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特許7288333睡眠状態表示装置の作動方法及び睡眠状態表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】睡眠状態表示装置の作動方法及び睡眠状態表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20230531BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20230531BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20230531BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/08
A61B5/0245 B
A61B5/02 310A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019071645
(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公開番号】P2020168214
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢治
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 渉
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-214491(JP,A)
【文献】特開2010-051387(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0054940(US,A1)
【文献】国際公開第2011/027438(WO,A1)
【文献】特開2005-279113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/03
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを有する睡眠状態表示装置の作動方法であって、
前記コンピュータが、被験者の拍動間隔データに基づいた睡眠状態指標を取得し、
前記コンピュータが、前記拍動間隔データに基づいた交感神経の活動度を示す自律神経指標を取得し、
前記コンピュータが、前記拍動間隔データに基づき検出された周期的心拍変動イベントデータから、前記睡眠状態指標に基づき、拍動間隔が、レム睡眠の場合の拍動間隔に対応する、平均的な拍動間隔よりも長い所定範囲内となる期間に対応する周期的心拍変動イベントデータを除外し、かつ、交感神経の活動度を示す前記自律神経指標に基づき、当該自律神経指標が所定の自律神経指標閾値以上であるときの周期的心拍変動イベントデータのみをフィルタリング(選択)することにより、前記被験者の無呼吸状態が発生していることを示す周期的心拍変動イベントを取得し、
前記コンピュータが、前記周期的心拍変動イベントに基づいた無呼吸指標を取得し、
前記コンピュータが、前記睡眠状態指標、前記自律神経指標、及び、前記無呼吸指標を、所定の共通する時間間隔で時系列に表示し、
前記コンピュータが、前記周期的心拍変動イベントを、前記睡眠状態指標、前記自律神経指標、及び、前記無呼吸指標の少なくとも一つの指標にオーバーラップさせて表示する、
ことを特徴とする作動方法。
【請求項2】
前記周期的心拍変動イベントは、前記睡眠状態指標、前記自律神経指標、及び、前記無呼吸指標の少なくとも一つの指標の表示を塗りつぶす様に、それらの指標にオーバーラップさせて表示する、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記周期的心拍変動イベントは、前記睡眠状態指標、前記自律神経指標、及び、前記無呼吸指標の表示を視認可能に、それらの指標にオーバーラップさせて表示する、請求項1に記載の作動方法。
【請求項4】
コンピュータを動作させるプログラムであって、
被験者の拍動間隔データに基づいた睡眠状態指標を取得し、
前記拍動間隔データに基づいた交感神経の活動度を示す自律神経指標を取得し、
前記拍動間隔データに基づき検出された周期的心拍変動イベントデータから、前記睡眠状態指標に基づき、拍動間隔が、レム睡眠の場合の拍動間隔に対応する、平均的な拍動間隔よりも長い所定範囲内となる期間に対応する周期的心拍変動イベントデータを除外し、かつ、交感神経の活動度を示す前記自律神経指標に基づき、当該自律神経指標が所定の自律神経指標閾値以上であるときの周期的心拍変動イベントデータのみをフィルタリング(選択)することにより、前記被験者の無呼吸状態が発生していることを示す周期的心拍変動イベントを取得し、
前記周期的心拍変動イベントに基づいた無呼吸指標を取得し、
前記睡眠状態指標、前記自律神経指標、及び、前記無呼吸指標を、所定の共通する時間間隔で時系列に表示し、
前記周期的心拍変動イベントを、前記睡眠状態指標、前記自律神経指標、及び、前記無呼吸指標の少なくとも一つの指標にオーバーラップさせて表示する、ことを特徴とする睡眠状態表示方法、
