(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】電力監視システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20230531BHJP
G01R 21/00 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
G01R21/00 P
(21)【出願番号】P 2020151504
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸司
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-050780(JP,A)
【文献】特開2016-166809(JP,A)
【文献】特開2018-132388(JP,A)
【文献】特開2013-068578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0204054(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
G01R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力配線の電源側を計測する電源側の計測ユニットと、前記電力配線の負荷側を計測する負荷側の計測ユニットと、前記電源側の計測ユニットと前記負荷側の計測ユニットから計測信号を入力し、電力監視を行う電力監視装置とから構成される電力監視システムであって、
前記電力監視装置は、
前記電源側の計測ユニットで計測した相間電圧および各相の線路電流と、前記負荷側の計測ユニットで計測した相間電圧から線路抵抗を演算する線路抵抗演算部と、
前記電源側の計測ユニットで計測した各相の線路電流と前記線路抵抗演算部で求めた線路抵抗から現在の各相の線路損失および合計の線路損失を求める現在の線路損失演算部と、
現在の各相の線路損失および合計の線路損失を表示する表示部と、
を備える電力監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力監視システムにおいて、
電力監視装置は、更に、
前記電源側の計測ユニット或いは負荷側の計測ユニットで計測した相間電圧および各相の線路電流から、現在の負荷電力を演算する現在の負荷電力演算部と、
現在の負荷電力と、前記電源側の計測ユニット或いは負荷側の計測ユニットで計測した相間電圧とから、平衡負荷時の線路電流を求める平衡時の線路電流演算部と、
平衡負荷時の各相の線路損失と合計の線路損失を求める平衡時の線路損失演算部と、
前記現在の合計の線路損失と平衡時の合計の線路損失から改善できる線路損失を求める改善線路損失演算部と、
を備え、
前記表示部は、前記改善できる線路損失を表示する電力監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電力監視システムにおいて、
前記電源側の計測ユニット或いは負荷側の計測ユニットは、相間電圧および各相の線路電流から、現在の負荷電力を演算する現在の負荷電力演算部を備え、
電力監視装置は、更に、
前記現在の負荷電力と、前記電源側の計測ユニット或いは負荷側の計測ユニットで計測した相間電圧とから、平衡負荷時の線路電流を求める平衡時の線路電流演算部と、
平衡負荷時の各相の線路損失と合計の線路損失を求める平衡時の線路損失演算部と、
前記現在の合計の線路損失と平衡時の合計の線路損失から改善できる線路損失を求める改善線路損失演算部と、
を備え、
前記表示部は、前記改善できる線路損失を表示する電力監視システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電力監視システムにおいて、
前記表示部は、更に、平衡負荷時の各相の線路損失および合計の線路損失を表示することを特徴とする電力監視システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の電力監視システムにおいて、
前記電源側の計測ユニットおよび負荷側の計測ユニットは、電力監視装置からブロードキャスト通信によって、計測値の同時性を保つことを特徴とする電力監視システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電力監視システムにおいて、
