(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】除草性3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-8,10-ジオン化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 221/20 20060101AFI20230531BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20230531BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
C07D221/20 CSP
A01N43/40 101N
A01N43/40 101P
A01P13/00
(21)【出願番号】P 2020543621
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2019053741
(87)【国際公開番号】W WO2019158666
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-10
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519295993
【氏名又は名称】シンジェンタ パーティシペーションズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】ヘネシー アラン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ エリザベス パール
(72)【発明者】
【氏名】ハチス シュウジ
(72)【発明者】
【氏名】ウィレッツ ナイジェル ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】デール スザンナ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー アレクサンダー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ホールスビー イアン トマス ティンマス
(72)【発明者】
【氏名】ボノア ユナス
(72)【発明者】
【氏名】コマス-バルセロ フリア
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-506403(JP,A)
【文献】特表2017-520568(JP,A)
【文献】特表2015-500222(JP,A)
【文献】KOYANAGI,T. et al,Bioisosterism in agrochemicals,ACS Symposium Series,1995年,Vol. 584,Chapter 2, pp. 15-24,Synthesis and Chemistry of Agrochemicals IV
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A01N
A01P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
R
1は、メチルであり;
R
2は、メチル又はメトキシであり;
R
3は、メチル又はメトキシであり;
R
4は
、C
1~C
4アルコキシ-
、-C(=O)C
1~C
4アルキル
、又は-C(=O)C
1~C
4ハロアルキル
であり;
Gは、水素、-(CH
2)
n-R
a、-C(O)-R
a、-C(O)-O-R
d、-C(O)-S-R
d、-C(O)NR
aR
a、-S(O)
2-C
1~C
8アルキル及びC
1~C
8アルコキシ-C
1~C
3アルキル-からなる群から選択され;
R
aは、水素、C
1~C
8アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され;
R
dは、C
1~C
8アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;
n=0、1又は2である)
の化合物又はその農学的に許容可能な塩。
【請求項2】
R
2がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
3がメチルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
3がメトキシである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
R
4がC
1~C
2アルコキシ-である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
4が-C(=O)C
1~C
3アルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
4が-C(=O)C
1~C
3ハロアルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Gが水素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Gが-C(O)C
1~C
6アルキルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Gが-C(O)-O-C
1~C
6アルキルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と、農学的に許容可能な配合助剤とを含む、除草性組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の追加の殺有害生物剤をさらに含む、請求項11に記載の除草性組成物。
【請求項13】
前記追加の殺有害生物剤が、除草剤又は除草剤毒性緩和剤である、請求項12に記載の除草性組成物。
【請求項14】
生息地における雑草の防除方法であって、雑草防除量の請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物を前記生息地に適用する工程を含む、方法。
【請求項15】
除草剤としての請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の除草性化合物、その調製プロセス、この新規化合物を含む除草性組成物、及び、雑草を防除するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキニル-含有置換基を有するフェニルで置換されている除草性環式ジオン化合物が、例えば、国際公開第2014/096289号及び国際公開第2015/197468号に開示されている。本発明は、向上した特性を有する新規除草性シクロヘキサンジオン誘導体に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
それ故、本発明によれば、式(I)の化合物
【化1】
(式中、
R
1はメチルであり;
R
2はメチル又はメトキシであり;
R
3はメチル又はメトキシであり;
R
4は、水素、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ-、C
1~C
4ハロアルキル、-C(=O)C
1~C
4アルキル及び-C(=O)C
1~C
4ハロアルキルからなる群から選択され;
Gは、水素、-(CH
2)
n-R
a、-C(O)-R
a、-C(O)-O-R
d、-C(O)-S-R
d、-C(O)NR
aR
a、-S(O)
2-C
1~C
8アルキル及びC
1~C
8アルコキシ-C
1~C
3アルキル-からなる群から選択され;
R
aは、水素、C
1~C
8アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され;
R
dは、C
1~C
8アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;並びに
n=0、1又は2である)
又は、その農学的に許容可能な塩が提供されている。
【発明を実施するための形態】
【0004】
アルキル基(例えばC1~C6アルキル)としては、例えば、メチル(Me、CH3)、エチル(Et、C2H5)、n-プロピル(n-Pr)、イソプロピル(i-Pr)、n-ブチル(n-Bu)、イソブチル(i-Bu)、sec-ブチル(s-Bu)及びt-ブチル(t-Bu)が挙げられる。
【0005】
アルケニル及びアルキニル部分は直鎖又は分岐鎖の形態であることが可能であり、また、アルケニル部分は、適切な場合には、(E)-又は(Z)-立体配置であることが可能である。例は、ビニル、アリル及びプロパルギルである。アルケニル及びアルキニル部分は、1つ以上の二重及び/又は三重結合をいずれかの組み合わせで含んでいることが可能である。
【0006】
