(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】質量分析器
(51)【国際特許分類】
H01J 49/00 20060101AFI20230530BHJP
H01J 49/04 20060101ALI20230530BHJP
H01J 49/42 20060101ALI20230530BHJP
H01J 49/06 20060101ALI20230530BHJP
H01J 49/24 20060101ALI20230530BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20230530BHJP
【FI】
H01J49/00 770
H01J49/04 220
H01J49/42 150
H01J49/06 700
H01J49/24
G01N27/62 G
(21)【出願番号】P 2022565528
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 KR2021001491
(87)【国際公開番号】W WO2021172784
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0022725
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522261075
【氏名又は名称】ヨンインエース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン,ソン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ,フン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ユン ジン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-309879(JP,A)
【文献】特開2009-076222(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0082172(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0013037(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0032949(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 49/00
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン生成通路を提供するイオン生成部と、
前記イオン生成通路に連結されるイオン選択通路を提供するイオン選択部と、
前記イオン選択通路に連結される反応通路を提供する反応部と、
前記反応通路に連結される第2イオン選択通路を提供する第2イオン選択部と、
前記第2イオン選択部に結合されるイオン検出部と、を含み、
前記イオン選択通路及び前記反応通路は、第1方向に延長され、
前記反応部は、
前記第1方向に延長されて前記反応通路を定義する反応管と、
前記反応管に結合されるサンプル流入管と、を含み、
前記サンプル流入管は、前記反応通路に連結されるサンプル流入通路を提供し、
前記サンプル流入通路は、傾斜通路を含み、
前記傾斜通路は、前記第1方向と鋭角αを形成するように延長される、ことを特徴とする質量分析器。
【請求項2】
前記傾斜通路は、前記傾斜通路の延長方向に行くほど、直径が大きくなる拡散通路を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項3】
前記傾斜通路は、前記拡散通路の前段に連結され、直径が一定の連結通路をさらに含み、
前記拡散通路の直径の最大値は、前記連結通路の直径の4倍乃至8倍である、ことを特徴とする請求項2に記載の質量分析器。
【請求項4】
前記サンプル流入通路は、前記第1方向に垂直である第2方向に延長される垂直通路をさらに含み、
前記傾斜通路は、前記垂直通路の下に連結されて、前記垂直通路は、前記傾斜通路を通じて前記反応通路に連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項5】
前記傾斜通路の延長方向と前記第1方向がなす鋭角αは、10°以上50°以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項6】
前記イオン選択部は、前記イオン選択通路に位置する第1四重極フィルターを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項7】
前記第2イオン選択部は、前記第2イオン選択通路に位置する第2四重極フィルターを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の質量分析器。
【請求項8】
前記イオン検出部は、イオン検出器を含み、
前記イオン検出器は、前記第2イオン選択通路に露出される、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項9】
前記イオン選択部及び前記反応部の間に位置するキャリヤーガス流入部をさらに含み、
前記キャリヤーガス流入部は、
前記イオン選択通路と前記反応通路を連結する第1連結通路を定義する第1連結管と、
前記第1連結通路に位置し、混合通路を定義するオリフィスと、
キャリヤーガス流入通路を定義するキャリヤーガス流入管と、を含み、
前記混合通路は、前記第1方向に延長され、
