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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ワーク容器システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20230531BHJP
   G03F 1/66 20120101ALI20230531BHJP
【FI】
H01L21/68 T
G03F1/66
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021080201
(22)【出願日】2021-05-11
(65)【公開番号】P2022058128
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】109134304
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】17/168,207
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520256488
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミン-チエン チウ
(72)【発明者】
【氏名】チア-ホー チョアン
(72)【発明者】
【氏名】シン-ミン シュエ
(72)【発明者】
【氏名】シン-ミン ウェン
(72)【発明者】
【氏名】シュー-フン リン
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-257852(JP,A)
【文献】国際公開第2007/074757(WO,A1)
【文献】特開2004-071729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
G03F 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材を備える保管アセンブリを含むワーク容器システムであって、
前記シート部材は、
幾何学的中心領域を包含し、ワークを受け入れるように構成されたワーク受け入れ領域を備え、前記幾何学的中心領域を通る縦軸を有する保管部と、
前記保管部の両側に前記縦軸に沿って配置され、各々が前記保管部の厚さよりも薄い厚さを有する一対のフランク部と、を有し、
前記ワーク受け入れ領域内の前記保管部上には拡散誘導構成要素が設けられ、前記拡散誘導構成要素は、前記幾何学的中心領域に対してオフセットしており、下方に徐々に減少する幅を備えた拡散ポートを含む、
ワーク容器システム。
【請求項2】
前記ワーク受け入れ領域は、パターン領域を有する基板を受け入れるように構成され、
前記拡散誘導構成要素は、前記パターン領域の平面投影内に設けられる、
請求項1に記載のワーク容器システム。
【請求項3】
前記拡散誘導構成要素は、前記保管部の前記幾何学的中心領域の周囲の前記ワーク受け入れ領域内に配置された複数の拡散ポートアセンブリを含む、
請求項2に記載のワーク容器システム。
【請求項4】
前記拡散ポートアセンブリは、フィルタカバーと、カバー保持部材とを含み、
前記フィルタカバー及び前記カバー保持部材は組み立て時に、前記シート部材の外面と面一となっている、
請求項3に記載のワーク容器システム。
【請求項5】
前記拡散ポートアセンブリは、前記フィルタカバーによって保持されるように構成されたフィルタ膜をさらに含み、
前記フィルタ膜は、フッ素を含まない、
請求項4に記載のワーク容器システム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記拡散ポートアセンブリは、前記保管部の前記幾何学的中心領域の周りの4つの四分円領域のそれぞれに配置される、
請求項3に記載のワーク容器システム。
【請求項7】
前記シート部材の前記保管部は、前記幾何学的中心領域の周囲の前記四分円領域の各々にそれぞれ配置された複数のウェイトシェービング領域を備え、
前記ウェイトシェービング領域内の前記シート部材の厚さは、前記幾何学的中心領域内の厚さよりも薄く、
前記拡散ポートアセンブリは、前記ウェイトシェービング領域内にそれぞれ配置される、
請求項6に記載のワーク容器システム。
【請求項8】
前記シート部材の前記保管部は、前記パターン領域の投影に対応して配置された谷部を備え、
前記拡散ポートアセンブリは、前記谷部に配置される、
請求項6に記載のワーク容器システム。
【請求項9】
前記シート部材は、前記ワーク受け入れ領域を囲む平面ループプロファイルを有するトレンチ構造を備える、
請求項2に記載のワーク容器システム。
【請求項10】
前記シート部材は、前記ワーク受け入れ領域のそれぞれの角の周りに突出して配置された複数の位置決め構造をさらに備え、
前記トレンチ構造は、前記位置決め構造をそれぞれ包含する複数のガイドトレンチセグメントを備える、
請求項9に記載のワーク容器システム。
【請求項11】
保管アセンブリを含むワーク容器システムであって、
前記保管アセンブリは、
パターン領域を有する基板を受け入れるように構成された、幾何学的中心領域を包含するワーク受け入れ領域を画定するシート部材と、
前記基板を収容するためのエンクロージャを協働的に形成するように構成された、前記ワーク受け入れ領域の周辺領域で前記シート部材と係合するように構成されたシートカバーと、を含み、
外向きに拡散するための下部拡散誘導構成要素が、前記基板のパターン領域の平面投影内で、前記シート部材上に設けられ、前記幾何学的中心領域をオフセットする、
ワーク容器システム。
【請求項12】
前記下部拡散誘導構成要素は、前記幾何学的中心領域の周囲の前記ワーク受け入れ領域内に配置された複数の拡散ポートアセンブリを含む、
請求項11に記載のワーク容器システム。
【請求項13】
前記拡散ポートアセンブリは、フィルタカバーと、前記フィルタカバーによって保持されるように構成された下部フィルタ膜と、カバー保持部材とを含み、
前記フィルタカバー及び前記カバー保持部材は組み立て時に、前記シート部材の外面と面一となっている、
請求項12に記載のワーク容器システム。
【請求項14】
前記下部フィルタ膜は、フッ素を含まない、
請求項13に記載のワーク容器システム。
【請求項15】
前記シートカバーは、前記下部拡散誘導構成要素と投影的に重なる上部拡散誘導構成要素を備え、
前記上部拡散誘導構成要素は、前記下部フィルタ膜と異なる材料組成を有する上部フィルタ膜を備える、
請求項14に記載のワーク容器システム。
【請求項16】
前記上部フィルタ膜は、布ベースの材料を含み、
前記下部フィルタ膜は、金属材料を含む、
請求項15に記載のワーク容器システム。
【請求項17】
少なくとも1つの前記拡散ポートアセンブリは、前記幾何学的中心領域の周りの4つの四分円領域のそれぞれに配置される、
請求項12に記載のワーク容器システム。
【請求項18】
前記シート部材は、前記幾何学的中心領域の周囲の前記四分円領域の各々にそれぞれ配置された複数のウェイトシェービング領域を備え、
前記ウェイトシェービング領域内の前記シート部材の厚さは、前記幾何学的中心領域内の厚さよりも薄く、
前記拡散ポートアセンブリは、前記ウェイトシェービング領域内にそれぞれ配置される、
請求項17に記載のワーク容器システム。
【請求項19】
前記シート部材は、前記基板の前記パターン領域の投影に対応して配置された谷部を備え、
前記拡散ポートアセンブリは、前記谷部に配置される、
請求項17に記載のワーク容器システム。
【請求項20】
前記保管アセンブリの前記シート部材の光学的観察を可能にしながら、前記保管アセンブリを囲むように構成された搬送アセンブリをさらに含む、
