(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】電動車両の充電を制御するための方法、コンピュータ・プログラム、コンピュータ可読媒体、制御ユニット、及びバッテリー充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230530BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230530BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20230530BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230530BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20230530BHJP
B60L 53/62 20190101ALI20230530BHJP
B60L 53/65 20190101ALI20230530BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20230530BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20230530BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20230530BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 B
H02J7/02 F
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/62
B60L53/65
B60L53/66
B60L58/12
B60L58/16
G01C21/36
(21)【出願番号】P 2021564097
(86)(22)【出願日】2019-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2019062987
(87)【国際公開番号】W WO2020233787
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ヘルグレン、ヨナス
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/051151(WO,A1)
【文献】特開2011-188657(JP,A)
【文献】特開2015-230817(JP,A)
【文献】特開2006-054958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0352113(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02657062(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0039467(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J3/00-5/00
H02J13/00
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G01C21/00-21/36
G01C23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電エリア(200)において複数の車両を含む車両フリートの少なくとも1つの電動車両(100)の充電を制御するための方法であって、前記方法は、
前記車両(100)のバッテリーのための基準最小充電エネルギー・レベルを規定するステップと、
前記車両(100)の前記バッテリーの充電エネルギー・レベルを決定するステップと、
前記充電エネルギー・レベルを前記基準最小充電エネルギー・レベルと比較するステップと、
前記バッテリーの前記決定された充電エネルギー・レベルが前記基準最小充電エネルギー・レベルを下回る場合、前記車両(100)を充電するために前記車両(100)に充電コマンドを割り当てるステップであって、
前記車両(100)の前記バッテリーの前記決定された充電エネルギー・レベルが前記基準最小エネルギー充電レベルを上回る場合、充電パラメータ又は複数の充電パラメータの組合せに前記充電コマンドが依存する、充電コマンドを割り当てるステップと
、を有し、
前記基準最小充電エネルギー・レベルが、
前記最小充電エネルギー・レベルによってアンダーカットされるべきでない絶対最小充電エネルギー・レベルを規定するユーザ入力、及び/又は
前記車両(100)が前記充電エリア(200)に到達するまでの、前記車両(100)の予想されるエネルギー消費量から計算される予想される所要充電エネルギー・レベル、及び/又は
前記車両(100)が前記充電エリア(200)に到達するまでの、前記車両(100)のミッションの予想される距離、及び/又は
