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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】光ファイバの位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20230531BHJP
   G01M 11/04 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
G02B6/46
G01M11/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019174016
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021051188
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】大島 章
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-247909(JP,A)
【文献】特開2003-167147(JP,A)
【文献】特開平10-206282(JP,A)
【文献】特開2015-141304(JP,A)
【文献】特開2010-072245(JP,A)
【文献】中国実用新案第207976271(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109883651(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/255, 6/46
G01M 11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体を含む第1磁性部を有し光ファイバの一部を保持するホルダと、
磁性体を含む第2磁性部、前記ホルダの少なくとも一部が載置される載置面、及び前記ホルダが当接する位置決め部を有するベースと、
を備え、
前記第2磁性部は、前記載置面を基準として前記ホルダ側に配置されず、
前記第1磁性部及び前記第2磁性部のうち少なくとも一方は磁石であり、
前記磁石の磁力によって前記第1磁性部と前記第2磁性部とが互いに引き寄せ合うことによって前記ホルダが前記載置面及び前記位置決め部に押し付けられ、
前記ホルダが前記位置決め部に押し付けられた状態において前記第1磁性部及び前記第2磁性部を通る前記磁石による磁束線の数は、前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向と反対方向側へ前記ホルダが前記位置決め部から離隔した状態において前記第1磁性部及び前記第2磁性部を通る前記磁石による磁束線の数より大であり、
前記ベースは、磁石を有し前記ホルダが当接する別の位置決め部を更に有し、
前記別の位置決め部の前記磁石と前記第1磁性部とが互いに引き寄せ合うことによって、前記ホルダが前記別の位置決め部に押し付けられ、
前記ホルダを前記別の位置決め部に押し付ける力の方向は、前記載置面内方向のうち前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向と非平行である
ことを特徴とする光ファイバの位置決め装置。
【請求項2】
前記ホルダを前記別の位置決め部に押し付ける力は、前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力より小である
ことを特徴とする請求項に記載の光ファイバの位置決め装置。
【請求項3】
前記第2磁性部は、磁石からなる主磁性部と、磁石からなる副磁性部とを有し、
前記主磁性部及び前記副磁性部は、前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向において、前記副磁性部、前記主磁性部の順に並列され、
前記載置面を含む面上において、副磁性部による磁場の強度の最大値は、主磁性部による磁場の強度の最大値よりも小である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバの位置決め装置。
【請求項4】
磁性体を含む第1磁性部を有し光ファイバの一部を保持するホルダと、
磁性体を含む第2磁性部、前記ホルダの少なくとも一部が載置される載置面、及び前記ホルダが当接する位置決め部を有するベースと、
を備え、
前記第2磁性部は、前記載置面を基準として前記ホルダ側に配置されず、
前記第1磁性部及び前記第2磁性部のうち少なくとも一方は磁石であり、
前記磁石の磁力によって前記第1磁性部と前記第2磁性部とが互いに引き寄せ合うことによって前記ホルダが前記載置面及び前記位置決め部に押し付けられ、
前記ホルダが前記位置決め部に押し付けられた状態において前記第1磁性部及び前記第2磁性部を通る前記磁石による磁束線の数は、前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向と反対方向側へ前記ホルダが前記位置決め部から離隔した状態において前記第1磁性部及び前記第2磁性部を通る前記磁石による磁束線の数より大であり、
前記第2磁性部は、磁石からなる主磁性部と、磁石からなる副磁性部とを有し、
前記主磁性部及び前記副磁性部は、前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向において、前記副磁性部、前記主磁性部の順に並列され、
前記載置面を含む面上において、副磁性部による磁場の強度の最大値は、主磁性部による磁場の強度の最大値よりも小である
ことを特徴とする光ファイバの位置決め装置。
【請求項5】
前記第2磁性部は、前記載置面に露出していない
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ファイバの位置決め装置。
【請求項6】
前記ベースは、前記載置面内方向のうち前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向と垂直な方向における前記ホルダの動きを規制するガイド部を更に有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光ファイバの位置決め装置。
【請求項7】
前記第1磁性部及び前記第2磁性部のうち前記第2磁性部のみが磁石である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光ファイバの位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光ファイバの製造工程では、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)等の検査装置を用いた各種検査が行われる。このような検査を行う際、検査装置と光ファイバとの接続の維持等をするために、光ファイバの一部を位置決めして固定する場合がある。下記特許文献1には、光ファイバの一部を位置決めして固定した状態で光ファイバの検査を行う検査装置が記載されている。
【0003】
下記特許文献1の検査装置は、溝が形成されるベースと溝の開口を塞ぐようにベースに取り付けられるカバーとを有するクランプを備える。溝の幅は光ファイバの直径に対応している。また、ベースの溝の底面、及びベースにおけるカバーと当接する面には、複数の吸引孔が形成されている。下記特許文献1の検査装置では、溝に光ファイバの一部が挿入された状態でベースにカバーを取り付け、ベースとカバーとによって光ファイバの一部を挟み込む。そして、吸引装置によって複数の吸引孔から空気を吸い込むことで、カバーをベースに固定するとともに光ファイバの一部をベースに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第5871559号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の検査装置では、光ファイバの一部を位置決めして固定するために、幅が光ファイバの直径に対応した溝まで光ファイバの一部を運ぶ必要があるとともに、吸引装置を用いて光ファイバの一部を固定している。このため、容易に光ファイバの一部を位置決めして固定し得る光ファイバの位置決め装置が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、容易に光ファイバの一部を位置決めして固定し得る光ファイバの位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の達成のため、本発明の光ファイバの位置決め装置は、磁性体を含む第1磁性部を有し光ファイバの一部を保持するホルダと、磁性体を含む第2磁性部、前記ホルダの少なくとも一部が載置される載置面、及び前記ホルダが当接する位置決め部を有するベースと、を備え、前記第2磁性部は、前記載置面を基準として前記ホルダ側に配置されず、前記第1磁性部及び前記第2磁性部のうち少なくとも一方は磁石であり、前記磁石の磁力によって前記第1磁性部と前記第2磁性部とが互いに引き寄せ合うことによって前記ホルダが前記載置面及び前記位置決め部に押し付けられ、前記ホルダが前記位置決め部に押し付けられた状態において前記第1磁性部及び前記第2磁性部を通る前記磁石による磁束線の数は、前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向と反対方向側へ前記ホルダが前記位置決め部から離隔した状態において前記第1磁性部及び前記第2磁性部を通る前記磁石による磁束線の数より大であることを特徴とする。
【0008】
