(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】クリアコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20230531BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230531BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20230531BHJP
C08K 3/40 20060101ALI20230531BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230531BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/61
C09D5/00 Z
C08K3/40
C09D7/63
(21)【出願番号】P 2020524057
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2018080248
(87)【国際公開番号】W WO2019086691
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-15
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】パテル ナヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン ベン
(72)【発明者】
【氏名】フィオレ アニエス
(72)【発明者】
【氏名】ベルタン エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ミスラカ ジェイコブ
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-300342(JP,A)
【文献】特開2003-096335(JP,A)
【文献】特表2013-518953(JP,A)
【文献】特表2013-509466(JP,A)
【文献】特表2016-513746(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/014778(US,A1)
【文献】特開平10-154500(JP,A)
【文献】特開平7-173413(JP,A)
【文献】特表2004-506581(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0164499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00- 7/26
C09D 1/00- 10/00
C09D101/00-201/10
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーライトを含むクリアコーティング組成物であって、前記パーライトの中位粒径d50が、Sedigraphを用いて沈降法により測定するか又はレーザー回折により測定して0.5μm~25μmの範囲内である、前記クリアコーティング組成物。
【請求項2】
前記パーライトのBET表面積が、1m
2/g~15m
2/gの範囲内である、請求項1に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項3】
前記パーライトの吸油量が、NF EN ISO 787-5に準拠して測定して30ml/100g~250ml/100gの範囲内である、請求項1又は請求項2に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項4】
前記パーライトが、膨張パーライト、膨張
粉砕パーライト、
粉砕パーライト又はその混合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項5】
前記コーティング組成物が艶消し又は半光沢組成物である、請求項1~4のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項6】
前記艶消し又は半光沢組成物が、ISO 2813に従って<70の光沢(60°)を有する、請求項5に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項7】
前記コーティング組成物が光沢組成物である、請求項1~4のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項8】
前記光沢組成物が、ISO 2813に従って>80の光沢(60°)を有する、請求項7に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項9】
前記組成物が15未満の透明度レベルΔE
*
tを有し、ここで、ΔE
*
tは、フィラーのないコーティングとフィラーを有するコーティングとの間のΔE
*である、請求項1~
8のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項10】
前記組成物が4未満の耐汚染性ΔE
*
srを有し、ここで、ΔE
*
srは、非汚染部分と汚染部分との間のΔE
*である、請求項1~
9のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項11】
