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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】光ファイバ端子コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
G02B6/36
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020523422
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018057707
(87)【国際公開番号】W WO2019084400
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】62/577,418
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517415861
【氏名又は名称】コッツワークス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ ニック
(72)【発明者】
【氏名】アルテミ オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】アップルバウム ケン
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0147081(US,A1)
【文献】国際公開第2011/022728(WO,A1)
【文献】特開2003-317867(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068461(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバレセプタクル内に適合するサイズであって、光ファイバ端子を受け入れるための長手方向通路を有するハウジングと、
可撓性係止部材と、を備え、
前記可撓性係止部材は、前記ハウジングに取り付けられたベースと、前記ベースから延びる第1の端部及び前記長手方向通路に直交する第1の方向において前記第1の端部よりも幅広の第2の端部を有する可撓部と、前記光ファイバレセプタクルの壁の各部と係合して前記ハウジングが誤って前記レセプタクルから後方分離することを防止するために、前記可撓部の第2の端部から前記長手方向通路に向かって下方に延びるレッジと、前記レセプタクルに取り付けられたときに前記可撓性係止部が上方に移動するのを防ぐために、前記レッジから軸方向に延びて前記レセプタクルの一部の下側に当接するように構成された平坦部とを有
前記レッジ及び前記平坦部は、前記第1の方向において前記可撓部の前記第1の端部よりも広い、ことを特徴とする光ファイバコネクタ。
【請求項2】
さらに、前記可撓性係止部材の前記ベースを前記ハウジングに固定する固定部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバコネクタ。
【請求項3】
前記固定部材は、前記ハウジングの開口部のネジと螺合するネジ部を有することを特徴とする請求項2に記載の光ファイバコネクタ。
【請求項4】
前記可撓部は、取外し工具と係合するスロットを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバコネクタ。
【請求項5】
前記可撓部は、前記ベースに隣接して撓むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバコネクタ。
【請求項6】
さらに、前記平坦部の後方から当該平坦部と略直交して上方に延び、前記コネクタを意図的に取り外す際にユーザがつかむ領域を提供するフランジを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバコネクタ。
【請求項7】
さらに、前記可撓性係止部材を補強するために、前記可撓部の第2の端部の後方で前記平坦部から上方に延在する隆起部分を備えることを特徴とする請求項1又は6に記載の光ファイバコネクタ。
【請求項8】
前記可撓性係止部材は、第1係合位置に付勢され、前記ハウジングに向かって下方の第2係合解除位置へ向けた可撓性を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバコネクタ。
【請求項9】