この光ファイバの位置決め装置では、磁石の磁力によって第1磁性部と第2磁性部とが互いに引き寄せ合うことによってホルダが載置面及び位置決め部に押し付けられる。このため、この光ファイバの位置決め装置は、載置面と垂直な方向、及び載置面内方向のうちホルダを位置決め部に押し付ける力の方向と平行な方向における位置決めがされた状態で光ファイバを固定し得る。また、この光ファイバの位置決め装置によれば、ホルダを位置決め部に押し付ける力の方向と反対方向側にホルダを位置決め部から所定の距離だけ離隔させて載置面に載置したとしても、磁力によってホルダを位置決め部に引き寄せて当該位置決め部に押し付け得る。このため、この光ファイバの位置決め装置は、ホルダが所定の位置からずれた状態で載置面に載置されたとしても、光ファイバの一部を位置決めして固定し得る。従って、この光ファイバの位置決め装置は、位置決めする位置まで直接光ファイバの一部を運んで固定する場合と比べて、容易に光ファイバの一部を位置決めして固定し得る。また、この光ファイバの位置決め装置では、上記のように、第2磁性部は、載置面を基準としてホルダ側に配置されない。第2磁性部が載置面を基準としてホルダ側に配置される場合、載置面を平面視する場合の第2磁性部を配置し得る領域はホルダと重ならない領域である。しかし、第2磁性部が載置面を基準としてホルダ側に配置されない場合、載置面を平面視する場合にホルダと重なる領域にも第2磁性部を配置できる。従って、この光ファイバの位置決め装置は、第2磁性部が載置面を基準としてホルダ側に配置される場合と比べて、磁力によってホルダを位置決め部に引き寄せることができる範囲を広げることができる。また、この光ファイバの位置決め装置では、ホルダが位置決め部に押し付けられた状態において第1磁性部及び第2磁性部を通る磁石による磁束線の数は、ホルダを位置決め部に押し付ける力の方向と反対方向側へホルダが位置決め部から離隔した状態において第1磁性部及び第2磁性部を通る磁石による磁束線の数より大である。このため、この光ファイバの位置決め装置は、磁力によってホルダを位置決め部に引き寄せる際、ホルダが位置決め部に押し付けられる前にホルダの移動が止まることを抑制し得る。
【0009】
前記第2磁性部は、前記載置面に露出していないこととしてもよい。
【0010】
この光ファイバの位置決め装置は、第2磁性部が載置面に露出する場合と比べて、載置面に段差ができることを抑制し得る。このため、この光ファイバの位置決め装置は、磁力によってホルダを位置決め部に引き寄せる際、ホルダが位置決め部に押し付けられる前にホルダの移動が止まることをより抑制し得る。
【0011】
前記ベースは、前記載置面内方向のうち前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向と垂直な方向における前記ホルダの動きを規制するガイド部を更に有することとしてもよい。
【0012】
この光ファイバの位置決め装置は、載置面内方向のうちホルダを位置決め部に押し付ける力の方向と垂直な方向における光ファイバの位置を所定の範囲内に規制した状態で光ファイバを固定し得る。
【0013】
前記ベースは、磁石を有し前記ホルダが当接する別の位置決め部を更に有し、前記別の位置決め部の前記磁石と前記第1磁性部とが互いに引き寄せ合うことによって、前記ホルダが前記別の位置決め部に押し付けられ、前記ホルダを前記別の位置決め部に押し付ける力の方向は、前記載置面内方向のうち前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向と非平行であることとしてもよい。
【0014】
この光ファイバの位置決め装置は、載置面内方向のうちホルダを位置決め部に押し付ける力の方向と垂直な方向における位置決めが更にされた状態で光ファイバを固定し得る。
【0015】
ベースが別の位置決め部を有する場合、前記ホルダを前記別の位置決め部に押し付ける力は、前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力より小であることとしてもよい。
【0016】
この光ファイバの位置決め装置では、第1磁性部と第2磁性部とが互いに引き寄せ合う力を第1磁性部と別の位置決め部の磁石とが互いに引き寄せ合う力より大きくし得る。このため、この光ファイバの位置決め装置は、磁力によってホルダを位置決め部に引き寄せる際、ホルダが位置決め部に押し付けられる前に別の位置決め部の磁石の磁力によってホルダの移動が止まることを抑制し得る。
【0017】
前記第2磁性部は、磁石からなる主磁性部と、磁石からなる副磁性部とを有し、前記主磁性部及び前記副磁性部は、前記ホルダを前記位置決め部に押し付ける力の方向において、前記副磁性部、前記主磁性部の順に並列され、前記載置面を含む面上において、副磁性部による磁場の強度の最大値は、主磁性部による磁場の強度の最大値より小であることとしてもよい。
【0018】
この光ファイバの位置決め装置は、第2磁性部が副磁性部を有さない場合と比べて、第2磁性部の磁場の範囲を、ホルダを位置決め部に押し付ける力の方向と反対方向に広げることができる。また、この光ファイバの位置決め装置は、磁力によってホルダを位置決め部に引き寄せる際、ホルダが位置決め部に押し付けられる前に副磁性部の磁力によってホルダの移動が止まることを抑制し得る。このため、この光ファイバの位置決め装置は、磁力によってホルダを位置決め部に引き寄せることができる範囲を広げ得る。
【0019】
前記第1磁性部及び前記第2磁性部のうち前記第2磁性部のみが磁石であることとしてもよい。
【0020】
この光ファイバの位置決め装置は、ホルダが磁力によってベースと異なる部材に固定されることを抑制でき、ホルダの取り扱いを容易にし得る。また、この光ファイバの位置決め装置は、ホルダが磁力によって第2磁性部と異なる他の部材に引き寄せられることを抑制できる。このため、この光ファイバの位置決め装置は、第2磁性部の磁力によってホルダを位置決め部に引き寄せる際、ホルダが位置決め部に押し付けられる前にホルダの移動が止まることをより抑制し得る。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、容易に光ファイバの一部を位置決めして固定し得る光ファイバの位置決め装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバの位置決め装置を概略的に示す図である。
図2図1のII-II線における光ファイバの位置決め装置の断面を概略的に示す図である。
図3図1に示すホルダを概略的に示す図である。
図4図3のIV-IV線におけるホルダの断面を概略的に示す図である。
図5図1に示すべースを概略的に示す図である。
図6】第2磁性部による載置面を含む面上における磁場の強度分布を概略的に示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る光ファイバの位置決め装置を図1と同様の方法で示す図である。
図8図7に示すベースを図3と同様の方法で示す図である。
図9】第1磁性部による載置面を含む面上における磁場の強度分布を概略的に示す図である。
図10】本発明の第3実施形態に係るベースを図5と同様の方法で示す図である。
図11図10に示すベースを別の方向から見る図である。
図12】第2磁性部による載置面を含む面上における磁場の強度分布を概略的に示す図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る光ファイバの位置決め装置を図1と同様の方法で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る光ファイバの位置決め装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光ファイバの位置決め装置を概略的に示す図であり、後述する載置面を平面視する図である。図2は、図1のII-II線における光ファイバの位置決め装置の断面を概略的に示す図である。なお、図1図2には、光ファイバの一部も記載されている。図1図2に示すように、本実施形態の光ファイバの位置決め装置1は、ホルダ10と、ベース30と、を主な構成として備える。ホルダ10は、光ファイバ2の一部を保持する部材であり、ベース30の載置面31Sに載置される。
【0025】
図3は、図1に示すホルダ10を概略的に示す図であり、ホルダ10をベース30の載置面31S側から見る図である。図4は、図3のIV-IV線におけるホルダ10の断面を概略的に示す図である。なお、図3図4には、光ファイバ2の一部も記載されている。図3図4に示すように、本実施形態のホルダ10は、第1把持片11と、第2把持片12と、2つのガイドシャフト13と、シャフト14と、シャフト支持部15と、2つのコイルばね16と、第1磁性部20と、を備える。
【0026】
ホルダ10は、第1把持片11と第2把持片12とによって光ファイバ2の一部を挟持することで当該光ファイバ2の一部を保持する。本実施形態では、ホルダ10が保持する光ファイバ2は、コアとクラッドからなる光ファイバ裸線とされる。しかし、ホルダ10が保持する光ファイバ2は特に限定されるものではない。光ファイバ2は、例えば、光ファイバ裸線の外周が被覆層で囲われた光ファイバであってもよい。
【0027】
本実施形態では、第1把持片11は、所定の方向に長尺な概ね四角柱状の部材とされる。第1把持片11の外周面は、表面11aと、当該表面11aと概ね平行な裏面11bと、表面11a及び裏面11bに接続する2つの側面11c,11dとからなる。この2つの側面11c,11dは概ね平行である。また、第2把持片12は、第1把持片11の長手方向と概ね平行な方向に長尺な概ね四角柱状の部材とされる。第2把持片12の外周面は、表面12aと、当該表面12aと概ね平行な裏面12bと、表面12a及び裏面12bに接続する2つの側面12c,12dとからなる。この2つの側面12c,12dは概ね平行である。第1把持片11と第2把持片12とは、第1把持片11の側面11cと第2把持片12の側面12cとが対向するように配置される。第1把持片11の裏面11bと第2把持片12の裏面12bとは、概ね同一平面上に位置している。また、第1把持片11の長手方向における一方の端面11eと第2把持片12の長手方向における一方の端面12eとは概ね同一平面上に位置している。また、第1把持片11の長手方向における他方の端面11fと第2把持片12の長手方向における他方の端面12fとは概ね同一平面上に位置している。