ハロゲン(又はハロ)は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。同じことが、ハロアルキルなどの他の定義の文脈中におけるハロゲンについても同様に適用される。
【0007】
ハロアルキル基(例えば、C1~C6ハロアルキル)は、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1-ジフルオロ-2,2,2-トリクロロエチル、2,2,3,3-テトラフルオロエチル及び2,2,2-トリクロロエチル、ヘプタフルオロ-n-プロピル及びパーフルオロ-n-ヘキシルである。
【0008】
アルコキシ基(例えばC1~C4アルコキシ-)は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ又はt-ブトキシ、好ましくは、メトキシ及びエトキシである。
【0009】
アルコキシアルキル基(例えば、C1~C8アルコキシ-C1~C3アルキル-)としては、例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、n-プロポキシメチル、n-プロポキシエチル、イソプロポキシメチル又はイソプロポキシエチルが挙げられる。
【0010】
シクロアルキル基(例えば、C3~C6シクロアルキル-)としては、例えばシクロプロピル(c-プロピル、c-Pr)、シクロブチル(c-ブチル、c-Bu)、シクロペンチル(c-ペンチル)及びシクロヘキシル(c-ヘキシル)が挙げられ、記載されているとおり置換されていても無置換であってもよい。
【0011】
本発明はまた、式(I)の化合物の農学的に許容可能な塩に関する。このような塩としては、アミン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩基又は第四級アンモニウム塩基と共に形成可能であるものが挙げられる。塩形成剤としてのアルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物のうち、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムの水酸化物が特に挙げられるべきであり、とりわけナトリウム及びカリウムの水酸化物が挙げられるべきである。本発明に係る式(I)の化合物としてはまた、塩形成の最中に形成され得る水和物が挙げられる。
【0012】
アンモニウム塩形成に好適なアミンの例としては、アンモニア、並びに、第一級、第二級及び第三級C1~C18アルキルアミン、C1~C4ヒドロキシアルキルアミン及びC2~C4アルコキシアルキルアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体、n-アミルアミン、イソアミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルノニルアミン、メチルペンタデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、エチルブチルアミン、エチルヘプチルアミン、エチルオクチルアミン、ヘキシルヘプチルアミン、ヘキシルオクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-n-アミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、エタノールアミン、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、N,N-ジエタノールアミン、N-エチルプロパノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、アリルアミン、n-ブタ-2-エニルアミン、n-ペンタ-2-エニルアミン、2,3-ジメチルブタ-2-エニルアミン、ジブタ-2-エニルアミン、n-ヘキサ-2-エニルアミン、プロピレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ-sec-ブチルアミン、トリ-n-アミルアミン、メトキシエチルアミン及びエトキシエチルアミン;複素環式アミン、例えばピリジン、キノリン、イソキノリン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、インドリン、キヌクリジン及びアゼピン;第一級アリールアミン、例えばアニリン、メトキシアニリン、エトキシアニリン、o-、m-及びp-トルイジン、フェニレンジアミン、ベンジジン、ナフチルアミン、並びに、o-、m-及びp-クロロアニリン;特に、トリエチルアミン、イソプロピルアミン及びジイソプロピルアミンが挙げられる。
【0013】
本発明の一実施形態において、R2はメチルである。
【0014】
本発明の一実施形態において、R3はメチルである。
【0015】
本発明の他の実施形態において、R3はメトキシである。
【0016】
本発明の一実施形態において、R2はメチルであり、及び、R3はメチルである。
【0017】
本発明の一実施形態において、R2はメチルであり、及び、R3はメトキシである。
【0018】
本発明の一実施形態において、R2はメトキシであり、及び、R3はメトキシである。
【0019】
本発明の他の実施形態において、R4は、C1~C2アルコキシ-(例えばメトキシ又はエトキシ)である。
【0020】
本発明の他の実施形態において、R4は、-C(=O)C1~C3アルキル(例えば-C(C=O)メチル、-C(C=O)エチル、-C(C=O)i-プロピル)である。
【0021】
本発明の他の実施形態において、R4は、-C(=O)C1~C3ハロアルキル、より好ましくは-C(=O)C1~C2フルオロアルキル例えば-C(=O)CH2F、-C(=O)CHF2、-C(=O)CF3)である。
【0022】
本発明の一実施形態において、Gは、水素、C1~C8アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、-C2~C8アルケニル(例えばビニル)、C2~C8アルキニル(例えばプロパルギル)、-C(O)C1~C8アルキル(より好ましくは-C(O)C1~C6アルキル、例えば-C(O)i-プロピル及び-C(O)t-ブチル)及び-C(O)-O-C1~C8アルキル(より好ましくは-C(O)-O-C1~C6アルキル、例えば-C(O)-O-メチル)からなる群から選択される。好ましい実施形態において、Gは水素である。
【0023】
置換基の性質に応じて、式(I)の化合物は異なる異性形態で存在し得る。Gが水素である場合、例えば、式(I)の化合物は異なる互変異性形態で存在し得る。
【0024】
本発明は、すべての割合でのすべてのこのような異性体及び互変異性体並びにこれらの混合物を含む。また、置換基が二重結合を含む場合、シス-及びトランス-異性体が存在可能である。これらの異性体もまた、特許請求されている式(I)の化合物の範囲内である。式(I)の化合物は不斉中心を有し得ると共に、単一の鏡像異性体、いずれかの割合での鏡像異性体対として存在し得、又は、2つ以上の不斉中心が存在している場合には、すべての可能な比率でジアステレオ異性体を含有し得る。典型的には、一つの鏡像異性体が、他の可能であるものと比して高い生物学的活性を有する。
【0025】
本発明に係る式(I)の化合物はそれら自体で除草剤として用いられることが可能であるが、これらは一般に、キャリア、溶剤及び表面活性薬剤(SFA)などの配合助剤を用いて除草性組成物に配合される。それ故、本発明はさらに、既述の特許請求の範囲のいずれか一項に記載されている除草性化合物と、農学的に許容可能な配合助剤とを含む除草性組成物を提供する。すぐに使用できる組成物を作ることもできるが、組成物は、使用前に希釈される濃縮物の形態であることが可能である。最終の希釈は通常水で行われるが、水の代わりに或いは水に加えて、例えば、液体肥料、微量栄養素、生物有機体、油又は溶媒を用いて行うこともできる。
【0026】
除草性組成物は一般に、0.1~99重量%、特に0.1~95重量%の式(I)の化合物と、好ましくは0~25重量%の表面活性物質を含む、1~99.9重量%の配合助剤とを含む。
【0027】
組成物はいくつかの配合物タイプから選択することができ、そのうちの多くは、Manual on Development and Use of FAO Specifications for Plant Protection Products,5th Edition,1999から公知である。これらには、吐粉性(dustable)粉末(DP)、可溶性粉末(SP)、水溶性顆粒(SG)、水分散性顆粒(WG)、水和剤(WP)、顆粒(GR)(緩効性又は速効性)、可溶性濃縮物(SL)、油混和性液体(OL)、超微量液体(UL)、乳化性濃縮物(EC)、分散性濃縮物(DC)、エマルション(水中油型(EW)及び油中水型(EO)の両方)、マイクロエマルション(ME)、懸濁液濃縮物(SC)、エアロゾル、カプセル懸濁液(CS)及び種子処理配合物が含まれる。任意の場合に選択される配合物は、想定される特定の目的と、式(I)の化合物の物理的、化学的及び生物学的特性とに依存するであろう。