後壁を有する保持ノッチを含む光ファイバレセプタクルであって、前記レセプタクルの内向きに延在する部分によって形成される脚部と、前記脚部よりも幅広のヘッドチャンバとを有し、前記後壁が前記脚部の近位にある前記ヘッドチャンバの後部を形成する光ファイバレセプタクルと、
光ファイバコネクタと、を備える光ファイバアセンブリであって、
前記光ファイバコネクタは、前記光ファイバレセプタクル内に適合するサイズであって、光ファイバ端子を受け入れるための長手方向通路を有するハウジングと、可撓性係止部材と、を有し、
前記可撓性係止部材は、前記ハウジングに取り付けられたベースと、前記ベースから延びる第1の端部及び第2の端部を有する可撓部と、前記後壁と係合するために前記可撓部の第2の端部から前記長手方向通路に向かって下方に延びるレッジと、前記レッジから軸方向に延びて前記レセプタクルの一部の下側に当接する平坦部と、を有する、ことを特徴とする光ファイバアセンブリ。
【請求項10】
前記レセプタクルに取り付けられたときに、前記可撓性係止部材の上方移動を防ぐために前記可撓部が前記後壁に係合されると、前記平坦部が前記内向きに延在する部分の下側に当接するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項11】
前記可撓部は、前記ベースに隣接して撓むことを特徴とする請求項9又は10に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項12】
さらに、前記平坦部の後方から当該平坦部と略直交して上方に延び、前記コネクタを意図的に取り外す際にユーザがつかむ領域を提供するフランジを備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の光ファイバアセンブリ。
【請求項13】
さらに、前記可撓性係止部材を補強するために、前記可撓部の第2の端部の後方で前記平坦部から上方に延在する隆起部分を備えることを特徴とする請求項12に記載の光ファイバアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年10月26日出願の米国仮出願第62/577,418号の利益を主張する。本明細書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
軍事用、商業用航空電子工学機器、及び産業用ネットワーク機器メーカーは、さまざまな通信アプリケーションに光ファイバ部品を採用している。例示的な通信アプリケーションは、制御システムとセンサ又は他のデータ収集装置との間に動作可能な通信リンクを作成することである。光ファイバリンクの使用は、既存の電気的(例えば、「銅」)配線アーキテクチャを置き換えるためにしばしば使用される。光ファイバリンクは、高速化、電磁干渉(EMI)性能の向上、軽量化、高密度化を実現する。光ファイバリンクの他の利点は、複数の光伝搬モードを使用するより高いデータ容量を含む。さらに、光ファイバケーブル自体はプロトコルに依存しない。したがって、光ファイバケーブルを交換せずにシステムのアップグレードを行うことがしばしばある。
【0003】
多くの光ファイバ製品は、電気通信市場向けに設計されている。しかし、これらの製品は、一般に、過度の振動、衝撃、及びデブリが存在し得る過酷な動作環境において、光ファイバシステムに悪影響を及ぼす環境要因に耐えるほどには頑丈ではない。
【0004】
光ファイバシステムにおける弱点は、光ファイバケーブルと能動デバイス(例えば、光トランシーバ、光トランスミッタ、光レシーバ、又は光ファイバケーブルと直接連結するセンサ)との間のインターフェースである。このインターフェースを改善するために、光ファイバピグテールが一般的に使用されている。ピグテーリングは、一般に、光ファイバケーブル(又はそのためのコネクタ)の末端を能動デバイスに永久的に固着するために接着剤を使用することによって達成される。従来のピグテーリングは、製造及びサービスの問題を引き起こす。例えば、従来のピグテールを所定の位置に配置した後、光ファイバケーブル、能動デバイス、又は能動デバイスと相互接続された電子機器に何らかの異常が生じた場合、接着剤に依存するピグテールは効果的に取り外せないため、システム全体を交換しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ファイバシステムにおける光ファイバケーブルと能動デバイスとの間のインターフェースを改善するために、業界標準のプラグ可能なインターフェースを改善するコネクタを開示する。この結果、光ファイバケーブルと光学部品用ハウジングとの間に分離可能なインターフェースを確立するために使用される頑丈なコネクタが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、開示されるロックコネクタは、「LC」レセプタクルと互換性がある(LCは、リトルコネクタ又はルセントコネクタの略語である)。開示されるコネクタは、金属部品又は環境に適した別の材料で作られた部品を含む。かかる部品は、従来のプラグ可能なLCコネクタと連結するために通常使用されるLCレセプタクルの既存の機械的特徴と互換可能なマルチピースアセンブリを形成する。