請求項11に記載のワーク容器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年9月30日に出願された台湾特許出願第109134304号の利益を主張し、これを参照により本明細書に取り込まれ、本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、フォトマスク、レチクル、及びウエハなどの壊れやすい物体の保管、搬送、出荷、及び処理のための容器に関し、特に、極端紫外線(EUV)リソグラフィプロセスのためのレチクルの保管、搬送、出荷、及び処理のための保持システムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業において、潜在的な周囲の危険からのワーク保護のレベルの増大に対する要求を満たすために、ワーク容器(例えば、フォトマスク/レチクルリテーナ)は、そのペイロードの高精度要求と共に進化してきた。
【0004】
例えば、新世代のレチクルリテーナには、レチクルを受け入れ/保管するための保管アセンブリ(例えば、内側ポットユニット)と、保管アセンブリを保管/搬送するための搬送アセンブリ(例えば、外側ポットユニット)とを含むデュアルポッド構成が提供されることがある。搬送中、レチクルは、保管アセンブリの内部に梱包されてもよい。保管目的のために、レチクルをその中に収容する容器システムは、(例えば、大気環境下でロボットによって)外側ポッドオープナに搬送されてもよい。その後、搬送アセンブリは、そこからの保管アセンブリの回収を可能にするために、オープナによって開かれ得る。次いで、内側ポッドは、(例えば、真空環境下でロボットによって)真空レチクルライブラリに運ばれ、そこに保管されてもよい。リソグラフィプロセスを実行するために、保管されたレチクルを使用する後続の露光プロセスの前に、露光装置内の指定された位置に到達すると、保管アセンブリを開くことができる。
【0005】
しかしながら、容器システムを使用してワークを保管/搬送する場合、保管アセンブリ内に微粒子汚染物質、気相汚染物質(例えば、アウトガス又は湿気)、又は空気中分子汚染物質(AMC)が存在し得る。汚染物質は、受け取ったワークに悪影響を及ぼすことがある。したがって、容器システムのための汚染制御機構が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、フォトマスク、レチクル、及びウエハなどの壊れやすい物体の保管、搬送、出荷、及び処理のためのワーク容器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、シート部材を備える保管アセンブリを含み、シート部材は、幾何学的中心領域を包含し、ワークを受け入れるように構成されたワーク受け入れ領域を備え、幾何学的中心領域を介して縦軸を画定する保管部と、保管部の両側に縦軸に沿って配置され、各々が保管部の厚さよりも薄い厚さを有する一対のフランク部と、を有し、拡散誘導構成要素が、ワーク受け入れ領域内の保管部上に設けられ、幾何学的中心領域をオフセットする、ワーク容器システムを提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、ワーク受け入れ領域は、パターン領域を有する基板を受け入れるように構成され、拡散誘導構成要素は、パターン領域の平面投影内に設けられる。
【0009】
いくつかの実施形態では、拡散誘導構成要素は、保管部の幾何学的中心領域の周囲のワーク受け入れ領域内に配置された複数の拡散ポートアセンブリを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、拡散ポートアセンブリは、フィルタカバーと、カバー保持部材とを含み、フィルタカバー及びカバー保持部材は組み立て時に、シート部材の外面と実質的に面一となる
【0011】
いくつかの実施形態では、拡散ポートアセンブリは、フィルタカバーによって保持されるように構成されたフィルタ膜をさらに含み、フィルタ膜は、フッ素を実質的に含まない。
【0012】
いくつかの実施形態では、拡散ポートアセンブリのうちの少なくとも1つは、保管部の幾何学的中心領域の周りのそれぞれの四分円領域に配置される。
【0013】
いくつかの実施形態では、シート部材の保管部は、幾何学的中心領域の周囲の四分円領域の各々にそれぞれ配置された複数のウェイトシェービング領域を備え、ウェイトシェービング領域内のシート部材の厚さは、幾何学的中心領域内の厚さよりも薄く、拡散ポートアセンブリは、ウェイトシェービング領域内にそれぞれ配置される。
【0014】
いくつかの実施形態では、シート部材の保管部は、パターン領域の投影に対応して配置されたウェイトシェービング領域を備え、拡散ポートアセンブリは、ウェイトシェービング領域に配置される。
【0015】
いくつかの実施形態では、シート部材は、ワーク受け入れ領域を囲む平面ループプロファイルを有するトレンチ構造を備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、シート部材は、ワーク受け入れ領域のそれぞれの角の周りに突出して配置された複数の位置決め構造をさらに備え、トレンチ構造は、位置決め構造をそれぞれ包含する複数のガイドトレンチセグメントを備える。
【0017】
本開示の他の態様は、保管アセンブリを含むワーク容器システムであって、保管アセンブリは、パターン領域を有する基板を受け入れるように構成された、幾何学的中心領域を包含するワーク受け入れ領域を画定するシート部材と、基板を収容するためのエンクロージャを協働的に形成するように構成された、ワーク受け入れ領域の周辺領域でシート部材と係合するように構成されたシートカバーと、を含み、下部拡散誘導構成要素が、基板のパターン領域の平面投影内で、シート部材上に設けられ、幾何学的中心領域をオフセットする、ワーク容器システムを提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、下部拡散誘導構成要素は、幾何学的中心領域の周囲のワーク受け入れ領域内に配置された複数の拡散ポートアセンブリを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、拡散ポートアセンブリは、フィルタカバーと、フィルタカバーによって保持されるように構成された下部フィルタ膜と、カバー保持部材とを含み、フィルタカバー及びカバー保持部材は組み立て時に、シート部材の外面と実質的に面一となっている。
【0020】
いくつかの実施形態では、下部フィルタ膜は、フッ素を実質的に含まない。
【0021】
いくつかの実施形態では、シートカバーは、下部拡散誘導構成要素と投影的に重なる上部拡散誘導構成要素を備え、上部拡散誘導構成要素は、下部フィルタ膜と実質的に異なる材料組成を有する上部フィルタ膜を備える。
【0022】
いくつかの実施形態では、上部フィルタ膜は、布ベースの材料を含み、下部フィルタ膜は、金属材料を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、拡散ポートアセンブリのうちの少なくとも1つは、幾何学的中心領域の周りのそれぞれの四分円領域に配置される。
【0024】
いくつかの実施形態では、シート部材は、幾何学的中心領域の周囲の四分円領域の各々にそれぞれ配置された複数のウェイトシェービング領域を備え、ウェイトシェービング領域内のシート部材の厚さは、幾何学的中心領域内の厚さよりも薄く、拡散ポートアセンブリは、ウェイトシェービング領域内にそれぞれ配置される。
【0025】
いくつかの実施形態では、シート部材は、基板のパターン領域の投影に対応して配置されたウェイトシェービング領域を備え、拡散ポートアセンブリは、ウェイトシェービング領域に配置される。
【0026】
いくつかの実施形態では、保管アセンブリのシート部材の光学的観察を可能にしながら、保管アセンブリを囲むように構成された搬送アセンブリをさらに含む。
【0027】
本開示の列挙された特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによってなされ得、実施形態のいくつかは、添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの概略断面図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの等角図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の等角分解図である。
