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特許7288328ボールバルブのステム挿入装置とそのステム挿入方法並びにバルブ用自動組立システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ボールバルブのステム挿入装置とそのステム挿入方法並びにバルブ用自動組立システム
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/02 20060101AFI20230531BHJP
   F16K 5/06 20060101ALI20230531BHJP
   B25B 27/24 20060101ALI20230531BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20230531BHJP
   F16K 27/06 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
B23P19/02 A
F16K5/06 Z
B25B27/24
B23P19/00 304A
F16K27/06 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019065384
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020163506
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】相原 吏
(72)【発明者】
【氏名】吉良 直樹
(72)【発明者】
【氏名】植松 健
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特許第2858680(JP,B2)
【文献】特開2011-075079(JP,A)
【文献】特開平05-057631(JP,A)
【文献】米国特許第04214732(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00 - 21/00
F16K 5/06
B25B 27/24
F16K 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体には、ボールバルブの流路口からボデー内にステムを降下する挿入用治具と、前記流路口と直交するステム挿入孔に挿入して前記ステムの上端部を支える案内用治具とを備え、前記挿入用治具の下端部に把持部を有し、この把持部で前記ステムの下端部が回転する状態で前記ステムの下端部を把持し、前記挿入用治具で前記ボールバルブの流路口から前記ボデー内に前記ステムを降下させた状態で、前記挿入用治具と前記案内用治具とで前記ステムの上下端部を支えて前記把持部を中心に回転させながら水平状態に矯正し、かつ前記ステム挿入口に対して前記ステムを芯出し状態に配置させたことを特徴とするボールバルブのステム挿入装置。
【請求項2】
前記挿入用治具は、前記流路口の口径に応じて前記ステムを水平方向から傾斜させた状態又は水平状態に把持し、前記ステムを前記流路口に対して非接触状態で降下させるチャックを備えた請求項1に記載のボールバルブのステム挿入装置。
【請求項3】
前記チャックは、前記ステムの下端部を把持する把持部を有し、この把持部の先端側には、前記ステムの下部底面に当接してこのステムを所定の傾斜角度に保持する傾斜状の当接面が設けられた請求項2に記載のボールバルブのステム挿入装置。
【請求項4】
前記案内用治具は、前記ステムの上端部を受ける下部スライド治具と、この下部スライド治具に対してスライドする上部スライド治具とを備え、これら上部スライド治具と下部スライド治具には、前記ステムの上端部を上下方向側から把持して前記ステムの回転を規制する案内面がそれぞれ設けられた請求項1乃至3の何れか1項に記載のボールバルブのステム挿入装置。
【請求項5】
前記ボデーの前記挿入用治具が挿入される前記流路口と反対側の流路口から昇降動自在に支承用治具が設けられ、この支承用治具の先端側は、前記ステムの外周面を載置可能な形状に形成され、前記支承用治具が前記ステムを水平方向に支える機能を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載のボールバルブのステム挿入装置。
【請求項6】
挿入用治具の下端部に設けた把持部で前記ステムの下端部を把持した状態でこのステムをボールバルブの流路口からボデー内に降下させ、この降下したステムの上端部を前記流路口と直交するステム挿入孔に挿着した案内用治具で支え、前記ステムが前記ステム挿入孔の位置まで降下したときに、前記挿入用治具の前記把持部と前記案内用治具とにより前記ステムの上下端部を支えて前記把持部を中心に回転しながら前記ステムを略水平状態に矯正し、前記ステム挿入孔に対して前記ステムを芯出し状態に配置した状態で前記ステムを挿入するようにしたことを特徴とするボールバルブのステム挿入方法。
【請求項7】