前記パーライトが、前記クリアコーティング組成物の総質量に基づいて0.5~30質量%の量で存在する、請求項1~
10のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項12】
ポリマー樹脂、消泡剤、架橋剤、分散剤、コアレッセント剤、接着促進剤、湿潤剤、レオロジー剤、光安定剤及び/又はUV吸収剤の1種以上をさらに含む、請求項1~
11のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項13】
前記ポリマー樹脂が、前記クリアコーティング組成物の総質量に基づいて約50
質量%~約97
質量%の量で存在する、請求項
12に記載のクリアコーティング組成物。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物の製造方法であって、前記パーライトと、前記クリアコーティング組成物の他の成分とをブレンドすることを含む、前記方法。
【請求項15】
物品又は基材をコーティングするための、請求項1~
13のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物の使用。
【請求項16】
物品又は基材のコーティング方法であって、請求項1~
13のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物で前記物品又は基材をコーティングすることを含む、前記方法。
【請求項17】
請求項1~
13のいずれか1項に記載のクリアコーティング組成物でコーティングされた物品又は基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、クリアコーティング組成物及び前記組成物の製造方法に関する。本発明は、物品をコーティングするためのクリアコーティング組成物の使用、前記コーティングされた物品及びクリアコーティング組成物から形成されたフィルムにも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
工業製品及び消費財並びに工業用及び消費者用材料には日常的に多くのタイプの保護コーティングが施されている。例として、金属用のオイルコーティング、家具、床材及び建具用のウッドコーティング、並びに自動車用の高透明艶出しトップコートが挙げられる。該コーティングを用いて、表面がさらされる衝撃、引っ掻き、湿気、光及び他の環境因子によって引き起こされる損傷から下層の基材が保護される。コーティングは、引っ掻き及び衝撃損傷に耐えるために硬質であり、一般的に高度に架橋した熱硬化性ポリマーから成る。伝統的に、硬さは、剛直ポリマー鎖及び高度の架橋を有するポリマーを用いて達成される。しかしながら、このタイプのポリマーの組み入れは、脆く、亀裂や剥離が起こりやすいコーティングをもたらす可能性がある。最近の関心は、コーティングの耐引っ掻き性及び耐摩耗性を改善するために約50nm未満の中位径を有する無機粒子の組み入れに集中してきている。所要特性を与え、許容レベルの透明性を保持するために、該粒子は100nm以下の中位径を有する必要があると一般的に考えられる。
不透明及び着色コーティングには鉱物フィラーが添加されることが多いが、透明保護コーティングには添加されない。不透明及び着色コーティングにおいては、鉱物フィラーの役割は、それらを配置することによってTiO2顔料粒子の隠蔽効率を高めることであり、場合によっては、それら自体の光散乱を引き起こすことによってコーティングを不透明にするのを助けることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
良い機械的特性を有するクリアフィルム形成組成物と呼ぶこともできるクリアコーティングに対する継続的必要性がある。しかしながら、容認できる、好ましくは改善された機械的特性を与える際には、透明度などの光学特性は、例えば、組成物が実質的に透明でないというように、相当程度まで損なわれるべきでない。良い機械的特性と良い光学特性を両方備えるクリアコーティング組成物を提供する必要がある。従って、代替又は改善されたクリアコーティング組成物を提供することが望ましい。良い機械的特性と良い透明性を備える対費用効果の高いクリアコーティング組成物を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明は、添付の特許請求の範囲において規定される。
第一態様に従って、パーライトを含むクリアコーティング組成物であって、パーライトの中位粒径が、Sedigraphを用いて沈降法により又はレーザー回折により測定して0.5~25μmの範囲内である、クリアコーティング組成物が提供される。
第二態様に従って、第一態様のクリアコーティング組成物の製造方法であって、パーライトと、クリアコーティング組成物の他の成分とをブレンドすることを含む方法が提供される。
第三態様に従って、物品又は基材をコーティングするための第一態様のクリアコーティング組成物の使用が提供される。
第四態様に従って、物品又は基材のコーティング方法であって、第一態様のクリアコーティング組成物で前記物品又は基材をコーティングすることを含む方法が提供される。
第四態様に従って、第一態様のクリアコーティング組成物でコーティングされた物品又は基材が提供される。
【0005】
本発明の特定態様は、下記利点の1つ以上を提供することができる:
