は混合疼痛の一般的治療と関連付けられる疼痛を治療及び緩和するためのものであり得る。
【0268】
本発明の方法は、好ましくは、Nav1.7により媒介される疼痛に対する治療又は予防のために用いられる。
【0269】
投与
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、非経口投与を介して投与され得る。
【0270】
いくつかの実施形態では、投与経路は皮下又は静脈内である。
【0271】
いくつかの実施形態では、投与経路は、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、硬膜外、脳室内 眼内、髄腔内投与、及び経椎間孔(transforaminal)投与からなる群から選択される。
【0272】
いくつかの有利な実施形態では、投与は、髄腔内投与、又は硬膜外投与又は経椎間孔投与を介して為される。
【0273】
有利には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、髄腔内に投与され得る。
【0274】
本発明はまた、髄腔内投与用の剤形である疼痛の予防又は治療用の医薬の製造のための、本発明の薬学的塩又は組成物などの、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用を提供する。
【0275】
本発明はまた、髄腔内投与用の剤形である疼痛の予防又は治療用の医薬の製造のための医薬の製造のための、記載されるような本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用を提供する。
【0276】
本発明はまた、髄腔内投与用の剤形である疼痛の予防又は治療用の医薬として使用するための、本発明の薬学的塩又は組成物などの、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを提供する。
【0277】
本発明はまた、髄腔内投与用の剤形である疼痛の予防又は治療用の医薬として使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを提供する。
【0278】
併用療法
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は医薬組成物は、別の治療剤との併用治療で使用するためのものである。治療剤は、例えば、上記の疾患又は障害の標準的な治療であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、本発明の化合物又は組成物の投与と並行して又は独立して投与され得る小分子鎮痛剤と組み合わせて使用される。小分子鎮痛剤との本発明の化合物の併用療法の利点は、小分子鎮痛剤は、典型的には短い作用持続期間(数時間~数日)と共に、疼痛緩和活性の迅速な開始を有する一方、本発明の化合物は、活性の遅延した開始(典型的には数日又は1週より遅いことさえある)を有するが、長い作用持続期間(数週~数か月、例えば、2か月より長い、3か月より長い又は4か月より長い)を有することである。
【実施例】
【0279】
実施例1:単一の濃度におけるSK-N-AS細胞系中のSCN9Aを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロ有効性の試験
SK-N-AS細胞は、供給業者により推奨されるように加湿インキュベーター中で維持していた。販売者及び推奨される培養条件を表4に報告する。
【0280】
【0281】
アッセイのために、細胞を96マルチウェルプレート中の培養培地に播種し、表4に報告したようにインキュベートした後に、5μLの体積のPBSに溶解したアンチセンスオリゴヌクレオチドを加えた。アンチセンスオリゴヌクレオチドの最終濃度を以下の表6に与える。
【0282】
細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の72時間後に回収した(表4を参照)。製造者の説明書にしたがってPureLink(商標)Pro 96 RNA Purification kit(Thermo Fisher Scientific)を使用してRNAを抽出し、50μLの水に溶出させた。RNAをその後にDNase/RNase free Water(Gibco)を用いて10倍に希釈し、90℃に1分間加熱した。
【0283】