をコンピュータに実行させる睡眠状態表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠状態表示方法及び睡眠状態表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠時に呼吸停止又は低呼吸になる疾患である睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep apnea syndrome)が知られている。睡眠時無呼吸症候群の診断方法として、睡眠中の脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸曲線・いびき・動脈血酸素飽和度等の生体活動を、一晩にわたって測定する睡眠ポリグラフ検査がある。しかし、装置が大がかりであり多岐にわたる検査のため被験者は入院を必要し、手軽に測定ができないという問題があった。又、医師あるいは臨床検査技師による総合的判断を必要とする。したがって、睡眠時無呼吸症候群の診断を簡便に行うことができる睡眠状態検出装置への必要性は高い。更に、検出された睡眠状態を表示し、睡眠時無呼吸症候群の診断を行うための表示方法の必要性も高い。
【0003】
睡眠時に呼吸停止又は低呼吸になった状態と心拍数の変動とが関連することが知られている。睡眠時の心拍数変化を観測すると、正常睡眠時での心拍数の変動に比べ、呼吸停止又は低呼吸になったときは、徐脈と頻脈を交互に繰り返す特徴的な心拍変動、いわゆる周期的心拍変動(CVHR:cyclic variation of heartrate)が発生する。
【0004】
特許文献1は、周期的心拍変動を検出して呼吸停止又は低呼吸になった状態を判定する方法を開示する。更に、呼吸停止又は低呼吸状態の精度を向上するため、被験者のそれぞれの健康状態を反映する指標として交感神経と副交感神経の活動比率の変化を利用することを開示する。
【0005】
又、特許文献2は、心拍間隔から交感神経及び副交感神経の活動比率を求めレム睡眠、ノンレム睡眠等睡眠状態を推定する睡眠状態判定方法を開示する。
【0006】
更に、特許文献3は、ユーザーの睡眠状態に関するデータを、時刻表示画像上に起床時刻及び就床時刻を図形の面積、数、色又はこれらの組み合わせと関連づけて視覚的に表示する表示方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-051387号公報
【文献】特開平7-143972号公報
【文献】特開2013-146463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1は、睡眠時に検出された呼吸停止又は低呼吸状態の表示方法については開示していない。
【0009】
又、特許文献2は、レム睡眠、ノンレム睡眠状態の表示方法については開示していない。
【0010】
更に、特許文献3は、無呼吸睡眠状態、レム睡眠、及びノンレム睡眠状態の表示方法については開示していない。
【0011】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、被験者の検出された睡眠状態を表示し、睡眠時無呼吸症候群の診断を行うための睡眠状態表示方法を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る睡眠状態表示方法は、被験者の拍動間隔データに基づいた睡眠状態指標を取得し、拍動間隔データに基づいた自律神経指標を取得し、睡眠状態指標及び自律神経指標に基づいた被験者の無呼吸状態が発生していることを示す周期的心拍変動イベントを取得し、周期的心拍変動イベントに基づいた無呼吸指標を取得し、睡眠状態指標、自律神経指標、及び、無呼吸指標を、所定の共通する時間間隔で時系列に表示し、周期的心拍変動イベントをほかの指標にオーバーラップさせて表示する、ことを特徴とする。
【0013】
更に、本発明に係る睡眠状態表示方法は、周期的心拍変動イベントが、睡眠状態指標、自律神経指標、及び、無呼吸指標の表示を塗りつぶす様に、それらの指標にオーバーラップさせて表示する、ことが好ましい。
【0014】
更に、本発明に係る睡眠状態表示方法は、周期的心拍変動イベントが、睡眠状態指標、自律神経指標、及び、無呼吸指標の表示を視認可能に、それらの指標にオーバーラップさせて表示する、ことが好ましい。
【0015】
更に、本発明に係る睡眠状態表示プログラムは、コンピュータを動作させるプログラムであって、被験者の拍動間隔データに基づいた睡眠状態指標を取得し、拍動間隔データに基づいた自律神経指標を取得し、睡眠状態指標及び自律神経指標に基づいた被験者の無呼吸状態が発生していることを示す周期的心拍変動イベントを取得し、周期的心拍変動イベントに基づいた無呼吸指標を取得し、睡眠状態指標、自律神経指標、及び、無呼吸指標を、所定の共通する時間間隔で時系列に表示し、周期的心拍変動イベントをほかの指標にオーバーラップさせて表示する、ことを特徴とする睡眠状態表示方法、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る睡眠状態表示方法は、被験者の検出された睡眠状態を表示することにより、睡眠時無呼吸症候群の診断に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】心臓の拍動を示す心電図と心臓の拍動の時間間隔である心拍間隔を説明する図である。(a)は心電図波形であり、(b)は心拍間隔(RRI)のグラフである。