・所望の硬度;
・所望の耐摩耗性;
・所望の耐ブロッキング性;
・所望の透明度;
・所望の光沢レベル;
・所望の耐汚染性;
・所望のバインダー使用量。
【0006】
本発明の上記態様のいずれか特定の1つ以上に関連して提供される詳細、実施例及び優先度は、本発明の全ての態様に等しく当てはまる。本明細書に記載の実施形態、実施例及び優先度の全ての可能な変形のいずれの組み合わせも、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈と明白に矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本発明のクリアコーティング組成物は、ラッカー、ワニス、塗料及び他の製品を含んでよく、典型的に、噴霧及び/又はブラッシングによる塗布に適するであろう。コーティング中及び/又はコーティング後、組成物は、溶媒の蒸発によって硬化されるか又はUV硬化され得る。湿気と接触するようになる組成物によって硬化が果たされることもある。組成物は、いわゆる単成分系又はいわゆる二成分系(2K系と呼ばれることもある)の部分を含み得る。いわゆる2K系の適切な例は、典型的にポリオール樹脂及びイソシアネート架橋剤を含む2Kポリウレタン系である。ポリオールは、典型的に比較的低分子量のポリマーであり、多くのOH基を含有する。イソシアネートは、ポリオールのOH基と反応してウレタン結合を作り出す2つ以上のNCO基を含有する分子である。単成分系、例えば1Kポリウレタン系は、NCO基が、ポリオールとの反応を妨げるブロック剤と反応しているブロックト(blocked)イソシアネートを含む。熱を加えるとブロック剤が分解してフリーのNCOを遊離させ、それが自由に反応する。
クリアコーティング組成物は、水性又は非水性であってよい。例えば、クリアコーティング組成物は、適切な非水性溶媒又は反応性希釈剤を含んでよい。反応性希釈剤は硬化プロセスに関与し、結果として生じるコーティングの一部を形成する。
【0008】
クリアコーティング組成物は、パーライトに加えて、樹脂、例えばポリマー樹脂又はオリゴマー樹脂などのポリマー前駆物質を含み得る。ポリマー前駆物質は、自己架橋多相アクリル分散系、例えばAlberdingk(登録商標)ACレンジ、例えばAlberdingk(登録商標)AC 25381;微細分散ポリマー分散系;ポリエステル、ポリウレタン及びポリアクリレートをベースとする自己架橋脂肪族コポリマー分散系;又はウレタンアクリレート、例えば脂肪族ウレタンアクリレートのDesmolux(登録商標)レンジ、例えば不飽和脂肪族ウレタンアクリレートであるDesmolux(登録商標)U100又はDesmolux(登録商標)U680Hであり得る。典型的に、ポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーを形成できるであろうが、不乾性のアルキドポリマーのような、熱硬化性ポリマー以外のポリマーが適切なこともある。ポリマー前駆物質は反応性希釈剤又はモノマーであってよい。
【0009】
少なくとも1種のポリマー前駆物質又はポリマー樹脂に加えて、クリアコーティング組成物は、下記の1種以上を含んでよい:消泡剤(泡立ち防止剤としても知られる)、架橋剤、分散剤、コアレッセント(coalescent)剤及び光開始剤。適切なさらなる成分には、コーティングの表面張力及び接着に影響するスリップ又はレベリング剤、接着促進剤、湿潤剤、レオロジー剤、コーティングの寿命の後期にUV損傷に対する保護を助ける光安定剤及びUV吸収剤が含まれる。組成物は、粒状パーライトを分散させるため及びポリマー前駆物質、例えばポリマー樹脂を分散させるために異なる分散剤を含んでもよい。分散剤は、パーライトの乾燥質量に基づいて約0.1wt%~約10wt%、例えば約1wt%~約7.5wt%の量で存在してよい。
【0010】
クリアコーティング組成物の製造方法は、当業者には明白であろう。例えば、分散剤と反応性希釈剤(又はモノマー)を合わせた後に乾燥粉砕パーライトと混合して高固体分散系を作り出すことができる。この分散系を次に適切な樹脂及び光開始剤と合わせて混合してよい。代替実施形態では、パーライトを分散剤でプレコーティングしてよい。好ましくは、分散剤がパーライトを表面コーティングし、その結果、コーティング組成物は未だに液体形態でありながら有効な分散系が達成される。分散剤は、架橋反応に関与して、鉱物がコーティングに結合するのを助けることができる。
ポリマー樹脂は、ホモポリマー又はコポリマーの形成に適切であり得る。適切な例は、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリシリコーン、脂肪酸エステル、並びにこれらのポリマー樹脂のアミン、アルコール、酸、ケトン、エステル、フッ化、及び芳香族官能化バージョン並びにそれらの物理的ブレンド及びコポリマーを含み得る。ポリマー樹脂は、コーティング組成物の総質量に対して約10wt%~約95wt%、又は約20wt%~約85wt%、又は約30wt%~約75wt%、又は約40wt%~約65wt%、又は約50wt%~約80wt%の量で存在し得る。
【0011】
