(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ワーク容器システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20230531BHJP
G03F 1/66 20120101ALI20230531BHJP
B65D 85/30 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
H01L21/68 T
G03F1/66
B65D85/30
(21)【出願番号】P 2021099657
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2021-06-15
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520256488
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミン-チエン チウ
(72)【発明者】
【氏名】チア-ホー チョアン
(72)【発明者】
【氏名】シン-ミン ウェン
(72)【発明者】
【氏名】シン-ミン シュエ
(72)【発明者】
【氏名】シュー-フン リン
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-257852(JP,A)
【文献】特表2019-528578(JP,A)
【文献】特開2010-151551(JP,A)
【文献】特表2006-526432(JP,A)
【文献】特表2008-535283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
G03F 1/66
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管アセンブリを備えるワーク容器システムであって、
前記保管アセンブリは、
ワークを受け入れるように構成された、その幾何学的中心領域を包含するワーク受け入れ領域を画定するシート部材と、
前記ワークを受け入れるためのエンクロージャを協働的に形成するように、前記ワーク受け入れ領域の周辺領域で前記シート部材と係合するように構成されたシートカバーと、を含み、
前記ワークの平面投影内で前記シート部材上に、下部拡散誘導構成要素が前記幾何学的中心領域をオフセットするように設けられ、
前記ワークの平面投影上で前記シートカバー上に、円形パターンで配置された複数のポートを備える上部拡散誘導構成要素が前記シート部材の前記幾何学的中心領域に投影的に重なるように設けら
れ、
前記円形パターンは、前記シートカバーの幾何学的中心と整列した幾何学的中心を有し、
前記上部拡散誘導構成要素は、上部フィルタカバーと、前記シートカバー上で前記上部フィルタカバーによって保持されるように構成された上部フィルタ膜と、を含み、
前記上部フィルタカバーは、前記上部フィルタ膜への流体アクセスを可能にするように配置され、
前記上部フィルタカバーの中心領域の高さは、前記シートカバーの外面の高さ以下である、ワーク容器システム。
【請求項2】
前記上部フィルタカバーは、上部カバー保持部材を受け入れるように構成されたリテーナシートをさらに含み、
前記リテーナシートは、前記シートカバーの前記外面よりも高い上面を有する、請求
項1に記載のワーク容器システム。
【請求項3】
前記リテーナシートは、前記シートカバーの2つの対称軸を含む領域を同時にオフセットするように配置される、請求
項2に記載のワーク容器システム。
【請求項4】
前記対称軸のうちの1つは、前記シートカバーの垂直二等分線を含む、請求
項3に記載のワーク容器システム。
【請求項5】
前記対称軸のうちの1つは、前記シートカバーの対角線を含む、請求
項3に記載のワーク容器システム。
【請求項6】
前記上部フィルタ膜のサイズは、前記ワークの平面面積の少なくとも25%である、請求
項1に記載のワーク容器システム。
【請求項7】
前記下部拡散誘導構成要素は、前記シート部材の前記幾何学的中心領域の周囲の前記ワーク受け入れ領域に配置された拡散ポートアセンブリを含み、
前記拡散ポートアセンブリは、下部フィルタカバーと、前記下部フィルタカバーによって保持されるように構成された下部フィルタ膜と、下部カバー保持部材とを含み、
前記上部フィルタ膜は、前記下部フィルタ膜と異なる材料組成を有する、請求
項1に記載のワーク容器システム。
【請求項8】
前記複数のポートが同心円状に配置され、前記複数のポートの同心中心が前記シートカバーの
前記幾何学的中心と整列している、請求項1に記載のワーク容器システム。
【請求項9】
保管アセンブリを備えるワーク容器システムであって、
前記保管アセンブリは、
ワークを受け入れるように構成された、その幾何学的中心領域を包含するワーク受け入れ領域を画定するシート部材と、
前記ワークを受け入れるためのエンクロージャを協働的に形成するように、前記ワーク受け入れ領域の周辺領域で前記シート部材と係合するように構成されたシートカバーと、を含み、
前記ワークの平面投影上で前記シートカバー上に、円形パターンで配置された複数のポートを備える上部拡散誘導構成要素が設けられ、
前記上部拡散誘導構成要素は、前記シートカバーの幾何学的中心と整列した幾何学的中心を有
し、
前記上部拡散誘導構成要素は、上部フィルタカバーと、前記シートカバー上で前記上部フィルタカバーによって保持されるように構成された上部フィルタ膜と、を含み、
前記上部フィルタカバーは、前記上部フィルタ膜への流体アクセスを可能にするように配置され、
前記上部フィルタカバーの中心領域の高さは、前記シートカバーの外面の高さ以下である、ワーク容器システム。
【請求項10】
前記上部フィルタカバーは、前記シートカバーとの保持係合を確立するように構成されたリテーナシートをさらに含み、
前記リテーナシートは、前記シートカバーの2つの対称軸を含む領域を同時にオフセットするように配置される、請求
項9に記載のワーク容器システム。
【請求項11】
前記対称軸のうちの1つは、前記シートカバーの垂直二等分線を含む、請求項
10に記載のワーク容器システム。
【請求項12】
前記対称軸のうちの1つは、前記シートカバーの対角線を含む、請求項
10に記載のワーク容器システム。
【請求項13】
前記リテーナシートは、前記シートカバーの前記外面よりも高い上面を有する、請求項
10に記載のワーク容器システム。
【請求項14】
前記上部フィルタ膜のサイズは、前記ワークの平面面積の少なくとも25%である、請求項
10に記載のワーク容器システム。
【請求項15】
前記ワークの平面投影内で前記シート部材上に、下部拡散誘導構成要素が前記幾何学的中心領域をオフセットするように設けられ、
前記下部拡散誘導構成要素は、前記シート部材の前記幾何学的中心領域の周囲の前記ワーク受け入れ領域に配置された拡散ポートアセンブリを含み、
前記拡散ポートアセンブリは、下部フィルタカバーと、前記下部フィルタカバーによって保持されるように構成された下部フィルタ膜と、下部カバー保持部材とを含み、
前記上部フィルタ膜は、前記下部フィルタ膜と異なる材料組成を有する、請求
項9に記載のワーク容器システム。
【請求項16】
前記シートカバーは、
その中心領域を貫通して配置された複数のポートを有する本体と、
前記複数のポートの上に配置された上部フィルタ膜と、
前記上部フィルタ膜を覆い、前記上部フィルタ膜への流体アクセスを可能にする複数の孔を有する上部フィルタカバーと、をさらに含む、請求
項9に記載のワーク容器システム。
【請求項17】
前記複数の孔のそれぞれは、前記上部拡散誘導構成要素における前記複数のポートのうちの1つと整列している、請求項
16に記載のワーク容器システム。
【請求項18】
前記上部拡散誘導構成要素は、前記上部フィルタカバーと前記シートカバーとの間に配置されたシールリングをさらに備え、
