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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】センサシステム
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20230531BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20230531BHJP
   G01F 23/296 20220101ALI20230531BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
G08C15/00 D
G01F23/296
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019155620
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021033830
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 兼三
(72)【発明者】
【氏名】出来 信久
(72)【発明者】
【氏名】世継 和也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 大悟
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-346270(JP,A)
【文献】特開2016-170541(JP,A)
【文献】特開2017-123118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-25/04
G01D 21/00
H04Q 9/00
G01F 23/296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川の同一地点に配置される複数の超音波センサと、
各前記超音波センサと通信可能な管理サーバーとを有し、
各前記超音波センサは、電池から電力が供給されることで作動するものであって、前記河川の水面に向けて超音波を発信し当該超音波の反射波を受信することで物理量を計測し、前記管理サーバーに送信する計測手段を備え、
前記管理サーバーは、
異常が各前記超音波センサに生じたか否かを判定する異常判定部と、
前記異常判定部によって一の前記超音波センサに異常が生じたと判定された際に、前記異常が生じたと判定されていない前記超音波センサが前記計測手段を作動する時間間隔を短くする時間間隔調整部と、
を有するセンサシステム。
【請求項2】
前記異常判定部は、一の前記超音波センサに異常が生じたと判定した際に、異常が生じていない超音波センサの数nが2以上であるか否かを判定し、
前記異常判定部によって異常が生じていない前記超音波センサの数nが2以上であると判定された場合は、異常が生じていない前記超音波センサの数nが1であると判定されるまでの間、前記時間間隔調整部が、異常が生じていない前記超音波センサが前記計測手段を作動する時間間隔をn×T時間にし、且つ、異常が生じていない前記超音波センサによる前記計測手段の作動が順次実行されるように、先行及び後行の前記超音波センサが前記計測手段を作動するタイミングをT時間ほどずらし、
前記異常判定部によって、異常が生じていない前記超音波センサの数nが1であると判定された場合、前記時間間隔調整部は、異常が生じていない前記超音波センサが計測手段を作動する時間間隔をT時間にする請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記河川の同一地点に2つの超音波センサが配置され、
前記時間調整部は、前記2つの超音波センサが前記計測手段を作動する時間間隔を2T時間にするとともに、前記2つの超音波センサが前記計測手段を作動させるタイミングをT時間ほどずらし、
前記2つの超音波センサが前記計測手段を作動させる時間間隔がそれぞれ2T時間とされ、前記2つの超音波センサが前記計測手段を作動させるタイミングがT時間ほどずらした条件下で、前記異常判定部は、前記異常が前記2つの超音波センサに生じたか否かを判定し、
前記異常判定部によって前記2つの超音波センサのうち一方に異常が生じたと判定された際に、前記時間間隔調整部は、他方の超音波ンサが前記計測手段を作動する時間間隔を、2T時間からT時間に短くする請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記河川の同一地点に配置される2つの超音波センサとして、河川の第一地点に配置される第一及び第二の前記超音波センサと、前記河川の第二地点に配置される第三及び第四の前記超音波センサとを備え、
前記管理サーバーは、
前記異常判定部によって前記第一~第四の超音波センサに異常が生じたと判定されていない間、前記第一~第四の前記超音波センサの全てから前記物理量を受信するたびに、前記第一の超音波センサから送信された物理量Aと、前記第二の超音波センサから送信された物理量Bとの差分A―Bを取得し、且つ、前記第三の超音波センサから送信された物理量Cと、前記第四の超音波センサから送信された物理量Dとの差分C-Dを取得する第一差分取得部と、
前記第一差分取得部が前記差分A―B及び前記差分C-Dを取得するたびに、前記差分A―Bの絶対値が第一所定値以上であるか否かを判定する第一差分判定部と、
前記第一差分判定部によって、前記差分A―Bの絶対値が所定値以上であると判定された場合に、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であるか否かを判定する第二差分判定部と、
前記第二差分判定部によって、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であると判定された場合に、前記差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したか否かを判定する時間判定部と、
前記時間判定部によって、前記差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したと判定された場合に、異常が、前記第一及び第二の超音波センサのいずれかに生じたことを示す情報を出力する情報出力部とを、有する請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記管理サーバーは、
前記時間判定部によって、前記差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したと判定された場合、前記第一差分判定部によって、前記差分A―Bの絶対値が第一所定値以上ではないと最後に判定された時刻の直前において、前記第一、第二、第三、第四の超音波センサから送信された第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D(以下、差分未超過最終判定直前の第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D)をそれぞれ特定し、且つ、前記時間判定部によって、前記差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したとの判定が行われた時刻の直前において、前記第一、第二、第三、第四の超音波センサから送信された第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D(以下、時間超過判定直前の第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D)をそれぞれ特定する情報特定部と、