図4a】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の底面図である。
図4b】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略断面図である。
図5a】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の底面図である。
図5b】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略断面図である。
図6a】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の上面図である。
図6b】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略断面図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの等角分解図である。
図8a】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図8b】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図8c】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図8d】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図8e】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図9a】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図9b】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略断面図である。
図10a】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図10b】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図11a】本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの概略図である。
図11b】本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの概略図である。
図12a】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図12b】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
図13】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、添付の図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の例示的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の同等に有効な実施形態を許容し得るので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【0030】
これらの図は、特定の例示的な実施形態において利用される方法、構造、及び/又は材料の一般的な特徴を示すこと、及び以下に提供される書面による説明を補足することを意図していることに留意されたい。しかしながら、これらの図面は、一定の縮尺ではなく、所与の実施形態の正確な構造又は性能特性を正確に反映していない可能性があり、例示的な実施形態によって包含される値又は特性の範囲を定義又は限定するものと解釈されるべきではない。例えば、層、領域、及び/又は構造要素の相対的な厚さ及び配置は、明確にするために低減または、誇張され得る。様々な図面における類似又は同一の参照番号の使用は、類似若しくは、同一の要素、又は類似若しくは、同一の特徴の存在を示すことを意図している。
【0031】
以下、本開示の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本開示をより十分に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ十分であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0032】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「1つ」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図される。さらに、本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含む(including)」、又は「有する(has)」及び/又は「有する(having)」という用語は、述べられた特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を妨げるものではないことが理解されよう。
【0033】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術及び本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書中で明示的にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されよう。
【0034】
例示的な実施形態について、図1図13の添付図面と併せて説明する。図面を参照して本開示を詳細に説明するが、図示された要素は、必ずしも一定の縮尺で示されておらず、同様又は類似の要素は、複数の図を通して同一又は類似の参照番号と、同一又は類似の用語とにより示されている。
【0035】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの概略断面図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的な装置のいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付け/図示されていない。
【0036】
図1を参照すると、例示的なワーク容器システム100は、内部にワーク(例えばレチクル)を保管するように構成された内側ポッド(例えば、保管アセンブリ120)と、保管アセンブリ120を収容するように構成された外側ポッド(例えば、搬送アセンブリ110)とを備える。
【0037】
図示の実施形態では、保管アセンブリ120は、シート部材122と、シート部材122と係合するように構成されたシートカバー121とを備え、ワーク(例えば、レチクルR)を収容するために、エンクロージャ上に協働して内部容積を形成する。
【0038】
例示的なシート部材122は、保管されたワークを受け入れ/支持するように構成される。シート部材122は、ワークを受け入れるワーク収容領域122aを設けた保管部125を有する。図示の実施形態では、シート部材122には、さらに、保管部125の上面に配置されてレチクルRを支持する支持要素(例えば、支持ポスト124)が設けられている。シート部材122は、さらに、半導体装置のロボットアームによって、あるチャンバから別のチャンバに搬送されるように構成される。例えば、シート部材122は、保管部125の両側に配置された一対のフランク部126をさらに有する。同断面図では、フランク部126には、保管部125よりも薄い厚さが設けられている。このような厚さの違いにより、シート部材122のエッジ部の近くに段差プロファイルが生成される。一対の段差プロファイルは、フォーク状構造を有するロボットアームとの接触インターフェースとして機能するように構成される。このような構成により、シート部材122を横方向に保持し、フォーク状アームによって垂直に支持することができる。