さらなる車両(101)が前記充電エリア(200)に接近するまでの、前記車両(100)のために利用可能な予想される充電時間間隔、及び/又は
前記車両(100)の最後のミッション、又は前記車両(100)の複数の最後のミッション中の前記車両(100)の平均エネルギー消費量、及び/又は
前記車両フリートの前記車両の所望の平均充電エネルギー・レベルであって、前記所望の平均充電エネルギー・レベルが、ユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、所望の平均充電エネルギー・レベル、及び/又は
前記最後のミッション又は複数の最後のミッション中の前記車両フリートのすべての車両の平均エネルギー消費量、及び/又は
前記車両フリートの少なくとも前記車両の、好ましくは、前記車両フリートの各車両の、前記バッテリーの規定された最大充電電力レベルであって、前記最大充電電力レベルが、ユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、最大充電電力レベルから選択される、複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータの組合せに応じて規定されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記充電パラメータ、又は複数の充電パラメータの前記組合せは、
前記車両(100)が前記充電エリア(200)に到達するまでの、前記車両(100)の前記ミッションの前記予想される距離、及び/又は
さらなる車両(101)が前記充電エリア(200)に接近するまでの、前記車両(100)のために利用可能な前記予想される充電時間間隔、及び/又は
前記最後のミッション又は複数の最後のミッション中の前記車両(100)の前記平均エネルギー消費量、及び/又は
前記フリートの前記車両の前記所望の平均充電エネルギー・レベルであって、前記所望の平均充電エネルギー・レベルが、前記ユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、前記所望の平均充電エネルギー・レベル、及び/又は
前記車両フリートのすべての車両の最後のミッション又は前記車両フリートのすべての車両の複数の最後のミッション中の前記車両フリートのすべての車両の前記平均エネルギー消費量、及び/又は
前記車両フリートの少なくとも前記車両の、好ましくは、前記車両フリートの各車両の、前記バッテリーの前記規定された最大充電電力
から選択されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両(100)の前記バッテリーの前記充電エネルギー・レベルを決定するステップが、
前記充電エリア(200)における前記車両(100)の現在のバッテリー充電エネルギー・レベルを決定すること、及び/又は
前記充電エリア(200)に接近している前記車両(100)の予想されるバッテリー充電エネルギー・レベルを決定すること
を含むことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記最大充電電力レベル及び/又は前記所望の平均充電エネルギー・レベルが、エネルギー損失とバッテリー劣化とを考慮に入れて計算されることを特徴とする、
請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記充電コマンドが、前記車両を充電するためのものである場合に、前記充電コマンドが前記充電エリア(200)に割り当てられることを特徴とする、
請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記充電エリアにおいてさらなる車両(101)にさらなる充電コマンドが割り当てられた場合、前記充電エリア(200)において充電されている車両(100)の前記バッテリーの充電を停止するために、前記車両(100)に停止コマンドを割り当てるステップであって、前記さらなる充電コマンドが、前記さらなる車両(101)に関係する1つ又は複数の前記最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータに基づいて、並びに、前記さらなる車両(101)に関係するこの1つ又は複数の前記最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータと、充電されている前記車両(100)への、又は充電されている前記車両(100)に関係する現在の1つの又は現在の複数の前記最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータをもつ、前記充電コマンドを割り当てるときに適用された前記1つ又は複数の前記最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータとの比較にさらに基づいて、割り当てられる、前記車両(100)に停止コマンドを割り当てるステップを特徴とする、