【0028】
第1磁性部20は、磁性体を含む部材である。磁性体を構成する材料として、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等を含有するものが挙げられる。本実施形態の第1磁性部20は、磁性体を含む部材であるが、磁石ではない。第1磁性部20は、第1把持片11の裏面11bと概ね平行な方向に延在し第1把持片11の長手方向と概ね平行な方向に長尺な板状部材とされる。第1磁性部20は、第1把持片11の裏面11bに形成される溝11Gに収容されて、第1把持片11に固定される。そして、第1磁性部20は、第1把持片11の裏面11bを含む面より外部側に位置しておらず、第1把持片11の裏面11bを含む面から突出していない。なお、第1磁性部20の形状や取り付け位置は特に限定されるものではない。例えば、第1磁性部20は、第1把持片11に埋設されていてもよく、第2把持片12に取り付けられていてもよい。
【0029】
また、第1把持片11の側面11cには、第2把持片12側に向かって突出する一対の突起11Pの組が、第1把持片11の長手方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。図3には、一対の突起11Pの組が6つ設けられている場合が示されている。一対の突起11Pのうち一方は、表面11a側に位置し、他方は裏面11b側に位置する。表面11a側に位置する突起11Pの裏面11b側の面は、裏面11b側から表面11a側に向かって第2把持片12に近づくように傾斜している。また、裏面11b側に位置する突起11Pの表面11a側の面は、表面11a側から裏面11b側に向かって第2把持片12に近づくように傾斜している。また、第2把持片12の側面12cには、これら一対の突起11Pに対応する切り欠き12Nが形成されている。
【0030】
2つのガイドシャフト13は、第1把持片11の長手方向と概ね垂直かつ裏面11bと概ね平行な方向に延在する円柱状の部材とされる。第1把持片11における長手方向の一方側と他方側には、一方の側面11cから他方の側面11dに貫通する貫通孔が設けられ、これら貫通孔にガイドシャフト13がそれぞれ挿入される。それぞれのガイドシャフト13の一端部は、第2把持片12に固定される。一方、それぞれのガイドシャフト13の他端部は、シャフト支持部15に固定される。そして、第1把持片11は、ガイドシャフト13に沿って移動可能とされている。
【0031】
本実施形態のシャフト支持部15は、第1把持片11の長手方向と概ね平行な方向に長尺な概ね四角柱状の部材とされる。このシャフト支持部15には、上記のように、それぞれのガイドシャフト13の他端部が固定される。シャフト支持部15の長さは、第1把持片11の長さより短くされる。第1把持片11の長手方向において、シャフト支持部15の両端は、第1把持片11の両方の端面11e,11fより外部側に位置していない。また、シャフト支持部15は、第1把持片11の裏面11bより表面11a側に位置している。
【0032】
2つのコイルばね16は、シャフト支持部15と第1把持片11との間に配置される。具体的には、それぞれのコイルばね16は、ガイドシャフト13が挿入された状態で配置される。それぞれのコイルばね16の一端は第1把持片11の側面11dに当接し、それぞれのコイルばね16の他端はシャフト支持部15の第1把持片11側の面に当接している。これらコイルばね16の弾性力は、第1把持片11をガイドシャフト13に沿って第2把持片12側に移動させるように第1把持片11に作用している。つまり、これらコイルばね16は、第1把持片11を第2把持片12側に付勢する付勢部材である。
【0033】
シャフト14は、ガイドシャフト13の延在方向と概ね平行な方向に延在する円柱状の部材とされる。第2把持片12における長手方向の中心または中心近傍には、一方の側面12cから他方の側面12dに貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔にシャフト14が挿入される。シャフト14の一端部は、第1把持片11に固定される。シャフト14の他端側は、第2把持片12の貫通孔における第1把持片11側と反対側の開口から突出しており、他端部の外径は他の部位より大きくされている。このシャフト14を第1把持片11側に向かって第2把持片12の貫通孔に押し込むことで、第1把持片11をガイドシャフト13に沿って第2把持片12から離隔する方向へ移動させることができる。
【0034】
第1把持片11、第2把持片12、2つのガイドシャフト13、シャフト14、及びシャフト支持部15を構成する材料は、第1磁性部20を構成する材料よりも磁性を帯びにくい材料であることが好ましい。このような材料として、例えば、アルミニウム、樹脂等が挙げられる。
【0035】
上記の構成とされるホルダ10では、光ファイバ2の一部は、第1把持片11の側面11cと第2把持片12の側面12cとの間において、第1把持片11における一対の突起11Pの間を通り第1把持片11の長手方向に沿うように配置される。上記のように、第1把持片11は、コイルばね16の弾性力によってガイドシャフト13に沿って第2把持片12側に移動するように付勢されている。このため、第1把持片11の側面11cと第2把持片12の側面12cとが光ファイバ2の外周面に当接し、光ファイバ2の一部が第1把持片11と第2把持片12とによって挟持され、ホルダ10が光ファイバ2の一部を保持する。
【0036】
図5は、図1に示すベース30を概略的に示す図であり、載置面31Sを平面視する図である。図5に示すように、本実施形態でのベース30は、本体部31と、位置決め部としての2つのピン32a,32bと、第1ガイド部33と、第2ガイド部34と、第2磁性部40と、を備える。
【0037】
本体部31は、ホルダ10の少なくとも一部が載置される上記の載置面31Sを有する部材である。本実施形態では、本体部31は、概ね直方体状の部材とされ、1つの外面が載置面31Sとされ、載置面31Sは概ね平坦な面とされる。
【0038】
位置決め部としての2つのピン32a,32bは、ホルダ10の一部が当接する部材である。本実施形態のピン32a,32bは、図5に示すように、載置面31Sから当該載置面31Sと概ね垂直な方向に突出する円柱状の部材であり、本体部31と一体に形成される。載置面31S内方向における2つのピン32a,32b間の距離は、ホルダ10における2つのガイドシャフト13間の距離より大とされ、ホルダ10における第1把持片11の長手方向の長さよりも小とされる。また、2つのピン32a,32bを通り載置面31Sに垂直な基準面RPを基準として一方側における載置面31Sの面積は、他方側における載置面31Sの面積よりも大とされる。そして、図1図2に示すように、載置面31Sにおける基準面RPを基準とする一方側に、光ファイバ2の一部を保持したホルダ10が載置される。このホルダ10における第1把持片11の裏面11bと第2把持片12の裏面12bとが載置面31Sに当接している。また、2つのピン32a,32bは、載置面31Sに載置されたホルダ10における第1把持片11の側面11dに当接する。この状態において、光ファイバ2におけるホルダ10が保持している部位の長手方向は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね平行とされている。また、2つのピン32a,32bは、ホルダ10のうち当該ホルダ10が保持している光ファイバ2の部位の長手方向における異なる2箇所と当接していると理解できる。
【0039】
本実施形態の第1ガイド部33は、図5に示すように、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直な方向及び載置面31Sと概ね垂直な方向に延在する板状の部材とされる。第1ガイド部33は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向の一方のピン32aより他方のピン32b側と反対側における載置面31S上に設けられる。そして、第1ガイド部33における一方のピン32a側の面は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直である。第1ガイド部33における載置面31Sと概ね垂直な方向における端から載置面31Sまでの距離は、ホルダ10の第1把持片11の裏面11bからホルダ10が保持する光ファイバ2の外周面までの距離より小とされる。第1ガイド部33は、本体部31と一体に形成される。
【0040】
本実施形態の第2ガイド部34は、載置面31Sと概ね垂直な方向に延在する板状の部材とされる。第2ガイド部34は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向の他方のピン32bより一方のピン32b側と反対側における載置面31S上に設けられる。この第2ガイド部34は、第1ガイド部33の延在方向と概ね平行な方向に延在する平行部34aと、平行部34aの一端に接続する傾斜部34bとからなる。傾斜部34bは、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と垂直で上記の基準面RPを基準とする一方側から当該2つのピン32a,32bに近づく方向に向かって、第1ガイド部33に近づくように傾斜している。第2ガイド部34は、本体部31と一体に形成される。
【0041】