【0028】
吐粉性粉末(DP)は、式(I)の化合物を、1種以上の固体希釈剤(例えば、天然クレイ、カオリン、葉ろう石、ベントナイト、アルミナ、モンモリロナイト、キースラガー、チョーク、ケイ藻土、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫黄、石灰、小麦粉、タルク、並びに、他の有機及び無機固体担体)と混合し、この混合物を機械的に粉砕して微粉末にすることによって調製され得る。
【0029】
可溶性粉末(SP)は、式(I)の化合物を、1種以上の水溶性無機塩(重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムなど)若しくは1種以上の水溶性有機固形分(多糖類など)、及び、任意選択により、1種以上の湿潤剤、1種以上の分散剤、又は、前記薬剤の混合物と混合して、水への分散性/溶解度を向上させることにより調製され得る。次いで、混合物は微粉末に粉砕される。同様の組成物を粒状化して、水溶性顆粒(SG)を形成することもできる。
【0030】
水和剤(WP)は、式(I)の化合物を、1種以上の固体希釈剤又はキャリア、1種以上の湿潤剤、並びに、好ましくは、1種以上の分散剤、及び、任意により、1種以上の懸濁剤と混合して、液体における分散性を促進させることにより調製され得る。次いで、混合物は微粉末に粉砕される。同様の組成物が粒状化されて、水分散性顆粒(WG)が形成されてもよい。
【0031】
顆粒(GR)は、式(I)の化合物と、1種以上の粉末固体希釈剤若しくはキャリアとの混合物を造粒することにより形成され得、又は、式(I)の化合物(又は、好適な薬剤中のその溶液)を多孔性の顆粒状材料(軽石、アタパルジャイトクレイ、フーラー土、キースラガー、珪藻土又は粉砕されたトウモロコシ穂軸など)中に吸収させ、若しくは、式(I)の化合物(又は、好適な薬剤中のその溶液)を硬質の核材料(砂、ケイ酸、炭酸塩鉱物、硫酸塩又はリン酸塩など)に吸収させ、必要に応じて乾燥させることにより予め形成されている圧縮粉顆粒から形成され得る。吸収又は吸着を助けるために通常用いられる薬剤としては、溶剤(脂肪族及び芳香族石油溶剤、アルコール、エーテル、ケトン、並びに、エステルなど)及び固着材(ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、糖質及び植物油など)が挙げられる。1種以上の他の添加剤もまた顆粒中に含まれていてもよい(例えば、乳化剤、湿潤剤又は分散剤)。
【0032】
分散性濃縮物(DC)は、式(I)の化合物を水、又は、ケトン、アルコール或いはグリコールエーテルなどの有機溶剤中に溶解させることにより調製され得る。これらの溶液は、表面活性剤を含有していてもよい(例えば、水による希釈を向上させるか、又は、噴霧タンク中での結晶化を防止するため)。
【0033】
乳化性濃縮物(EC)又は水中油型エマルジョン(EW)は、式(I)の化合物を有機溶剤(任意選択により、1種以上の湿潤剤、1種以上の乳化剤又は前記薬剤の混合物を有する)中に溶解させることにより調製され得る。ECにおいて好適に用いられる有機溶剤としては、芳香族炭化水素(SOLVESSO 100、SOLVESSO 150及びSOLVESSO 200(SOLVESSOは登録商標である)により例示されるアルキルベンゼン又はアルキルナフタレンなど)、ケトン(シクロヘキサノン又はメチルシクロヘキサノンなど)、及び、アルコール(ベンジルアルコール、フルフリルアルコール又はブタノールなど)、N-アルキルピロリドン(N-メチルピロリドン又はN-オクチルピロリドンなど)、脂肪酸のジメチルアミド(C8~C10脂肪酸ジメチルアミドなど)、及び、塩素化炭化水素が挙げられる。EC生成物は、水に添加されると自然に乳化して、適切な器具での噴霧用途が可能なほどに十分な安定性を有するエマルジョンをもたらし得る。
【0034】
EWの調製では、液体(室温で液体ではない場合には、典型的には70℃未満といった適切な温度で溶融されていてもよい)として、又は、溶液(適切な溶剤中に溶解させることにより)で式(I)の化合物を得、次いで、得られた液体又は溶液が1種以上のSFAを含有する水中に、高せん断下で乳化してエマルジョンがもたらされる。EWにおいて好適に用いられる溶剤としては、植物油、塩素化炭化水素(クロロベンゼンなど)、芳香族溶剤(アルキルベンゼン又はアルキルナフタレンなど)、及び、水への溶解度が低い他の適切な有機溶剤が挙げられる。
【0035】
ミクロエマルジョン(ME)は、1種以上の溶剤と1種以上のSFAとのブレンドを水と混合して、熱力学的に安定な等方性液体配合物を自然にもたらすことにより調製され得る。式(I)の化合物は、最初は、水又は溶剤/SFAブレンドのいずれかの中に存在している。MEにおいて好適に用いられる溶剤としては、EC又はEWにおける使用について前述されているものが挙げられる。MEは、水中油型又は油中水型系のいずれかであり得(どちらの系が存在しているかは、伝導率の測定によって判定され得る)、同一の配合物中の水溶性及び油溶性有害生物防除剤の混合に好適であればよい。MEは、マイクロエマルジョンのままで、又は、従来の水中油型エマルジョンを形成して水中に好適に希釈される。
【0036】
懸濁液濃縮物(SC)は、式(I)の化合物の微細な不溶性固体粒子の水性又は不水性懸濁液を含んでいてもよい。SCは、式(I)の固体化合物を、好適な媒体中で、任意選択により1種以上の分散剤と共にボールミル又はビーズミルにかけて、化合物の微細な粒子懸濁液をもたらすことにより調製され得る。1種以上の湿潤剤が組成物中に含まれていてもよく、懸濁剤が、粒子の沈降速度を低減するために含まれていてもよい。或いは、式(I)の化合物は、乾式ミルにかけられ、及び、明細書中に上述されている薬剤を含有する水に添加されることにより、所望の最終生成物がもたらされてもよい。
【0037】
エアロゾル配合物は、式(I)の化合物及び好適な噴射剤(例えばn-ブタン)を含む。式(I)の化合物はまた、好適な媒体(例えば水、又は、n-プロパノールなどの水和性の液体)中に溶解又は分散されて、非加圧式の手動噴霧ポンプにおける使用のための組成物がもたらされてもよい。
【0038】
カプセル懸濁液(CS)は、EW配合物の調製と同様に調製され得るが、油滴の各々が高分子シェルに内包されており、式(I)の化合物と、任意選択により、これのためのキャリア又は希釈剤とが含有されている、油滴の水性分散体が得られるような追加の重合ステージが伴う。高分子シェルは、界面重縮合反応若しくはコアセルベーション手法の一方により生成され得る。組成物は式(I)の化合物の徐放をもたらし得、種子処理に用いられ得る。式(I)の化合物はまた、生分解性高分子マトリックス中に配合されて、化合物がゆっくりとした、徐放性とされてもよい。
【0039】
組成物は、例えば、式(I)の化合物の濡れ性、保持性若しくは表面上での分布性;被処理表面上での雨に対する耐性;又は、摂取若しくは易動性を向上させることにより、組成物の生物学的性能を向上するために、1種以上の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、表面活性剤(SFA)、例えば一定の鉱油又は天然の植物油(大豆油及びナタネ油など)といった油系の噴霧添加剤、及び、これらと他の生体活性増強(bio-enhancing)補助剤(式(I)の化合物の作用を補助若しくは改変し得る処方成分)とのブレンドが挙げられる。
【0040】
湿潤剤、分散剤及び乳化剤は、カチオン性、アニオン性、両性又はノニオン性のSFAであり得る。
【0041】
好適なカチオン性のSFAとしては、第四級アンモニウム化合物(例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミド)、イミダゾリン及びアミン塩が挙げられる。
【0042】
好適なアニオン性SFAとしては、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪族モノエステルの硫酸塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、スルホン化芳香族化合物の塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ブチルナフタレンスルホネート、及び、ジ-イソプロピル-ナフタレンスルホン酸ナトリウムとトリ-イソプロピル-ナフタレンスルホン酸ナトリウムとの混合物)、エーテル硫酸塩、アルコールエーテル硫酸塩(例えばナトリウムラウレス-3-スルフェート)、エーテルカルボキシレート(例えばナトリウムラウレス-3-カルボキシレート)、リン酸エステル(例えば、ラウリルアルコールと四リン酸との反応といった1種以上の脂肪族アルコールとリン酸(主にモノエステル)又は五酸化リン(主にジ-エステル)との反応からの生成物;また、これらの生成物はエトキシル化されていてもよい)、スルホスクシナメート、パラフィン又はオレフィンスルホン酸塩、タウレート及びリグノスルホネートが挙げられる。