請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
コンピュータ・プログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で実行されたとき、
請求項1から6までのいずれか一項に記載のステップを実行するためのプログラム・コード手段を含む、コンピュータ・プログラム。
【請求項8】
コンピュータ・プログラムを担持するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、前記プログラム製品がコンピュータ上で実行されたとき、
請求項1から6までのいずれか一項に記載のステップを実行するためのプログラム・コード手段を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
複数の車両を含む車両フリートの少なくとも1つの電動車両(100)の充電を制御するための充電制御ユニット(300)であって、前記制御ユニットは、
請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように構成された、充電制御ユニット(300)。
【請求項10】
前記充電制御ユニットは、データを手動で入力するためのユーザ・インターフェースを備えるか、又は前記ユーザ・インターフェースと通信のために接続されることを特徴とする、
請求項9に記載の充電制御ユニット(300)。
【請求項11】
前記充電制御ユニットは、前記車両フリートのすべての車両のための集中制御ユニットであることを特徴とする、
請求項9又は10に記載の充電制御ユニット(300)。
【請求項12】
請求項9から11までに記載の充電制御ユニット(300)、及び
複数の車両を含む車両フリートの少なくとも1つの電動車両(100)のための車両制御ユニット(400)、及び/又は
前記車両フリートの前記少なくとも1つの電動車両(100)を充電するための少なくとも1つの充電エリア(200)のための充電エリア制御ユニット(500)
を備える、バッテリー充電システム(1000)。
【請求項13】
前記充電制御ユニット(300)及び/又は前記充電エリア制御ユニット(500)及び/又は前記車両制御ユニット(400)が、通信のために互いと接続されることを特徴とする、請求項12に記載のバッテリー充電システム(1000)。
【請求項14】
前記充電制御ユニットが、前記充電エリア制御ユニット又は前記車両制御ユニット中に一体化されることを特徴とする、請求項12又は13に記載のバッテリー充電システム(1000)。
【請求項15】
データを手動で入力するためのユーザ・インターフェースを備える、
請求項12から14までのいずれか一項に記載のバッテリー充電システム(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両を含む車両フリート(vehicle fleet)の電動車両の充電を制御するための方法、コンピュータ・プログラム、コンピュータ可読媒体、制御ユニット、及びバッテリー充電システムに関する。
【0002】
本発明は、トラック、バス、及び建設機器など、大型車両において適用され得る。本発明は、大型車両に関して説明されるが、本発明は、この特定の車両に限定されず、乗用車など、他の車両においても使用され得る。
【背景技術】
【0003】
電動車両の場合、たとえばミッションの後、それらの電動車両が充電エリアに接近したときには、それらの電動車両が充電されるか否かが決定されなければならない。たとえば、米国特許出願公開第2017315557(A1)号には、自律車両を自動的に充電するための方法が記載されており、それによれば、自律車両のバッテリーの充電の状態が低いときに、車両は充電される。その決定は、車両位置、車両バッテリーの現在の充電状態、バッテリーのタイプなどに関する情報に依存する。しかしながら、さらなる改善が必要とされる。特に、バッテリーの電力損失及び急速な劣化のような、充電の悪影響を考慮に入れて、フリート運営コストが下げられなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017315557(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に、フリートの車両のための、電気車両のバッテリーの電力損失と急速な劣化とを回避すること又は最小にすることによって電気車両の充電を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、その目的は請求項1に記載の方法によって達成される。特に、充電エリアにおいて複数の車両を含む車両フリートの少なくとも1つの電動車両の充電を制御するための方法であって、本方法は、
車両のバッテリーのための基準最小充電エネルギー・レベルを規定するステップと、
車両のバッテリーの充電エネルギー・レベルを決定するステップと、
充電エネルギー・レベルを基準最小充電エネルギー・レベルと比較するステップと、
