(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】少なくとも2つのビアと接続されたコンデンサを備える多層フィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20230530BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
H03H7/01 A
H03H7/01 Z
H01L23/12 B
(21)【出願番号】P 2021535602
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2019067361
(87)【国際公開番号】W WO2020132179
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-16
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,クワン
(72)【発明者】
【氏名】ベロリーニ,マリアンヌ
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-057277(JP,A)
【文献】特開平07-202615(JP,A)
【文献】特開平11-261362(JP,A)
【文献】特開2011-018756(JP,A)
【文献】特開2013-187540(JP,A)
【文献】特開2010-114899(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150881(WO,A1)
【文献】特開2005-080248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H03H1/00-H03H3/00
H03H5/00-H03H7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルタであって、
第1の方向および第2の方向の各々に垂直なZ方向において積層された複数の誘電体層であって、前記第1の方向は前記第2の方向に垂直である、複数の誘電体層と、
前記複数の誘電体層のうちの1つの上に重なる第1の導電層と、
前記複数の誘電体層のうちの別のものの上に重なり、前記Z方向において前記第1の導電層から離間された、第2の導電層と、
第1のロケーションにおいて前記第2の導電層と接続された第1のビアと、
前記第1の方向において前記第1のロケーションから離間された第2のロケーションにおいて前記第2の導電層と接続された第2のビアと、
を備え、
前記第1の導電層は、重複エリアにおいて、前記第1の方向および前記第2の方向の各々において前記第2の導電層の上に重なり、コンデンサを形成し、前記第2の導電層には、前記第1の方向および前記第2の方向の各々において前記重複エリアに交差するビア接続部がな
く、
前記第1のビアおよび前記第2のビアは、前記第2の方向においてそれぞれの幅を有し、前記第2の導電層は、前記第2の方向において、前記重複エリアの縁部の幅は、前記第1のビアまたは前記第2のビアのうちの少なくとも一方の幅未満の幅を有する、多層フィルタ。
【請求項2】
前記第1の導電層には、前記第1の方向および前記第2の方向の各々において前記重複エリアに交差するビア接続部がない、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項3】
前記重複エリア
の全体は、前記第1の方向において
、前記第1のロケーションと前記第2のロケーションとの間に位置する、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項4】
前記重複エリアは、前記第1の方向において、前記第1のロケーションおよび前記第2のロケーションの各々から少なくと
も10マイクロメートル(10ミクロン)離間される、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項5】
前記第1のロケーションおよび前記第2のロケーションは、前記第1の方向において間隔距離だけ離間され、前記第1の導電層は、前記重複エリアにおいて、前記第1の方向において、前記間隔距離以下の幅を有する、請求項4に記載の多層フィルタ。
【請求項6】
前記第2の導電層は、第1の端部と第2の端部との間で前記第1の方向に細長く、前記第1のロケーションは前記第1の端部内に位置し、前記第2のロケーションは前記第2の端部内に位置する、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項7】
前記第2の導電層は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に接続された中央部分を有し、前記中央部分の少なくとも一部分が前記重複エリア内に位置する、請求項6に記載の多層フィルタ。
【請求項8】
前記第1の端部または前記第2の端部のうちの少なくとも一方は、前記第2の方向において、前記重複エリアにおける前記第2の方向における前記中央部分の幅よりも大きい幅を有する、請求項7に記載の多層フィルタ。
【請求項9】
前記第2の方向において、前記第1のロケーションは、前記第2のロケーション
と位置合わせされる、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項10】
前記重複エリア
は0.5mm
2未満である、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項11】
前記多層フィルタは
、6GHzよりも大きい特性周波数を有する、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項12】
前記特性周波数は、ローパス周波数、ハイパス周波数、またはバンドパス周波数の上限のうちの少なくとも1つを含む、請求項1
1に記載の多層フィルタ。
【請求項13】
前記第2の導電層および前記第1の導電層は、前記Z方向において
、500マイクロメートル(500ミクロン)未満だけ離間される、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項14】
グラウンドプレーンと、前記第1の導電層または前記第2の導電層のうちの少なくとも一方を前記グラウンドプレーンに電気的に接続するビアとを更に備える、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項15】
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配設された誘電材料を備え、前記誘電材料は、25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従っ
て5~8の範囲をとる誘電率を有する、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項16】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従っ
て1~4の範囲をとる誘電率を有する更なる誘電材料を更に備える、請求項1
5に記載の多層フィルタ。
【請求項17】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って決定され
た100未満の誘電率を有する誘電材料を更に備える、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項18】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って決定され
た100よりも大きい誘電率を有する誘電材料を更に備える、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項19】
エポキシを備える誘電材料を更に備える、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項20】
有機誘電材料を更に備える、請求項1に記載の多層フィルタ。
【請求項21】
前記有機誘電材料は、液晶ポリマーまたはポリフェニルエーテルのうちの少なくとも一方を含む、請求項
20に記載の多層フィルタ。
【請求項22】
周波数多層フィルタを形成する方法であって、
複数の誘電体層を設けるステップと、
前記複数の誘電体層のうちの1つの上に重なる第1の導電層を形成するステップと、
前記複数の誘電体層のうちの別のものの上に重なり、Z方向において前記第1の導電層から離間された、第2の導電層を形成するステップと、
第1のロケーションにおいて前記第2の導電層と接続された第1のビアと、第1の方向において前記第1のロケーションから離間された第2のロケーションにおいて前記第2の導電層と接続された第2のビアとを形成するステップと、
前記第1の導電層が、重複エリアにおいて、前記第1の方向および第2の方向の各々において前記第2の導電層の上に重なり、コンデンサを形成するように、前記複数の誘電体層を積層するステップであって、前記重複エリアの少なくとも一部分は、前記第1の方向において、前記第1のロケーションと前記第2のロケーションとの間に位置し、前記第2の導電層には、前記第1の方向および前記第2の方向の各々において前記重複エリアに交差するビア接続部がない、ステップと、
を含
み、
前記第1のビアおよび前記第2のビアは、前記第2の方向においてそれぞれの幅を有し、前記第2の導電層は、前記第2の方向において、前記重複エリアの縁部の幅は、前記第1のビアまたは前記第2のビアのうちの少なくとも一方の幅未満の幅を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される、2018年12月20日の出願日を有する米国仮特許出願第62/782,488号の出願日の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
電気フィルタは、多くの機能を実行し、多岐にわたる電気デバイスにおいて用いられる。多層フィルタは、場合によっては、非常に低い容量値を提供するように設計された1つまたは複数のコンデンサを備える。例えば、そのようなコンデンサは、高周波数無線信号通信等の高周波数信号のフィルタリングに有用とすることができる。無線接続性のためのデータ送信速度の増大に対する需要により、5Gスペクトル周波数を含む高周波数で動作するように構成されたものを含む高周波数コンポーネントに対する需要が駆り立てられた。
【0003】