前記差分未超過最終判定直前の第一、第三の物理量A,Cの差分A-C(以下、差分未超過最終判定直前の差分A-C)、前記差分未超過最終判定直前の第二、第四の物理量B,Dの差分B-D(以下、差分未超過最終判定直前の差分B-D)、前記時間超過判定直前の第一、第三の物理量A,Cの差分A-C(以下、時間超過判定直前の差分A-C)、及び前記時間超過判定直前の第二、第四の物理量B,Dの差分B-D(以下、時間超過判定直前の差分B-D)を取得し、且つ、前記差分未超過最終判定直前の差分A-Cと前記時間超過判定直前の差分A-Cとの間の変化量(以下、差分A-Cの変化量)及び前記差分未超過最終判定直前の差分B-Dと前記時間超過判定直前の差分B-Dとの間の変化量(以下、差分B-Dの変化量)を取得する第三差分取得部と、
前記差分A-Cの変化量の絶対値と前記差分B-Dの変化量の絶対値とのいずれが大きいかを判定する第三差分判定部とをさらに有し、
前記情報出力部は、前記第三差分判定部によって前記差分A-Cの変化量の絶対値が前記差分B-Dの変化量の絶対値よりも大きいと判定された場合、異常が前記第一の超音波センサに生じたことを示す情報を出力し、 前記第三差分判定部によって前記差分B-Dの絶対値が前記差分A-Cの絶対値よりも大きいと判定された場合、異常が前記第二の超音波センサに生じたことを示す情報を出力する請求項4に記載のセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の水位を観測するために超音波センサを使用するセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川の水位を観測するために超音波センサを使用する技術が提案されている。この種の技術として、特許文献1には、超音波センサが、水面に向けて超音波を送信してから、水面で反射した超音波の反射波を受信するまでの時間を計測し、当該時間に基づき取得された物理量を管理サーバーに無線送信する技術が開示されている。この特許文献1では、超音波センサが設けられる端末に電池が搭載されて、当該電池から超音波センサに電力が供給されることで、超音波センサが作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-060747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1のように、電池から超音波センサに電力を供給する場合には、電池容量が少なくなった際に、作業者が、超音波センサの配置場所に出向いて、電池容量を増やす作業(電池の充電作業や電池の交換作業)を行う必要がある。電池容量が短期間で少なくなる場合には、上記の作業が多発することで、多大な手間を要することになる。
【0005】
上記の電池容量が短期間で少なくなることを防止する措置として、例えば、超音波センサが物理量(例えば超音波を発信してから反射波を受信するまでの時間)を無線送信する時間間隔を長くすることで、消費電力を小さく抑えることが考えられる。しかしながらこの場合には、超音波センサが管理サーバーに物理量を送信する時間間隔が長くなるため、単位時間当たりに管理サーバーに受信される物理量の数が少なくなる。したがって、河川の水位を短い時間間隔で観察することができず、河川の水位が急激に上昇する異常時に、河川が危険水位に到達する時点を正確に特定できなくなる虞がある。
【0006】
また上記の問題を回避すべく、例えば、河川の同一地点に2つの超音波センサを配置して、当該2つの超音波センサが物理量を送信する時間間隔を長くし、且つ、当該2つの超音波センサが物理量を送信するタイミングをずらすことが考えられる。しかしながらこのようにする場合でも、一方のセンサに異常が生じて当該一方のセンサから物理量が送信されなくなる場合には、管理サーバーは他方のセンサからしか物理量を受信できないため、河川の水位を短い時間間隔で観察できない。
【0007】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、河川に複数の超音波センサが配置されるセンサシステムにおいて、各超音波センサに電力を供給する電池の容量が短期間で少なくなることを防止可能であるとともに、複数の超音波センサのいずれかに物理量を送信しない異常が生じた場合でも、他の超音波センサから送信される情報によって、河川の水位を短い時間間隔で観察できるセンサシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0009】
項1.河川の同一地点に配置される複数の超音波センサと、
各前記超音波センサと通信可能な管理サーバーとを有し、
各前記超音波センサは、電池から電力が供給されることで作動するものであって、前記河川の水面に向けて超音波を発信し当該超音波の反射波を受信することで物理量を計測し、前記管理サーバーに送信する計測手段を備え、
前記管理サーバーは、
異常が各前記超音波センサに生じたか否かを判定する異常判定部と、
前記異常判定部によって一の前記超音波センサに異常が生じたと判定された際に、前記異常が生じたと判定されていない前記超音波センサが前記計測手段を作動する時間間隔を短くする時間間隔調整部と、
を有するセンサシステム。
【0010】
項2.前記異常判定部は、一の前記超音波センサに異常が生じたと判定した際に、異常が生じていない超音波センサの数nが2以上であるか否かを判定し、前記異常判定部によって異常が生じていない前記超音波センサの数nが2以上であると判定された場合は、異常が生じていない前記超音波センサの数nが1であると判定されるまでの間、前記時間間隔調整部が、異常が生じていない前記超音波センサが前記計測手段を作動する時間間隔をn×T時間にし、且つ、異常が生じていない前記超音波センサによる前記計測手段の作動が順次実行されるように、先行及び後行の前記超音波センサが前記計測手段を作動するタイミングをT時間ほどずらし、
前記異常判定部によって、異常が生じていない前記超音波センサの数nが1であると判定された場合、前記時間間隔調整部は、異常が生じていない前記超音波センサが計測手段を作動する時間間隔をT時間にする項1に記載のセンサシステム。
【0011】
項3.前記河川の同一地点に2つの超音波センサが配置され、
前記時間調整部は、前記2つの超音波センサが前記計測手段を作動する時間間隔を2T時間にするとともに、前記2つの超音波センサが前記計測手段を作動させるタイミングをT時間ほどずらし、
前記2つの超音波センサが前記計測手段を作動させる時間間隔がそれぞれ2T時間とされ、前記2つの超音波センサが前記計測手段を作動させるタイミングがT時間ほどずらした条件下で、前記異常判定部は、前記異常が前記2つの超音波センサに生じたか否かを判定し、
前記異常判定部によって前記2つの超音波センサのうち一方に異常が生じたと判定された際に、前記時間間隔調整部は、他方の超音波ンサが前記計測手段を作動する時間間隔を、2T時間からT時間に短くする項1に記載のセンサシステム。
【0012】
項4.前記河川の同一地点に配置される2つの超音波センサとして、河川の第一地点に配置される第一及び第二の前記超音波センサと、前記河川の第二地点に配置される第三及び第四の前記超音波センサとを備え、
前記管理サーバーは、
前記異常判定部によって前記第一~第四の超音波センサに異常が生じたと判定されていない間、前記第一~第四の前記超音波センサの全てから前記物理量を受信するたびに、前記第一の超音波センサから送信された物理量Aと、前記第二の超音波センサから送信された物理量Bとの差分A―Bを取得し、且つ、前記第三の超音波センサから送信された物理量Cと、前記第四の超音波センサから送信された物理量Dとの差分C-Dを取得する第一差分取得部と、
前記第一差分取得部が前記差分A―B及び前記差分C-Dを取得するたびに、前記差分A―Bの絶対値が第一所定値以上であるか否かを判定する第一差分判定部と、
前記第一差分判定部によって、前記差分A―Bの絶対値が所定値以上であると判定された場合に、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であるか否かを判定する第二差分判定部と、
前記第二差分判定部によって、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であると判定された場合に、前記差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したか否かを判定する時間判定部と、
