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特許7288526ポリビニルアルコールフィルム、それを含む偏光フィルム及びそれらの製造方法
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  • 特許-ポリビニルアルコールフィルム、それを含む偏光フィルム及びそれらの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ポリビニルアルコールフィルム、それを含む偏光フィルム及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230531BHJP
   C08F 8/12 20060101ALI20230531BHJP
   C08F 216/06 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
G02B5/30
C08F8/12
C08F216/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022011777
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2023073942
(43)【公開日】2023-05-26
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】110142496
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】202111351186.1
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591057290
【氏名又は名称】長春石油化學股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】陳家穎
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-138321(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021274(WO,A1)
【文献】特開2007-84802(JP,A)
【文献】国際公開第2020/184587(WO,A1)
【文献】特開2012-32789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 41/26
B29K 29/00
B29L 7/00
B29L 11/00
C08F 8/12
C08F 16/06
C08F 116/06
C08F 216/06
C08J 5/18
C08K 5/55
C08L 29/04
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.85<A1730cm-1/A1710cm-1<0.97のIR吸収強度比率及び0.35<(A1710cm-1+A1730cm-1)/A1425cm-1<0.55の酢酸エステル基の吸収強度を有するポリビニルアルコールフィルムであって、
前記IR吸収強度及び前記酢酸エステル基の吸収強度は、前記ポリビニルアルコールフィルムを純水に浸漬し、攪拌した後に取り出して、105℃/1hrで乾燥した後に分析したものであ
52%~56%のシンジオタクティシティをさらに有し、
前記ポリビニルアルコールフィルム0.12gを0.2wt%のホウ酸水溶液で処理し、水で溶解した後の前記水溶液のホウ素含有量が16~19ppmである、ポリビニルアルコールフィルム。
【請求項2】
請求項に記載のポリビニルアルコールフィルムを含む、偏光フィルム。
【請求項3】
クロスニコル状態における波長480nmの吸光度(A)と波長700nmの吸光度(B)との比率(A/B)が1.40~1.70である、請求項に記載の偏光フィルム。
【請求項4】
クロスニコル状態における波長480nmの吸光度(A)と波長700nmの吸光度(B)との比率(A/B)が1.51~1.65である、請求項に記載の偏光フィルム。
【請求項5】
ビニルエステル系樹脂モノマーを重合してポリビニルエステル系樹脂を形成した後、鹸化反応を行ってポリビニルアルコール樹脂を得る工程であって、そのうち、重合反応時にビニル2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロピオネート(vinyl 2,2-bis(trifluoromethyl)propionate)コポリマーを添加し、且つ前記コポリマーモル量/前記ビニルエステル系樹脂モノマーモル量の添加量比率は1~3mole%であり、誘電率が34~36の間の鹸化溶媒を添加する工程(a)と、
前記ポリビニルアルコール樹脂を加熱して溶解し、ポリビニルアルコール鋳造溶液を形成する工程(b)と、
前記鋳造溶液を鋳造ドラムに鋳込む工程(c)と、
乾燥を経てポリビニルアルコールフィルムを形成する工程(d)と、を含み、