低容量値を得ることは、より小さな容量性エリアを有するコンデンサを必要とする。加えて、コンデンサは、特に、高周波数において、多層フィルタの性能に負の影響を及ぼす可能性がある寄生インダクタンスを呈する場合がある。したがって、小さな容量性エリアおよび/または低インダクタンスを有するコンデンサを備える多層フィルタが当該技術分野において求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の1つの実施形態によれば、多層フィルタが、第1の方向および第2の方向の各々に垂直なZ方向において積層された複数の誘電体層を含むことができる。第1の方向は第2の方向に垂直である。第1の導電層は、複数の誘電体層のうちの1つの上に重なることができ、第2の導電層は、複数の誘電体層のうちの別のものの上に重なり、Z方向において第1の導電層から離間させることができる。第1のビアは、第1のロケーションにおいて第2の導電層と接続することができる。第2のビアは、第1の方向において第1のロケーションから離間された第2のロケーションにおいて第2の導電層と接続することができる。第1の導電層は、重複エリアにおいて、第1の方向および第2の方向の各々において第2の導電層の上に重なり、コンデンサを形成することができる。重複エリアの少なくとも一部分は、第1の方向において、第1のロケーションと第2のロケーションとの間に位置することができる。第2の導電層には、第1の方向および第2の方向の各々において重複エリアに交差するビア接続部(via connection)をなくすことができる。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、多層フィルタを形成する方法が、複数の誘電体層を設けることと、複数の誘電体層のうちの1つの上に重なる第1の導電層を形成することと、複数の誘電体層のうちの別のものの上に重なり、Z方向において第1の導電層から離間された、第2の導電層を形成することとを含むことができる。方法は、第1のロケーションにおいて第2の導電層と接続された第1のビアと、第1の方向において第1のロケーションから離間された第2のロケーションにおいて第2の導電層と接続された第2のビアとを形成することを含むことができる。方法は、第1の導電層が、重複エリアにおいて、第1の方向および第2の方向の各々において第2の導電層の上に重なり、コンデンサを形成するように、複数の誘電体層を積層することを含むことができる。重複エリアの少なくとも一部分は、第1の方向において、第1のロケーションと第2のロケーションとの間に位置することができる。第2の導電層には、第1の方向および第2の方向の各々において重複エリアに交差するビア接続部をなくすことができる。
【0006】
当業者に対する、本開示の十分で実施可能な開示は、その最良の実施態様を含めて、添付の図面を参照しながら本明細書の残りの部分において、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の態様によるバンドパスフィルタの簡単な概略図である。
【
図2】本開示の態様による別のバンドパスフィルタの簡単な概略図である。
【
図3A】本開示の態様による例示的なバンドパスフィルタの斜視図である。
【
図3B】本開示の態様による例示的なバンドパスフィルタの斜視図である。
【
図4A】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図4B】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図4C】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図4D】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図4E】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図6A】本開示の態様による多層フィルタの別の実施形態の斜視図である。
【
図6B】本開示の態様による多層フィルタの別の実施形態の斜視図である。
【
図7A】
図8Aおよび
図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図7B】
図8Aおよび
図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図7C】
図8Aおよび
図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図7D】
図8Aおよび
図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図8A】本開示の態様による多層フィルタの別の実施形態の斜視図である。
【
図9A】
図8Aおよび
図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図9B】
図8Aおよび
図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図9C】
図8Aおよび
図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図9D】
図8Aおよび
図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
【
図10A】本開示の態様による多層フィルタの別の実施形態の斜視図である。
【
図12】本開示の態様による、構築されたフィルタの測定された挿入損失(insertion loss)およびリターン損失(return loss)の値を含む試験データのプロットである。
【
図13】本開示の態様による、構築されたフィルタの測定された挿入損失およびリターン損失の値を含む試験データのプロットである。
【
図14】本開示の態様による、構築されたフィルタの測定された挿入損失およびリターン損失の値を含む試験データのプロットである。
【
図15】本開示の態様による、フィルタのコンピュータ分析からの挿入損失およびリターン損失の値を含むシミュレーションデータのプロットである。
【
図16】本開示の態様による、フィルタのコンピュータ分析からの挿入損失およびリターン損失の値を含むシミュレーションデータのプロットである。
【
図17】本開示の態様による、フィルタのコンピュータ分析からの挿入損失およびリターン損失の値を含むシミュレーションデータのプロットである。
【
図18】本開示の態様による、フィルタを含む試験アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および図面における参照符号の繰り返しの使用は、本開示の同じまたは類似の特徴または要素を表すことが意図される。
本考察は例示的な実施形態の説明にすぎず、本開示のより広い態様を限定することは意図されていないことが当業者には理解されるべきであり、このより広い態様は例示的な構造において具体化される。
【0009】
概して言えば、本開示は、コンデンサのインダクタンスを最小限にし、かつ/または、コンデンサが非常に小さな容量性エリアを有することを可能にするように配列されたビアの対と接続されたコンデンサを備える多層フィルタを対象とする。多層フィルタは、Z方向において積層された複数の誘電体層を含むことができる。第1の導電層は、複数の誘電体層のうちの1つの上に重なることができ、第2の導電層は、複数の誘電体層のうちの別のものの上に重なり、Z方向において第1の導電層から離間させることができる。Z方向は、第1の方向(例えば、X方向)および第2の方向(例えば、Y方向)の各々に垂直である。
【0010】
第1のビアは、第1のロケーションにおいて第2の導電層と接続することができる。第2ビアは、第1の方向(例えばX方向)において第1のロケーションから離間された第2のロケーションにおいて第2の導電層と接続することができる。
【0011】
第2の導電層は、重複エリアにおいて、第1の方向(例えばX方向)および第2の方向(例えばY方向)の各々において第1の導電層の上に重なり、コンデンサを形成することができる。重複エリアの少なくとも一部分は、第1の方向(例えば、X方向)において、第1のロケーションと第2のロケーションとの間に位置することができる。
【0012】
ビアの対の配置により、第2の導電層にわたる電圧を低減させることができ、この結果、低インダクタンスを呈するコンデンサをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、第2の導電層には、容量性エリア内のビアをなくすことができる。これにより、重複エリアの近くでのメタライゼーションを低減し、かつ/または容量性エリアがそうでない場合に可能であるよりも小さくなる(例えば、ビアの幅よりも小さくなる)ことを可能にすることによって、コンデンサの容量を低減することができる。
【0013】
多層フィルタは1つまたは複数の誘電材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の誘電材料は低い誘電率を有することができる。誘電率は、約100未満、いくつかの実施形態では約75未満、いくつかの実施形態では約50未満、いくつかの実施形態では約25未満、いくつかの実施形態では約15未満、およびいくつかの実施形態では約5未満とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、誘電率は、約1.5~100、いくつかの実施形態では約1.5~約75、およびいくつかの実施形態では約2~約8の範囲をとることができる。誘電率は、25℃の動作温度および1MHzの周波数においてIPC TM-650 2.5.5.3に従って決定することができる。誘電正接は、約0.001~約0.04、いくつかの実施形態では約0.0015~約0.0025の範囲をとることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の誘電材料は、有機誘電材料を含むことができる。例示的な有機誘電体は、PolycladのLD621およびPark/Nelco CorporationのN6000シリーズ等のポリフェニルエーテル(PPE)をベースとする材料、Rogers CorporationまたはW.L.Gore&Associates,Inc.の液晶ポリマー(LCP)等のLCP、Rogers Corporationの400シリーズ等の炭化水素複合体、ならびにPark/Nelco Corp.のN4000シリーズ等のエポキシ系積層体を含む。例えば、例は、エポキシ系N4000-13、LCPに積層された臭素を用いない材料、高K材料を有する有機層、未充填高K有機層、Rogers4350、Rogers4003材料、ならびに、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、およびグラフト樹脂等の他の熱可塑性材料、または類似の低誘電率で低損失の有機材料を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、誘電材料は、セラミック充填エポキシとすることができる。例えば、誘電材料は、ポリマー(例えば、エポキシ)等の有機化合物を含むことができ、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化亜鉛、低火度ガラス付きのアルミナ、または他の適当なセラミックもしくはガラス接着材料等のセラミック誘電材料の粒子を含有することができる。
【0016】
しかしながら、N6000、エポキシ系N4000-13、LCPに積層された臭素を用いない材料、高K材料を有する有機層、未充填高K有機層、(Rogers Corporationの)Rogers4350、Rogers4003材料、ならびに、炭化水素、テフロン、FR4、エポキシ、ポリアミド、ポリイミド、およびアクリレート、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、BT樹脂化合物(例えば、Speedboard C)、熱硬化性樹脂(例えば、Hitachi MCL-LX-67F)、およびグラフト樹脂等の他の熱可撓性材料、または類似の低誘電率で低損失の有機材料を含む他の材料が利用されてもよい。
【0017】
加えて、いくつかの実施形態では、限定ではないが、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化亜鉛、低火度ガラス付きのアルミナ等の、セラミック、半導体もしくは絶縁材料、または他の適切なセラミックまたはガラス接着材料を含む非有機誘電材料を用いることができる。代替的に、誘電材料は、回路基板材料して一般的なエポキシ(セラミック混合有りまたはなし、グラスファイバー有りまたはなし)等の有機化合物、または誘電体として普及している他のプラスチック等の有機化合物であってもよい。これらの場合、導体は、通例、パターンを提供するように化学的にエッチングされた銅箔である。また更なる実施形態において、誘電材料は、NPO(COG)、X7R、X5R X7S、Z5U、Y5Vおよびチタン酸ストロンチウムのうちの1つ等の比較的高誘電率(K)を有する材料を含むことができる。そのような例において、誘電材料は、100を超える、例えば、約100~約4000の範囲内の、いくつかの実施形態では、約1000~約3000の範囲内の誘電率を有することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、多層フィルタは、入力および出力を有する信号経路を含むことができる。信号経路は、誘電体層のうちの1つまたは複数の上に重なる1つまたは複数の導電層を含むことができる。導電層は、多岐にわたる導電材料を含むことができる。例えば、導電層は、銅、ニッケル、金、銀、または他の金属もしくは合金を含むことができる。導電層は、それぞれの誘電体層の上に直接形成することができる。代替的に、1つまたは複数の中間層またはコーティングは、導電層とそれぞれの誘電体層との間に配置することができる。本明細書において用いられるとき、「上に形成される」とは、誘電体層上に直接形成された導電層、または間に中間層もしくはコーティングを有して誘電体層の上に重なる導電層を指すことができる。