遺伝子発現解析のために、二重の設定においてqScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用してOne Step RT-qPCRを行った。qPCRのために使用したプライマーアッセイを標的及び内因性対照の両方について表5に整理している。
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
【0292】
【0293】
【0294】
【0295】
【0296】
【0297】
【0298】
実施例2:実施例1の選択された化合物に対するカスパーゼ解析
マウス3T3細胞をDMEM中で培養し、HepG2細胞をMEM中で培養した。全ての培地に10%(v/v)のウシ胎仔血清を添加した。細胞を37℃及び5%のCO2で培養した。トランスフェクションの1日前に、トランスフェクションの時点に60%~70%の細胞密集度をもたらす密度において96ウェルプレート中の抗生物質を含まない100μLの増殖培地に細胞をプレーティングした。Lipofectamine(登録商標)2000(Invitrogen)を96ウェルプレート中でのトランスフェクションのために使用した。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOpti-MEM(商標)(Invitrogen)中で25μLの総体積まで要求される濃度に希釈し、25μLのトランスフェクションコンプレックス(0.25μLのLipofectamine(登録商標)2000及び24.75μLのOpti-MEM(商標))と混合した。20分のインキュベーション後、50μLの抗生物質フリー培地を溶液に加え、混合した。ウェルから培地を除去した後、100μLのアンチセンスオリゴヌクレオチド:トランスフェクション剤溶液を細胞に加え、24時間インキュベートした(LNA-ASOトランスフェクション)。全てのトランスフェクションは3連で行った。VICTOR3(商標)プレートリーダー(Perkin Elmer)で製造者の説明書にしたがってCaspase-Glo(登録商標)3/7 Assay(Promega)を使用してオリゴヌクレオチドトランスフェクションの24時間後にカスパーゼ-3/7の活性を決定した。カスパーゼ解析の結果を表7に示す。
【0299】
実施例3:濃度応答アッセイにおけるSK-N-AS細胞系中のSCN9Aを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロ効力の試験
SK-N-AS細胞は、供給業者により推奨されるように加湿インキュベーター中で維持した。販売者及び推奨される培養条件を実施例1の表4に報告する。
【0300】
アッセイのために、細胞を96マルチウェルプレート中の培養培地に播種し、表4に報告したようにインキュベートした後に、5μLの体積のPBSに溶解したアンチセンスオリゴヌクレオチドを加えた。濃度応答実験のために、表9のオリゴヌクレオチドを、31.6μM~0.001μMにわたる細胞増殖培地中の最終濃度まで10ステップの3.16倍(1/2log)希釈で希釈した。これにより、PBS対照を用いる16ウェルを残して96ウェルプレートで8つの化合物の試験が可能となった。
【0301】
細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の72時間後に回収した(表4を参照)。製造者の説明書にしたがってPureLink(商標)Pro 96 RNA Purification kit(Thermo Fisher Scientific)を使用してRNAを抽出し、50μLの水に溶出させた。RNAをその後にDNase/RNase free Water(Gibco)を用いて10倍に希釈し、90℃に1分間加熱した。
【0302】
遺伝子発現解析のために、二重の設定においてqScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用してOne Step RT-qPCRを行った。qPCRのために使用したプライマーアッセイを標的及び内因性対照の両方について表8に整理している。
【0303】
【0304】
SCN9A mRNAの量を各qPCRプレートにおいて含まれる標準曲線に基づいて算出した。標準曲線用のインプットRNAは、(上記のように)同じ細胞プレート上のPBS処理ウェルからのRNAであった。同じウェルにおける内因性対照遺伝子アッセイランについて算出された量(GUSB)に対して量を正規化した。相対標的量=QUANTITY_標的遺伝子(SCN9A)/QUANITY_内因性対照遺伝子(GUSB)。