前記流路口の口径に応じて前記挿入用治具に設けたチャックで前記ステムを水平方向から傾斜させた状態又は水平状態に把持し、前記流路口に前記ステムを非接触状態で降下させるようにした請求項6に記載のボールバルブのステム挿入方法。
【請求項8】
前記ステム挿入孔に挿入した前記ステムを、押圧用治具によりその挿入完了位置まで押圧するようにした請求項6又は7に記載のボールバルブのステム挿入方法。
【請求項9】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のボールバルブのステム挿入装置を用いたバルブ用自動組立システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールバルブのステム挿入装置に関し、特に、ワンピース型ボデーにステムを挿入する場合であって、バルブを自動組立する場合に適したステム挿入装置とステムの挿入方法並びにバルブ用自動組立システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ボールバルブを組立てる際には、ボデーの外側からステムを挿入し、このステムにボールが取り付けられる。このようなボールバルブの組立ては、手作業、又は自動化した組立ライン等のシステムにより実施され、このとき、ステムは一般にボデーの流路開口部側から挿入されてステム孔に挿入され、ステムの全長が流路開口部の内径よりも大きいときには、流路開口部に対して傾けた状態でステム孔の位置まで挿入する必要がある。このような理由から、組立ラインでバルブを組立てる場合であっても、流路開口部に対して適切にステムを挿入するために、ステムの挿入は手作業で行われることが多い。その際、ステムにはステム孔への挿入を容易にするためのグリスが塗られており、このグリスがステム孔以外の余計な部分に付着することが無いように挿入する必要がある。特に、ワンピース型ボールバルブでは、ステム挿入側の流路開口部からステム孔までの距離が長くなるため、ステムを手作業で挿入する場合には熟練を要する。
【0003】
これに対して、ステムのステム孔への挿入を自動化により行うようにしたバルブ組立装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このバルブ組立装置には、ステムを縦向きから水平方向に矯正する斜面であるステム受面を備えるステム受治具と、このステム受治具に供給されたステムを弁箱のステム孔に押込むステム押込装置とが設けられている。ステムは、ステム受面に所定状態に載置され、このステムをステム押込装置の押込み爪により押込むことで、ステム孔にステムを挿入しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2858680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボールバルブのステム孔に手作業でステムを挿入する場合、ボールバルブ全体の組立ての自動化ができなくなり、ボールバルブの組立て完了までに手動化による組立て工程が必要となる。また、特にワンピース型ボールバルブでは、ステム孔以外へのグリスの付着を防ぎつつステム挿入するためには熟練を要し、たとえ熟練者の場合であっても、周囲の余計な部分にグリスが付着するおそれがある。手動によるステム挿入の場合、作業に時間がかかり組立効率も悪い。
【0006】
一方、特許文献1のバルブ組立装置においては、ステム孔へのステムの挿入を開始するためには、ステムをボデーの流路開口部から挿入し、ステム受面の傾斜に沿ってステム孔に指向配置させた状態にセットする必要がある。このことから、ステムを所定位置に配置するために、あらたに移動用の装置が必要になったり、或は手動でステムを所定位置に載置する必要が生じる。
【0007】
ステムをステム受治具に接触させるように載置させ、この状態からステム押込装置で押込んでいるので、ステムに潤滑用グリスを塗布した場合にはこのグリスがステム受治具に付着するおそれがある。続けて別のステムの挿入を行う場合には、このステムにステム受治具に付着したグリスが接触し、これによりステム孔以外の余計な部分にグリスが付着する可能性がある。この場合には、グリスを手作業などにより除去して流体への悪影響などを防ぐ必要が生じる。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、ボールバルブの流路口からステム挿入孔までのステムの挿入の自動化を図ることができ、潤滑用のグリスのステム挿入孔以外の余計な部分への付着を防ぎつつステムをスムーズに挿入でき、ボールバルブ全体の組立ての自動化にも寄与するボールバルブのステム挿入装置とそのステム挿入方法並びにバルブ用自動組立システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、装置本体には、ボールバルブの流路口からボデー内にステムを降下する挿入用治具と、流路口と直交するステム挿入孔に挿入してステムの上端部を支える案内用治具とを備え、挿入用治具の下端部に把持部を有し、この把持部でステムの下端部が回転する状態でステムの下端部を把持し、挿入用治具でボールバルブの流路口からボデー内にステムを降下させた状態で、挿入用治具と案内用治具とでステムの上下端部を支えて把持部を中心に回転させながら水平状態に矯正し、かつステム挿入口に対してステムを芯出し状態に配置させたボールバルブのステム挿入装置である。