前記キャリヤーガス流入通路は、前記第1方向に交差される方向に延長されて前記混合通路に連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項10】
前記イオン選択部に連結される第1ポンプと、
前記反応部に連結される第2ポンプと、
前記第2イオン選択部に連結される第3ポンプと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項11】
前記サンプル流入管に連結されるサンプル供給部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項12】
前記反応通路は、
前記第1方向に行くほど、直径が大きくなる拡大反応通路と、
前記第1方向で前記拡大反応通路に連結される連結反応通路と、を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の質量分析器。
【請求項13】
前記サンプル流入通路は、前記拡大反応通路に連結される、ことを特徴とする請求項12に記載の質量分析器。
【請求項14】
前記反応通路は、前記第1方向で前記連結反応通路に連結される縮小反応通路をさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の質量分析器。
【請求項15】
前記サンプル流入管は、ステンレススチール(Stainless Steel)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析器に係り、より詳細には傾斜通路を提供するサンプル流入管を含む質量分析器に関する。
【背景技術】
【0002】
微粉塵等を含む大気及び水質の汚染が加速化されることによって、これを測定及び分析することができる方法が要求されている。このような測定及び分析のために質量分析器(mass spectrometer)が使用されることができる。
【0003】
質量分析器は質量分析で化学作用剤等を識別又は分析する機器である。このような質量分析器は物質の質量を質量対電荷の比(mass-to-charge ratio)で測定して試料の構成成分を分析することができる。質量分析器内で様々な方法を使用して試料がイオン化されることができる。イオン化された試料は電場及び/又は磁場を経て加速化されることができる。即ち、イオン化された試料の一部又は全部は電場及び/又は磁場等によって経路が曲がることができる。検出器はイオン化された試料を検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題はサンプルガスの流速を調節することができる質量分析器を提供することにある。
本発明が解決しようとする課題はサンプルガスのイオン化反応を促進することができる質量分析器を提供することにある。
本発明が解決しようとする課題はイオン化されたサンプルガスの中性化を防止することができる質量分析器を提供することにある。
本発明が解決しようとする課題は測定の正確性を向上させることができる質量分析器を提供することにある。
本発明が解決しようとする課題は以上で言及した課題に制限されず、言及しないその他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器はイオン生成通路を提供するイオン生成部と、前記イオン生成通路に連結されるイオン選択通路を提供するイオン選択部と、前記イオン選択通路に連結される反応通路を提供する反応部と、前記反応通路に連結される第2イオン選択通路を提供する第2イオン選択部と、前記第2イオン選択部に結合されるイオン検出部と、を含み、前記イオン選択通路及び前記反応通路は、第1方向に延長され、前記反応部は、前記第1方向に延長されて前記反応通路を定義する反応管と、前記反応管に結合されるサンプル流入管と、を含み、前記サンプル流入管は、前記反応通路に連結されるサンプル流入通路を提供し、前記サンプル流入通路は、傾斜通路を含み、前記傾斜通路は前記第1方向と鋭角αを形成するように延長されることができる。
【0006】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記傾斜通路が前記傾斜通路の延長方向に行くほど、直径が大きくなる拡散通路を含むことができる。
【0007】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記傾斜通路が前記拡散通路の前段に連結され直径が一定の連結通路をさらに含み、前記拡散通路の直径の最大値は前記連結通路の直径の4倍乃至8倍であり得る。
【0008】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記サンプル流入通路が前記第1方向に垂直である第2方向に延長される垂直通路をさらに含み、前記傾斜通路は前記垂直通路の下に連結されて、前記垂直通路は前記傾斜通路を通じて前記反応通路に連結されることができる。
【0009】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記傾斜通路の延長方向と前記第1方向がなす角が10°以上50°以下であり得る。
【0010】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記イオン選択部が前記イオン選択通路に位置する第1四重極フィルターを含むことができる。
【0011】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記第2イオン選択部が前記第2イオン選択通路に位置する第2四重極フィルターを含むことができる。
【0012】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記イオン検出部がイオン検出器を含み、前記イオン検出器は前記第2イオン選択通路に露出されることができる。