【0039】
いくつかのシナリオでは、保管されるワークが半導体基板(例えば、極端紫外線リソグラフィレチクルR)であってもよい。レチクルRの機能面(すなわち、マスクレイアウトパターンが画定された下向きの面)は、リソグラフィプロセス中にフォトレジスト層上に投影される像の表面へのダメージ又は歪みを防止するために、汚染物質がないように保たれることが重要である。
【0040】
保管アセンブリ120の外部粒子/汚染物質から敏感で壊れやすいワークを保護するために、シート部材122とシートカバー121との間の係合は、ある程度の気密性を備えてもよい。さらに、その敏感で壊れやすい内容物を徹底的に保護するために、シートカバー121及びシート部材122に電磁干渉(EMI)遮蔽特性を設けてもよい。EMI遮蔽能力を提供するための適切な材料は、金属などの導電性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シート部材122及びシートカバー121がアルミニウムなどの金属から実質的に作製される。いくつかの実施形態では、金属コーティング(銅又は金など)、疎水性及び/又は親水性処理などの表面処理を、保管アセンブリ120の表面の選択的領域上にさらに施すことができる。
【0041】
前述の微粒子汚染物質の他に、気相汚染物質又は空気中分子汚染物質(AMC)が密封された保管アセンブリ内に存在することがある。保管アセンブリを密閉係合させることが可能であっても、処理中にワークが容器システムから取り外され、容器システム内で交換されると、システム内に空気が侵入する可能性がある。例えば、空気中の水分は、保管アセンブリ120の内部に見出すことができる。適当な露点温度では、水分の一部が空気中から凝縮し、レチクルR上に堆積することがある。気相又は気体汚染の他の原因(例えば、NH(アンモニア)及びSO(二酸化硫黄))は、フォトマスクライフサイクル中のレチクル/ポッド洗浄操作から生じる溶剤残渣である。これらの化学薬品の一部及び水分は、石英で作られたレチクル上のヘイズ形成を促進する可能性がある。レチクルRのパターン面上にヘイズ及び/又は水蒸気が凝縮すると、光学系が干渉され、リソグラフィプロセス中に半導体ウエハ上に転写されたパターンが歪むことがある。
【0042】
例示的な内側ポッド120には、内側ポッド120からの気相汚染物質又は空気中分子汚染物質の低減又は除去を可能にする1つ又は複数の拡散誘導構成要素(例えば、構成要素127、128、及び129)が設けられる。例えば、拡散誘導構成要素を設けることにより、保管アセンブリ内部から外部周囲への水分の拡散が可能になる(例えば、保管アセンブリ内部の湿度が周囲の湿度よりも実質的に大きい場合、又はシステムが清浄乾燥空気で浄化される場合)。
【0043】
内部水分は、1つ又は複数の拡散誘導構成要素を介して内側ポッド120から外に拡散することができる。したがって、レチクル上の水の堆積又はヘイズの形成を軽減することができる。いくつかの実施形態では、拡散誘導構成要素は、内側ポッドの内部と外部との間の流体連通を可能にする、保管アセンブリのカバー/ベースに形成された複数のチャネル/ポート/貫通孔を含んでもよい。いくつかの実施形態では、拡散誘導構成要素は、微粒子汚染物質が通過するのを防止するように構成されたフィルタ要素をさらに含んでもよい。
【0044】
保管アセンブリ120のカバーユニット(例えば、カバー部材121)の上面は、上部拡散誘導構成要素(例えば、受け取ったワークの上方に配置された拡散誘導構成要素129)のための好都合な場所であるが、上部に取り付けられた拡散部材は、特定の用途(特に、ワークの底面の周囲の領域)において、十分なレベルの湿度抽出効率を提供しない場合がある。
【0045】
例えば、いくつかの実施形態では、シート部材122の上面と受け取ったワークの底面との間の間隔は、組み立て時に0.3mm以下である。狭い間隔は、ワーク下の気流誘導に有利でない可能性がある。したがって、ワーク下の水分などの気相汚染物質が、ワーク上を上部に取り付けられた拡散部材に向かって移動することが困難である場合がある。
【0046】
拡散効率をさらに高めるために、例示的な実施形態のシート部材122には、ワークの下方に配置された下部拡散誘導構成要素127が設けられている。このような配置は、効果的な抽出のために、ワークの下の水分の拡散を容易にする。
【0047】
図示の実施形態では、搬送アセンブリ110は、シート部材122を受け入れるように構成された外側ベース112と、外側ベース112と係合する(及び保管アセンブリ120を覆う)ように構成された外側カバー111とを備える。いくつかの実施形態では、外側ベース112及び外側カバー111の一方又は両方に静電荷散逸特性を設けて、保管されたワーク又は保管アセンブリ上に蓄積された電荷の放出を可能にしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、外側ポッド110は、導電性繊維と混合されたポリマー材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、外側カバー111及び外側ベース112の一方又は両方は、炭素繊維が埋め込まれた樹脂材料から作製される。
【0048】
いくつかの実施形態では、外側ポッド110は、清浄乾燥空気(CDA)、余分なCDA、又はソースからの乾燥不活性ガス(窒素など)の入口を可能にするように構成された、1つ又は複数のガス入口ポート(図示せず)をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、外側ポッド110は、外側ポッド110内部のガスの低減又は除去を可能にするように構成された、1つ又は複数のガス出口ポートをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、ガス入口及び/又は出口ポートは、ポート内部の流れを制御するように構成されたバルブをさらに備えてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、押圧ユニット(例えば、押さえピン141)は、ワークを押圧/保持するために、シートカバー121の上面に設けられてもよい。例示的な外側ポッド110は、保管アセンブリ120の押さえピン141に対応して配置された押圧要素171をさらに備える。外側カバー111が外側ベース112に結合されると、押圧要素171が押さえピン141を押してワークRを押圧/保持し、これにより、受け取り時のワークの動きを抑制する。
【0050】
図示の実施形態では、押圧要素171は、押さえピン141をその露出部分(例えば、その上面)で押圧するように構成されている。図示の実施形態では、受圧面の露出部分の投影面積の幅は、押圧要素の幅よりも小さい。
【0051】
いくつかの実施形態では、押圧要素171及び押さえピン141は、電荷散逸特性をさらに有している。したがって、外側カバー111が外側ベース112に結合されると、押圧要素171は、押さえピン141を押してワークRを押圧し、受け取ったワークRから押さえピン141及び押圧要素171を通って外側カバー111への電荷散逸経路(この図では、影付き矢印によって示される)を確立する。いくつかの動作シナリオでは、外側カバー111は、受け取ったワークR上に蓄積された電荷が電荷散逸経路を通ってアースに散逸されることを可能にするように、接地されてもよい。押さえピン141の材料は、導電性又は静電散逸性材料を含み得、それによって、押さえピン141を電荷散逸経路の一部にして、そこでの接地を可能にする。いくつかの実施形態では、押さえピン141及び押圧要素171は、約10Ω~1011Ωの表面抵抗値を有する。いくつかの実施形態では、押さえピン141及び押圧要素171は、約10Ω未満の表面抵抗値を有する。
【0052】