【0010】
請求項2に係る発明は、挿入用治具は、流路口の口径に応じてステムを水平方向から傾斜させた状態又は水平状態に把持し、ステムを流路口に対して非接触状態で降下させるチャックを備えたボールバルブのステム挿入装置である。
【0011】
請求項3に係る発明は、チャックは、ステムの下端部を把持する把持部を有し、この把持部の先端側には、ステムの下部底面に当接してこのステムを所定の傾斜角度に保持する傾斜状の当接面が設けられたボールバルブのステム挿入装置である。
【0012】
請求項4に係る発明は、案内用治具は、ステムの上端部を受ける下部スライド治具と、この下部スライド治具に対してスライドする上部スライド治具とを備え、これら上部スライド治具と下部スライド治具には、ステムの上端部を上下方向側から把持してステムの回転を規制する案内面がそれぞれ設けられたボールバルブのステム挿入装置である。
請求項5に係る発明は、ボデーの挿入用治具が挿入される流路口と反対側の流路口から昇降動自在に支承用治具が設けられ、この支承用治具の先端側は、ステムの外周面を載置可能な形状に形成され、支承用治具がステムを水平状態に支える機能を有するボールバルブのステム挿入装置である。
【0013】
請求項6に係る発明は、挿入用治具の下端部に設けた把持部でステムの下端部を把持した状態でこのステムをボールバルブの流路口からボデー内に降下させ、この降下したステムの上端部を流路口と直交するステム挿入孔に挿着した案内用治具で支え、ステムがステム挿入孔の位置まで降下したときに、挿入用治具の把持部と案内用治具とによりステムの上下端部を支えて把持部を中心に回転しながらステムを略水平状態に矯正し、ステム挿入孔に対してステムを芯出し状態に配置した状態でステムを挿入するようにしたボールバルブのステム挿入方法である。
【0014】
請求項に係る発明は、流路口の口径に応じて挿入用治具に設けたチャックでステムを水平方向から傾斜させた状態又は水平状態に把持し、流路口にステムを非接触状態で降下させるようにしたボールバルブのステム挿入方法である。
【0015】
請求項に係る発明は、ステム挿入孔に挿入したステムを、押圧用治具によりその挿入完了位置まで押圧するようにしたボールバルブのステム挿入方法である。
【0016】
請求項に係る発明は、ボールバルブのステム挿入装置を用いたバルブ用自動組立システムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によると、装置本体の挿入用治具と案内用治具とによりボールバルブの流路口からステム挿入孔までへのステムの挿入の自動化を図ることができ、ステムを垂直方向に降下させて挿入することで、潤滑用のグリスのステム挿入孔付近以外の余計な部分への付着を防ぎつつ高精度かつスムーズに挿入できる。これにより、特に、ワンピース型ボールバルブのボデーのように流路開口部からステム孔までの距離が長い場合であっても、ボデー内部へのステムの接触を防ぎつつ、迅速かつ正確に所定の向きによってステムを挿入できる。このステムの自動組込みによりボールバルブ全体の組立ての自動化にも寄与でき、ロボット等を備えた自動組立システムを用いて一括して集中的にボールバルブを自動組立でき、組立て効率も向上する。
【0018】
請求項2に係る発明によると、チャックによりステムを傾斜させた状態又は水平状態に把持しつつ、このステムを流路口に非接触状態で降下できるため、ボールバルブのサイズに対応してボデー内への接触を防ぎながらステムをステム挿入孔の所定位置まで適切に運ぶことができる。
【0019】
請求項3に係る発明によると、チャックの把持部の先端側に傾斜状の当接面を設け、この当接面をステムの頭部上面に当接させてステムを所定の傾斜角度に保持することで、チャックでステムを把持するときにこのステムを自動的に傾斜させた状態にでき、ボールバルブの流路口への接触を確実に防止しつつ、ステムを所定位置まで正確に挿入できる。
【0020】
請求項4に係る発明によると、案内用治具が、下部スライド治具と上部スライド治具との案内面にステムの上端部を把持部しながらこのステムをステム挿入孔に案内できる。これにより、ステムの回転を規制してこのステムをステム挿入孔に対して所定の向きに配置しながらこのステム挿入孔への挿入が可能となる。
請求項5に係る発明によると、水平状態のステムの外周面を支承用治具で支えることにより、ステムの傾きを防いで水平状態を維持することができる。
【0021】
請求項に係る発明によると、挿入用治具によりステムをボデー内に降下させ、このステムを案内用治具で支えて傾きを矯正することにより、ボールバルブの流路口からステム挿入孔までへのステムの挿入の自動化を図ることができ、このとき、ステムに塗布した潤滑用のグリスがステム挿入孔付近以外の余計な部分に付着することを防ぎつつスムーズにステムを挿入することができる。このようにステムを自動組込みできることで、ボールバルブ全体の組立ての自動化にも寄与でき、自動組立システムを用いてボールバルブを一括して組立て可能になる。