前記上部フィルタカバーは、前記シールリングを受け入れるための下向きの環状溝をさらに備える、請求項9に記載のワーク容器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年2月05日に出願された米国特許出願第17168207号及び2020年9月30日に出願された台湾特許出願第109134304号の利益を主張し、これらは参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示はフォトマスク、レチクル、及びウエハなどの壊れやすい物体の保管、輸送、出荷、及び処理のための容器に関し、特に、極紫外線(EUV)リソグラフィプロセスのためのレチクルの保管、輸送、出荷、及び処理のための保持システムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業において、潜在的な周囲の危険からのワーク保護のレベルの増大に対する要求を満たすために、ワーク容器(例えば、フォトマスク/レチクルリテーナ)は、そのペイロードの高精度要求と共に進化してきた。
【0004】
例えば、新世代のレチクルリテーナには、レチクルを受け入れ/保管するための保管アセンブリ(例えば、内側ポットユニット)と、保管アセンブリを保管/搬送するための搬送アセンブリ(例えば、外側ポットユニット)とを含むデュアルポッド構成が提供されることがある。搬送中、レチクルは、保管アセンブリの内部に梱包されてもよい。保管目的のために、レチクルをその中に受け入れる容器システムは、(例えば、大気環境下でロボットによって)外側ポッドオープナに搬送されてもよい。その後、搬送アセンブリは、そこからの保管アセンブリの回収を可能にするために、オープナによって開かれ得る。次いで、内側ポッドは、(例えば、真空環境下でロボットによって)真空レチクルライブラリに運ばれ、そこに保管されてもよい。リソグラフィプロセスを実行するために、保管アセンブリは、保管されたレチクルを使用する後続の露光プロセスの前に、露光装置内の指定された位置に到達すると開くことができる。
【0005】
しかしながら、容器システムを使用してワークを保管/搬送する場合、保管アセンブリ内に微粒子汚染物質、気相汚染物質(例えば、アウトガス又は湿気)、又は空気中分子汚染物質(AMC)が存在し得る。汚染物質は、受け取ったワークに悪影響を及ぼすことがある。したがって、容器システムのための汚染制御機構が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、フォトマスク、レチクル、及びウエハなどの壊れやすい物体の保管、搬送、出荷、及び処理のためのワーク容器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本開示の一態様は、保管アセンブリを備えるワーク容器システムを提供する。保管アセンブリは、シート部材と、シートカバーと、を含む。シート部材は、ワークを受け入れるように構成された、その幾何学的中心領域を包含するワーク受け入れ領域を画定し、下部拡散誘導構成要素がワークの平面投影内でシート部材上に設けられ、しかも幾何学的中心領域をオフセットする。シートカバーは、ワークを受け入れるためのエンクロージャを協働的に形成するように、ワーク受け入れ領域の周辺領域でシート部材と係合するように構成されており、上部拡散誘導構成要素がワークの平面投影上でシートカバー上に設けられ、シート部材の幾何学的中心領域に投影的に重なる。
【0008】
いくつかの実施態様では、上部拡散誘導構成要素は、シートカバーの幾何学的中心と実質的に整列した幾何学的中心を有する。
【0009】
いくつかの実施態様では、上部拡散誘導構成要素は、上部フィルタカバーと、シートカバー上で上部フィルタカバーによって保持されるように構成された上部フィルタ膜と、を含む。上部フィルタカバーは、上部フィルタ膜への流体アクセスを可能にするように配置される。上部フィルタカバーの中心領域の高さは、シートカバーの外面の高さ以下である。
【0010】
いくつかの実施形態では、上部フィルタカバーは、上部カバー保持部材を受け入れるように構成されたリテーナシートをさらに含む。リテーナシートは、シートカバーの外面よりも高い上面を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、リテーナシートは、シートカバーの2つの対称軸を含む領域を同時にオフセットするように配置される。
【0012】
いくつかの実施態様では、対称軸のうちの1つは、シートカバーの垂直二等分線を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、対称軸のうちの1つは、シートカバーの対角線を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、上部フィルタ膜のサイズは、ワークの平面面積の少なくとも25%である。
【0015】
いくつかの実施形態では、下部拡散誘導構成要素は、シート部材の幾何学的中心領域の周囲のワーク受け入れ領域に配置された拡散ポートアセンブリを含む。拡散ポートアセンブリは、下部フィルタカバーと、下部フィルタカバーによって保持されるように構成された下部フィルタ膜と、下部カバー保持部材とを含む。上部フィルタ膜は、下部フィルタ膜と実質的に異なる材料組成を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、下部フィルタ膜は、フッ素含有量を実質的に含まない。
【0017】
したがって、本開示の一態様は、保管アセンブリを備えるワーク容器システムを提供する。ハウジングアセンブリは、ワークを受け入れるように構成された、その幾何学的中心領域を包含するワーク受け入れ領域を画定するシート部材と、ワーク受け入れ領域の周囲の周辺領域でシート部材と係合するように構成されたシートカバーとを備え、ワークをハウジングするためのエンクロージャを協働的に形成する。ワークの平面状突起上のシートカバー上に上部拡散誘導構成要素が設けられている。上部拡散誘導構成要素は、シートカバーの幾何学的中心と実質的に整列した幾何学的中心を有する。
【0018】
いくつかの実施態様では、上部拡散誘導構成要素は、上部フィルタカバーと、シートカバー上で上部フィルタカバーによって保持されるように構成された上部フィルタ膜と、を含む。上部フィルタカバーは、上部フィルタ膜への流体アクセスを可能にするように配置され、上部フィルタカバーの中心領域の高さは、シートカバーの外面の高さ以下である。
【0019】
いくつかの実施形態では、上部フィルタカバーは、シートカバーとの保持係合を確立するように構成されたリテーナシートをさらに含む。リテーナシートは、シートカバーの2つの対称軸を含む領域を同時にオフセットするように配置される。
【0020】
いくつかの実施態様では、対称軸のうちの1つは、シートカバーの垂直二等分線を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、対称軸のうちの1つは、シートカバーの対角線を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、リテーナシートは、シートカバーの外面よりも高い上面を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、上部フィルタ膜のサイズは、ワークの平面面積の少なくとも25%である。
【0024】
いくつかの実施形態では、ワークの平面投影内でシート部材上に、下部拡散誘導構成要素が幾何学的中心領域をオフセットするように設けられる。下部拡散誘導構成要素は、シート部材の幾何学的中心領域の周囲のワーク受け入れ領域に配置された拡散ポートアセンブリを含む。拡散ポートアセンブリは、下部フィルタカバーと、下部フィルタカバーによって保持されるように構成された下部フィルタ膜と、下部カバー保持部材とを含む。上部フィルタ膜は、下部フィルタ膜と実質的に異なる材料組成を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、下部フィルタ膜は、フッ素含有量を実質的に含まない。
【0026】
いくつかの実施形態では、ワーク容器システムは、保管アセンブリを受け入れるように構成された搬送アセンブリをさらに含む。
【0027】