前記工程(a)~(c)は、金属電熱線又は内部に液体を備えたジャケットである外部保温装置の使用の下で行うものである、請求項に記載のポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
【請求項6】
さらに、前記工程(a)中でpH値を調整するか、又は誘電率の異なる溶媒を添加することで、残存酢酸エステル基配列をコントロールする、請求項に記載の製造方法。
【請求項7】
さらに、前記工程(a)において、鹸化反応で得た前記ポリビニルアルコール樹脂を粉砕して乾燥するが、乾燥過程で適時蒸気を吹き込み、樹脂粒子が過度に乾燥して皮張りが発生するのを防ぐ、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムとして、特に偏光フィルムとして用い得る、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)フィルムは一種の親水性ポリマーであり、透明性、機械的強度、水溶性、良好な加工性などの性能を有し、包装材料又は電子製品の光学フィルムにおいて、特に偏光フィルムにおいて広く用いられている。
【0003】
PVAフィルムで光学フィルムを調製する製造工程では、必要とする性能に従い選択的に官能基修飾を使用することができ、その後で延伸が行われる。製造方法は乾式と湿式に大別することができ、乾式は、一定の温湿度下において、不活性ガス雰囲気下でPVAフィルムの延伸を行ってから、染色などの工程を行うものである。湿式は、PVAフィルムの染色を行ってから、溶液中で延伸を行うものである。乾式で調製されたPVAフィルムは、表面に平坦性がないか又は染色が不均一になるという問題がしばしば起こるが、湿式で製造されたPVAフィルムは良好な性能(例えば色が均一)を具備するため、現在では一般的に湿式法を用いてPVAフィルムを製造することが多い。
【0004】
偏光フィルムを製造する場合には、延伸倍率が高くなるほど、得られる光学性能も高くなるため、延伸時にはPVAフィルムが断裂に近づく臨界近傍まで可能な限り延伸し、光学特性に優れたPVAフィルムを得る。
【0005】
良好な偏光フィルムは色が均一で、色斑が少なく、皺がないなどの特性を有し、優れた光学特性を提供することができる。偏光フィルムの光学特性を向上させるため、従来技術ではポリビニルアルコールの構造を変化させたり、官能基(例えばカチオン基)を加えたりするなどして、粘度や鹸化度を変えることにより光学特性を向上させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、既知の製造方法では、残留するアセトキシル基の分布、シンジオタクティシティ(Syndiotacticity)が偏光子の色相に大きな影響を与えてしまっていた。
【0007】
発明者は、偏光フィルムに赤色の光漏れや青色の光漏れが生じるのは、フィルム中のI とI の相対含量に原因があることを発見した。I が少ない場合には、700nmの吸収度が低くなり、外観が赤寄りになる。反対に、I が少ない場合には、480nmの吸収が低くなり、外観が青寄りになる。ホウ酸とPVAとの架橋を効果的に生じさせることができれば、I 錯体を生成したり、I の流出を防いだりするのに役立つ。従って、ホウ酸とPVAの架橋反応の量が不足すると、偏光フィルムの色相が赤寄り又は青寄りになる現象が発生する可能性がある。また、シンジオタクティシティが高いほど、I 化合物が形成されやすくなり、Red leakを低減しやすくなる。シンジオタクティシティ以外では、残存アセトキシル基の配列形態、ホウ酸の錯化レベルなども相対的な色相に影響を与える。色相を均一にする効果が達成されるには、特定の範囲で同時にコントロールしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の問題を解決するために、本発明は、IR吸収スペクトル中の非水素結合カルボニル基/水素結合カルボニル基の比率をコントロールすることにより、色相に優れたPVAフィルムを達成する。そのうち、非水素結合カルボニル基のIR吸収強度はA1730cm-1であり、水素結合カルボニル基のIR吸収強度はA1710cm-1である。
【0009】
本発明は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)フィルムを提供することを目的としており、それが有するIR吸収強度比率は0.85<A1730cm-1/A1710cm-1<0.97である。このIR吸収強度は、ポリビニルアルコールフィルムを純水に浸漬し、攪拌した後に取り出して、105℃/1hrで乾燥した後に分析したものである。
【0010】
好ましい実施例中、PVAフィルムが有する酢酸エステル基の吸収強度は0.35<(A1710cm-1+ A1730cm-1)/A1425cm-1<0.55である。この酢酸エステル基の吸収強度は、ポリビニルアルコールフィルムを純水に浸漬し、攪拌した後に取り出して、105℃/1hrで乾燥した後に分析したものである。
【0011】
好ましい実施例中、PVAフィルムが有するシンジオタクティシティは52%~56%である。
【0012】