【0013】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記イオン選択部及び前記反応部の間に位置するキャリヤーガス流入部をさらに含み、前記キャリヤーガス流入部は、前記イオン選択通路と前記反応通路を連結する第1連結通路を定義する第1連結管と、前記第1連結通路に位置し、混合通路を定義するオリフィスと、キャリヤーガス流入通路を定義するキャリヤーガス流入管と、を含み、前記混合通路は、前記第1方向に延長され、前記キャリヤーガス流入通路は、前記第1方向に交差される方向に延長されて前記混合通路に連結されることができる。
【0014】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記イオン選択部に連結される第1ポンプと、前記反応部に連結される第2ポンプと、前記第2イオン選択部に連結される第3ポンプと、をさらに含むことができる。
【0015】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記サンプル流入管に連結されるサンプル供給部をさらに含むことができる。
【0016】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記反応通路が、前記第1方向に行くほど、直径が大きくなる拡大反応通路と、前記第1方向で前記拡大反応通路に連結される連結反応通路と、を含むことができる。
【0017】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記サンプル流入通路が前記拡大反応通路に連結されることができる。
【0018】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記反応通路が前記第1方向で前記連結反応通路に連結される縮小反応通路をさらに含むことができる。
【0019】
前記解決しようとする課題を達成するために本発明の一実施形態による質量分析器は前記サンプル流入管がステンレススチール(Stainless Steel)を含むことができる。
【0020】
本発明のその他の実施形態の具体的な事項は以上で言及したことに制限されず、言及しないその他の事項は後述の記載から当業者に明確に理解されるべきである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の質量分析器によれば、サンプルガスの流速を調節することができる。
本発明の質量分析器によれば、サンプルガスのイオン化反応を促進することができる。
本発明の質量分析器によれば、イオン化されたサンプルガスの中性化を防止することができる。
本発明の質量分析器によれば、測定の正確性を向上させることができる。
本発明の効果は以上で言及したことに制限されなく、言及されないその他の効果は下の記載から当業者に明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による質量分析器の部分切断斜視図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による質量分析器のサンプル流入管の断面図である。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による質量分析器の部分拡大図である。
【
図5】本発明の例示的な実施形態による質量分析器の部分拡大図である。
【
図6】本発明の例示的な実施形態による質量分析器のシミュレーション結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の技術的思想の構成及び効果を十分に理解するために、添付した図面を参照して本発明の技術的思想の好ましい実施形態態を説明する。しかし、本発明の技術的思想は以下で開示する実施形態に限定されるのではなく、様々な形態に具現されることができ、多様な変更を加えることができる。単に、本実施形態の説明を通じて本発明の技術的思想の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されているものである。
【0024】
明細書の全体に亘って同一の参照番号に表示された部分は同一の構成要素を示す。本明細書で記述する実施形態は本発明の技術的思想の理想的な例示図であるブロック図、斜視図、及び/又は断面図を参照して説明する。図面において、領域の厚さは技術的内容の効率的な説明のために誇張されたものである。したがって、図面で例示した領域は概略的な属性を有し、図面で例示した領域の形状は素子の領域の特定形態を例示するためのものであり、発明の範疇を制限するためのものではない。本明細書の多様な実施形態で多様な用語が多様な構成要素を説明するために使用したが、これらの構成要素がこのような用語によって限定されてはならない。これらの用語は単に一構成要素を他の構成要素と区別させるために使用しただけである。ここに説明し、例示する実施形態はそれの相補的な実施形態も含む。
【0025】
本明細書で使用した用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとすることではない。本明細書で、単数形は特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用する‘含む(comprises)’及び/又は‘包含する(comprising)’は言及した構成要素が1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の技術的思想の好ましい実施形態を説明することによって、本発明を詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の例示的な実施形態による質量分析器の部分切断斜視図である。