バッテリーの決定された充電エネルギー・レベルが前記基準最小充電エネルギー・レベルを下回る場合、車両を充電するために車両に充電コマンドを割り当てるステップであって、
充電コマンドは、車両のバッテリーの決定された充電エネルギー・レベルが前記基準最小エネルギー充電レベルを上回る場合、充電パラメータ、又は複数の充電パラメータの組合せに依存する、充電コマンドを割り当てるステップと
を特徴とする。
【0007】
本発明は、バッテリーの電力損失及び急速な劣化は、主に、大きい充電電力を用いた充電によって引き起こされ、充電電力は、バッテリーの充電エネルギー・レベルを介して暗黙的に制御され得るという認識に基づく。バッテリーは風船に似ており、それが満杯であるときには、それをそれ以上充電することは困難である。このことは、充電エネルギー・レベルが高い場合、可能な充電電力が(絶対的に)小さいことを意味する。
【0008】
充電するか否かの決定を要求側車両のバッテリー充電エネルギー・レベルに依存させることによって、充電電力レベルは暗黙的に制御され得る。たとえば、充電レベルが低い要求をより高い頻度で阻止し、充電レベルが高い要求をより高い頻度で受け入れる傾向がある場合、結果は、平均して比較的低い充電電力レベルになる。この現象は、本発明の範囲では、高い電力レベルにおける高い電力損失と急速な劣化とに関する問題に取り組むために使用される。本発明は、中程度の充電電力レベルを用いて充電することがはるかに望ましいという認識を含む。エネルギー損失及びバッテリー劣化は、したがって、基準最小充電エネルギー・レベルを比較的高くすることによって最小にされ得る。
【0009】
したがって、本発明は、バイナリ充電か否かに加えて、別の充電コマンドの複雑さを追加することさえなしに、充電エネルギー・レベルを介してバッテリーの充電電力レベルを暗黙的に制御することを可能にする。とはいえ、バイナリ充電コマンドに加えて、連続的な又は離散的な基準バッテリー電力レベルも本発明の範囲内で考慮に入れられ得る。
【0010】
以下で、代替として説明されていない場合に組み合わせられ得る、本方法のさらなる実施例について説明する。
【0011】
本方法の一実施例によれば、基準最小充電エネルギー・レベルは、
前記最小充電エネルギー・レベルによってアンダーカットされるべきでない絶対最小充電エネルギー・レベルを規定するユーザ入力、及び/又は
車両が充電エリアに到達するまでの、車両の予想されるエネルギー消費量から計算される予想される所要充電エネルギー・レベル、及び/又は
車両が充電エリアに到達するまでの、車両のミッションの予想される距離、及び/又は
さらなる車両が充電エリアに接近するまでの、車両のために利用可能な予想される充電時間間隔、及び/又は
車両の最後のミッション、又は車両の複数の最後のミッション中の車両の平均エネルギー消費量、及び/又は
車両フリートの車両の所望の平均充電エネルギー・レベルであって、前記所望の平均充電エネルギー・レベルがユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、所望の平均充電エネルギー・レベル、及び/又は
最後のミッション又は複数の最後のミッション中の車両フリートのすべての車両の平均エネルギー消費量、及び/又は
前記車両フリートの少なくとも前記車両の、好ましくは、前記車両フリートの各車両の、バッテリーの規定された最大充電電力レベルであって、前記最大充電電力レベルがユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、最大充電電力レベル
から選択される、最小充電エネルギー・レベル・パラメータ、又は複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータの組合せに応じて規定される。
【0012】
基準最小充電エネルギー・レベルは、充電するか否かの決定のための第1の基準である。基準最小充電エネルギー・レベルを決定するために、ミッション、充電状態、及びさらなるパラメータに鑑みて、車両の充電挙動を最適化するために、上記で列挙された複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータが考慮され得る。特に、車両フリートの車両の絶対最小充電エネルギー・レベル又は所望の平均充電エネルギー・レベルのためのユーザ入力が考慮され得る。さらに、予想されるエネルギー消費量、ミッションの予想される距離、又は以前のミッションに関する既知のデータのような、車両の予定されたミッションに関する情報が考慮に入れられ得る。さらに、バッテリー寿命を改善するために非常に高い充電電力を用いた充電を制限するために、最大充電電力レベルが考慮に入れられ得る。また、最後のミッション又は複数の最後のミッション中の車両フリートのすべての車両の平均エネルギー消費量のような、フリートのすべての車両に関する平均データが使用され得る。このことは、特に、循環する反復的なミッションをもつ車両フリートにとって重要である。さらに、基準最小充電エネルギー・レベルを決定するときに、次の車両が到着するまでの、利用可能な充電時間間隔が考慮に入れられ得る。