前記時間判定部によって、前記差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したと判定された場合に、異常が、前記第一及び第二の超音波センサのいずれかに生じたことを示す情報を出力する情報出力部とを、有する項3に記載のセンサシステム。
【0013】
項5.前記管理サーバーは、
前記時間判定部によって、前記差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したと判定された場合、前記第一差分判定部によって、前記差分A―Bの絶対値が第一所定値以上ではないと最後に判定された時刻の直前において、前記第一、第二、第三、第四の超音波センサから送信された第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D(以下、差分未超過最終判定直前の第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D)をそれぞれ特定し、且つ、前記時間判定部によって、前記差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、前記差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したとの判定が行われた時刻の直前において、前記第一、第二、第三、第四の超音波センサから送信された第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D(以下、時間超過判定直前の第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D)をそれぞれ特定する情報特定部と、
前記差分未超過最終判定直前の第一、第三の物理量A,Cの差分A-C(以下、差分未超過最終判定直前の差分A-C)、前記差分未超過最終判定直前の第二、第四の物理量B,Dの差分B-D(以下、差分未超過最終判定直前の差分B-D)、前記時間超過判定直前の第一、第三の物理量A,Cの差分A-C(以下、時間超過判定直前の差分A-C)、及び前記時間超過判定直前の第二、第四の物理量B,Dの差分B-D(以下、時間超過判定直前の差分B-D)を取得し、且つ、前記差分未超過最終判定直前の差分A-Cと前記時間超過判定直前の差分A-Cとの間の変化量(以下、差分A-Cの変化量)及び前記差分未超過最終判定直前の差分B-Dと前記時間超過判定直前の差分B-Dとの間の変化量(以下、差分B-Dの変化量)を取得する第三差分取得部と、
前記差分A-Cの変化量の絶対値と前記差分B-Dの変化量の絶対値とのいずれが大きいかを判定する第三差分判定部とをさらに有し、
前記情報出力部は、前記第三差分判定部によって前記差分A-Cの変化量の絶対値が前記差分B-Dの変化量の絶対値よりも大きいと判定された場合、異常が前記第一の超音波センサに生じたことを示す情報を出力し、
前記第三差分判定部によって前記差分B-Dの絶対値が前記差分A-Cの絶対値よりも大きいと判定された場合、異常が前記第二の超音波センサに生じたことを示す情報を出力する項4に記載のセンサシステム。
【発明の効果】
【0014】
本発明のセンサシステムによれば、異常の生じていない超音波センサの数が多い期間では、超音波センサが物理量を送信する時間間隔が長くされる。このため、超音波センサに対して設けられる電池の容量が短期間で少なくなることを防止できる。そして超音波センサのいずれかに異常が生じた場合には、異常が生じていない超音波センサが物理量を送信する時間間隔が短くされる。したがって当該異常が生じていない超音波センサから送信される物理量によって、河川の水位を短い時間間隔で観察できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施形態に係るセンサシステムを構成する装置を示す概略図である。
図2】第一実施形態のセンサシステムで使用される超音波センサが河川の上方に配置された状態を示す概略図である。
図3】超音波センサを河川の上方に配置するために使用される器具を示す斜視図である。
図4】第一実施形態のセンサシステムで使用される超音波センサを構成する要素や、管理サーバーに構成される手段を示すブロック図である。
図5】時間間隔調整部及び異常判定部によって実行される処理を示すフロチャートである。
図6】河川の同一位置に配置される2つの超音波センサの一方に異常が生じた状態を示す概略図である。
図7】本発明の第二実施形態に係るセンサシステム30を構成する装置を示す概略図である。
図8】第二実施形態のセンサシステム30で使用される超音波センサUが河川Kの上方に配置された状態を示す概略図である。
図9】第二実施形態のセンサシステム30で使用される超音波センサUを構成する要素や、管理サーバーSに構成される手段を示すブロック図である。
図10】時間間隔調整部及び異常判定部によって実行される処理を示すフロチャートである。
図11】(a)は、河川の同一位置に配置される3つの超音波センサのうち1つに異常が生じた状態を示す概略図である。(b)は、河川の同一位置に配置される3つの超音波センサのうち2つに異常が生じた状態を示す概略図である。
図12】本発明の第三実施形態に係るセンサシステム30を構成する装置を示す概略図である。
図13】第三実施形態のセンサシステム30で使用される超音波センサUが河川Kの上方に配置された状態を示す概略図である。
図14】第三実施形態のセンサシステム30で使用される超音波センサを構成する要素や、管理サーバーに構成される手段を示すブロック図である。
図15】第一差分取得部、第一差分判定部、第二差分判定部、時間判定部、物理量特定部、第三差分取得部、第三差分判定部、及び情報出力部によって実行される処理を示すフロチャートである。
図16】第一~第四の超音波センサから管理サーバーが受信する物理量の例を示す表である。
図17図16に示す物理量A,B,C,Dから取得される差分A―B,C―Dを示す表である。
図18】第一差分取得部、第一差分判定部、第二差分判定部、時間判定部、及び情報出力部によって実行される処理を示すフロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るセンサシステム1を構成する装置を示す概略図である。図2は、第一実施形態のセンサシステム1で使用される超音波センサU1,U2が河川Kの上方に配置された状態を示す概略図である。図3は、超音波センサU1,U2を河川Kの上方に配置するために使用される器具を示す斜視図である。図4は、第一実施形態のセンサシステム1で使用される超音波センサU1,U2を構成する要素や、管理サーバーSに構成される手段を示すブロック図である。
【0017】
第一実施形態のセンサシステム1では、河川Kの水位を観測するために、河川Kの同一地点に超音波センサU1,U2が配置される。河川Kの同一地点とは、例えば、国土交通省が設置する河川距離標から特定される距離が同一の地点を意味する。
【0018】
センサシステム1では、超音波センサU1,U2と基地局Bとが無線通信可能とされ、無線又は有線のネットワークNを介して基地局Bと管理サーバーSとが通信可能とされることで、超音波センサU1,U2と管理サーバーSとの間の通信が可能とされる。
【0019】
超音波センサU1,U2は、同様の特徴を有する。このため以下では、超音波センサU1,U2の総称として「超音波センサU」を使用し、超音波センサU1,U2の特徴をまとめて説明する。
【0020】
超音波センサUは、箱状の筐体3に保持される(図2図4)。本実施形態では、橋梁Gに吊り下げられる支持体4に上記の筐体3が取り付けられることで、超音波センサUは、河川Kの上方に配置される。
【0021】
支持体4の構造は特に限定されないが、図示例では、支持体4は、上下方向に延びるポール7と、水平方向に延びるアーム8とを備える。ポール7は、樹脂、FRP、カーボン又は、アルミ等の防錆力に優れた金属、或いは塗装や樹脂被覆等の防錆処理を施した金属等によって形成される。ポール7は、橋梁GのガードレールRに取り付けられる。この取り付けは、例えば、防護柵や標識等にポールを取り付けるために使用される公知の手段を用いることで実現され得る。
