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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】巻鉄心変圧器の組立方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/00 20060101AFI20230531BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20230531BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20230531BHJP
   H01F 27/26 20060101ALI20230531BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20230531BHJP
   H01F 30/12 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
H01F41/00 B
H01F41/02 A
H01F27/00 120
H01F27/26 160
H01F30/10 U
H01F30/12 U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019118902
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021005643
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】関谷 大毅
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦
(72)【発明者】
【氏名】五百川 純一
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0157239(US,A1)
【文献】特開平04-092409(JP,A)
【文献】特開平06-132150(JP,A)
【文献】特開平09-153417(JP,A)
【文献】特開平09-129464(JP,A)
【文献】特開平02-239607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0158744(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106847480(CN,A)
【文献】特開昭64-027214(JP,A)
【文献】特開平05-190342(JP,A)
【文献】特開平07-029759(JP,A)
【文献】特開平04-024910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00、27/24-27/26、27/30-27/32
H01F 30/10-30/12、41/00-41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻鉄心と、該巻鉄心の複数の脚部に配置したコイルを有する巻鉄心変圧器の組立方法であって、
作業台上に、複数のコイルを並べて配置するステップと、
複数のくし歯部と、前記複数のくし歯部の一端を連結する接続部とを有し、平面における大きさが略前記巻鉄心の大きさであり、前記巻鉄心を載せる厚さ強度を備える鉄心組立作業台兼用絶縁板の前記くし歯部を、それぞれ前記複数のコイルの穴部に挿入するステップと、
前記鉄心組立作業台兼用絶縁板を作業台として、前記巻鉄心を前記コイルの穴部に挿入し、前記鉄心組立作業台兼用絶縁板を前記コイルと前記巻鉄心との間に有する巻鉄心変圧器を形成するステップと、
を備える巻鉄心変圧器の組立方法。
【請求項2】
請求項に記載の巻鉄心変圧器の組立方法において、更に、
巻鉄心の組立作業後、作業台と変圧器を一体とし、吊り具により起立させるステップを備える巻鉄心変圧器の組立方法。
【請求項3】
請求項に記載の巻鉄心変圧器の組立方法において、
巻鉄心変圧器は、巻鉄心と複数のコイルに分解して搬入し、現地で組み立てるものである巻鉄心変圧器の組立方法。
【請求項4】
請求項1に記載の巻鉄心変圧器の組立方法において、
前記鉄心組立作業台兼用絶縁板のくし歯部の前記接続部とは反対側の他端は、開放端であることを特徴とする巻鉄心変圧器の組立方法。
【請求項5】
請求項1に記載の巻鉄心変圧器の組立方法において、
前記巻鉄心は、2つの内鉄心と、前記2つの内鉄心を取り囲む外鉄心とから構成され、
前記コイルは、前記巻鉄心の3つの脚部に配置され、
前記鉄心組立作業台兼用絶縁板は、3つの前記コイルの穴部に前記くし歯部が挿入されるE字形状であることを特徴とする巻鉄心変圧器の組立方法。
【請求項6】
請求項1に記載の巻鉄心変圧器の組立方法において、
前記巻鉄心は、1つの巻鉄心から構成され、
前記コイルは、前記1つの巻鉄心の2つの脚部に配置され、
前記鉄心組立作業台兼用絶縁板は、2つの前記コイルの穴部に前記くし歯部が挿入されるコ字形状であることを特徴とする巻鉄心変圧器の組立方法。