図示の実施形態では、外側ポッド110は、保管アセンブリ120を支持するように構成された、外側ベース112上に配置された支持構造190をさらに含む。支持構造190は、外側ベース112と一体的に形成されてもよく、又はその上に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、保管アセンブリ120の支持要素124及び外側ポッド110の支持構造190は、電荷散逸特性をさらに有する。したがって、外側カバー111が外側ベース112に結合される(したがって、シート部材122上の支持要素124がワークRとの接点を確立する)と、受け取ったワークRから、支持要素124、シート部材122、及び支持構造190を通って、外側ベース112への電荷散逸経路(この図では、影付き矢印によって示される)を形成することができる。いくつかの実施形態では、支持要素124及び支持構造190は、約10Ω~1011Ωの表面抵抗値を有する。いくつかの実施形態では、支持要素124及び支持構造190は、約10Ω未満の表面抵抗値を有する。
【0053】
図1に示すように、例示的なシステムは、シート部材122のワーク収容領域122aに形成された第1の観察可能領域Z11を有しており、レチクルRを観察することができる。いくつかの実施形態では、第1の観察可能領域Z11は、信号透過構造(例えば、開口部又は信号透過部材)を含むウインドウを備えてもよい。例えば、例示的なシート部材122は、第1の観察可能領域Z11に配置された内側光学部材1221を含む。いくつかの実施形態では、内側光学部材1221は、赤外線光、可視光、又は紫外線信号に関して信号透過性材料で構成されてもよい。内側光学部材1221の適切な材料は、ガラス(例えば、石英ガラス)、アクリル、透明プラスチック、又は他の同等の材料を含んでもよい。図示の実施形態では、内側光学部材1221は、シート部材122内(ワーク収容領域122a内)に埋め込まれて配置された石英ガラス片を含んでもよい。
【0054】
図示の実施形態では、第1の観察可能領域Z11は、レチクルR(概略図に明示的に示されていない)の受け入れるときに、レチクルRの識別特徴(例えば、1-D又は2-Dバーコード)の観察を可能にするように対応して設計される。いくつかの実施形態では、レチクルRの識別特徴は、そのウインドウに面する表面に形成され、第1の観察可能領域Z11から見ることができる。
【0055】
図示の実施形態では、外側ベース112は、それに画定された第2の観察可能領域Z12を有する。第2の観察可能領域Z12は、保管アセンブリ120の第1の観察可能領域Z11に観察可能に整列されるように配置される。したがって、容器システム100内に保持されたレチクルR1の迅速な視覚的識別又は光学的確認(レチクルRの状態及び識別など)は、外側ポッドを開放する必要なしに、第2の観察可能領域Z12及び第1の観察可能領域Z11を通した光学的走査によって達成することができる。したがって、ポッドが開く頻度は、半導体製造プロセス中に低減され得、これにより、潜在的に危険な周囲要因に対する敏感な精密ワークの露出を最小化する。
【0056】
図示の実施形態では、外側ベース112は、シート部材122を支持するように構成された上部デッキ112aと、上部デッキ112aに対向する下部デッキ112bとを備える中空本体を有する。いくつかの実施形態では、例示的な上部デッキ112a及び下部デッキ112bの両方は、実質的に水平なプレートの構造を備えてもよい。例示的な下部デッキ112bは、上部デッキ112aを封止するように構成される。いくつかの実施形態では、下部デッキ112bと上部デッキ112aとが一体的に形成されている。例示的な第2の観察可能領域Z12は、上部デッキ112a及び下部デッキ112bにそれぞれ配置された2つの重なり合った信号透過構造(例えば、外側光学部材1121)を含むウインドウを備える。
【0057】
いくつかの実施形態では、上部デッキ112a及び/又は下部デッキ112bに埋め込まれた外側光学部材1121は、赤外線光、可視光、又は紫外線信号に関して信号透過性材料で構成されてもよい。外側光学部材1121の適切な材料は、ガラス(例えば、石英ガラス)、アクリル、透明プラスチック、又は同等の材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外側光学部材1121の透過率値が上述のスペクトル範囲のうちの1つ以上における光信号に対して80%を超える。特定の適用要件に応じて、いくつかの実施形態では、光学部材(例えば、外側光学部材及び/又は内側光学部材)は、凹状/凸状表面を含んでもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、内側光学部材1221は、600nm~950nmの範囲の波長に関して、外側光学部材1121よりも低い反射率値を有する。いくつかの実施形態では、光学部材の対応する波長範囲は、約630nm~930nmの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、上記の波長範囲に対する外側光学部材1121の反射率値が15%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、上記の波長範囲に対する内側光学部材1221の反射率値が0.5%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、内側光学部材1221が反射防止コーティングをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、内側光学部材1221は、EMI遮蔽特性を有する層をさらに備えてもよい。
【0059】
抗塵及び/又は防塵の要求が厳しいいくつかの実施形態では、外側ベース112の第2の観察可能領域Z12の外側光学部材1121は、同様のシール機構を設けてもよい。しかしながら、内側シールだけで十分である用途では、外側光学部材1121は、構造の複雑性、重量、及びコストの懸念の低減するために、シール機構を利用せずに構成されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、外側ベースの底面全体は、第2の観察可能領域として機能するように設計されてもよい。例えば、外側光学部材は、外側ベースの底部全体を占めてもよい。
【0061】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの等角図を示す。
【0062】
図2を参照すると、例示的な保管アセンブリ220は、基板(例えば、レチクルR)を収容するための内部容積を協働して形成するように構成されたシート部材222とシートカバー221とを含む。図示の実施形態では、シート部材222は、その幾何学的中心領域Cを通る縦軸L2を画定する実質的に矩形のプロファイルを有する。シート部材222は、縦軸L2に沿って延びる保管部225及び一対のフランク部226を含む。例示的なフランク部226は、減少した厚さ(すなわち、保管部225の厚さよりも薄い)を有する。図示の実施形態では、例示的なシート部材222の上面は、ワーク収容領域と、ワーク収容領域を囲む周辺領域222bとを画定する。シートカバー221及びシート部材222の適切な材料及び/又はコーティングは、前述の実施形態に記載されたものと同等なものであってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、シートカバー221は、エンクロージャ上の外側ポッド(例えば、搬送アセンブリ110)からの圧力を介して、シート部材222との押圧係合を確立するように構成されてもよい。例えば、シートカバー221とシート部材222との間の押圧係合は、実質的に平坦な金属間界面を介して形成される。図示の実施形態では、金属界面は、シート部材222の周辺領域222b上に確立される。一般に、押圧係合は、保管アセンブリ220の上部部材と下部部材との間の接触インターフェースを通して、ほこりや湿気が内部容積内に入るのを防止する密封エンクロージャを確立する。いくつかの実施形態では、シートカバー及びシート部材のいずれか又は両方に、それぞれの係合界面領域に付加的なシール要素(例えば、シーリングガスケット又はOリング)を設けて、周囲汚染に対する阻止能力をさらに高めることができる。
【0064】