【0022】
アーム8は、樹脂、FRP、カーボン又は、アルミ等の防錆力に優れた金属、或いは塗装や樹脂被覆等の防錆処理を施した金属等によって形成される。アーム8の一端側は、ポール7に固定される。図3の例では、金属製のU字クランプ9の内側にポール7を通した状態で、ボルト10を用いてU字クランプ9の両端部をアーム8の一端側に締結することで、アーム8の一端側がポール7に固定されている。なおU字クランプ9以外の公知の手段によって、アーム8の一端側がポール7に固定されてもよい。また図示例では、ポール7の下端にアーム8が固定されているが、ポール7の任意の高さ位置にアーム8は固定され得る。
【0023】
アーム8は、長手方向に延びる空洞を有しており、当該アーム8の空洞にはアンテナ5が配置される。
【0024】
筐体3は、アーム8の他端側に取り付けられる。筐体3は、樹脂、FRP、或いは通信のための電波を通す構造を有するアルミ等の防錆力に優れた金属等から形成される。
【0025】
筐体3の内部には電池D(図4)が配置されており、電池Dから超音波センサUの構成要素に電力が供給されることで、超音波センサUの構成要素は作動する。
【0026】
超音波センサUは、上記の構成要素として、送波部20と、受波部21と、通信部22と、制御装置23とを備える。
【0027】
送波部20は、電池Dから電圧が印加されることで、振動を生じる圧電素子を備えており、当該圧電素子の振動によって、超音波Pが発生する。
【0028】
受波部21は、受信した超音波の振動エネルギーを電気信号に変換する圧電素子を備える。
【0029】
図3に示すように、筐体3の壁面には開口部11が形成されており、開口部11に送波部20(図4)や受波部21が配置される。開口部11の形成された筐体3の壁面3aが河川K側(下側)を向けられることで、送波部20から発せられた超音波Pを、開口部11から発信させて、河川Kの水面Kaに向かわせるとともに、水面Kaで反射した超音波Pの反射波Hを、開口部11に通過させて、受波部21に受信させることが可能とされる。
【0030】
通信部22は、筐体3の内部に配置されるものであって、ケーブル12(図3)を介してアンテナ5と接続される(ケーブル12の一端側は、筐体3を貫通して、通信部22に接続され、ケーブル12の他端側は、アーム8を貫通して、アンテナ5に接続される)。通信部22は、LPWA(Low Power Wide Area)やWi-Fi(登録商標)や3Gや4G等の方式によって、アンテナ5を介して基地局Bと無線通信を行なうことが可能である。なお消費電力を抑えて遠距離通信を実現する観点から、通信方式はLPWAであることが好ましい。また図示例では、ケーブル12は、筐体3の外側に配置されているが、筐体3の内部に配置されてもよい。
【0031】
制御装置23(図4)は、筐体3の内部に配置される。当該制御装置23は、CPUやメモリを有するものであって、以下の(1),(2)に示す処理を行うことが可能である。
【0032】
(1)メモリに記憶された時間が経過するたびに、送波部20が備える圧電素子に電圧を印加して圧電素子を振動させることで、当該振動で生じた超音波P(図2)を、河川Kの水面Kaに向けて発信するとともに、当該超音波Pの反射波Hを受波部21に受信させること。
(2)超音波Pの発信及び反射波Hの受信を行なうことで取得される物理量を、メモリに記憶された時刻に、管理サーバーSに送信すること(この情報の送信は、通信部22及び基地局B間の無線通信や、基地局B及び管理サーバーS間の通信によって行われる)。
【0033】
ここで、超音波センサUは、上記(1),(2)の処理をまとめて行なう計測手段を備えている。上記の計測手段は、例えば、制御装置23のCPUが、制御装置23のメモリに格納されたプログラムを実行することで実現されるものである。制御装置23は、メモリに格納された情報(後述の時間間隔及び作動タイミング)に従って、計測手段を作動させる(すなわち上記(1),(2)の処理を行なう)。
【0034】
例えば、上記の「物理量」は、「超音波Pを発信してから反射波Hを受信するまでの時間」とされる。この場合、例えば、制御装置23は、反射波Hが受波部21に受信されるたびに、上記の「超音波Pを発信してから反射波Hを受信するまでの時間(以下、発信受信時間)」を計測する。そして制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に計測された発信受信時間の値のうち、最大値、最小値、最頻値、最終値(最後に検知された発信受信時間の値)、或いは計測された値全てを、管理サーバーSに送信する。
【0035】
或いは、上記の「物理量」は、メモリに記憶された時間内に計測された複数の発信受信時間の平均値とされる。この場合、制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に計測された発信受信時間の平均値を求めて、当該平均値を、管理サーバーSに送信する。
【0036】
また、上記の「物理量」は、例えば、超音波センサUと水面Kaとの間の距離L(図2)とされる。この場合、制御装置23は、発信受信時間を計測するたびに、当該発信受信時間の値と音速とから、超音波センサUと水面Kaとの間の距離Lの値を求める。そして制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に求められた距離Lの値のうち、最大値、最小値、最頻値、或いは最終値(最後に検知された距離Lの絶対値)を管理サーバーSに送信する。なお音速は気温に応じて変化するため、気温を計測する温度センサを筐体3に取り付けて、温度センサが計測した気温に基づき、距離Lの演算に用いる音速を補正してもよい。
【0037】
或いは、上記の「物理量」は、メモリに記憶された時間内に求められた「複数の距離Lの平均値」とされる。この場合、制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に求めた距離Lの平均値を求めて、当該距離Lの平均値を管理サーバーSに送信する。
【0038】
また、上記の「物理量」は、例えば、反射波Hの強度とされる。この場合、制御装置23は、反射波Hが受波部21に受信されるたびに、反射波Hの強度を計測する。そして制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に計測された反射波Hの強度の値のうち、最大値、最小値、最頻値、或いは最終値(最後に検知された発信受信時間の値)を、管理サーバーSに送信する。
【0039】
或いは、上記の「物理量」は、メモリに記憶された時間内に計測された「複数の反射波Hの強度」の平均値とされる。この場合、制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に計測された「反射波Hの強度」の平均値を求めて、当該平均値を、管理サーバーSに送信する。
【0040】
そして第一実施形態のセンサシステム1では、以下の目的1,2を実現するために、図4に示す時間間隔調整部25及び異常判定部26が、管理サーバーSに構成される。
【0041】
目的1:超音波センサU1,U2に対して設けられる電池D(図4)の容量が短期間で少なくなることを防止すること。
目的2:下記表1の「1」~「3」に示す「異常」が超音波センサU1,U2の一方に生じた場合でも、他方の超音波センサUから送信される物理量によって河川Kの水位を短い時間間隔で観察すること。
【0042】
【表1】



【0043】
時間間隔調整部25及び異常判定部26は、管理サーバーSのCPUが、当該管理サーバーSのメモリに格納されたプログラムを実行することで機能的に構成されるものである。以下、図5を参照して、時間間隔調整部25及び異常判定部26によって実行される処理を説明する。
【0044】