本開示の列挙された特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによってなされ得、実施形態のいくつかは、添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの概略断面図である。
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの等角図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの概略断面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の等角分解図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの構成要素の等角分解図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの上面図である。
【
図6A】本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの概略断面図である。
【
図6B】本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの概略分解図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、添付の図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の例示的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の同等に有効な実施形態を許容し得るので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【0030】
これらの図は、特定の例示的な実施形態において利用される方法、構造、及び/又は材料の一般的な特徴を示すこと、及び以下に提供される書面による説明を補足することを意図していることに留意されたい。しかしながら、これらの図面は、一定の縮尺では、なく、所与の実施形態の正確な構造又は性能特性を正確に反映していない可能性があり、例示的な実施形態によって包含される値又は特性の範囲を定義又は限定するものと解釈されるべきではない。例えば、層、領域、及び/又は構造要素の相対的な厚さ及び配置は、明確にするために低減または、誇張され得る。様々な図面における類似又は同一の参照番号の使用は、類似若しくは、同一の要素、又は類似若しくは、同一の特徴の存在を示すことを意図している。
【0031】
以下、本開示の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本開示をより十分に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ十分であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0032】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図される。さらに、本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含む(including)」、又は「有する(has)」及び/又は「有する(having)」という用語は、述べられた特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を妨げるものではないことが理解されよう。
【0033】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術及び本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書中で明示的にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されよう。
【0034】
例示的な実施形態について、
図1~
図7の添付図面と併せて説明する。図面を参照して本開示を詳細に説明するが、図示された要素は、必ずしも一定の縮尺で示されておらず、同様又は類似の要素は、複数の図を通して同一又は類似の参照番号と、同一又は類似の用語とにより示されている。
【0035】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの概略断面図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付け/図示されていない場合がある。
【0036】
図1を参照すると、例示的なワーク容器システム100は、ワーク(例えばレチクル)を保管するように構成された内側ポッド(例えば、保管アセンブリ120)と、保管アセンブリ120を収容するように構成された外側ポッド(例えば、搬送アセンブリ110)とを備える。
【0037】
図示の実施形態では、保管アセンブリ120は、シート部材122と、シート部材122と係合するように構成されたシートカバー121とを備え、エンクロージャ上にワーク(例えば、レチクルR1)を収容するための内部容積を協働して形成する。
【0038】
シート部材122は、半導体装置のロボットアームによって、あるチャンバから別のチャンバへ搬送可能に構成される。例えば、例示的なシート部材122は、保管部125(例えば、ワークR1が受け入れる/支持される中央部)と、保管部125から横方向外向きに延びる一対の側面部126とを備えて形成される。保管部125は、ワークを受け入れるワーク受け入れ領域122aを備える。図示の実施形態では、シート部材122は、保管部125の上面に配置されてレチクルR1を支持する支持要素(例えば、支持ポスト124)をさらに備える。一対の側面部126は、保管部125の両側に配置される。同断面図では、側面部126は、保管部125よりも薄い厚さを有している。このような厚さの違いにより、シート部材122のエッジ部の近くに段差プロファイルが生成される。一対の段差プロファイルは、フォーク状構造を有するロボットアームとの接触インターフェースとして機能するように構成される。このような構成により、シート部材122を横方向に保持し、フォーク状アームによって垂直に支持することができる。
【0039】
いくつかのシナリオでは、保管されるワークが基板(例えば、極端紫外線リソグラフィレチクルR1)であってもよい。レチクルR1の機能面(すなわち、マスクレイアウトパターンをホストする下向きの面)は、リソグラフィプロセス中にフォトレジスト層上に投影される像に対するダメージ又は歪みを防止するために、汚染物質がないように保たれることが重要である。
【0040】
いくつかの実施形態では、シートカバー121は、ワークを受け入れるためのエンクロージャを協働的に形成するように、そのワーク受け入れ領域122aの周辺領域でシート部材122と係合するように構成される。保管アセンブリ120の外部粒子/汚染物質から敏感で壊れやすいワークを保護するために、シート部材122とシートカバー121との間の係合は、ある程度の気密性を備えてもよい。さらに、その敏感で壊れやすい内容物を徹底的に保護するために、シートカバー121及びシート部材122は電磁干渉(EMI)遮蔽特性を備えてもよい。EMI遮蔽能力を提供するための適切な材料は、金属などの導電性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シート部材122及びシートカバー121がアルミニウムなどの金属から実質的に作製される。いくつかの実施形態では、金属コーティング(銅又は金など)、疎水性及び/又は親水性処理などの表面処理を、保管アセンブリ120の表面の選択的領域上にさらに施すことができる。
【0041】