好ましい実施例中、0.12gのPVAフィルムを0.2wt%のホウ酸水溶液で処理し、水で溶解した後の水溶液のホウ素含有量は16~19ppmである。
【0013】
本発明の別の目的は、上述のPVAフィルムが含まれた光学フィルムを提供することである。好ましい実施例中、光学フィルムは偏光フィルムである。
【0014】
好ましい実施例中、偏光フィルムのクロスニコル状態における波長480nmの吸光度(A)と波長700nmの吸光度(B)との比率(A/B)は1.40~1.70である。
【0015】
好ましい実施例中、偏光フィルムのクロスニコル状態における波長480nmの吸光度(A)と波長700nmの吸光度(B)との比率(A/B)は1.51~1.65である。
【0016】
本発明の別の目的は、PVAフィルムの製造方法を提供することであり、それには、(a)ビニルエステル系樹脂モノマーを重合してポリビニルエステル系樹脂を形成した後、鹸化反応を行ってポリビニルアルコール樹脂を得る工程であって、そのうち、重合反応時にビニル2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロピオネート(vinyl 2,2-bis(trifluoromethyl)propionate)コポリマーを添加し、且つそのコポリマーモル量/ビニルエステル系樹脂モノマーモル量の添加量比率は1~3mole%であり、誘電率が34~36の間の鹸化溶媒を添加する工程と、(b)そのポリビニルアルコール樹脂を加熱して溶解し、ポリビニルアルコール鋳造溶液を形成する工程と、(c)その鋳造溶液を鋳造ドラムに鋳込む工程と、(d)乾燥を経てPVAフィルムを形成する工程と、を含む。
【0017】
好ましい実施例中、PVAフィルムの製造方法における工程(a)~(c)は、外部保温装置の使用の下で行うものである。
【0018】
好ましい実施例中、外部保温装置は金属電熱線又は内部に液体を備えたジャケットである。
【0019】
好ましい実施例中、PVAフィルムの製造方法はさらに、工程(a)中でpH値を調整するか、又は誘電率の異なる溶媒を添加することで、残存酢酸エステル基配列をコントロールする。
【0020】
好ましい実施例中、PVAフィルムの製造方法はさらに、工程(a)において、鹸化反応で得たポリビニルアルコール樹脂を粉砕して乾燥するが、乾燥過程で適時蒸気を吹き込み、樹脂粒子が過度に乾燥して皮張りが発生するのを防ぐ。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、既知のPVAフィルムの製造工程が改善されるだけでなく、IR吸光スペクトル中の非水素結合カルボニル基/水素結合カルボニル基の比率をコントロールすることにより、色相に優れたPVAフィルムが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】酢酸エステル基中のC=0の吸収ピークを1710cm-1(OH基と連なる)と1730cm-1(ブロック内の非水素結合カルボニル基)に分けた概念図である。
図2】本発明の実施例に基づくシンジオタクチックトリアド(Syndiotactic triad)、イソタクチックトリアド(Isotactic triad)、ヘテロタクチックトリアド(Heterotactic triad)の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施形態は、本発明を過度に限定するものではない。本発明が属する技術分野の当業者は、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに本明細書中で検討する実施例に対して修正や変更を行うことができ、いずれも本発明の範囲に属する。
【0024】
本明細書中の「1」及び「一種」という用語は、本明細書において文法の対象が1つ以上(即ち少なくとも1つ)存在することを指す。
【0025】
本発明はPVAフィルムを提供し、特に特定のIR吸収強度比率を有するPVAフィルムを提供する。また、本発明はそのPVAフィルムを含む光学フィルムをさらに提供する。
【0026】
上述の「IR吸収強度比率」は、赤外分光法(infrared spectroscopy)を利用して得たものであり、それは分子の振動エネルギー(又は周波数)を検出するのに用いられる技術である。赤外光と分子の作用が生み出す分子振動の原理を利用して、分子が赤外光を吸収した後に呈する振動モード(vibrational modes)を記録し、吸収光の赤外光波長(λ)に対する相対的な強度を記録して得る図を赤外スペクトルと呼び、特定の分子を同定するのに用いられる。上述のIR分析方法は、例えば、JIS K 6726規格の方法を参考にして、10cm×10cmのPVAフィルムを30℃の純水2000ml中に浸漬し、マグネチックスターラーを用いて5分間攪拌してから取り出す。乾燥器を105℃まで予熱し、浸漬後のフィルムをトレイに平置きして、105℃/1hrで乾燥を行った後、フィルムを取り出してIR分析を行う。IR吸収値に負の値が生じた場合には、データを適切に平行移動し、すべてのデータに固定定数を加えて、全範囲のIRスペクトル吸収値の最低点を0にする。