前記電源側の計測ユニットおよび負荷側の計測ユニットは、前記電力監視装置とマルチドロップ方式により接続されていることを特徴とする電力監視システム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の電力監視システムにおいて、
前記電力配線は、単相3線式配線であることを特徴とする電力監視システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電力監視システムにおいて、
前記表示部は、R相の線路電流とT相の線路電流との差分をグラフ表示することを特徴とする電力監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力監視システムに関し、特に平衡負荷接続による省エネの改善効果を通知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力監視システムでは、使用者の必要箇所のエネルギーデータを取得している。蓄積したデータは、省エネポイントの発見のために使用される。省エネ手法の一つとして、接続する負荷の平衡配置がある。平衡負荷で設置すると単相三線式の場合はN相に電流が流れないため、N相の配線ロスを低減することができる。この低減できる配線ロスは、使用者環境の配線の種類、線径、距離、各相の消費電力から算出する。
【0003】
特許文献1には、線電流監視機能を備えた単相3線式電力計の線電流管理システムが開示されており、「負荷に電力量を供給する電線を流れる線電流を検出する第1及び第3の線電流検出器と、前記電線間の線間電圧を検出する第1及び第3の線間電圧検出器と、前記線電流検出器出力と前記線間電圧検出器出力から負荷に供給される電力量を演算するとともに、前記線電流毎の異常値を検出する電力量演算部と、電力量演算部とネットワークを介して接続されるホストコンピュータとを備え、前記電力量演算部において前記線電流の異常値を検出した時、その異常値データが前記ネットワークを介してホストコンピュータに送信されるようにしたことを特徴とする。」(要約参照)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配線の種類、線径、距離は使用者の環境によってすべて異なる。配線ロスの算出および平衡負荷接続による省エネ効果の算出には、配線抵抗値が必要である。前述のように使用者の環境によって配線の種類、線径、距離がすべて異なるため、配線抵抗値がわからない。また、配線抵抗値の他に、各配線(各相)での電力や電流などの瞬時値のデータも必要になる。瞬時値のデータは同じ時刻の値が必要であり、時刻遅れがあった場合は、正しく算出することができない。さらに、負荷の不平衡状態を調査するために、電力監視システムのデータの詳細を確認する必要がある。以上から、省エネ可能な不平衡箇所の発見に時間がかかり、かつ、不平衡状態の改善による配線ロスの低減効果を簡易な操作で算出することができなかった。
【0006】
特許文献1には、不平衡状態における電力量の測定を防止し、負荷の不平衡状態を監視する線電流監視機能を備えた単相3線式電力量計の線電流監視システムが開示されているが、不平衡状態の改善による配線ロスの低減効果を通知することは考慮されていない。
【0007】
本発明は、使用者環境の配線の種類、線径、距離の情報が得られなくても、低減できる配線ロス値(省エネ効果)を算出して表示する電力監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電力監視システムは、上記課題を解決するために、同時刻の電圧や電流の瞬時データを取得する機能を備え、負荷の不平衡状態を直観的にイメージできる表示機能を備え、配線の種類、線径、距離の情報が無くても配線ロスおよび低減できる配線ロス値を表示する機能を有する。
【0009】
本発明の「電力監視システム」の一例を挙げるならば、
電力配線の電源側を計測する電源側の計測ユニットと、前記電力配線の負荷側を計測する負荷側の計測ユニットと、前記電源側の計測ユニットと前記負荷側の計測ユニットから計測信号を入力し、電力監視を行う電力監視装置とから構成される電力監視システムであって、前記電力監視装置は、前記電源側の計測ユニットで計測した相間電圧および各相の線路電流と、前記負荷側の計測ユニットで計測した相間電圧から線路抵抗を演算する線路抵抗演算部と、前記電源側の計測ユニットで計測した各相の線路電流と前記線路抵抗演算部で求めた線路抵抗から現在の各相の線路損失および合計の線路損失を求める現在の線路損失演算部と、現在の各相の線路損失および合計の線路損失を表示する表示部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用者環境の配線の種類、線径、距離の情報が得られなくても、低減できる配線ロス値(省エネ効果)を算出して表示することができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例の電力監視システムの概略構成図である。