そして、図1に示すように、載置面31Sを平面視する場合に、2つのピン32a,32bを結ぶ方向において、第1ガイド部33と第2ガイド部34との間に、載置面31Sに載置されたホルダ10の一部が位置している。具体的には、2つのピン32a,32bを結ぶ方向において、第1ガイド部33と第2ガイド部34の平行部34aとの間に、ホルダ10の第1把持片11の一部が位置している。また、2つのピン32a,32bを結ぶ方向において、第1ガイド部33と第2ガイド部34の傾斜部34bとの間に、ホルダ10の第1把持片11の他の一部及び第2把持片12が位置している。また、第1ガイド部33のピン32a側の面は、第1把持片11の端面11f及び第2把持片12の端面12fと概ね平行である。また、第2ガイド部34の平行部34aのピン32b側の面は、第1把持片11の端面11eと概ね平行である。なお、第2ガイド部34は、平行部34aを有していなくてもよく、傾斜部34bを有していなくてもよい。
【0042】
本体部31、ピン32a,32b、第1ガイド部33、及び第2ガイド部34を構成する材料は、第1磁性部20を構成する材料よりも磁性を帯びにくい材料であることが好ましい。このような材料として、例えば、アルミニウム、樹脂等が挙げられる。
【0043】
第2磁性部40は、磁性体を含む部材であり、載置面31Sを基準としてホルダ10側に配置されない。磁性体を構成する材料として、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等を含有するものが挙げられる。図1図2図5に示すように、本実施形態の第2磁性部40は、本体部31に埋設される複数の磁石41とされる。つまり、第2磁性部40である複数の磁石41は、載置面31Sを基準としてホルダ10側と反対側に配置されている。これら磁石41の磁化の方向は載置面31S内方向と概ね垂直な方向とされている。磁石41は、永久磁石であってもよく、電磁石であってもよく、磁石41の数は限定されるものではない。本実施形態では、磁石41の数は3つとされ、これら磁石41は磁力が概ね同じ永久磁石とされる。これら磁石41は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向に並列され、載置面31Sに露出していない。また、これら磁石41と載置面31Sとの距離は概ね同じとされ、載置面31Sを平面視する場合に、これら磁石41と第1磁性部20とが互いに重なっている。なお、第2磁性部40は、載置面31Sを基準としてホルダ10側に配置されていなければよい。例えば、第2磁性部40である磁石41は、載置面31Sに露出していてもよく、磁石41によって載置面31Sの一部が構成されてもよい。
【0044】
本実施形態では、第2磁性部40である磁石41の磁力によって第1磁性部20と磁石41とが互いに引き寄せ合い、ホルダ10が載置面31S及び2つのピン32a,32bに押し付けられ、ホルダ10はベース30に固定される。つまり、ホルダ10に保持される光ファイバ2の一部がホルダ10を介してベース30に固定される。ここで、これら磁石41の磁力によって第1磁性部20に作用する力のうち載置面31Sに沿った成分は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力であり、この力の方向は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直である。つまり、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向が2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直となるように、ホルダ10の第1磁性部20と第2磁性部40である3つの磁石41とが配置される。また、載置面31Sを平面視する場合、これら3つの磁石41はホルダ10と重なっている。
【0045】
図6は、第2磁性部40による載置面31Sを含む面上における磁場の強度分布を概略的に示す図である。具体的には、図6(A)は、この磁場の強度分布を平面視した図であり、載置面31Sを平面視した図である。図6(B)は、図6(A)における直線SL1に沿ったこの磁場の強度分布を概略的に示す図である。なお、図6(A)では、磁場の強度分布は一点鎖線で記載されている。また、図6(A)には、第1磁性部20が点線で記載されているとともに、ベース30も記載されている。また、図6(B)における直線SL1は1つの磁石41の中心を通りホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と概ね平行である。図6(A)に示される磁場の強度分布MD1のうち、領域AR1は最も磁場の強度が高い領域であり、領域AR2、領域AR3、領域AR4の順に磁場の強度が低くなる。なお、磁場の強度が最も高い領域AR1とは、例えば、磁場の強度分布MD1における磁場の強度が、当該磁場の強度分布MD1における最大強度の0.99倍以上となる領域とされる。本実施形態では、この領域AR1の一部は、載置面31Sを平面視する場合に第1磁性部20と重なっている。なお、この領域AR1は、第1磁性部20の外縁のうちホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向側の外縁よりこの押し付ける力の方向側に位置している。また、この領域AR1のうち第1磁性部20と重なっていない部位の面積は、第1磁性部20と重なっている面積よりも大である。そして、領域AR1と第1磁性部20とが重なっている部位の面積は、ホルダ10がこの押し付ける力の方向と反対方向側に移動するにつれて減少する。また、図6(B)に示すように、本実施形態の磁場の強度分布MD1では、領域AR1からホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向に向かって、磁場の強度が減少する。そして、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられた状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る磁石41による磁束線の数は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向側へホルダ10が2つのピン32a,32bから離隔した状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る磁石41による磁束線の数より大とされる。また、領域AR1は、ホルダ10における第1把持片11の長手方向と概ね平行な方向に長尺であり、ホルダ10が保持している光ファイバ2の部位の長手方向と概ね平行な方向に長尺である。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、ホルダ10と、ベース30と、を備える。ホルダ10は、磁性体を含む第1磁性部20を有し光ファイバ2の一部を保持する。ベース30は、磁性体を含む第2磁性部40、ホルダ10の少なくとも一部が載置される載置面31S、及びホルダ10が当接する位置決め部としての2つのピン32a,32bを有する。第2磁性部40は、載置面31Sを基準としてホルダ10側に配置されない。第1磁性部20及び第2磁性部40のうち第2磁性部40は磁石41である。磁石41の磁力によって第1磁性部20と磁石41とが互いに引き寄せ合うことによってホルダ10が載置面31S及び2つのピン32a,32bに押し付けられる。
【0047】
本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、磁石41の磁力によって第1磁性部20と磁石41とが互いに引き寄せ合うことによってホルダ10が載置面31S及び2つのピン32a,32bに押し付けられる。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、載置面31Sと垂直な方向、及び載置面31S内方向のうちホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と平行な方向における位置決めがされた状態で光ファイバ2を固定し得る。また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1によれば、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向側にホルダ10を2つのピン32a,32bから所定の距離だけ離隔させて載置面31Sに載置したとしても、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せて当該2つのピン32a,32bに押し付け得る。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、ホルダ10が所定の位置からずれた状態で載置面31Sに載置されたとしても、光ファイバ2の一部を位置決めして固定し得る。従って、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、位置決めする位置まで直接光ファイバ2の一部を運んで固定する場合と比べて、容易に光ファイバ2の一部を位置決めして固定し得る。また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、第2磁性部40である磁石41は、載置面31Sを基準としてホルダ10側に配置されず、ホルダ10側と反対側に配置されている。第2磁性部40である磁石41が載置面31Sを基準としてホルダ10側に配置される場合、載置面31Sを平面視する場合のこの磁石41を配置し得る領域はホルダ10と重ならない領域である。しかし、磁石41が載置面31Sを基準としてホルダ10側に配置されない場合、載置面31Sを平面視する場合にホルダ10と重なる領域にも磁石41を配置できる。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁石41が載置面31Sを基準としてホルダ10側に配置される場合と比べて、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せることができる範囲を広げることができる。また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられた状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る磁石41による磁束線の数は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向側へホルダ10が2つのピン32a,32bから離隔した状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る磁石41による磁束線の数より大である。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せる際、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられる前にホルダ10の移動が止まることを抑制し得る。
