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特許7288086信号のエッジの時点を検出するための方法及び評価ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】信号のエッジの時点を検出するための方法及び評価ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4865 20200101AFI20230530BHJP
【FI】
G01S7/4865
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021567853
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020062591
(87)【国際公開番号】W WO2020229265
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】102019112447.6
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513155138
【氏名又は名称】イェノプティック オプティカル システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【弁理士】
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】ダーク ベルナー
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102011056963(DE,B3)
【文献】特開2002-221567(JP,A)
【文献】特表2011-517195(JP,A)
【文献】特開2008-032498(JP,A)
【文献】特開2005-351862(JP,A)
【文献】米国特許第08098787(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0052600(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107659392(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
13/00 - 17/95
H04J 3/00 - 3/26
H04L 5/22 - 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号(132)のエッジ(200)の時点を検出するための方法(700)であって、前記方法(700)は、
- 前記信号(132)と、前記エッジ(200)の前記時点を評価するためのディジタル評価ユニット(125)を動作させるためのベースクロック(210)と、を読み込むステップ(710)と、
- SerDesセル(300)の直並列変換回路(310)を使用して、前記信号(132)を表すデータワード(220)を形成するステップ(720)であって、前記データワード(220)は、複数のビットを有し、更に前記SerDesセル(300)に、前記信号(132)をサンプリングするための、前記ベースクロック(210)よりも高いサンプリングクロック(205)を印加し、前記信号(132)をサンプリングするために、前記サンプリングクロック(205)の2つのエッジを使用し、前記信号(132)を表す別のデータワード(605)を、別のSerDesセル(600)の直並列変換回路を使用して更に形成し、前記別のデータワード(605)は、複数のビットを有し、更に前記別のSerDesセル(600)に、前記信号(132)をサンプリングするための、前記ベースクロック(210)よりも高いサンプリングクロック(205)を印加し、前記SerDesセル(300)及び前記別のSerDesセル(600)は、それぞれ、前記信号(132)のエッジ勾配の異なる符号に反応するステップと、
- 前記信号(132)の前記エッジ(200)の前記時点を、前記ディジタル評価ユニット(125)において、前記データワード(220)及び前記ベースクロック(210)を使用して検出するステップ(730)であって、前記信号(132)の前記エッジ(200)の前記時点を、前記評価ユニット(125)において、前記別のデータワード(605)及び前記ベースクロック(210)を更に使用して検出することによって、前記信号(132)の前記エッジ(200)の前記時点を測定するステップと、を有する方法(700)において、
前記信号(132)を表す第2のデータワード(420)の前記形成ステップ(720)において、第2のSerDesセル(400)の第2の直並列変換回路(410)を使用して、複数のビットを有する前記第2のデータワード(420)を形成し、前記第2のSerDesセル(400)に、前記信号(132)をサンプリングするための、前記サンプリングクロック(205)に対して所定の位相角だけシフトされた、前記ベースクロック(450)よりも高い第2のサンプリングクロック(440)を印加し、前記第2のSerDesセル(400)に、前記ベースクロック(210)に対して所定の位相角だけシフトされた第2のベースクロック(450)を印加し、
前記読み込むステップ(710)において、前記SerDesセル(300、400、600、610)のうちの少なくとも1つへの供給前に、前記信号を遅延させ、該遅延は、個別に調整可能な遅延要素(370、470)によって、前記SerDesセル(300、400、600、610)毎に個別に調整可能であり、
前記検出ステップ(730)において、前記第2のデータワード(420)を更に使用して、前記時点を検出し、前記検出ステップ(730)において、前記データワード(220)の個々の値と前記第2のデータワード(420)の個々の値との交番的な結合を実行することによって、前記データワード(220)の値と前記第2のデータワード(420)の値とを交番的に組み合わせて1つの統合ワード(500)の値を形成し、その結果、前記統合ワード(500)内の各位置が、事前に定義された過去の期間を表し、前記時点を、前記統合ワード(500)を更に使用して検出することを特徴とする、方法(700)。
【請求項2】
前記形成するステップ(720)において、前記SerDesセル(300)に前記サンプリングクロック(205)が印加される前に、前記サンプリングクロック(205)を前記ベースクロック(210)に同期させ、前記サンプリングクロック(205)及び前記ベースクロック(210)は、クロック発生器から供給される信号から導出されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項3】
前記形成ステップ(720)において、前記別のSerDesセル(600)は、前記データワード(220)とは異なるビット数を有する別のデータワード(605)を出力するように構成されていることを特徴とする、請求項に記載の方法(700)。
【請求項4】
前記形成ステップ(720)において、前記信号(132)を表し、且つ複数のビットを有する付加的なデータワード(620)を、付加的なSerDesセル(610)の直並列変換回路を使用して形成し、前記付加的なSerDesセル(610)に、前記信号(132)をサンプリングするための、前記サンプリングクロック(205)に対して所定の位相角だけシフトされた付加的なサンプリングクロックを印加し、前記検出ステップ(730)において、前記時点を、前記付加的なデータワード(620)を更に使用して検出することを特徴とする、請求項又はに記載の方法(700)。
【請求項5】
テスト信号(130、130’)の伝播時間及び/又はパルス幅を特定するための方法(750)であって、送信される前記テスト信号(130)の立ち上がりエッジ及び/若しくは立ち下がりエッジの1つの時点及び/若しくは複数の時点、並びに/又は受信される前記テスト信号(130’)の立ち上がりエッジ及び/若しくは立ち下がりエッジの1つの時点及び/若しくは複数の時点を、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(700)のステップ(710、720、730)を使用して検出し、更に、特定ステップ(760)において、前記伝播時間を、前記立ち上がりエッジ及び/又は前記立ち下がりエッジの時点を使用して特定することを特徴とする、方法(750)。