【請求項7】
請求項1に記載の巻鉄心変圧器の組立方法において、
前記鉄心組立作業台兼用絶縁板の前記くし歯部の先端に、丸みを持たせたことを特徴とする巻鉄心変圧器の組立方法。
【請求項8】
請求項1に記載の巻鉄心変圧器の組立方法において、
前記鉄心組立作業台兼用絶縁板の前記くし歯部の先端に、テーパー部を有していることを特徴とする巻鉄心変圧器の組立方法。
【請求項9】
請求項1に記載の巻鉄心変圧器の組立方法において、
前記鉄心組立作業台兼用絶縁板は、根本部分において厚みが大きく、くし歯部の先端に向かうにつれて次第に厚みが小さくなることを特徴とする巻鉄心変圧器の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻鉄心を有する巻鉄心変圧器、および、分解搬入して現地での巻鉄心変圧器の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器を建物に搬入する際に、搬入間口の寸法より変圧器の寸法が大きい場合がある。この時には、変圧器を各パーツ毎に分解して搬入し、現地で組み立てる。この分解対応は、モールド変圧器のみ可能である。
【0003】
分解搬入を行う方法として積鉄心変圧器の分解搬入方法は確立されている。分解した鉄心、コイル、金具をそれぞれ分けて搬入し、組立工程としては、鉄心のみ組立起立を行った後、コイル挿入、鉄心、金具を組み立てし、検査後完成となる。
【0004】
例えば特許文献1には、「コイル、鉄心コア部と鉄心ヨーク部とからなる鉄心、等の変圧器部品を分解搬入し現地組立する分解搬入変圧器の組立方法において、各相毎のコイル及び鉄心コア部を横置き状態で取付けた本体ベースを搬入し、そして、該鉄心コア部に鉄心ヨーク部を組合せて鉄心とすることを特徴とする分解搬入変圧器の組立方法。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-114056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、積鉄心変圧器で現地分解搬入が可能となっている。しかし、現状の方法では鉄心の組み合わせ作業に多くの時間がかかり、全体としての作業日数が長くなることや部品点数も多いことから、分解搬入にかかるコストが高くなる等の課題がある。
【0007】
これに対して、巻鉄心変圧器の場合は、搬入後、作業台上にコイルを配置し、鉄心を挿入して組立作業を行い、金具取付後に作業台を反転して変圧器を起立し、検査を実施して完成となる。巻鉄心とした場合には、現地での鉄心の組み合わせ作業と組立作業台が必要となるため、作業が簡易にできないと作業台が大型化し、また、作業日数が必要となる。現在、巻鉄心の現地分解搬入の実例は見当たらない。
【0008】
本発明は、分解搬入して現地での組立に好適な巻鉄心変圧器、および、その組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、巻鉄心変圧器において、コイルと鉄心間に鉄心組立作業台兼用絶縁板を設ける。
【0011】
発明の「巻鉄心変圧器の組立方法」の一例を挙げるならば、巻鉄心と、該巻鉄心の複数の脚部に配置したコイルを有する巻鉄心変圧器の組立方法であって、作業台上に、複数のコイルを並べて配置するステップと、複数のくし歯部と、前記複数のくし歯部の一端を連結する接続部とを有し、平面における大きさが略前記巻鉄心の大きさであり、前記巻鉄心を載せる厚さ強度を備える鉄心組立作業台兼用絶縁板の前記くし歯部を、それぞれ前記複数のコイルの穴部に挿入するステップと、前記鉄心組立作業台兼用絶縁板を作業台として、前記巻鉄心を前記コイルの穴部に挿入し、前記鉄心組立作業台兼用絶縁板を前記コイルと前記巻鉄心との間に有する巻鉄心変圧器を形成するステップと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の巻鉄心変圧器によれば、分解搬入して現地での組立に好適な巻鉄心変圧器を提供することができる。加えて、巻鉄心変圧器の短絡強化および耐震強化を図ることが可能となる。
【0013】
また、本発明の巻鉄心変圧器の組立方法によれば、積鉄心変圧器の分解搬入方法と比べて、鉄心組合せ作業の簡易化を図れるため、分解搬入して現地での組立作業日数を減少させることが可能となる。そして、分解搬入にかかるコストの低減やトップランナー適用品としての納入が可能となる。
【0014】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1の巻鉄心変圧器の一例を示す平面図である。
図2図1の巻鉄心変圧器のA-A断面図である。
図3図1の巻鉄心変圧器に用いる鉄心組立作業台兼用絶縁板を示す図である。
図4】実施例1の巻鉄心変圧器の組立方法を示す図である。
図5】鉄心組立作業台兼用絶縁板の変形例を示す図である。
図6】鉄心組立作業台兼用絶縁板の他の変形例を示す図である。
図7】実施例2の単相巻鉄心変圧器の一例を示す平面図である。