以下では
図1のD1を第1方向、D2を第2方向、第1方向D1及び第2方向D2に実質的に垂直になるD3を第3方向と称する。
【0028】
図1を参照すれば、質量分析器はイオン生成部R1、イオン選択部R2、キャリヤーガス流入部R3、反応部R4、連結部R5、第2イオン選択部R6、及び検出部R7を含むことができる。実施形態で、質量分析器はイオンソース供給部Sa、マイクロ波供給部M、第1ポンプP1、キャリヤーガス供給部Sc、サンプル供給部Ss、第2ポンプP2、及び第3ポンプP3等をさらに含むことができる。
【0029】
イオン生成部R1はイオン生成管11を含むことができる。イオン生成管11は第1方向D1に延長されることができる。イオン生成管11はイオン生成通路C1を提供することができる。即ち、イオン生成管11はイオン生成通路C1を定義することができる。イオン生成通路C1は第1方向D1に延長されることができる。イオン生成部R1はイオンソース供給部Saからイオンソースが供給されることができる。より具体的に、イオンソース供給部Saからイオン生成通路C1にイオンソースが供給されることができる。イオンソースはイオンになることができる粒子を意味することができる。より具体的に、イオンソースはイオン化反応を経て反応物イオンになることができる粒子を意味することができる。反応物イオン(Reagent ion)はサンプルガスと反応することができるイオンを意味することができる。イオンソースは中性分子等を含むことができる。例えば、イオンソースは窒素(N2)、酸素(O2)及び/又は水(H2O)等を含むことができる。しかし、これに限定されることではない。これに対するより詳細な内容は後述する。イオンソースはイオン生成通路C1に沿って第1方向D1に移動することができる。イオンソースはイオン生成通路C1でイオン化されることができる。より具体的に、マイクロ波供給部Mでマイクロ波が加えられて、イオンソースはイオン化されることができる。即ち、イオンソースは反応物イオンになることができる。例えば、イオンソースが窒素(N2)、酸素(O2)、及び/又は水(H2O)等を含む場合、反応物イオンはH3O+、NO+、及び/又はO2
+等を含むことができる。反応物イオンは第1方向D1に沿って移動してイオン選択部R2に移動することができる。実施形態で、イオン生成通路C1は非常に低い圧力に維持されることができる。例えば、イオン生成通路C1は約0.3torrの圧力に維持されることができる。イオンソースのイオン化作業は実質的な真空に近いこのような低い圧力下で遂行されることができる。
【0030】
イオン選択部R2ではイオン生成部R1から流入された反応物イオンがフィルタリングされることができる。イオン選択部R2はイオン選択管12、第1フォーカシング部材121、第1四重極フィルター123、第2フォーカシング部材125、及び第1ポンプ連結管127を含むことができる。イオン選択管12はイオン生成管11に連結されることができる。イオン選択管12は第1方向D1に延長されることができる。イオン選択管12はイオン選択通路C2を提供することができる。即ち、イオン選択管12はイオン選択通路C2を定義することができる。イオン選択通路C2はイオン生成通路C1と連結されることができる。イオン選択通路C2は第1方向D1に延長されることができる。第1フォーカシング部材121はイオン選択通路C2に位置することができる。第1フォーカシング部材121は中心に孔が形成された板形状であり得る。第1フォーカシング部材121はイオン生成通路C1から流入した反応物イオンの流れを中心に案内することができる。第1四重極フィルター123は第1フォーカシング部材121を通過した反応物イオンの経路を囲んだ4つのバーを含むことができる。4つのバーの各々は第1方向D1に延長されることができる。4つのバーの各々は金属を含むことができる。4つのバーの各々は外部電源(図示せず)等から電圧が印加されることができる。第1四重極フィルター123は電場を形成することができる。第1四重極フィルター123によって形成された電場によって反応物イオンの一部又は全部の移動経路は曲がることができる。イオンの反応物移動経路が曲がれれば、一部のイオンのみが選択的に第2フォーカシング部材125を通過するようになることができる。これによって、不要なイオンがキャリヤーガス流入部R3に移動することを防止することができる。即ち、イオン選択部R2で第1四重極フィルター123によって、様々なイオンの中の必要である反応物イオンのみがフィルタリングされることができる。例えば、必要である反応物イオンというのはサンプルガスをイオン化させるための反応に必要であるイオンを意味することができる。第2フォーカシング部材125は中心に孔が形成された板形状であり得る。第2フォーカシング部材125はフィルタリングされた反応物イオンの流れを中心に案内することができる。第1ポンプ連結管127は第1ポンプP1に連結されることができる。第1ポンプP1によって、イオン選択通路C2は非常に低い圧力に維持されることができる。例えば、イオン選択通路C2は約10-5torrの圧力に維持されることができる。イオンのフィルタリング作業は実質的な真空に近いこのような低い圧力下で遂行されることができる。
【0031】