【0022】
請求項に係る発明によると、チャックによりステムを傾斜させた状態又は水平状態に把持しつつ、このステムを流路口に非接触状態で降下できるため、ボールバルブのサイズに対応してボデー内への接触を防ぎながらステムをステム挿入孔の所定位置まで適切に運ぶことが可能になる。
【0023】
請求項に係る発明によると、挿入用治具と案内用治具とで所定状態に配置したステムを、押圧用治具により挿入完了位置まで押圧することにより、ボデーにステムを所定状態に挿入して組込みでき、ボデーに対して次の工程の組立てを図ることが可能になる。自動化によりステムの挿入から組込みまでをおこなうことができるため、ボールバルブ全体の組立ての自動化にも寄与する。
【0024】
請求項に係る発明によると、ボールバルブのステム挿入の自動化を図ることで、手作業による組立てを経ることなくバルブ全体の自動組立てが可能になり、セル生産方式などの限られた組立スペースの組立て方式において、ロボット等を利用して高効率の生産性を発揮しつつバルブを組立てできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のボールバルブのステム挿入装置の第1実施形態における挿入前の状態を示した断面図である。
図2】ステムの挿入工程を示す断面図である。
図3】ステムの次なる挿入工程を示す断面図である。
図4】ステムの更に次なる挿入工程を示す断面図である。
図5】(a)はチャックの一部拡大説明図である。(b)はチャックの正面図である。
図6】支承用治具の一部拡大正面図である。
図7】バルブ用自動組立システムの模式平面図である。
図8】本発明のボールバルブのステム挿入装置の第2実施形態における概略断面図である。
図9図8(b)におけるA部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明におけるボールバルブのステム挿入装置を実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のボールバルブのステム挿入装置(以下、装置本体1という)の第1実施形態の断面図を示しており、図1図4においてステムの挿入工程を示している。
【0027】
本発明の装置本体1で組立てられるボールバルブ2は、フルボアタイプで小径(1/2インチ、3/4インチなど)のねじ込み式の態様からなり、ボデー10、ステム11、Oリング12、ワッシャー13を有し、これら以外にも図示しないボール、インサート、ボールシートを備え、これらが組込まれて一体化される。これらのうち、ボデー10に対して所定位置にステム11を挿入するために装置本体1が用いられる。
【0028】
ボールバルブのボデー10は、いわゆるワンピース型と呼ばれる構造に設けられ、両側には正六角形状の継手部20が一体に設けられ、この継手部20の内部に流路口21が形成されている。各流路口21の内部には雌ねじ22が形成され、この雌ねじ22により図示しない外部の継手等がボデー10に接続可能に設けられる。流路口21と直交する側にはステム挿入孔23が形成され、ステム11は流路口21を通してステム挿入孔23に挿入されて内部に組込まれる。
【0029】
一方側の継手部20の内部には、環状突出部24が内径方向に突出して形成され、その中央部には開口流路25が形成される。開口流路25の拡径側には、ボールシート装着用の収納凹溝26が形成され、この収納凹溝26にボールシートが装着される。一方、他方側の継手部10の内部はインサートが挿入可能な内径に形成され、このインサートが螺着によって装着される。インサートの先方側にはボールシートが装着され、このボールシートと収納凹溝に収納されたボールシートとによりボールの一、二次側がシールされる。
【0030】
ステム11は、その下端部に平行二面部30が形成され、この平行二面部30を介してボールが取付けられる。平行二面部30の二面幅は約5mmに設けられ、この平行二面部30を介してステム下端部側に環状鍔部31が形成される。環状鍔部31にはワッシャー13が装着され、このワッシャー13を介して環状鍔部31がボデー10内部に係止することで、ステム11が低トルク性により回転可能であり、かつボデー10外部への抜け出しが防止される。環状鍔部31のボール取付け側には、フラット状の下部底面32が形成されている。
【0031】
ステム11の上端部には、平行二面部30と直交する向きに平行二面状部33が形成され、この平行二面状部33には図示しないハンドルが接続され、このハンドルによりボールが開閉操作可能に設けられる。
【0032】
ステム11の外周には、NBR(ニトリルゴム)を材料として形成された2つのOリング12が装着され、これらOリング12によりボデー10内周側とのシール性が確保される。ステム11のOリング12周辺には図示しない潤滑用グリスが塗布され、このグリスによりステム11とボデー10とのシール性及びトルク性が確保される。