【請求項6】
交通監視装置(100)のレーザパルス(130、130’)の伝播時間を前記テスト信号(130、130’)として特定する、請求項に記載の方法(800)。
【請求項7】
信号(130)のエッジ(200)の時点を測定するための評価ユニット(125)であって、前記評価ユニット(125)は、請求項1からに記載の方法(700)のステップ(710、720、730)を実行及び/又は制御するように構成されている装置(135、140、150、300、320、330)を有することを特徴とする、評価ユニット(125)。
【請求項8】
前記評価ユニットは、ディジタル集積回路として形成されていることを特徴とする、請求項に記載の評価ユニット(125)。
【請求項9】
前記評価ユニット(125)の前記ベースクロック(210)及び/又は前記サンプリングクロック(205)を、前記評価ユニット(125)の外部から供給するために、少なくとも1つのクロック入力端子が設けられていることを特徴とする、請求項又はに記載の評価ユニット(125)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において紹介するアプローチは、信号のエッジの時点を検出するための方法及び評価ユニットに関する。特に、本明細書において紹介するアプローチは、例えば交通監視システムのためのレーザパルス伝播時間検出の分野における、伝播時間の測定に使用することができる。
【0002】
伝播時間測定のための従来のシステムでは、既存の(遅い)システムクロックを用いて、入力信号のサンプリングが行われることが多い。更に、時間測定のために、別個の時間測定回路を使用することも考えられる。時間測定回路は、例えば、入力信号のレベル遷移の時点を非常に正確に特定することができる付加的な回路(IC)として実装することができる。
【0003】
システムクロックを用いるサンプリングでは、時間分解能が低くなる。システムクロックを大幅に上昇させることも考えられるが、これは、プログラミング可能なディジタル回路では、大幅に長くなる配置配線(Place&Route)時間、電力消費量の高いICの使用、及びより大きい電流消費量等の著しい欠点をもたらすか、又は場合によっては実現できない場合もある。
【0004】
時間測定回路の欠点は、チャンネル数が少ないことであり、これは付加的なコストをもたらし、また回路において付加的な電流及びスペースを必要とする。時間測定回路は、既定の時間内で少数のエッジしか評価できず、更には、定期的に較正されなければならない。プログラミング可能な回路では、内部の遅延素子を用いて時間測定が実施される。内部の遅延素子を介して実施する場合、多数の入力信号のために多数のリソースが必要になる。この実現形態では、実施時に、大きく異なる複数の結果がもたらされ、微分非線形性及び積分非線形性が顕著になる。この実施は、かなりの労力を伴うことでしか、他のディジタル回路に移植できない。多数のシンセシス設定及び実装設定、いわゆる制約を含む、最低限の技術水準での設計仕様が必要になる。上述の方法は、非常に複雑であり、また多くのメンテナンスが必要になる。
【0005】
US8098787(B1)及びUS2013/0341518(A1)には、信号のエッジの時点を検出するための方法が開示されている。この方法は、信号と、エッジの時点を評価するためのディジタル評価ユニットを動作させるためのベースクロックと、を読み込むステップを含む。更に、この方法は、SerDesセルの直並列変換回路を使用して、信号を表すデータワードを形成するステップを含み、データワードは、複数のビットを有し、更にSerDesセルには、信号をサンプリングするための、ベースクロックよりも高いサンプリングクロックが印加され、信号をサンプリングするために、サンプリングクロックの1つのエッジ又は2つのエッジが使用される。最後に、信号のエッジの時点が、ディジタル評価ユニットにおいて、データワード及びベースクロックを使用して検出される。
【0006】
この背景から、本明細書において紹介するアプローチを用いることで、信号のエッジの時点の検出が改善される。
【0007】
従って、信号のエッジの時点を測定するための方法が提案され、この方法は以下のステップを含む:
- 信号と、エッジの時点を評価するためのディジタル評価ユニットを動作させるためのベースクロックと、を読み込むステップ;
- SerDesセルの直並列変換回路を使用して、信号を表すデータワードを形成するステップであって、データワードは、複数のビットを有し、更にSerDesセルに、信号をサンプリングするための、ベースクロックよりも高いサンプリングクロックが印加され、信号をサンプリングするために、サンプリングクロックの1つのエッジ又は2つのエッジが使用される、ステップ;
- 信号のエッジの時点を、評価ユニットにおいて、データワード及びベースクロックを使用して検出するステップ。
【0008】
信号のエッジの時点とは、例えば、信号のレベル遷移の時点又は信号が跳躍的に変化する時点と解される。そのようなエッジは、例えば、期待される信号の到来を表すことができ、このエッジの時点を、信号の伝播時間の評価に使用することができる。直並列変換回路(Deserializer)とは、例えば、単一の信号線において信号を時間的にサンプリングし、取得された各サンプリング値を、1つのブロックでパラレルに出力されるべきデータワードとして記憶又は格納するコンポーネントであると解することができる。SerDesセルとは、単一のデータ線においてデータワードを伝送するように設計されているコンポーネントであると解することができ、データワードの個々の成分は、パラレルに読み込まれ、パラレル・シリアル変換され、データ線を介してシリアルに伝送され、続いて再度シリアル・パラレル変換され、受信したデータワードとして提供される。ここで、そのようなSerDesセルは、電子回路を動作させるために使用されるシステムクロック/ベースクロックよりも高いサンプリングクロックを用いて動作し、これによって、提供されるべきデータワードのビットに信号のサンプリング値を格納することができ、そこから、データ線を介してシリアルに送信されるべき値を求めることができる。例えば、検出ステップを、更にサンプリングクロックを使用して実施することができる。
【0009】
本明細書において紹介するアプローチは、既に市販されているSerDesセル又はそれらのセルのコンポーネントを使用して、信号のエッジの時点を非常に正確に検出できることが多いという認識に基づく。この場合、そのようなSerDesセルでは、通常は、電子回路又は評価ユニットの動作に使用されるシステムクロック又はベースクロックよりも高いサンプリングレートが使用されるということが利用され、それによって、ベースクロックを使用した場合の最大の時間分解能を大幅に上回る、信号のエッジの到来時点の時間分解能が実現される。具体的には、ここでは、データ線又は信号線を伝播する信号が直並列変換回路の入力端に供給され、続いて、直並列変換回路がこの信号から、対応するnビットのデータワードを生成する。ここで、信号は、ディジタル信号として存在してもよい。例えばエッジの発生によって、信号の状態が論理0(「Low」)の値から論理1(「High」)の値に変化する信号のエッジとしてのレベル遷移又は信号の跳躍的変化では、信号のこの遷移、跳躍的変化又はエッジの時点を、サンプリングクロック並びにデータワードの知識のもとで、データワードのどの位置において、状態又は信号レベルの遷移又は跳躍的変化が識別されたかが確認されることによって検出することができ、この場合、このデータワードにおける各位置又は場所は、サンプリングクロックの期間又は周期に対応する。更に、2つのエッジが、ここではサンプリングクロックの両方のエッジとして、即ち開始エッジ及び終了エッジとして使用されることも考えられる。従って、ベースクロックの期間又は周期を特定することによって、並びに、信号のエッジ、跳躍的変化又はレベル遷移の発生時に、サンプリングクロックの期間又は周期を特定することによっても、信号のエッジの発生の時点の非常に正確な測定を行うことができる。同時に、そのような可能性を、公知のSerDesセルのコンポーネントを使用することによって、特に例えばFPGA又はASICのようなディジタル回路においても、技術的に非常に容易に実施することができる。
【0010】
本発明によれば、信号を表す第2のデータワードの形成ステップにおいて、この第2のデータワードが、第2のSerDesセルの直並列変換回路を使用して形成され、第2のデータワードが、複数のビットを有し、特に、信号をサンプリングするために、サンプリングクロックの両方のエッジが使用され、第2のSerDesセルに、サンプリングクロックに対して所定の位相角だけシフトされた第2のサンプリングクロックが、信号をサンプリングするために印加され、特に、第2のサンプリングクロックが、サンプリングクロックに対して90度の位相角だけシフトされており、検出ステップにおいて、時点が更に第2のデータワードを使用して検出される。例えば、ここでは、同一の信号を、SerDesセルの直並列変換回路と、第2のSerDesセルの直並列変換回路とに並列に供給することができる。そのような実施形態は、(第1の)SerDesセルにおいてサンプリングクロックを使用することによって、また第2のSerDesセルにおいて位相シフトされた第2のサンプリングクロックを使用することによって、第2のSerDesセルの直並列変換回路を用いたエッジの発生時点の非常に正確な検出も行うことができることから、サンプリングクロックの周期持続時間内に位置する信号のエッジの発生の時点を検出することができるので、信号のエッジの発生の時点の特定を更に高い精度で実現できるという利点を提供する。
【0011】
本発明によれば、検出ステップにおいて、データワードの値と第2のデータワードの値と、を特に交番的に組み合わせて1つの統合ワードの値が形成され、時点は、この統合ワードを更に使用して検出される。本明細書において紹介するアプローチのそのような実施形態は、位相シフトされたサンプリングクロックを用いてサンプリングされた信号の値によって、統合ワードの異なる位置において、非常に高い精度で検出又は測定された信号のエッジの時点を特定することができるという利点を提供する。
【0012】
本明細書において紹介するアプローチの実施形態では、形成ステップにおいて、SerDesセルにサンプリングクロックが印加される前に、サンプリングクロックがベースクロックに同期され、特にサンプリングクロック及びベースクロックが、クロック発生器から供給される信号から導出されることから更に好適である。本明細書において提案するアプローチのそのような実施形態は、サンプリングクロックの周期の開始が、ベースクロックの周期の開始と一致することから、信号のエッジの発生の時点を、ベースクロックの周期持続時間の単純な加算によって、またサンプリングクロックの1つ又は複数の周期持続時間のデータワードにおける情報に依存して検出することができるので、時点の特に簡単な検出の利点を提供する。
【0013】
本明細書において提案するアプローチの別の実施形態によれば、形成ステップにおいて、更に、信号を表す別のデータワードを、別のSerDesセルの直並列変換回路を使用して形成することができ、別のデータワードが、複数のビットを有し、更に、別のSerDesセルには、信号をサンプリングするための、ベースクロックよりも高い別のサンプリングクロックが印加され、SerDesセル及び別のSerDesセルは、それぞれ、信号のレベル遷移の異なる符号に反応する。ここで、検出ステップにおいては、信号のエッジの時点を測定するために、信号のエッジの時点を、別のデータワード及びベースクロックを使用して評価ユニットにおいて検出することができる。別のサンプリングクロックとして、例えば、前述のサンプリングクロックを使用することができる。例えば、SerDesセルは、信号の立ち上がりエッジ又は上昇方向のレベル遷移に反応することができ、それに対し、別のSerDesセルは、信号の立ち下がりエッジ又はや下降方向のレベル遷移に反応することができる。信号は、例えば、SerDesセル及び別のSerDesセルに並列に供給することができる。本明細書において提案するアプローチのそのような実施形態は、信号において場合によっては何度も発生する複数のレベル遷移を検出することができるので、信号のエッジの時点の特定の精度を更に高めることができるという利点を提供する。
【0014】
更に、本明細書において提案するアプローチの実施形態においては、形成ステップにおいて、別のSerDesセルが、第1のSerDesセルのデータワードのビット数とは異なるビット数を有する別のデータワードを出力するように構成されていることも考えられる。本明細書において提案するアプローチのそのような実施形態は、信号のエッジの時点の特定の精度に関するフレキシビリティを提供する。例えば、評価の要求に応じて、信号の立ち上がりエッジ又は上昇方向のレベル遷移を、立ち下がりエッジ又は下降方向のレベルの遷移とは異なる精度により検出することができる。
【0015】
また、別の実施形態によれば、形成ステップにおいて、信号を表す付加的なデータワードが、付加的なSerDesセルを使用して形成され、付加的なデータワードが、複数のビットを有し、付加的なSerDesセルに、信号をサンプリングするための、サンプリングクロックに対して所定の位相角だけシフトされた付加的なサンプリングクロックが供給され、特に、付加的なサンプリングクロックが、サンプリングクロックに対して90度の位相角だけシフトされており、また検出ステップにおいて、時点が更に付加的なデータワードを使用して検出される。例えば、付加的なサンプリングクロックとして、第2のサンプリングクロックを使用することができる。信号は、例えば、別のSerDesセル及び付加的なSerDesセルに並列に供給することができる。また、そのような実施形態によって、エッジ又はレベル遷移の発生の時点を、特に立ち下がりエッジの時点を検出する際に、非常に高い精度をもって検出することができる。
【0016】
特に有利には、本明細書において提案するアプローチの実施形態では、信号が、読み込むステップにおいて、SerDesセルの内の少なくとも1つに供給される前に遅延され、特に調整可能に遅延される。そのような実施形態は、SerDesセルに使用される技術及び/又は環境要因に依存して、信号を遅延させることができるので、信号のエッジ又はレベル遷移の時点の特定の可能な限り高い精度が実現される。
【0017】
特に有利な実施形態においては、テスト信号の伝播時間及び/又はパルス幅を特定するための方法を実現することができ、この方法においては、送信されるテスト信号の立ち上がりエッジ及び/若しくは立ち下がりエッジの1つの時点及び/若しくは複数の時点、並びに/又は受信されるテスト信号の立ち上がりエッジ及び/若しくは立ち下がりエッジの1つの時点及び/若しくは複数の時点が、信号のエッジの時点を検出するための、本明細書において紹介する方法の変形形態のステップを使用して測定され、更に、特定ステップにおいて、伝播時間が、立ち上がりエッジ及び/又は立ち下がりエッジの時点を使用して特定される。そのような実施形態は、特に、罰金を科す手続き又は刑事訴訟手続きにおける測定の基礎として、若しくは、空気又は液体のような種々の媒体における電磁信号の時間測定として使用されるべき場合には、信号の伝播時間が非常に正確に特定されるという利点を提供する。
【0018】
ここでは、交通監視装置からのレーザパルスの伝播時間がテスト信号として特定される、本明細書において紹介するアプローチの実施形態に特に注意を向けることができる。そのような実施形態は、光速で伝播するレーザパルスの非常に短い伝播時間を、本明細書において提案するアプローチを使用して十分に識別でき、これに基づいて、交通監視の分野において法的に耐え得る十分な測定が達成されるという利点を提供する。
【0019】