【0019】
導電層は、多岐にわたる適切な技法を用いて形成することができる。サブトラクティブ、セミアディティブ、またはフルアディティブプロセスを、導電性材料のパネルまたはパターン電気めっきと共に用い、その後プリントおよびエッチングステップを行って、パターニングされた導電層を定義することができる。フォトリソグラフィ、めっき(例えば、電解めっき)、スパッタリング、真空蒸着、プリント、または他の技法を用いて、導電層を形成することができる。例えば、導電性材料の薄い層(例えば、箔)を、誘電体層の表面に接着(例えば、積層)することができる。導電性材料の薄い層を、マスクおよびフォトリソグラフィを用いて選択的にエッチングして、誘電材料の表面上の導電性材料の所望のパターンを生成することができる。
【0020】
有限分解または特徴サイズは、用いられる特定のプロセスにかかわらず達成可能である。「最小線幅」は、用いられる1つまたは複数のプロセスの最小の正確に製造可能な特徴サイズとして定義することができる。いくつかの実施形態では、最小線幅は、約100マイクロメートル(100ミクロン)以下、いくつかの実施形態では約75マイクロメートル(75ミクロン)以下、およびいくつかの実施形態では約50マイクロメートル(50ミクロン)以下とすることができる。「最小面積ユニット」は、最小線幅の二乗として定義することができる。最小面積ユニットは、約0.01mm2以下、いくつかの実施形態では約0.0052mm2以下、およびいくつかの実施形態では約0.0026mm2以下とすることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、多層フィルタは、誘電体層のうちの1つまたは複数に形成される1つまたは複数のビアを含むことができる。例えば、ビアは、1つの誘電体層上の導電層を、別の誘電体層上の導電層に電気的に接続することができる。ビアは、銅、ニッケル、金、銀、または他の金属もしくは合金等の多岐にわたる導電性材料を含むことができる。ビアは、貫通孔をドリル加工(例えば、機械的ドリル加工、レーザードリル加工)し、例えば、無電気めっきまたは銅シードを用いて貫通孔に導電性材料をめっきすることによって形成することができる。ビアを導電性材料で充填し、導電性材料の堅柱(solid column)が形成されるようにすることができる。代替的に、貫通孔の内面は、ビアが中空となるようにめっきすることができる。ビアは、Z方向において、約180マイクロメートル(180ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約80マイクロメートル(80ミクロン)未満の長さを有することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、誘電体層のうちの少なくともいくつかは、約180マイクロメートル(180ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約120マイクロメートル(120ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約80マイクロメートル(80ミクロン)未満、いくつかの実施形態では60マイクロメートル(60ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約50マイクロメートル(50ミクロン)、いくつかの実施形態では約40マイクロメートル(40ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約30マイクロメートル(30ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約20マイクロメートル(20ミクロン)未満の厚みを有することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、多層フィルタは、高周波数における動作のために構成することができる。多層フィルタは、6GHzよりも高い特性周波数(例えば、ローパス周波数、ハイパス周波数、バンドパス周波数の上限、またはバンドパス周波数の下限)を有することができる。いくつかの実施形態では、フィルタは、約6GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約10GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約15GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約20GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約25GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約30GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約35GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約40GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約45GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約50GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約60GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約70GHzよりも高い、およびいくつかの実施形態では約80GHzよりも高い特性周波数を有することができる。
【0024】
多層フィルタは、多層フィルタのパスバンド周波数範囲内の周波数についての低い挿入損失等の優れた性能特性を呈することができる。例えば、パスバンド周波数範囲内の周波数についての平均挿入損失は、-15dBよりも大きく、いくつかの実施形態では-10dBよりも大きく、いくつかの実施形態では-5dBよりも大きく、いくつかの実施形態では-2.5dB以上よりも大きくすることができる。
【0025】
加えて、多層フィルタは、パスバンド周波数範囲外の優れた周波数拒絶を呈することができる。いくつかの実施形態では、パスバンド周波数範囲外の周波数についての挿入損失は、約-15dB未満、いくつかの実施形態では約-25dB未満、いくつかの実施形態では約-35dB未満、およびいくつかの実施形態では約-40dB未満とすることができる。
【0026】
加えて、多層フィルタは、パスバンド周波数範囲からパスバンド外の周波数への急なロールオフを呈することができる。例えば、パスバンド周波数範囲のすぐ外側の周波数について、挿入損失は、約0.1dB/MHz、いくつかの実施形態では、約0.2dB/MHzよりも高い、いくつかの実施形態では約0.3dB/MHzも高い、およびいくつかの実施形態では約0.4dB/MHzよりも高い比率で減少することができる。
【0027】
多層フィルタは、広範にわたる温度にわたって一定した性能特性(例えば、挿入損失、リターン損失等)を呈することもできる。いくつかの実施形態では、多層フィルタの挿入損失は、大きな温度範囲にわたって5dB以下未満で変動することができる。例えば、多層フィルタは、約25℃で、第1の周波数において第1の挿入損失を呈することができる。多層フィルタは、第2の温度で、概ね第1の周波数において第2の挿入損失を呈することができる。第1の温度と第2の温度との間の温度差は、約70℃以上、いくつかの実施形態では約60℃以上、いくつかの実施形態では約50℃以上、いくつかの実施形態では約30℃以上、およびいくつかの実施形態では約20℃以上とすることができる。例として、第1の温度は25℃とすることができ、第2の温度は85℃とすることができる。別の例として、第1の温度は25℃とすることができ、第2の温度は-55℃とすることができる。第2の挿入損失と第1の挿入損失との差は、約5dB以下、いくつかの実施形態では約2dB以下、いくつかの実施形態では約1dB以下、いくつかの実施形態では、約0.75dB以下、いくつかの実施形態では約0.5dB以下、およびいくつかの実施形態では、約0.2dB以下とすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、多層フィルタは、約0.5mm~約30mm、いくつかの実施形態では約1mm~約15mm、およびいくつかの実施形態では約2mm~約8mmの範囲をとる全体長さを有することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、多層フィルタは、約0.2mm~約20mm、いくつかの実施形態では約0.5mm~約15mm、いくつかの実施形態では約1mm~約10mm、およびいくつかの実施形態では約2mm~約8mmの範囲をとる全体幅を有することができる。
【0030】
多層フィルタは、全体的に、低プロファイルまたは薄型とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルタは、約100マイクロメートル(100ミクロン)~約2mm、いくつかの実施形態では約150マイクロメートル(150ミクロン)~約1mm、およびいくつかの実施形態では約200マイクロメートル(200ミクロン)~約300マイクロメートル(300ミクロン)の範囲をとる全体厚みを有することができる。
【0031】
用いられる特定の構成にかかわらず、本発明者らは、コンデンサを形成する導電層の形状および構成に対する選択的制御を通じて、低インダクタンスおよび/または低容量コンデンサを達成することができることを発見した。より詳細には、重複エリアまたは容量性エリアは、導電層間に形成することができる。ビアの対を導電層のうちの1つと接続し、重複エリアの各側に配置することができ、これにより、導電層にわたる電圧差を低減または防止することができる。コンデンサと関連付けられた寄生インダクタンスを低減することができる。加えて、いくつかの実施形態では、重複エリアには、ビアとの接続をなくすことができ、これにより、重複エリアを非常に小さくすることを可能にすることができる。例えば、重複エリアは、ビアのうちの1つまたは複数の幅よりも小さい幅を有することができる。結果として、コンデンサは非常に低い容量を呈することができる。
【0032】
コンデンサは、導電層が形成される誘電体層間の小さな相対的ずれの影響を受けにくくすることができる。したがって、コンデンサは、「自己整合」していると記述することができる。例えば、第1の導電層は、第1の方向に細長くすることができ、第2のコンデンサの縁部が第1の方向において重複エリアの境界をなすように第2の導電層の上に重なることができる。第1の導電層の縁部は、第1の方向に垂直な第2の方向において、重複エリアの境界をなすことができる。
【0033】