【0007】
開示されるコネクタの分離可能な性質は、製造中及び試験中並びに現場において、光ファイバケーブル及び/又は能動デバイス(又は関連電子機器)の保守容易性をもたらす。
【0008】
一実施形態では、ハウジングと可撓性係止部材とを備える光ファイバコネクタを提供する。ハウジングは、光ファイバレセプタクル内に適合するサイズであって、光ファイバ端子を受け入れるための長手方向通路を有する。また、可撓性係止部材は、ハウジングに取り付けられたベースと、ベースから延びる第1の端部及び長手方向通路に直交する第1の方向において第1の端部よりも幅広の第2の端部を有する可撓部と、光ファイバレセプタクルの壁と係合してハウジングが誤ってレセプタクルから分離することを防止するために、可撓部の第2の端部から長手方向通路に向かって下方に延びるレッジと、を有する。
【0009】
別の実施形態では、光ファイバレセプタクルと、光ファイバコネクタとを備える光ファイバアセンブリを提供する。光ファイバレセプタクルは、後壁を有する保持ノッチを含む。また、光ファイバコネクタは、光ファイバレセプタクル内に適合するサイズであって、光ファイバ端子を受け入れるための長手方向通路を有するハウジングと、可撓性係止部材と、を有し、可撓性係止部材は、ハウジングに取り付けられたベースと、ベースから延びる第1の端部、及び第2の端部を有する可撓部と、上記後壁と係合するために可撓部の第2の端部から長手方向通路に向かって下方に延びるレッジと、レッジから軸方向に延びてレセプタクルの一部の下側に当接する平坦部と、を有する。
【0010】
さらに別の実施形態では、ハウジングと可撓性係止部材とを備える光ファイバコネクタを提供する。ハウジングは、光ファイバレセプタクル内に適合するサイズであり、光ファイバ端子を受け入れるための長手方向通路を有する。可撓性係止部材は、ハウジングに取り付けられたベースと、ベースから延びる第1の端部、及び第2の端部を有する可撓部と、光ファイバレセプタクルの壁と係合するために可動部の第2の端部から長手方向通路に向かって下方に延びるレッジと、光ファイバレセプタクルの下側に当接するためにレッジの底部から軸方向に延びる平坦部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】光ファイバコネクタ及びLCレセプタクルの斜視図である。
図2】光ファイバコネクタの斜視図である。
図3】光ファイバコネクタの上面図である。
図4】光ファイバコネクタの側面図である。
図5図3の線5-5に沿った断面図である。
図6】光ファイバコネクタ、LCレセプタクル及び取り外し工具の斜視図である。
図7】LCレセプタクルと係合した光ファイバコネクタの斜視図である。
図8】LCレセプタクルと係合した光ファイバコネクタの断面図である。
図9】LCレセプタクルに係合したときにコネクタの係止部材に接触する取外し工具を示す。
図10】LCレセプタクルに係合したときにコネクタの係止部材に接触する取外し工具を示す。
図11】第1取外し位置における取外し工具を示す。
図12】第1取外し位置における取外し工具を示す。
図13】第2取外し位置における取外し工具を示す。
図14】第2取外し位置における取外し工具を示す。
図15】第3取外し位置における取外し工具を示す。
図16】第3取外し位置における取外し工具を示す。
図17】取外し工具の斜視図である。
図18】LCレセプタクルと係合した光ファイバコネクタの斜視図である。
図19】LCレセプタクルに挿入される取外し工具を示す。
図20】LCレセプタクルに挿入される取外し工具を示す。
図21】第1取外し位置における取外し工具を示す。
図22】第1取外し位置における取外し工具を示す。
図23】第2取外し位置における取外し工具を示す。
図24】第2取外し位置における取外し工具を示す。
図25】第3取外し位置における取外し工具を示す。
図26】第3取外し位置における取外し工具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A.定義)