キャリヤーガス流入部R3はイオン選択部R2と反応部R4との間に位置することができる。キャリヤーガス流入部R3は第1連結管131、オリフィス133、及びキャリヤーガス流入管135を含むことができる。第1連結管131はイオン選択管12に結合されることができる。第1連結管131は第1方向D1に延長されることができる。第1連結管131は第1連結通路C3を提供することができる。即ち、第1連結管131によって第1連結通路C3が定義されることができる。第1連結通路C3は第1方向D1に延長されることができる。第1連結通路C3はイオン選択通路C2と連結されることができる。第1連結通路C3にオリフィス133が位置することができる。オリフィス133は円柱形状の一部を含むことができる。オリフィス133の中央に設けられた混合通路133cが提供されることができる。混合通路133cはイオン選択通路C2と連結されることができる。キャリヤーガス流入管135は第1方向D1に交差される方向に延長されることができる。キャリヤーガス流入管135は第1連結管131に結合されることができる。キャリヤーガス流入管135の内部空間は混合通路133cに連結されることができる。キャリヤーガス流入管135はキャリヤーガス供給部Scに連結されることができる。キャリヤーガスはキャリヤーガス供給部Scからキャリヤーガス流入管135を通じて混合通路133cに流動することができる。キャリヤーガスは混合通路133cで反応物イオンと混合されることができる。キャリヤーガスは反応部R4で反応物イオン等の流れを案内することができる。例えば、キャリヤーガスは反応部R4で層流を形成して反応物イオンの流れ方向をガイドすることができる。キャリヤーガスは非活性気体等を含むことができる。例えば、キャリヤーガスは窒素(N2)、アルゴン(Ar)、及び/又はヘリウム(He)等を含むことができる。これに対する詳細な内容は後述する。
【0032】
反応部R4は反応管14、サンプル流入管3、第2ポンプ連結管147、及び第3フォーカシング部材141を含むことができる。反応管14は第1連結管131に結合されることができる。反応管14は第1方向D1に延長されることができる。反応管14は反応通路C4を提供することができる。即ち、反応通路C4は反応管14によって定義されることができる。反応通路C4は第1方向D1に延長されることができる。反応通路C4は第1連結通路C3と連結されることができる。キャリヤーガス及び反応物イオンが反応通路C4に流入されることができる。サンプル流入管3は反応管14に結合されることができる。サンプル流入管3はサンプル供給部Ssに連結されることができる。サンプル流入管3はサンプル供給部Ssからサンプルガスを受けて、反応通路C4に送ることができる。サンプル流入管3に対する詳細な内容は
図2及び
図3を参照して後述する。サンプルガスは質量分析が必要である対象を含むことができる。例えば、サンプルガスは揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、VOCs)等を含むことができる。サンプル流入管3から流入されたサンプルガスは反応物イオンと反応することができる。より具体的に、サンプルガスは反応物イオンと反応してイオン化されることができる。イオン化されたサンプルガスはサンプルイオンと称することができる。即ち、サンプルガスは反応物イオンと反応してサンプルイオンになることができる。サンプルガスのイオン化反応は次のように表現することができる。
R
++A
->P
++N
【0033】
R+は反応物イオンを意味することができる。Aはサンプルガスを意味することができる。P+はサンプルイオンを意味することができる。Nは反応物イオンがサンプルガスとの反応した後に中性化されたことを意味することができる。例えば、Nは、再び中性化されたイオンソースを意味することができる。第3フォーカシング部材141は中心に孔が形成された板形状であり得る。第3フォーカシング部材141はサンプルイオン及び反応物イオンの流れを中心に案内することができる。第2ポンプ連結管147は反応通路C4に連結されることができる。第2ポンプ連結管147は第2ポンプP2に連結されることができる。第2ポンプP2は第2ポンプ連結管147を通じて反応通路C4に連結されることができる。第2ポンプP2によって、反応通路C4は非常に低い圧力に維持されることができる。例えば、反応通路C4は約0.5torrの圧力に維持されることができる。サンプルガスのイオン化作業はこのような低い圧力下で遂行されることができる。
【0034】
連結部R5は第2連結管15を含むことができる。第2連結管15は反応管14に結合されることができる。第2連結管15は第2連結通路C5を提供することができる。即ち、第2連結通路C5は第2連結管15によって定義されることができる。第2連結通路C5は第1方向D1に延長されることができる。第2連結通路C5は反応通路C4と連結されることができる。
【0035】
第2イオン選択部R6は第2イオン選択管16、第4フォーカシング部材161、第2四重極フィルター163、第5フォーカシング部材165、及び第3ポンプ連結管167を含むことができる。第2イオン選択管16は第2連結管15に結合されることができる。第2イオン選択管16は第1方向D1に延長されることができる。第2イオン選択管16は第2イオン選択通路C6を提供することができる。即ち、第2イオン選択通路C6は第2イオン選択管16によって定義されることができる。第2イオン選択通路C6は第1方向D1に延長されることができる。第2イオン選択通路C6は第2連結通路C5と連結されることができる。第2連結通路C5を通じて第2イオン選択通路C6にキャリヤーガス及びサンプルイオン等が流入されることができる。第4フォーカシング部材161は第2イオン選択通路C6に位置することができる。第4フォーカシング部材161は中心に孔が形成された板形状であり得る。第4フォーカシング部材161は第2連結通路C5で流入された粒子の流れを中心に案内することができる。