図2】従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を推定する方法を説明するための図である。
図3】従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムの一例を示す図である。
図4】平滑化された脈波間隔と周期的心拍変動イベントとの関連を描いたグラフを示す図である。
図5】自律神経指標の一例を示す図である。
図6】本発明で利用される睡眠状態検出装置の処理概要の一例を示す図である。
図7】睡眠状態検出装置の構成の一例を示す図である。
図8】睡眠状態検出装置で行われる睡眠状態検出処理のフローチャートの一例を示す図である。
図9】本発明に係る睡眠表示方法の表示画面の一例を示す図である。
図10】睡眠状態表示装置の構成の一例を示す図である。
図11】睡眠状態表示処理のフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一側面に係る睡眠状態表示方法について、図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。なお、以下の説明及び図において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
本発明に係る睡眠表示方法において表示されるデータは、少なくとも睡眠状態指標データ、自律神経指標データ、無呼吸指標データ、及び周期的心拍変動イベントを含む。そこで、睡眠状態指標、自律神経指標、無呼吸指標のデータ、及び周期的心拍変動イベントを検出する一例として、睡眠状態検出装置について説明する。
【0020】
[睡眠状態検出装置の処理概要]
本発明で利用される睡眠状態検出装置は、拍動間隔データと自律神経指標データとに基づいて、被験者の睡眠状態を検出する。
【0021】
[心臓の拍動と心拍間隔]
図1は、心臓の拍動を示す心電図と心臓の拍動の時間間隔である心拍間隔を説明する図である。(a)は心電図波形であり、(b)は心拍間隔のグラフである。
【0022】
人が横になる等安静にしているときは心臓の拍動が「遅く」なり、運動した時や緊張した時には心臓の拍動が「速く」なることはよく知られている。心臓の拍動が「速い」、「遅い」という現象は、例えば、拍動の一拍と次の一拍の間の時間である心拍間隔により表現できる。心臓の鼓動が速いときは、心拍間隔時間は小さくなり、反対に、心臓の拍動が遅いときは、心拍間隔時間は大きくなる。
【0023】
図1(a)は、心電図と呼ばれる心臓が拍動するときに発生する電気信号を示す図である。心電図の一番鋭いピークであるRは、心臓の心室と呼ばれる部分が急激に収縮して血液を心臓から送り出している時に発生する電気信号であり、R-R間の時間間隔を心拍間隔(RRI;R-R Interval)という。
【0024】
図1(b)は、心拍間隔(RRI)をプロットしたグラフである。心拍間隔(RRI)は常に一定ではなく変動していることがわかる。運動することで心拍数が上昇し心拍間隔(RRI)が変化するだけでなく、じっと安静にしているときや眠っているときでも、心拍間隔(RRI)の変動が観察される。上図では、心拍間隔(RRI)が950ミリ秒から900ミリ秒のあいだで変動している。このような心拍間隔の変動を、心拍変動と呼ぶ。
【0025】
被験者が無呼吸又は低呼吸睡眠状態にあるとき、徐脈と頻脈を交互に繰り返す特徴的な心拍変動、いわゆる周期的心拍変動が起こることが知られている。しかし、周期的な心拍変動には、様々な要因があり、被験者が無呼吸又は低呼吸睡眠状態にあることを簡便に精度よく推定する必要がある。尚、本実施形態では、心拍間隔(RRI)と脈波間隔(PPI)を総称して拍動間隔と呼ぶ。脈波間隔(PPI)は、例えば脈波の最も鋭いピーク間の時間間隔をいう。心電図は心臓の心筋の活動に伴い発生する電位変化をとらえたものに対し、脈波は心臓が拍出した血液が動脈を介し末梢へ流れた血流の変動を測定したものであり、RRIとPPIはそれぞれから取得した情報であるが、睡眠時など比較的安静時にはそれらはほぼ同様な値を示すことが知られている。以降の実施例では脈波間隔に基づき説明する。
【0026】
[従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を検出する方法]
図2は、従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を推定する方法を説明するための図である。
【0027】
図2の上段のグラフは、脈波間隔値を縦軸に睡眠時刻を横軸にして描いたグラフである。実線は実際の脈波間隔を示し、破線は、例えば移動平均により平滑化された脈波間隔である。平滑化された脈波間隔の落ち込みをディップ(dip)という。図2の下段のグラフは、平滑化された脈波間隔から推定される周期的心拍変動フラグを、睡眠時刻を横軸にして描いたグラフである。周期的心拍変動フラグとは、被験者が無呼吸状態にあることを示すフラグである。