【0027】
図1を参照されたい。酢酸エステル基中のC=0の吸収ピークを1710cm-1(OH基と連なる)と1730cm-1(ブロック内の非水素結合カルボニル基)に分けた。少なくとも1の実施例によれば、発明者は、酢酸エステル基中のC=0の吸収ピークが1710cm-1(OH基と連なる)と1730cm-1(ブロック内)に分かれ、1730cm-1の吸収強度(A 1730cm-1)が高ければ高いほど、ブロック内のC=0が多いことを表し、偏光フィルムの色相に影響を与えることを発見した。好ましい実施例中、本発明のポリビニルアルコールフィルムが有するIR吸収強度比率は0.85<A1730cm-1/A1710cm-1<0.97である。具体的には、例えば、0.85、0.86、…、0.97のうちの任意の2つの数値間の範囲であるが、これらの数値は含まない。
【0028】
さらに/又は、発明者は、(A1710cm-1+A1730cm-1)/A1425cm-1が全体の酢酸エステル基残存量を表し、この値が高ければ高いほど、偏光度が下降し、赤色の光が漏れる傾向にあることを発見した。好ましい実施例中、本発明のポリビニルアルコールフィルムは、0.35<(A1710cm-1+A1730cm-1)/A1425cm-1<0.55の酢酸エステル基の吸収強度をさらに有し、具体的には、例えば、0.35、0.36、…、0.55のうちの任意の2つの数値間の範囲であるが、これらの数値は含まない。A1730cm-1の吸収値が高ければ高いほど、ブロック内のアセトキシル基(OAc基)は多くなる。鹸化過程中でpH値を適切に調整したり、誘電率の異なる溶媒を添加したりすることによって、残存酢酸エステル基の配列をコントロールすることができ、また、異なる溶媒の鹸化によって異なる残存アセトキシル基の配列をコントロールできる。
【0029】
本発明のPVAフィルムは、特定のシンジオタクティシティをさらに有する。本明細書に記載の「シンジオタクティシティ(Syndiotacticity)」とは、分子鎖の立体規則性を指し、R基が鎖の両側に交互に出現する構造をいう。好ましい実施例中、本発明のPVAフィルムが有するシンジオタクティシティは52%~56%である。具体的には、例えば、52%、53%、…、56%のうちの任意の2つの数値間の範囲である。少なくとも1つの実施例によれば、シンジオタクティシティのコントロールは、重合反応中に特定のコポリマーを適度に添加することによって調整することができ、これにより立体障害を大きくさせて、高いシンジオタクティシティに変えることができる。コポリマーは例えば、ビニル2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロピオネート(vinyl 2,2-bis(trifluoromethyl)propionate)、ビニル5H-オクタフルオロ吉草酸(vinyl 5H-octafluorovalerate)、トリフルオロメタン(CF)などであるが、これらに限らない。或いは、重合温度を微調整するが、重合温度が高すぎると、立体障害を克服してシンジオタクティシティが低くなり、分岐(Branch)が生じやすくなって、染色性に影響が出る。
【0030】
好ましい実施例中、本発明のPVAフィルムを0.2wt%のホウ酸水溶液で処理し、水で溶解した後の水溶液のホウ素含有量は16~19ppmである。具体的には、例えば16ppm、16.5ppm…、19ppmのうちの任意の2つの数値間の範囲である。本発明中、ホウ素含有量の測定方法は、以下を含む。約0.12gにカットしたPVAフィルムを30mlのガラス製試料採取容器に入れて、純水20gを加え、フィルムが完全に純水の液面以下にあるようにし、攪拌球を加え、攪拌速度は250rpmとし、1.0時間攪拌する。次に、瓶内の純水を出し、0.2wt%のホウ酸水溶液を加えて、1.0時間静置した後、ホウ酸水溶液を出して、PVAフィルムを瓶内で16.0時間静置及び熟成させる。次に、PVAフィルムを取り出し、純水ですすいだ後、30mlのガラス製試料採取容器に入れて、純水20gを加え、十分に溶解させてから誘導結合プラズマ発光分光装置(ICP-OES)により溶液中のホウ素濃度を分析する。
【0031】
本明細書に記載の「光学フィルム」とは、偏光フィルム、ブルーライトカットフィルム、フィルターレンズなどを指すが、本発明はこれらに限定されない。好適には、本発明のPVAフィルムは偏光フィルムとされる。
【0032】
上述の偏光フィルムは、クロスニコル状態における波長480nmの吸光度(A)と波長700nmの吸光度(B)との特定の比率(A/B)を有する。本明細書に記載の「クロスニコル」とは、クロスニコル(Cross Nicol)透過率を指し、それは光学性能の分析に用いられる方法の1つである。測定波長範囲は380nm~780nmに設定し、グラン・テーラー偏光子を通して偏光フィルムに入射した偏光の振動方向が偏光フィルムの透過軸に平行であるときの透過率を平行透過率とし、偏光フィルムの透過軸に垂直である場合をクロスニコル透過率とする。その後、「偏光フィルム評価プログラム」(日本分光株式会社製)を使用し、JIS Z 8722(物体色の測定方法)の方法に従い、上述の平行透過率とクロスニコル透過率を用いて、C光源、2度視野の可視光領域の視感度補正を行い、偏光フィルムの単体透過率、偏光度の算出を行って、その2つの値を偏光フィルムの光学特性として得た。