本明細書において紹介するアプローチは、更に、本明細書において紹介する方法の変形形態のステップを相応の装置において実行、制御、又は実施するために形成されている評価ユニットを提供する。評価ユニットの形態の本発明のこの実施形態の変形形態によっても、本発明が基礎とする課題を迅速且つ効率的に解決することができる。
【0020】
このために、評価ユニットは、信号若しくはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニット、信号若しくはデータを記憶するための少なくとも1つのメモリユニット、又は、センサからセンサ信号を読み込むための、若しくは、通信プロトコルに準拠するデータの読み込み又は出力用の少なくとも1つの通信インタフェースにデータ信号又は制御信号を出力するための、センサ又はアクチュエータとのを少なくとも1つのインタフェースを有することができる。計算ユニットは、例えば、シグナルプロセッサ、マイクロコントローラ等であってよく、メモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROM、磁気メモリユニットであってよい。通信インタフェースは、無線及び/又は有線によるデータの読み込み又は出力を行うように構成することができ、この場合、有線によるデータの読み込み又は出力を行うことができる通信インタフェースは、それらのデータを、例えば、相応のデータ伝送線路から電気的又は光学的に読み込むことができるか、又は相応のデータ伝送線路に出力することができる。
【0021】
ここで評価ユニットとは、センサ信号を処理し、それに応じて制御信号及び/又はデータ信号を出力する電気機器と解することができる。評価ユニットは、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより形成することができるインタフェースを有することができる。ハードウェアにより形成される場合、インタフェースは、例えば、評価ユニットの非常に多くの機能を含む、いわゆるFPGA又はシステムASICの一部であってよい。しかしながら、インタフェースは、固有の集積回路であってもよいし、少なくとも部分的に離散的な構成要素から構成されていてもよい。ソフトウェアにより形成される場合、インタフェースは、例えば、他のソフトウェアモジュールと共にマイクロコントローラに存在するソフトウェアモジュールであってよい。
【0022】
本明細書において紹介するアプローチの有利な実施形態によれば、評価ユニットは、ディジタル集積回路として、特にコンフィギュラブルなディジタル集積回路として形成することができる。そのような実施形態は、本明細書において提案するアプローチを実施するために、広く市販されているコンポーネントを使用でき、またそれらのコンポーネントを技術的に簡単な手段により、相応に集中させることができるという利点を提供する。それと同時に、そのような実施形態は、多くの場合に非常に高速に動作し、従って、本明細書において紹介するアプローチを実行するためのハードウェアベースとして良好に使用することができる。
【0023】
更に、評価ユニットのベースクロック及び/又はサンプリングクロックを、評価ユニットの外部から供給するために、少なくとも1つのクロック入力端子が設けられている、本明細書において紹介するアプローチの実施形態も考えられる。そのような実施形態は、複数の異なるクロックの内の1つ又は複数を使用するために、外部のクロック源を使用できるという利点を提供する。外部のクロック源は、例えば、ジッタに関して高い精度を有し、また、例えば、相応の回路に集積されたクロック発生器においては、十分に提供できない可能性のある高いクロック周波数を提供する。
【0024】
また、半導体メモリ、ハードディスクメモリ、光学メモリのような機械可読の担体又は記憶媒体に記憶することができ、また特にプログラム製品又はプログラムがコンピュータ又は評価ユニットにおいて実行される場合に、前述の実施形態の内の1つによる方法のステップを実行、実施、及び/又は制御するために使用されるプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムも有利である。
【0025】
以下では、本明細書において紹介するアプローチの好適な実施例を、添付の図面に基づいて例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施例による評価ユニットを用いて車両の速度を測定する際の交通監視装置の概略図である。
図2】本明細書において紹介するアプローチの基本機能を説明するための複数の信号経過を含むグラフを示す。
図3】非常に簡略化された形態の、時間測定のための一実施例による評価ユニットの基本構造をブロック回路図で示す。
図4】2つのSerDesセルを使用する、一実施例による評価ユニットの変形形態のブロック回路図を示す。
図5図4による評価ユニットの基本機能を説明するための複数の信号経過を含むグラフを示す。
図6】拡張された形態の、時間測定のための一実施例による評価ユニットの基本構造をブロック回路図で示す。
図7】信号のエッジの時点を測定するための方法としての、本明細書において紹介するアプローチの一実施例のフローチャートを示す。
【0027】
図1は、車両105の速度を測定する際の、交通監視装置100の概略図を示す。交通監視装置100は、例えば、レーザ銃として構成されており、警察官は、所定の道路区間における最大許容速度の違反を監視するためにこのレーザ銃を使用することができる。ここで、車両105による最大許容速度のこの違反を突き止めるために、交通監視装置100のトリガユニット110は、始動信号115をレーザユニット120及び評価ユニット125に出力し、それによって、レーザユニット120が制御されて、レーザパルス130を出力し、また評価ユニットは、レーザパルス130の送出に関する情報を提供する。レーザユニット120は、例えば、図1には図示していないレーザダイオードを含み、このレーザダイオードは、レーザパルス130を生成して、車両105の方向へと送出する。同時に、評価ユニット125においては、始動信号の受信の時点を識別し、時間測定を開始することができる。車両105の表面において、レーザパルス130が反射され、交通監視装置100におけるレーザユニット130において、反射レーザパルス130’として再び受信され、図1には明示的に図示していないレーザセンサを使用して、受信信号132に変換され、受信信号132は、同様に、評価ユニット125に供給される。始動信号115及び受信信号132に基づいて、評価部125においては、レーザユニット120による送出から、反射レーザパルス130’の受信までの、レーザパルス130の伝播時間を検出することができ、この伝播時間は、光速が分かれば、車両105と交通監視装置100との距離を検出するために利用することができる。そのような伝播時間測定のために、信号130’の到達の時点が測定され、その際に先ず、読み込みインタフェース135において、反射レーザパルスを表す受信信号132(以下の説明では、簡略化のために単に信号と記す)が読み込まれ、またクロック発生器140からは、ディジタル評価ユニットを動作させるためのベースクロックが、エッジの時点を評価するために読み込まれる。続いて、読み込まれた信号132に由来する情報は、形成ユニット145によって、SerDesセルの直並列変換回路を使用した信号132を表すデータワードの形成のために使用され、この場合、データワードは、複数のビットを有し、また更に、SerDesセルには、信号をサンプリングするための、ベースクロックよりも高いサンプリングクロックが印加される。最後に、形成ユニット145において形成された値乃至データワードは、評価ユニットにおいてデータワード及びベースクロックを使用して信号132におけるエッジの時点を検出するための検出ユニット150に供給され、これによって、信号132におけるエッジの時点が測定される。車両105の瞬時速度を測定するために、前述の方式が何度も続けて繰り返され、その結果、測定間に経過した時間の知識のもとで、交通監視装置100までの車両105の距離がその都度検出されることによって、車両105の速度を逆算することができる。
【0028】