重複エリアの少なくとも一部分は、X方向において、第1のビアの第1のロケーションと、第2のビアの第2のロケーションとの間に位置することができる。いくつかの実施形態では、重複エリアは、X方向において、完全に第1のロケーションと第2のロケーションとの間に位置することができる。
【0034】
第1のロケーションおよび第2のロケーションは、第1の方向(例えば、X方向)において間隔距離だけ離間させることができる。間隔距離は、約20マイクロメートル(20ミクロン)~約2mm以上、いくつかの実施形態では約50マイクロメートル(50ミクロン)~約1mm、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)~800マイクロメートル(800ミクロン)、いくつかの実施形態では約200マイクロメートル(200ミクロン)~約600マイクロメートル(600ミクロン)の範囲をとることができ、例えば約400マイクロメートル(400ミクロン)とすることができる。
【0035】
第1のロケーションおよび第2のロケーションは、第2の方向(例えばY方向)において概ね位置合わせすることができる。例えば、第1のビアの第1のロケーションは、第2の方向(例えばY方向)において、約200マイクロメートル(200ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約50マイクロメートル(50ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約20マイクロメートル(20ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約5マイクロメートル(5ミクロン)で第2のビアの第2のロケーションと位置合わせすることができる。
【0036】
第1の導電層は、第1の方向(例えばX方向)において重複エリアにおける幅を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の導電層の幅は間隔距離以下とすることができる。第1の方向(例えばX方向)における第1の導電層の幅は、約25マイクロメートル(25ミクロン)~約1mm、いくつかの実施形態では約50マイクロメートル(50ミクロン)~約800マイクロメートル(800ミクロン)、いくつかの実施形態では約75マイクロメートル(75ミクロン)~約600マイクロメートル(600ミクロン)、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)~約300マイクロメートル(300ミクロン)の範囲をとることができ、例えば約200マイクロメートル(200ミクロン)とすることができる。
【0037】
第2の導電層には、X-Y平面において重複エリアに交差するビア接続部をなくすことができる。いくつかの実施形態では、第1の導電層および第2の導電層の各々には、X方向およびY方向と平行なX-Y平面において重複エリアに交差するビア接続部をなくすことができる。
【0038】
第2の導電層は、第1の端部と第2の端部との間で第1の方向(例えばX方向)に細長くすることができる。第1のロケーションは、第1の端部内に配置することができ、第2のロケーションは、第2の端部内に配置することができる。いくつかの実施形態では、第2の導電層は、第1の端部と第2の端部との間に接続された中央部分を有することができる。中央部分は、第2の方向(例えば、Y方向)に幅を有することができる。中央部分の幅は、約10マイクロメートル(10ミクロン)~約1mm、いくつかの実施形態では約20マイクロメートル(20ミクロン)~約800マイクロメートル(800ミクロン)、いくつかの実施形態では約30マイクロメートル(30ミクロン)~約400マイクロメートル(400ミクロン)、いくつかの実施形態では約40マイクロメートル(40ミクロン)~約200マイクロメートル(200ミクロン)の範囲をとることができ、例えば約50マイクロメートル(50ミクロン)とすることができる。いくつかの実施形態では、中央部分は、単一の「最小線幅」に等しい幅を有することができる。上述したように、最小線幅は、導電層を形成するために用いられる1つまたは複数のプロセスの最小の正確に製造可能な特徴サイズとすることができる。
【0039】
第1の端部または第2の端部のうちの少なくとも一方は、Y方向において、中央部分の幅よりも大きい幅を有することができる。これは、ビアと端部との接続を容易にすることができる。そのような構成は、重複エリアが、Y方向において、一方または双方のビアの幅未満の幅を有することを可能にすることができる。
【0040】
ビアは、X-Y平面において、約20マイクロメートル(20ミクロン)~約500マイクロメートル(500ミクロン)、いくつかの実施形態では約30マイクロメートル(30ミクロン)~約300マイクロメートル(300ミクロン)、いくつかの実施形態では50マイクロメートル(50ミクロン)~約150マイクロメートル(150ミクロン)の範囲をとる幅を有することができる。ビアは、Z方向において、約180マイクロメートル(180ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約80マイクロメートル(80ミクロン)未満の長さを有することができる。
【0041】
コンデンサは、コンデンサの電極間の小さな重複エリア(例えば容量性エリア)を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンデンサの容量性エリアは、約0.5平方ミリメートル(mm2)未満、いくつかの実施形態では約0.3mm2未満、いくつかの実施形態では約0.2mm2未満、いくつかの実施形態では約0.1mm2未満、いくつかの実施形態では約0.07mm2未満、いくつかの実施形態では約0.05mm2未満、いくつかの実施形態では約0.03mm2未満、いくつかの実施形態では約0.02mm2未満、およびいくつかの実施形態では約0.015mm2未満とすることができる。いくつかの実施形態では、容量性エリアは、約35最小面積ユニット未満、いくつかの実施形態では約20最小面積ユニット未満、いくつかの実施形態では約8最小面積ユニット未満、いくつかの実施形態では約5最小面積ユニット未満、いくつかの実施形態では約4最小面積ユニット未満、およびいくつかの実施形態では約2最小面積ユニット以下とすることができる。
【0042】
重複エリアは、比較的高いアスペクト比を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、(例えばX方向における)重複エリアの長さと、(例えばY方向における)重複エリアの幅の比は、約1.5よりも大きく、いくつかの実施形態では約2よりも大きく、いくつかの実施形態では約3よりも大きく、例えば約4とすることができる。
【0043】
重複エリアは、第1の方向(例えばX方向)において、第1のビアの第1のロケーションおよび/または第2のビアの第2のロケーションから離間させることができる。例えば、重複エリアは、第1の方向(例えばX方向)において第1の距離だけ第1のロケーションから離間させ、第1の方向(例えばX方向)において第2の距離だけ第2のロケーションから離間させることができる。第1の距離および第2の距離のうちの一方または双方は、約10マイクロメートル(10ミクロン)よりも大きく、いくつかの実施形態では約20マイクロメートル(20ミクロン)よりも大きく、いくつかの実施形態では約30マイクロメートル(30ミクロン)よりも大きく、いくつかの実施形態では約40マイクロメートル(40ミクロン)よりも大きく、いくつかの実施形態では約50マイクロメートル(50ミクロン)よりも大きく、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)よりも大きく、いくつかの実施形態では約200マイクロメートル(200ミクロン)よりも大きく、いくつかの実施形態では約400マイクロメートル(400ミクロン)よりも大きくすることができる。
【0044】
第1の導電層および第2の導電層は、Z方向において、約500マイクロメートル(500ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約400マイクロメートル(400ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約300マイクロメートル(300ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約200マイクロメートル(200ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約50マイクロメートル(50ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約40マイクロメートル(40ミクロン)未満(例えば約20マイクロメートル(20ミクロン))だけ離間させることができる。
【0045】
フィルタは、コンデンサの電極間で第1の誘電材料の第1の層を含むことができる。第1の誘電材料は、フィルタの別の層の第2の誘電材料と別個にすることができる。例えば、電極間の第1の誘電材料は、セラミック充填エポキシを含むことができる。第1の誘電材料は、約5~約9、いくつかの実施形態では約6~約8の範囲をとる誘電率を有することができる。第2の誘電材料は、例えば、上記で説明したように有機誘電材料を含むことができる。第2の誘電材料は、約1~約5、いくつかの実施形態では約2~約4の範囲をとる誘電率を有することができる。
I.多層フィルタ
図1は、本開示の態様による高周波数多層フィルタ100の簡略化された概略図である。フィルタ100は、1つまたは複数のインダクタ102、104、106と、1つまたは複数のコンデンサ108、110、112とを備えることができる。入力電圧(
図1においてV
iによって表される)を、フィルタ100に入力することができ、出力電圧(
図1においてV
oによって表される)をフィルタ100によって出力することができる。バンドパスフィルタ100は、パスバンド周波数範囲内の周波数が実質的に影響を受けずにフィルタ100を透過することを可能にしながら、低周波数および高周波数を大幅に低減することができる。上記で説明した簡単なフィルタ100は、バンドパスフィルタの簡単な例にすぎず、本開示の態様を、より複雑なバンドパスフィルタに適用することができることを理解されたい。加えて、本開示の態様は、例えば、ローパスフィルタまたはハイパスフィルタを含む他のタイプのフィルタに適用されてもよい。
【0046】
図2は、本開示の態様によるバンドパスフィルタ200の例示的な実施形態の概略図である。フィルタ200の入力202と出力204との間に信号経路201を定義することができる。フィルタ200の入力202とグラウンド206との間で入力電圧(
図1においてV
iによって表される)をフィルタ200に入力することができる。出力204とグラウンド206との間で出力電圧(
図1においてV
oによって表される)をフィルタ200によって出力することができる。
【0047】
フィルタ200は、互いに並列に電気的に接続された第1のインダクタ208および第1のコンデンサ210を備えることができる。第1のインダクタ208および第1のコンデンサ210は、信号経路201とグラウンド206との間に電気的に接続することができる。フィルタ200は、互いに並列に電気的に接続された第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214を備えることができる。第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214は、信号経路201と直列に接続することができる(例えば、信号経路201の一部分を形成することができる)。フィルタ200は、互いに並列に電気的に接続された第3のインダクタ210および第3のコンデンサ214を備えることができる。第3のインダクタ210および第3のコンデンサ214は、信号経路201とグラウンド206との間に電気的に接続することができる。第3のインダクタ210および第3のコンデンサ214は、信号経路201と直列に接続することができる(例えば、信号経路201の一部分を形成することができる)。フィルタ200は、互いに並列に電気的に接続された第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222を備えることができる。第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222は、信号経路201とグラウンド206との間に電気的に接続することができる。