【0028】
図3は、従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムの一例を示す図である。まず、平滑化された脈波間隔の極小値近傍の形状をディップ候補として抽出する(ST401)。抽出されたディップ形状の判定、例えばディップ形状が所定の放物線形状に類似するかの判定を行う(ST402)。更にディップの深さ、例えば極小値の中心時刻における値と、前後の移動平均の最大値の平均値との差として、個々のディップの深さを算出して閾値判定を行う(ST403)。更にディップの幅の判定、例えば隣接するディップに対して所定範囲内のディップ幅を有しているかの判定を行う(ST404)。
【0029】
更にディップの類似性の判定を行う(ST405)。例えば隣接するディップに対して所定範囲内のディップ幅及び所定範囲内のディップ高さを有し、且つ隣接するディップに対して所定範囲内のディップ幅とディップ高さの比を有しているディップを、類似性を有するディップとして特定する。更にディップの周期性の判定を行う(ST406)。例えば4つの連続するディップのうちの隣接する2つのディップの全てについて、隣接する2つのディップの時刻差が所定時間の範囲内であり、かつ、時刻差の大きさのばらつきが所定範囲内である場合に、その4つのディップは周期性を有するとする。上記条件を全て満たしたディップを周期的心拍変動フラグとして取得する(ST407)。周期的心拍変動フラグは、周期的心拍変動フラグに対応する時刻に被験者は無呼吸状態にあり周期的心拍変動イベントが発生していることを示すものである。
【0030】
図4は、平滑化された脈波間隔と周期的心拍変動イベントとの関連を描いたグラフを示す図である。
【0031】
被験者の平滑化された脈波間隔は、左側部分Aでは安定しているが、右側部分Bでは大きく変動していることがわかる。従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を推定するアルゴリズムによって、左側部分Aで周期的心拍変動フラグc(1、t1)、c(2,t2)、c(3、t3)を取得する。ここで、c(n,tn)は、n番目の周期的心拍変動フラグであり、時刻tnで検出されていることを示す(n:自然数)。更に右側部分Bで周期的心拍変動フラグc(4、t4)、c(5,t5)、c(6、t6)、c(7,t7)、c(8、t8)を取得する。
【0032】
平滑化された脈波間隔の大きく変動している右側部分Bでは、被験者は無呼吸状態ではなく、例えば、レム睡眠等、別の睡眠状態にあることを、発明者は実際の無呼吸状態と検出された周期的心拍変動フラグとを対比することにより知得した。本願発明は、従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を取得するアルゴリズムにより取得された周期的心拍変動フラグから、被験者が無呼吸状態にない周期的心拍変動フラグを除外して、被験者の無呼吸睡眠状態の検出精度を向上させるものである。
【0033】
[自律神経指標の例]
被験者が無呼吸睡眠状態となったとき、被験者の交感神経活動が活性化することが知られている。交感神経活動の活動度については、例えば心拍変動を解析することで把握可能なことが知られている。
【0034】
図5は、自律神経指標(LF/HF)の一例を示す図である。心拍変動の周波数解析を行った結果の一例を示している。例えば心拍間隔(RRI)を所定時間、例えば5分間に亘って、周波数解析した周波数(横軸)とパワー(縦軸)との関係を示すグラフである。低周波数区間(例えば0.05Hz-0.15Hz)のピーク値をLFとし、高周波数区間(例えば0.15Hz-0.4Hz)のピーク値をHFとする。
【0035】
LFは主に交感神経機能の活動度を示し、HFは副交感神経機能の活動度を示す。ただしLFは交感神経だけでなく副交感神経の関与もあるため、LFとHFの比(LF/HF)を交感神経の活性度の指標として使用されることが多く、本発明ではLF/HFを交感神経活性度の指標として使用する。又、ピーク値ではなく、低周波数区間と高周波数区間のパワースペクトル密度の比を自律神経指標(LF/HF)としてもよい。交感神経の活動度を示す自律神経指標(LF/HF)を利用して被験者が無呼吸睡眠状態となったときの推定精度を上げることができる。
【0036】
図6は、本発明で利用される睡眠状態検出装置の処理概要の一例を示す図である。
【0037】
被験者の手首には、被験者の心臓の拍動状態、例えば脈拍を検出する光学式脈波センサ11を有するリストバンド1が取り付けられている。光学式脈波センサ11で検出された拍動信号は、無線通信により睡眠状態検出装置3に送信される。拍動信号の送信はリアルタイムでなくともよく、例えば、被験者が睡眠から覚醒した後、まとめて睡眠状態検出装置3に送信してもよい。又、リストバンド1から睡眠状態検出装置3に拍動信号を直接無線送信する必要はなく、例えばスマートホン、アクセスポイント経由で睡眠状態検出装置3に送信してもよい。
【0038】