適切な消泡剤としては、例えば、界面活性剤のブレンド、リン酸トリブチル、脂肪ポリオキシンエチレンエステルに加えて脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、シリコーンエマルション及び他のシリコーン含有組成物、ワックス及び鉱物油中の無機微粒子、消泡剤として市販されている乳化炭化水素その他の化合物のブレンドが挙げられる。適切なコアレッセント剤としては、例えば、親水性グリコールエーテル、例えばDowanol(登録商標)レンジ、例えばDowanol(登録商標)DPM及びDowanol(登録商標)DPnB、疎水性グリコールエーテル及びブロックコポリマーが挙げられる。適切な分散剤としては、ポリアクリレート、例えばDispex(登録商標)レンジ、親水性ブロックコポリマー、アクリル系ブロックコポリマー及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0012】
本発明のパーライトは、パーライト粒子を含む。パーライトは、膨張パーライト、例えば膨張粉砕パーライト、粉砕パーライト又はその混合物であってよい。
パーライトは、火山ガラスとしても知られる天然ガラスであり、ケイ質マグマ又は溶岩の急速冷却によって形成される。ほとんどの天然ガラスは流紋岩と化学的に等価である。粗面岩、石英安山岩、安山岩、ラタイト及び玄武岩と化学的等価な天然ガラスも知られているが、あまり一般的でない。用語「黒曜石」は一般的に濃色、ほとんどの場合黒色の塊状天然ガラスであり、シリカ(すなわち、SiO2)に富む。黒曜石ガラスは、そのシリカ含量に応じてサブカテゴリーに分類可能であり、最も一般的には流紋岩質の黒曜石(典型的に質量で約73%のSiO2含有)である(Berry et al., 1983)。
パーライト鉱石は、典型的に約72~75%のSiO2、12~14%のAl2O3、0.5~2%のFe2O3、3~5%のNa2O、4~5%のK2O、0.4~1.5%のCaO(質量で)、及び低濃度の他の金属元素を含有する水和天然ガラスである。パーライト鉱物は、高含有量(2~10質量%)の化学結合した水、ガラス質の真珠のような光沢、及び特徴的な同心円状又は弓状のタマネギの皮様(すなわち、パーライト状)割れ目の存在によって他の天然ガラスと区別される。
パーライト製品は、粉砕、ふるい分け、及び熱膨張を含み得る本明細書に開示の方法によって調製可能である。パーライト製品は、高空隙率、低いかさ密度、及び化学的不活性などの商業的に有益な物理的性質を有し得る。パーライト鉱石の品質及び加工方法に応じて、膨張パーライト製品を濾過助剤、軽量絶縁材料、フィラー材料、園芸用及び水耕用媒体、並びにケミカルキャリアとして使用することができる。
【0013】
パーライトの加工は、鉱石の粉砕(破砕及び研磨)、ふるい分け、熱膨張、粉砕、及び完成品の仕様を満たすための膨張材料のエアサイズ分離並びに技術上周知の他の方法を含み得る。例えば、パーライト鉱石を破砕し、研磨し、所定粒径範囲に分類してから(例えば、30メッシュを通して)、分類された材料を空気中膨張炉(Neuschotz, 1947; Zoradi, 1952参照)内、870~1100℃の温度で空中加熱すると、同時のガラスの軟化と含有水の蒸発がガラス粒子の急速膨張をもたらして、未膨張鉱石の20倍までのかさ容積を有する泡状ガラス材料を形成する。膨張パーライトを次に最終製品のサイズ仕様を満たすように分類する。
膨張パーライトは、1つ以上のセル、又はセルの一部を含み、セルは、本質的にガラス壁によって部分的又は全体的に囲まれた空隙であり、通常はガラスが軟化状態のときにガスの膨張から形成される。所与の容積のガラス中のガス入り又は空のセルの存在は、同容積の固体ガラスに比べて低い遠心湿潤密度をもたらす。セルが閉じて空気が閉じ込められている場合、パーライトの粒子は液体上に浮くことができる。例えば、粉砕によるパーライトの破砕は、低湿潤密度という特性を保持し、濾過及び機能的フィラー用途に有用な特徴をも与える入り組んだセル構造を作り出すことができる。
【0014】
粉砕、例えば研磨後、パーライトは、Sedigraph法に従って測定するか又はレーザー回折により測定して約0.5μm~約25μmの範囲のd50を有し得る。特定実施形態では、パーライトは、約0.6μm~約23μmの範囲、又は約0.8μm~約20μmの範囲、又は4約1.0μm~約17μmの範囲、又は約1.2μm~約15μmの範囲、又は約1.4μm~約12μmの範囲、又は約1.4μm~約10μmの範囲、又は約1.6μm~約8μmの範囲、又は約1.8μm~約6μmの範囲、又は約2μm~約4μmの範囲のd50(Sedigraph)を有し得る。
特定実施形態では、パーライトの形態をアスペクト比によって特徴づけ得る。微粒子のアスペクト比は、一般的に微粒子の縦横比を指す。所与の微粒子サンプルについて、アスペクト比を平均として決定することができる。例えば、いくつかの実施形態のパーライトのアスペクト比は、パーライトのサンプルを含むスラリーをまず標準的SEMステージ上に沈着させ、このスラリーを白金でコーティングすることによって決定可能である。その後、スラリーの画像を得ることができ、例えば、コンピューターによる解析を用いて、粒子の厚さと幅が等しいと仮定して粒子の寸法を決定することができる。次に個々の粒子の縦横アスペクト比のいくつかの計算値(例えば、50個の計算値)を平均することによってアスペクト比を決定することができる。アスペクト比の他の決定方法が考えられる。
【0015】