ここで、交通監視装置100による車両105の速度の非常に正確な測定を実現するために、交通監視装置100と車両105との距離を正確に検出することが必要になる。このことは、特に、交通監視装置100の測定が、多くの場合、速度規制の違反が確認されて、罰金を科すために、又は刑事訴訟手続きを開始するために用いられ、従って、裁判において使用できるようにするために高い要求が課されることに起因する。従って、到達した受信信号132の時点の測定が、特に注視され、この時点は、交通監視装置100と車両105との距離が多くの場合は短いことから、光速の早い伝播時間では、重要な意味を持つ。冒頭で既に説明したように、幾つかのアプローチでは、実現の容易さに関する問題、又は実装コストに関する問題が発生するが、それらの問題は、本明細書において紹介するアプローチによって回避又は解消される。
【0029】
従って、信号に発生するエッジ又は信号の跳躍的な変化の時間評価のために、例えば、モジュールにおける2つの回路間の高速なデータ伝送のためにFPGAが有しているような、少なくとも1つのSerDesセル、より正確にはSerDesセルの少なくとも1つの直並列変換回路を使用することができる。これらのセルは、出力されるデータストリームを、パラレルデータからシリアルデータに変換し(並直列変換回路)、また入力されるデータストリームを、シリアルデータからパラレルデータに変換し(直並列変換回路)、これが、Ser(並直列変換回路:Serrialisierer)Der(直並列変換回路:Desserialisierer)という名称の由来となっている。
【0030】
入力端としてのSerDesセルは、シリアル入力信号が、高速なクロック(サンプリングクロック)でサンプリングされるシフトレジスタである。シフトレジスタの内容は、それよりも遅いクロック(ベースクロック)により並列に出力される。出力端としてのSerDesセルは、遅いクロックにより並列にロードされ、またそのデータが高速なクロックでサンプリングされるシフトレジスタである。変換は、現行のFPGA技術において、1:4~1:14ビットまでの比率で行うことができる。1:4は、4つのパラレルビットが、1つのシリアルラインに変換されることを意味し、その逆も同様のことを意味する。パラレルデータの周波数は、シリアルデータのために、変換比率に応じて数倍にされる。シリアルデータとパラレルデータのクロック比をもう一度2倍にするためには、シリアルデータストリームを、高速なクロックの両方のエッジにより出力乃至サンプリングすることも考えられる。いわゆるDDR-FF(ダブルデータレート・フリップフロップ)が使用される。
【0031】
例えば図1における評価ユニット125のような評価ユニットでは、回路又はFPGAにおいて、2つのパルス間の時間及び所定の信号におけるパルス幅を測定することができる。先ずここで説明したケースでは、パルスは正のパルスである。パルス信号乃至受信信号132に相当する信号は、先ず(例えばFPGAにおいて)ディジタル化される。このために、SerDesセルが、直並列変換回路として使用される。直並列変換回路は、シリアル入力信号をマルチビット値に変換して、入力シフトレジスタチェーンの内容をパラレルデータの遅いクロックで供給する。
【0032】
図2は、本明細書において紹介するアプローチの基本的な機能を説明するための、複数の信号経過を含むグラフを示す。図2は、この関係において、1:4の直並列変換比に関する信号再生を示す。図2においては、受信信号132の到達時に、信号の跳躍的変化又はエッジ200が生じる信号経過が示されており、この信号の跳躍的変化又はエッジ200は、「Low」又は論理0の値では、まだ到達していない反射レーザパルス130’に対応し、反射レーザパルス130’がレーザユニット120に到達した際に、この信号の値は、「High」又は論理1の値に跳躍的に変化する。簡略化のために、以下では、反射レーザパルス130’に対応する信号自体を参照符号132で表すものとする。図2において、信号経過の下に図示した部分グラフには、(高速な)サンプリングクロック205が表されており、またその下の別の部分グラフには、電子回路のベースクロック210が表されている。図2の一番下の部分グラフには、SerDesセル又はSerDesセルの直並列変換回路に信号132、サンプリングクロック205及びベースクロックが印加された際に得られるような一連のデータワードが表されている。ここでは、直並列変換回路の(シリアル)入力端に論理0の値が印加されると、この論理0の値がサンプリングクロックでサンプリングされ、信号132の各サンプリング値に応じて、データワード220における該当する位置に、論理0の対応する値が格納されることがデータワード220から見て取れる。サンプリングクロックは、ベースクロックの4倍に相当するので、直並列変換回路の設計は、4ビット幅のデータワードが出力されるように選択される。ここで、データワードの長さは、例示的に選択されているが、他の長さのデータワード220も、SerDesセル又はSerDesセルの直並列変換回路から出力することができ、その場合、サンプリングクロック205とベースクロック210との相応の比率も選択することができる。更に、一番下の部分グラフからは、ベースクロック210の最初の2サイクルの間に、信号132の跳躍的変化は検出されず、その結果、データワード220が、それぞれ「0000」及び「0000」の値を有することが見て取れる。
【0033】
ベースクロック210の3番目のサイクルの間に、図1の一番上の部分グラフでは、信号132におけるレベル遷移を見て取れ、このレベル遷移がSerDesセルの直並列変換回路によって識別される。ここで、SerDesセルの直並列変換回路によって、サンプリングクロック205を用いて信号132をサンプリングする際に、論理0の値から論理1の値への信号の跳躍的変化又はエッジ200が、ベースクロック210のサンプリングクロック205の2番目のサイクルと3番目のサイクルとの間に検出されるので、ベースクロック210の3番目のサイクルにおける4ビットのデータワード220への、SerDesセルの直並列変換回路の直並列変換時に、「0011」のワードが出力される。後続のベースクロック210においては、サンプリングクロック205により信号132をサンプリングしても、もはや信号の跳躍的変化は識別されないので、サンプリングクロック205の各周期での信号132の値を表す各値が、データワード220の該当する位置に書き込まれるので、それらの時点においては、「1111」のデータワードが出力される。従って、信号132における信号の跳躍的変化の時点を評価する際、サンプリングクロック205又はサンプリングクロック205の周期、ベースクロック210又はベースクロック210の周期、並びに、各データワード220を使用することができ、それによって、信号132における信号の跳躍的変化の時点を非常に正確に検出することができ、少なくとも、ベースクロック210のみを使用する場合よりも遥かに正確に検出することができる。
【0034】
従って、パラレル出力データ又はデータワード220は、信号132におけるエッジを識別するために、レベル遷移について検査される。パラレルデータのレベル遷移の位置は、時間情報を含む。この時間情報を評価することができる。並列データのベースクロック210の遅いクロックで動作し、またベースクロック210のサイクルを、そのベースクロック210の既知の周期持続時間においてカウントする粗いカウンタを用いることで、レベル遷移が発生した時点を特定することができる。しかしながら、それと同時に、サンプリングクロック205の周期持続時間も既知であることが望ましい。何故ならば、これは、データワード220における信号値変化の位置によってベースクロック210の周期持続時間内のエッジ200の時点を検出するために使用されるべきだからである。
【0035】