【0043】
好適な両性SFAとしては、ベタイン、プロピオネート、及び、グリシネートが挙げられる。
【0044】
好適なノニオン性のSFAとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又は、これらの混合物などのアルキレンオキシドと、脂肪族アルコール(オレイルアルコール又はセチルアルコールなど)若しくはアルキルフェノール(オクチルフェノール、ノニルフェノール又はオクチルクレゾールなど)との縮合物;長鎖脂肪酸又はヘキシトール無水物由来の部分エステル;前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物;ブロックポリマー(エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを含む);アルカノールアミド;単純エステル(例えば脂肪酸ポリエチレングリコールエステル);アミンオキシド(例えばラウリルジメチルアミンオキシド);並びに、レシチンが挙げられる。
【0045】
好適な懸濁剤としては、親水性コロイド(多糖類、ポリビニルピロリドン又はナトリウムカルボキシメチルセルロースなど)及び膨潤粘土(ベントナイト又はアタパルジャイトなど)が挙げられる。
【0046】
本発明の組成物はさらに、少なくとも1種の追加の殺有害生物剤(pesticide)を含み得る。例えば、本発明に係る化合物はまた、他の除草剤又は植物成長調節剤と併用されることが可能である。好ましい実施形態において、追加の殺有害生物剤は、除草剤及び/又は除草剤毒性緩和剤(safener)である。このような混合物の例は以下のとおりである(ここで、「I」は式(I)の化合物を表す)。I+アセトクロール、I+アシフルオルフェン、I+アシフルオルフェン-ナトリウム、I+アクロニフェン、I+アクロレイン、I+アラクロール、I+アロキシジム、I+アメトリン、I+アミノカルバゾン、I+アミドスルフロン、I+アミノピラリド、I+アミトロール、I+アニロホス、I+アシュラム、I+アトラジン、I+アザフェニジン、I+アジムスルフロン、I+BCPC、I+ベフルブタミド、I+ベナゾリン、I+ベンカルバゾン、I+ベンフルラリン、I+ベンフレセート、I+ベンスルフロン、I+ベンスルフロン-メチル、I+ベンスリド、I+ベンタゾン、I+ベンズフェンジゾン、I+ベンゾビシクロン、I+ベンゾフェナップ、I+ビシクロピロン、I+ビフェノックス、I+ビラナホス、I+ビスピリバック、I+ビスピリバック-ナトリウム、I+ホウ酸ナトリウム、I+ブロマシル、I+ブロモブチド、I+ブロモキシニル、I+ブタクロール、I+ブタミホス、I+ブトラリン、I+ブトロキシジム、I+ブチレート、I+カコジル酸、I+塩素酸カルシウム、I+カフェンストロール、I+カルベタミド、I+カルフェントラゾン、I+カルフェントラゾン-エチル、I+クロルフルレノール、I+クロルフルレノール-メチル、I+クロリダゾン、I+クロリムロン、I+クロリムロン-エチル、I+クロロ酢酸、I+クロロトルロン、I+クロルプロファム、I+クロルスルフロン、I+クロルタール、I+クロルタール-ジメチル、I+シニドン-エチル、I+シンメチリン、I+シノスルフロン、I+シサニリド、I+クレトジム、I+クロジナホップ、I+クロジナホップ-プロパルギル、I+クロマゾン、I+クロメプロップ、I+クロピラリド、I+クロランスラム、I+クロランスラム-メチル、I+シアナジン、I+シクロエート、I+シクロピラニル、I+シクロスルファムロン、I+シクロキシジム、I+シハロホップ、I+シハロホップ-ブチル、I+2,4-D、I+ダイムロン、I+ダラポン、I+ダゾメット、I+2,4-DB、I+I+デスメディファム、I+ジカンバ、I+ジクロベニル、I+ジクロルプロップ、I+ジクロルプロップ-P、I+ジクロホップ、I+ジクロホップ-メチル、I+ジクロスラム、I+ジフェンゾコート、I+ジフェンゾコートメチルスルフェート、I+ジフルヘニカン、I+ジフルフェンゾピル、I+ジメフロン、I+ジメピペレート、I+ジメタクロール、I+ジメタトリン、I+ジメテナミド、I+ジメテナミド-P、I+ジメチピン、I+ジメチルアルシン酸、I+ジニトロアミン、I+ジノテルブ、I+ジフェナミド、I+ジプロペトリン、I+ダイコート、I+ダイコートジブロミド、I+ジチオピル、I+ジウロン、I+エンドタール、I+EPTC、I+エスプロカルブ、I+エタルフルラリン、I+エタメツルフロン、I+エタメツルフロン-メチル、I+エテホン、I+エトフメセート、I+エトキシフェン、I+エトキシスルフロン、I+エトベンザニド、I+フェノキサプロップ-P、I+フェノキサプロップ-P-エチル、I+フェンキノトリオン、I+フェントラザミド、I+硫酸第一鉄、I+フラムプロップ-M、I+フラザスルフロン、I+フロルピラウキシフェン、I+フロラスラム、I+フルアジホップ、I+フルアジホップ-ブチル、I+フルアジホップ-P、I+フルアジホップ-P-ブチル、I+フルアゾレート、I+フルカルバゾン、I+フルカルバゾン-ナトリウム、I+フルセトスルフロン、I+フルクロラリン、I+フルフェナセット、I+フルフェンピル、I+フルフェンピル-エチル、I+フルメトラリン、I+フルメツラム、I+フルミクロラック、I+フルミクロラック-ペンチル、I+フルミオキサジン、I+フルミプロピン、I+フルオメツロン、I+フルオログリコフェン、I+フルオログリコフェンエチル、I+フルオキサプロプ、I+フルポキサム、I+フルプロパシル、I+フルプロパネート、I+フルピルスルフロン、I+フルピルスルフロン-メチル-ナトリウム、I+フルレノール、I+フルリドン、I+フルロクロリドン、I+フルロキシピル、I+フルルタモン、I+フルチアセット、I+フルチアセット-メチル、I+フォメサフェン、I+ホラムスルフロン、I+ホサミン、I+グルホシネート、I+グルホシネート-アンモニウム、I+グリホサート、I+ハラウキシフェン、I+ハロスルフロン、I+ハロスルフロン-メチル、I+ハロキシホップ、I+ハロキシホップ-P、I+ヘキサジノン、I+イマザメタベンズ、I+イマザメタベンズ-メチル、I+イマザモックス、I+イマザピック、I+イマザピル、I+イマザキン、I+イマゼタピル、I+イマゾスルフロン、I+インダノファン、I+インダジフラム、I+ヨードメタン、I+イオドスルフロン、I+イオドスルフロン-メチル-ナトリウム、I+アイオキシニル、I+イソプロツロン、I+イソウロン、I+イソキサベン、I+イソキサクロルトール、I+イソキサフルトール、I+イソキサピリホップ、I+カルブチレート、I+ラクトフェン、I+レナシル、I+リニュロン、I+メコプロップ、I+メコプロップ-P、I+メフェナセット、I+メフルイジド、I+メソスルフロン、I+メソスルフロン-メチル、I+メソトリオン、I+メタム、I+メタミホプ、I+メタミトロン、I+メタザクロール、I+メタベンズチアズロン、I+メタゾール、I+メチルアルソン酸、I+メチルダイムロン、I+メチルイソチオシアネート、I+メトラクロール、I+S-メトラクロール、I+メトスラム、I+メトキシウロン、I+メトリブジン、I+メトスルフロン、I+メトスルフロン-メチル、I+モリネート、I+モノリニュロン、I+ナプロアニリド、I+ナプロパミド、I+ナプロパミド-M、I+ナプタラム、I+ネブロン、I+ニコスルフロン、I+n-メチルグリホサート、I+ノナン酸、I+ノルフラゾン、I+オレイン酸(脂肪酸)、I+オルベンカルブ、I+オルソスルファムロン、I+オリザリン、I+オキサジアルギル、I+オキサジアゾン、I+オキサスルフロン、I+オキサジクロメフォン、I+オキシフルオルフェン、I+パラコート、I+パラコートジクロリド、I+ペブレート、I+ペンディメタリン、I+ペノキススラム、I+ペンタクロロフェノール、I+ペンタノクロル、I+ペントキサゾン、I+ペトキサミド、I+フェンメディファム、I+ピクロラム、I+ピコリナフェン、I+ピノキサデン、I+ピペロホス、I+プレチラクロール、I+プリミスルフロン、I+プリミスルフロン-メチル、I+プロジアミン、I+プロホキシジム、I+プロヘキサジオン-カルシウム、I+プロメトン、I+プロメトリン、I+プロパクロル、I+プロパニル、I+プロパキザホップ、I+プロパジン、I+プロファム、I+プロピソクロール、I+プロポキシカルバゾン、I+プロポキシカルバゾン-ナトリウム、I+プロピザミド、I+プロスルホカルブ、I+プロスルフロン、I+ピラクロニル、I+ピラフルフェン、I+ピラフルフェン-エチル、I+ピラスルホトール、I+ピラゾリネート、I+ピラゾスルフロン、I+ピラゾスルフロン-エチル、I+ピラゾキシフェン、I+ピリベンゾキシム、I+ピリブチカルブ、I+ピリダホル(pyridafol)、I+ピリデート、I+ピリフタリド、I+ピリミノバック、I+ピリミノバック-メチル、I+ピリミスルファン、I+ピリチオバック、I+ピリチオバック-ナトリウム、I+ピロキサスルホン、I+ピロキシスラム、I+キンクロラック、I+キンメラック、I+キノクラミン、I+キザロホップ、I+キザロホップ-P、I+リムスルフロン、I+サフルフェナシル、I+セトキシジム、I+シデュロン、I+シマジン、I+シメトリン、I+塩素酸ナトリウム、I+スルコトリオン、I+スルフェントラゾン、I+スルホメツロン、I+スルホメツロン-メチル、I+スルホサート、I+スルホスルフロン、I+硫酸、I+テブチウロン、I+テフリルトリオン、I+テンボトリオン、I+テプラロキシジム、I+ターバシル、I+テルブメトン、I+テルブチラジン、I+テルブトリン、I+テニルクロール、I+チアゾピル、I+チフェンスルフロン、I+チエンカルバゾン、I+チフェンスルフロン-メチル、I+チオベンカルブ、I+トルピラレート、I+トプラメゾン、I+トラルコキシジム、I+トリ-アレート、I+トリアスルフロン、I+トリアジフラム、I+トリベヌロン、I+トリベヌロン-メチル、I+トリクロピル、I+トリエタジン、I+トリフロキシスルフロン、I+トリフロキシスルフロン-ナトリウム、I+トリフルジモキサジン、I+トリフルラリン、I+トリフルスルフロン、I+トリフルスルフロン-メチル、I+トリヒドロキシトリアジン、I+トリネキサパック-エチル、I+トリトスルフロン、I+[3-[2-クロロ-4-フルオロ-5-(1-メチル-6-トリフルオロメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-3-イル)フェノキシ]-2-ピリジルオキシ]酢酸エチルエステル(CAS RN353292-31-6)。本発明の化合物はまた、国際公開第06/024820号及び/又は国際公開第07/096576号に開示されている除草性化合物と組み合わされてもよい。
【0047】
式(I)の化合物の混合相手はまた、例えばThe Pesticide Manual,Sixteenth Edition,British Crop Protection Council,2012において記載されているとおり、エステル又は塩の形態であってもよい。
【0048】
式(I)の化合物はまた、殺菌・殺カビ剤、殺線虫剤又は殺虫剤などの他の農薬(これらの例がThe Pesticide Manualに記載されている)との混合物で用いられることが可能である。
【0049】
式(I)の化合物対混合相手の混合比は、好ましくは1:100~1000:1である。
【0050】
混合物は、上記の配合物において有利に用いられることが可能である(この場合、「有効成分」は式(I)の化合物と混合相手とのそれぞれの混合物に関連する)。
【0051】
本発明に係る式(I)の化合物はまた、1種以上の毒性緩和剤と組み合わせて使用可能である。同様に、本発明に係る式(I)の化合物と1種以上のさらなる除草剤との混合物はまた、1種以上の毒性緩和剤と組み合わせて使用可能である。毒性緩和剤は、AD67(MON4660)、ベノキサコール、クロキントセットメキシル、シプロスルファミド(CAS RN221667-31-8)、ジクロルミド、フェンクロラゾール-エチル、フェンクロリム、フルキソフェニム、フリラゾール及び対応するR異性体、イソキサジフェン-エチル、メフェンピル-ジエチル、オキサベトリニル、N-イソプロピル-4-(2-メトキシ-ベンゾイルスルファモイル)-ベンズアミド(CAS RN221668-34-4)であることが可能である。他の可能性としては例えば、例えばN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドといった欧州特許第0365484号明細書に開示されている毒性緩和化合物が挙げられる。式(I)の化合物と、シプロスルファミド、イソキサジフェン-エチル、クロキントセットメキシル及び/又はN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチル-アミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドとの混合物が特に好ましい。
【0052】
式(I)の化合物の毒性緩和剤はまた、例えばThe Pesticide Manual,16th Edition(BCPC),2012に記載されているとおり、エステル又は塩の形態であり得る。クロキントセットメキシルに対する言及は、国際公開第02/34048号に開示されているとおり、そのリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、アンモニウム、第四級アンモニウム、スルホニウム又はホスホニウム塩にも適用され、並びに、フェンクロラゾール-エチルに対する言及は、フェンクロラゾール等にも適用される。
【0053】
好ましくは、式(I)の化合物対毒性緩和剤の混合比は、100:1~1:10、特に20:1~1:1である。
【0054】
混合物は、上記の配合物において有利に用いられることが可能である(この場合、「有効成分」は、式(I)の化合物と毒性緩和剤とのそれぞれ混合物に関連する)。
【0055】
本発明はまた、作物植物及び雑草を含む生息地における雑草を防除する方法をさらに提供し、ここで、この方法は、雑草防除量の本発明に係る組成物を生息地に適用するステップを含む。「防除する」とは、死滅させる、成長を低減若しくは遅延させる、又は、発芽を予防若しくは低減させることを意味する。一般に、防除される植物は、望まれない植物(雑草)である。「生息地」とは、これらの植物が成長している領域、又は、成長し得る領域を意味する。
【0056】
式(I)の化合物の適用量は、土壌の性質、適用方法(発芽前又は発芽後;種子粉衣;蒔き溝への適用;不耕起適用等)、作物植物、防除される雑草、主たる気候条件、並びに、適用方法によって左右される他の要因、適用時期、及び、標的作物に応じて、広い範囲内で様々であり得る。本発明に係る式(I)の化合物は一般に、10~2000g/ha、特に50~1000g/haの量で適用される。
【0057】
適用は、典型的にはトラクターに備え付けた大面積用噴霧器によって組成物を噴霧することにより一般に成されるが、散粉(粉末の場合)、滴下又は潅注などの他の方法もまた用いられることが可能である。
【0058】
本発明に係る組成物を用いることが可能である有用な植物の作物としては、例えばオオムギ及びコムギといった穀類、綿、アブラナ、ヒマワリ、トウモロコシ、イネ、ダイズ、サトウダイコン、サトウキビ及び芝生などの作物が挙げられる。
【0059】
作物植物としてはまた、果樹、ヤシの木、ココナツの木、又は、他の堅果などの樹木を挙げることが可能である。また、ブドウなどのつる植物、果実の低木樹、果実植物及び野菜が挙げられる。
【0060】
作物は、従来の交配方法又は遺伝子操作によって、除草剤又は除草剤クラス(例えばALS-、GS-、EPSPS-、PPO-、ACCase-及びHPPD-阻害剤)に対する耐性が与えられた作物をも含むと理解されるべきである。従来の交配方法によって例えばイマザモックスといったイミダゾリノンに対する耐性が与えられた作物の一例は、Clearfield(登録商標)夏ナタネ(カノーラ)である。遺伝子操作法によって除草剤に対する耐性が与えられた作物の例としては、例えば、商品名RoundupReady(登録商標)及びLibertyLink(登録商標)で市販されているグリホサート-及びグルホシネート-耐性トウモロコシ品種が挙げられる。
【0061】
作物はまた、例えばBtトウモロコシ(アワノメイガに耐性)、Bt綿(メキシコワタミゾウムシに耐性)、また、Btジャガイモ(コロラドハムシに耐性)といった、遺伝子操作法によって有害な昆虫に対する耐性が与えられたものであると理解されるべきである。Btトウモロコシの例は、NK(登録商標)(Syngenta Seeds)のBt176トウモロコシ交配種である。Btトキシンは、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)土壌バクテリアによって形成される天然のタンパク質である。トキシン又はこのようなトキシンを合成可能である遺伝子組換え植物の例は、欧州特許出願第451 878号明細書、欧州特許出願第374 753号明細書、国際公開第93/07278号、国際公開第95/34656号、国際公開第03/052073号及び欧州特許出願第427 529号明細書に記載されている。殺虫性の耐性をコードし、1種以上のトキシンを発現する1種以上の遺伝子を含む遺伝子組換え植物の例は、KnockOut(登録商標)(トウモロコシ)、Yield Gard(登録商標)(トウモロコシ)、NuCOTIN33B(登録商標)(綿)、Bollgard(登録商標)(綿)、NewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)、NatureGard(登録商標)及びProtexcta(登録商標)である。植物作物若しくはその種子材は共に、除草剤に耐性であることが可能であり、且つ、同時に、昆虫の摂食に耐性であることが可能である(「重畳的な」トランスジェニックイベント)。例えば、種子は、殺虫性Cry3タンパク質の発現能を有していることが可能であり、その一方で、同時にグリホサートに対して耐性である。