前述の微粒子汚染物質の他に、気相汚染物質又は空気中分子汚染物質(AMC)が密封された保管アセンブリ内に存在することがある。保管アセンブリを密閉係合させることが可能であっても、処理中にワークが容器システムから取り外され、容器システム内で交換されると、システム内に空気が侵入する可能性がある。例えば、空気中の水分は、保管アセンブリ120の内部に見出すことができる。適当な露点温度では、水分の一部が空気中から凝縮し、レチクルR1上に堆積することがある。気相又は気体汚染の他の原因(例えば、NH3(アンモニア)及びSO2(二酸化硫黄))は、フォトマスクライフサイクル中のレチクル/ポッド洗浄操作から生じる溶剤残渣である。これらの化学薬品の一部及び水分は、石英で作られたレチクル上のヘイズ形成を促進する可能性がある。レチクルR1のパターン面上にヘイズ及び/又は水蒸気が凝縮すると、光学系が干渉され、リソグラフィプロセス中に半導体ウエハ上に転写されたパターンが歪むことがある。
【0042】
例示的な内側ポッド120は、内側ポッド120からの気相汚染物質又は空気中分子汚染物質の低減又は除去を可能にする1つ又は複数の拡散誘導構成要素(例えば、構成要素127、128、及び129)を備える。例えば、拡散誘導構成要素を設けることにより、保管アセンブリ内部から外部周囲への水分の拡散が可能になる(例えば、保管アセンブリ内部の湿度が周囲の湿度よりも実質的に大きい場合、又はシステムが清浄乾燥空気で浄化される場合)。
【0043】
内部水分は、1つ又は複数の拡散誘導構成要素を介して内側ポッド120から外に拡散することができる。したがって、レチクル上の水の堆積又はヘイズの形成を軽減することができる。いくつかの実施形態では、拡散誘導構成要素は、内側ポッドの内部と外部との間の流体連通を可能にする、保管アセンブリのカバー/ベースに形成された複数のチャネル/ポート/貫通孔を含んでもよい。いくつかの実施形態では、拡散誘導構成要素は、微粒子汚染物質が通過するのを防止するように構成されたフィルタ要素をさらに含んでもよい。
【0044】
保管アセンブリ120のカバーユニット(例えば、シートカバー121)の上面は、上部拡散誘導構成要素(例えば、受け取ったワークの上方に配置された拡散誘導構成要素129)のための好都合な場所であるが、上部に取り付けられた拡散部材は、特定の用途(特に、ワークの底面の周囲の領域)において、十分なレベルの湿度抽出効率を提供しない場合がある。
【0045】
例えば、いくつかの実施形態では、シート部材122の上面と受け取ったワークの底面との間の間隔は、組み立て時に0.3mm以下である。狭い間隔は、ワーク下の気流誘導に有利でない可能性がある。したがって、ワーク下の水分などの気相汚染物質が、ワーク上を上部に取り付けられた拡散部材に向かって移動することが困難である場合がある。
【0046】
拡散効率をさらに高めるために、例示的な実施形態のシート部材122は、ワークの下方に配置された下部拡散誘導構成要素127を備える。このような配置は、抽出効率を高めるために、ワークの下の水分の拡散を容易にする。
【0047】
図示の実施形態では、搬送アセンブリ110は、シート部材122を受け入れるように構成された外側ベース112と、外側ベース112と係合する(及び保管アセンブリ120を覆う)ように構成された外側カバー111とを備える。いくつかの実施形態では、外側ベース112及び外側カバー111の一方又は両方は静電荷散逸特性を有して、保管されたワーク又は保管アセンブリ上に蓄積された電荷の放出を可能にしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、外側ポッド110は、導電性繊維と混合されたポリマー材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、外側カバー111及び外側ベース112の一方又は両方は、炭素繊維が埋め込まれた樹脂材料から作製される。
【0048】
いくつかの実施形態では、外側ポッド110は、清浄乾燥空気(CDA)、余分なCDA、又はソースからの乾燥不活性ガス(窒素など)の入口を可能にするように構成された、1つ又は複数のガス入口ポート(図示せず)をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、外側ポッド110は、外側ポッド110内部のガスの低減又は除去を可能にするように構成された、1つ又は複数のガス出口ポートをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、ガス入口及び/又は出口ポートは、ポート内部の流れを制御するように構成されたバルブをさらに備えてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、押圧ユニット(例えば、押さえピン141)は、ワークを押圧/保持するために、シートカバー121の上面に設けられてもよい。例示的な外側ポッド110は、保管アセンブリ120の押さえピン141に対応して配置された押圧要素171をさらに備える。外側カバー111が外側ベース112に結合されると、押圧要素171が押さえピン141を押してワークR1を押圧/保持し、これにより、受け取り時のワークの動きを抑制する。
【0050】
図示の実施形態では、押圧要素171は、押さえピン141をその露出部(例えば、押さえピン141上面)で押圧するように構成されている。図示の実施形態では、押さえピン141の投影面積の幅(例えば、その受圧面の露出部)は、押圧要素171の投影面積の幅よりも小さい。
【0051】
いくつかの実施形態では、押圧要素171及び押さえピン141は、電荷散逸特性をさらに有している。したがって、外側カバー111が外側ベース112に結合されると、押圧要素171は、押さえピン141を押してワークR1を押圧し、受け取ったワークR1から押さえピン141及び押圧要素171を通って外側カバー111への電荷散逸経路(この図では、影付き矢印によって示される)を確立する。いくつかの動作シナリオでは、外側カバー111は、受け取ったワークR1上に蓄積された電荷が電荷散逸経路を通ってアースに散逸されることを可能にするように、接地されてもよい。押さえピン141の材料は、導電性又は静電散逸性材料を含み得、それによって、押さえピン141を電荷散逸経路の一部にして、そこでの接地を可能にする。いくつかの実施形態では、押さえピン141及び押圧要素171は、約106Ω~1011Ωの表面抵抗値を有する。いくつかの実施形態では、押さえピン141及び押圧要素171は、約105Ω未満の表面抵抗値を有する。
【0052】
図示の実施形態では、外側ポッド110は、保管アセンブリ120を支持するように構成された、外側ベース112上に配置された支持構造190をさらに含む。支持構造190は、外側ベース112と一体的に形成されてもよく、又はその上に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、保管アセンブリ120の支持要素124及び外側ポッド110の支持構造190は、電荷散逸特性をさらに有する。したがって、外側カバー111が外側ベース112に結合される(したがって、シート部材122上の支持要素124がワークR1との接点を確立する)と、受け取ったワークR1から、支持要素124、シート部材122、及び支持構造190を通って、外側ベース112への電荷散逸経路(この図では、影付き矢印によって示される)を形成することができる。支持要素124及び支持構造190は、約106Ω~1011Ωの表面抵抗値を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、支持要素124及び支持構造190は、約105Ω未満の表面抵抗値を有する。
【0053】
図1を併せて参照すると、例示的なシステムは、シート部材122のワーク受け入れ領域122aに形成された第1の観察可能領域Z
11を有しており、レチクルR
1を観察することができる。いくつかの実施形態では、第1の観察可能領域Z
11は、信号透過構造(例えば、開口部又は信号透過部材)を含むウインドウを備えてもよい。例えば、例示的なシート部材122は、第1の観察可能領域Z
11に配置された内側光学部材1221を含む。いくつかの実施形態では、内側光学部材1221は、赤外線光、可視光、又は紫外線信号に関して信号透過性材料で構成されてもよい。内側光学部材1221の適切な材料は、ガラス(例えば、石英ガラス)、アクリル、透明プラスチック、又は他の同等の材料を含んでもよい。図示の実施形態では、内側光学部材1221は、シート部材122内(ワーク受け入れ領域122a内)に埋め込まれて配置された石英ガラス片を含んでもよい。