リストバンド1から送信された拍動信号は、睡眠状態検出装置3のアンテナ31で介して通信インターフェース32が受信する。取得部321は、拍動信号から睡眠期間を含む所定期間における被験者の拍動間隔データを取得する。取得された拍動間隔データはイベント検出部322に入力される。更に、拍動間隔データは自律神経指標出力部325に入力される。
【0039】
イベント検出部322は、拍動間隔データを平滑化する。更にイベント検出部322は、図3に示した従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムを使用して周期的心拍変動イベントを検出する。検出された周期的心拍変動イベントデータはイベント処理部323に入力される。
【0040】
自律神経指標出力部325は、拍動間隔データに基づき自律神経指標(LF/HF)データを算出する。交感神経の活動度を示す自律神経指標(LF/HF)を利用して被験者が無呼吸睡眠状態となったときの推定精度を上げることができる。自律神経指標出力部325から出力される自律神経指標データは、イベント処理部323に入力される。
【0041】
睡眠状態指標出力部326は、自律神経指標出力部325から出力される自律神経指標(LF/HF)データを用いてレム睡眠、ノンレム睡眠など睡眠状態を示す睡眠ステージと呼ばれる状態を推定する。ノンレム睡眠時は副交感神経が優位となることが知られており、そのためLF/HFの値が低く、睡眠が深くなるにつれてその値は低くなる。一方レム睡眠時はノンレム睡眠に対して交感神経が優位となり自律神経状態が不安定となることが知られていることから、LF/HFの値が高く、所定時間範囲のLF/HFのばらつきが大きい場合にレム睡眠と判定する。睡眠状態指標出力部326から出力される睡眠ステージデータは睡眠状態指標データとして出力部324に入力される。
【0042】
イベント処理部323は、検出された周期的心拍変動イベントデータから、拍動間隔が所定範囲内となる期間に対応する周期的心拍変動イベントデータを除外する。無呼吸に伴う周期的心拍変動では、交感神経が優位となっており、平均的な拍動間隔は短くなる傾向があるが、例えばレム睡眠の場合は周期的心拍変動に類似な心拍変動となるがその平均的な拍動間隔は無呼吸の場合に比べて長い傾向があるため、所定範囲をレム睡眠時の平均的な拍動間隔付近とし、この範囲を除外することで無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータのみを選択する。
【0043】
イベント処理部323は、除外処理された無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータを、更に、自律神経指標データに基づいてフィルタリングする。フィルタリングは、例えば、自律神経指標が所定の自律神経指標閾値以上であるときの周期的心拍変動イベントデータを無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータをとして判定する。自律神経指標(LF/HF)が高いとき、すなわち交感神経活性化状態のときは、被験者が無呼吸又は低呼吸睡眠状態にある可能性が高いと推定される。
【0044】
イベント処理部323による検出結果に基づき、出力部324は、無呼吸指標信号として周期的心拍変動イベントデータを出力する。周期的心拍変動イベントデータに代えて、又は周期的心拍変動イベントデータと共に検出単位時間あたりの呼吸指標、例えば1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数に相当する値を出力してもよい。
【0045】
又、出力部324は、睡眠状態指標出力部326から入力された睡眠ステージデータに関連する睡眠状態指標信号を出力してもよい。
【0046】
例えば、無呼吸指標信号は、睡眠状態検出装置3に内蔵される不図示の表示部に入力され、表示画面上に、例えば、無呼吸低呼吸指数の値が表示される。又、無呼吸指標信号は、睡眠状態検出装置3に内蔵される不図示のハードディスク、着脱メモリカードに書き込まれてもよい。更に、無呼吸指標信号は、睡眠状態検出装置3に接続される、プリンタ、情報端末装置、サーバ装置に出力されてもよい。又、ネットワークを介して、例えば、被験者データベースを有するサーバ装置に送信されてもよい。
【0047】
睡眠状態検出装置3によれば、簡便に睡眠時の呼吸停止又は低呼吸状態の検出精度を向上することができるとともに、拍動間隔から睡眠ステージなど睡眠状態指標と呼吸停止又は低呼吸状態の判定を同時に実施することができる。
【0048】
[睡眠状態検出装置の構成例]
図7は、睡眠状態検出装置の構成の一例を示す図である。
【0049】
睡眠状態検出装置3は、アンテナ31を介して外部と通信する通信インターフェース32と、通信インターフェース32と接続する制御部34を有する。更に、外部記憶媒体と接続する記憶媒体インターフェース33を有してもよい。例えば、記憶媒体インターフェース33により睡眠状態検出装置3はリストバンド1の記憶媒体に記憶された検出データを読み込むことができる。
【0050】