下部拡散誘導構成要素は、ワーク受け入れ領域内のシート部材222の保管部225上に設けられ、保管アセンブリの内部からワークRの下方の気相汚染物質を抽出することを可能にするように構成される。これにより、受け取ったレチクルRのパターン領域P内の気相汚染物質を効率的に低減できることが期待される。図示の実施形態では、下部拡散誘導構成要素は、ワークRのパターン領域Pの平面投影内に配置された複数の拡散ポートアセンブリ227aで形成される。
【0065】
保管部225上の拡散ポートアセンブリ227aの配置位置は、重量分布、構造的完全性、及び装置構成要素の全体的な重量制限などの様々な要素を考慮に入れてもよい。一つには、例示的な拡散ポートアセンブリ227aは、シート部材222上のワーク受け入れ領域内に配置されるが、その幾何学的中心領域(例えば、領域C)をオフセットする。拡散ポートアセンブリの中心から外れた配置により、中心領域の材料を無傷のままにすることが可能であり、それによって、(例えば、熱膨張、工作機械中の反りなどに対して)シート部材222の全体的な構造的完全性をより良好に維持することができ、全体的なバランスをより良好にするために、質量分布をその幾何学的中心に向かって近づけて維持することができる。さらに、例示的な拡散ポートアセンブリの位置は、ウインドウ及び基板支持構造などの他の事前に指定された機能構成要素を回避する。いくつかの実施形態では、幾何学的中心領域Cは、約25mm~30mmの幅/半径を有する。
【0066】
図示の実施形態では、シートカバー221の側壁221aには、複数の空気流路228と、空気流路228を覆うように配置された少なくとも1つのフィルタ部材228aとが設けられている。
【0067】
容器システムが洗浄された(例えば、洗い流された)後、その表面に残留水が存在し得る。残留水は、汚れを引き寄せる可能性があり、したがって、受け取ったワークの汚染の可能性を増大させる。保管アセンブリの表面特性を変化させることにより、保管アセンブリは、洗浄後により容易に乾燥され得る。したがって、洗浄後のベーキング/乾燥プロセスによるダウンタイムを低減することができる。さらに、保管アセンブリ220の表面処理(例えば、疎水性処理)は、微細なほこりのスティクションを減少させ、それらを洗い流すことをより容易にし、それによって保管アセンブリの防塵能力を増加させることができる。
【0068】
保管アセンブリ(例えば、保管アセンブリ220)は、異なる領域に分割可能であり、その上に、親水性及び疎水性の異なる表面処理が適用される。いくつかの実施形態では、シートカバー221及びシート部材222の一方又は両方は、部分的に/選択的に、又は全体的に、表面処理されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、シートカバー221及びシート部材222の内面(例えば、内側ポッドの閉鎖時に内側に露出した表面)は、親水性処理を受けてもよく(例えば、受け取ったワークの通常の投影に対応する領域で)、残りの領域は、処理されずに残されるか、又は疎水性処理されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、シート部材222のワーク収容領域222aは、第1のタイプの処理で処理される。いくつかの実施形態では、第1のタイプの処理領域は、親水性処理領域を含む。周囲条件の変化(例えば、機器の誤動作)による水分凝縮が発生すると、ワーク収容領域222a(例えば、受け取ったレチクルの通常の投影下の内側中心領域)に水滴が生じ、より小さな濡れ角(これは、全体的な液滴の高さが低くなることを意味する)が生成され、したがって、保管されたレチクルとの凝縮接触の可能性が低くなる。
【0070】
いくつかの実施形態では、シート部材の内面は、第2のタイプの表面処理でさらに処理される。例えば、シート部材222は、ワーク収容領域222aの周囲に配置された第2のタイプの処理領域(例えば、周辺領域)を含む。いくつかの実施形態では、第2のタイプの処理領域は、疎水性処理領域を含む。疎水性処理が施されたシート部材222は、洗浄後により容易に乾燥させることができる。いくつかの実施形態では、シート部材222の外側表面(例えば、内側ポッドの閉鎖時に外側に露出した表面)もまた、疎水性処理で処理されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、シート部材222及びシートカバー221は、実質的に金属製である。さらに、疎水性処理領域は、約1011Ω未満の表面抵抗値を有する。例えば、保管アセンブリ上の疎水性コーティングは、静電荷散逸能力を維持するために1um未満に維持され得る。いくつかの実施形態では、疎水性処理領域上の疎水性層は、約1um未満の厚さを有する。
【0072】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の等角分解図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的な装置のいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付けていない。
【0073】
図示の実施形態では、シート部材322は、その幾何学的中心領域Cを通る縦軸L3を画定する保管部325を有する本体322aを備える。本体322aは、さらに、それぞれが減少した厚さ(すなわち、保管部325よりも薄い)を有する、縦軸L3に沿って延びる一対のフランク部326を備える。前の実施形態で説明された材料、表面処理、及び/又はコーティング配置は、例示的なシート部材322に適用されてもよい。
【0074】
例示的なシート部材322は、本体322aの底面に配置された複数の拡散ポートアセンブリ327aを備える。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ327aは、本体322aを貫通して配置された複数のポート327bと、ポート327bを覆うように構成されたフィルタ膜327cとを含む。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ327aは、フィルタ膜327cを保持するように構成されたフィルタカバー(例えば、フィルタカバー327d)をさらに備える。例示的なフィルタカバー327dは、フィルタ膜327cに同等する平面領域を備えた多孔板から作られる。いくつかの実施形態では、フィルタカバーは、スナップフィットアセンブリ(例えば、図13に示すように、ラッチ部材1327dを有する)を通して、シート部材322の底面に締結されてもよい。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ327aはさらに、フィルタカバー327dをシート部材322の底面に固定するように構成されたカバー保持部材327e(ネジなど)を備える。
【0075】
シート部材322の本体322a上の拡散ポートアセンブリ327aの構成は、組み立て時のシート部材322の外面(例えば、底面)の全体的な平坦性など、様々な要因を考慮に入れてもよい。例えば、例示的なフィルタカバー327dは、フィルタカバー327dの外向き表面がシート部材322の底面から突出しないように、本体322aに埋め込まれるように構成される。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ327aは、シート部材322の本体322aの底面に凹部特徴部327fを備え、これは、フィルタカバー327dを収容するように構成される。いくつかの実施形態では、凹部特徴部327fを設けることは、本体322aの全体質量を低減する重量シェービング対策にも役立つ。
【0076】