【0054】
図示の実施形態では、第1の観察可能領域Z11は、レチクルR1(概略図に明示的に示されていない)の受け入れるときに、レチクルR1の識別特徴(例えば、1-D又は2-Dバーコード)の観察を可能にするように対応して設計される。いくつかの実施形態では、レチクルR1の識別特徴は、そのウインドウに面する表面に形成され、第1の観察可能領域Z11から見ることができる。
【0055】
図示の実施形態では、外側ベース112は、それに画定された第2の観察可能領域Z12を有する。第2の観察可能領域Z12は、保管アセンブリ120の第1の観察可能領域Z11に観察可能領域に整列されるように配置される。したがって、容器システム100内に保持されたレチクルR1の迅速な視覚的識別又は光学的確認(レチクルR1の状態及び識別など)は、外側ポッドを開放する必要なしに、第2の観察可能領域Z12及び第1の観察可能領域Z11を通した光学的走査によって達成することができる。したがって、ポッドが開く頻度は、半導体製造プロセス中に低減され得、これにより、潜在的に危険な周囲要因に対する敏感な精密ワークの露出を最小化する。
【0056】
図示の実施形態では、外側ベース112は、シート部材122を支持するように構成された上部デッキ112aと、上部デッキ112aに対向する下部デッキ112bとを備える中空本体を有する。いくつかの実施形態では、例示的な上部デッキ112a及び下部デッキ112bの両方は、実質的に水平なプレートの構造を備えてもよい。例示的な下部デッキ112bは、上部デッキ112aを封止するように構成される。いくつかの実施形態では、下部デッキ112bと上部デッキ112aとが一体的に形成されている。例示的な第2の観察可能領域Z12は、上部デッキ112a及び下部デッキ112bにそれぞれ配置された2つの重なり合った信号透過構造(例えば、外側光学部材1121)を含むウインドウを備える。
【0057】
いくつかの実施形態では、上部デッキ112a及び/又は下部デッキ112bに埋め込まれた外側光学部材1121は、赤外線光、可視光、又は紫外線信号に関して信号透過性材料で構成されてもよい。外側光学部材1121の適切な材料は、ガラス(例えば、石英ガラス)、アクリル、透明プラスチック、又は同等の材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外側光学部材1121の透過率値が上述のスペクトル範囲のうちの1つ以上における光信号に対して80%を超える。特定の適用要件に応じて、いくつかの実施形態では、光学部材(例えば、外側光学部材及び/又は内側光学部材)は、凹状/凸状表面を含んでもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、内側光学部材1221は、600nm~950nmの範囲の波長に関して、外側光学部材1121よりも低い反射率値を有する。いくつかの実施形態では、光学部材の対応する波長範囲は、約630nm~930nmの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、上記の波長範囲に対する外側光学部材1121の反射率値が15%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、上記の波長範囲に対する内側光学部材1221の反射率値が0.5%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、内側光学部材1221が反射防止コーティングをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、内側光学部材1221は、EMI遮蔽特性を有する層をさらに備えてもよい。
【0059】
抗塵及び/又は防塵の要求が厳しいいくつかの実施形態では、外側ベース112の第2の観察可能領域Z12の外側光学部材1121は、同様のシール機構を設けてもよい。しかしながら、内側シールだけで十分である用途では、外側光学部材1121は、構造の複雑性、重量、及びコストの懸念の低減するために、シール機構を利用せずに構成されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、外側ベースの底面全体は、第2の観察可能領域として機能するように設計されてもよい。例えば、外側光学部材は、外側ベースの底部全体を占めてもよい。
【0061】
図2A及び
図2Bを同時に参照されたい。
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの等角図を示す。
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態に係るワーク容器システムの概略断面図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付け/図示されていない場合がある。
【0062】
図2Aを参照すると、例示的な保管アセンブリ220は、基板(例えば、レチクルR
2)を収容するための内部容積を協働して形成するように構成されたシート部材222とシートカバー221とを含む。図示の実施形態では、シート部材222は、その幾何学的中心領域Cを通る縦軸L
2を画定する実質的に矩形のプロファイルを有する。シート部材222は、縦軸L
2に沿って延びる保管部225及び一対の側面部226を含む。例示的な側面部226は、減少した厚さ(すなわち、保管部225の厚さよりも薄い)を有する。図示の実施形態では、例示的なシート部材222の上面は、ワーク収容領域222aと、ワーク収容領域を囲む周辺領域222bとを画定する。シートカバー221及びシート部材222の適切な材料及び/又はコーティングは、前述の実施形態に記載されたものと同等なものであってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、シートカバー221は、エンクロージャ上の外側ポッド(例えば、搬送アセンブリ110)からの圧力を介して、シート部材222との押圧係合を確立するように構成されてもよい。例えば、シートカバー221とシート部材222との間の押圧係合は、実質的に平坦な金属間界面を介して形成される。図示の実施形態では、金属界面は、シート部材222の周辺領域222b上に確立される。一般に、押圧係合は、保管アセンブリ220の上部部材と下部部材との間の接触インターフェースを通して、ほこりや湿気が内部容積内に入るのを防止する密封エンクロージャを確立する。いくつかの実施形態では、シートカバー及びシート部材のいずれか又は両方は、それぞれの係合界面領域に付加的なシール要素(例えば、シールガスケット又はOリング)を備えて、周囲汚染に対する阻止能力をさらに高めることができる。
【0064】
下部拡散誘導構成要素は、ワーク受け入れ領域内のシート部材222の保管部225上に設けられ、保管アセンブリの内部からワークR2の下方の気相汚染物質を抽出することを可能にするように構成される。これにより、受け取ったレチクルR2のパターン領域P内の気相汚染物質を効率的に低減できることが期待される。図示の実施形態では、下部拡散誘導構成要素は、ワークR2のパターン領域Pの平面投影(例えば、図示のx-y平面上にz方向に沿った投影)内に配置された複数の拡散ポートアセンブリ227aで形成される。
【0065】
保管部225上の拡散ポートアセンブリ227aの配置位置は、重量分布、構造的完全性、及び装置構成要素の全体的な重量制限などの様々な要素を考慮に入れてもよい。一つには、例示的な拡散ポートアセンブリ227aは、シート部材222上のワーク受け入れ領域内に配置されるが、その幾何学的中心領域(例えば、領域C)をオフセットする。拡散ポートアセンブリの中心から外れた配置により、中心領域の材料を無傷のままにすることが可能であり、それによって、(例えば、熱膨張、工作機械中の反りなどに対して)シート部材222の全体的な構造的完全性をより良好に維持することができ、全体的なバランスをより良好にするために、質量分布をその幾何学的中心に向かって近づけて維持することができる。さらに、例示的な拡散ポートアセンブリの位置は、ウインドウ及び基板支持構造などの他の事前に指定された機能構成要素を回避する。いくつかの実施形態では、幾何学的中心領域Cは、約25mm~30mmの幅/半径を有する。