第2四重極フィルター163は第4フォーカシング部材161を通過した粒子の経路を囲んだ4つのバーを含むことができる。4つのバーの各々は第1方向D1に延長されることができる。4つのバーの各々は金属を含むことができる。4つのバーの各々は外部電源(図示せず)等から電圧が印加されることができる。第2四重極フィルター163は電場を形成することができる。第2四重極フィルター163によって形成された電場によってサンプルイオン等の粒子の一部又は全部の移動経路は曲がることができる。イオン状態の粒子は質量と電荷の比率に応じて曲がる程度が異なることができる。測定が不要なイオンは第2四重極フィルター163が形成する電場によって移動経路が曲がることができる。例えば、反応部R4でサンプルガスと反応されず、残った反応物イオンは第2四重極フィルター163によって直進できなくなる。直進しないイオンは第5フォーカシング部材165を通過できなくなる。第5フォーカシング部材165は中心に孔が形成された板形状であり得る。第5フォーカシング部材165は粒子の流れを案内することができる。第3ポンプ連結管167は第3ポンプP3に連結されることができる。第3ポンプP3によって、第2イオン選択通路C6は非常に低い圧力に維持されることができる。例えば、第2イオン選択通路C6は約10-5torrの圧力に維持されることができる。サンプルイオンのフィルタリング作業は実質的な真空に近いこのような低い圧力下で遂行されることができる。
【0036】
検出部R7は検出管17及び検出器171を含むことができる。検出管17は第2イオン選択管16に結合されることができる。検出器171は検出管17内に位置することができる。検出器171は第2イオン選択通路C6に露出されることができる。
図1に図示したように、検出器171の法線は第1方向D1と実質的に平行することができる。しかし、これに限定することではなく、検出器171の法線は第1方向D1と一定の角度を形成してもよい。例えば、検出器171の法線は第1方向D1に実質的に垂直になってもよい。第2イオン選択通路C6でフィルタリングされたサンプルイオンは検出器171によって感知されることができる。例えば、検出器171の法線が第1方向D1と実質的に平行である場合、検出器171は第2四重極フィルター163が形成する電場によって曲がれず、直進するサンプルイオンの量を測定することができる。即ち、第2四重極フィルター163を制御して一部のイオンのみが直進するように設定すれば、検出器171は直進するイオンの量を測定することができる。第2四重極フィルター163によって加えられた電場に対する情報を利用して、直進して検出器171で検出されたイオンの質量対電荷比(mass-to-charge ratio、m/z)を計算することができる。第2四重極フィルター163を制御して直進するイオンを変えることができる。その後、同じ作業を繰り返すことができる。したがって、様々なイオンに対して質量対電荷比(m/z)を求めることができる。測定したデータを既存の確保された質量対電荷比(m/z)のデータと比較すれば、サンプルガス内の粒子の質量とその比率を求めることができる。検出器171の法線が第1方向D1に平行しない場合、検出器171は第2四重極フィルター163が形成する電場によって曲がるサンプルイオンの量を測定してもよい。この場合にも測定の方式は、検出器171の法線が第1方向D1に平行である場合と実質的に同一又は類似であることができる。
【0037】
イオンソース供給部Saはイオン生成部R1にイオンソースを供給することができる。イオンソースは酸素(O2)、窒素(N2)、及び/又は水(H2O)等を供給することができる。実施形態で、イオンソース供給部Saがイオン生成部R1に供給するイオンソースは大気の構成成分と類似であることができる。
【0038】
マイクロ波供給部Mはイオン生成部R1にマイクロ波を印加することができる。イオン生成部R1に流入されたイオンソースはマイクロ波によってイオン化されることができる。即ち、イオンソースはイオン化されて反応物イオンになることができる。
【0039】
第1ポンプP1は第1ポンプ連結管127によってイオン選択通路C2に連結されることができる。第1ポンプP1はイオン選択通路C2を実質的な真空状態近くに維持することができる。例えば、第1ポンプP1はイオン選択通路C2を約10-5torrの圧力に維持することができる。
【0040】
キャリヤーガス供給部Scはキャリヤーガス流入管135を通じて混合通路133cに連結されることができる。キャリヤーガス供給部Scはキャリヤーガスを供給することができる。キャリヤーガスは非活性気体等を含むことができる。例えば、キャリヤーガスは窒素(N2)、ヘリウム(He)、及び/又はアルゴン(Ar)等を含むことができる。キャリヤーガスは混合通路133cで反応物イオンと混合されることができる。キャリヤーガスは反応通路C4に流入されることができる。キャリヤーガスは反応通路C4で第1方向D1に層流を形成することができる。
【0041】
サンプル供給部Ssはサンプル流入管3にサンプルガスを供給することができる。サンプルガスは質量分析が必要である対象を含むことができる。例えば、サンプルガスは揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、VOCs)等を含むことができる。サンプルガスはサンプル流入管3を通じて反応通路C4に流入されることができる。これに対する詳細な内容は後述する。
【0042】
第2ポンプP2は第2ポンプ連結管147を通じて反応通路C4に連結されることができる。第2ポンプP2は反応通路C4を実質的な真空状態近くに維持することができる。例えば、第2ポンプP2は反応通路C4を約0.5torrの圧力に維持することができる。