シート部材の材料は、シート部材がさらされる周囲環境(例えば、露光装置内部の状態)などの様々な要因を考慮に入れてもよい。一つには、従来のフィルタ構成要素はしばしば、特定のベース材料(例えば、テフロン(登録商標)/PTFE)を含有する。しかしながら、特定の繊細な用途(例えば、EUVリソグラフィプロセス)では、フィルタ要素中の特定の内容物を極端な周囲条件(例えば、EUV放出)に曝すことにより、製造プロセスに有害な望ましくない副産物(例えば、アウトガス)の発生をもたらし得る。いくつかの実施形態では、下部フィルタ膜(例えば、フィルタ膜327c)は、フッ素を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、フィルタ膜は、ニッケルなどの金属材料から実質的に作製されてもよい。いくつかの実施形態では、金属フィルタ膜は、電鋳処理によって製造されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタカバー及びカバーファスナはまた、フッ素を実質的に含まない。フィルタカバー及びカバーファスナに適した材料は、アルミニウムなどの金属であってもよい。
【0077】
図に示すように、シート部材322には、保管部325内に第1の観察可能領域Z31が設けられ、受け取った基板を観察できるようになっている。図示の実施形態では、シート部材322は、第1の観察可能領域Z31に埋め込まれた2つの内側光学部材3221、3222を含む。いくつかの実施形態では、内側光学部材3221/3222は、第1の観察可能領域Z31に密封して設置されてもよい。例えば、内側光学部材3221/3222の構造は、光透過性部材(例えば、Oリング)の周囲にシーリング部材を含んでもよい。一般に、内側光学部材3221/3222の構造は、光学部材とシート部材との間の構造的界面を通して、ほこりや湿気が内部容積内に侵入するのを十分に防止可能な密封エンクロージャを提供する。いくつかの実施形態では、内側光学部材3221/3222が気密レベルのシーリングを実現するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、2つの内側光学部材3221、3222の適切な材料は、前の実施形態で説明したものに同等なものであってもよい。
【0078】
図4aは、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の底面図を示す。図4bは、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略断面図を示す。図4bは、図4aに示すA-Aに沿った概略断面図である。単純かつ明瞭に図示するために、例示的な装置のいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付けていない。
【0079】
図示の実施形態では、シート部材422は、パターン領域PとペリクルPとを有するレチクルRを受け入れるように構成されている。同図では、シート部材422の例示的な保管部425には、受け取ったレチクルRのペリクルPを収容するように構成された谷部(例えば、ウェイトシェービング領域4220)が設けられる。ウェイトシェービング領域4220は、パターン領域Pの投影及びペリクルPに対応して配置される。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ427aは、ウェイトシェービング領域4220内に配置される。このような配置は、保管アセンブリ内のパターン領域P及びペリクルPの下方の気体の抽出又は除去を可能にし、それによって、ペリクルP上の水分凝縮及び/又は曇りの生成を軽減する。さらに、シート部材422には、実質的に平坦な底面が設けられている。同断面図では、フィルタカバー427d及びカバー保持部材427eは、組み立て時に、シート部材422の外面(例えば、底面422c)と実質的に面一となっている。
【0080】
いくつかの実施形態では、拡散ポートアセンブリのうちの少なくとも1つは、保管部の幾何学的中心領域Cの周りのそれぞれの四分円領域(例えば、領域I、II、III、IV)に配置される。例えば、例示的なシート部材422は、シート部材422を4つの四分円領域I、II、III、IVに実質的に分割した2つの垂直二等分線L41、L42を有するように示されている。例示的なシート部材422は、4つの四分円領域にそれぞれ配置された4つの拡散ポートアセンブリ427aを備える。このようなレイアウト配置は、構造的完全性を維持しながら、保管部425のより良好な全体的バランスを維持するのに役立ち得る。やや均一で対称な分布レイアウトもまた、より均一な拡散効果を生成するのに役立つ。
【0081】
図示の実施形態では、シート部材422は、2つの内側光学部材4221、4222が設けられた第1の観察可能領域Z41を含む。内側光学部材4222は、内側光学部材4221よりも大きい平面領域を有する。同断面図では、より大きな平面を有する内側光学部材4222は、受け取ったレチクルR、ペリクルP、及びペリクルフレームPFと投影的に重なるように配置されている。受け取ったレチクルR、ペリクルP、ペリクルフレームPFの状態、状況及び/又は識別などの情報の確認は、外側の観察可能領域(例えば、図1に示される第2の観察可能領域Z12)及び第1の観察可能領域Z41を走査/観察することによって簡単に達成することができる。その結果、外側ポッドを開く必要がある回数を減らすことができる。いくつかの実施形態では、2つの内側光学部材4221、4222の間に配置されたシート部材422の底面には、視覚的グラフィック特徴(図示せず)をさらに設けてもよい。視覚的グラフィック特徴は、内側ポッドのアイデンティティを表すキューアールコード(QRコード(登録商標))、及び保管アセンブリの向きを示すための非対称パターンなどの2次元バーコードを含んでもよい。
【0082】
同断面図では、例示的な拡散ポート427bは、実質的に均一な幅を備えている。しかしながら、拡散ポートの断面構成は、そこを流れる空気の方向などの多くの要因を考慮に入れてもよい。例えば、下方に徐々に減少する幅を備えた拡散ポートは、空気の外向きの流れを容易にすることができる。逆に、下向きに徐々に増加する幅を有する拡散ポートは、内向きの空気の流れを容易にし得る。いくつかの実施形態では、拡散ポートには、先細の上下断面プロファイルを設けてもよい。
【0083】
図5aは、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の底面図を示す。図5bは、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略断面図を示す。図5bは、図5aに示されるV-Vに沿った概略断面図である。単純かつ明瞭に図示するために、例示的な装置のいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付けていない。
【0084】
内部ガス拡散の均一性の他に、重量分布、構造的完全性及び装置構成要素の全体的な重量制限を考慮してもよい。底面図において、シート部材522は、シート部材522の幾何学的中心領域Cの周囲の四分円領域の各々にそれぞれ配置された複数のウェイトシェービング領域5220を備える保管部525を含む。図5bに示すように、ウェイトシェービング領域5220における例示的なシート部材522の厚さT51は、幾何学的中心領域Cにおける厚さ(すなわち、厚さT52)よりも薄く、フィルタカバー527d及びカバー保持部材527eは、組み立て時にシート部材522の外面522cと実質的に面一となっている。
【0085】
このようなレイアウト配置は、構造的完全性及び全体的な重量制限を維持しながら、シート部材の本体のより良好な全体的なバランスを維持するのに役立つ。いくつかの実施形態では、拡散ポートアセンブリのうちの少なくとも1つは、それぞれのウェイトシェービング領域5220内に配置される。例えば、シート部材522は、ウェイトシェービング領域5220内にそれぞれ配置された4つの拡散ポートアセンブリ527aを含む。
【0086】
図6aは、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の上面図を示す。図6bは、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略断面図を示す。図6bは、図6aに示されるVI-VIに沿った概略断面図である。
【0087】