【0013】
さらなる実施例によれば、充電パラメータ又は複数の充電パラメータの組合せは、
車両が充電エリアに到達するまでの、車両のミッションの予想される距離、及び/又は
さらなる車両が充電エリアに接近するまでの、前記車両のために利用可能な予想される充電時間間隔、及び/又は
最後のミッション又は複数の最後のミッション中の車両の平均エネルギー消費量、及び/又は
フリートの車両の所望の平均充電エネルギー・レベルであって、前記所望の平均充電エネルギー・レベルがユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、所望の平均充電エネルギー・レベル、及び/又は
車両フリートのすべての車両の最後のミッション又は車両フリートのすべての車両の複数の最後のミッション中の車両フリートのすべての車両の平均エネルギー消費量、及び/又は
前記車両フリートの少なくとも前記車両の、好ましくは、前記車両フリートの各車両の、バッテリーの規定された最大充電電力
から選択される。
【0014】
充電エネルギー・レベルが基準最小充電エネルギー・レベルを上回る場合、充電の決定は充電パラメータ又は複数の充電パラメータにさらに依存する。上記に列挙したパラメータを考慮に入れることによって、充電の決定は、距離又は以前のエネルギー消費量のような、車両のミッションと、平均エネルギー消費量又はバッテリーの最大充電電力のような、車両又は車両フリートの充電特性とを考慮に入れてさらに改善され得る。
【0015】
好ましくは、車両のバッテリーの充電エネルギー・レベルを決定することは、
充電エリアにおける車両の現在のバッテリー充電エネルギー・レベルを決定すること、及び/又は
充電エリアに接近している車両の予想されるバッテリー充電エネルギー・レベルを決定すること
を含む。
したがって、充電コマンドを決定することによって、実際の充電レベル、及び/又はバッテリー充電エネルギー・レベルに関する予想が考慮に入れられ得る。
【0016】
好ましくは、前記最大充電電力レベル及び/又は前記所望の平均充電エネルギー・レベルは、エネルギー損失とバッテリー劣化とを考慮に入れて計算される。この実施例を用いると、これらの基準に基づいて最大充電電力レベル及び/又は所望の平均充電エネルギー・レベルを決定することによって、エネルギー損失及びバッテリー劣化がさらに低減され得る。
【0017】
本方法の一実施例では、充電コマンドが、車両を充電するためのものである場合に、充電コマンドが充電エリアに割り当てられる。したがって、充電エリアは車両の充電の必要を通知される。
【0018】
さらなる一実施例では、
充電エリアにおいてさらなる車両にさらなる充電コマンドが割り当てられた場合、前記充電エリアにおいて充電されている車両のバッテリーの充電を停止するために、車両に停止コマンドを割り当てるステップであって、前記さらなる充電コマンドが、前記さらなる車両に関係する1つ又は複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータに基づいて、並びに、前記さらなる車両に関係するこの1つ又は複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータと、充電されている車両への、又は充電されている車両に関係する現在の1つの又は現在の複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータをもつ、充電コマンドを割り当てるときに適用された1つ又は複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータとの比較にさらに基づいて、割り当てられる、車両に停止コマンドを割り当てるステップが含まれる。
【0019】
このステップを用いると、車両の充電状態及び/又はミッションだけでなく、後続車両、並びに後続車両の充電状態及び/又はミッションも、充電決定のために考慮に入れられる。したがって、充電エリア中の充電ポイント又は充電ノードが、後の段階においても充電され得る車両によって塞がれるが、すぐ充電されなければならない車両が充電ポイント又は充電ノードに到達することができないことが回避され得る。したがって、このステップを用いると、全体としてのフリートの充電がさらに改善される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、その目的は、請求項8に記載のコンピュータ・プログラムによって達成される。コンピュータ・プログラムは、前記プログラムがコンピュータ上で実行されたとき、本発明の第1の態様による方法の実施例のいずれかのステップを実行するためのプログラム・コード手段を含む。さらに、その目的は、前記プログラム製品がコンピュータ上で実行されたとき、第1の態様による方法の実施例のいずれかのステップを実行するためのプログラム・コード手段を含むコンピュータ・プログラムを担持するコンピュータ可読媒体の提供によって達成される。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、本発明の目的は、請求項10に記載の充電制御ユニットによって達成される。複数の車両を含む車両フリートの少なくとも1つの電動車両の充電を制御するための充電制御ユニットは、本発明の第1の態様による方法のステップを実行するように構成される。