特定実施形態では、パーライトは、少なくとも2:1のアスペクト比を有し得る。例えば、パーライトは、少なくとも5:1のアスペクト比、少なくとも7:1のアスペクト比、少なくとも9:1のアスペクト比、少なくとも11:1のアスペクト比、少なくとも13:1のアスペクト比、又は少なくとも15:1のアスペクト比、少なくとも17:1のアスペクト比、少なくとも20:1のアスペクト比、少なくとも23:1のアスペクト比、少なくとも26:1のアスペクト比、少なくとも28:1のアスペクト比、少なくとも30:1のアスペクト比、又は少なくとも33:1のアスペクト比を有し得る。
特定実施形態では、パーライトは、少なくとも35:1までのアスペクト比を有し得る。例えば、パーライトは、少なくとも32:1までのアスペクト比、少なくとも29:1までのアスペクト比、少なくとも27:1までのアスペクト比、又は少なくとも22:1までのアスペクト比を有し得る。
例えば、約6μm以下のd50を有するパーライトは、約7:1~約35:1のアスペクト比を有し得る。例えば、約5.5μm以下のd50を有するパーライトは、約10:1~約20:1のアスペクト比を有し得る。
【0016】
本方法のいくつかの実施形態によれば、パーライト粒子は、約2μm以下、例えば、約1μm以下の中位板厚を有し得る。いくつかの実施形態によれば、パーライトは、約0.05μm~約2μmの範囲の中位板厚を有し得る。
微粒子パーライトについて本明細書で言及される中位等価粒径(d50値)及び他の粒子サイズの特性は、下記2つの方法の1つによって周知の様式で測定されるものである。1つの方法は、Micromeritics Instruments Corporation, Norcross, Georgia, USA(電話:+1 770 662 3620;ウェブサイト:www.micromeritics.com)により供給され、本明細書では「Micromeritics Sedigraph 5100ユニット」と呼ばれるSedigraph 5100機械を用いて、水性媒体に完全に分散した状態の微粒子材料の沈降によって周知様式で測定することを含む。該機械は、当技術分野では「等価球径(equivalent spherical diameter)」(esd)と呼ばれるサイズが所与のesd値未満である粒子の累積質量百分率の測定値及びプロットを提供する。中位粒径d50は、当該d50値未満の等価球径を有する粒子が50質量%存在するときにこのようにして決定される粒子のesd値である。もう1つの方法は、レーザー回折による測定を含む。あるレーザー回折法は、Quantachromeにより供給されたCilas 1064機械を用いて、水性媒体に完全に分散したサンプルを測定する。レーザー回折法でCilas 1190LDを使用してもよい。
【0017】
特定実施形態では、パーライトは、約1m2g-1~約15m2g-1、約2m2g-1~約13m2g-1、約3m2g-1~約10m2g-1、約4m2g-1~約8m2g-1、又は約5m2g-1~約6m2g-1の範囲の比表面積(BET液体窒素吸収法ISO 9277により測定して)を有し得る。
特定実施形態では、パーライトは、ISO 787-5に準拠して測定して、約30ml/100g~約250ml/100gの範囲、約40ml/100g~約230ml/100gの範囲、約50ml/100g~約200ml/100gの範囲、約60ml/100g~約180ml/100gの範囲、約70ml/100g~約160ml/100gの範囲、約80ml/100g~約140ml/100gの範囲、約60ml/100g~約120ml/100gの範囲、約70ml/100g~約100ml/100gの範囲、又は約80ml/100g~約90ml/100gの範囲の吸油量を有し得る。
【0018】
本発明で用いるクリアコーティング組成物は、艶消し組成物及び光沢組成物に適している。
特定実施形態では、艶消し組成物は、ISO 2813に準拠して測定して<90の光沢(60°)を有し得る。例えば、艶消し又は半光沢組成物は、全てISO 2813に準拠して測定して、<80、例えば<70、例えば<60、例えば<50、例えば<40、例えば<30、例えば<20、例えば<10、例えば<5の光沢(60°)を有し得る。特定実施形態では、艶消し組成物は、ISO 2813に準拠して測定して、>5、例えば>10の光沢(60°)を有し得る。
特定実施形態では、光沢組成物は、ISO 2813に準拠して測定して、>5、例えば>10、例えば>20、例えば>30、例えば>40、例えば>50、例えば>60、例えば>70、例えば>80の光沢(20°)を有し得る。
透明度レベルΔE*
tは、CIE(L*a*b*)系を用いて表されるΔE*に従って計算される。
【0019】
【0020】
これは、フィラーのないクリアコートとフィラーを有するクリアコートとの間の色差に基づき、L*
1、a*
1及びb*
1は、フィラーのないクリアコートを指し、L*
2、a*
2及びb*
2は、フィラーを有するクリアコートを指す。
特定実施形態では、ΔE*
tは、15未満、又は14未満、又は13未満、又は10未満である。
特定実施形態では、ISO 2813に準拠して測定して、例えば、<90の光沢(60°)を有する艶消し組成物は、15未満の透明度レベルΔE*
tを示す。
耐汚染性ΔE*
srは、CIE(L*a*b*)系を用いて表されるΔE*に従って計算される。
【0021】
【0022】
これは、汚染部分と非汚染部分との間の色差に基づき、L*
1、a*
1及びb*
1は非汚染部分を指し、L*
2、a*
2及びb*
2は汚染部分を指す。
特定実施形態では、ΔE*