【0305】
同じプレート上の全てのPBS処理ウェルのメジアンで除算することにより、各ウェルについてRNAノックダウンを算出した。正規化標的量=(相対標的量/[平均]相対標的量]_pbs_wells)*100。
【0306】
表9におけるEC50値を生成するために、4パラメーターシグモイド用量応答モデルを使用して、SCN9Aの正規化標的量からの曲線のフィッティングを行った。
【0307】
【0308】
実施例4:化合物の選択性及び潜在的なオフターゲットプロファイルの試験
選択された化合物(31_1、39_9、及び29_25)を、意図したSCN9A標的以外の標的に影響する傾向について試験した。
【0309】
以下の材料を使用した:
・ Human iCell GlutaNeurons、StemCell Technology GNC-301-030-001、Lot #101442(R1034)
・ RhLaminin-521、Biolamina #LN521、100μg/mL
・ Brainphys Neuronal medium、StemCell Technology #05790
・ iCell Neural Supplement B #M1029
・ iCell Nervous System Supplement #M1031
・ N2 Supplement 100x、Thermo Fisher Scientific #17502-048
・ 24ウェル培養プレート、Costar #3524
・ Engelbreth-Holm-Swarmマウス肉腫基底膜からのラミニン、Sigma #L2020、1mg/mL
・ 処理化合物:31_1,39_9及び29_25、PBS中の5mMストック、+4°C
・ Ca2+/Mg2+を含む10x HBSS、Gibco #14065-049
・ RLT plus Lysis buffer、Qiagen #1053393+1% b-mEtOH、Sigma #M7522
【0310】
製造者のプロトコール(StemCell Technology)にしたがってhuman iCell GlutaNeuronの凍結細胞懸濁液を解凍することによりヒトiPSC由来皮質グルタミン酸作動性ニューロン(hGN)を調製した。新たに解凍した細胞を増殖培地(96mLのBrainPhys Neuronal medium;2mLのiCell Neural Supplement B;1mLのiCell Nervous System Supplement;1mLのN2 Supplement、100x)に再懸濁し、24ウェルプレートに375,000細胞/ウェルの播種密度まで播種した。10μg/mLのLaminin-521と共に400μL/ウェルの1xHBSSを各ウェルに加えることにより24ウェルプレートをラミニンで新たにコーティングし、37℃で4時間インキュベートした。細胞培養条件を表10に要約する。培養の第1週について、50%パーセントの培地を毎日交換した。第1週の後に化合物の添加の開始(14日目)まで、50%の培地を2日毎に交換した。
【0311】
【0312】
14日の細胞培養後に、試験化合物(31_1、39_9及び29_25)を最終濃度3μM及び30μMまで細胞増殖培地に直接的に加えた。これらの濃度は、SK-N-AS細胞中でのSCN9aについてのそれらのEC50値の50及び500倍に概ね対応する。72hのインキュベーション後に、培地を除去し、細胞を600μL/ウェルの1%のb-mEtoH/RLT緩衝液に溶解した後、トータルRNAの単離まで-80℃で貯蔵した。
【0313】
RNAシークエンシング解析:
RNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用してiPSC由来グルタミン酸作動性ニューロンからトータルRNAを単離し、製造者の説明書にしたがってTruSeq Stranded mRNA kit(Illumina)を使用してさらに処理してシークエンシングライブラリーとした。ライブラリーをNovaSeq instrument(Illumina)でシークエンシングした(2×50bp)。遺伝子発現レベルを推定するために、ショートリードアライナーGSNAPの使用によりペアードエンドRNASeqリードをヒトゲノム(hg19)にマッピングした。SAMtoolsバージョン1.5及び特製の自社製ツールを適用することにより、遺伝子の全てのRefSeq転写産物バリアントについてのマッピングされたリードを合わせて遺伝子当たりの単一の値のリード数とした。