(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】タイヤ用ケーブル
(51)【国際特許分類】
D07B 1/06 20060101AFI20230531BHJP
B60C 9/00 20060101ALI20230531BHJP
B60C 9/20 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
D07B1/06 A
B60C9/00 M
B60C9/20 E
(21)【出願番号】P 2020524409
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2017056758
(87)【国際公開番号】W WO2019086929
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ライエック ファニー
(72)【発明者】
【氏名】ピノー レミ
(72)【発明者】
【氏名】シャサーニュ マリー
(72)【発明者】
【氏名】ブシェ ローラン
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0267025(US,A1)
【文献】特表2006-502316(JP,A)
【文献】特開昭62-282087(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00811786(EP,A1)
【文献】特開平04-232035(JP,A)
【文献】特表2015-520810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00-19/12
D07B1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルであって、
5mmから7mmの範囲のケーブルピッチで一緒に撚り合わされた複数のストランドを含み、
各ストランドは、2.9mm≦SP≦5.9mmの範囲のストランドピッチSPで一緒に撚り合わされた複数のフィラメントを含み、各ストランドの前記複数のフィラメントは、
中心フィラメント直径を有する1つの中心フィラメントと、
前記中心フィラメントの周りに巻き付けられた複数の外側フィラメントと、を含み、各外側フィラメントは外側フィラメント直径を有し、前記中心フィラメント直径は各外側フィラメントの前記外側フィラメント直径よりも大きく、隣接する外側フィラメントは、前記ケーブルの長さに沿って互いに接触し、
前記ケーブルピッチCPの前記ストランドピッチSPに対するピッチ比は1.2≦ピッチ比≦1.7の範囲であ
り、
前記ケーブルは、2.1パーセントから3パーセントの構造的伸びを有する、ケーブル。
【請求項2】
前記ケーブルはケーブル長さを有し、各ストランドの前記複数のフィラメントは、
中心フィラメントと、
前記中心フィラメントの周りに巻き付けられた複数の外側フィラメントと、を含み、隣接する外側フィラメントは、前記ケーブルの長さに沿って互いに接触している、請求項
1に記載のケーブル。
【請求項3】
各ストランドの前記複数のフィラメントは、
中心フィラメント直径を有する1つの中心フィラメントと、
前記中心フィラメントの周りに巻き付けられた6つの外側フィラメントと、を含み、各外側フィラメントは外側フィラメント直径を有し、前記中心フィラメント直径は前記外側フィラメント直径よりも大きい、請求項
1に記載のケーブル。
【請求項4】
前記中心フィラメントは、0.194mmから0.206mmの範囲の中心フィラメント直径を有する、請求項
3に記載のケーブル。
【請求項5】
前記6つの外側フィラメントはそれぞれ、0.170mmから0.185mmの範囲の直径を有する、請求項
4に記載のケーブル。
【請求項6】
前記複数のストランドは、3つのストランドを含む、請求項1から
5のいずれかに記載のケーブル。
【請求項7】
前記ケーブルの全径は1.4mm以下である、請求項1から
6のいずれかに記載のケーブル。
【請求項8】
前記ケーブルの全径は1.29mmである、請求項1から
7のいずれかに記載のケーブル。
【請求項9】
前記フィラメントはスチールを含む、請求項1から
8のいずれかに記載のケーブル。
【請求項10】
前記ケーブルピッチCPは、5.5mm≦CP≦6.1mmの範囲である、請求項1から
9のいずれかに記載のケーブル。
【請求項11】
前記ストランドピッチSPは、3.4mm≦SP≦4.0mmの範囲である、請求項1から
10のいずれかに記載のケーブル。
【請求項12】
前記ケーブルピッチの前記ストランドピッチに対するピッチ比は、1.5≦ピッチ比≦1.6の範囲である、請求項1から
11のいずれかに記載のケーブル。
【請求項13】
前記ケーブルは、2.6パーセントの構造的伸びを有する、請求項1から
12のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項14】
タイヤであって、
対向するビード部と、
前記対向するビード部の間及び前記タイヤのクラウン部を通って延在するカーカスと、
前記タイヤの赤道面から角度θを形成するケーブルを含むベルトと、を備え、ここで、θは0から10度の範囲であり、前記ケーブルは、
5mmから7mmの範囲のケーブルピッチで一緒に撚り合わされた複数のストランドを含み、
各ストランドは、2.9mmから5.9mmの範囲のストランドピッチで一緒に撚り合わされた複数のフィラメントを含み、
ここで、前記ケーブルピッチの前記ストランドピッチに対するピッチ比は、1.2から1.7の範囲であ
り、
前記ケーブルは、2.1パーセントから3パーセントの構造的伸びを有する、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、概して、空気入りタイヤを含むタイヤに使用できるケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤには通常、使用のための強度と保護を提供するケーブルを含むことができるさまざまなベルトが組み込まれている。そのようなベルトは、クラウン部に配置することができ、さまざまな幅及び構造を有することができる。1つ又は複数のゴム材料がこのベルトの一部を形成することがあり、ケーブル間の小さな隙間を取り囲み、貫通することさえある。
【0003】
製造過程において、さまざまな構成要素(ベルトを含む)を所定の位置に組み立てることにより、未硬化、即ち「生」タイヤが作成される。次に、未硬化のタイヤを金型に入れ、相当量の熱と圧力にさらす。これにより、例えば、ゴム材料が硬化し、トレッドパターンなどの特徴部がタイヤに形成される。ブラダー等の装置を膨張させて、未硬化のタイヤを金型に押し付けることができる。
【0004】
この成形プロセス中に、ベルトとともに、タイヤのさまざまな構成要素が伸張又は移動し、もしくはその両方が行われてもよい。より具体的には、タイヤが金型に押し付けられると、例えばタイヤのクラウン部の構成要素が互いに対して動く場合がある。金型内でのプレス中のそのような構成部品の伸張等の移動は、これらの構成部品を金型及び互いに対して適切に位置決めするために必要となり得る。逆に、クラウン部のこれらの構成要素にある程度の剛性がない場合、特にクラウン部のベルト間で、成形中に過度の移動が発生する可能性がある。ゴム材料の硬化により、これらの構成要素の相対的な位置が固定されるため、金型から硬化したタイヤを取り外しても、このような不適切な配置は改善されない可能性がある。結果として得られるタイヤの性能は、悪影響を受ける可能性がある。
【0005】
さらに、空気入りタイヤの膨張は、典型的には、例えば空気等の気体がホイール上に取り付けられたタイヤの空洞に圧力下で提供されるときに、タイヤの形状を変化させる。ベルトに使用されている1つ又は複数のケーブルの剛性などの機械的特性により、タイヤの膨張時の形状が制御される場合がある。膨張したタイヤの形状も、タイヤの性能特性に影響を与える可能性がある。
【0006】
タイヤのベルトに使用され得るようなケーブルの剛性は、例えば、より大きな直径を有するケーブルを使用することによって強化することができる。しかしながら、直径を大きくすることにより、タイヤの重量を増加させる可能性があり、望ましくない。さらに、ケーブルが硬すぎると、前述のように、未硬化のタイヤが金型内の適切な位置に押し込まれるのを妨げることがある。
【0007】
文書WO2015/014639は、スチールコードにおけるゴム浸透を含む問題を特定し、3%を超える構造的伸びを有するスチールコードの必要性を示唆している。文書WO2015/014639は、8mmのケーブルピッチ及び1.8のピッチ比(本明細書の式1で定義される)を有するタイヤ用のケーブルを提案している。
【0008】
文書WO2012/017399は、タイヤの補強のためにより小さなフィラメントを使用すると、タイヤのストレス耐性を損なう可能性があると報告している。文献WO2012/017399は、6mmのケーブルピッチ及び2のピッチ比を有するタイヤ用ケーブルを提案している。
【0009】
したがって、上記及び他の問題の1つ又は複数に対処することができるケーブルの必要性がある。タイヤの重量の増加を必ずしも必要とせずに提供することができる、又は従来のケーブルよりも重量を減少させて提供することさえできるようなケーブルがあれば、特に有用であろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、空気入りタイヤを含むタイヤに使用できるケーブルを提供する。このケーブルは、タイヤに望ましい剛性と一定量の構造的伸びを提供できる形で構成されている。このケーブルは、例えば、従来のケーブル構造の直径を大きくすることによって生じ得るタイヤの総重量の増加を必ずしももたらさない形で提供することができる。本発明のさらなる目的及び利点は、以下の説明に一部記載されるか、又は説明から明らかになるか、又は本発明の実施を通じて学ぶことができる。