時間間隔調整部25は、2つの超音波センサU1,U2が計測手段を作動させる時間間隔を2T時間(例えば20分間)にするとともに、2つの超音波センサU1,U2が計測手段を作動するタイミングをT時間(例えば10分間)ほどずらす(図5のステップS101)。このステップS101の処理は、例えば、時間間隔調整部25が、上記の時間間隔2T時間と、ずれがT時間となる作動タイミングとを、2つの超音波センサU1,U2に送信するものである。この場合、超音波センサU1,U2の制御装置23は、受信した時間間隔及び作動タイミングをメモリに格納し、メモリに格納された時間間隔及び作動タイミングにおいて計測手段が作動し、取得した物理量を管理サーバーSに送信する。すなわち、管理サーバーSは、T時間ほどの間隔(例えば10分間隔)で、超音波センサU1,U2のいずれかから物理量を受信することになる。
【0045】
そして、上記のように超音波センサU1,U2が計測手段を作動する時間間隔が2T時間(例えば20分間)とされ、計測手段を作動するタイミングがT時間(例えば10分間)ほどずらした条件下で超音波センサU1,U2が物理量を送信する。異常判定部26は、超音波センサU1,U2の一方の受信予定時刻から他方の受信予定時刻を超えない時間内に、計測手段が正常に作動しない異常が超音波センサU1又はU2に生じたか否かを判定する(図5のステップS102)。
【0046】
異常判定部26によって2つの超音波センサU1,U2に異常が生じていないと判定される期間では(ステップS102でNOと判定される期間では)、超音波センサU1,U2が計測手段を作動する時間間隔が2T時間(例えば20分間)とされ、超音波センサU1,U2が計測手段を作動するタイミングが、T時間(例えば10分間)ほどずれた状態が維持される。
【0047】
そして異常判定部26によって2つの超音波センサU1,U2のうち一方に異常が生じたと判定された際に(ステップS102でYESと判定された際に)、時間間隔調整部25は、他方の超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔を2T時間からT時間に短くする(ステップS103)。
【0048】
例えば、図6に示すように超音波センサU2が超音波Pを発信できないことで、超音波センサU2からエラー値が送信される場合や、超音波センサU2の受信予定時間を過ぎて超音波センサU1の受信予定時刻までに超音波センサU2から物理量が送信されない場合には、計測手段が正常に作動しない異常が超音波センサU2に生じたと判定される(ステップS102でYES)。これにより、他方の超音波センサU1が計測手段を作動する時間間隔が2T時間からT時間(例えば10分間)に短くされる(ステップS103)。
【0049】
第一実施形態のセンサシステム1によれば、異常が超音波センサU1,U2に生じていない場合には、超音波センサU1,U2が計測手段を作動する時間間隔が2T時間(例えば20分)とされ、超音波センサU1,U2が計測手段を作動するタイミングがT時間(例えば10分)ほどずらされる。このため、管理サーバーSは、T時間ほどの間隔(例えば10分間隔)で、超音波センサU1,U2のいずれかから、物理量を受信することになる。
【0050】
そして異常が超音波センサU1,U2の一方に生じた場合には、異常が生じていない他方の超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔が、2T時間から、T時間に短くされる。このため、超音波センサU1,U2の一方に異常が生じた場合でも、管理サーバーSは、他方の超音波センサUからT時間の間隔(例えば10分間隔)で、物理量を受信することになる。
【0051】
第一実施形態のセンサシステム1によれば、超音波センサU1,U2の一方に異常が生じた場合には、異常が生じていない他方の超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔が短くされる。これにより他方の超音波センサUから送信される情報によって、河川Kの水位を短い時間間隔で観察することができる。
【0052】
さらに第一実施形態のセンサシステム1によれば、異常が超音波センサU1,U2に生じていない間では、計測手段が作動する時間間隔が長い状態が維持される(計測手段が作動する時間間隔が2T時間に維持される)。このため、超音波センサU1,U2に対して設けられる電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できる。
【0053】
また第一実施形態のセンサシステム1によれば、異常が生じていない超音波センサUが存在する限り、管理サーバーSには、常に、T時間の間隔(例えば10分間隔)で物理量が受信される。したがって河川Kの水位を一定の時間間隔で観察できる。
【0054】
次に本発明の他の実施形態について説明する。なお以下の説明では、第一実施形態と相違する点を説明し、第一実施形態と共通する点については、同一の符号を図面に付して、説明を省略する。
【0055】
図7は、本発明の第二実施形態に係るセンサシステム30を構成する装置を示す概略図である。図8は、第二実施形態のセンサシステム30で使用される超音波センサU1,U2,U3が河川Kの上方に配置された状態を示す概略図である。図9は、第二実施形態のセンサシステム30で使用される超音波センサUを構成する要素や、管理サーバーSに構成される手段を示すブロック図である。
【0056】
第二実施形態のセンサシステム30は、河川Kの同一地点に配置される3以上の超音波センサU1,U2,U3と、超音波センサU1,U2,U3と通信可能な管理サーバーSとを有する。なお河川Kの同一地点に配置する超音波センサUの数は、図示例の3に限定されず、3以上の任意の複数にすることができる。
【0057】
超音波センサU1,U2,U3の各々は、実施形態1の超音波センサUと同様、電池Dから電力が供給されることで作動するものであって、河川Kの水面Kaに向けて超音波Pを発信し当該超音波Pの反射波Hを受信することで取得される物理量を、管理サーバーSに送信する計測手段を備える。
【0058】
第二実施形態のセンサシステム30に設けられる管理サーバーSは、異常判定部31(図9)と、時間間隔調整部32とを有する。異常判定部31は、異常が超音波センサU1,U2,U3に生じたか否かを判定する。時間間隔調整部32は、異常判定部31によって一の超音波センサUに異常が生じたと判定された際に、異常が生じたと判定されていない超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔を短くする。
【0059】
異常判定部31及び時間間隔調整部32は、管理サーバーSのCPUが、当該管理サーバーSのメモリに格納されたプログラムを実行することで機能的に構成されるものである。以下、図10を参照して、異常判定部31及び時間間隔調整部32によって実行される処理の詳細を説明する。
【0060】
まず、時間間隔調整部32は、異常が生じたと判定されていない超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔をn×T時間にするとともに、一の超音波センサUが計測手段を作動するタイミングと、これの次に二の超音波センサUが計測手段を作動するタイミングとを、T時間ほどずらす(図10のステップS201)。この処理は、例えば、時間間隔調整部32が、上記時間間隔がn×T時間となり、上記タイミングのずれがT時間となる時刻を、超音波センサU1,U2,U3に送信するものである。この処理が行われる場合には、超音波センサU1,U2,U3の制御装置23は、受信した時刻をメモリに格納し、メモリに格納された時刻において、計測手段を作動し、取得した物理量を管理サーバーSに送信する。
【0061】
例えばT時間が10分間とされる場合には、当初のステップS201において、超音波センサU1,U2,U3が計測手段を正常に作動する時間間隔が30分間(=3×10分)にされるとともに、一の超音波センサUが計測手段を作動するタイミングと、これの次に二の超音波センサUが計測手段を作動するタイミングとが10分間ほどずらされる。これにより、管理サーバーSには、10分(T時間)ほどの間隔で、3つの超音波センサU1,U2,U3のいずれかから、物理量が受信されることになる。