その後に、rpkm(マッピングされたリードの数/転写産物キロ塩基/100万のシークエンシングされたリード)として表される、Mortazavi et al.(Nat Methods 2008 Jul;5(7):621-8)によるシークエンシングライブラリーサイズ及び遺伝子長によりリード数を正規化した。負の二項回帰モデルを導出して、共変量の包含に伴う潜在的な混乱因子について補正した。差次的遺伝子発現解析についての目的のコントラストは、ビヒクルに対する2つの異なる濃度(3μM及び30μM)における各LNAであった。各条件は4つの複製を有した。DESeq2パッケージ(Love MI,et al.,Genome Biology 2014;15:550 et seq.)を使用してRにおいて実行した。
【0314】
2つの解析を実行した。第1の解析では、0.05の調整(adj.)p値/FDR閾値と共に対照と比較した場合に発現における変化を示す全ての遺伝子を調べた。第2の解析は、オフターゲット候補遺伝子に集中し、該遺伝子は、下方調節(logFC<0かつ調整p値<0.05として定義される)され、かつ(i)結合親和性予測に基づいて予測されるオフターゲット遺伝子の上位1%に入るか、又は(ii)対応するスプライシングされていない転写産物と1つのミスマッチを有するものとして定義した。
【0315】
表11は、両方の解析からの全体的な結果を要約する一方、表12及び表13は、それぞれ第1及び第2の解析からの結果に関するより詳細を示す。データは、化合物31_1及び39_9はSCN9Aノックダウンに非常に選択的であることを示した。3uMにおいて、化合物31_1は0個の候補オフターゲット遺伝子を有した。
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
実施例5:化合物31_1のインビボ試験
この研究の目標は、忍容性を評価すること、及び高フラッシング対低フラッシング体積(髄腔内用量注射後)を比較して、カニクイザル(Macaca fascicularis)の後根神経節(DRG)への化合物31_1の送達を最適化することの他に、いくつかの時点でのDRGにおける薬物動態(PK)及び薬力学(PD)リードアウトを得ることであった。用量レベルは、「適応性」(すなわち、新たな発見に基づいて投薬を変動させ、用量を調整した)に保った。投与の経路は、それは予期されるヒト治療用経路かつDRGへの該化合物の最良の送達を提供し得る経路であることから選んだ。
【0322】
アプローチ
可能な場合には既存の社会群及び層化された体重に基づいて、研究動物を各群に3匹の研究動物を含む群1~6とそれぞれ表される6つの群に割り当てた。
【0323】
動物に化合物31_1の1.0mLの溶液の髄腔内ボーラス注射により投薬を行い、続いて0.5mL/kg体重(群1及び2)又は0.1mL/kg(群3~6)の人工脳脊髄液(aCSF)フラッシュを行った。詳細について、表14を参照。投与の前に、少なくとも0.5mLのCSF(実行可能なおおよその用量体積まで)を収集し、CSF解析のために使用した。
【0324】
群1及び5:投薬相の43日目に最終屠殺。群2、3及び4:投薬相の15日目に最終屠殺。グループ6:投薬相の64日目に最終屠殺。
【0325】
組織収集
屠殺時に、脊髄領域の各レベル(腰部、胸部、頸部)において各側(左、右)から2対のDRGを収集し、全てのDRG試料の正確な重量を記録した。脊髄からは、2つの試料(最大50mg、正確な重量を記録する)を腰部、胸部及び頸部区画から解剖した。脳からは、4つの試料(最大50mg、正確な重量を記録した)を以下の脳領域:前頭皮質、後頭皮質、小脳、海馬のそれぞれから解剖した。適切に標識された2.0mLのPrecellysホモジナイゼーションチューブに全ての試料を入れ、液体窒素中でスナップ冷却し、さらなる分析まで-70℃又はより低い温度で貯蔵した。
【0326】
試料を生化学分析のためにホモジナイズした。全ての組織はPrecellysチューブ中で凍結されたものとして受け取り、800μlの氷冷したCell Disruption Buffer(PARIS Kit、カタログ# AM1921、Ambion、Life Technologies)を各チューブに加えた。試料をPrecellysホモジナイザー(組織種に依存したプログラム)でホモジナイズした。例えば、RNA単離及びhELISAによる曝露分析のために、ホモジネートをアリコートに分割した。
【0327】
hELISAによる曝露分析