【0011】
例示的な一実施形態では、本発明は、例えばタイヤで使用することができるケーブルを提供する。このケーブルは、5mmから7mmの範囲のケーブルピッチで一緒に撚り合わされた複数のストランドを含む。各ストランドは、2.9mmから5.9mmの範囲のストランドピッチで一緒に撚り合わされた複数のフィラメントを含む。ケーブルピッチのストランドピッチに対するピッチ比は、1.2から1.7の範囲である。
【0012】
別の例示的な実施形態では、本発明は、対向するビード部と、対向するビード部の間でタイヤのクラウン部を通って延びるカーカスと、を備えるタイヤを提供する。このタイヤは、その赤道面から角度θを形成するケーブルを有するベルトを備え、ここで、θは、0から10度の範囲である。ケーブルは、5mmから7mmの範囲のケーブルピッチで一緒に撚り合わされた複数のストランドを含み、各ストランドは、2.9mmから5.9mmの範囲のストランドピッチで一緒に撚り合わされた複数のフィラメントを含む。ケーブルピッチのストランドピッチに対するピッチ比は、1.2から1.7の範囲である。
【0013】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の明細書本文及び添付の特許請求の範囲を参照することによって、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、本説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0014】
当業者を対象として、本発明の最良の形態を含む本発明の完全かつ実施可能な開示が本明細書において示され、その中で、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】各ストランドが概略的に描かれている本発明のケーブルの例示的な実施形態の斜視端面図を提供する。
【
図2】
図1の例示的なケーブルの概略的断面端面図である。
【
図3】
図1及び
図2の例示的なケーブルを製造する例示的な方法の概略図である。
【
図4】
図1及び
図2の例示的なケーブルを製造する例示的な方法の概略図である。
【
図5】例示的なケーブルのピッチの決定に関連する概略図である。
【
図6】本発明の例示的なケーブルの構造的伸びを決定するための例示的な方法を示すプロットである。
【
図7】本発明の例示的なタイヤの半分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を説明するために、これより本発明の実施形態を詳細に参照する。その1つ以上の例が図面により示されている。各例は本発明の説明として提供されるものであり、本発明を制限するものではない。実際、当業者には、本発明の範囲又は趣旨を逸脱することなく、様々な修正及び変形を本発明に加え得ることは明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として例示又は記載される特徴は、別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に属する修正及び変形を包含することが意図される。
【0017】
図1及び
図2は、本発明のケーブル100の例示的な実施形態に関する図である。ケーブル100(
図2では破線で概略的に表されている)は、複数のストランド102、104、及び106を含む。ストランド102、104、及び106(これも
図2では破線で概略的に表されている)は、互いに巻き付きながら一緒に撚り合わされてケーブル100を形成する。
図1及び
図2に示される例示的な実施形態において、ケーブル100は、3つのストランドを含む。本発明の他の実施形態では、得られるケーブルが本明細書でさらに説明する特定の要件を満たす場合、別の数のストランドを含んでもよい。
【0018】
例示的な一実施形態では、ケーブル100は、1.4mm以下の全径を有する。本明細書で使用される場合、ケーブル100の全径は、テストサンプルを輪郭プロジェクタに配置し、0.4キログラムの張力を加えることによって決定することができる。このテストサンプルの輪郭を、スクリーン上で10倍に拡大した。全径は、ケーブルに応じて規定された長さにわたる外層の輪郭の幅を測定することにより決定される。
【0019】
各ストランド102、104、又は106は、複数の外側フィラメント108及び中心フィラメント110を含む。より具体的には、図示された例示的な実施形態では、各ストランド102、104、及び106は、1つの中心フィラメント110の周りに巻き付けられた6つの外側フィラメント108を含む。本発明の他の実施形態では、得られるケーブルが本明細書でさらに説明する特定の要件を満たす場合、別の数のストランドを含んでもよい。