図3は、非常に簡略化された形態の、時間測定のための評価ユニット125の基本構造のブロック図を示す。ここで、信号132、サンプリングクロック205並びにベースクロック210は、SerDesセル300、特にSerDesセル300の直並列変換回路310に供給され、この直並列変換回路310が続いてデータワード220を検出して、エッジ評価ユニット320に供給し、このエッジ評価ユニット320にも、同様にベースクロック210が供給される。ここで、エッジ評価ユニット320では、図2のグラフに示した信号の跳躍的変化又はエッジ200が信号132に含まれていたことが識別されるので、その結果、データワード220を時間検出ユニット330に転送することができ、この時間検出ユニットでは、粗いカウンタ340において求められた、ベースクロックの経過したサイクル数と、データワード220における値の変化の位置とを考慮して、信号132におけるエッジ200又は信号の跳躍的変化の発生の時間情報又は時点350を検出することができる。この場合、評価ユニット125の時間分解能は、サンプリングクロック205の周期持続時間に対応する。
【0036】
エッジ200毎に、SerDesセル300又はSerDesセル300の直並列変換回路310、エッジ評価ユニット320(これらが一緒になってチャネル360を形成する)及び粗いカウンタ340を用いて、信号132のエッジ200の発生の時点350が検出される。エッジ評価ユニット320の出力端は、粗いカウンタ340と共に、例えば、遅いクロック又はベースクロック210と同期している高速なクロック又はサンプリングクロック205の時間分解能で時間情報を検出するための入力データを提供する。
【0037】
時間分解能を高めるために、別の実施例では、SerDesセル300又はSerDesセル300の直並列変換回路310が、サンプリングクロック205の両方のエッジを用いるように動作することができ、それによって、評価ユニット125の時間分解能が2倍になる。これによって、データワード220のビット幅も同様に2倍になる。
【0038】
分解能を高めるために、別の実施例では、入力信号132毎に2つのSerDesセル又はその直並列変換回路を使用することができる。第2のSerDesセル又はその直並列変換回路は、90°シフトされた高速なクロック、つまりサンプリングクロック205により動作する。第2のSerDesセルの遅いクロック(即ち、ベースクロック210)は、例えば、直並列変換比(1:n→90°/n)に応じてシフトされる。この構造により、SerDesセルが各サンプリングクロックの両方のエッジを用いるように動作する場合には、評価ユニット125の可能な時間分解能がやはり2倍になる。
【0039】
図4は、2つのSerDesセル、即ちSerDesセル300及び第2のSerDesセル400を使用する、評価ユニット125のそのような変形形態のブロック回路図を示し、各SerDesセルには、信号132が(パラレル信号供給で)印加される。より正確には、第2のSerDesセル400の第2の直並列変換回路410には、信号132が印加される。この場合、第2のSerDesセル410の構造及び結線は、SerDesセル300の構造及び結線に対応することができる。続いて、第2のSerDesセル400又は第2のSerDesセル400の直並列変換回路410は、第2のデータワード420を供給し、この第2のデータワード420は、(直並列変換回路310から供給されるデータワード220と共に)結合ユニット430に供給され、この結合ユニット430は、エッジ評価ユニット320の機能並びに時間検出ユニット330の機能を実現するので、検出された時点350に対応する情報が出力される。信号132におけるエッジ200の時点検出の時間分解能を高めるために、第2のSerDesセル400又は第2のSerDesセル400の第2の直並列変換回路410には、サンプリングクロック205と比較して位相シフトされた第2のサンプリングクロック440が印加される。これによって、サンプリングクロック205のみを用いて、サンプリングクロック205の立ち上がりクロックエッジ及び立ち下がりクロックエッジだけを使用して達成することができる時間分解能よりも高い時間分解能により、信号の跳躍的変化又はエッジ200を検出することが実現される。例えば、第2のサンプリングクロック440は、サンプリングクロック205に対して90°位相シフトさせることができる。また、第2のSerDesセル400又は第2の直並列変換回路410は、ベースクロック210に対して位相シフトされた第2のベースクロック450によってクロック制御され、それによって、第2のデータワード420が出力される。これに対して、結合ユニット430における時間評価の結果は、例えば、シフトされていない遅いクロック、即ちベースクロック210に同期される。(測定)チャネル360を、拡張された(測定)チャネル460にこのように変更することによって、信号132における、発生した信号の跳躍的変化又はエッジ200の時点の時間分解能の顕著な上昇(倍化)を達成することができる。
【0040】
更に、最適な実施例によれば、ベースクロック210によってクロック制御されているDフリップフロップ(DFF)を(それぞれ)用いて、データワード220及び/又は第2のデータワード420を、結合ユニット430に供給される前に一時記憶することもできる。これによって、データワード220及び420が結合ユニット430に同時に到達することを保証することができるので、結合ユニットへのデータ線における、又は結合ユニットにおける未定義の状態を回避することができる。
【0041】
更に、例えばXilinx社のIDELAY2のような、遅延素子370、470を用いて、該当するSerDesセル300、400の直並列変換回路310、410に印加される前のps範囲の時間遅延を、各入力信号乃至信号132に対して個別に設定することができる。時間的に個別に遅延されている点で、信号132とは異なる信号132’又は132’’が生じる。信号132の個別の遅延により、評価ユニット125における信号132の入力と、直並列変換回路310、410のサンプリングポイントとの間の、技術に起因する及び/又は環境に起因する不均等な遅延が補償される。使用される全ての直並列変換回路310、410にわたり信号132の最大の等時的なサンプリングが実現され、これによって、評価ユニット125及び検出された時点350の微分非線形性及び積分非線形性が最小になる。個別に調整可能な遅延要素370、470によって、信号132の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジにおけるシステムの異なる特性を、信号132の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、又は両方のエッジに対して最適化されるように補正することができる。信号の両方のエッジに対して最適化された補正は、場合によっては、信号132の1つのスイッチングエッジに対する最適化よりも大きい、評価ユニット125の非正確性(微分非線形性又は積分非線形性)を生じさせる。信号132の一方のスイッチングエッジへの補正を最適化すると、場合によっては、評価ユニット125の信号132の他方のエッジの測定精度(微分非線形性又は積分非線形性)が著しく低下する。
【0042】
結果として生じるパラレルな出力データ又はデータワード220又は420は、図4に図示したシステム構造によれば、DFTによって、遅い0°のクロックだけ遅延されている。何故ならば、シフトされたSerDesセル400のパラレル出力データ420が、シフトされていないクロック(ベースクロック210)に同期されるからである。この構造は、評価ユニット125のさらに高い時間分解能を達成するために、更に二重化することができる。しかしながら、この構造は、(FPGA)技術では、制限的なパラメータを有する。例えば、使用される可能な限り全てのクロックが1つのクロック発生器において生成されるので、全てのクロックにおけるジッタが同一であることに留意しなければならない。更に、クロック発生器は、異なる出力クロック上で、相応の細粒度の位相シフトを実現することが望まれる。例えば、一般的なFPGA技術は、最大8つのクロック出力を備えたクロック発生器を提供する。また、外部のクロック発生器を介してクロックを生成することも可能である。この場合、回路基板及びFPGAにおけるクロックの分配及び伝播時間には細心の注意を払わなければならない。