【
図2】電力監視システムの通信処理の概要を示す図である。
【
図7】実施例1の電力監視システムのブロック構成図である。
【
図8】配線ロスの削減効果を表示する画面の一例である。
【
図9】実施例2の電力監視システムのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素にはなるべく同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0014】
図1に、本発明の実施例1の電力監視システムの概略構成を示す。本発明の実施例は、
図1の、受電盤から配電盤へ電力を供給する電力配線100における配線ロスおよび改善後の省エネ効果を示す例である。
【0015】
電力監視システムは、パソコン101がマスタとなり各計測ユニット102と103からデータを取得する。パソコン101と計測ユニット102,103とはRS-485の通信線104にてマルチドロップ方式で接続する。ここではRS-485としたがマルチドロップ方式であれば何れでもよい。計測ユニット102,103の設置場所は、配線ロスを計測したい箇所の電源側の送り出し側と負荷側の入り口側とする。ここでは電源側の計測ユニット102は受電盤の出口105を計測し、負荷側の計測ユニット103は配電盤の入口106を計測している。計測ユニット102,103は、電圧、電流、電力、電力量、力率などを計測している
図2に、通信処理の概要を説明する。パソコン101からの通信コマンドによって、各計測ユニット102,103は所定の内部動作をおこなったり、要求に対して返信をする。
先ず、パソコン101からは各計測ユニット102,103に対しブロードキャストにて現在の計測値を内部に保持する要求を伝送する(S1)。マルチドロップ方式にて各計測ユニットは接続されるため、時間遅れなく同時に保持する要求を受信することになる。受信後、各計測ユニット102,103は現在の計測値を保持するので、保持している計測値は、時間遅れのない同じ瞬間(同時刻)の計測値となる。
【0016】
次に、パソコン101は、各計測ユニット102,103の保持した計測値を順番に取得するコマンドを送る(S2,S4)。各計測ユニット102,103は、自身に要求が来たときのみ、保持している計測値を返信する(S3,S5)。パソコンが各ユニットから取得する計測値は、取得する順番によらず同じ瞬間(同時刻)の計測値となる。
【0017】
パソコン内部では各計測ユニットの電圧、電流、電力、電力量、力率などを時刻とともにメモリに保存する。保存したデータに対し、グラフ作成処理と演算処理の2つを行う。
【0018】
図3に、グラフ作成処理を示す。過去1日分が作成されおり、新しいデータを取得するたびに更新していく。ここでは1日としたがこれに限らず、スパンは長短しても良い。グラフは、横軸を時間軸、縦軸は電流値の軸である。横軸、縦軸は入れ替えても良い。時間はパソコンがデータ保持した時間を示している。電流は、
図1の計測ユニット102と計測ユニット103の値を使って以下の計算をした結果を表示する。
電流値=計測ユニット102のR相電流-計測ユニット102のT相電流
R相電流とT相電流を入れ替えても良い。また、計測ユニット103の相電流を用いてもよい。ここでは電流としているが、電力でもよい。このグラフから負荷の平衡状態を視認することができる。グラフの理想的な状態は、グラフが0となる状態である。
図3のグラフではプラスとマイナスに触れているが、プラス方向のほうに触れていることが多いため、R-N間に接続している負荷が多いことがわかる。
【0019】
図4のグラフではプラス方向にのみ振れているため、R-N間に接続している負荷が多いことがわかる。
図3,4のようにどちらかに多く振れている場合には、不平衡を改善することができる。
【0020】
図5のグラフでは、両方に同じ程度触れているため、R相を改善するとT相の負荷が大きくなることになり、不平衡を改善することができない。このグラフ表示を見ることで、改善できるかの判断を素早く行う事ができる。