【0048】
インダクタ208、212、216、220のインダクタンス値、およびコンデンサ210、214、218、222の容量値を選択して、バンドパスフィルタ200の所望のバンドパス周波数範囲を生成することができる。バンドパスフィルタ200は、パスバンド周波数範囲内の周波数が実質的に影響を受けずにフィルタ200を透過することを可能にしながら、パスバンド周波数範囲外の周波数を大幅に低減することができる。
【0049】
図3Aおよび
図3Bは、本開示の態様による例示的なバンドパスフィルタ300の斜視図である。
図3Cは、
図3Aおよび
図3Bのフィルタ300の側面図である。
図3A~
図3Cを参照すると、バンドパスフィルタ300は、複数の誘電体層(明確にするために透明)を備えることができる。
図3Cを参照すると、第1の誘電体層304、第2の誘電体層306、および第3の誘電体層308を積層して、一体構造を形成することができる。フィルタ300は、プリント回路基板等の実装表面(mouting surface)302に実装することができる。導電層303、305、307、309は、誘電体層304、306、308上に形成することができる。導電層303は、第1の誘電体層304の底面に形成することができる。導電層305、307は、第2の誘電体層306のそれぞれ上面および底面に形成することができる。グラウンドは、フィルタ300の底面(導電層303の底面)に沿って露出および/または終端するグラウンドプレーン312を含むことができる。実装表面は、グラウンドプレーン312と接続するための1つまたは複数の端子310を含むことができる。
【0050】
図4A~
図4Eは、フィルタ300の一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。より詳細には、
図4Aは、実装表面302および第1の導電層303を示す。
図4Bは、第1の誘電体層304の底面に形成されたグラウンドプレーン312を示す。
図4Cは、第1の誘電体層304の上面に形成された導電層305を更に示す。
図4Dは、第2の誘電体層306上に形成された導電層307を更に示す。
図4Eは、第3の層308上に形成された導電層309を示す。誘電体層304、306、308は、様々なパターニングされた導電層303、305、307、309の相対的再配置を示すために透明である。
【0051】
バンドパスフィルタ300は、入力318および出力320を有する信号経路316を備えることができる。信号経路316は、入力318および出力320を電気的に接続することができる。より詳細には、信号経路316は、複数の誘電体層、ならびに/または複数の誘電体層304、306、308内およびこれらの誘電体層上に形成され、入力318と出力320との間に電気的に接続されたビアを備えることができる。信号経路316は、入力318を、第1の層304と第2の層306との間に配設された中間導電層324と電気的に接続する1つまたは複数のビア322を備えることができる。信号経路316は、中間層324を第2の誘電体層306上に形成された導電層328と電気的に接続する1つまたは複数のビア326を備えることができる。
【0052】
第2の層360の上面に形成された信号経路316の一部分336と、誘電材料の第2の層306の下面に形成された導電層330との間に第1のコンデンサを形成することができる。第2の層306は、他の層304、308のうちの1つまたは複数と異なる誘電率を有することができる。例えば、第2の層306の誘電材料は、25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って約5~約8の範囲をとる誘電率を有することができる。他の層304、408のうちの1つまたは複数は、25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って約1~約4の範囲をとる誘電率を有することができる。
【0053】
導電層330は、グラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。フィルタ300の第1のコンデンサは、
図2の回路
図200の第1のコンデンサ210と対応することができる。導電層330は、信号経路316の一部分336と容量結合することができる。導電層330は、Z方向における信号経路316の一部分336から離間させることができる。導電層330は、1つまたは複数のビア334によってグラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。
【0054】
第1のコンデンサは、第1のコンデンサの電極の相対的ずれに対し影響を受けにくくすることができる。これは「自己整合」として説明することができる。
図4Dに最も良好に見られるように、信号経路316の一部分336は、通常、第1のコンデンサの導電層330よりも(例えば、X方向およびY方向において)寸法を小さくすることができる。加えて、信号経路316の一部分336は、X-Y平面において、信号経路316の他の要素および他の部分との接続を定義することができる。そのような接続は、X方向またはY方向における僅かなずれにより、第1のコンデンサの容量性エリアが変化しないようにサイズ設定することができる。より詳細には、導電層330と信号経路316の一部分336との間の(例えば、X-Y平面における)有効重複エリアのサイズは、第2および第3の層304、306のX方向またはY方向における僅かなずれの影響を受けにくくすることができる。
【0055】
例えば、信号経路316の一部分336は、一部分336の反対側のコネクタ部分338の(例えばY方向における)幅と等しい(例えばY方向における)幅を有する(例えばX方向に延びる)タブ337を含むことができる。同様に、等しい幅を有することができる接続部340が、(例えばY方向における)一部分336の反対側から延びることができる。結果として、Y方向における相対的ずれにより、導電層330と信号経路316の一部分336との間の重複エリアを変化させないことができる。
【0056】
フィルタ300は、信号経路316およびグラウンドプレーン312と電気的に接続された第1のインダクタ342を含むことができる。フィルタ300の第1のインダクタ342は、
図2の回路
図200の第1のインダクタ208と対応することができる。第1のインダクタ342は、コネクタ部分338によって、第1のコンデンサを形成する信号経路316の一部分336と接続することができる。第1のインダクタ342は、1つまたは複数のビア344(
図3Bに最も良好に見られる)によってグラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。
【0057】
フィルタ300の信号経路316は第2のインダクタ346を含むことができ、第2のインダクタ346は、
図2の回路
図200の第2のインダクタ212と対応することができる。第2のインダクタ346は、第3の層308(
図3Cに最も良好に見られる)上に形成することができる。第2のインダクタ346は、第1のロケーション349および第2のロケーション351の各々において、信号経路316と電気的に接続することができる。換言すれば、第2のインダクタ346は、入力318と出力320との間で信号経路316の一部分を形成することができる。
【0058】
1つまたは複数のビア348は、第1のロケーション349において第2のインダクタ346を第2の層306(
図3B、
図4Dおよび
図4Eに最も良好に見られる)の信号経路316の一部分354と接続することができる。1つまたは複数のビア348が、第2のロケーション351において第1の誘導性素子346を第2の層306の上面の信号経路316の一部分369の各々、および第2の層306の底面の導電層352(以下で説明する、信号経路316の一部分354と共に第2のコンデンサを形成する)と接続することができる。
図3Aおよび
図4Eにおいて最も良好に見られるように、インダクタ346は4つの角部を有することができる。したがって、第1のインダクタ346は、半円を超える「ループ」を形成することができる。
【0059】
第2のコンデンサは、導電層352と、信号経路316の一部分354との間に形成することができる。第2のコンデンサは、
図2の回路
図200の第2のコンデンサ214と対応することができる。第2のコンデンサは自己整合コンデンサとすることができる。
【0060】
フィルタ300の第3のインダクタ356は、
図2の回路
図200の第3のインダクタ216と対応することができる。第3のインダクタ356は、第1のロケーション357における1つまたは複数のビア360によって、第2のインダクタ346と接続された信号経路316の一部分369と接続することができる。第3のインダクタ356は、第2のロケーション359における1つまたは複数のビア360によって、出力320と接続された信号経路316の一部分361と接続することができる。信号経路316の一部分361は、1つまたは複数のビア366および/または中間層368によって、出力320と電気的に接続することができる。換言すれば、第3のインダクタ356は、第2のインダクタ346と出力320との間で信号経路316の一部分を形成することができる。
【0061】
第3のコンデンサは、第3のインダクタ356と並列に形成することができる。第3のコンデンサは、
図2の回路
図200の第3のコンデンサ214と対応することができる。フィルタ300の第3のコンデンサは、信号経路316の一部分369と容量性結合された導電層367を含むことができる。
【0062】
第4のインダクタ370は、ビア374によって、第1のロケーション371において信号経路316と、第2のロケーション373においてグラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。ビア374は、中間層376によって接続することができる。フィルタ300の第4のインダクタ370は、
図2の回路
図200の第4のインダクタ220と対応することができる。フィルタ300の第4のインダクタ370は、出力320と電気的に接続された信号経路316の一部分361において、信号経路316と接続することができる。第4のインダクタ370は、3つの角部372を有することができ、概ね四分円のループを形成することができる。
【0063】
第4のコンデンサは、出力320と接続された信号経路316の一部分361と容量性結合された導電層380を含むことができる。第4のコンデンサの導電層380は、ビア382によって、グラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。第4のコンデンサは、
図2の回路
図200の第4のコンデンサ222と対応することができる。
II.コンデンサ
図5Aは、
図8A~
図9Dを参照して以下で説明するフィルタ800の第4のコンデンサ826の平面図である。フィルタ800は、通常、
図6A~
図7Dを参照して上記で説明したフィルタ600と類似した形で構成することができる。第4のコンデンサ826は、Z方向において第2の導電層542と離間した第1の導電層540を含むことができる。第1の導電層540は、