【0066】
図示の実施形態では、シートカバー221(例えば、その上面上)には上部拡散誘導構成要素229が設けられる。上部拡散誘導構成要素229は、周囲と保管アセンブリ220の内部容積との間(ワークR2上)の流体連通を可能にする。したがって、ワークR2上の気相汚染物質又は空気中分子汚染物質の抽出又は低減はマイクロ流体流動作用(例えば、対流又は拡散)を介して達成され得る。
【0067】
図2Bを併せて参照すると、ワークR
2は内側ポッド220’内に受け入れられ、内側ポッド220’はシート部材222’とシートカバー221’とを含む。上部拡散誘導構成要素229/229’の配置位置は、ワークR
2の上面上のほこり/気相汚染物質の除去の有効性に影響を及ぼし得る。例えば、例示的な上部拡散誘導構成要素229/229’は、シート部材222の幾何学的中心領域にわたってカバーする、ほぼ円形の拡散ポートパターンを画定する。例示的なシートカバー221及びシート部材222の幾何学的中心が実質的に整列されると、上部拡散ポート(例えば、構成要素229/229’)は、閉鎖時にシート部材222の幾何学的中心領域と投影的に重なることになる。拡散ポートの中心重畳配列は一般に、より大きな平面サイズのフィルタ膜の収容を可能にする。さらに、例示的な上部拡散誘導構成要素229/229’は、その中心領域にわたってワークR
2に完全に重なるように配置される。
【0068】
試験結果により、拡散ポート(例えば、構成要素229/229’)の中央配置が、洗浄効率の向上を促進することを確認した。例えば、上部拡散ポートの実質的に中央に配置することにより、上部拡散誘導構成要素229/229’を通る内向きガス流の大部分(例えば、自然拡散又はCDAパージによって力によるガス流のいずれかによる)をワークの上面の中心領域に向けることが可能になる。したがって、ワークR2の上面上のほこり/気相汚染物質は、ワークR2からより効率的に一掃されることになる。さらに、上部拡散ポートの実質的に幾何学的に対称的な配置により、より均一な方法でワーク上の汚染物質を除去することができる。例えば、図示の実施形態では、上部拡散誘導構成要素229は、その中心領域がシート部材222の幾何学的中心領域Cと投影的に重なるように配置される。拡散ポートのこのような中央配置は、拡散ポートのそのような中央配置は、可能な限り最大の平面面積を有するフィルタ膜の利用を可能にし、それにより拡散効率及び洗浄均一性を増加させる。
【0069】
いくつかの実施態様(
図2Aに示されるよう)では、シートカバー221の側壁221aには、複数の空気流路228と、空気流路228を覆うように配置された少なくとも1つのフィルタ部材228aとがさらに設けられている。
【0070】
動作使用中(例えば、容器システムが湿式洗浄/洗浄された後)は、その内面に残留水が存在し得る。残留水は、汚れを引き寄せる可能性があり、したがって、受け取ったワークの汚染の可能性を増大させる。保管アセンブリの表面特性を変化させることにより、保管アセンブリは、洗浄後により容易に乾燥され得る。したがって、洗浄後のベーキング/乾燥プロセスによるダウンタイムを低減することができる。さらに、保管アセンブリ220の表面処理(例えば、疎水性処理)は、微細なほこりのスティクションを減少させ、それらを洗い流すことをより容易にし、それによって保管アセンブリの防塵能力を増加させることができる。
【0071】
内側容器ポッド(例えば、保管アセンブリ220)は、異なる領域に分割可能であり、その上に、親水性及び疎水性の異なる表面処理が適用される。いくつかの実施形態では、シートカバー221及びシート部材222の一方又は両方は、部分的に/選択的に、又は全体的に、表面処理されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、シートカバー221及びシート部材222の内面(例えば、内側ポッドの閉鎖時に内側に露出した表面)は、親水性処理を受けてもよく(例えば、受け取ったワークの通常の投影に対応する領域で)、残りの領域は、処理されずに残されるか、又は疎水性処理されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、シート部材222のワーク収容領域222aは、第1のタイプの処理で処理される。いくつかの実施形態では、第1のタイプの処理領域は、親水性処理領域を含む。周囲条件の変化(例えば、機器の誤動作)による水滴が発生すると、ワーク収容領域222a(例えば、受け取ったレチクルの通常の投影下の内側中心領域)に水滴が生じ、より小さな濡れ角(これは、全体的な液滴の高さが低くなることを意味する)が生成され、したがって、保管されたレチクルとの凝縮接触の可能性が低くなる。
【0073】
いくつかの実施形態では、シート部材の内面は、第2のタイプの表面処理でさらに処理される。例えば、シート部材222は、ワーク収容領域222aの周囲に配置された第2のタイプの処理領域(例えば、周辺領域)を含む。いくつかの実施形態では、第2のタイプの処理領域は、疎水性処理領域を含む。疎水性処理が施されたシート部材222は、洗浄後により容易に乾燥させることができる。いくつかの実施形態では、シート部材222の外側表面(例えば、内側ポッドの閉鎖時に外側に露出した表面)もまた、疎水性処理で処理されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、シート部材222及びシートカバー221は、実質的に金属製である。さらに、疎水性処理領域は、約1011Ω未満の表面抵抗値を有する。例えば、保管アセンブリ上の疎水性コーティングは、静電荷散逸能力を維持するために1um未満に維持され得る。いくつかの実施形態では、疎水性処理領域上の疎水性層は、約1um未満の厚さを有する。
【0075】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係るシート部材の等角分解図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付けていない。
【0076】
図示の実施形態では、シート部材322は、その幾何学的中心領域Cを通る縦軸L3を画定する保管部325を有する本体322aを備える。本体322aは、さらに、それぞれが減少した厚さ(すなわち、保管部325よりも薄い)を有する、縦軸L3に沿って延びる一対の側面部326を備える。前の実施形態で説明された材料、表面処理、及び/又はコーティング配置は、例示的なシート部材322に適用されてもよい。
【0077】
例示的なシート部材322は、本体322aの底面に配置された複数の拡散ポートアセンブリ327aを備える。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ327aは、本体322aを貫通して配置された複数のポート327bと、ポート327bを覆うように構成されたフィルタ膜327cとを含む。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ327aは、フィルタ膜327cを保持するように構成された下部フィルタカバー(例えば、フィルタカバー327d)をさらに備える。例示的なフィルタカバー327dは、フィルタ膜327cに同等する平面面積を備えた多孔板から作られる。いくつかの実施形態では、フィルタカバーは、スナップフィットアセンブリ(例えば、
図13に示すように、ラッチ部材1327dを有する)を通して、シート部材322の底面に締結されてもよい。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ327aはさらに、フィルタカバー327dをシート部材322の底面に固定するように構成されたカバー保持部材327e(ネジなど)を備える。