本例において、ステム11の下端部とはボールが装着される側をいい、この下端部の反対側であるハンドルによる操作側をステム11の上端部とする。
【0033】
ボールシートは、ボデー内のボールの一、二次側に装着され、このボールシートによりボールのシール性とトルク性とが確保される。インサートは、一方側のボールシートを装着した状態のボデー10内にステム11及びボールを装着した後に、流路口21側から螺子接合により取付けられる。このインサートには、他方側のボールシートが予め装着される。
【0034】
続いて、本例における上記ボールバルブのステム挿入用の装置本体1を説明する。装置本体1は、挿入用治具40、案内用治具41、押圧用治具42、支承用治具43を有している。
挿入用治具40は、ステム11の下端部側を把持可能なクランプ状に設けられ、この下端部である平行二面部30を把持した状態でボールバルブ2の流路口21からボデー10内に降下できるように設けられる。
【0035】
挿入用治具40の先端側には、図5に示したチャック50が備えられる。チャック50は、ステム11の下端部(平行二面部30)を両側から把持可能なクランプ状の把持部51を有する平行チャックの態様をなし、その把持部51同士の間隔は、チャック50の開状態で約5mm、閉状態で約3mmとなるように設けられ、その把持力は約4kgfになっている。把持部51の先端側には傾斜状の当接面52が形成され、この当接面52は、ステム11の下部底面32に当接可能に形成され、水平方向から30°~60°の任意の角度θに設けられ、本例では水平方向から30°の角度θに形成されている。図5(a)においては、一方側の把持部51側を省略した状態を示し、図5(b)においては、一組の把持部51の側面図を示している。
【0036】
チャック(挿入用治具)50は、図示しない空圧の駆動源により動作され、これによりその把持力が無段階に調節可能に設けられる。このためステム11を把持するときの力を小さく設定することで、ステム11の損傷を防止しつつその傾斜状態又は水平状態を維持し、確実にステム挿入孔23までのステム11の運搬及び挿入が可能となる。
【0037】
チャック50でステム11を把持する際には、当接面52を下部底面32に当接させることでステム11を所定の角度θ(本例では水平方向から30°)に保持し、このステム11を水平状態から傾斜させた状態、又は図示しない水平状態に把持可能となる。このことから、流路口21の口径に応じてステム11の角度θを変えてチャック50で把持し、ボールバルブ2の異なる口径に対応させて、流路口21に対してステム11を非接触状態で降下させることが可能となる。
【0038】
案内用治具41はステム挿入孔23に挿入可能に設けられ、流路口21から降下したステム11の上端部(平行二面状部33)を支えることが可能になっている。装置本体1は、上記の挿入用治具40によりステム挿入孔23の高さまでステム11が降下したときに、挿入用治具40と案内用治具41とがステム1を略水平状態に支えることで傾きを矯正し、かつ流路口21から挿入したステム11をステム挿入孔23に対して芯出し状態に配置する機能を有する。
【0039】
上記案内用治具41は、それぞれ半円状に設けられた下部スライド治具55と、上部スライド治具56とを備え、これら2つを合わせ面で組み合わせたときには断面円筒状の形状となり、この組み合わせ状態でステム挿入孔23に芯出し状態で挿入される。上部スライド治具56は、下部スライド治具55に対して前後方向にスライド可能に設けられる。
【0040】
下部スライド治具55、上部スライド治具56の先端側には、これらの合わせ面と平行な面で切り欠かれた案内面55a、56aがそれぞれ設けられ、これらの案内面55a、56aを組み合わせたときに、その内部側にステム上端部(平行二面状部33)を遊嵌状態で装入可能になっている。これら案内面55a、56aに平行二面状部33が装入されたときには、水平状態とされているこの平行二面状部33を下部スライド治具55、上部スライド治具56で挟持し、ステム11の回転を規制した状態となる。
【0041】
押圧用治具42は、ロボット或は適宜の治具の先端側に取付けられ、図3(b)、図4(a)において水平方向及び上下方向に任意に移動可能に設けられている。押圧用治具42は鉤状に形成され、その先端側にステムの平行二面部30の底面側に係止可能な押圧面57が設けられ、この押圧面57でステム挿入孔23に途中まで挿入した状態のステム11を水平方向に押圧可能になっている。押圧用治具42によりステム11を押圧し、その挿入完了位置まで押し込むことが可能になっている。
【0042】
図1図6において、支承用治具43は略円柱状に形成され、ボデー10の挿入用治具40(押圧用治具42)が挿入される流路口21と反対側の流路口21から昇降動自在に設けられる。支承用治具43の先端側には、円弧状に切欠かれた凹状曲面58が形成され、この凹状曲面58は、ステム11外周面を載置可能な形状に形成されている。支承用治具43は、挿入用工具40により挿入されたステム11を水平状態に支える機能を有し、ステム11のステム挿入孔23への挿入後に挿入用治具40が抜き出されたときにも、ステム11を水平状態に支えてステム挿入孔23への芯出し状態を保持することが可能になっている。