図8A~
図9Dを参照して以下で説明するフィルタ800の信号経路806の一部を形成することができる。第1の導電層540は、重複エリア543において、X-Y平面において第2の導電層542の上に重なり、第4のコンデンサ826を形成することができる。第1の導電層540は、重複エリア543において第2の導電層542と容量結合することができる。第1の導電層540には、通常、第2の導電層542との直接的な電気接続がない。
【0064】
第1のビア544は、第1のロケーションにおいて第2の導電層542と接続することができる。第2のビア546は、第2のロケーションにおいて第2の導電層522と接続することができる。第1のビア544の第1のロケーションは、第1の方向(例えばX方向)において第2のビア546の第2のロケーションから離間させることができる。第1のビア544の第1のロケーションは、第2の方向(例えばY方向)において第2のビア546の第2のロケーションと概ね位置合わせすることができる。例えば、第1のビア544の第1のロケーションは、第2の方向(例えばY方向)において約200マイクロメートル(200ミクロン)未満で第2のビア546の第2のロケーションと位置合わせすることができる。
【0065】
図5Bは、第4のコンデンサ826の平面図であり、明確にするために第1の導電層540が省かれる。第2の導電層542の中間領域548(
図5Bにおいてジグザグパターンを有するハッチングによって表される)を、X方向において第1のビア544と第2のビア546との間に定義することができる。
図5Aおよび
図5Bを参照すると、重複エリア543の少なくとも一部分を、X方向において、第1のビア544の第1のロケーションと、第2のビア546の第2のロケーションとの間に配置することができる。換言すれば、重複エリア543は、中間領域548に交差することができる。この例において、重複エリア543は、完全に中間領域548内に位置する。
【0066】
更に、重複エリア543は、X方向において第1の距離547だけ第1のロケーション544から離間させることができる。重複エリア543は、X方向において、第2の距離549だけ第2のロケーション546から離間させることができる。第1の距離547および第2の距離549のうちの一方または双方は、約10マイクロメートル(10ミクロン)を超えることができる。この例において、第1の距離547および第2の距離549は各々、約100マイクロメートル(100ミクロン)とすることができる。
【0067】
第1の導電層540は、X方向において、完全に第1のビア544の第1のロケーションと第2のビア546の第2のロケーションとの間に配置することができる。第1の導電層540は、X方向において、第1のビア544の第1のロケーションと第2のビア546の第2のロケーションとの間のX方向における間隔距離552以下の幅550を有することができる。この実施形態において、第1の導電層540の幅550は、間隔距離552未満である。
【0068】
第1の導電層540および第2の導電層542は、重複エリア543において容量結合することができ、これは非常に低い容量を達成するために非常に小さくすることができる。しかしながら、重複エリア543内のビアの存在により、第4のコンデンサ826の容量を僅かに増大させることができる。このため、いくつかの実施形態では、重複エリア543にはビアをなくすことができる。
【0069】
より詳細には、いくつかの実施形態では、第2の導電層542には、X-Y平面における重複エリア543内のビア接続部をなくすことができる。換言すれば、第2の導電層542は、X-Y平面における重複エリア543に交差するロケーションにおいてビアと接続しないことが可能である。更に、いくつかの実施形態では、第1の導電層540および第2の導電層542の各々には、X-Y平面において重複エリア543に交差するビア接続部をなくすことができる。
【0070】
重複エリア543の片側にビア544、546を配置することにより、第1のビア544の第1のロケーション、および第2のビア546の第2のロケーションのロケーション間に発生する電圧差を防ぐことができる。例えば
図8A~
図9Dを参照して説明したように、第1のビア544および第2のビア556は、共にグラウンドプレーン808と接続することができる。この配置により、第2の導電層542と関連付けられた寄生インダクタンスを低減することもできる。
【0071】
第2の導電層542は、第1の端部554と第2の端部556との間でX方向に細長くすることができる。第1のビア544は、第1の端部554内とすることができる第1のロケーションにおいて第2の導電層542と接続することができる。第2のビア546は、第2の端部556内で第2の導電層542と接続することができる。例えば、第1の端部554は、X方向における長さ558、およびY方向における幅560を有することができる。第2の端部556は、X方向における長さ562、およびY方向における幅564を有することができる。端部554、556の長さ558、562は概ね等しくすることができる。
【0072】
中央部分566は、第1の端部554と第2の端部556との間に接続することができる。中央部分566は、端部554、556間でX方向における長さ568を有することができる。中央部分566は、重複エリア543の境界において画定される幅569を有することができる。端部554、556の一方または双方の幅560、564は、中央部分566の幅569よりも大きくすることができる。例えば、端部554、556は、通常、ビア544、546と第2の導電層542との間の電気接続の品質を確保するために、ビア544、546よりも寸法を大きくすることができる。この構成により、中央部分566の幅569を、端部554、556の一方または双方の幅560、564よりも小さくすることを可能にすることができる。結果として、重複エリア543は、ビアが重複エリア543内の第2の導電層542と接続された場合に可能であるよりも小さくすることができる。
【0073】
コンデンサ829は自己整合することができる。例えば、重複エリア543のサイズは、第1の導電層540と第2の導電層542との間の相対的ずれの影響を受けにくくすることができる。
図5Bに示すように、重複エリア543は、中央部分566の幅569に等しいY方向における幅、および第1の導電層540の幅550に等しいX方向における長さを有することができる。
【0074】
図5Cは、
図10A~
図11Dを参照して下記で説明したフィルタ1000の第4のコンデンサ1026の平面図である。フィルタ1000は、通常、
図6A~
図7Dを参照して上記で説明したフィルタ600に類似した形で構成することができる。第4のコンデンサ1026は、第2の導電層572からZ方向において離間された第1の導電層570を含むことができる。第1の導電層570は、
図10A~
図11Dを参照して以下で説明するように、フィルタ1000の信号経路1006の一部を形成することができる。第1の導電層570は、重複エリア573において、X-Y平面において第2の導電層572の上に重なり、第4のコンデンサ1026を形成することができる。第1の導電層570は、重複エリア573において第2の導電層572と容量結合することができる。第1の導電層570には、通常、第2の導電層572との直接的な電気接続がない。
【0075】
第1のビア574は、第1のロケーションにおいて第2の導電層572と接続することができる。第2のビア576は、第2のロケーションにおいて第2の導電層572と接続することができる。第1のビア574の第1のロケーションは、第1の方向(例えばX方向)において第2のビア576の第2のロケーションから離間させることができる。第1のビア574の第1のロケーションは、第2の方向(例えばY方向)において第2のビア576の第2のロケーションと概ね位置合わせすることができる。例えば、第1のビア574の第1のロケーションは、第2の方向(例えばY方向)において約200マイクロメートル(200ミクロン)未満で第2のビア576の第2のロケーションと位置合わせすることができる。
【0076】
図5Dは、第4のコンデンサ1026の上面図であり、明確にするために第1の導電層570が省かれる。X方向において第1のビア574と第2のビア576との間に第2の導電層572の中間領域578(
図5Dにおいてジグザグパターンを有するハッチングによって表される)を定義することができる。
図5Cおよび
図5Dを参照すると、X方向において、第1のビア574の第1のロケーションと第2のビア576の第2のロケーションとの間に重複エリア573の少なくとも一部分が位置することができる。換言すれば、重複エリア573は、中間領域578に交差することができる。この例において、重複573は、完全に中間領域578内に位置する。
【0077】
重複エリア573は、X方向において第1の距離575だけ第1のロケーション574から離間させることができる。重複エリア573は、X方向において第2の距離577だけ第2のロケーション576から離間させることができる。第1の距離575および第2の距離577の一方または双方は、約10マイクロメートル(10ミクロン)よりも大きくすることができる。この例において、第1の距離575および第2の距離577は各々、約100マイクロメートル(100ミクロン)とすることができる。
【0078】
第1の導電層570は、X方向において、完全に第1のビア574の第1のロケーションと第2のビア576の第2のロケーションとの間に位置することができる。第1の導電層570は、X方向において、第1のビア574の第1のロケーションと第2のビア576の第2のロケーションとの間のX方向における間隔距離582未満の幅580を有することができる。
【0079】
第1のおよび第2の導電層570、572は、重複エリア573において容量結合することができる。重複エリア573は、低容量を達成するために小さくすることができる。しかしながら、重複エリア573内のビアの存在により、第4のコンデンサ1026の容量が僅かに増大する場合がある。このため、いくつかの実施形態では、重複エリア573にはビアをなくすことができる。
【0080】
より詳細には、いくつかの実施形態では、第2の導電層572には、X-Y平面における重複エリア573内のビア接続部をなくすことができる。換言すれば、第2の導電層572は、X-Y平面において重複エリア573に交差するロケーションにおいてビアと接続しないことが可能である。更に、いくつかの実施形態では、第1の導電層570および第2の導電層572の各々には、X-Y平面において重複エリア573に交差するビア接続部をなくすことができる。
【0081】
重複エリア573の片側にビア574、576を配置することにより、第1のビア574の第1のロケーション、および第2のビア576の第2のロケーションのロケーション間に発生する電圧差を防ぐことができる。例えば、
図10A~
図11Dを参照して説明したように、第1のビア574および第2のビア576は、共にグラウンドプレーン1008と接続することができる。この配置により、第2の導電層572と関連付けられた寄生インダクタンスを低減することもできる。
【0082】
第2の導電層572は、第1の端部584と第2の端部586との間でX方向に細長くすることができる。第1のビア574は、第1の端部584内とすることができる第1のロケーションにおいて第2の導電層572と接続することができる。第2のビア576は、第2の端部586内で第2の導電層572と接続することができる。例えば、第1の端部584は、X方向における長さ588、およびY方向における幅590を有することができる。第2の端部586は、X方向における長さ592、およびY方向における幅594を有することができる。端部584、586の長さ588、592は、概ね等しくすることができる。
【0083】