【0048】
本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、第2磁性部40である磁石41は、載置面31Sに露出していない。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁石41が載置面31Sに露出する場合と比べて、載置面31Sに段差ができることを抑制し得る。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せる際、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられる前にホルダ10の移動が止まることをより抑制し得る。
【0049】
ここで、上記のように、載置面31Sを平面視する場合に、2つのピン32a,32bを結ぶ方向において、第1ガイド部33と第2ガイド部34との間に、載置面31Sに載置されたホルダ10の一部が位置している。つまり、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と垂直な方向において、ホルダ10の一部は、第1ガイド部33と第2ガイド部34との間に位置している。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、第1ガイド部33と第2ガイド部34とによって、載置面31S内方向のうち2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と垂直な方向におけるホルダ10の動きを規制することができる。つまり、ベース30が有する第1ガイド部33及び第2ガイド部34は、このようなホルダ10の動きを規制するガイド部であると理解できる。そして、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、載置面31S内方向のうちホルダ10をピン32a,32bに押し付ける力の方向と垂直な方向における光ファイバ2の位置を所定の範囲内に規制した状態で光ファイバ2を固定し得る。
【0050】
本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、第2ガイド部34は、傾斜部34bを有する。傾斜部34bは、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と垂直で上記の基準面RPを基準とする一方側から当該2つのピン32a,32bに近づく方向に向かって、第1ガイド部33に近づくように傾斜している。つまり、傾斜部34bは、ホルダを2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向に向かって、第1ガイド部33から離れるように傾斜している。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せて当該2つのピン32a,32bに当接させることができる範囲を広げることができる。従って、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、より容易に光ファイバ2の一部を位置決めして固定し得る。
【0051】
なお、ホルダ10が載置面31Sから離れることを抑制する観点では、第2磁性部40の磁石41における磁化の方向は、載置面31S内方向と非平行な方向であることが好ましく、載置面31S内方向と垂直な方向であることがより好ましい。また、ホルダ10が2つのピン32a,32bから離れることを抑制する観点では、第2磁性部40の磁石41における磁化の方向は、載置面31S内方向と非垂直な方向であることが好ましく、載置面31S内方向と平行かつホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と平行な方向であることがより好ましい。
【0052】
また、当該磁石41の磁化の方向が載置面31Sに対して概ね垂直な方向であっても、第2磁性部40の磁石41における載置面31Sに対して垂直な方向の厚みを十分な厚みにすることで、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せることができる範囲を広げ得る。一方、磁石41における載置面31Sに対して垂直な方向の厚みが上記の十分な厚みより薄い場合、当該磁石41の磁化の方向を載置面31S内方向及びホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と概ね平行にすることで、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せることができる範囲を広げ得る。なお、上記の十分な厚みは、ホルダ10の質量等に応じて決まる厚みである。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7及び図8を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0054】
本実施形態における光ファイバ2の位置決め装置1は、ホルダ10の第1磁性部20が磁石とされる点、及びベース30の第2磁性部40が磁石とされない点で、第1実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1と異なる。
【0055】
図7は、本実施形態に係る光ファイバ2の位置決め装置1を図1と同様の方法で示す図である。本実施形態のホルダ10の第1磁性部20は、第1把持片11の長手方向と概ね平行な方向に長尺な板状の永久磁石とされる。そして、第1磁性部20は、第1実施形態と同様に、第1把持片11の裏面11bに形成される溝11Gに収容されて、第1把持片11に固定される。また、第1磁性部20は、第1実施形態と同様に、第1把持片11の裏面11bを含む面より外部側に位置しておらず、第1把持片11の裏面11bを含む面から突出していない。また、ホルダ10が載置面31Sに載置された状態における第1磁性部20の磁化の方向は、載置面31S内方向と概ね垂直な方向とされている。
【0056】
図8は、図7に示すベースを図3と同様の方法で示す図である。図7図8に示すように、本実施形態の第2磁性部40は、載置面31Sと概ね平行に延在し2つのピン32a,32bを結ぶ方向に長尺な板状部材とされる。第2磁性部40は、磁性体を含む部材であるが、磁石ではない。第2磁性部40は、第1実施形態と同様に、本体部31に埋設されている。第2磁性部40は、載置面31Sを平面視する場合に、第1磁性部20を基準として2つのピン32a,32b側に配置される。また、載置面31Sを平面視する場合に、第2磁性部40と第1磁性部20とが互いに重なっていない。
【0057】
本実施形態では、磁石である第1磁性部20の磁力によって当該第1磁性部20と第2磁性部40とが互いに引き寄せ合い、ホルダ10が載置面31S及び2つのピン32a,32bに押し付けられ、ホルダ10はベース30に固定される。つまり、第1実施形態と同様に、ホルダ10に保持される光ファイバ2の一部がホルダ10を介してベース30に固定される。また、このように磁石である第1磁性部20の磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直である。つまり、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向が2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直となるように、ホルダ10の第1磁性部20とベース30の第2磁性部40とが配置される。
【0058】