【0078】
シート部材322の本体322a上の拡散ポートアセンブリ327aの構成は、組み立て時のシート部材322の外面(例えば、底面)の全体的な平坦性など、様々な要因を考慮に入れてもよい。例えば、例示的なフィルタカバー327dは、フィルタカバー327dの外向き表面がシート部材322の底面から突出しないように、本体322aに埋め込まれるように構成される。図示の実施形態では、拡散ポートアセンブリ327aは、シート部材322の本体322aの底面に凹部特徴部327fを備え、凹部特徴部327fは、フィルタカバー327dを収容するように構成される。いくつかの実施形態では、凹部特徴部327fを設けることは、本体322aの全体質量を低減する重量シェービング対策にも役立つ。
【0079】
シート部材の材料は、シート部材がさらされる周囲環境(例えば、露光装置内部の状態)などの様々な要因を考慮に入れてもよい。一つには、従来のフィルタ構成要素はしばしば、特定のベース材料(例えば、テフロン(登録商標)/PTFE)を含有する。しかしながら、特定の繊細な用途(例えば、EUVリソグラフィプロセス)では、フィルタ要素中の特定の内容物を極端な周囲条件(例えば、EUV放出)に曝すことにより、製造プロセスに有害な望ましくない副産物(例えば、アウトガス)の発生をもたらし得る。いくつかの実施形態では、下部フィルタ膜(例えば、フィルタ膜327c)は、フッ素含有量を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、フィルタ膜は、ニッケルなどの金属材料から実質的に作製されてもよい。いくつかの実施形態では、金属フィルタ膜は、電鋳処理によって製造されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタカバー及びカバーファスナはまた、フッ素含有量を実質的に含まない。フィルタカバー及びカバーファスナに適した材料は、アルミニウムなどの金属であってもよい。
【0080】
図に示すように、シート部材322には、保管部325内に第1の観察可能領域Z31が設けられ、受け取った基板を観察できるようになっている。図示の実施形態では、シート部材322は、第1の観察可能領域Z31に埋め込まれた2つの内側光学部材3221、3222を含む。いくつかの実施形態では、内側光学部材3221/3222は、第1の観察可能領域Z31に密封して配置されてもよい。例えば、内側光学部材3221/3222の構造は、光透過性部材(例えば、Oリング)の周囲にシール部材を含んでもよい。一般に、内側光学部材3221/3222の構造は、光学部材とシート部材との間の構造的界面を通して、ほこりや湿気が内部容積内に侵入するのを十分に防止可能な密封エンクロージャを提供する。いくつかの実施形態では、内側光学部材3221/3222が気密レベルのシーリングを実現するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、2つの内側光学部材3221、3222の適切な材料は、前の実施形態で説明したものに同等なものであってもよい。
【0081】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの構成要素の等角分解図を示す。
【0082】
図示の実施形態では、シートカバー421は、本体4210と、本体4210の対向する両側間の流体連通を可能にするように構成された上部拡散誘導構成要素(まとめて構成要素429と呼ぶ)とを備える。例示的な上部拡散誘導構成要素429は、本体4210の中心領域を貫通して配置された複数の開口429bと、開口429bを覆うように配置された上部フィルタ膜429cと、上部フィルタ膜429cを保持するように構成されたフィルタリテーナとを備える。
【0083】
フィルタリテーナ(例えば、上部フィルタカバー429d)はまた、その下に保持されたフィルタ膜/シートへの流体アクセスを可能にするように構成される。例えば、上部フィルタカバー429dには、上部フィルタ膜429cへの流体アクセスを可能にする貫通孔429jが形成されている。図示の実施形態では、上部フィルタカバー429dが本体4210に取り付けられると、本体4210上に形成された開口429bは、上部フィルタカバー429d上に形成された貫通孔429jと位置合わせされる。貫通孔429jと開口429bとの位置合わせは、本体4210の対向する側部間の流体連通を可能にする。本体4210上の開口429bは、本例に示すような円形パターンなどの対称パターンを形成するように配置されてもよい。開口429bの対称パターンは、そこでのワーク上に均一な流れを生成するのに役立つことが可能である。
【0084】
上部フィルタ膜429cは、微粒子汚染物質(例えば、ほこり)が通過するのを防止するように構成される。いくつかの実施形態では、上部フィルタ膜429cは、布ベースの材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、上部フィルタ膜429cは、下部フィルタ膜(例えば、
図3に示すフィルタ膜327c)とは実質的に異なる材料組成を有する。例えば、上部フィルタ膜429cは、フッ素系コーティング(例えば、PTFE)を有する織物系材料を含んでもよいが、下部フィルタ膜(例えば、フィルタ膜327c)は、実質的にフッ素含有量を含まない。
【0085】
いくつかの実施形態では、フィルタリテーナ(例えば、上部フィルタカバー429d)は1つ又は複数の締結具(例えば、上部カバー保持部材429q)を介して本体4210に結合されてもよい。したがって、例示的な上部フィルタカバー429dには、上部カバー保持部材429qを受け入れるように構成されたリテーナシート429kがさらに設けられる。図示の実施形態では、上部カバー保持部材429qは、上部フィルタカバー429dの4つの角のそれぞれに配置された4つのネジを備える。他の実施形態では、保持クリップ、フックなどの他の形状及び形態の締結具を利用してもよい。いくつかの実施形態では、リテーナシート429kの配置位置は、フィルタシートに向かって均一な応力を加えるように、フィルタリテーナの下のフィルタシートの周囲に対称的に配置されてもよい。例えば、図示の例では、4つのリテーナシート429kは、貫通孔429jによって画定される円形パターンの2つの互いに垂直な二等分線(
図4では点線で示している)を横切って配置される。さらに、本体4210の幾何学的中心領域には、上部フィルタカバー429dを受け入れるように形状及び寸法決めされた凹部特徴部429sがさらに形成され、それによって、シートカバー421の全体的な厚さを減少させることができる。
【0086】
図示の実施形態では、上部拡散誘導構成要素429には、上部フィルタカバー429dとシートカバー421との間のシール係合を強化するためのシール部材がさらに設けられている。例えば、上部拡散誘導構成要素429は、上部フィルタカバー429dの周囲とシートカバー421との間に配置されたシールリング429gを備える。
【0087】
図5は、本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの上面図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付けていない。
【0088】
シートカバー上の拡散誘導構成要素(例えば、上部拡散誘導構成要素529)の配置位置は、いくつか例を挙げると、様々な要因、例えば、上部拡散誘導構成要素の下方に配置されたワーク(例えば、レチクルR2)の上面上の流体流れ及び流れの均一性を考慮に入れてもよい。図示の実施形態では、上部拡散誘導構成要素529は、シートカバー521の幾何学的中心と実質的に整列した幾何学的中心529rを有する。同心円状に配置された上部拡散誘導構成要素529は、ワークの中心領域からその4つのエッジに向かって放射する均一な流れの生成を容易にする。さらに、上部拡散誘導構成要素529の同心配置はまた、上部フィルタ膜529cが広い平面面積で構成されることを可能にする。上部フィルタ膜529cの大きな面積は、より大きな流体流れを支持することができる。大きな流体流れ及び均一な流れの両方は、ワークの上面上の微粒子/気相汚染物質除去の効率に有益に寄与し得る。いくつかの実施形態では、上部フィルタ膜のサイズは、ワークの平面面積の少なくとも25%である。いくつかの実施形態では、上部フィルタ膜の直径は約90mmである。