中央部分596は、第1の端部584と第2の端部586との間に接続することができる。中央部分596は、端部584、586間でX方向における長さ598を有することができる。中央部分596は、重複エリア573の境界において画定される幅599を有することができる。端部584、586の一方または双方の幅590、594は、中央部分596の幅599よりも大きくすることができる。例えば、端部584、586は、通常、ビア574、576と第2の導電層572との間の電気接続の品質を確保するために、ビア574、576よりも寸法を大きくすることができる。この構成により、中央部分596の幅599を、端部554、556の一方または双方の幅560、564よりも小さくすることを可能にすることができる。結果として、重複エリア573は、ビアが重複エリア573内の第2の導電層572と接続された場合に可能であるよりも小さくすることができる。より詳細には、ビア574、576は、Y方向にそれぞれの幅595、597を有することができる。ビア574、576の幅595、597は、中央部分596の幅599よりも大きくすることができる。
【0084】
コンデンサ1026は自己整合することができる。例えば、重複エリア573のサイズは、第1の導電層570と第2の導電層572との間の相対的ずれの影響を受けにくくすることができる。
図5Gに示すように、重複エリア573は、Y方向において、中央部分596の幅599に等しい幅、およびX方向において第1の導電層570の幅580に等しい長さを有することができる。
III.更なる例示的な実施形態
図6Aは、本開示の態様による多層フィルタ600の別の実施形態の斜視図を示す。
図6Bは、
図6Aの多層フィルタ600の別の斜視図を示す。フィルタ600は、通常、
図3~
図5Dを参照して上記で説明したフィルタ300と類似した方式で構成することができる。フィルタ600は、入力602と、出力604と、入力602および出力604を接続する信号経路606とを備えることができる。フィルタ600は、1つまたは複数のグラウンド電極610と電気的に接続されたグラウンドプレーン608も備えることができる。
【0085】
フィルタ600は、グラウンドプレーン608と電気的に接続された第1のインダクタ612を備えることができる。第1のインダクタ612は、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第1のインダクタ208と対応することができる。フィルタ600は、グラウンドプレーン608と電気的に結合された第1のコンデンサ614を備えることができる。第1のコンデンサ614は、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第1のコンデンサ210と対応することができる。
【0086】
フィルタ600は、互いに並列に接続された第2のインダクタ616および第2のコンデンサ618を備えることができる。第2のインダクタ616および第2のコンデンサ618は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214と対応することができる。第2のインダクタ616および第2のコンデンサ618は、入力602と出力604との間で信号経路606の一部分を形成することができる。フィルタ600は、互いに並列に接続され、入力602と出力604との間で信号経路606の一部分を形成することができる第3のインダクタ620および第3のコンデンサ622を備えることができる。第3のインダクタ620および第3のコンデンサ622は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第3のインダクタ216および第3のコンデンサ218と対応することができる。最後に、フィルタ600は、互いに並列に接続され、信号経路606とグラウンドプレーン608との間で接続された第4のインダクタ624および第4のコンデンサ626を備えることができる。第4のインダクタ624および第4のコンデンサ626は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222と対応することができる。
【0087】
インダクタ612、616、620、624およびコンデンサ614、618、622、626は、
図3~
図5Dを参照して上記で説明したのと類似した方式でビア627によって接続することができる。インダクタ612、616、620、624の各々は、それぞれの第1のロケーションにおいて信号経路606と接続し、それぞれの第2のロケーションにおいて信号経路606またはグラウンドプレーン608と接続することができる。インダクタ612、616、620、624の各々は、第1のロケーションと第2のロケーションとの間で(例えばX-Y平面における)それぞれの有効長を有することができる。加えて、インダクタ612、616、620、624の各々が、それぞれの有効長に沿ったそれぞれの幅を有することができる。
【0088】
図6Cは、
図6Aおよび
図6Bのフィルタ600の側面図である。バンドパスフィルタ600は、複数の誘電体層(明確にするために
図6Aおよび
図6Bにおいて透明である)を備えることができる。
図6Cを参照すると、第1の層632、第2の層636、および第3の層640を積層して、一体構造を形成することができる。誘電体層632、636、640の上に導電層630、634、638、642を形成することができる。第1の誘電体層632の底面に導電層630を形成することができる。第2の誘電体層636のそれぞれ上面および底面に導電層634、638を形成することができる。第3の誘電体層640の上面に導電層642を形成することができる。
【0089】
図7A~
図7Dは、
図6A~
図6Cのフィルタ600の一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。より詳細には、
図7Aは、プリント回路基板等の実装表面628を示す。第1の導電層630は、第1の層632の底面および上面に形成することができるグラウンドプレーン608を含むことができる。
図7Bは、第1の誘電体層632上に形成された第2の導電層634を更に示す。第2の導電層634は、第1のコンデンサ614、第2のコンデンサ618、第3のコンデンサ622および第4のコンデンサ626を備えることができる。
図7Cは、第2の誘電体層636上に形成された第3の導電層638を更に示す。第3の導電層638は、信号経路606の一部分および第1のインダクタ612を備えることができる。
図7Dは、第4の誘電体層640上に形成された第4の導電層642を示す。第4の導電層642は、第2のインダクタ616、第3のインダクタ622、および第4のインダクタ624を備えることができる。誘電体層632、636、640は、様々なパターニングされた導電層630、634、638、642の相対的再配置を示すために透明である。
【0090】
図8Aは、本開示の態様による多層フィルタ800の別の実施形態の斜視図を示す。フィルタ800は、通常、
図3~
図5Dを参照して上記で説明したフィルタ300と類似した方式で構成することができる。フィルタ800は、入力802と、出力804と、入力802および出力804を接続する信号経路806とを備えることができる。フィルタ800は、1つまたは複数のグラウンド電極810と電気的に接続されたグラウンドプレーン808も含むことができる。
【0091】
フィルタ800は、グラウンドプレーン808と電気的に接続された第1のインダクタ812を備えることができる。第1のインダクタ812は、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第1のインダクタ208と対応することができる。フィルタ800は、グラウンドプレーン808と電気的に接続された第1のコンデンサ814を備えることができる。第1のコンデンサ814は、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第1のインダクタコンデンサ210と対応することができる。フィルタ800は、互いに並列に接続された第2のインダクタ816および第2のコンデンサ818を備えることができる。第2のインダクタ816および第2のコンデンサ818は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214と対応することができる。第2のインダクタ816および第2のコンデンサ818は、入力802と出力804との間で信号経路806の一部分を形成することができる。フィルタ800は、互いに並列に接続され、入力802と出力804との間で信号経路806の一部分を形成することができる、第3のインダクタ820および第3のコンデンサ822を備えることができる。第3のインダクタ820および第3のコンデンサ822は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第3のインダクタ216および第3のコンデンサ218と対応することができる。最後に、フィルタ800は、互いに並列に接続され、信号経路806とグラウンドプレーン808との間で接続された第4のインダクタ824および第4のコンデンサ826を備えることができる。第4のインダクタ824および第4のコンデンサ826は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222と対応することができる。
【0092】
インダクタ812、816、820、824およびコンデンサ814、818、822、826は、
図3~
図5Dを参照して上記で説明したのと同様の方式でビア827によって接続することができる。インダクタ812、818、820、824の各々は、それぞれの第1のロケーションにおいて信号経路806と接続し、それぞれの第2のロケーションにおいて信号経路806またはグラウンドプレーン808と接続することができる。インダクタ812、818、820、824の各々は、第1のロケーションと第2のロケーションとの間で(例えばX-Y平面における)それぞれの有効長を有することができる。加えて、インダクタ812、818、820、824の各々は、そのそれぞれの有効長に沿ってそれぞれの幅を有することができる。
【0093】
図8Bは、
図8Aのフィルタ800の側面図である。バンドパスフィルタ800は、複数の誘電体層(明確にするために
図8Aにおいて透明である)を備えることができる。
図8Bを参照すると、第1の層832、第2の層836および第3の層840を積層して、一体構造を形成することができる。誘電体層832、836、840上に導電層830、834、838、842を形成することができる。第1の誘電体層832の底面に導電層830を形成することができる。それぞれ、第2の誘電体層836の上面および底面に導電層834、838を形成することができる。第3の誘電体層840の上面に導電層842を形成することができる。
【0094】
図9A~
図9Dは、
図8Aおよび
図8Bのフィルタ600の一連の連続平面図であり、各連続図において更なる誘電体層が示される。より詳細には、
図9Aは、プリント回路基板等の実装表面828を示す。第1の導電層830は、第1の層832の底面および上面に形成することができるグラウンドプレーン808を含むことができる。
図9Bは、第1の誘電体層832上に形成された第2の導電層834を更に示す。第2の導電層834は、第1のコンデンサ814、第2のコンデンサ818、第3のコンデンサ822および第4のコンデンサ826を含むことができる。
図9Cは、第2の誘電体層836上に形成された第3の導電層838を更に示す。第3の導電層838は、信号経路806の一部分と、第1のインダクタ812とを含むことができる。
図9Dは、第4の誘電体層840上に形成された第4の導電層842を示す。第4の導電層842は、第2のインダクタ816、第3のインダクタ822および第4のインダクタ824を含むことができる。誘電体層832、836、840は、様々なパターニングされた導電層830、834、838、842の相対的再配置を示すために透明である。