srは、4未満、又は3.8未満、又は3.6未満、又は3.4未満、又は3.2未満、又は3未満、又は2.8未満、又は2.6未満、又は2.4未満、又は2.2未満、又は2.0未満、又は1.8未満、又は1.5未満、又は1未満である。
特定実施形態では、ISO 2813に準拠して測定して>20の光沢(20°)を有する光沢組成物は、3未満の耐汚染性ΔE*
srを示す。
【0023】
特定実施形態では、コーティング組成物は、全てクリア組成物の総質量に基づいて典型的に約30wt%まで、約28wt%まで、約26wt%まで、約24wt%まで、約22wt%まで、約20wt%まで、約18wt%まで、約16wt%まで、約14wt%まで、約12wt%まで、約10wt%まで、又は約8wt%までのパーライトを含む。コーティング組成物は、クリア組成物の総質量に基づいて少なくとも約0.5wt%、少なくとも約1wt%、少なくとも約1.5wt%、少なくとも約2wt%、少なくとも約3wt%、少なくとも約4wt%、少なくとも約5wt%、少なくとも約6wt%、又は少なくとも約7wt% のパーライトを含むことがある。
特定実施形態では、ポリマー樹脂は、クリアコーティング組成物の総質量に基づいて約50wt%~約97wt%、又は約55wt%~約95wt%、又は約60wt%~約92wt%、又は約65wt%~約90wt%、又は約70wt%~約85wt%、又は約75wt%~約80wt%の量で存在する。
【0024】
有利には、コーティング組成物に用いるパーライトは、高屈折率汚れがないか又は本質的にない。該汚れの例としては、TiO2及びFe2O3が挙げられる。チタンの量(TiO2のwt%として表される)は0.1未満であり得る。鉄の量(Fe2O3のwt%として表される)は1未満であり得る。パーライトの屈折率は、クリアコーティング組成物の残余の屈折率と適合するか又は厳密に適合するのが有利である。
クリアコーティング組成物は、様々な物品又は基材への塗布に適している。適切な基材としては、木材、プラスチック、金属が挙げられる。基材は、金属及び/又はプラスチックを含んでよい。特定実施形態では、基材は木材を含まない。物品のコーティング方法は当業者に周知であり、ブラッシング及び噴霧が挙げられる。
【0025】
特定実施形態では、クリアコーティング組成物は、下記効果の1つ以上を有し得る:
-下記特性の1つ以上などの機械的特性の上昇又は維持:硬度(例えばASTM D3363又はASTM D4366)、耐摩耗性(例えばASTM D4060)、接着力(例えばISO 2409)、耐候性能(QUV)(ASTM D7787)及び耐ブロッキング性(例えばASTM D4946);
-良好な透明性;
-良好な耐汚染性;
-良好な艶消し特性;
-良好な美的特性、例えば光沢レベル(レベル)を調整することによる
-透明性を減じることのないパーライトの高負荷;
-高い耐汚染性、特に光沢クリアコーティング組成物で;
-より対費用効果の高いクリアコーティング組成物をもたらすのに必要とされるポリマー樹脂量の低減;
-フィルムコーティングの良好な平滑態様。
【0026】
誤解を避けるために、本出願は、下記番号付きパラグラフで述べる主題を対象とする。
1. パーライトを含むクリアコーティング組成物であって、パーライトの中位粒径d50が、Sedigraphを用いて沈降法により測定するか又はレーザー回折により測定して0.5μm~25μmの範囲内である、クリアコーティング組成物。
2. パーライトのBET表面積が、1m2/g~15m2/gの範囲内である、番号付きパラグラフ1に記載のクリアコーティング組成物。
3. パーライトの吸油量が、NF EN ISO 787-5に準拠して測定して30ml/100g~250ml/100gの範囲内である、番号付きパラグラフ1又は番号付きパラグラフ2に記載のクリアコーティング組成物。
4. パーライトが、膨張パーライト、膨張粉砕パーライト、粉砕パーライト又はその混合物である、先行する番号付きパラグラフのいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物。
5. パーライトのアスペクト比が、約2:1~約35:1、好ましくは約10:1~約20:1である、先行する番号付きパラグラフのいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物。
6. コーティング組成物が艶消し又は半光沢組成物である、先行する番号付きパラグラフのいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物。
7. 艶消し又は半光沢組成物が、ISO 2813に従って<70の光沢(60°)を有する、番号付きパラグラフ6に記載のクリアコーティング組成物。
【0027】
8. コーティング組成物が光沢組成物である、番号付きパラグラフ1~5に記載のクリアコーティング組成物。
9. 光沢組成物が、ISO 2813に従って>80の光沢(60°)を有する、番号付きパラグラフ8に記載のクリアコーティング組成物。
10. 組成物が15未満の透明度レベルΔE*
tを有し、ここで、ΔE*
tは、フィラーのないコーティングとフィラーを有するコーティングとの間のΔE*である、先行する番号付きパラグラフのいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物。
11. 組成物が、4未満の耐汚染性ΔE*
srを有し、ここで、ΔE*