制御部34は、制御記憶部310と制御処理部320を有する。制御記憶部310は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。制御記憶部310は、制御処理部320による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0051】
例えば、制御記憶部310は、ドライバプログラムとして、通信インターフェース32を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて制御記憶部310にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールしてもよい。
【0052】
更に、制御記憶部310は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。制御記憶部310は、ディップ判定閾値、拍動間隔閾値、拍動間隔範囲閾値、拍動間隔平均閾値、自律神経指標閾値等の閾値テーブル311、推定単位時間、検出単位時間等の時間テーブル312、統計処理のための統計マスタ313等を記憶する。
【0053】
制御記憶部310に記憶される、ディップ判定閾値、拍動間隔閾値、拍動間隔範囲閾値、拍動間隔平均閾値、自律神経指標閾値等の閾値テーブル311、推定単位時間、検出単位時間等の時間テーブル312は固有の設定値としてもよい。又、閾値テーブル311、及び時間テーブル312は、複数被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態の統計を取り、統計値の平均、分散等に基づいて統計的に設定されてもよい。更に、被験者の、生体情報、例えば年齢、性別、体重に応じた設定値を統計マスタ313に記憶して、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態の推定に利用してもよい。
【0054】
制御処理部320は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。制御処理部320は、睡眠状態検出装置3の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCU(Micro Controller Unit)である。
【0055】
制御処理部320は、制御記憶部310に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、制御処理部320は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行してもよい。制御処理部320は、取得部321、イベント検出部322、イベント処理部323、出力部324、自律神経指標出力部325、睡眠状態指標出力部326等を有する。
【0056】
制御処理部320が有するこれらの各部は、独立した集積回路、回路モジュール、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして制御部34に実装されてもよい。
【0057】
[睡眠状態推定処理フロー]
図8は、睡眠状態検出装置3で行われる睡眠状態推定処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0058】
取得部321は、被験者のリストバンド1から受信された拍動信号を用いて拍動間隔を示す拍動間隔データを取得する(ST801)。
【0059】
自律神経指標出力部325は、拍動間隔データに基づき自律神経指標データを出力するする(ST802)。
【0060】
イベント検出部322は、拍動間隔データを平滑化する(ST803)。更にイベント検出部322は、図3に示した従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムを使用して周期的心拍変動イベントを検出する(ST804)。イベント処理部323は、拍動間隔データの移動平均(mv)を算出する(ST805)。イベント処理部323は、所定期間、例えば、1時間ごとの、又は1睡眠期間における平均値(An)を算出する(ST806)。
【0061】
イベント処理部323は、周期的心拍変動フラグが検出された時刻tkにおいて移動平均(mv)が平均値(An)以下であるかを判定する(ST807)。移動平均(mv)が平均値(An)以下であるとき(ST807:YES)は、イベント処理部323は、時刻tkにおける自律神経指標が所定の自律神経指標閾値Th以上かを判定する(ST808)。移動平均(mv)が平均値(An)を超えるとき(ST807:NO)は、イベント処理部323は、ST807に戻り次の時刻の周期的心拍変動フラグの移動平均(mv)と平均値(An)を比較する。
【0062】
時刻tkにおける自律神経指標が所定の自律神経指標閾値Th以上のとき(ST808:YES)は、イベント処理部323は、時刻tkの周期的心拍変動フラグc(k、tk)を周期的心拍変動フラグとして累積する(ST809)。時刻tkにおける自律神経指標が所定の自律神経指標Thを下回るとき(ST808:NO)は、イベント処理部323は、ST807に戻り次の時刻の周期的心拍変動フラグの移動平均(mv)と平均値(An)を比較する。