図9は、第1磁性部20による載置面31Sを含む面上における磁場の強度分布を概略的に示す図である。具体的には、図9(A)は、この磁場の強度分布を平面視した図であり、載置面31Sを平面視した図である。図9(B)は、図9(A)における直線SL2に沿ったこの磁場の強度分布を概略的に示す図である。なお、図9(A)では、磁場の強度分布は一点鎖線で記載されている。また、図9(A)には、第1磁性部20が点線で記載されているとともに、ベース30も記載されている。また、図9(B)における直線SL2は第1磁性部20を通りホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と概ね平行である。図9(A)に示される磁場の強度分布MD2のうち、領域AR21は最も磁場の強度が高い領域であり、領域AR22、領域AR23、領域AR24の順に磁場の強度が低くなる。なお、図9(A)では領域AR21の外縁と第1磁性部20の外縁とが概ね重なるため、領域AR21の外縁の記載は省略されている。また、磁場の強度が最も高い領域AR21とは、例えば、磁場の強度分布MD2における磁場の強度が、当該磁場の強度分布MD2における最大強度の0.99倍以上となる領域とされる。本実施形態では、この領域AR21は、第2磁性部40と重なっていない。また、この領域AR21を基準として、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向側に第2磁性部40が位置している。また、領域AR21を基準として、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向側に2つのピン32a,32bが位置している。また、図9(B)に示すように、本実施形態の磁場の強度分布MD1では、領域AR21からホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向に向かって、磁場の強度が減少する。そして、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられた状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る第1磁性部20による磁束線の数は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向側へホルダ10が2つのピン32a,32bから離隔した状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る第1磁性部20による磁束線の数より大とされる。また、領域AR21は、ホルダ10における第1把持片11の長手方向と概ね平行な方向に長尺であり、ホルダ10が保持している光ファイバ2の部位の長手方向と概ね平行な方向に長尺である。なお、2つのピン32a,32bを基準として、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向側に、第2磁性部40が位置していてもよい。また、2つのピン32a,32bを基準として、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向側に、第2磁性部40及び領域AR21が位置していてもよい。
【0059】
本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、第1実施形態と同様にして、載置面31Sと垂直な方向、及び載置面31S内方向のうちホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と平行な方向における位置決めがされた状態で光ファイバ2を固定し得る。また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、第1実施形態と同様にして、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向にホルダ10を2つのピン32a,32bから所定の距離だけ離隔させて載置面31Sに載置したとしても、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せて当該2つのピン32a,32bに押し付け得る。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、ホルダ10が所定の位置からずれた状態で載置面31Sに載置されたとしても、光ファイバ2の一部を位置決めして固定し得る。また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、第2磁性部40は、載置面31Sを基準としてホルダ10側と反対側に配置されている。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、第1実施形態と同様にして、第2磁性部40が載置面31Sを基準としてホルダ10側に配置される場合と比べて、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せることができる範囲を広げることができる。また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられた状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る第1磁性部20による磁束線の数は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向側へホルダ10が2つのピン32a,32bから離隔した状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る第1磁性部20による磁束線の数より大とされる。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せる際、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられる前に磁力によってホルダ10の移動が止まることを抑制し得る。
【0060】
なお、ホルダ10が載置面31Sから離れることを抑制する観点では、磁石である第1磁性部20における磁化の方向は、載置面31S内方向と非平行な方向であることが好ましく、載置面31S内方向と垂直な方向であることがより好ましい。また、ホルダ10が2つのピン32a,32bから離れることを抑制する観点では、第1磁性部20における磁化の方向は、載置面31S内方向と非垂直かつホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と非垂直な方向であることが好ましく、載置面31S内方向と平行かつホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と平行な方向であることがより好ましい。
【0061】
また、第1磁性部20の磁化の方向が載置面31Sに対して概ね垂直な方向であっても、第1磁性部20における載置面31Sに対して垂直な方向の厚みを十分な厚みにすることで、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せることができる範囲を広げ得る。一方、第1磁性部20における載置面31Sに対して垂直な方向の厚みが上記の十分な厚みより薄い場合、当該第1磁性部20の磁化の方向を載置面31S内方向及びホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と概ね平行にすることで、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せることができる範囲を広げ得る。なお、上記の十分な厚みは、ホルダ10の質量等に応じて決まる厚みである。
【0062】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図10及び図11を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0063】
本実施形態における光ファイバ2の位置決め装置1は、ベース30の第2磁性部40が主磁性部40aと、副磁性部40bとを有する点で、第1実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1と異なる。
【0064】
図10は、本実施形態に係るベース30を図5と同様の方法で示す図である。図11は、図10に示すベース30を別の方向から見る図であり、2つのピン32a,32bを結ぶ方向から見る図である。図10図11に示すように、本実施形態の第2磁性部40は、主磁性部40aと、副磁性部40bとを有する。主磁性部40aは、本体部31に埋設される3つの磁石41aから成る。これら磁石41aは、磁力が概ね同じ永久磁石とされ、2つのピン32a,32bを結ぶ方向に並列され、載置面31Sに露出していない。また、これら磁石41aと載置面31Sとの距離は概ね同じとされている。
【0065】
副磁性部40bは、本体部31に埋設される2つの磁石41b及び1つの磁石41cから成る。2つの磁石41bは、磁力が主磁性部40aの磁石41aの磁力よりも弱い永久磁石とされる。これら磁石41bは、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と垂直な方向における主磁性部40aよりも2つのピン32a,32b側と反対側に配置され、2つのピン32a,32bを結ぶ方向に並列されている。また、これら磁石41bと載置面31Sとの距離は概ね同じであり、主磁性部40aの磁石41aと載置面31Sとの距離より大とされる。また、1つの磁石41cは、磁力が磁石41bの磁力よりも弱い永久磁石とされる。この磁石41cは、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と垂直な方向における磁石41bよりも2つのピン32a,32b側と反対側に配置されている。また、磁石41cと載置面31Sとの距離は、磁石41bと載置面31Sとの距離より大とされる。そして、載置面31Sを平面視する場合に、この磁石41cと一方の磁石41bとを通る直線は、主磁性部40aの3つの磁石41aのうち配列方向における一端に位置する磁石41aを通る。また、載置面31Sを平面視する場合に、この磁石41cと他方の磁石41bとを通る直線は、主磁性部40aの3つの磁石41aのうち配列方向における他端に位置する磁石41aを通る。
【0066】
なお、磁石41a,41b,41cは、電磁石であってもよい。また、主磁性部40aの磁石41aの強度、配置、数は特に限定されるものではない。また、副磁性部40bの磁石41b,41cの強度、配置、数は特に限定されるものではない。例えば、主磁性部40a及び副磁性部40bのそれぞれは、1つの磁石から構成されていてもよい。
【0067】