【0033】
好ましい実施例中、本発明の偏光フィルムのクロスニコル状態における波長480nmの吸光度(A)と波長700nmの吸光度(B)との比率(A/B)は1.40~1.70である。上述の比率(A/B)は、具体的には、例えば1.40、1.41、…、1.70のうちの任意の2つの数値間の範囲である。より好ましい実施例中、本発明の偏光フィルムのクロスニコル状態における波長480nmの吸光度(A)と波長700nmの吸光度(B)との比率(A/B)は1.51~1.65である。上述の比率(A/B)は、具体的には、例えば1.51、1.52、…、1.65のうちの任意の2つの数値間の範囲である。
【0034】
別の態様として、本発明はポリビニルアルコールフィルムの製造方法も提供する。その工程には、(a)ビニルエステル系樹脂モノマーを重合してポリビニルエステル系樹脂を形成した後、鹸化反応を行ってポリビニルアルコール樹脂を得る工程であって、そのうち、重合反応時にビニル2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロピオネート(vinyl 2,2-bis(trifluoromethyl)propionate)コポリマーを添加し、且つそのコポリマーモル量/ビニルエステル系樹脂モノマーモル量の添加量比率は1~3mole%であり、誘電率が34~36の間の鹸化溶媒を添加する工程と、(b)そのポリビニルアルコール樹脂を加熱して溶解し、ポリビニルアルコール鋳造溶液を形成する工程と、(c)その鋳造溶液を鋳造ドラムに鋳込む工程と、(d)乾燥を経てタールフィルムを形成する工程と、を含む。
【0035】
好ましい実施例中、本発明のPVAフィルムの製造方法は、(a)のビニルエステル系樹脂モノマーを重合する工程中、コポリマーモル量/ビニルエステル系樹脂モノマーモル量の添加量比率が1~3mole%である。具体的には、例えば、1、1.2、…、3mole%のうちの任意の2つの数値間の範囲であるが、本発明はこれらに限らない。好ましい実施例中、工程(a)において、pH値を調整するか、又は誘電率の異なる溶媒を添加することで、残存酢酸エステル基配列をコントロールする。別の好ましい実施例中、製造方法はさらに、工程(a)において、鹸化反応で得たポリビニルアルコール樹脂を粉砕して乾燥するが、乾燥過程で適時蒸気を吹き込み、樹脂粒子が過度に乾燥して皮張りが発生するのを防ぐ。
【0036】
工程(a)中の誘電率が34~36の間の鹸化溶媒は、例えばメタノール/酢酸メチルの混合溶媒であり、酢酸メチルの量が多ければ多いほど、鹸化溶媒の誘電率の値が低くなり、A1730cm-1/A1710cm-1のIR吸収強度比率が高くなる。
【0037】
上述のポリビニルアルコール樹脂は、ビニルエステル系樹脂単量体の重合によりポリビニルエステル系樹脂を形成した後、鹸化反応を行って得たものである。そのうち、ビニルエステル系樹脂単量体は、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ペンタン酸ビニル又はオクタン酸ビニルなどのビニルエステル類を含むが、本発明はこれらに限定されず、好適には酢酸ビニルである。また、オレフィン類化合物又はアクリレート誘導体と上述のビニルエステル系樹脂単量体との共重合により形成された共重合体も使用可能である。オレフィン類化合物は、エチレン、プロピレン、ブチレンなどである。又は、例えば酢酸アリル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル又はアクリル酸n-ブチルなどのアクリレート誘導体と上述のビニルエステル系樹脂単量体との共重合により形成された共重合体も使用可能である。製造コストやフィルム品質を総合的に考慮すると、エチレン、酢酸アリル、アリルアルコールが好ましい。少なくとも1つの実施例によれば、エチレン、酢酸アリル、アリルアルコールの単位含有率は5mole%以内であり、2~3.5mole%が好ましい。
【0038】
重合中、vinyl 2,2-bis(trifluoromethyl)propionateなどの特定のコポリマーを適度に添加することによってシンジオタクティシティを調整することができる。或いは、重合温度を微調整する。重合温度が高すぎると、シンジオタクティシティが低くなり、分岐(Branch)が生じやすくなって、染色性に影響が出る。
【0039】
通常、ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度は90%以上であり、好適には99%以上とすることで良好な光学特性が得られる。具体的には、例えば90%、91%、…、99%の数値中の任意の値か又は上述の任意の2つの数値の間である。鹸化過程において、pH値を適切に調整するか、又は誘電率の異なる溶媒を添加することで、残存酢酸エステル基配列をコントロールすることができる。