【0062】
作物はまた、従来の交配法若しくは遺伝子操作により得られ、及び、いわゆる、出力形質(例えば向上した貯蔵安定性、高い栄養価及び向上された風味)を有するものとして理解されるべきである。
【0063】
他の有用な植物としては、例えばゴルフコース、芝生、公園及び路側における芝草、又は、切芝用に商業的に栽培される芝草、並びに、花又は潅木などの観賞植物が挙げられる。
【0064】
これらの組成物は、不要な植物(総括して、「雑草」)の防除に用いることが可能である。防除される雑草は、例えばアグロスチス属(Agrostis)、スズメノテッポウ属(Alopecurus)、カラスムギ属(Avena)、ブラキアリア属(Brachiaria)、スズメノチャヒキ属(Bromus)、ケンクルス属(Cenchrus)、カヤツリグサ属(Cyperus)、メヒシバ属(Digitaria)、エキノクロア属(Echinochloa)、オヒシバ属(Eleusine)、ドクムギ属(Lolium)、モノコリア属(Monochoria)、ロットボエリア属(Rottboellia)、オモダカ属(Sagittaria)、ホタルイ属(Scirpus)、セタリア属(Setaria)及びモロコシ属(Sorghum)といった単子葉種、並びに、例えばイチビ属(Abutilon)、アマランサス属(Amaranthus)、ブタクサ属(Ambrosia)、アカザ属(Chenopodium)、キク属(Chrysanthemum)、イズハハコ属(Conyza)、ヤエムグラ属(Galium)、サツマイモ属(Ipomoea)、オランダガラシ属(Nasturtium)、シダ属(Sida)、シロガラシ属(Sinapis)、ナス属(Solanum)、ハコベ属(Stellaria)、クワガタソウ属(Veronica)、ビオラ属(Viola)及びオナモミ属(Xanthium)といった双子葉種の両方であり得る。本発明の化合物は、ホソムギ(Lolium Perenne)といった一定の芝草種に対して特に良好な活性を示すことが分かった。雑草はまた、作物とみなされ得るが、作物の領域の外側で成長する植物(「エスケープ(escape)」)、又は前に植えられていた異なる作物から残された種子から成長する植物(「ボランティア(volunteer)」)を含み得る。このようなボランティア又はエスケープは、特定の他の除草剤に対して耐性であり得る。
【0065】
本発明の化合物は、以下のスキームに従って調製可能である。
【化2】
Gが水素以外である式(I)の化合物は、Gが水素である式(I)を、公知の方法を用いて試薬G-Z(ここで、G-Zは、ハロゲン化アルキルなどのアルキル化剤、酸塩化物若しくは無水物などのアシル化剤、塩化スルホニルなどのスルホニル化剤、カルバモイルクロリドなどのカルバミル化剤、又は、クロロホルメートなどの炭酸塩化剤である)で処理することにより調製され得る。
【化3】
スキーム1
【0066】
式(I)の化合物は、Arが任意選択により置換されたフェニル基である式(A)のヨードニウムイリドと、式(B)のアリールボロン酸とを、好適なパラジウム触媒、塩基の存在下に、及び、好適な溶剤中で反応させることにより調製され得る。
【化4】
スキーム2
【0067】
好適なパラジウム触媒は一般に、パラジウム(II)又はパラジウム(0)錯体、例えばパラジウム(II)ジハライド、酢酸パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリシクロヘキシル-ホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)又はテトラキス-(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。パラジウム触媒はまた、所望のリガンドと錯化させることにより、例えば、錯化されるべきパラジウム(II)塩(例えばパラジウム(II)ジクロリド(PdCl2)又は酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2))を、所望のリガンド(例えばトリフェニルホスフィン(PPh3)、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル又は2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)と、選択された溶剤、式(N)の化合物、式(O)のアリールボロン酸及び塩基と一緒に組み合わせることにより、パラジウム(II)又はパラジウム(0)化合物から「インサイチュ」で調製可能である。例えば1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン又は1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンといった二座リガンドもまた好適である。反応媒体を加熱することにより、C-Cカップリング反応に所望されるパラジウム(II)錯体又はパラジウム(0)錯体が、それ故、「インサイチュ」で形成され、次いで、C-Cカップリング反応が開始される。
【0068】
パラジウム触媒は、式(N)の化合物を基準として0.001~50mol%の量、好ましくは、0.1~15mol%の量で用いられる。この反応はまた、例えば臭化テトラブチルアンモニウムといったテトラアルキルアンモニウム塩などの他の添加剤の存在下で実施され得る。好ましくは、パラジウム触媒は酢酸パラジウムであり、塩基は水酸化リチウムであり、及び、溶剤は水性1,2-ジメトキシエタンである。
【0069】
式(A)の化合物は、既知の手法に従う、水又は水性アルコール(水性エタノールなど)などの溶剤中における、(ジアセトキシ)ヨードベンゼン又はヨードソベンゼンなどの超原子価ヨウ素試薬、及び、水性炭酸ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムなどの塩基による処理によって、式(C)の1,3ジオン化合物から調製され得る。
【0070】
【0071】
或いは、プロピン基は、以下のステップ2などの合成シーケンスにおいて脱炭酸プロプニル化によって後に付加し得る。
【化6】
スキーム4
【0072】
ボロン酸は、以下のスキーム5などの方法によって調製可能である。例えば、式(B)又は(D)の化合物は、式(F)又は(H)のハロゲン化アリールから公知の方法によって調製し得る。例えば、式(F又はH)のハロゲン化アリールを、好ましくは、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフランといった好適な溶剤中、-80℃~30℃の温度において、アルキルリチウム又はアルキルハロゲン化マグネシウムで処理し得、次いで、得られたアリールマグネシウム又はアリールリチウム試薬を、ホウ酸トリアルキル(好ましくは、ホウ酸トリメチル)で処理することでアリールジアルキルボロネートが得られ、これを、加水分解することで、酸性条件下にて式(B)又は(D)のボロン酸が得られ得る。
【化7】
スキーム5
【0073】
式(I)の化合物はまた、例えば、J.Pinhey,Pure and Appl.Chem.,(1996),68(4),819、及び、M.Moloney et al.,Tetrahedron Lett.,(2002),43,3407に記載されている条件下において、式(D)の化合物を反応させて式(J)の有機鉛試薬を形成し、その後、1,3ジオン(C)と反応させることによる、以下のスキームに示されているPbカップリングを介して調製可能である。好適なトリアリールビスマス化合物を、例えば、A.Yu.Fedorov et al.,Russ.Chem.Bull.Int.Ed.,(2005),54(11),2602、及び、P.Koech and M.Krische,J.Am.Chem.Soc.,(2004),126(17),5350、並びに、これらにおける引用文献に記載されている条件下において、関連する手法として用い得る。
【化8】
スキーム6
【0074】
タイプ(I)の化合物はまた、以下のスキームに示されているパラジウムカップリングを介して調製可能であり、ここでは、鈴木タイプカップリングにおいて、タイプ(B)のボロン酸が好適に保護されているタイプ(K)のハロアルケンとカップリングされる。
【化9】
スキーム7
【0075】
好適な条件では、好適な1,3ジオンはまた、パラジウム触媒を伴って、ハロ化合物(例えば式(L)のもの)に直接カップリングし得る。既述の中間体(M)のプロプニル化はタイプ(I)の化合物をもたらす。
【化10】
スキーム8