図6aにおいて、シート部材622には、ワーク受け入れ領域622aと、ワーク受け入れ領域622aを囲む周辺領域622bとが設けられている。周辺領域622bの上面は、気密シーリングを確立するように、シートカバーと面接触する面を形成するように構成される。シナリオでは、プロセスのばらつきの問題(表面処理の誤差など)により、気密シーリングが所望のレベルに達しない場合がある。したがって、粒子などの汚染物質は、保管アセンブリに入る可能性がある。
【0088】
図示の実施形態では、シート部材622には、さらに、ワーク受け入れ領域622aを囲む平面ループプロファイルを有するトレンチ構造622eが設けられている。保管アセンブリに入る微粒子汚染物質は、トレンチ構造622e内に捕獲又は捕捉され得る。
【0089】
同上面図では、シート部材622には、ワーク受け入れ領域622aのそれぞれの角の周りに突出して配置された複数の位置決め構造624が設けられている。例示的なトレンチ構造622eは、位置決め構造624をそれぞれ包含する複数のガイドトレンチセグメント622gを含む。図示の実施形態では、ガイドトレンチセグメント622gを画定する壁622wは、平面プロファイルのために丸みを帯びたプロファイルを有する。いくつかの実施形態では、内部領域(例えば、ワーク受け入れ領域622a)に最も近いガイドトレンチ構造の壁622wの一部は、シート部材622から右後方に侵入粒子(例えば、ベースに真空引きされる)の方向を誘導するように構成された丸みを帯びた平面プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、ガイドトレンチ構造の壁は、互いに連続的に結合された複数の円弧状部分の組み合わせによって形成されてもよい。
【0090】
同断面図では、シート部材622の保管部625には、ワーク受け入れ領域622a内にウェイトシェービング領域6220が設けられている。ウェイトシェービング領域6220は、基板Rのパターン領域Pの投影に対応して配置された谷部を有する。同上面図では、シート部材は、ウェイトシェービング領域6220(影付き領域によって示される)に配置された4つの拡散ポートアセンブリを備える。
【0091】
図7は、本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの等角分解図を示す。
【0092】
図示の実施形態では、シートカバー721には、上部拡散誘導部品729が設けられている。例示的な上部拡散誘導構成要素729は、シートカバー721を貫通して配置された複数のポート729bと、上部フィルタ膜729cと、多孔板を有するフィルタカバー729dとを備える。いくつかの実施形態では、上部フィルタ膜729cは、下部フィルタ膜(例えば、図3に示すフィルタ膜327)とは、実質的に異なる材料組成を有している。例えば、上部フィルタ膜729cは、布ベースの材料を含んでもよく、下部フィルタ膜(例えば、フィルタ膜329c)は、フッ素を実質的に含まない。
【0093】
図示の実施形態では、上部拡散誘導部品729には、フィルタカバー729dとシートカバー721との間のシール係合を強化するためのシーリング部材がさらに設けられている。例えば、上部拡散誘導部品729は、フィルタカバー729dの周囲とシートカバー721との間に配置されたシールリング729gをさらに備える。いくつかの実施形態では、フィルタカバー729dの周囲には、シールリング729gを収容するための下向き環状溝を形成してもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、上部拡散誘導構成要素729は、下部拡散誘導構成要素(例えば、拡散ポートアセンブリ527a)と投影的に重なって配置される。
【0095】
図8a~図8eは、それぞれ、本開示の様々な実施形態によるシート部材の概略図を示す。
【0096】
シート部材上に形成される拡散ポートの形状、サイズ、及び配置は、拡散ポートアセンブリがシート部材の中心領域をオフセットする限り、限定される必要はない。例えば、図8a及び図8bに示される例示的な拡散ポートには、平面プロファイルのための丸みを帯びたプロファイルが設けられている。しかし、図8c及び図8dの拡散ポートには、細長い平面プロファイルが設けられている。図8dの細長い拡散ポートには、湾曲が設けられている。図8eの拡散ポートには、矩形平面輪郭が設けられている。
【0097】
図9aは、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図を示す。図9bは、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略断面図を示す。図9bは、図9aに示されるIX-IXに沿った概略断面図である。
【0098】
いくつかの実施形態では、シート部材の拡散誘導構成要素は、係合時に隣接する拡散ポートアセンブリを流体的に接続する1つ又は複数の空気案内チャンネルをさらに備えてもよい。例えば、図9aに示される例示的なシート部材922は、交差平面輪郭を有する凹部構造9270を備える。凹部構造9270の4つの端部は、4つの拡散ポートアセンブリ927aに投影的に重なって配置される。
【0099】
図9bにおいて、シート部材922上に保管されたレチクルRは、シートカバー921によって覆われている。シートカバー921は、シート部材922と係合される。シート部材922には、複数の拡散ポートアセンブリ927b及びフィルタ膜927cが設けられている。この断面図では、底面(パターン領域が設けられている)Rと凹部構造9270とが協働して、隣り合う拡散ポートアセンブリ927bを流体的に接続する流路を画定している。このような配置は、隣接する拡散ポートアセンブリ927bを通るチャネル内部の水分などの気相汚染物質の抽出又は低減を可能にする。
【0100】
図10a~図10bは、それぞれ、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図を示す。
【0101】
空気案内チャンネルが隣接する拡散ポートアセンブリと流体接続している限り、拡散誘導構成要素の空気案内チャンネルの形状、サイズ、及び配置は、制限される必要はない。例えば、図10aにおいて、シート部材1022には、丸みを帯びた平面プロファイルを有する凹部構造10270が設けられている。凹部構造10270の周辺領域は、拡散ポートアセンブリ1027aと重なる。図10bに示す実施形態では、シート部材は、3つの凹部構造10270を備える。
【0102】
図11a及び図11bは、それぞれ、本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの概略図を示す。
【0103】
いくつかの実施形態では、シートカバーの上部拡散誘導構成要素に、下部拡散誘導構成要素と同等の空気案内チャンネルをさらに設けてもよい。例えば、図11a及び11bに示されるシートカバー1121の上部拡散誘導構成要素1127は、拡散ポートアセンブリ1127aと投影的に重なる1つ以上の凹部構造11270を備える。
【0104】
図12a~図12bは、それぞれ、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の概略図を示す。
【0105】
図12aにおいて、シート部材1222の下部拡散誘導構成要素1227には、3つの凹部構造12270が設けられる。図12bに示す実施形態では、下部拡散誘導構成要素1227には、1つの凹部構造12270が設けられている。
【0106】
上記に図示され、説明された実施形態は単なる例示である。したがって、そのような詳細の多くは、図示も説明もされていない。本技術の多くの特徴及び利点が、構造及び機能の詳細と共に前述の説明で述べられたとしても、開示は例示にすぎず、詳細について、特
に、部品の形状、サイズ、及び配置について、原則の範囲内で、即ち、特許請求の範囲で使用されている用語の幅広い一般的な意味によって確立された全範囲にまで及び全範囲を含めて、変更を加えることができる。したがって、上述の実施形態は、特許請求の範囲内で変更され得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
図13