【0022】
一実施例では、本発明の第3の態様による充電制御ユニットは、その充電制御ユニットが、データを手動で入力するためのユーザ・インターフェースを備えるか、又は前記ユーザ・インターフェースと通信のために接続されることを特徴とする。したがって、ユーザは、充電の決定のためのさらなるデータ又はさらなる焦点を与えるために充電制御ユニットと対話することができる。
【0023】
さらなる一実施例では、充電制御ユニットは、車両フリートのすべての車両のための集中制御ユニットである。したがって、フリートのために1つの充電制御ユニットのみが必要である。第4の態様によれば、本発明は、
本発明の第2の態様による充電制御ユニット、及び
複数の車両を含む車両フリートの少なくとも1つの電動車両のための車両制御ユニット、及び/又は
車両フリートの少なくとも1つの電動車両を充電するための少なくとも1つの充電エリアのための充電エリア制御ユニット
を備える、請求項13に記載のバッテリー充電システムに関する。
【0024】
好ましくは、充電制御ユニット及び/又は充電エリア制御ユニット及び/又は車両制御ユニットは通信のために互いと接続される。
【0025】
バッテリー充電システムの一実施例では、充電制御ユニットは充電エリア制御ユニット又は車両制御ユニット中に一体化される。
【0026】
さらなる一実施例では、バッテリー充電システムは、データを手動で入力するためのユーザ・インターフェースを備える。したがって、ユーザは、充電の決定のためのさらなるデータ又はさらなる焦点を与えるためにバッテリー充電システムと対話することができる。
【0027】
本発明のさらなる利点及び有利な特徴が、以下の説明及び従属請求項において開示されている。
【0028】
添付の図面を参照しながら、実例として引用される本発明の実施例について以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】車両フリートの少なくとも1つの電動車両の充電を制御するための方法の例示的な一実施例におけるステップを示す概略ブロック図である。
【
図2】本発明の第4の態様による、バッテリー充電システムの例示的な一実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、車両フリートの少なくとも1つの電動車両の充電を制御するための方法の好ましい例示的な一実施例におけるステップを示す概略ブロック図である。特に、本方法のこの好ましい実施例は、ステップS1において車両のバッテリーのための基準最小充電エネルギー・レベルを規定するステップと、ステップS2において車両のバッテリーの充電エネルギー・レベルを決定するステップと、S3において充電エネルギー・レベルを基準最小充電エネルギー・レベルと比較するステップ、及びバッテリーの決定された充電エネルギー・レベルが前記基準最小充電エネルギー・レベルを下回る場合、車両を充電するために車両に充電コマンドを割り当てるステップと、ステップS4において、車両のバッテリーの決定された充電エネルギー・レベルが前記基準最小充電エネルギー・レベルを上回る場合、充電パラメータ、又は複数の充電パラメータの組合せに依存する、充電コマンドを決定するステップとの、4つのステップを含む。
【0031】
基準最小充電エネルギー・レベルは、好ましい実例では、ステップS1において、最小充電エネルギー・レベル・パラメータ又は複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータの組合せに応じて決定される。特に、この最小充電エネルギー・レベル・パラメータ又はこれらの最小充電エネルギー・レベル・パラメータは、車両が充電エリアに到達するまでの、車両の予想されるエネルギー消費量から計算された予想される所要充電エネルギー・レベル、及び/又は車両が充電エリアに到達するまでの、車両のミッションの予想される距離、及び/又は車両の最後のミッション、又は車両の複数の最後のミッション中の車両の平均エネルギー消費量のような、車両の予定された又は以前のミッションを特徴づけるパラメータから選択され得る。前記最小充電エネルギー・レベルによってアンダーカットされるべきでない絶対最小充電エネルギー・レベルを規定するユーザ入力、及び/又は車両フリートの車両の所望の平均充電エネルギー・レベルであって、前記所望の平均充電エネルギー・レベルがユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、所望の平均充電エネルギー・レベル、及び/又は最大充電電力レベルであって、前記最大充電電力レベルがユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、最大充電電力レベルのような、最小充電エネルギー・レベル・パラメータとして、ユーザ入力又は計算を表す追加又は代替のパラメータが使用され得る。さらに、さらなる車両が充電エリアに接近するまでの、車両のために利用可能な予想される充電時間間隔、及び/又は最後のミッション又は複数の最後のミッション中の車両フリートのすべての車両の平均エネルギー消費量、及び/又はのような、最小充電エネルギー・レベル・パラメータとして、車両フリート又はフリートの単一の車両から導出されたパラメータが使用され得る。