【0043】
なお、装置本体1により組立てられるボールバルブ2は、ワンピース構造以外の複数の部品の組合わせによるものであってもよく、組立時に流路口21からステム11を挿入する構造のボールバルブであれば、流路口21の構造やステム11以外の部品の組付け構造にはこだわらない。
【0044】
チャックは、ステム11を把持した状態で移動可能に保持できるものであれば、上記の態様に限らず各種構造に設けることができる。この場合、把持部の形状を変えることにより、ステム11を任意の角度θで保持することも可能となる。
【0045】
案内用治具は、降下したステムの上端部付近を支えて水平状態まで向きを案内可能であれば、下部スライド治具及び上部スライド治具の先端形状を変えたり、又は上下スライド治具以外の組み合わせによる案内用治具を設けたり、或は単体の案内用治具を設けるようにしてもよい。
【0046】
上述した装置本体1は、例えば、図7に示すバルブ用自動組立システム(以下、組立システム本体60)に用いられる。組立システム本体60は、前述したボールバルブ2を完成品の状態まで組立て可能であり、本例ではセル生産方式の構成よりなる。
【0047】
組立システム本体60は、第1基台61、第2基台62を有し、これら第1基台61と第2基台62とを合わせて約2メートル四方の領域内に設置される。第1基台61には組立て用の小型の第1ロボット63、第2基台62には第1ロボット63よりも大型の組立て用の第2ロボット64が設けられ、これら第1ロボット63、第2ロボット64は垂直多関節型のアーム式ロボットよりなっている。これらにはそれぞれ3次元方向に移動可能な多軸アーム65、66が備えられ、多軸アーム66の先端側に前述した挿入用治具40が取付けられ、この挿入用治具40にチャック50が設けられる。組立システム本体60には、第1ロボット63、第2ロボット64以外にも各部の組立て用の組立て機構、部品供給機構などの専用機が設けられ、これらを用いて中間部品を組立てたり、この中間部品及び単体の部品をボデー10に組付けることでボールバルブ2が組立てられる。
【0048】
第1基台61では、主に比較的小型の部品の供給や、中間部品の組立てがおこなわれ、第1ロボット63や各種専用機により、例えば、ステム11、ボールシート、インサート、Oリング12、ワッシャー13の供給、ボールシートやインサートの表裏判定、ステム11へのOリング12及びワッシャー13の組付けなどが実施される。
第2基台62では、主に第1基台61の場合に比較して大型の部品の供給や、中間部品や単体部品の組み付けがおこなわれ、第2ロボット64や各種専用機により、例えば、ボデー10が供給されたり、このボデー10に対してステム11やボール、インサート、ボールシートの供給や組付けなどが実施されることにより完成品が設けられる。
【0049】
装置本体1は上記した第2基台62上に配置され、ボールバルブの組立て工程の一部として、ボデー10にステム11を挿入する機能を有している。
この場合、挿入用治具40は、第2ロボット64の多軸アーム66の先端側に取付けられることによりこの多軸アーム66で3次元方向に移動可能であり、これによってチャック50で把持したステム11をボデー10の流路口21から降下させて挿入することが可能になっている。
【0050】
前述した案内用治具41は、第2基台62上に突出形成された図1に示す固定板70の貫通穴70aに挿入され、固定板70には固定されていない状態で独立して水平状態を維持するように配置される。これにより下部スライド治具55及び上部スライド治具56が水平方向に維持され、その中心の高さが第2基台上62に配置したボデー10のステム挿入孔23と同心状態に配置される。さらに、上部スライド治具56がスライドするときにも、この上部スライド治具56及び下部スライド治具55の水平状態が維持される。
【0051】
ボデー10は、第2基台62に形成された図1の凹状の装着部71を介して装置本体1に配置される。この場合、装着部71にボデー10の継手部20が嵌入されることで、第2基台62の所定位置にボデー10が位置決め状態で保持される。装着部71に一方側の継手部20を嵌入することで、他方側の継手部20の流路口21が上方に開口した状態となり、この流路口21からステム11を挿入可能になっている。このとき、ボデー10の流路口21、21は、第2基台62に対して垂直の向きとなる。
【0052】
この状態で支承用治具43を昇動作させると、開口流路25を通してその先方側が環状突出部24よりも上方に移動し、凹状曲面58がステム11の挿入側に露出した状態となる。この凹状曲面58に挿入用治具40で流路口21に降下されたステム11を支承するようになっている。
【0053】
続いて、上述した装置本体1によるボールバルブ2のステム挿入方法並びに作用を説明する。本実施形態では、小型で口径の小さいワンピース型ボールバルブ2のボデー10にステム11を挿入するものとし、ステム11を水平方向から傾斜させた状態で挿入するものとする。
図1に示すように、ボデー10は一方側の継手部20が装着部71に固定され、他方側の継手部20の流路口21が上方に開口した状態になっている。