【0043】
第3ポンプP3は第3ポンプ連結管167を通じて第2イオン選択通路C6に連結されることができる。第3ポンプP3は第2イオン選択通路C6を実質的な真空状態近くに維持することができる。例えば、第3ポンプP3は第2イオン選択通路C6を約10-5torrの圧力に維持することができる。
【0044】
図2は
図1の一部を示した部分拡大図である。
図2を参照すれば、サンプル流入管3は垂直管33及び傾斜管31を含むことができる。垂直管33は第1方向D1に実質的に垂直であることができる。傾斜管31は第1方向D1と鋭角を形成することができる。傾斜管31は垂直管33の下端に結合されることができる。傾斜管31は連結傾斜管313及び拡散管311を含むことができる。連結傾斜管313の直径は一定であることができる。より具体的に、連結傾斜管313の傾斜管31の延長方向への直径は一定であることができる。拡散管311の直径は一定でないこともあり得る。より具体的に、拡散管311の直径は傾斜管31の延長方向に行くほど、大きくなることができる。
【0045】
サンプルガスAはサンプル流入管3を通じて反応通路C4に流入されることができる。拡散管311を出できたサンプルガスAは反応通路C4で反応物イオンR+と反応することができる。より具体的に、混合通路133cを通じて反応通路C4に流入された反応物イオンR+と、拡散管311を通じて反応通路C4に流入されたサンプルガスAが反応することができる。サンプルガスAは反応物イオンR+と反応して、サンプルイオンP+になることができる。反応通路C4の後端には反応しない反応物イオンR+、キャリヤーガスC、サンプルイオンP+、及びイオンソースN等が流れることができる。
【0046】
図3は本発明の例示的な実施形態による質量分析器のサンプル流入管の断面図である。
図3を参照すれば、サンプル流入管3は反応管14に結合されることができる。傾斜管31は傾斜通路C31を提供することができる。即ち、傾斜通路C31は傾斜管31によって定義されることができる。傾斜通路C31は第1方向D1と鋭角αを形成することができる。即ち、傾斜通路C31の延長方向と第1方向D1は鋭角αをなすことができる。実施形態で、鋭角αは10°以上であり、50°以下であり得る。より具体的に、鋭角αは30°であり得る。鋭角αが30°である場合、サンプルガスとキャリヤーガス等の分布が適切であり得る。これに対する詳細な内容は
図6を参照して後述する。傾斜通路C31は拡散通路C311及び連結通路C313を含むことができる。拡散通路C311は傾斜通路C31の延長方向に行くほど、直径が大きくなることができる。連結通路C313は拡散通路C311の前端に連結されることができる。連結通路C313の直径は一定であることができる。連結通路C313と出会う部分で、拡散通路C311の直径は連結通路C313の直径と実質的に同一であることができる。拡散通路C311の最大直径e2は連結通路C313の直径e1の4倍乃至8倍であり得る。垂直管33は垂直通路C33を提供することができる。即ち、垂直通路C33は垂直管33によって定義されることができる。垂直通路C33は第1方向D1に実質的に垂直になる方向に延長されることができる。垂直通路C33は連結通路C313と連結されることができる。垂直通路C33はサンプル供給部Ssからサンプルガスが伝達されることができる。即ち、サンプルガスはサンプル供給部Ssから垂直通路C33、連結通路C313、及び拡散通路C311を経て反応通路C4に流入されることができる。
【0047】
本発明の例示的な実施形態による質量分析器によれば、サンプルガスが反応管に斜めに流入されることができる。サンプルガスは反応管に流れるキャリヤーガス及び/又は反応物イオンの流れに混ぜることができる。したがって、サンプルガスのイオン化反応が促進されることができる。したがって、質量分析の精度が向上されることができる。
【0048】
本発明の例示的な実施形態による質量分析器によれば、サンプルガスが反応管に斜めに流入されるので、サンプルガス及び/又はサンプルイオンが反応管の反対側の壁に衝突することを防止することができる。したがって、サンプルイオンが壁に衝突して再び中性化されることを防止することができる。したがって、質量分析の精度が向上されることができる。
【0049】
本発明の例示的な実施形態による質量分析器によれば、サンプル供給管が拡散通路を含むことができる。即ち、反応管に流入されるサンプルガスの流速が遅くなることができる。したがって、サンプルガスと反応物イオンの反応時間が十分に確保されることができる。サンプルガスのイオン化反応は促進されることができる。したがって、質量分析の精度が向上されることができる。
【0050】
図4は本発明の例示的な実施形態による質量分析器の部分拡大図である。
以下では
図1乃至
図3を参照して説明したのと実質的に同一又は類似なことに対する説明は便宜上省略することができる。
【0051】
図4を参照すれば、サンプル流入管3は傾斜管31のみを含むことができる。即ち、
図1乃至
図3を参照して説明したような垂直管33(
図2参照)は存在しなくともよい。傾斜管31は拡散管311及び連結傾斜管313を含むことができる。連結傾斜管313は反応管14に結合されることができる。
【0052】
図5は本発明の例示的な実施形態による質量分析器の部分拡大図である。
以下では
図1乃至
図3を参照して説明したのと実質的に同一又は類似なことに対する説明は便宜上省略することができる。
【0053】
図5を参照すれば、反応部R4は拡大反応部R41、連結反応部R42、及び縮小反応部R43を含むことができる。