srは、非汚染部分と汚染部分との間のΔE*である、先行する番号付きパラグラフのいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物。
12. パーライトが、クリアコーティング組成物の総質量に基づいて0.5~30質量%の量で存在する、先行する番号付きパラグラフのいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物。
13. ポリマー樹脂、消泡剤、架橋剤、分散剤、コアレッセント剤、接着促進剤、湿潤剤、レオロジー剤、光安定剤及び/又はUV吸収剤の1種以上をさらに含む、先行する番号付きパラグラフのいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物。
14. ポリマー樹脂が、クリアコーティング組成物の総質量に基づいて質量で約50wt%~約97wt%の量で存在する、番号付きパラグラフ13に記載のクリアコーティング組成物。
【0028】
15. 先行する番号付きパラグラフのいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物の製造方法であって、パーライトと、クリアコーティング組成物の他の成分とをブレンドすることを含む、方法。
16. 他の成分が、ポリマー樹脂、消泡剤、架橋剤、分散剤、コアレッセント剤、接着促進剤、湿潤剤、レオロジー剤、光安定剤及び/又はUV吸収剤の1種以上を含む、番号付きパラグラフ15に記載のクリアコーティング組成物の製造方法。
17. 物品又は基材をコーティングするための、番号付きパラグラフ1~14のいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物の使用。
18. 基材が、木材、プラスチック、金属及びその組み合わせから選択される、番号付きパラグラフ17に記載の使用。
19. 基材が、プラスチック、金属及びその組み合わせから選択される、番号付きパラグラフ17又は番号付きパラグラフ18に記載の使用。
【0029】
20. 物品又は基材のコーティング方法であって、番号付きパラグラフ1~14のいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物で前記物品又は基材をコーティングすることを含む、方法。
21. コーティングが、物品又は基材のコーティング後に硬化される、番号付きパラグラフ20に記載の方法。
22. 基材が、木材、プラスチック、金属及びその組み合わせから選択される、番号付きパラグラフ20又は番号付きパラグラフ21に記載の方法。
23. 基材が、プラスチック、金属及びその組み合わせから選択される、番号付きパラグラフ20~22に記載の方法。
24. 番号付きパラグラフ1~14のいずれか1つに記載のクリアコーティング組成物でコーティングされた物品又は基材。
【実施例】
【0030】
実施例1:光沢クリアコーティング組成物
表1に示す鉱物を用いていくつかの光沢クリアコーティング組成物を処方した。例C及びDは、本発明の膨張粉砕パーライトに相当し、例A及びBは、霞石閃長岩、すなわちシリカを含まないナトリウム-カリウムアルミナシリケートに相当する。表1の鉱物を表2に示す製剤に使用した。
【0031】
表1:無機粒状鉱物
1レーザー回折により測定して。
【0032】
【0033】
ポリマー樹脂及び消泡剤(0.4%)を3分間1800tr/分で撹拌することによって表2に従って製剤を調製した。次にフィラーを添加し、20分間2100tr/分で撹拌した。フィラーを分散させたらすぐに残りの消泡剤(0.2%)を添加した後に1800tr/分で3分撹拌した。次に混合物に湿潤剤、水、レオロジー剤及び最後にプレミックス(すなわち2種のコアレッセント剤と水を1:1の比でハンドブレンドした混合物)を添加し、10分間1000tr/分で撹拌した。結果として生じた製剤を次に脱気してクリアコートを形成した。
【0034】
次にサンプル2、3、5及び7の耐汚染性を以下のように試験した。
耐汚染性:
耐汚染性は、ASTM D1308に従って判定される。アンシールドプレーンホワイトチャートにおいて、100μmの湿潤厚さでクリアコート組成物を塗布した。クリアコートを24時間乾燥させた後、0.5mlの汚染質を表面に塗布した。使用する汚染質は、エタノール、水、コーヒー及びワインであり、同チャートの異なる部分で試験する。チャートの一部は、非汚染のままにする。次にサンプルの上面に時計皿を24時間置いた後、乾燥汚れを柔らかいタオルで表面から除去した。
耐汚染性ΔE*
srは、ワニスを塗った表面をきれいにした後に評価したΔE*から計算される。ΔE*は、CIE(L*a*b*)系を用いて表される。
【0035】
【0036】
これは、汚染部分と非汚染部分との間の色差に基づき、L*
1、a*
1及びb*
1は非汚染部分を指し、L*
2、a*
2及びb*
2は汚染部分を指す。全ての汚れの平均値ΔE*をスペクトロ-ガイド、BYK Gardner分光比色計で測定する。ΔE*
srを表3に示す。
【0037】
表3:耐汚染性
1最良の性能を示す製剤番号7の組成物と比べて
【0038】
表3から分かるように、発明例(すなわち製剤番号5及び7)に関するΔE*
srは、比較例(すなわち製剤番号2及び3)よりずっと低い。これは、ΔE*
srの絶対値のみならず、最良の性能を示す製剤番号7の組成物と比べたΔE*
srの%差によっても実証される。