【0043】
例えば、これに関して、サンプリングクロック205もベースクロック210も、図4には図示していない、評価ユニット125外部のクロック発生器(例えば、図1のクロック発生器140)によって生成することができ、またベースクロック210を、サンプリングクロックから導出することができる。また、例えば、位相シフトをクロック発生器において行うことができ、それによって、第2のサンプリングクロック440又は第2のベースクロック450が取得される。代替的に、そのような位相シフトされたクロックの提供は、相応に形成された位相シフト素子によって、評価ユニット125内においても行うことができる。
【0044】
例えば、別の各SerDesセルによって、FPGAにおいては、別の入力ピンが必要になる。各入力ピンのスイッチング閾値は、入力電圧レベル、ひいては時点が異なると、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジに対して個別に、即ち入力ピン毎に切り替わる。これによって、システムの微分非線形性が不正確になる。時間情報の均等分布がもはや生じない。この問題は、既に上記において簡潔に説明したように、相応に接続された信号の転送時に遅延の個別の調整を実現できる遅延素子370、470の使用によって補償することができる。
【0045】
回路基板の企画時には、全ての入力ピンが可能な限り急峻なスイッチングエッジにより動作されることが考慮されなければならない。場合によっては、FPGAにおける入力ピンによって、評価すべき信号を捕捉し、1:nマルチプレクサを介して、n個の出力ピン(SerDesセル毎に1ピン)に非同期で出力することが有効である。これらのn個の出力信号は、回路基板において、測定段の入力ピンに直接フィードバックされる。FPGAの出力ピンは、非常に急峻なスイッチングエッジを生成することができ、それによって、上記の挙動を最小限に抑えることができる。
【0046】
各構造では、直並列変換の比率が2倍で実現され、それによって、粗いカウンタの拡張が可能な限り簡潔に行われることに注意しなければならない。
【0047】
図5は、図4による評価ユニット125の基本機能を説明するための複数の信号経過を含むグラフを示す。一番上の部分グラフには、2つのSerDesセル300及び400に供給される信号132の信号経過が示されている。その下に図示された3つの部分グラフは、図3(又は図4)に示した(第1の)SerDesセル300に関して図2を参照して既に説明したような、サンプリングクロック205、ベースクロック210、及びデータワード220の信号経過に対応する。続く3つの別の部分グラフには、第2のSerDesセル400に関して図4を参照して既に説明したような、第2の(90°位相シフトされた)サンプリングクロック440、第2の(位相シフトされた)ベースクロック210、及びデータワード420の信号経過が示されている。ここで、第2のベースクロック450の3番目のサイクル、即ち位相シフトされたベースクロック450の3番目のサイクルにおいては、第2のデータワード420は、もはや値「0011」ではなく、値「0111」を有することが見て取れる。このことは、信号の跳躍的変化又はエッジ200が、サンプリングクロック205を使用するサンプリングよりも、第2の(即ち、90°位相シフトされた)サンプリングクロック440を用いたサンプリングによって、若干早期に発生したことが識別されたことに起因する。結合ユニット430において、データワード220及び第2のデータワード420から、発生した信号の跳躍的変化又はエッジ200の時点が検出される場合、これに加えて、例えば、データワード220及び第2のデータワード420の個々の値を交番的に結合して、1つの統合ワード500を形成することができ、その結果、この統合ワード500の各位置は、事前に定義された過去の期間を表す。このようにして、信号132のエッジ200の発生の時点350の非常に正確な検出を達成できる。
【0048】
評価ユニット125の識別精度の更なる改善を達成するために、図4に図示した構造も更に拡張することができ、この拡張については、図6を参照しながら更に説明する。
【0049】
図6は、拡張された形態の、時間測定のための一実施例による評価ユニット125の基本構造をブロック回路図で示す。図4の評価ユニット125とは異なり、例えば、別のチャネル460を設けることができ、この別のチャネル460においては、SerDesセルが、信号又はエッジ200の下降方向の跳躍的変化、即ち、例えば、信号132のレベル論理1からレベル論理0への移行に反応する。更に、別のチャネル460は、別のSerDesセル600を含むことができ、この別のSerDesセル600は、エッジ感度以外はSerDesセル300に対応し、別のデータワード605を出力するために、信号132、サンプリングクロック205及びベースクロック210が同様に供給される。別のチャネル460は、並列な付加的なSerDesセル610を含むことができ、この付加的なSerDesセル610は、エッジ感度以外は第2のSerDesセル400に対応し、付加的なデータワード620を出力するために、信号132、第2の(位相シフトされた)サンプリングクロック440及び第2の(位相シフトされた)ベースクロック450が同様に供給される。続いて、別のデータワード605及び付加的なデータワード620から、結合ユニット430に対応する別の結合ユニット630において、立ち下がりエッジの発生に関するエッジ評価を行うことができ、また対応する時間情報640を全エッジ評価ユニット650に送信することができ、続いて、全エッジ評価ユニット650は、立ち上がり信号エッジ又は立ち下がり信号エッジのいずれかを有するエッジ200又は信号の跳躍的変化を検出することができる。続いて、後続の時点検出ユニット660においては、発生したエッジ200の時点に関する該当情報を取得することができ、この際、やはり情報は、ベースクロック210の周期数又は周期持続時間を提供する粗いカウンタ340からの情報を使用して、それによって、またデータワード220、420、605及び/又は620からの情報を使用して、信号132のエッジ200の発生の時点を非常に正確に特定することができる。ハードウェア回路内の信号の伝搬時間を適合させるために、図6に図示したようなこの実施例においても、図4の実施例に関連させて既に詳細に説明したような遅延素子を更に使用することができる。チャンネル360(図6を参照されたい)における遅延素子370、470は、例えば、信号132の立ち上がりエッジについて最適化されるように調整され、またチャンネル460における遅延素子680、690は、例えば、信号132の立ち下がりエッジについて最適化されるように調整される。これによって、信号132の両方のエッジの最大限に正確なサンプリングが達成される。
【0050】
従って、要約すると、本明細書において紹介するアプローチによれば、ディジタル回路の直並列変換回路を使用して時間測定が行われる。現行のディジタル回路では、IOセル内に、本明細書において紹介する目的のために非常に良好に使用することができる並直列変換回路/直並列変換回路(SerDes)が設けられている。これらのセルを用いて、少数の線路による高速なデータ伝送が実現される。このために、並直列変換回路においては、パラレルデータがシリアル変換され、高ビットレートで出力される。直並列変換回路は、ビットデータストリームを受信し、データをより低い速度により再びパラレルワードに変換する。直並列変換回路は、入力信号を非常に高いクロックでサンプリングする。この特性が、時間測定に利用される。評価される入力信号は、1つ又は複数の直並列変換回路の入力に印加される。この信号は、直並列変換回路の高いサンプリングレートクロックレートでサンプリングされ、直並列変換回路の出力端において、システムクロックでパラレルに出力される。直並列変換回路においてサンプリングクロックの両方のエッジを使用し、また位相シフトされたサンプリングクロックを用いて直並列変換回路を駆動制御することによって、サンプリングクロックの数倍の時間分解能が達成される。直並列変換回路のデータストリームを、更に適切に処理することができる。直並列変換回路に並列に、システムクロックで動作する粗いカウンタが存在する。このクロックは、1つ又は複数の直並列変換回路によって、そのシリアル・パラレル変換及び結線に応じて分解能が更に高められ、この際、エッジに関する入力信号の複数の入力ステージの最適化も行うことができる。その結果、1つの信号をサンプリングするために、その都度、1つ又は複数の入力ステージが使用される。エッジ評価においては、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジのための正確な時間値が正確に考慮されなければならない。