【0054】
図示しない電源を投入して装置本体1を動作させると、挿入用治具40のチャック50が、Oリング12及びワッシャー13が組み付けられ、Oリング12周辺に潤滑用グリスが塗布された状態のステム11の下端部(平行二面部30)を把持し、この状態でステム11を流路口21からボデー10内に挿入する。このとき、前述したように平行二面部30の二面幅が約5mm、チャック50の把持部51同士の間隔が開状態で約6mm、閉状態で約3mmであるため、開状態のチャック50(挿入用治具40)がステム11に接触してこのステム11を傷付けることがなく、4kgfの把持力によりステム11の脱落やずれも防いでいる。平行二面部30は縦向きの状態になっており、この平行二面部30をチャック50で左右側から把持することで、ステム11に縦方向の力が加わるときには把持部分を中心にこのステム11が回転可能になっている。
【0055】
この場合、流路口21の口径に応じて、チャック50でステム11を水平方向に対して傾斜させた状態又は水平状態に把持可能であり、本例では、当接面52がステム下部端面32に当接することで、ステム11を水平方向から30°の角度θで傾斜した状態に保持した状態で流路口21から垂直方向に挿入するようになっている。



【0056】
このため、流路口21に非接触状態でステム11を降下させ、ステム11外周やOリング12、ワッシャー13への接触を回避し、これらが傷付くことを防止する。その際、潤滑用グリスが流路口21付近やボデー10内部に付着するおそれもない。
【0057】
図2(a)において、ステム11がステム挿入孔23の位置付近まで降下したときには、ステム11の上端部(平行二面状部33)側がステム挿入孔23に挿入された案内用治具41に当接し、この案内用治具41によりステム11が支えられる。
このとき、案内用治具41において、下部スライド治具55が上部スライド治具56に対して前進方向にスライドして前方に突出した状態にセットされる。これにより、下降したステム11の平行二面状部33が下部スライド治具55の案内面55aに当接し、平行二面状部33のそれ以上の下降が防がれた状態でさらにチャック50が下降しようとする。
【0058】
図2(b)において、チャック50が更に下降すると、案内面55aに当接した平行二面状部33の先端側が中心となってステム下端部(平行二面部30)側が回転するように下降し、ステム11が徐々に傾いた状態から水平状態に近づく。このとき、チャック50の把持力がステム11の挿入開始時よりも小さくなり、これによってステム11の把持部分の損傷を防ぎ、ステム11がスムーズに回転する。
【0059】
その後、平行二面部30がステム挿入孔23の高さまで降下したときにチャック50による下降が停止し、挿入用治具40と案内用治具41とによりステム11の上下側を支えてその傾きを略水平状態に矯正した状態となる。これにより、下部スライド治具55、上部スライド治具56により、ステム11をステム挿入孔23に芯出し状態で配置して挿入可能になる。
この場合、ステム11の外周面を支承用治具43で支えていることで、ステム11の傾きが防がれて水平状態を維持するようになっている。
【0060】
図3(a)に示すように、下部スライド治具55が上部スライド治具56に対してステム11の挿入方向にスライドしつつ、そのストローク分だけチャック50が水平方向にやや移動する。これによって、平行二面状部33が上下の案内面55a、56aにより保持されてステム11の回転が防がれてステム挿入孔23に挿入可能になる。続けてチャック50によるステム11の把持状態を解除し、挿入用治具40を上方に抜き出す。このとき、ステム11は支承用治具43で支え続けられるため、その水平状態が維持されている。
【0061】
図3(b)は、上部流入口21の上方に押圧用治具42を移動させた状態を示している。この状態から図4(a)に示すように、平行二面部30の先端面に押圧面57が当接する位置まで押圧用治具42を降下させ、続いて図4(b)において押圧用治具42を水平移動させることで、この押圧用治具42によりステム11を所定位置まで押圧するようにする。これにより、ステム11のステム挿入孔23への挿入が完了となる。
【0062】
本発明の上記実施形態における装置本体1は、挿入用治具40と案内用治具41とを有し、挿入用治具40を第2ロボット64の多軸アーム66の先端側に取付けていることで、この第2ロボット64でステム11を流路口21の上方まで移動し、この状態からステム11をボデー10に挿入可能となっている。このように、組立用ロボットを利用してステム11を所定位置に配置できることから、あらたにステム移動用の装置を必要としたり、手動によりステムを所定位置に配置することなく、挿入前のステム11を所定位置に配置し、自動化によるステム11の挿入が可能となる。
【0063】
第2ロボット64でステム挿入孔23の位置までステム11を降下し、このステム11を挿入用治具40と案内用治具41とにより略水平状態に支えて傾きを矯正し、ステム挿入孔23に芯出し状態に配置できるため、手作業の場合に生じる無駄な組立て時間を省くことが可能となる。このことから、組立システム本体60全体の自動化にも寄与し、この組立システム本体60を使用して効率の高いバルブの連続組立てが可能となる。