【0076】
式(I)の化合物(G=H)は、好ましくは、酸又は塩基の存在下、及び、任意選択により、好適な溶剤の存在下における、米国特許公報4,209,532号明細書(T.Wheeler)に記載されているものと同様の方法による、Rが水素又はアルキル基である式(N)の化合物の環化によって調製し得る。式(N)の化合物は、式(I)の化合物の合成における中間体として特に設計されている。Rが水素である式(N)の化合物は、好ましくは、硫酸、ポリリン酸又はイートン試薬などの強酸の存在下における、任意選択により、酢酸、トルエン又はジクロロメタンなどの好適な溶剤の存在下での酸性条件下で環化し得る。
【化11】
スキーム9
【0077】
タイプ(I)の化合物はまた、以下のスキームに示されているとおり、好適な保護基の使用による後の段階における官能化によって形成可能である。化合物(Q)は、既述の方法によって中間体(R)に転換可能であり、次いで、保護基(示されているBOC基など)を除去可能である(本例においては酸性条件下)。次いで、中間体(S)は、化合物(例えば(U))に直接転換可能であり、又は、酸素及び窒素原子の両方で二重に反応させてタイプ(T)の化合物をもたらすことが可能である。タイプ(T)の化合物は、タイプ(I)のいずれかの化合物に容易に転換可能である:例えば、(T)のエノール-エステルを選択的に加水分解して(U、G=H)を得ることが可能であり、次いで、これを、既述の方法によって(U、GはH以外)に転換することが可能である。
【化12】
スキーム10
【0078】
これらのものなどの1,3ジオンは、以下に示されているものなどの方法を用いて調製し得る。従って、市販されているケトン(例えば、タイプ(V)のもの)は、中間体(W)に転換可能であり、次いで、中間体(X)に、及び、最後に脱カルボキシル化に転換して中間体(Q)を得ることが可能である(これらの方法は国際公開第2008/110308号に記載されている)。
【化13】
スキーム11
【0079】
以下の非限定的な例は、以下の表1及び2において言及されている代表的な本発明の化合物の特定の合成方法を提供するものである。
【実施例】
【0080】
実施例1:[3-アセチル-9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-10-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-8-イル]アセテート(化合物A2)及び[3-アセチル-9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-10-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-8-イル]アセテート(化合物P4)の合成
ステップ1:O3-t-ブチルO11-エチル8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3,11-ジカルボキシレートの合成
【化14】
t-ブチル4-アセトニリデンピペリジン-1-カルボキシレート(12.9g、54.0mmol)をエタノール(100mL)中に溶解し、プロパン二酸ジエチル(54.12mmol)を添加した。この反応混合物を、室温においてナトリウム(54.1mmol)をエタノール(30ml)に添加することにより調製しておいたナトリウムエトキシドの溶液で処理した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、1時間加熱還流した。冷却したら、反応混合物を減圧中で濃縮して、O3-t-ブチルO11-エチル8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3,11-ジカルボキシレートを油として得、これを、次のステップにおいてさらに精製することなく用いた。
【0081】
ステップ2:t-ブチル8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレートの合成
【化15】
ステップ1からの粗O3-t-ブチルO11-エチル8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3,11-ジカルボキシレートを水性NaOH(12M、5mL)中に溶解し、5時間撹拌した。0℃で濃HClを添加することにより反応混合物をpH6に酸性化し、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ、減圧中で濃縮して黄色の固体を残留させ、これを倍散したところ、t-ブチル8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレートの薄いピンク色の粉末が得られた。水性層を、濃HClを添加することによりpH2にさらに酸性化し、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ、減圧中で濃縮して薄い黄色の油を残留させ、これをエーテルで倍散して、t-ブチル8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート(3.914g、13.91mmol)の薄い黄色の粉末をさらなるバッチで得た。1H NMR(400MHz,CDCl
3,ケト由来のみ)3.51-3.25(m,6H),2.69-2.54(m,4H),1.47-1.43(m,9H),1.44-1.39(m,4H).
【0082】
ステップ3:t-ブチル9-(4-ブロモ-2,6-ジメチル-フェニル)-8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレートの合成
【化16】
t-ブチル8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート(0.5g、1.8mmol)及びDMAP(1.1g、8.9mmol)をクロロホルム(20mL)中に溶解した。反応混合物を窒素雰囲気下で10分間撹拌し、トルエン(5mL)、続いて、[ジアセトキシ-(4-ブロモ-2,6-ジメチル-フェニル)プルンビル]アセテート(1.2g、2.1mmol)を添加した。得られた懸濁液を窒素雰囲気下に75℃で3時間加熱し、次いで、室温に冷却した。反応混合物を2M HCl(50mL)で処理したところ、撹拌で白色の沈殿物が形成された。混合物をろ過し、有機相を分離し、水性層をDCMで抽出した。組み合わせた有機物を乾燥させ(MgSO4)、蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィ(勾配溶離:5~100% EtOAc:イソヘキサン)により精製して、t-ブチル9-(4-ブロモ-2,6-ジメチル-フェニル)-8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート(0.51g、1.1mmol)を得た。1H NMR(400MHz,CD
3OD)7.25-7.10(m,2H),3.54-3.43(m,4H),2.61-2.52(m,4H),2.05-1.98(m,7H),1.72-1.56(m,4H),1.48-1.39(m,9H).
【0083】
ステップ4:t-ブチル9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレートの合成
【化17】
4-ジフェニルホスファニルブチル(ジフェニル)ホスファン(32mg、0.075mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(26mg、0.0373mmol)及び2-ブチン酸(346mg、0.894mmol)をマイクロ波バイアル中に置いた。t-ブチル9-(4-ブロモ-2,6-ジメチル-フェニル)-8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート(0.346g、0.745mmol)のDMSO(6mL/mmol)中の溶液、続いて、DBU(0.34g、2.24mmol)を添加し、反応混合物を、マイクロ波の照射下に110℃で45分間加熱した。この反応を2M HClで希釈し、DCMで抽出した。有機物を乾燥させ、減圧中で濃縮してオレンジ色のガムを残留させ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィ(勾配溶離:イソ-ヘキサン中のEtOAc 10~100%)により精製して、t-ブチル9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート(0.193g、0.456mmol)を得た。1H NMR(400MHz,CD
3OD)7.07-6.93(m,2H),3.52-3.45(m,4H),2.62-2.53(m,4H),2.02-1.98(m,9H),1.70-1.60(m,4H),1.51-1.42(m,9H).