ここで、載置面31Sを含む面上において、副磁性部40bによる磁場の強度の最大値は、主磁性部40aによる磁場の強度の最大値よりも小である。つまり、副磁性部40bによる磁場の強度の最大値が主磁性部40aによる磁場の強度の最大値よりも小となるように、上記磁石41a,41b,41cの強度や位置が設定されている。
【0068】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第2磁性部40である磁石41a,41b,41cの磁力によって第1磁性部20と第2磁性部40とが互いに引き寄せ合い、ホルダ10が載置面31S及び2つのピン32a,32bに押し付けられ、ホルダ10はベース30に固定される。つまり、第1実施形態と同様に、ホルダ10に保持される光ファイバ2の一部がホルダ10を介してベース30に固定される。また、このように第2磁性部40である磁石41a,41b,41cの磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直である。このため、第2磁性部40の主磁性部40a及び副磁性部40bは、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向において、副磁性部40b、主磁性部40aの順に並列されていると理解できる。
【0069】
図12は、第2磁性部40による載置面31Sを含む面上における磁場の強度分布を概略的に示す図である。具体的には、図12(A)は、この磁場の強度分布を平面視した図であり、載置面31Sを平面視した図である。図12(B)は、図12(A)における直線SL3に沿ったこの磁場の強度分布を概略的に示す図である。なお、図12(A)では、磁場の強度分布は一点鎖線で記載されている。また、図12(A)には、第1磁性部20が点線で記載されているとともに、ベース30も記載されている。また、図12(B)における直線SL3は主磁性部40aの1つの磁石41a及び副磁性部40bの1つの磁石41cを通りホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と概ね平行である。図12(A)、図12(B)に示すように、第2磁性部40による載置面31Sを含む面上における磁場の強度分布MD3は、領域AR31、領域AR32、及び領域AR33を含む。領域AR31は最も磁場の強度が高い領域であり、領域AR32は磁場の強度が領域AR31よりも低く概ね一定となる領域であり、領域AR33は磁場の強度が領域AR32よりも低く概ね一定となる領域である。なお、磁場の強度が最も高い領域AR31とは、例えば、磁場の強度分布MD3における磁場の強度が、当該磁場の強度分布MD3における最大強度の0.99倍以上となる領域とされる。本実施形態では、領域AR31は領域AR32によって囲われ、領域AR32は領域AR33によって囲われている。また、領域AR31の一部は、載置面31Sを平面視する場合に第1磁性部20と重なっている。しかし、この領域AR31は、第1磁性部20の外縁のうちホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向側の外縁よりこの押し付ける力の方向側に位置している。そして、領域AR31と第1磁性部20とが重なっている部位の面積は、ホルダ10がこの押し付ける力の方向と反対方向側に移動するにつれて減少する。また、図12(B)に示すように、本実施形態の磁場の強度分布MD3では、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と平行な方向において、領域AR31から離れるにつれて磁場の強度が段階的に減少する。そして、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられた状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る磁石41a,41b,41cによる磁束線の数は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向側へホルダ10が2つのピン32a,32bから離隔した状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通る磁石41a,41b,41cによる磁束線の数より大とされる。
【0070】
このような光ファイバ2の位置決め装置1であっても、第1実施形態と同様にして、容易に光ファイバ2の一部を位置決めして固定し得る。
【0071】
また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、上記のように、第2磁性部40は、磁石41aからなる主磁性部40aと、磁石41b,41cからなる副磁性部40bとを有する。主磁性部40a及び副磁性部40bは、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向において、副磁性部40b、主磁性部40aの順に並列されている。載置面31Sを含む面上において、副磁性部40bによる磁場の強度の最大値は、主磁性部40aによる磁場の強度の最大値よりも小である。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、第2磁性部40が副磁性部40bを有さない場合と比べて、第2磁性部40の磁場の範囲を、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向に広げることができる。また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せる際、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられる前に副磁性部40bの磁力によってホルダ10の移動が止まることを抑制し得る。
【0072】
なお、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられる前に副磁性部40bの磁力によってホルダ10の移動が止まることを抑制する観点では、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向における領域AR32,AR33の最大の幅W32,W33は、この方向における第1磁性部の幅W10より小であることが好ましい。なお、領域AR32における領域AR31側の縁と領域AR33側の縁との間における磁場の強度は、領域AR31側の縁や領域AR33側の縁における磁場の強度よりも低くなっていてもよい。しかし、第1実施形態と同様に、磁場の強度分布MD3は、領域AR31からホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対方向に向かって、磁場の強度が減少する分布とされることがより好ましい。
【0073】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図13を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0074】
図13は本実施形態に係る光ファイバの位置決め装置を図1と同様の方法で示す図である。図13に示すように、本実施形態における光ファイバ2の位置決め装置1は、ベース30が第1ガイド部33に替わって第2位置決め部50を備える点で、第1実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1と異なる。
【0075】
図13に示すように、本実施形態の第2位置決め部50は、本体部51と磁石52とを有する。本体部51は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直な方向に長尺な直方体状の部材とされる。本体部51は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向の一方のピン32aより他方のピン32b側と反対側における載置面31S上に設けられる。そして、本体部51における一方のピン32a側の面51Sは、2つのピン32a,32bを結ぶ方向、及び載置面31Sと概ね垂直である。本体部51における載置面31Sと概ね垂直な方向における端から載置面31Sまでの距離は、ホルダ10の第1把持片11の裏面11bからホルダ10が保持する光ファイバ2の外周面までの距離より小とされる。また、本体部51は、ベース30の本体部31と一体に形成される。そして、本体部51の面51Sに、ホルダ10における第1把持片11の端面11fと第2把持片12の端面12fとが当接している。つまり、本実施形態のベース30は、ホルダ10の一部が当接する位置決め部としての2つのピン32a,32bと、ホルダ10の別の一部が当接する第2位置決め部50とを有していると理解できる。
【0076】
磁石52は、本体部51に埋設されており、本体部51の面51Sに露出していない。磁石52は、永久磁石であってもよく、電磁石であってもよく、複数の磁石から構成されていてもよい。この磁石52は、載置面31Sを平面視する場合に、2つのピン32a,32bを結ぶ方向において、第1磁性部20と重なっている。なお、磁石52は、本体部51の面51Sに露出していてもよく、磁石52によって本体部51の面51Sの一部が構成されてもよい。また、本体部51が磁石52とされてもよい。