【0021】
電力監視装置として動作するパソコン101の演算処理を、
図6にて説明する。パソコン101では現在の配線ロスと改善後の配線ロスを求め、表示する。
【0022】
現在の配線ロスを求めるには、電源側計測ユニット102で計測したR-N間電圧V1R-Nと、T-N間電圧V1T-Nと、線路電流IR、IN、ITと、負荷側計測ユニット103で計測したR-N間電圧V2R-Nと、T-N間電圧V2T-Nを使用する。配線ロスを求めるには配線抵抗Rの値が必要であるが、配線の長さ、線径、線種が不明であるため、各計測値から簡易的に求める。線路抵抗Rに電流が流れると、電圧降下が発生する。電圧V1R-Nは、R相の線路電流IRとN相の線路電流INが線路抵抗Rに流れると電圧降下が発生し、電圧V2R-Nとなる。これを式にすると以下となる。
V1R-N(V)-V2R-N(V)=IR(A)×R(Ω)+IN(A)×R(Ω)
この式を線路抵抗Rでまとめると以下になる。
R(Ω)=(V1R-N(V)-V2R-N(V))÷(IR(A)+IN(A)) …(1)
この式により、配線の長さ、線径、線種に関係なく、線路抵抗Rを求めることができる。求めた線路抵抗Rから以下の式にて、現在のすべての相の線路損失を求めることができる。
線路損失Wr(W)=(IR×IR×R)+(IN×IN×R)+(IT×IT×R) …(2)
上記式において、IR×IR×R=R相の線路損失、IN×IN×R=N相の線路損失 、IT×IT×R=T相の線路損失を表している。
【0023】
次に、負荷接続を改善し、平衡状態としたときの線路損失を求める。現在の負荷電力WaはR-N間の負荷電力とT-N間の負荷電力が合わされた値である。式で表すと次のようになる。
Wa(W)=R相側の負荷電力+T相側の負荷電力
=(V1R-N×IR×力率)+(V1T-N×IT×力率) …(3)
ここで、力率は電圧と電流の位相差から求めることができる。
負荷が平衡となるとR-N間、T-N間の負荷のバランスが一致することになる。よってR-N間とT-N間の電力は以下となる。
R-N間負荷電力=T-N間負荷電力=Wa÷2 …(4)
この時の線路電流IR0を求めると、以下の式となる。ここで力率Φは電源側の計測ユニット102で計測した値である。
IR0=(Wa÷2)÷(V1R-N×力率Φ) …(5)
式5で求めた線路電流IR0と、式1で求めた線路抵抗Rから平衡負荷時の線路損失を求めることができる。R相線路損失=T相線路損失であり、N相は電流が流れないため0となる。
平衡負荷時の線路損失Wr0(W)=((5)×(5)×(1))×2
=IR0×IR0×R×2 …(6)
現在の線路損失Wrと平衡負荷時の線路損失Wr0とから、次式の計算を行うことで、改善できる配線ロスを算出することができる。
改善できる線路損失=式2-式6
=Wr(W)-Wr0(W) …(7)
図7に、実施例1の電力監視システムのブロック構成図を示す。電力監視システムは、電源側の計測ユニット102と、負荷側の計測ユニット103と、両計測ユニット102,103で計測した信号に基づいて電力を監視するパソコン等などの電力監視装置200で構成されている。
【0024】
電源側の計測ユニット102は、電力配線100の電源側の電圧、電流などを計測する。負荷側の計測ユニット103は、電力配線100の負荷側の電圧、電流などを計測する。
【0025】
電力監視装置200において、入力部201は、電源側の計測ユニット102および負荷側の計測ユニット103で計測した電圧、電流などの計測信号を入力する。
線路抵抗演算部202では、電源側の計測ユニット102で計測したR-N間電圧V1R-Nと、線路電流IR、INと、負荷側計測ユニット103で計測したR-N間電圧V2R-Nとを用いて、式1に基づいて、線路抵抗Rを演算する。なお、線路抵抗Rの演算には、T-N間電圧V1T-Nと、線路電流IT、INと、負荷側計測ユニット103で計測したT-N間電圧V2T-Nを用いてもよい。
現在の線路損失演算部203では、線路抵抗演算部202で求めた線路抵抗Rの値と、各相の線路電流IR、IN、ITとから、式2に基づいて、R相、N相およびT相の現在の線路損失を求める。得られた現在のR相、N相およびT相の線路損失と合計の線路損失を、表示部208で表示する。
【0026】
現在の負荷電力演算部204では、電源側の計測ユニット102で計測したR-N間電圧V1R-Nと、T-N間電圧V1T-Nと、線路電流IR、ITとから、式3に基づいて、現在の全負荷電力Waを演算する。なお、現在の全負荷電力Waの演算には、負荷側の計測ユニット103で計測したR-N間電圧V2R-Nと、T-N間電圧V2T-Nと、線路電流IR、ITを用いてもよい。線路損失分の違いはあるが、負荷電力に比べて線路損失は小さいので、無視できる。