図8図7の巻鉄心変圧器のB-B断面図である。
図9】実施例3の巻鉄心変圧器の組立方法の一部を示す図である。
図10】実施例3の巻鉄心変圧器の組立方法の一部を示す図である。
図11】実施例4の鉄心組立作業台兼用絶縁板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明する。なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素にはなるべく同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0017】
図1に、本発明の実施例1の巻鉄心変圧器の平面図を、また、図2に、図1のA-A断面図を示す。実施例1は、本発明を三相三脚型変圧器に適用した例である。
【0018】
鉄心2は、隣接配置した2つの内鉄心2a,2aと、2つの内鉄心2a,2aの周囲を取り囲む外鉄心2bから、構成されている。鉄心2の3つの脚には、それぞれ一次コイル3および二次コイル4が設けられ、三相三脚型変圧器を構成している。
【0019】
コイル3および4の穴部には、鉄心組立作業台兼用絶縁板1が設けられている。図3に、鉄心組立作業台兼用絶縁板の一例を示す。鉄心組立作業台兼用絶縁板1は、コイルの穴部に挿入される複数のくし歯部1aと、複数のくし歯部1aの一端を接続する接続部1bとを備え、絶縁板から構成されている。そして、鉄心組立作業台兼用絶縁板1はE字形状をしており、鉄心組立作業台兼用絶縁板1の大きさは、図1に示すように、平面において略鉄心の大きさである。また、鉄心組立作業台兼用絶縁板1は、鉄心2を載せることができる厚さ強度を備えている。
【0020】
巻鉄心変圧器の組み立てにおいて、鉄心をコイルに挿入する際には、鉄心とコイルの高さを合わせるための高さ調整具を備える専用のラップ作業台を用いて作業を行っている。しかし、現地分解搬入の場合には、現地に専用の作業台を持ち込むことは困難である。そこで、本発明では鉄心組立作業台兼用絶縁板1を用いて組立作業台を簡素化する。さらに、絶縁板がコイルと鉄心の間に入ることによりコイル内周の傷つきを防止し、また部品として併用し製品に組み込むことにより短絡強化や耐震強化を図る。
【0021】
図4に、鉄心組立作業台兼用絶縁板1を用いた、実施例1の巻鉄心変圧器の組立方法を示す。先ず、図4(a)に示すように、分解搬入用作業台6の上に3つのコイル3を並べて配置する。次に、図4(b)に示すように、3つのコイル3の穴部にそれぞれ鉄心組立作業台兼用絶縁板1のくし歯部を挿入する。次に、図4(c)に示すように、鉄心組立作業台兼用絶縁板1の上面に、一端を開いた巻鉄心2を載置し、コイルの穴部に挿入し、開いた巻鉄心の一端を重ね合わせて巻鉄心を形成する。鉄心組立作業台兼用絶縁板1の手前側の接続部1bが、鉄心2を最初に載置するためのラップ作業台の役目を果たす。
【0022】
本実施例の変圧器は、図1~3に基づけば、第一の内鉄心2aと、前記第一の内鉄心に並べられた第二の内鉄心2aと、前記第一の内鉄心と前記第二の内鉄心とを覆うように配置された外鉄心2bと、前記第一の内鉄心と前記外鉄心に巻回された第一のコイル3と、前記第一の内鉄心と前記第二の内鉄心に巻回された第二のコイル3と、前記第二の内鉄心と前記外鉄心に巻回された第三のコイル3と、を有する変圧器であって、前記第一のコイル3の内側と前記第一の内鉄心及び前記外鉄心との間に該第第一のコイルの高さよりも長い第一の板状部材(くし歯部1a)が配置され、前記第二のコイル3の内側と前記第一の内鉄心及び前記第二の内鉄心との間に該第第二のコイルの高さよりも長い第二の板状部材(くし歯部1a)が配置され、前記第三のコイル3の内側と前記第二の内鉄心及び前記外鉄心との間に該第第三のコイルの高さよりも長い第三の板状部材(くし歯部1a)が配置され、前記第一の板状部材(くし歯部1a)と前記第二の板状部材(くし歯部1a)が前記第一のコイルより低いまたは高い位置で接続される第一の接続部(接続部1b)を有し、前記第二の板状部材(くし歯部1a)と前記第三の板状部材(くし歯部1a)が前記第二のコイルより低いまたは高い位置で接続される第二の接続部(接続部1b)を有するものである。
【0023】
また、前記第一の板状部材(くし歯部1a)、前記第二の板状部材(くし歯部1a)、前記第三の板状部材(くし歯部1a)、前記第一の接続部(接続部1b)及び前記第二の接続部(接続部1b)は該変圧器の正面側に配置されている。また、前記第一の板状部材(くし歯部1a)、前記第二の板状部材(くし歯部1a)および前記第三の板状部材(くし歯部1a)のうち前記第一の接続部(接続部1b)または前記第二の接続部(接続部1b)が接続されていない端面は開放端である。また、前記第一の板状部材(くし歯部1a)、前記第二の板状部材(くし歯部1a)、前記第三の板状部材(くし歯部1a)、前記第一の接続部(接続部1b)及び前記第二の接続部(接続部1b)がそれぞれ接続される形状はE字形状である。
【0024】