【0077】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、第2磁性部40である磁石41の磁力によって第1磁性部20と第2磁性部40とが互いに引き寄せ合い、ホルダ10が載置面31S及び2つのピン32a,32bに押し付けられる。このように第2磁性部40である磁石41の磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向は、2つのピン32a,32bを結ぶ方向と概ね垂直である。また、本実施形態では、第2位置決め部50の磁石52の磁力によって当該磁石52と第1磁性部20とが互いに引き寄せ合う。そして、ホルダ10における第1把持片11の端面11fと第2把持片12の端面12fとが第2位置決め部50における本体部51の面51Sに押し付けられる。このように、ホルダ10を第2位置決め部50に押し付ける力の方向は、載置面31S内方向のうちホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と非平行である。本実施形態では、この力の方向は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と概ね垂直な方向とされている。また、この力は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力より小である。つまり、ホルダ10を第2位置決め部50に押し付ける力の方向が載置面31S内方向のうちホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と非平行となるとともに、この力がホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力より小となるように、磁石52の強度や位置が設定されている。
【0078】
このような光ファイバ2の位置決め装置1であっても、第1実施形態と同様にして、容易に光ファイバ2の一部を位置決めして固定し得る。
【0079】
また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、上記のように、第2位置決め部50の磁石52と第1磁性部20とが互いに引き寄せ合うことによって、ホルダ10が第2位置決め部50に押し付けられる。このホルダ10を第2位置決め部50に押し付ける力の方向は、載置面31S内方向のうちホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と非平行である。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、載置面31S内方向のうちホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と垂直な方向における位置決めが更にされた状態で光ファイバ2を固定し得る。
【0080】
また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、ホルダ10を第2位置決め部50に押し付ける力は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力より小である。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、第1磁性部20と第2磁性部40とが互いに引き寄せ合う力を第1磁性部20と第2位置決め部50の磁石52とが互いに引き寄せ合う力より大きくし得る。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁力によってホルダ10を2つのピン32a,32bに引き寄せる際、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられる前に第2位置決め部50の磁石52の磁力によってホルダ10の移動が止まることを抑制し得る。
【0081】
また、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1では、図13に示すように、載置面31Sを平面視する場合に、2つのピン32a,32bを結ぶ方向において、第2位置決め部50と第2ガイド部34との間に、載置面31Sに載置されたホルダ10の一部が位置している。つまり、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と垂直な方向においてホルダ10の一部は、第2位置決め部50と第2ガイド部34との間に位置しており、第2位置決め部50が第1実施形態における第1ガイド部33を兼ねている。このため、本実施形態の光ファイバ2の位置決め装置1は、磁力によって移動するホルダ10が第2位置決め部50から離れる方向に移動することを抑制し得、ホルダ10を第2位置決め部50に押し付け得る。
【0082】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
例えば、上記実施形態では、第1磁性部20または第2磁性部40が磁石とされる光ファイバ2の位置決め装置1を例に説明した。しかし、第1磁性部20及び第2磁性部40のうち少なくとも一方が磁石であればよい。例えば、第1磁性部20及び第2磁性部40が磁石とさてもよい。この場合、ホルダ10が位置決め部としての2つのピン32a,32bに押し付けられた状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通るこれら磁石による磁束線の数は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と反対側へホルダ10が2つのピン32a,32bから離隔した状態において第1磁性部20及び第2磁性部40を通るこれら磁石による磁束線の数より大となるようにする。なお、ホルダ10の取り扱い性の観点では、第1実施形態のように、第1磁性部20及び第2磁性部40のうち第2磁性部40のみが磁石であることが好ましい。第2磁性部40のみが磁石である場合、ホルダ10が磁力によってベース30と異なる部材に固定されることを抑制でき、ホルダ10の取り扱いを容易にし得る。また、この場合、ホルダ10が磁力によって第2磁性部40と異なる他の部材に引き寄せられることを抑制できる。このため、第2磁性部40の磁力によってホルダ10を位置決め部としての2つのピン32a,32bに引き寄せる際、ホルダ10が2つのピン32a,32bに押し付けられる前にホルダ10の移動が止まることをより抑制し得る。
【0084】
また、上記実施形態では、第1把持片11と第2把持片12とによって光ファイバ2の一部を挟持することで当該光ファイバ2の一部を保持するホルダ10を例に説明した。しかし、ホルダ10は磁性体を含む第1磁性部20を有し光ファイバ2の一部を保持すればよい。例えば、ホルダ10は光ファイバ2の一部が巻き付けられて当該光ファイバ2の一部を保持してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、位置決め部としての2つのピン32a,32bを有するベース30を例に説明した。しかし、位置決め部は、ホルダ10の一部が当接する部材であればよい。例えば、位置決め部は、ホルダ10と面接触する部材とされてもよく、ホルダ10と点接触する部材とされてもよい。また、位置決め部は、ホルダ10における複数の部位と当接する部材であってもよく、ホルダ10における一箇所と当接する部材であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、ホルダ10と面接触する第2位置決め部50を例に説明した。しかし、第2位置決め部は、磁石を有しホルダ10の一部が当接する部材であればよい。例えば、第2位置決め部は、ホルダ10と線接触する部材とされてもよく、ホルダ10と点接触する部材とされてもよい。また、第2位置決め部は、ホルダ10における複数の部位と当接する部材であってもよい。ホルダ10における一箇所と当接する部材であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、ガイド部である第1ガイド部33及び第2ガイド部34を有するベース30を例に説明した。しかし、ベース30は、磁性体を含む第2磁性部40、ホルダ10の少なくとも一部が載置される載置面31S、及びホルダ10の一部が当接する位置決め部を有していればよい。例えば、ベース30は、第1ガイド部33及び第2ガイド部34を有していなくてもよい。また、ベース30は、他の部材と一体に形成され、当該他の部材の一部とされてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、ガイド部である第1ガイド部33及び第2ガイド部34によってホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と垂直な方向におけるホルダ10の動きを規制するベース30を例に説明した。しかし、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と垂直な方向におけるホルダ10の動きを規制するガイド部は、特に限定されるものではない。例えば、ガイド部は、ホルダ10を2つのピン32a,32bに押し付ける力の方向と概ね平行な方向に延在し載置面31Sに設けられるリブや溝としてもよい。この場合、ホルダ10における載置面31Sと当接する面である第1把持片11の裏面11b及び第2把持片12の裏面12bには、このリブが挿入される溝やこの溝に挿入されるリブを設ける。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明によれば、容易に光ファイバの一部を位置決めして固定し得る光ファイバの位置決め装置が提供され、光ファイバ通信等の分野で利用することが期待される。
【符号の説明】
【0090】
1・・・光ファイバの位置決め装置
2・・・光ファイバ
10・・・ホルダ
20・・・第1磁性部
30・・ベース
31S・・・載置面
32a,32b・・・ピン(位置決め部)
33・・・第1ガイド部(ガイド部)
34・・・第2ガイド部(ガイド部)
40・・・第2磁性部
40a・・・主磁性部
40b・・・副磁性部
41,41a,41b,41c,52・・・磁石
50・・・第2位置決め部(別の位置決め部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13