【0063】
イベント処理部323は、時刻tkが睡眠時間を超えたかを判定する(ST810)。時刻tkが睡眠時間を超えていないとき(ST810:NO)は、ST807に戻る。時刻tkが睡眠時間を超えたとき(ST810;YES)は、出力部324は、累積された周期的心拍変動フラグに基づき無呼吸指標信号を出力する(ST811)。処理フローは終了する。
【0064】
上述の説明では、被験者の心臓の拍動状態として脈拍を例にとり説明したが、被験者の心臓の拍動状態として心拍を使用してもよい。
【0065】
睡眠状態検出装置は、サーバ装置‐クライアント装置間の連携による実施形態としてもよい。
【0066】
[睡眠状態表示方法の概要]
図9は、本発明に係る睡眠表示方法の表示画面の一例を示す図である。表示画面は、表示装置、例えば、液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)、ブラウン管装置に表示される。
【0067】
表示画面7の左側領域には、見出し部71が表示される。見出し部71の右側領域は、指標部72が表示される。表示画面7の右側領域には、見出し部71が表示され、見出し部71の左側領域は、指標部72が表示されてもよい。
【0068】
指標部72には、睡眠経過時間を示す時間軸721が表示されている。時間軸721には目盛り又は時間値が付されている。見出し部71には、指標部72に表示された時間軸721の左側に「睡眠経過時間」の名称が表示されてもよい。又、時間軸721の代わりに、時刻を示す時刻軸が表示されてもよい。見出し部71には、指標部72に表示された時刻軸に対応して「時刻」の名称が表示されてもよい。
【0069】
見出し部71には、指標部72に表示される各指標名称が縦に表示される。指標名称は、省略名称、又は、例えば、LF/HF,AHIの記号が表示されてもよい。更に、いくつかの指標名称は表示を省略又は変更してもよい。指標部72には、見出し部71に表示された各指標名称の右側に位置するように、睡眠状態指標722、自律神経指標723、及び、無呼吸指標724が所定の共通する時間間隔で時系列に表示される。又、例えば、睡眠状態指標722は、レム睡眠、ノンレム睡眠等睡眠状態を示す睡眠ステージと呼ばれる状態を示す「睡眠ステージ」として表示してもよい。
【0070】
指標が更に複数の指標で表されるとき、例えば、睡眠状態指標が、レム睡眠状態とノンレム睡眠状態で表されるときは、見出し部71に、例えば、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の名称を小見出しとして更に表示してもよい。指標部72には、それぞれの小見出しの右側にレム睡眠状態とノンレム睡眠状態が、所定の共通する時間間隔で時系列に表示される。
【0071】
各指標が、所定の共通する時間間隔で時系列に表示される表現として、睡眠状態指標722は、レム睡眠状態とノンレム睡眠状態の切変わりが判るように、例えば、それぞれ帯グラフで表現される。変動時間が比較的短い自律神経指標723は、例えば、LFとHFの折れ線グラフで表示される。無呼吸指標724として、例えば、無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopea Index)を示すときは、棒グラフで表現される。無呼吸低呼吸指数は、1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である。各指標が所定の共通する時間間隔で時系列に表示される表現は、これらに限定されず、様々な表現、例えばカラー表示による表現としてよい。
【0072】
更に、被験者が無呼吸状態となったときを示す所定時間、例えば1時間に所定回数の周期的心拍変動イベントが発生しているとき、1時間内の周期的心拍変動イベントを連続させた帯領域73としてほかの各指標にオーバーラップさせて表示画面7に表示される。この1時間はあくまで一例であり、10分、30分などでも構わない。周期的心拍変動イベントとは、被験者の無呼吸/低呼吸状態が発生していることを示すイベントである。
【0073】
周期的心拍変動イベントを連続させた帯領域73は塗りつぶし、又は半透過で表される。半透過のときは、睡眠状態指標722、自律神経指標723、及び、無呼吸指標724は、視認可能である。又、周期的心拍変動イベントを連続させた帯領域73は、少なくとも一つの指標部分にオーバーラップさせて表示画面7に表示されてもよい。更に周期的心拍変動イベント、すなわち無呼吸/低呼吸イベントが発生したことを説明する表示をしてもよい。又、直接周期的心拍変動イベントをオーバーラップさせて表示してもよい。
【0074】
[睡眠状態表示装置の構成例]
図10は、睡眠状態表示装置の構成の一例を示す図である。
【0075】
睡眠状態表示装置8は、表示装置81、表示装置に接続される表示制御部82、表示制御部82と接続され、外部装置と通信する通信インターフェース83、表示制御部82と接続された、装置操作のための操作装置84を有する。更に、表示制御部82と接続され、外部記憶媒体と接続する記憶媒体インターフェース85を有してもよい。例えば、表示装置81と操作装置84はタッチパネルディスプレイとして一体となっていてもよい。