従って本発明のパーライトクリアコーティング組成物は、既知の霞石閃長岩ベースクリアコーティング組成物より耐汚染性が高い。
本発明の製剤番号5及び7は、透明性の点で、比較例、すなわち製剤番号2及び3と同様の光学特性を有することも分かった。これは、いくつかの鉱物負荷、例えば、1%及び3%、並びに一連の湿潤膜厚、例えば60μm、120μm及び400μmで観察された。
【0039】
実施例2:艶消し又は半光沢クリアコーティング組成物
艶消し又は半光沢クリアコーティング組成物の製剤に用いる鉱物は、表4から見つけることができる。例C、D及びEは、本発明の膨張粉砕パーライトに相当し、例F及びGは合成シリカに相当する。表4の鉱物を表5に示す製剤に使用した。
【0040】
表4:無機粒状鉱物
1レーザー回折により測定して。
【0041】
表5:クリアコーティング組成物の艶消し又は半光沢製剤
【0042】
表2の製剤のために用いた同手順に従って表5の製剤を調製した。
透明度
表5の製剤は、ISO 2813に従って光沢(60°)=30を達成するために必要とされる量であることが分かった各種量の鉱物を有する。
シールドブラックチャートに、表5のクリアコーティング組成物をクリアコート湿潤厚さ120μmで塗布し、24時間乾燥させた。次に分光光度計(Konica Minolta 3700 d、光源D65/10°)でSCE(Specular Component Excluded)モードを用いて反射によりCIE(L*a*b*)系に従って色を測定した。
次に表5の組成物についてのΔE*をフィラーのない比較組成物(処方13)のΔE*と比較してΔE*
tを与えた。ΔE*は、フィラーのないクリアコートとフィラーを有するクリアコートとの間の色差に基づいており、CIE(L*a*b*)系を用いて表される。
【0043】
【0044】
式中、L*
1、a*
1及びb*
1は、フィラーのないクリアコートを指し、L*
2、a*
2及びb*
2は、フィラーを有するクリアコートを指す。
【0045】
表6:透明度
1最良性能を示す製剤番号12の組成物と比べて
【0046】
透明度は、曇りのある様相を制限することによってコーティングがどの程度クリアであるかを意味する。透明度法は、膜/対象からの測定距離に依存しない。
製剤番号10~12に従う本発明の組成物は、製剤番号8及び9に従う比較組成物より良好な透明度を有することが分かった。
60μm及び400μmの湿潤膜厚で同様透明度の結果が得られた。光沢(60°)=47を有するクリアコーティング組成物は、透明度試験で良い成績を挙げることも分かった。
【0047】
クリアコーティング組成物に必要なポリマー樹脂の量
表2の製剤の調製方法を利用して下記製剤を調製した。表7の両製剤は光沢(60°)=30を有する。
【0048】
【0049】
両製剤に同質量百分率のポリマー樹脂を使用した。しかしながら、同光沢レベルを得るために、本発明の製剤(処方15)には、比較製剤(処方14)より多くのフィラーが必要とされる。これは、発明例の処方15については、必要とされる樹脂が比較例の処方14より少ないことを意味する。すなわち、それぞれ70.2g及び74.5gである。本発明の製剤のポリマー樹脂量の低減は、より対費用効果の高いクリアコーティング組成物をもたらす。
【0050】
実施例3:市販の光沢ポリウレタンクリアコート
光沢ポリウレタンクリアコートに添加するときに鉱物をも評価した。表8中の例Hの組成物は、本発明の膨張粉砕パーライトに相当する。
【0051】
表8:無機粒状鉱物
1レーザー回折により測定して。
【0052】
ポリウレタン樹脂系、Minwax(登録商標)水性油変性ポリウレタンを有する商業的に入手したクリアコートを用いて本発明の例H及び例8の合成シリカを処方した。表9に従って製剤を調製した。
【0053】
【0054】
市販のクリアコート溶液にフィラーを添加し、1000rpmで10分間撹拌することによって製剤を調製した。結果として生じた溶液を次に脱気して、分析用のクリアコートを形成した。
【0055】
透明度&光沢
製剤番号16の製剤はフィラー及び高光沢を持たない。表5の残りの製剤は、各種量の鉱物を有し、いずれの場合もISO 2813に従って光沢(60°)=30を達成するのに必要とされる量であることが分かった。
実施例2に記載される手順後に、ΔE*で表されるサンプルの透明度を測定し、フィラーを含有しない参照サンプルとしての製剤16と比較した。ISO 2813に準拠して光沢(20°)を測定した。結果を表10に示す。
【0056】
【0057】
製剤17及び18は、ΔE*により評価して、互いに同様の透明度を有することが分かった。両製剤17及び18は、フィラーを含有しない製剤16の参照サンプルよりずっと高いフィラーレベルを有する。製剤17のフィラーの量は製剤18より高く、それぞれ6質量%及び1質量%である。
光沢(20°)=88.2という高光沢を示す製剤16に比べて、製剤17及び18は両方とも、24時間乾燥させたシールドホワイトチャートを覆う30μmの乾燥膜厚で光沢(20°)=7を有することが分かった。これは、フィラーの添加がポリウレタンクリアコートの光沢(20°)を減じることを示している。光沢(60°)=50を有するクリアコーティング組成物は、これらの試験でも良い成績を挙げることが分かった。
結果は、フィラーのずっと高負荷レベルを用いたときでさえ、本発明に従う製剤17の場合のように、良好な透明度が達成されることを示している。これは、得られる性能を維持しながら、より対費用効果の高い製剤をもたらす。