【0051】
回路の特性は、技術及び環境に依存する。技術の依存性を補償するために、回路を較正する必要がある。例えば、遅延素子の遅延を動的に変更することができる。これによって、使用される各IC又は回路における較正を個別に適合させることができる。環境要因の影響も同様に、遅延素子の遅延を動的に変化させることによって補償することができる。これを技術に依存して、必要に応じて回路の動作中に行うことができる。
【0052】
上述の図6は、単一の信号132のサンプリングの可能な構造を示している。それぞれ1つのSerDesセル又は1つの直並列変換回路を備えた各チャネルは、技術に依存して任意の頻度でインスタンス化することができる。これによって、技術的限界に到達するまで、時間分解能の粒度を更に高めることができる。インスタンスの数は、信号132の立ち上がりエッジの検出と立ち下がりエッジの検出とで異なっていてもよい。これによって、両方のエッジを異なる分解能により検出することができる。2つの入力ステージは、信号の時間情報を特定するために使用される。
【0053】
単一の信号のサンプリングは、技術に依存して、任意の頻度で利用することができ、それによって、複数の信号がサンプリングされる。単一の信号のサンプリングの各入力ステージにおいて、それぞれ1つのSerDesセル又は直並列変換回路を備えた、実現される個々のチャネルの数は自由である。この数は、検出された単一の信号毎に個別に設定することができる。異なる信号のエッジの時点は、時間評価において相互に関連付けられるか又は出力される。個々のチャネルは、それぞれ検出すべきエッジ毎に最適に較正される。異なる遅延要素の較正及び構成は、モジュール毎に個別に行われ、これによって最大限のフレキシビリティを有する。構成は、伝播時間についての技術に依存して行うことができ、環境要因に基づいてシミュレーションすることができる。
【0054】
本明細書において紹介するアプローチの利点は、ディジタル回路(例えばプログラミング可能なロジックFPGA)を用いて、多数の入力信号を1つのICによってサンプリングすることができ、また相互に測定できるということである。別個の時間測定回路とは異なり、複数の入力信号において、多数のレベル移行を短時間で異なる入力信号間でも評価できるという利点が提供される。較正は、環境要因を調整するために行うことができる。ディジタル信号処理のためのシステムにおいては、プログラミング可能なディジタル回路が使用されることが多いので、別の集積回路(IC)を用いることなく時間測定が実現される。
【0055】
ここで紹介したアプローチは、ディジタル入力信号を時間的に非常に高い粒度で分解することができるディジタル回路として設計することができる。時間分解能は、ディジタル回路のサンプリングクロック及びシステムクロック(即ち、ベースクロック)の最大限可能な時間分解能を大幅に上回る必要がある。この回路の使用時には、入力信号の2つのエッジ間の距離又はエッジの時点を検出することができる。異なる入力信号に対して2つ以上の回路を使用する場合、入力信号のエッジ間の時間的な距離又は入力信号のエッジの時点を検出することができる。回路の入力端を立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに対して明示的に最適化することができるので、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの異なる技術による検出を補償することができる。入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの検出のために、入力信号毎に2つの回路を使用することができる。
【0056】
求められた測定値は、例えば、(車両における反射を考慮した)送信機と受信機との間のレーザパルス130のような光の伝播時間のために使用することができる。これによって、距離を求めることができる。回路は、有利には、プログラミング可能なロジック及び/又は用途固有の回路として実装することができる。種々のセンサ用途のために、ディジタル電子回路及び集積回路(IC)におけるディジタル入力信号のエッジ間の時間を測定することが好適である。1つの入力信号におけるエッジ又は複数の入力信号間のエッジの時間的な関係を求めることができる。ディジタル回路のシステムクロック/ベースクロックによる分解能は、過度に低いことが多いか、又はディジタル回路のシステムクロックは、相応の時間的な分解能が達成されるように高めることはできない、又は高められるべきではない。従って、システムクロック/ベースクロックに比べて非常に高い時間的な分解能を実現するディジタル回路を設計する必要がある。回路は、例えば、1回プログラミング可能なディジタル回路及び複数回プログラミング可能なディジタルIC(例えばFPGA)、並びに用途固有のIC(例えばASIC)として実装することができる。
【0057】
図7は、信号のエッジの時点を測定するための方法700としての、本明細書において紹介するアプローチの一実施例のフローチャートを示す。方法700は、信号と、エッジの時点を評価するためのディジタル評価ユニットを動作させるためのベースクロックと、を読み込むステップ710を含む。更に、方法700は、SerDesセルの直並列変換回路を使用して、信号を表すデータワードを形成するステップ720を含み、ここで、データワードは、複数のビットを有し、更にSerDesセルには、信号をサンプリングするための、ベースクロックよりも高いサンプリングクロックが印加される。最後に、方法700は、評価ユニットにおいてデータワード及びベースクロックを使用して信号のエッジの時点を検出するステップ730を含み、それによって、信号のエッジの時点が測定される。
【0058】
別の変形形態では、テスト信号の伝播時間を特定するための方法750のフローチャートが紹介され、この方法750では、出力すべきテスト信号の開始時点及び/又は受信するテスト信号の受信時点が、信号のエッジの時点を測定するための本方法の本明細書において紹介する変形形態のステップを使用して測定され、更に、特定するステップ760では、開始時点及び受信時点を使用して、伝播時間が特定される。
【0059】
要約すると、本明細書において紹介するアプローチによって、FPGAにおける簡単で高分解能の時間測定を実現できることが認められる。入力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを同等の品質で測定するために、各エッジについて最適化された測定チャネルをそれぞれ実装することができる。
【0060】
遅延要素の使用は、ディジタル設計において調整できるようにすることが予定された。従って、遅延は必要に応じて動的に調整することもできる。これによって、動作中の測定チャンネルの較正が実現される。つまり、モジュール固有又は環境固有のパラメータの補償も実現される。本明細書において紹介するアプローチでは、2つのチャンネルのみが実装されている。しかしながら、遥かに多くの測定チャンネルを実装することも考えられる。
【0061】
実施例において、第1の特徴と第2の特徴とが「及び/又は」で結ばれている場合、このことは、その実施例が、ある実施形態では第1の特徴及び第2の特徴の両方を有し、別の実施形態では第1の特徴又は第2の特徴の一方のみを有することを意味すると解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7