【0095】
図10Aは、本開示の態様による多層フィルタ1000の別の実施形態の斜視図を示す。
図10Bは、
図10Aの多層フィルタ1000の別の斜視図を示す。フィルタ1000は、通常、
図3~
図5Dを参照して上記で説明したフィルタ300と類似の方式で構成することができる。フィルタ1000は、入力1002と、出力1004と、入力1002および出力1004を接続する信号経路1006とを含むことができる。フィルタ1000は、1つまたは複数のグラウンド電極1010と電気的に接続されたグラウンドプレーン1008も含むことができる。
【0096】
フィルタ1000は、グラウンドプレーン1008と電気的に接続された第1のインダクタ1012を備えることができる。第1のインダクタ1012は、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第1のインダクタ208と対応することができる。フィルタ1000は、グラウンドプレーン1008と電気的に結合された第1のコンデンサ1014を含むことができる。第1のコンデンサ1014は、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第1のインダクタコンデンサ210と対応することができる。フィルタ1000は、互いに並列に接続された第2のインダクタ1016および第2のコンデンサ1018を含むことができる。第2のインダクタ1016および第2のコンデンサ1018は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214と対応することができる。第2のインダクタ1016および第2のコンデンサ1018は、入力1002と出力1004との間で信号経路1006の一部分を形成することができる。フィルタ1000は、互いに並列に接続され、入力1002と出力1004との間で信号経路1006の一部分を形成することができる第3のインダクタ1020および第3のコンデンサ1022を備えることができる。第3のインダクタ1020および第3のコンデンサ1022は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第3のインダクタ216および第3のコンデンサ218と対応することができる。最後に、フィルタ1000は、互いに並列に接続され、信号経路1006とグラウンドプレーン1008との間で接続された第4のインダクタ1024および第4のコンデンサ1026を備えることができる。第4のインダクタ1024および第4のコンデンサ1026は、それぞれ、
図2を参照して上記で説明した回路
図200の第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222と対応することができる。
【0097】
インダクタ1012、1016、1020、1024およびコンデンサ1014、1018、1022、1026は、
図3~
図5Dを参照して上記で説明したのと類似した方式でビア1027によって接続することができる。インダクタ1012、10110、1020、1024の各々は、それぞれの第1のロケーションにおいて信号経路1006と接続し、それぞれの第2のロケーションにおいて信号経路1006またはグラウンドプレーン1008と接続することができる。インダクタ1012、10110、1020、1024の各々は、第1のロケーションと第2のロケーションとの間で(例えばX-Y平面における)それぞれの有効長を有することができる。加えて、インダクタ1012、10110、1020、1024の各々が、それぞれの有効長に沿ったそれぞれの幅を有することができる。
【0098】
図10Bは、
図10Aおよび
図10Bのフィルタ1000の側面図である。バンドパスフィルタ1000は、複数の誘電体層(明確にするために
図10Aにおいて透明である)を備えることができる。
図10Bを参照すると、第1の層1032、第2の層1036、第3の層1040を積層して、一体構造を形成することができる。誘電体層1032、1036、1040の上に導電層1030、1034、1038、1042を形成することができる。第1の誘電体層1032の底面に導電層1030を形成することができる。第2の誘電体層1036のそれぞれ上面および底面に導電層1034、1038を形成することができる。第3の誘電体層1040の上面に導電層1042を形成することができる。
【0099】
図11A~
図11Dは、
図10Aおよび
図10Bのフィルタ600の一連の連続平面図であり、各連続図において更なる誘電体層が示される。より詳細には、
図11Aは、プリント回路基板等の実装表面1028を示す。第1の導電層1030は、第1の層1030の底面および上面に形成することができるグラウンドプレーン1008を含むことができる。
図11Bは、第1の誘電体層1032上に形成された第2の導電層1034を更に示す。第2の導電層1034は、第1のコンデンサ1014、第2のコンデンサ1018、第3のコンデンサ1022および第4のコンデンサ1026を備えることができる。
図11Cは、第2の誘電体層1036上に形成された第3の導電層1038を更に示す。第3の導電層1038は、信号経路1006の一部分および第1のインダクタ1012を備えることができる。
図11Dは、第4の誘電体層1040上に形成された第4の導電層1042を示す。第4の導電層1042は、第2のインダクタ1016、第3のインダクタ1022、および第4のインダクタ1024を備えることができる。誘電体層1032、1036、1040は、様々なパターニングされた導電層1030、1034、1038、1042の相対的再配置を示すために透明である。
IV.用途
本明細書において説明したフィルタの様々な実施形態は、任意の適切なタイプの電気コンポーネントにおいて用途を見出すことができる。フィルタは、高周波数無線信号を受信、送信、または他の形で用いるデバイスにおいて特定の用途を見出すことができる。例示的な用途は、スマートフォン、信号中継器(例えば、スモールセル)、中継局およびレーダを含む。
実施例
本開示の態様に従って、コンピュータモデリングを用いて、多層高周波数フィルタをシミュレートした。加えて、フィルタが構築され、試験された。以下の寸法は単なる例として与えられ、本開示の範囲を制限するものではないことを理解されたい。
【0100】
様々な多層フィルタ(上記で説明した多層フィルタ300、600、800、1000を含む)は、以下の周波数パスバンド周波数範囲および以下のそれぞれの容量性エリアを平方ミリメートル(mm2)単位で有するように構成することができる。
【0101】
【0102】
上記の表に示すように、上記で
図5A~
図5Hを参照して詳述したフィルタ300、600、800、1000の第4のコンデンサは、非常に小さな容量性エリア(例えば約0.08mm
2未満)を有することができる。
【0103】
誘電体層の厚みは、通常、約180マイクロメートル(「ミクロン」)未満とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の層304、632、832、1032は、約60マイクロメートル(60ミクロン)の厚みとすることができる。第2の層306、636、836、1036は、約20マイクロメートル(20ミクロン)の厚みとすることができる。第3の層308、640、840、1040は、約60マイクロメートル(60ミクロン)の厚みとすることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、フィルタの全体長さは、4.3mmとすることができる。全体幅は約4mmとすることができる。全体厚は約230マイクロメートル(230ミクロン)とすることができる。
【0105】
図12~
図17は、様々なフィルタのための試験結果およびシミュレーションデータを表す。
図12を参照すると、本開示の態様による多層フィルタが構築され試験された。測定された挿入損失(S
21)値および測定されたリターン損失(S
11)値が0GHz~45GHzでプロットされている。シミュレートされた挿入損失(S
21)値およびシミュレートされたリターン損失(S
11)値が0GHz~35GHzでプロットされている。測定パスバンドは、約13.2GHz~約15.8GHzである。
【0106】
図13を参照すると、本開示の態様による多層フィルタが構築され、試験された。測定された挿入損失(S
21)値および測定されたリターン損失(S
11)値が0GHz~45GHzでプロットされている。シミュレートされた挿入損失(S
21)値およびシミュレートされたリターン損失(S
11)値が0GHz~35GHzでプロットされている。パスバンドは約16.1GHz~約18.2GHzである。
【0107】
図14を参照すると、
図3A~
図4Eを参照して上記で説明した多層フィルタ300のシミュレートおよび構築の双方が行われ、物理的に試験された。測定された挿入損失(S
21)値および測定されたリターン損失(S
11)値が0GHz~45GHzでプロットされている。シミュレートされた挿入損失(S
21)値およびシミュレートされたリターン損失(S
11)値が0GHz~35GHzでプロットされている。パスバンドは約17.0GHz~約21.2GHzである。
【0108】
図15を参照すると、
図6A~
図7Dを参照して上記で説明した多層フィルタ600がシミュレートされた。シミュレートされた挿入損失(S
21)値およびシミュレートされたリターン損失(S
11)値が0GHz~50GHzでプロットされている。パスバンドは約24.6GHz~約27.8GHzである。
【0109】
図16を参照すると、
図8A~
図9Dを参照して上記で説明した多層フィルタ800がシミュレートされた。シミュレートされた挿入損失(S
21)値およびシミュレートされたリターン損失(S
11)値が0GHz~55GHzでプロットされている。パスバンドは約34.6GHz~約37.4GHzである。
【0110】
図17を参照すると、
図10A~
図11Dを参照して上記で説明した多層フィルタ1000がシミュレートされた。シミュレートされた挿入損失(S
21)値およびシミュレートされたリターン損失(S
11)値が0GHz~70GHzでプロットされている。パスバンドは約42.9GHz~約46.6GHzである。
試験方法
図18を参照すると、本開示の態様に従って、試験アセンブリ1800を用いて、多層フィルタ1802の挿入損失およびリターン損失等の性能特性を試験することができる。フィルタ1802は、試験基板1804に実装することができる。入力線1806および出力線1808は、各々試験基板1804に接続された。試験基板1804は、入力線1806をフィルタ1802の入力と電気的に接続し、出力線1808をフィルタ1802の出力と電気的に接続するマイクロストリップ線1810を含むことができる。入力信号が、ソース信号発生器(例えば、1806 Keithley 2400シリーズのソース測定ユニット(SMU)、例えば、Keithley 2410-C SMU)を用いて入力線に適用され、フィルタ1802の結果としての出力が、(例えば、ソース信号発生器を用いて)出力線18108において測定された。これは、フィルタの様々な構成について繰り返された。
【0111】
当業者であれば、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示のこれらのおよび他の変更および変形を行うことができる。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的および部分的の双方で入れ替えることができることを理解されたい。更に、当業者であれば、上記の説明が例示の目的にすぎず、添付の特許請求の範囲において更に記載される本開示を限定することを意図しないことを理解するであろう。