【0020】
本発明の1つの例示的な実施形態では、外側フィラメント108はそれぞれ、各ストランド102、104、及び106の長さに沿って隣接する外側フィラメントと接触している。例えば、
図2に示すように、外側フィラメント108a及び108bは、ストランド102の円周方向に沿って互いに隣接し、側部Hにおいて接触している。したがって、ケーブル100がタイヤに組み込まれたとき、タイヤを形成するために使用されるゴム材料は、フィラメント108間の小さな空間や隙間に入り込むことによりケーブル100内を満たすことがない。別の例示的な態様では、中心フィラメント110の直径は、外側フィラメント直径よりも大きく、これにより、タイヤ製造中のゴムのより良好な浸透を可能にすることができる。
【0021】
本発明の例示的な一実施形態では、中心フィラメント110は、0.170mmから0.206mm(0.170≦中心フィラメント直径≦0.206mm)の範囲の中心フィラメント直径を有する。本発明の別の例示的な実施形態では、中心フィラメント110は、0.194mmから0.206mm(0.194≦中心フィラメント直径≦0.206mm)の範囲の中心フィラメント直径を有する。さらに別の実施形態では、中心フィラメント110は、0.200mmの中心フィラメント直径を有する。
【0022】
本発明の1つの例示的な実施形態では、各外側フィラメント108は、0.170mmから0.185mm(0.170≦外側フィラメント直径≦0.185mm)の範囲の外側フィラメント直径を有する。さらに別の実施形態では、外側フィラメント108は、0.175mmの外側フィラメント直径を有する。
【0023】
図3及び
図4は、ケーブル100を製造するために使用され得る例示的なプロセスを概略的に示す。
図3に示されるように、フィラメント108の複数の供給108Sがプロセス112に提供される。フィラメント100の供給110Sは、プロセス112にも提供される。フィラメント108は、フィラメント110の周りに巻き付けられ、又は撚り合わされて、ストランド102、104、又は106を提供する。
図4において、供給102S、104S、及び106Sが、ストランド102、104、及び106をプロセス114に提供する。フィラメント102、104、及び106は、一緒に巻き付けられ、又は撚り合わされて、ケーブル100を提供する。本発明の1つの例示的な態様において、ケーブル100は、スチールフィラメントから構成されている。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ピッチ」は、ケーブル又はストランドが撚り合わされるか又は巻き付けられるときにそれぞれのケーブル又はストランドを完全に一巻きさせるために使用される、ケーブル又はストランドの長さLに沿った距離を指す。例えば、
図5に示されるように、ケーブル100は、ケーブル100の長さLに沿って撚り合わされた3つのストランド102、104、及び106から構成される。CPは、ケーブル100の「ケーブルピッチ」、即ち、ストランド102の完全な一巻きに使用される、長さLに沿った距離を示す。ケーブルピッチCPは、ストランド102、104、106のそれぞれが同じ値を提供することから、そのいずれかを使用して測定できる。
【0025】
同様に、ストランド102、104、106の内の1つのSP、即ち「ストランドピッチ」は、その外側フィラメント108の内の1つの完全な一巻きに使用される、それぞれのストランドの長さに沿った距離を指す。
【0026】
例示的な一態様では、ケーブル100は、5.0mmから7.0mmの範囲のケーブルピッチCPを有する。本明細書で使用される場合、「の範囲の」は、その範囲の端点及びその間の全ての値を含み、よって、例示的な一態様では、ケーブル100のケーブルピッチCPは5.0mm≦CP≦7.0mmとも表すことができる。別の言い方をすれば、例示的なケーブル100の場合、ストランドは一緒に撚り合わされるため、各ストランド102、104、又は106は、ケーブル100の長さに沿った完全な一巻きに5.0mm≦CP≦7.0mmの範囲の距離、即ちケーブルピッチCPを必要とする。さらに別の例示的な実施形態では、ケーブル100のケーブルピッチCPは、5.5mmから7.0mmの範囲である(5.5mm≦CP≦7.0mm)。さらに別の実施形態では、ケーブル100のケーブルピッチCPは、5.5mmから6.1mmの範囲である(5.5mm≦CP≦6.1mm)。さらに別の例示的な実施形態では、ケーブル100のケーブルピッチCPは5.8mmである。
【0027】