【0084】
ステップ5:9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-8,10-ジオンヒドロクロリドの合成、続く、[3-アセチル-9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-10-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-8-イル]アセテート(化合物P4)の合成。
【化18】
t-ブチル9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-8,10-ジオキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-3-カルボキシレート(0.193g、0.456mmol)を、1,4-ジオキサン中の4M HCl(4mL、16mmol)中において、室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧中で濃縮して、9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-8,10-ジオンヒドロクロリドを白色の固体として残留させた。
【0085】
上記の固体をジクロロメタン(5mL)中に溶解し、塩化アセチル(1.14mmol)、続いて、N,N-ジエチルエタンアミン(0.912mmol)を添加した。室温で1時間30分間撹拌した後、さらなる分量のN,N-ジエチルエタンアミン(0.912mmol)及び塩化アセチル(1.14mmol)を添加し、反応混合物をさらに3時間撹拌した。この反応を2M HClで希釈し、DCMで抽出した。有機物を乾燥させ、減圧中で濃縮してオレンジ色のガムを残留させ、これを、フラッシュクロマトグラフィ(勾配溶離:5~100%EtOAc:イソヘキサン、続いて、20% DCM中のMeOH)により精製して、[3-アセチル-9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-10-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-8-イル]アセテート(0.1637g、0.4017mmol)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=7.10-7.03(s,2H),3.80-3.66(m,1H),3.62-3.45(m,3H),2.75-2.70(d,2H),2.62-2.58(d,2H),2.13-2.10(s,3H),2.04-2.02(s,3H),2.03-2.01(s,6H),1.88-1.86(m,3H),1.85-1.77(m,1H),1.76-1.61(m,3H)
【0086】
ステップ7:3-アセチル-9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-8,10-ジオン(化合物A2)の合成
【化19】
[3-アセチル-9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-10-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-8-イル]アセテート(0.111g、0.272mmol)をメタノール(3mL)中に溶解し、K
2CO
3(76mg、0.545mmol)で処理した。この反応混合物を室温で1時間30分間撹拌し、次いで、2M HCl中に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。有機物を乾燥させ、減圧中で濃縮して、3-アセチル-9-(2,6-ジメチル-4-プロプ-1-イニル-フェニル)-3-アザスピロ[5.5]ウンデカン-8,10-ジオン(0.0669g、0.183mmol)を得た。1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ=7.05-7.01(s,2H),3.67-3.59(m,2H),3.59-3.53(m,2H),2.62-2.56(s,4H),2.14-2.07(s,3H),2.02-2.01(s,6H),2.00-1.98(s,3H),1.79-1.73(m,2H),1.69-1.61(m,2H)
【0087】
本発明の除草性化合物の例。
【0088】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0089】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0090】
【0091】
生物学的実施例
ポット中の標準的な土壌中に多様なテスト種(ホソムギ(Lolium perenne)(LOLPE)、アキノエノコログサ(Setaria faberi)(SETFA)、アロペクルスミオスロイデス(Alopecurus myosuroides)(ALOMY)、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)(ECHCG)、アベナファツア(Avena fatua)(AVEFA))の種子を播種する。温室において制御された条件下(24/16℃、昼/夜;14時間の明かり;65%湿度)で、1日間栽培した後(発芽前)、又は、8日間栽培した後(発芽後)に、これらの植物に、0.5%のTween 20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、CAS RN9005-64-5)を含有するアセトン/水(50:50)溶液中の技術的有効成分配合物から得られる噴霧水溶液を噴霧する。化合物は250g/hで適用する。次いで、テスト植物を、温室中において、温室中の制御された条件下(24/16℃、昼/夜;14時間の明かり;65%湿度)で、1日2回水をあげて成長させる。13日間後に、発芽前及び発芽後について、テストを植物に生じた損傷割合について評価する。生物学的活性を、以下の表において5点のスケール(5=80~100%;4=60~79%;3=40~59%;2=20~39%;1=0~19%)で示す。
【0092】
【0093】
上記の手法のアウトラインを用いて、2種の雑草種であるアベナファツア(Avena fatua)(AVEFA)及びロリウムムルチフロルム(Lolium multiflorum)(LOLPE)と共に、コムギ及びオオムギ作物植物を、本発明の化合物A2又はコンパレータ化合物C1(国際公開第2014/096289号由来の化合物A-38)により記載の施用量で、発芽後処理する。また、化合物は、毒性緩和剤化合物であるクロキントセットメキシル(CQC)(50g/ha)と併用した。
【0094】
【0095】
上記の表B2にアウトラインされている結果は、観察された殺草割合を示し、本発明の化合物A2は、従来技術の化合物C1と比して、コムギ及びオオムギ作物に与える損傷が明らかに少ないことが示されている。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕式(I)
【化20】
(式中、
R
1
は、メチルであり;
R
2
は、メチル又はメトキシであり;
R
3
は、メチル又はメトキシであり;
R
4
は、水素、C
1
~C
4
アルキル、C
1
~C
4
アルコキシ-、C
1
~C
4
ハロアルキル、-C(=O)C
1
~C
4
アルキル及び-C(=O)C
1
~C
4
ハロアルキルからなる群から選択され;
Gは、水素、-(CH
2
)
n
-R
a
、-C(O)-R
a
、-C(O)-O-R
d
、-C(O)-S-R
d
、-C(O)NR
a
R
a
、-S(O)
2
-C
1
~C
8
アルキル及びC
1
~C
8
アルコキシ-C
1
~C
3
アルキル-からなる群から選択され;
R
a
は、水素、C
1
~C
8
アルキル、C
1
~C
3
ハロアルキル、C
2
~C
8
アルケニル、C
2
~C
8
アルキニル、C
3
~C
6
シクロアルキル及びフェニルからなる群から独立して選択され;
R
d
は、C
1
~C
8
アルキル、C
1
~C
3
ハロアルキル、C
2
~C
8
アルケニル、C
2
~C
8
アルキニル、C
3
~C
6
シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され;
n=0、1又は2である)
の化合物又はその農学的に許容可能な塩。
〔2〕R
2
がメチルである、前記〔1〕に記載の化合物。
〔3〕R
3
がメチルである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の化合物。
〔4〕R
3
がメトキシである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の化合物。
〔5〕R
4
がC
1
~C
2
アルコキシ-である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の化合物。
〔6〕R
4
が-C(=O)C
1
~C
3
アルキルである、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の化合物。
〔7〕R
4
が-C(=O)C
1
~C
3
ハロアルキルである、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の化合物。
〔8〕Gが水素である、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の化合物。
〔9〕Gが-C(O)C
1
~C
6
アルキルである、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の化合物。
〔10〕Gが-C(O)-O-C
1
~C
6
アルキルである、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の化合物。
〔11〕前記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と、農学的に許容可能な配合助剤とを含む、除草性組成物。
〔12〕少なくとも1種の追加の殺有害生物剤をさらに含む、前記〔11〕に記載の除草性組成物。
〔13〕前記追加の殺有害生物剤が、除草剤又は除草剤毒性緩和剤である、前記〔12〕に記載の除草性組成物。
〔14〕生息地における雑草の防除方法であって、雑草防除量の前記〔11〕~〔13〕のいずれか一項に記載の組成物を前記生息地に適用する工程を含む、方法。
〔15〕除草剤としての前記〔1〕に記載の式(I)の化合物の使用。