【0089】
いくつかの実施形態では、フィルタリテーナ(例えば、リテーナシート529k)のファスナシートは、シートカバーの2つの対称軸を含む領域を同時にオフセットするように配置される。例えば、例示的なリテーナシート529kは、シートカバー521の2つの交差する対称軸(A
1,A
2)の間に含まれる領域S(
図5の影付きの領域で示されている)をオフセットして配置される。図示の実施形態では、一方の対称軸(例えば、軸A
1)は、例示的なシートカバー521の本体の垂直二等分線を含む。特に、軸A
1は、シートカバー521の一対の側面526を通過する。他方の対称軸(例えば、軸A
2)は、シートカバー521の対角線を含む。2つの対称軸A
1,A
2は、幾何学的中心529rで交差することにより、対頂角が2対形成される。例示的な領域Sは、90度未満である1対の対頂角によって画定される。いくつかの実施形態では、鋭角の対頂角が45度以下である。いくつかの実施形態では、より小さな対頂角の大きさが約35度~40度である。
【0090】
リテーナシート529kと上部フィルタカバー529の幾何学的中心529rとの間の距離が小さすぎる場合、上部フィルタカバー529の4つのコーナーに形成された4つのリテーナシート529kは、領域Sをオフセット/回避することができない場合がある。上部拡散誘導構成要素529の同心配置により、上部フィルタカバー529をより大きな直径で構成することができ、それによって、オフセット配置を維持しながら構造的完全性を提供するように、リテーナシート529kを十分に大きな平面面積で製造することができる。
【0091】
図6Aは、本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの概略断面図を示す。
図6Aは、
図5の切断線B-Bに沿った概略断面図を表すことができる。
図6Bは、本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの概略分解図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付けていない。
【0092】
図6A及び
図6Bを併せて参照すると、シートカバー621は、本体6210と、上部拡散誘導構成要素とを含む。上部拡散誘導構成要素は、本体6210を貫通して配置された複数の開口629bと、開口629bを覆うように配置された上部フィルタ膜629cと、上部フィルタ膜629cへの流体アクセスを可能にしながら上部フィルタ膜429cを保持するように構成された上部フィルタカバー629dとを備える。上部フィルタカバー629dが本体6210に取り付けられると、本体6210上に形成される開口629bは、上部フィルタカバー629dの貫通孔629jと位置合わせされる。
【0093】
図示の実施形態では、上部フィルタカバー629dは、上部カバー保持部材629qによって本体6210上に取り付けられる。上部カバー保持部材629qは、リテーナシート629kによって受け入れられる。図示の実施形態では、上部フィルタカバー629dの中心領域629rは、シートカバー621の本体6210の外面6210aよりも高くない。リテーナシート629kは、外面6210aよりも高い上面を有する。
【0094】
図示のように、上部拡散誘導構成要素629は、上部フィルタカバー629dの周囲とシートカバー621の本体6210との間に配置されたシールリング629gをさらに備える。例示的な上部フィルタカバー629dの周囲には、シールリング629gを受け入れるための下向きの環状溝629yが形成される。
【0095】
同断面図では、例示的な貫通孔629j及び開口629bが実質的に均一な幅を備える。しかしながら、孔及び/又は開口の断面形状は、そこを流れる空気の方向のような多くの要因を考慮に入れることができる。例えば、下向きに減少する幅を備えた孔及び/又は開口は、空気の内向きの流れを容易にすることができる。一方、上向きに減少する幅を備えた孔及び/又は開口は、空気の外向きの流れを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、孔及び/又は開口は、先細りの上下断面形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、貫通孔629j及び/又は開口629bは、面取りをさらに有してもよい。
【0096】
図7は、本開示のいくつかの実施形態に係るシートカバーの上面図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付けていない。
【0097】
リソグラフィプロセスを実行するために、保管アセンブリは、保管されたレチクルを使用する後続の露光プロセスの前に、露光装置内の指定位置/ステーション(例えば、ワーク装填ステーション)に到達すると開くことができる。指定位置における保管アセンブリの位置及び/又は向きは、デリケートな保管アセンブリ及び/又はその中に含まれるレチクルがその後の手順(例えば、保管アセンブリの分解)中に偶発的な損傷を受けないようにするために検査されてもよい。
【0098】
いくつかの用途(例えば、EUV露光装置)において、保管アセンブリの位置及び/又は向きの精度は、光学位置決めセンサ(例えば、レーザ走査装置)などの光学手段を介して検査される。例えば、
図7は、レーザ光学位置決め手順の動作シナリオの下でのシートカバーの上面図を概略的に示す。図示のプロセスでは、2つの交差するレーザビームL
1,L
2(点線で示される)が例示的なシートカバー721の上面上に生成される。特に、レーザビームL
1は、シートカバー721の垂直二等分線に沿って配置され、一方、レーザビームL
2は、45度以下の角度AでレーザビームL
1と交差するように配置される。
【0099】
シートカバー721が正確に位置決め/配向されていない場合、シートカバー721の構成要素は、レーザビームL1,L2の一方又は両方を遮断することができる。例えば、保管アセンブリがx-y平面に対して傾斜される場合、シートカバー721の上面は、レーザビームL1,L2を遮断することができる。また、いずれかのレーザビームL1,L2がシートカバー721によって遮蔽されていることが判明した場合には、位置決めに失敗したことを示す出力を(例えば、ディスプレイ等の出力ユニットによって)生成するようにしてもよい。
【0100】
例示的な保持シート729kは、保持効果を確実にする(例えば、十分なネジ長さを維持する)ために、フィルタカバー729dの中心領域729rの上面から突出する(例えば、z方向に沿って)より大きい厚さを有する。内側ポッドが正確に位置決めされると、保持シート729kの幾何学的に非対称/半径方向に傾斜した位置は、光学的位置決めプロセス中に2つのレーザビームL1,L2を同時に回避し、それによって、レーザビームの遮断を避けることができる。図示の実施形態では、シートカバー721の保持シート729kは、シートカバー721の2つの対称軸(例えば、垂直二等分線及び対角線)を含む領域をオフセットするように配置されている。換言すれば、フィルタカバー729dの二等分線(例えば、保持シート729kのうちの2つを通過する線BT)は、シートカバー721の垂直二等分線と対角線とを同時にオフセットするように配置される。
【0101】
上記に図示され、説明された実施形態は単なる例示である。したがって、そのような詳細の多くは、図示も説明もされていない。本技術の多くの特徴及び利点が、構造及び機能の詳細と共に前述の説明で述べられたとしても、開示は例示にすぎず、詳細について、特に、部品の形状、サイズ、及び配置について、原則の範囲内で、即ち、特許請求の範囲で使用されている用語の幅広い一般的な意味によって確立された全範囲にまで及び全範囲を含めて、変更を加えることができる。したがって、上述の実施形態は、特許請求の範囲内で変更され得ることが理解されよう。