本実施例の巻鉄心変圧器によれば、鉄心組立作業台兼用絶縁板1を備えることにより、分解搬入して現地での組立に好適な巻鉄心変圧器を提供することができる。また、コイルと鉄心の間に絶縁板を備えているので、コイル内周の傷つきを防ぐことができ、絶縁を強化することができ、さらに、コイルが固定されることにより耐震強化を図ることができる。
【0025】
また、本実施例の巻鉄心変圧器の組立方法によれば、積鉄心変圧器の分解搬入方法と比べて、鉄心組合せ作業の簡易化を図れるため、分解搬入して現地での組立作業日数を減少させることが可能となる。そして、分解搬入にかかるコストの低減やトップランナー適用品としての納入が可能となる。
【0026】
図5に、本実施例の鉄心組立作業台兼用絶縁板の変形例を示す。この変形例は、鉄心組立作業台兼用絶縁板のくし歯部1aの先端に丸み1cを持たせたものである。くし歯部の先端に丸み1cを持たせることにより、コイルを傷つけることを防止できる。
【0027】
図6に、本実施例の鉄心組立作業台兼用絶縁板の他の変形例を示す。この変形例は、鉄心組立作業台兼用絶縁板のくし歯部1aの先端を尖らせテーパー部1dを設けたものである。くし歯部の先端にテーパー部1dを設けることにより、コイルへの差し込みを容易にすることができる。
【実施例2】
【0028】
図7に、本発明の実施例2の巻鉄心変圧器の平面図を、また、図8に、図7のB-B断面図を示す。実施例2は、本発明を単相変圧器に適用した例である。
【0029】
鉄心2の2つの脚には、それぞれ一次コイル3および二次コイル4が設けられ、単相型変圧器を構成している。コイル3および4の穴部には、鉄心組立作業台兼用絶縁板1が設けられている。鉄心組立作業台兼用絶縁板1は、実施例1と同様に、コイルの穴部に挿入される複数のくし歯部1aと、複数のくし歯部1aの一端を接続する接続部1bとを備え、絶縁板から構成されている。そして、本実施例では、鉄心組立作業台兼用絶縁板1はコ字形状をしており、鉄心組立作業台兼用絶縁板1の大きさは、図7に示すように、平面において略鉄心の大きさである。また、鉄心組立作業台兼用絶縁板1は、鉄心2を載せることができる厚さ強度を備えている。
【0030】
本実施例の単相型巻鉄心変圧器によれば、実施例1と同様に、鉄心組立作業台兼用絶縁板1を備えることにより、分解搬入して現地での組立に好適な巻鉄心変圧器を提供することができる。また、コイルと鉄心の間に絶縁板を備えているので、コイル内周の傷つきを防ぐことができ、絶縁を強化することができ、さらに、コイルが固定されることにより耐震強化を図ることができる。
【実施例3】
【0031】
図9,10に、実施例3の巻鉄心変圧器の組立方法の一部を示す。実施例3は、作業台上で巻鉄心変圧器を組み立てた後に、巻鉄心変圧器を起立させる方法である。
【0032】
図9において、作業台6上において、コイル3に鉄心を挿入し鉄心ラップ後に、上締金具9および下締金具10を取り付ける。そして、変圧器を起立させる際に、図の如く、作業台6と変圧器転倒防止用ベース7を固定する。
【0033】
そして、図10(a)に示すように、作業台6の一端と変圧器転倒防止用ベース7の一端に吊り具8を取り付け、吊り具8をクレーンに取り付ける。図10(b)に示すように、作業台6側の吊り具8を引き上げ、変圧器転倒防止用ベース7側の吊り具8を下ろすことにより、次第に変圧器が立ち上がる。そして、図10(c)に示すように、変圧器が直立したところで、作業を終了する。なお、変圧器を分解搬入する場合は、クレーンとしては、例えば分解して移動可能な簡易型のものを用いればよい。
【0034】
本実施例によれば、作業台と製品用ベースを固定して変圧器を起立させることにより、変圧器の転倒を防止することができる。また、変圧器を分解搬入して現地で組み立てることが容易である。
【実施例4】
【0035】
図11に、本発明の実施例4の鉄心組立作業台兼用絶縁板を示し、図11(a)は平面図を、図11(b)は右側面図を示す。
【0036】
図に示すように、本実施例の鉄心組立作業台兼用絶縁板1は、根本部分である接続部1bの厚みが大きく、くし歯部の先端に向かうにつれて次第に厚みが小さくなっている。本実施例の鉄心組立作業台兼用絶縁板1は、実施例1と同様に、作業台の上に並べて配置したコイルの穴部にそれぞれ鉄心組立作業台兼用絶縁板のくし歯部を挿入する。そして、鉄心組立作業台兼用絶縁板の上面に、一端を開いた巻鉄心を載置し、コイルの穴部に挿入し、開いた巻鉄心の一端を重ね合わせて巻鉄心を形成する。
【0037】
本実施例の鉄心組立作業台兼用絶縁板によれば、厚みがくし歯部1aの先端に向かうにつれて次第に小さくなっているので、鉄心のコイルへの挿入が容易となる。また、根本部分において絶縁板の厚みが厚くなっているので、コイルと鉄心を固定するクサビの作用が期待できる。
【符号の説明】
【0038】
1…鉄心組立作業台兼用絶縁板
1a…くし歯部
1b…接続部
1c…丸み
1d…テーパー部
2…巻鉄心
2a…内鉄心
2b…外鉄心
3…一次コイル
4…二次コイル
6…分解搬入用作業台
7…変圧器転倒防止用ベース
8…吊り具
9…上締金具
10…下締金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11