平衡時の線路電流演算部205では、現在の負荷電力演算部204で求めた現在の全負荷電力Wa と、線間電圧であるR-N間電圧V1R-Nとから、式5に基づいて、平衡負荷時の線路電流IR0(=IT0)を演算する。
平衡時の線路損失演算部206では、線路抵抗演算部202で求めた線路抵抗Rと、平衡時の線路電流演算部205で求めた平衡負荷時の線路電流IR0(=IT0)とから、式6に基づいて、平衡負荷時のR相、N相、T相の線路損失および全線路損失Wr0を演算する。なおこの時、R相の線路損失=T相の線路損失であり、N相の線路損失は0である。得られた平衡負荷時のR相、N相、T相の線路損失および全線路損失Wr0は、表示部208で表示する。
改善線路損失演算部207では、現在の線路損失演算部203で得られた現在の線路損失Wrと、平衡時の線路損失演算部206で得られた平衡負荷時の線路損失Wr0とから、式7に基づいて、改善できる線路損失を求める。得られた改善できる線路損失を表示部208で表示する。
【0027】
図8に、算出した結果の表示の一例を示す。
図8の画面では、現在の各相の配線ロス値と合計値、平衡負荷である改善後の各相の配線ロス値と合計値、および平衡負荷とした場合の改善値を表示する。図の例では、現在のR相損失が4,665W、N相損失が746W、T相損失が1,679Wで合計の配線ロスが7,090Wである。これを平衡負荷に改善すると、R相損失が2,985W、N相損失が0W、T相損失が2,985Wとなり合計の配線ロスが5,970Wとなる。負荷を平衡負荷とすることにより1,120Wの改善が見込まれる。これにより配線ロスの現状の把握と、平衡負荷とすることによりどの程度の改善が見込めるかを視認することができる。この画面があれば、配線ロスの改善効果の大小を使用者が容易に判断できる。
【0028】
電力監視装置200は、パソコン(コンピュータ)において、CPUが所定のプログラムをメモリ上にロードし、また、CPUがメモリ上にロードした所定のプラグラムを実行することにより実現できる。この所定のプログラムは、記憶装置から、または、通信装置を介してネットワークから入力して、メモリ上にロードすれば良い。
【0029】
本実施例によれば、線路抵抗演算部と現在の線路損失演算部を備えることにより、使用者環境の配線の種類、線径、距離の情報が得られなくても、配線の各相や全体の線路損失を求めて表示することができる。また、現在の負荷電力演算部、平衡時の線路電流演算部平衡時の線路損失演算部を備えることにより、負荷を平衡負荷接続とすることにより低減できる配線ロス値(省エネ効果)を求めて表示することができる。
【実施例2】
【0030】
図9に、本発明の実施例2の電力監視システムのブロック構成図を示す。実施例1との違いは、電源側の計測ユニット102或いは負荷側の計測ユニット103に負荷電力演算部204を備えている点である。
【0031】
例えば、電源側の計測ユニット102の負荷電力演算部204において、計測したR-N間電圧V1R-Nと、T-N間電圧V1T-Nと、線路電流IR、ITとから、式3に基づいて、現在の全負荷電力Waを演算する。
【0032】
電力監視装置200の入力部201では、電源側の計測ユニット102から線間電圧(相間電圧)や各相の線路電流に加えて、負荷電力Waを入力する。そして、平衡時の線路電流演算部205で、式5に基づいて、平衡負荷時の線路電流IR0(=IT0)を演算する。電力監視装置200のその他の構成は、実施例1と同様である。
【0033】
本実施例においても、実施例1と同様に、使用者環境の配線の種類、線径、距離の情報が得られなくても、配線の各相や全体の線路損失を求めて表示することができる。また、負荷を平衡負荷接続とすることにより低減できる配線ロス値(省エネ効果)を求めて表示することができる。
【符号の説明】
【0034】
100…電力配線
101…パソコン
102…電源側の計測ユニット
103…負荷側の計測ユニット
104…RS-485通信線
105…送り出し側の計測箇所
106…入り口側の計測箇所
200…電力監視装置
201…入力部
202…線路抵抗演算部
203…現在の線路損失演算部
204…現在の負荷電力演算部
205…平衡時の線路電流演算部
206…平衡時の線路損失演算部
207…改善線路損失演算部
208…表示部