本明細書で用いる「光ファイバケーブル」という用語は、バッファ付き又はジャケット付きフィラメントを有するケーブルを指す。フィラメントは、典型的にはプラスチック又はガラスで作られ、光は、典型的にはデータ通信の目的で、一端から他端へフィラメント内を伝搬する。
【0013】
本明細書で使用される用語「光送信器」は、典型的にはレーザー又は発光ダイオード(LED)を用いて、電気信号を光信号に変換する能動デバイスを指す。
【0014】
本明細書で用いる「光受信機」という用語は、光入力信号を電気出力信号に変換する能動デバイスを指す。
【0015】
本明細書で使用される用語「光ファイバトランシーバ」は、光送信機及び光受信機の両方として機能する能動デバイスを指す。
【0016】
本明細書で使用する「分離可能」という用語は、挿入及び/又は引抜きのための1つ以上の工具の使用を含む取外し可能なインターフェースを指す。典型的には、分離可能なインターフェースは、少なくとも部分的に雌部品に挿入される雄部品を含む。
【0017】
本明細書で使用される「ピグテール」という用語は、取り外し不能な接着剤などを用いる能動光学部品(例えば、光送信機又は光受信機)への受動光ファイバケーブルのインターフェースを指す。
【0018】
(B.分離可能な係止用光ファイバコネクタ)
図1及び図2を参照すると、分離可能な係止用光ファイバコネクタ10及びLCレセプタクル12の代表的な実施形態が示されている。図面は必ずしも縮尺通りではない。1つの実施形態に関して記載及び/又は図示されている特徴は、1つ以上の他の実施形態及び/又は他の実施形態の特徴と組み合わせて、あるいはその代わりに、同一の形式又は類似の形式で使用することができる。
【0019】
光ファイバコネクタ10は、コネクタ本体20(本明細書ではハウジングとも呼ぶ)、可撓性係止部材22(係止部材とも呼ばれる)、及び固定部材24(例えば、図示の実施形態ではねじで表される締結具)のうちの1つ又は複数の構成要素を含む。
【0020】
当業者であれば、ある技術者は、光ファイバケーブルの端末接続アセンブリに「コネクタ」という用語を使用し、他の技術者は、同一又は類似の接続アセンブリに「端子」という用語を使用していることは理解されるであろう。これは、その用途に大きく依存する(例えば、電気通信の技術者は、典型的には、コネクタという用語を使用し、軍事及び航空電子工学の分野の技術者は、典型的には、端子という用語を使用している)。本書では、コネクタ及び端子という用語は同じ意味を持つ。光ファイバコネクタ10は、光ファイバケーブル用の端末接続アセンブリであり、したがって、端子(コネクタとも呼ぶ)といえる。
【0021】
コネクタ10は、LCレセプタクル12の幾何学的形状と調和し、適合するようにサイズが決められ、形状が決められている。例えば、図示された実施形態では、ハウジングは、概して、断面視長方形である。図示のレセプタクルは、コネクタを受け入れるための2つの領域を含む。但し、レセプタクルは、対応するコネクタを受け入れるため、適宜任意の数の受け入れ領域を有することができることが理解されよう。コネクタ10は、分離可能なインターフェースの雄型構成要素とみなすことができ、レセプタクル12は、分離可能なインターフェースの雌型構成要素とみなすことができる。レセプタクル12は、光学部品32(図7に示される)のハウジング30によって画定される。以下に詳細に説明するように、コネクタ10によって保持される光ファイバ端子36のフェルール34は、光学部品32と連結する。光学部品32は、上述したような能動デバイス、又は受動光学素子(例えば、別の光ファイバケーブル又は光カプラ)であってもよい。ハウジング20は、レセプタクル12内で半径方向に安定しており、ハウジング20の長軸を横切る方向(例えば、直交する方向)において、レセプタクル12に対してほとんど又は全く移動しない(例えば、ハウジング20は、レセプタクル12の横方向及び垂直方向において、レセプタクル12に対してほとんど又は全く移動しない)。また、ハウジング20は、レセプタクル12内で回転方向に安定しており、レセプタクル12に対してほとんど又は全く回転をしない。「ほとんど移動しない」とは、製造システム、軍用又は商用航空機(飛行機及びヘリコプター)、水上機若しくは陸上の乗物、又は同様の環境でみられる振動及び衝撃のような極端な機械的ストレスのかかる間でさえも、光学システムの動作に混乱を生じさせる量よりも移動量が少ないことを言う。
【0022】