【0076】
例えば、睡眠状態表示装置8は、通信インターフェース83を介して睡眠状態検出装置3から睡眠状態指標信号、自律神経指標信号、及び、無呼吸指標信号を受信する。又、睡眠状態表示装置8は、記憶媒体インターフェース85を介して外部記憶媒体に記憶された睡眠状態指標データ、自律神経指標データ、及び、無呼吸指標データを読み込むことができる。
【0077】
表示制御部82は、表示記憶部810と表示処理部820を有する。表示記憶部810は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。表示記憶部810は、表示処理部820による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0078】
例えば、表示記憶部810は、ドライバプログラムとして、表示装置81、操作装置84を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて表示記憶部810にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールしてもよい。
【0079】
更に、表示記憶部810は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。表示記憶部810は、表示装置81に表示する、表示要素、表示パターン等の表示イメージデータ811を記憶する。又、表示記憶部810は、周期的心拍変動イベントの発生を検出するための、例えば、睡眠経過時間に関連した無呼吸指標閾値、他の指標閾値を記憶したイベント検出テーブル812等を記憶する。
【0080】
表示処理部820は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。表示処理部820は、睡眠状態表示装置8の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCUである。
【0081】
表示処理部820は、表示記憶部810に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、表示処理部820は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行してもよい。表示処理部820は、指標取得部821、時刻取得部822、イベント判定部823、オーバーラップ部824、表示出力部825等を有する。
【0082】
表示処理部820が有するこれらの各部は、独立した集積回路、回路モジュール、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして表示制御部82に実装されてもよい。
【0083】
[睡眠状態表示処理フロー]
図11は、睡眠状態表示処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0084】
指標取得部821は、通信インターフェース83を介して睡眠状態検出装置3から被験者の睡眠状態指標データ、自律神経指標データ、無呼吸指標データ、及び周期的心拍変動イベントデータを受信する(ST901)。時刻取得部822は、操作装置84を介して被験者の睡眠開始時刻と睡眠終了時刻を取得し、被験者の睡眠時間を算出する(ST902)。イベント判定部823は、例えば被験者が無呼吸状態となったときを示す所定時間、例えば1時間に所定回数の周期的心拍変動イベントが発生しているか否かを判定する(ST903)。所定時間に所定回数の周期的心拍変動イベントが発生しているとき(ST903:YES)は、オーバーラップ部824は、所定時間内の周期的心拍変動イベントを連続させた帯領域73としてほかの各指標にオーバーラップさせて表示画面7に表示される。周期的心拍変動イベントバーラップ表示処理を行い(ST904)。表示出力部825は、表示信号を表示装置81に出力する。所定時間に所定回数の周期的心拍変動イベントが発生していないとき(ST903:NO)は、表示出力部825は、表示信号を表示装置81に出力する。表示出力部825が表示信号を出力すると処理フローは終了する。
【0085】
本実施形態では、睡眠状態検出装置3と睡眠状態表示装置8は、別々の装置として説明したが、睡眠状態検出装置と睡眠状態表示装置とは1つの装置としてもよい。
【0086】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換、及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0087】
1 リストバンド
3 睡眠状態検出装置
31 アンテナ
32、83 通信インターフェース
33、85 記憶媒体インターフェース
34 制御部
310 制御記憶部
320 制御処理部
8 睡眠状態表示装置
81 表示装置
82 表示制御部
810 表示記憶部
820 表示処理部
83 通信インターフェース
84 操作装置
85 記憶媒体インターフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11