材料及び方法
試薬及び材料を表15に示す。ホモジネートを室温(RT)にし、希釈プレートに加える前にボルテックスした。hELISA用の参照標準として、非投薬試料からのホモジネートプールに化合物31_1をスパイクした。スパイクイン濃度は、試料のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)含有量に近くなるように調製した(通常、約10倍以内)。
【0328】
試料を5×SSCT緩衝液に希釈した。希釈係数は、CSF早期時点について5倍(低濃度血漿)から10,000倍の希釈の範囲に及んだ。組織試料を少なくとも10倍に希釈した。試料マトリックス及び希釈係数にマッチする適切な標準をあらゆるプレートにおいて実行した。試料及び標準を所望のセットアップにおいて希釈プレートに加え、希釈系列を作製した。300μLの試料/標準+捕捉検出溶液を第1のウェルに加え、150μLの捕捉検出溶液を残りのウェルに加えた。150μLの液体を逐次的に移すことにより標準及び試料の2倍希釈系列を作製した(6ステップ)。希釈された試料をRTで30分間希釈プレート上でインキュベートした。
【0329】
【0330】
【0331】
次に、100μLの液体を希釈プレートからストレプトアビジンプレートに移した。プレートを穏やかな撹拌(プレートシェーカー)と共にRTで1時間インキュベートした。ウェルを吸引し、300μLの2xSSCT緩衝液を用いて3回洗浄した。各ウェルに、PBST中で1:4000に希釈した100μLの抗DIG-AP(同日に作製)を加え、穏やかな撹拌の下RTで1時間インキュベートした。
【0332】
ウェルを次に吸引し、300μLの2xSSCT緩衝液を用いて3回洗浄した。最後に、100μLの新たに調製した基質(AP)溶液を各ウェルに加えた。
【0333】
穏やかな撹拌を伴う30分のインキュベーションの後に、色反応の強度を615nmで分光光度的に測定した。未加工データをリーダー(Gen5 2.0ソフトウェア)からエクセル形式にエクスポートし、エクセルでさらに解析した。GraphPad Prism 6ソフトウェア及びロジスティック4PL回帰モデルを使用して標準曲線を生成した。データ点を技術的複製の平均値として報告した。
【0334】
結果
高フラッシング体積及び低フラッシング体積の両方は、腰部、頸部及び胸部領域の全てでカニクイザルDRGにおいて化合物31_1の高い曝露を生成したことをデータは示した(
図30)。さらに、右側及び左側DRGで曝露は有意に異ならなかった。低フラッシング体積は、全ての分析した脳領域(前頭皮質、小脳、及び海馬)においてはるかにより低い曝露をもたらした一方、高フラッシング体積は全ての脳領域において高い曝露をもたらした(
図30)。
【0335】
最も高い曝露の測定は、投薬後14日の時点において達成され、C
maxは腰部DRGにおいて1000nMを超えた(
図31)。
【0336】
RNAシークエンシングによる発現解析
製造者のプロトコールにしたがってPARIS Kit(カタログ# AM1921、Ambion、Life Technologies)を使用して組織ホモジネートからRNAを単離した。
【0337】
リボソーム枯渇プロトコールを使用してシークエンシングを行い、2000万のペアードエンド(PE)リード(2×101bp)を得る。ショートリード(リード<50ヌクレオチド)及びQ30より低い品質の除去を含む品質評価後にデータ解析を行う。PEリードをカニクイザルゲノム(参照配列Macaca_fascicularis_5.0(macFas5);UCSCゲノムブラウザからダウンロード可能)にマッピングし、ソフトウェアCLC Genomic Workbenchバージョン20を使用して遺伝子発現解析を行う。
【0338】
生理食塩水処置動物におけるSCN9Aの発現と発現が相関する遺伝子のセットが先行研究において見出されている。この遺伝子のセットは「HK遺伝子」と表され、各HK遺伝子の発現及びSCN9Aの発現の間のピアソン相関は0.95より高い。生理食塩水処置動物におけるHK遺伝子の幾何平均を算出し、GM
HKにより表す。各試料において、GM
HKを使用して、以下の式(式I)(X
生理食塩水は生理食塩水処置動物におけるSCN9Aの発現である)によりSCN9Aの発現(X)を正規化する。
【数1】
【0339】
腰部DRGにおける高い曝露の測定及び化合物の効力を考慮すれば、標的の効率的な阻害を予期することができる。
【0340】
【0341】
【0342】
【0343】
【配列表】