レセプタクル12がLCレセプタクルである場合に限定されないが、いくつかの実施形態では、レセプタクル12は、ハウジング30内に「T」字形ノッチなどの保持ノッチ100を含む。「T」字形保持ノッチ100は、ハウジングの半径方向内向きに延在する部分126によって形成される脚部122と、脚部122よりも幅広の矩形ヘッドチャンバ42とを含む。脚部122は、ハウジング20が嵌合するレセプタクル12の開口部124からヘッドチャンバ42を隔てている。脚部122の近位のヘッドチャンバ42の後方境界壁44は、係止部材22が係合する肩部とみなすことができる。
【0023】
固定部材24は、係止部材22をハウジング20に固定する。固定部材24、係止部材22及びハウジング20の各々は、コネクタ10とレセプタクル12との間のインターフェースを確立するために組み立てられる別々の構成要素である。固定部材24は、一実施形態では、係止部材22をハウジング20に固定する締結具の形態である。固定部材24は、例えば、ハウジング20内のネジ付き開口56(図5)に係合するネジ式締結具であってもよい。他の実施形態では、係止部材22が、ハウジング20内の受入れ開口に圧入されて係止部材22をハウジング20に固定する、リベット留め、溶接、スウェージ留め、等々の固定部材24を含む。
【0024】
係止部材22は、固定部材24を受け入れるためにハウジング内の開口56に合わせて配置された開口を有するベース80を含む。ベース80から延びるのは、湾曲しており、取外し工具と係合する任意のスロット84を含む、可撓部82である。可撓部82は、ベース80から延びる第1の端部86と、第1の端部86よりも横方向に広い第2の端部88とを有する。可撓部82は、第1の端部86の近くでベース80に隣接して撓むように設計され、コネクタ10の取外しを可能にする。可撓部の第2の端部88から下方に延びるのは、後方境界壁44の対応する部分と係合してコネクタ10の軸方向への取外しを防止すると共に、コネクタがレセプタクル12に対して後方に移動しない又はほとんど移動しないように安定性を与えるレッジ90である。レッジ90の底部から軸方向に延びるのは、レセプタクル12に取り付けられたときに係止部材22が上方へ移動するのを防止するために、部分126の下側に当接する平坦部92である。
【0025】
係止部材22はまた、平坦部92の後方から平坦部92と略直交して上方に延び、工具を使用せずにユーザがコネクタ10を意図的に取外す際に係合する領域を提供する任意のフランジ94と、係止部材22を補強するために可撓部82の第2の端部88の後方で平端部92から上方に延在する隆起部分96とを含む。係止部材は、硬化ステンレス鋼、銅、又はベリリウムのような、元の形状に戻る性質を有する適宜の可撓性材料で作ることができる。ハウジング20は、同様の材料で作ることができる。係止部材は、保持力及び剛性を担保するように長さが短く設計され、係止部材がベース80に隣接して撓むのを補助すると共に、ケーブルが引っ張られるほど硬く締め付けられる自己補強嵌合を提供する。係止部材は、それによって、偶発的な取外しを防止する。
【0026】
次に図5を参照すると、光ファイバ端子36は、以下の構成要素のうちの1つ又は複数を含み得る:フェルール34、取付具60、張力緩和ブーツ62、スプリング64、及び光ファイバケーブル68。フェルール34は、ハウジング20内の長手方向通路58内に配置され、光学部品32と連結するために本体から延在する部分を有する。フェルール34は、フェルール34及び取付具60に着座するスプリング64によって前方方向に付勢される。前方方向とは、光ファイバケーブル68の長軸に沿った方向であって、光学部品32に向かう方向を指す。取付具60は、通路58内の対応するネジ部と螺合するネジ部と、光ファイバケーブル68によって取り囲まれるローレット部、即ち、張力緩和ブーツ62によって取り囲まれるローレット部とを有する。
【0027】
次に、図6図18を参照し、コネクタ10及びLCレセプタクル12の例示的な組立て及び分解方法を示す。
【0028】
図7及び図8は、LCレセプタクルに係合された係合位置にあるコネクタ10を示す。コネクタ10に係合するために、ハウジング20はハウジング30内に押し込まれる。ハウジング20が前方方向に押し込まれると、可撓部82は、レセプタクル12の部分126に接触し、ハウジング20の方向に撓む。ハウジング20は、可撓部82が脚部を通過し、ヘッドチャンバ42内に向けて上方に撓むまで(レッジ90が図8に示す肩部44と係合するまで)、さらに押し込まれる。これにより、光ファイバ端子36は、レセプタクル12内の光学部品32と連結される。