【0062】
そして、異常判定部31は、異常が超音波センサU1,U2,U3に生じたか否かを判定する(ステップS202)。
【0063】
異常判定部31によって、異常が超音波センサU1,U2,U3に生じていないと判定されている期間では(ステップS202でNOと判定される期間では)、各超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔は、先のステップS201で設定された3T時間に維持される。また超音波センサUが計測手段を作動するタイミングのずれは、先のステップS201で設定されたT時間に維持される。
【0064】
そして異常判定部31が、超音波センサU1,U2,U3のいずれかに異常が生じたと判定した場合には(ステップS202でYES)、異常判定部31は、異常が生じたと判定されていない超音波センサUの数nが、2以上であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0065】
例えば、超音波センサU3において、電池Dから通信部22或いは制御装置23に電力が供給されないことや、通信部22或いは制御装置23に故障が生じることで、図11(a)に示すように異常が超音波センサU3に生じた場合、異常判定部31は、超音波センサU3に異常が生じたと判定する(図10のステップS202でYES)。そして異常判定部31は、異常が生じていない超音波センサUの数nが2であることで、ステップS203でYESと判定する。
【0066】
そして異常が超音波センサU3に生じている期間に、図11(b)に示すように、超音波センサU2で超音波Pから発信されなくなり、超音波センサU2にエラー値を送信する異常が生じた場合には、異常判定部31は、超音波センサU2,U3に異常が生じたと判定する(図10ステップS202でYES)。そして異常判定部31は、異常が生じたと判定されていない超音波センサUの数nが1であることで、ステップS203でNOと判定する。
【0067】
そして異常が生じたと判定されていない超音波センサUの数nが、2以上である場合には(ステップS203でYES)、時間間隔調整部32によるステップS201の処理が再び行なわれることで、異常が生じたと判定されていない超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔が短くされる。その一方で、当該超音波センサUが計測手段を作動するタイミングのずれはT時間のままとされる。
【0068】
例えば、T時間が10分である状況下で、図11(a)に示すように超音波センサU3に異常が生じた場合には、異常が生じていない超音波センサUの数nが3から2になることで、異常が生じていない超音波センサU1,U2が計測手段を作動する時間間隔が、30分(=3×10分)から、20分(=2×10分)に短くされる。その一方で、例えば、超音波センサU1が計測手段を作動するタイミングと、これの次に超音波センサU2が計測手段を作動するタイミングとのずれは、10分間(T時間)のままとされる。
【0069】
また異常が生じたと判定されていない超音波センサの数が1と判定される場合には(ステップS203でNO)、時間間隔調整部32は、異常が生じたと判定されていない一の超音波ンサUが、計測手段を作動する時間間隔を2T時間からT時間に短くする(ステップS204)。例えば、T時間が10分とされる状況下で、図11(b)に示すように、超音波センサU2,U3に異常が生じた場合には、異常が生じたと判定されていない超音波センサの数が1と判定される(ステップS203でNO)。これにより、超音波センサU1が計測手段を作動する時間間隔が、20分(2T時間)から、10分(T時間)に短くされる(ステップS204)。
【0070】
第二実施形態のセンサシステム30によれば、異常が生じたと判定されていない超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔がn×T時間とされる。このため、異常の生じていない超音波センサUの数nが多い期間では、当該超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔n×Tが長くなる。したがって超音波センサUに対して設けられる電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できる。そして、超音波センサU1,U2,U3のいずれかに計測手段が正常に作動しない異常が生じた場合には、異常が生じていない超音波センサUが計測手段を作動する時間間隔が短くされる。したがって、当該異常が生じていない超音波センサUから送信される物理量によって、河川Kの水位を短い時間間隔で観察できる。
【0071】
また第二実施形態のセンサシステム30によれば、異常の生じていない超音波センサUが存在する限り、管理サーバーSに、常に、T時間ほどの間隔(例えば10分間隔)で物理量が受信される。このため、一定の時間間隔で河川Kの水位を観察できる。
【0072】
次に本発明の第三実施形態のセンサシステム40について説明する。
【0073】
図12は、本発明の第三実施形態に係るセンサシステム40を構成する装置を示す概略図である。図13は、第三実施形態のセンサシステム40で使用される超音波センサU1,U2が河川Kの上方に配置された状態を示す概略図である。図14は、第三実施形態のセンサシステム40で使用される超音波センサUを構成する要素や、管理サーバーSに構成される手段を示すブロック図である。
【0074】
まず、第三実施形態のセンサシステム40の概要について説明する。
【0075】
図13のように河川Kの同一地点に2つの超音波センサU1,U2が配置される状況下において、一方のセンサUに下記表2の左例に示す現象が生じた場合には、一方のセンサUに下記表2の右列に示す「物理量が異常値となる異常」が生じる。
【0076】
【表2】



【0077】
そして表2に示す「物理量が異常値となる異常」が一方のセンサUに生じているにもかかわらず、一方のセンサUが計測する物理量が、河川Kの水位を検知するために使用続けられる場合には、河川Kの水位が誤検知されることになる。
【0078】
そこで第三実施形態のセンサシステム40では、上記の誤検知を回避するために、河川の同一地点に配置される2つの超音波センサU,Uの組が2組設けられる。そして管理サーバーSには、一方の組の超音波センサU1,U2と、他方の組の超音波センサU3,U4とから受信される物理量に基づき、一方の組の超音波センサU1,U2に「物理量が異常値となる異常」が生じたことを通知するための手段が設けられる。
【0079】
以下、第三実施形態のセンサシステム40の詳細について説明する。
【0080】
図12に示すように、第三実施形態のセンサシステム40では、河川の同一地点に配置される2つの超音波センサU,Uとして、河川Kの第一地点に配置される第一及び第二の超音波センサU1,U2と、河川Kの第二地点に配置される第三及び第四の超音波センサU3,U4とが設けられる。
【0081】
そして、第一及び第二の超音波センサU1,U2のうち、一方のセンサUに、表1に示した「異常」が生じた場合でも、他方のセンサUから送信される物理量によって、河川Kの第一地点の水位を短い時間間隔で観察可能とすべく、時間間隔調整部25A及び異常判定部26A(図14)が、管理サーバーSに構成される。
【0082】
また第三及び第四の超音波センサU3,U4のうち、一方のセンサUに、表1に示した「異常」が生じた場合でも、他方のセンサUから送信される物理量によって、河川Kの第二地点の水位を短い時間間隔で観察可能とすべく、時間間隔調整部25B及び異常判定部26B及び(図14)が、管理サーバーSに構成される。
【0083】
上記の時間間隔調整部25A及び異常判定部26Aは、第一及び第二の超音波センサU1,U2に対して図5と同様の処理を行なうものである。上記の時間間隔調整部25B及び異常判定部26Bは、第三及び第四の超音波センサU3,U4に対して図5と同様の処理を行なうものである。