【0032】
ステップS4において、充電コマンドを決定するための1つ又は複数の充電パラメータは、好ましい実施例では、車両のミッション及び充電状態、並びに、フリート全体から、又は1列の後続車両のようなフリートの単一の車両から導出されたユーザ入力及び情報をも考慮に入れる。特に、以下のパラメータが、単独で、又は他のパラメータと組み合わせて、充電パラメータとして使用され得る。車両が充電エリアに到達するまでの、車両のミッションの予想される距離。さらなる車両が充電エリアに接近するまでの、前記車両のために利用可能な予想される充電時間間隔。最後のミッション又は複数の最後のミッション中の車両の平均エネルギー消費量。フリートの車両の所望の平均充電エネルギー・レベルであって、前記所望の平均充電エネルギー・レベルがユーザ・インターフェースを介して入力されるか又は計算される、所望の平均充電エネルギー・レベル。車両フリートのすべての車両の最後のミッション又は車両フリートのすべての車両の複数の最後のミッション中の車両フリートのすべての車両の平均エネルギー消費量。前記車両フリートの少なくとも前記車両の、好ましくは、前記車両フリートの各車両の、バッテリーの規定された最大充電電力レベル。
【0033】
図2は、示されている実施例において、充電制御ユニット300と、複数の車両を含む車両フリートの示されている電動車両100、101の各々のための2つの車両制御ユニット400、401と、車両フリートの少なくとも1つの電動車両を充電するための充電エリア200のための充電エリア制御ユニット500とを備える、バッテリー充電システム1000の例示的な一実施例の概略図である。示されている実施例では、充電制御ユニット300は、本発明の第1の態様による、方法のステップ、特に、車両のバッテリーのための基準最小充電エネルギー・レベルを規定することと、車両のバッテリーの充電エネルギー・レベルを決定することと、充電エネルギー・レベルを基準最小充電エネルギー・レベルと比較すること、及びバッテリーの決定された充電エネルギー・レベルが前記基準最小充電エネルギー・レベルを下回る場合、車両を充電するために車両に充電コマンドを割り当てることと、車両のバッテリーの決定された充電エネルギー・レベルが前記基準最小充電エネルギー・レベルを上回る場合、充電パラメータ又は複数の充電パラメータの組合せに応じて充電コマンドを決定することとを実行するように構成される。
【0034】
この実例における充電制御ユニット300は、フリートのすべての車両、特に、示されている車両100と車両101の両方を制御する集中充電制御ユニットである。充電制御ユニット300は、車両制御ユニット400、401、及び充電エリア制御ユニットと通信する。それぞれの車両のためのコマンドが充電するためのものである場合、充電エリアにおける充電ポイント又は充電ノードに向かうよう車両に命令するために、それぞれの車両制御ユニットと充電エリア制御ユニットとに充電コマンドが送られる。
【0035】
示されている実施例における充電制御ユニット300はまた、たとえば、充電エリアにおいてさらなる車両101にさらなる充電コマンドが割り当てられた場合、車両100のバッテリーの充電を停止するために、前記充電エリアにおいて充電されている車両100に停止コマンドを割り当てることが可能である。前記さらなる充電コマンドは、前記さらなる車両101に関係する1つ又は複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータに基づいて、並びに、前記さらなる車両101に関係するこの1つ又は複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータと、充電されている車両100への、又は充電されている車両に関係する現在の1つの又は現在の複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータをもつ、充電コマンドを割り当てるときに適用された1つ又は複数の最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータとの比較にさらに基づいて、割り当てられる。したがって、充電制御ユニットは、最小充電エネルギー・レベル・パラメータ及び/又は充電パラメータに基づいてフリートの車両に優先度を付けることが可能である。
【0036】
本発明は、上記で説明し、図面に示された実施例に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲内で多くの変更及び改変が行われ得ることを認識しよう。