【0029】
図9及び図10は、係止部材22が係合位置にあるときにこれに接触する取外し工具150を示す。取外し工具150は、本体152と、本体から下方に延び、第2の端部88において隆起部分96と可撓部82とに当接するように構成された第1の部分154と、第1の部分154から下方に延び、スロット84内に延びるように構成された第2の部分156とを含む。第1の部分154は、工具がレセプタクル12内に挿入され、レセプタクルから取り外されるときに、脚部122内に適合するサイズとされる。
【0030】
図11及び図12は、本体152の下側をハウジング30の頂部に当接するまで下方に移動させ、それによって、第1の部分154を本体20に向かって可撓部82を下方に移動させて、レッジ90を肩部44から解放する、第1取外し位置にある取外し工具150を示す。
【0031】
図13及び図14は、コネクタ10がレセプタクル12から部分的に取り外された、第2取外し位置にある取外し工具150を示す。第1取外し位置から第2取外し位置に移動する際、取外し工具150は前方方向と反対の方向に移動し、第2の部分156はスロット84の後方部分と係合してコネクタ10を移動させる。
【0032】
図15及び図16は、取外し工具150が第3取外し位置にある状態、即ち、コネクタ10がレセプタクル12から完全に取り外されるも、可撓部82が依然として下方に撓んでいる状態を示す。その後、取外し工具150がコネクタ10から離される。
【0033】
次に、図18~26を参照し、コネクタ210及びLCレセプタクル212の例示的な組立て及び解体方法を示す。コネクタ210及びLCレセプタクル212は、上述のコネクタ10及びLCレセプタクル12と略同一であり、対応するコネクタ及びレセプタクルの類似の構造については同じ参照番号に200を付したものが使用される。また、コネクタ10及びLCレセプタクル12の前記の説明は、以下に指摘する場合を除いて、コネクタ210及びLCレセプタクル212に等しく適用可能である。具体的には、LCレセプタクル212は、ハウジング230が肩部244を覆う頂部238を有する閉鎖型レセプタクルである。
【0034】
図18は、LCレセプタクル212と係合した係合位置にあるコネクタ210を示す。コネクタ210と係合するために、ハウジング220はハウジング230内に押し込まれる。ハウジング220が前方方向に押し込まれると、可撓部282(図25)は、レセプタクル212の部分326に接触し、ハウジング220の方向に撓む。ハウジング220は、可撓部282が脚部を通過し、ヘッドチャンバ内に向けて上方に撓むまで(レッジ290(図25)が肩部244(図20)と係合するまで)、さらに押し込まれる。これにより、光ファイバ端子は、レセプタクル12内の光学部品と連結される。
【0035】
図19及び図20は、係止部材222が係合位置にあるときに、取外し工具350を先ずLCレセプタクル212の開口部324に挿入した後の状態を示す。取外し工具350は、本体352と、本体の端部に隣接する開口領域354と、本体352の底部の下方で開口領域354から下方に突出する突起356とを含む。突起356は、スロット284の後方部分と係合するように構成される。
【0036】
図21及び図22は、取外し工具350が第1取外し位置にある状態、即ち、取外し工具350の底部を係止部材222に当接させて可撓部282を本体20に向けて下方に撓ませ、レッジ290を肩部244から解放するまで、取外し工具350をコネクタ210に向けて下方に移動させた状態を示す。
【0037】
図23及び図24は、取外し工具350が第2取外し位置にある状態、即ち、突起356の端部がスロット284の後方部分に係合するまで、取外し工具を前方方向に移動させた状態を示す。
【0038】
図25及び図56は、取外し工具が第3取外し位置にある状態、即ち、コネクタ210がレセプタクル212から部分的に取り外されるも、可撓部282が依然として下方に撓んでいる状態を示す。第2取外し位置から第3取外し位置に移動する際、取外し工具350は、スロット84に係合された突起356と共に前方方向とは反対の方向に移動し、コネクタ210をレセプタクルから移動させる。コネクタ210は、さらに、コネクタ210がレセプタクル212から完全に取り外される第4取外し位置に移動され、次いで取外し工具350がコネクタ210から離される。
【0039】
本開示のさらなる態様は、本明細書の一部をなす特許請求の範囲から理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26