【0084】
そして異常判定部26A,26Bによって超音波センサU1~U4に「異常」が生じたと判定されていない期間において、超音波センサU1,U2に表2に示した「異常(なかでも、物理量が異常値となる異常)」が生じたことを通知するための手段として、図13に示す第一差分取得部41・第一差分判定部42・第二差分判定部43・時間判定部44・物理量特定部45・第三差分取得部46・第三差分判定部47・情報出力部48が管理サーバーSに構成される。以下、図15を参照して、上記の各部が行なう処理について説明する。
【0085】
第一差分取得部41は、異常判定部31によって第一~第四の超音波センサU1~U4に表1に示した「異常」が生じたと判定されていない期間において、第一~第四の超音波センサU1~U4の全てから物理量が受信されるたびに、以下の処理1,2を行なう(図15のステップS301)。
【0086】
処理1:第一の超音波センサU1から送信された物理量Aと、第二の超音波センサU2から送信された物理量Bとの差分A-Bを取得する。
処理2:第三の超音波センサU3から送信された物理量Cと、第四の超音波センサU4から送信された物理量Dとの差分C-Dを取得する。
【0087】
例えば、図16に示す物理量A,B,C,Dが第一~第四の超音波センサU1,U2,U3,U4から送信された場合には、第一差分取得部41は、図17に示す差分A-B及び差分C-Dを取得する。
【0088】
なお図16及び図17は、上記の物理量A,B,C,Dが超音波センサUと水面Kaとの間の
距離L(図13)である場合の例を示すが、上記の物理量A,B,C,Dは、超音波センサU1,U2,U3,U4が超音波Pを発信してから反射波Hを受信するまでの発信受信時間であってもよい。或いは、上記の物理量A,B,C,Dは、超音波センサU1,U2,U3,U4が受信する反射波Hの強度であってもよい。
【0089】
第一差分判定部42は、第一差分取得部41が差分A-B及び差分C-Dを取得するたびに、差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であるか否かを判定する(図15のステップS302)。
【0090】
上記の第一所定値が例えば5cmとされる場合、図17で一重丸を付した時刻において、差分A-Bの絶対値が5cm以上であると判定される。
【0091】
第二差分判定部43は、第一差分判定部42によって、差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であると判定された場合に、差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であるか否かを判定する(図15のステップS303)。
【0092】
例えば、上記の第一所定値が5cmとされ、上記の第二所定値が5cmとされる場合、図17で二重丸を付した時刻において、差分C―Dの絶対値が5cm未満であると判定される。
【0093】
時間判定部44は、第二差分判定部43によって差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であると判定された場合に、差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、差分C-Dの絶対値が第二所定値未満である状態が、所定時間以上継続したか否かを判定する(図15のステップS304)。
【0094】
ここで上記のステップS301~S304の処理は、以下のa及びbに示す事項を前提として行なわれるものである。
a:第三及び第四の超音波センサT3,T4から送信された物理量C,Dが正常値であること。
b:第一及び第二の超音波センサT1,T2が配置される河川Kの第一地点と、第三及び第四の超音波センサT3,T4が配置される河川Kの第二地点とでは、差分A-B,C-Dの絶対値を増減させる水面Kaの状況が、所定時間以内に似通ったものになること(具体的には、第一地点の水面Kaの状況が荒いことで、差分A-Bの絶対値が第一所定値以上となった時点から、所定時間以内に、第二地点の水面Kaの状況が荒くなることで、差分C-Dの絶対値が第二所定値以上になること)。
【0095】
上記のa,bを前提とすれば、ステップS304で、差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、差分C-Dの絶対値が第二所定値未満である状態が、所定時間以上継続したか否かを判定することは、第一地点に配置される第一及び第二の超音波センサU1,U2のいずれかに、異常が生じたか否かを判定することといえる。
【0096】
例えば図17に示す差分A-B,C-Dが取得されて、上記第一所定値及び第二所定値がそれぞれ5cmとされ、上記所定時間が60分とされる場合には、2018/10/7 9:11の時刻において、差分A-Bの絶対値が第一所定値(5cm)以上であり、差分C-Dの絶対値が第二所定値(5cm)未満である状態が、所定時間(60分)以上継続したと判定される(図15のステップS304でYESと判定される)。
【0097】
物理量特定部45は、時間判定部44によって、差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したと判定された場合(図15のステップS304でYES)、第一差分判定部42によって差分A―Bの絶対値が第一所定値以上ではないと最後に判定された時刻の直前(ステップS302で最後のNOの判定が行なわれた時刻の直前)において、第一、第二、第三、第四の超音波センサから送信された第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D(以下、差分未超過最終判定直前の第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D)をそれぞれ特定する(ステップS305)。さらに、物理量特定部45は、時間判定部44によって、差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、差分C-Dの絶対値が第二所定値未満であることが、所定時間以上継続したとの判定が行われた時刻の直前(ステップS304でYESの判定が行なわれた時刻の直前)において、第一、第二、第三、第四の超音波センサから送信された第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D(以下、時間超過判定直前の第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,D)をそれぞれ特定する。
【0098】
例えば上記の例のように、ステップS304のYESの判定が2018/10/7 9:11に行なわれた場合には、ステップS302で最後のNOの判定が行なわれた時刻(2018/10/7 7:51)の直前において、第一、第二、第三、第四の超音波センサU1,U2,U3,U4から送信された物理量「287cm(図16の7:41の物理量A)」「291cm(7:51の物理量B)」「268cm(7:41の物理量C)」「268cm(7:51の物理量D)」が、それぞれ差分未超過最終判定直前の第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,Dとして特定される。さらに、ステップS304でYESの判定が行なわれた時刻(2018/10/7 9:11)の直前において、第一、第二、第三、第四の超音波センサU1,U2,U3,U4から送信された物理量「288cm(図16の9:01の物理量A)」「303cm(9:11の物理量B)」「270cm(9:01の物理量C)」「270cm(9:11の物理量D)」が、それぞれ時間超過判定直前の第一、第二、第三、第四の物理量A,B,C,Dとして特定される。
【0099】