1つの例示的な態様では、ストランド102、104、及び106はそれぞれ、2.9mmから5.9mm(2.9mm≦SP≦5.9mm)の範囲のストランドピッチSPを有する。別の言い方をすると、各ストランド102、104、及び106について、外側フィラメント108は、中心フィラメント110を中心にした完全な一巻きに2.9mm≦SP≦5.9mmの範囲の距離、即ちストランドピッチSPを必要とする。さらに別の実施形態では、ストランド102、104、及び106はそれぞれ、3.4mmから4.0mm(3.4mm≦SP≦4.0mm)の範囲のストランドピッチSPを有する。さらに別の例示的な実施形態では、ストランド102、104、及び106のストランドピッチSPは3.7mmである。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ピッチ比」は、ケーブルピッチCPのストランドピッチSPに対する比を指し、これはまた、式1によって表され得る。
(1) ピッチ比=CP/SP
【0029】
ケーブル100の例示的な実施形態の場合、ピッチ比は、1.2から1.7の範囲である。言い換えると、ケーブル100のピッチ比は、1.2≦ピッチ比≦1.7である。別の例示的な実施形態では、ケーブル100のピッチ比は、1.5から1.6の範囲である(1.5≦ピッチ比≦1.6)。さらに別の例示的な実施形態では、ピッチ比は1.57である。
【0030】
次にさらに説明するように、本発明の別の例示的な態様では、ケーブル100は、2.1パーセントと3パーセントの間の構造的伸びSEを有する。本明細書で使用される場合、「構造的伸び」、即ちSEは、
図6を参照して定義される。図示するように、
図6は、ケーブル100に加えられた引張力F(単位:ニュートン)対ケーブル100の伸びεのプロットを含む。式2で提供されるように、伸びε(又は「ひずみ」)は、力Fが加えられる前のケーブルFの長さ(L)に対する、力Fが加えられたケーブル100の長さの変化(ΔL)のパーセント比である。
(2) ε= (ΔL/L)×100
【0031】
図6に示すように、ケーブル100は、増大する力Fによって張力がかけられると、まず、構造的伸びが発生するフェーズ(
図6に示される曲線Cについて、εがゼロから約2.5の間)を経る。次に、増大する力Fによって、ケーブル100は、弾性変形が発生する第2のフェーズ(εが約2.7を超える)に入る。ここで定義されている構造的伸びSEを決定するために、曲線Cに沿って2つの点AとBの間に直線SLが描かれている。構造的伸びSEを定義する目的のため、曲線Cに沿った点Aは588Nの縦座標で決定され、曲線Cに沿った点Bは392Nの縦座標で決定される。点A及びBを通る直線SLの横軸との交点が、ケーブル100の構造的伸びSE(これは、
図6の例示的なプロットでは約2.6パーセントである)を定義している。
【0032】
上述のように、本発明の1つの例示的な態様では、ケーブル100は、2.1パーセントから3パーセント(2.1≦SE≦3)の範囲の構造的伸びSEを有する。さらに別の例示的な態様では、ケーブル100は、2.6パーセントの構造的伸びSEを有する。
【0033】
図7は、本発明の例示的なタイヤ200の半分の断面図を示す。タイヤ200は、赤道面EPに関して対称であり、したがって、赤道面EPは、タイヤ200を実質的に同じ構造の対向する半部に二分する。
図7では、この対向する半部の一方のみを示す。したがって、タイヤ100は、ビード204を備えた一対の対向するビード部206と、一対の対向する側壁部212とを含み、当業者には容易に理解されるように、
図7にはこれらの対の内の一方のみが示されている。タイヤ200はまた、各対向する側壁部212に接続され、それらの間に延在するクラウン部210を含む。トレッド層214は、クラウン部210の半径方向に最も外側の部分を形成する。カーカス208は、ビード部206間に延在する
【0034】
タイヤ200は、ケーブル100から構築され、カーカス208とトレッド214との間に配置された環状ベルト又は層202を含む。この例示的な実施形態の場合、ベルト202は、
図7に示すように、ケーブル100の各巻きが隣接する巻きと平行になるように、タイヤ200の周りにケーブル100を環状に巻き付けることによって構成される。ケーブル100は、タイヤ200の周りに巻き付くときに、赤道面EPから角度θを形成することができる。特定の実施形態では、角度θは、0から10度の範囲である(0≦θ≦10)。タイヤ200の他の実施形態では、クラウン部210に追加のベルト又は層を含めることができる。
【0035】
本主題を特定の例示的な実施形態及びその方法に関して詳細に記載してきたが、当業者は、前述事項を理解することにより、このような実施形態に対する改変、変形、及び均等物を容易に生み出し得ることが分かるであろう。したがって、本開示の範囲は限定としてではなく例としてのものであり、本開示は、本明細書の教示から当業者にとって容易に明らかであるような本主題に対する変更、変形、及び/又は追加を包含することを排除しない。