拡大反応部R41は拡大反応管14aを含むことができる。拡大反応管14aは拡大反応通路C41を提供することができる。即ち、拡大反応通路C41は拡大反応管14aによって定義されることができる。拡大反応通路C41は第1方向D1に延長されることができる。拡大反応通路C41は第1方向D1に行くほど、直径が増加することができる。より具体的に、拡大反応通路C41の最小直径はD1であり得る。拡大反応通路C41の最大直径はD2であり得る。拡大反応通路C41の直径は第1方向D1に行くほど、D1からD2まで連続的に増加することができる。
【0054】
連結反応部R42は連結反応管14bを含むことができる。連結反応管14bは連結反応通路C42を提供することができる。即ち、連結反応通路C42は連結反応管14bによって定義されることができる。連結反応通路C42は第1方向D1に延長されることができる。連結反応通路C42は拡大反応通路C41と連結されることができる。連結反応通路C42の直径は第1方向D1に一定であることができる。実施形態で、連結反応通路C42の直径はD2であり得る。即ち、連結反応通路C42の直径は拡大反応通路C41の直径の最大値と実質的に同一であることができる。
【0055】
縮小反応部R43は縮小反応管14cを含むことができる。縮小反応管14cは縮小反応通路C43を提供することができる。即ち、縮小反応通路C43は縮小反応管14cによって定義されることができる。縮小反応通路C43は第1方向D1に延長されることができる。縮小反応通路C43は連結反応通路C42と連結されることができる。縮小反応通路C43は第1方向D1に行くほど、直径が減少することができる。縮小反応通路C43の直径の最大値は連結反応通路C42の直径と実質的に同一であることができる。より具体的に、縮小反応通路C43の最大直径はD2であり得る。縮小反応通路C43の最小直径はD3であり得る。縮小反応通路C43の直径は第1方向D1に行くほど、D2からD3まで連続的に減少することができる。
【0056】
サンプル流入管3は拡大反応管14aに結合されることができる。サンプル供給部Ssで供給されたサンプルガスはサンプル流入管3を通じて拡大反応通路C41に流入されることができる。
【0057】
本発明の例示的な実施形態による質量分析器によれば、反応管の前半部から第1方向に行くほど、反応管の直径が増加することができる。したがって、反応通路に流入されて第1方向に移動するキャリヤーガス及び反応物イオンの速度が遅くなることができる。したがって、キャリヤーガス及び反応物イオンの流れは安定することができる。また、反応物イオンとサンプルガスの反応が促進されることができる。即ち、サンプルガスのイオン化が活発に進行されることができる。これによって、質量分析の精度が向上されることができる。
【0058】
図6は本発明の例示的な実施形態による質量分析器のシミュレーション結果を示した図面である。
図6を参照すれば、
図1の実施形態による質量分析器に対するCFD(Computational Fluid Dynamics)シミュレーションで、キャリヤーガス、反応物イオン、サンプルガス、及びサンプルイオンの流れが表示されることができる。より具体的に、キャリヤーガス及び反応物イオンは
図6の図面上で上から下に流入されることができる。サンプルガスは側面のサンプル流入管によって流入されることができる。サンプルガスが反応物イオンと反応して作られたサンプルイオン及びキャリヤーガス等は
図6の図面上で下に流出されることができる。
【0059】
シミュレーション境界条件で、反応通路の前端部の圧力は6.00*10
-5Torrであり得る。反応通路の後端部の圧力は0.01Torrであり得る。反応通路に流入されるキャリヤーガスの流入流量は2.5Torr・L/sであり得る。第2ポンプによる流出圧力は0.01Torrであり得る。傾斜通路は第1方向と約30°の傾斜を形成することができる。このような境界条件下で、サンプル流入管を通じて反応通路に流入されるサンプルガスの流入圧力は2.27696Torr・L/sであり得る。サンプルガスの流入速度は15.286m/sであり得る。
図6を参照すれば、このような境界条件下で傾いたサンプル流入管を通じて反応管に流入されたサンプルガスは反応管の反対側の壁に衝突せず、キャリヤーガス及び反応物イオンの流れに合流することができる。したがって、反応物イオンとサンプルガスの反応が促進されることができる。また、拡大傾斜管を通じてサンプルガスが流入されるので、反応管に入って来るサンプルガスの速度は遅くなることができる。したがって、サンプルガスと反応物イオンの反応が促進されることができる。このような境界条件下で、サンプルイオン及びキャリヤーガス等は反応通路の中央に抜け出すことができる。したがって、質量分析作業が円滑に遂行されることができる。
【0060】
以上、添付した図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更しなくとも他の具体的な形態に実施されることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0061】
3 サンプル流入管
11 イオン生成管
12 イオン選択管
14 反応管
14a 拡大反応管
14b 連結反応管
15 第2連結管
16 第2イオン選択管
17 検出管
31 傾斜管
33 垂直管
121 第1フォーカシング部材
123 第1四重極フィルター
125 第2フォーカシング部材
127 第1ポンプ連結管
131 第1連結管
133 オリフィス
133c 混合通路
135 キャリヤーガス流入管
141 第3フォーカシング部材
147 第2ポンプ連結管
161 第4フォーカシング部材
163 第2四重極フィルター
165 第5フォーカシング部材
167 第3ポンプ連結管
171 検出器
311 拡散管
313 連結傾斜管