第三差分取得部46は、差分未超過最終判定直前の第一の物理量Aと、差分未超過最終判定直前の第三の物理量Cとの差分A―C(以下、差分未超過最終判定直前の差分A-C)を取得し、且つ、差分未超過最終判定直前の第二の物理量Bと、差分未超過最終判定直前の第四の物理量Dとの差分B-D(以下、差分未超過最終判定直前の差分B-D)を取得する。さらに第三差分取得部46は、時間超過判定直前の第一の物理量Aと、時間超過判定直前の第三の物理量Cとの差分A―C(以下、時間超過判定直前の差分A-C)を取得し、且つ、時間超過判定直前の第二の物理量Bと、時間超過判定直前の第四の物理量Dとの差分B-D(以下、時間超過判定直前の差分B-D)を取得する。さらに、第三差分取得部46は、差分未超過最終判定直前の差分A-Cと時間超過判定直前の差分A-Cとの間の変化量(以下、差分A-Cの変化量)を取得し、差分判定による差分B-Dと時間判定による差分B-Dとの間の変化量(以下、差分B-Dの変化量)を取得する(図15のステップS306)。
【0100】
例えば、上記のように、差分未超過最終判定直前の第一及び第三の物理量A,Cとして「287cm」,「268cm」が特定され、時間超過判定直前の第一及び第三の物理量A,Cとして「288cm」,「270cm」が特定された場合には、差分未超過最終判定直前の差分A-Cとして「19cm(=287cm-268cm)」が取得され、時間超過判定直前の差分A-Cとして「18cm(=288cm-270cm)」が取得される。また上記のように、差分未超過最終判定直前の第二及び第四の物理量B,Dとして「291cm」,「268cm」が特定され、時間超過判定直前の第二及び第四の物理量B,Dとして「303cm」,「270cm」が特定された場合には、差分未超過最終判定直前の差分B-Dとして「23cm(=291cm-268cm)」が取得され、時間超過判定直前の差分B-Dとして「33cm(=303cm-270cm)」が取得される。
【0101】
そして上記のように、差分未超過最終判定直前の差分A-C(19cm)、時間超過判定直前の差分A―C(18cm)、差分未超過最終判定直前の差分B-D(23cm)、及び時間超過判定直前の差分B-D(33cm)が取得された場合には、差分A-Cの変化量として「1cm(=19cm-18cm)」が取得され、差分B-Dの変化量として「10cm(=33cm-23cm)」が取得される。
【0102】
第三差分判定部47は、差分A-Cの変化量の絶対値と差分B-Dの変化量の絶対値とのいずれが大きいかを判定する(図15のステップS307)。
【0103】
差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、かつ、差分C-Dの絶対値が第2所定値未満であり、第三差分判定部47によって差分A-Cの変化量の絶対値が差分B-Dの変化量の絶対値よりも大きいと判定された場合、情報出力部48は、異常値の物理量を送信する異常が、第一の超音波センサU1に生じたことを示す情報を出力する(ステップS308)。
【0104】
一方、第三差分判定部47によって差分B-Dの変化量の絶対値が差分A-Cの変化量の絶対値よりも大きいと判定された場合、情報出力部48は、異常値の物理量を送信する異常が、第二の超音波センサU2に生じたことを示す情報を出力する(ステップS309)。例えば、上記の例のように差分A―Cの変化量として「1cm」が取得され、差分B―Dの変化量として「10cm」が取得されていた場合には、差分B-Dの変化量の絶対値(10cm)が差分A-Cの変化量の絶対値(1cm)よりも大きいことで、第二の超音波センサU2に異常が生じたことを示す情報が出力される。
【0105】
ここで上記のステップS305~S309の処理は、第三及び第四の超音波センサU3,U4が計測する物理量C,Dが同等であることを前提に行なうものである。この前提に立てば、差分A-Cの変化量の絶対値が差分B-Dの変化量の絶対値よりも大きい場合、異常値の物理量を送信する異常が、第一の超音波センサU1に生じたと判断できる。また差分B-Dの変化量の絶対値が差分A-Cの変化量の絶対値よりも大きいと判定された場合、情異常値の物理量を送信する異常が、第二の超音波センサU2に生じたと判断できる。
【0106】
第三実施形態のセンサシステム40によれば、「物理量が異常値となる異常」が超音波センサU1,U2に生じたことを示す情報が出力されるので、超音波センサU1,U2が計測する物理量が、河川Kの水位を検知するために使用され続けることを回避できるので、河川Kの水位が誤検知されることを防止できる。
【0107】
さらに第三実施形態のセンサシステム40によれば、超音波センサU1,U2のうち、「物理量が異常値となる異常」の生じた超音波センサUを特定できる。このため、「物理量が異常値となる異常」を迅速に解消できる。
【0108】
なお上記の例では、図15の処理を、超音波センサU1,U2に表2に示した「物理量が異常値となる異常」が生じたことを通知するための処理として示したが、図15の処理は、超音波センサU3,U4に表2に示した「物理量が異常値となる異常」が生じたことを通知するための処理に変更され得る。この場合、超音波センサU3,U4がそれぞれ図15に示す第一、第二の超音波センサとなり、超音波センサU1,U2がそれぞれ図15に示す第三、第四の超音波センサとなるように、図15の処理が変更される(具体的には、超音波センサU3,U4から送信される物理量がそれぞれ図15に示す物理量A,Bとして使用され、超音波センサU1,U2から送信される物理量がそれぞれ図15に示す物理量C,Dとして使用される)。このようによれば、超音波センサU3,U4に表2に示した「物理量が異常値となる異常」が生じたことを通知することができる。なお、各部で行う処理は上記と同様であるので、説明は省略する。また図15に示す第一所定値・第二所定値・所定時間は、超音波センサU1,U2,U3,U4が設置される河川Kの位置の状況等に応じて適宜設定される。
【0109】
また図18に示すように、差分A-Bの絶対値が第一所定値以上であり、差分C-Dの絶対値が第二所定値以上であることが、所定時間以上継続したと判定された場合に(ステップS304でYES)、情報出力部が、第一地点に配置される第一及び第二の超音波センサU1,U2のいずれかに「物理量が異常値となる異常」が生じたことを示す情報を出力してもよい(ステップS305)。この場合、図14に示す物理量特定部45・第三差分取得部46・第三差分判定部47は省略される。上記のようにする場合でも、超音波センサU1,U2のいずれかに「物理量が異常値となる異常」が生じた際に、超音波センサU1,U2が計測する物理量が、河川Kの水位を検知するために使用され続けることを回避できるので、河川Kの水位が誤検知されることを防止できる。
【0110】
なお、図18の処理は、超音波センサU3,U4がそれぞれ図18に示す第一、第二の超音波センサとなり、超音波センサU1,U2がそれぞれ図18に示す第三、第四の超音波センサとなるように、変更され得る(具体的には、超音波センサU3,U4から送信される物理量がそれぞれ図18に示す物理量A,Bとして使用され、超音波センサU1,U2から送信される物理量がそれぞれ図18に示す物理量C,Dとして使用され、図18に示す第一所定値・第二所定値・所定時間は、超音波センサU1,U2,U3,U4が設置される河川Kの状況等に応じて適宜設定され得る)。このようによれば、超音波センサU3,U4に「異常」が生じたことを通知することができる。なお、各部で行う処理は上記と同様であるので、説明は省略する。また図18に示す第一所定値・第二所定値・所定時間は、超音波センサU1,U2,U3,U4が設置される河川Kの位置の状況等に応じて適宜設定される。
【符号の説明】
【0111】
1,30,40 センサシステム
25,25A,25B,32 時間間隔調整部
26,26A,26B,31 異常判定部
41 第一差分取得部
42 第一差分判定部
43 第二差分判定部
44 時間判定部
45 物理量特定部
46 第三差分取得部
47 第三差分判定部
48 情報出力部
H 反射波
P 超音波
U1 第一の超音波センサ
U2 第二の超音波センサ
U3 第三の超音波センサ
U4 第四の超音波センサ
図1
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