【0064】
図示しないが、チャックを交換することにより、直立状態に把持したステム11をボデー10内の所定位置に挿入することも可能となる。この場合、下部スライド治具の案内面を支承用治具43の凹状曲面58の上面側まで延長しつつ、その先端側にステム11の平行二面状部33を把持可能な切欠き凹部を設けるとよい。これにより、チャックで把持した直立状態のステム11を降下させて案内面まで到達したときには、平行二面状部33が切欠き凹部に係合した状態となり、この状態で下部スライド治具がスライドすることでステムを直立状態から回転させて略水平状態まで案内することができる。
【0065】
図8においては、本発明のボールバルブのステム挿入装置の第2実施形態を示している。なお、この実施形態において、前記実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
【0066】
図8では、チャック50によりステム11が図1とは異なる状態で把持された例を示している。このような把持状態としては、予め設定されている場合、又は、チャック50でステム11を把持する際に把持位置がずれた場合や、チャック50による3次元方向への移動中に揺れや外部への接触などにより、ステム11が所定の状態から傾いた場合などがある。
【0067】
ステム11が、図8(a)の状態から、チャック50でステム挿入孔23の位置付近まで降下したときには、ステム11の上端部(平行二面状部33)側が、ステム挿入孔23に挿入された案内用治具41により支えられる。
このとき、案内用治具41において、下部スライド治具55が上部スライド治具56に対して前進方向にスライドして前方に突出した状態にセットされる。これにより、下降したステム11の平行二面状部33が下部スライド治具55の案内面55aに当接し、平行二面状部33のそれ以上の下降が防がれた状態で、さらにチャック50が下降しようとする。
【0068】
このときのステム11の状態を図8(b)に示す。図の状態からチャック50がさらに下降しようとすると、案内面55aに当接した平行二面状部33の先端側が中心となって、ステム上端部(平行二面部30)側が回転するように下降する。この下降の際に、ステム上端部のOリング12がステム挿入孔23の開口端側に接触した場合には、このOリング12がステム11の下降に合わせて変形しつつ、ステム11の上端部からこのOリング12付近までがステム挿入孔23に挿入される。
【0069】
この場合、Oリング12の材質がニトリルゴムであることから、上記のようにステム11の下降に合わせて変形するときに、このOリング12が傷付いたり破断したり、或は脱落するおそれがない。Oリング12は、ニトリルゴムに限らず、弾性変形可能な各種材料を用いることができる。
【0070】
図9においては、図8(b)におけるA部拡大断面図を示している。ステム11に装着されたOリング12がステム挿入孔23の開口端に接触したときには、この接触位置Bが支点となり、チャック50で把持されたステム下端部の把持位置Cが力点となり、ステム上端部(平行二面状部33)と案内面55aとの接触位置Dが作用点となる「てこの原理」を利用してステム11が挿入される。
【0071】
これにより、力点Cからステム11に下降方向の力が加わったときには、この力が支点Bを中心に作用点Dに加わり、作用点Dであるステム上端部(平行二面状部33)側が案内面55aにより下方から支えられていることで、ステム11には、ステム上端部がステム挿入孔23に挿入する回転方向の力が働く。そのため、狭いボデー10内部においても、確実にステム11をステム挿入孔23に挿入することができる。
このとき、図の支点B、力点C、作用点Dの位置関係において、二点鎖線で示した、支点Bから作用点Dまでの長さL1よりも、支点Bから力点Cまでの長さL2のほうが大きいことで、モーメント力の関係によって小さい力でステム11をステム挿入孔23に挿入できる。
【0072】
上述のことから、ステム11の下降時にOリング12がステム挿入孔23の開口端側に接触した場合にも、Oリング12によるシール性を維持しながらステム11を所定の状態に挿入でき、潤滑用グリスが流出口21付近などに付着することも回避できる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【符号の説明】
【0074】
1 装置本体
2 ボールバルブ
10 ボデー
11 ステム
21 流路口
23 ステム挿入孔
30 平行二面部(ステム下端部)
32 下部底面
33 平行二面状部(ステム上端部)
40 挿入用治具
41 案内用治具
42 押圧用治具
50 チャック
51 把持部
52 当接面
55 下部スライド治具
55a 案内面
56 上部スライド治具
56a 案内面
60 組立システム本体
θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9