【0040】
ポリビニルアルコールの重合度は800~10000の間であり、好適には2200~10000の間であり、具体的には、例えば800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000又は上述の任意の2つの数値の間であり、重合度が800を上回ると良好な加工特性を具備するが、重合度が10000を上回ると溶解するのに都合が悪くなる。
【0041】
一般に、使用するポリビニルアルコール鋳造溶液中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が不足すると、鋳造溶液の粘度が低くなり過ぎ、乾燥負荷が過度に大きくなり、成膜効率が悪くなってしまう。別の面では、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が高過ぎると、ポリビニルアルコール系樹脂が溶解しにくくなり、クラスターが残りやすくなってしまう。そのため、本実施例の使用するポリビニルアルコール鋳造溶液中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、通常、10~60wt%であり、好適には15~40wt%であり、より好適には20~30wt%であり、具体的には、例えば10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60wt%などである。
【0042】
ポリビニルアルコール鋳造溶液の溶解温度は130~140℃が好ましく、温度が低すぎるとクラスターが残りやすくなり、温度が高すぎるとエネルギーを消費するうえに、コストも増加する。具体的には、温度は例えば130~140℃、133~140℃、136~140℃、139~140℃、130~137℃、130~134℃、130~131℃などである。
【0043】
鋳造溶液中には、ポリビニルアルコール系樹脂のほかに、可塑剤を含めて成膜の加工性を増強することもでき、使用可能な可塑剤には、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールなどの多価アルコールが含まれるが、本発明はこれらに限定されず、好適にはエチレングリコール及びグリセロールである。可塑剤の添加量は通常、ポリビニルアルコール樹脂100重量部に対して3~30重量部の間であり、好適には7~20重量部の間であり、具体的には、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30重量部又は上述の任意の2つの数値の間である。可塑剤の含有量が不足すると、形成されるPVAフィルムに結晶が生じやすくなり、後続の加工における染色効果に影響を及ぼしてしまう。反対に、可塑剤の含有量が高すぎると、PVAフィルムの機械的性質が損なわれてしまう。
【0044】
PVAフィルムの製造方法において使用する設備には、溶解タンク、フィルタ、コーティング機及び溶解タンクからコーティング機の前まで接続される輸送配管が含まれ、好ましい状態としては、それら設備に保温装置が被覆されており、保温装置は金属発熱体(電熱線)、又は内部に油や水などの液体が入れられたジャケットでよく、金属ワイヤ又はジャケット内の液体を加熱し、溶解タンク、フィルタ、コーティング機及び溶解タンクからコーティング機の前まで接続される配管(特に設備と配管の表面)を均一に加熱して保温状態を維持させることで、設備又は配管の表面温度が失われてポリビニルアルコール鋳造溶液中のポリビニルアルコールにゲルが形成され、フィルタに粘着したり詰まったりして製造工程が継続運転できなくなるのを回避する。また、加熱温度が過度に高いと、溶液の一部を脱水又はゲル化させてしまい、キツネ色又は黒色のゲルが形成され、塗布成形したフィルム表面の品質や均一性を向上させる面でも不利になる。本発明の方法中、塗布成形を行うポリビニルアルコールの加熱及び保温条件は80~120℃であり、好適には90~110℃の加熱及び保温条件下で行い、より好適には90~100℃の加熱及び保温条件下で行う。具体的には、例えば80、85、90、95、100、105、110、115、120℃又は上述の任意の2つの数値の間である。好ましい実施例中、工程(a)~(c)は、外部保温装置の使用の下で行う。
【0045】
上に掲げた方法では、ポリビニルアルコール系樹脂と可塑剤を溶媒中に溶かし、ポリビニルアルコール鋳造溶液を形成した後、フィルタで濾過を行い、最後に歯車ポンプ(gear pump)及びT型ダイコーターを用いてポリビニルアルコール鋳造溶液を鋳造ドラムに鋳込む。ドラムの速度が遅すぎると、過度に乾燥し、位相差、融点の分布が不均一になる傾向があり、速すぎると、乾燥が不十分となり、剥離性が低下してしまう。またドラムの温度を上げた場合には、起泡現象が生じやすくなる。そのため、ドラムの回転速度は3~7m/minが相応しく、好適には4~6m/minである。具体的には、例えば2m/min、3m/min、…、6m/minのうちの任意の2つの数値間の範囲である。温度は85~90℃の間に設定し、例えば85~90℃、86~90℃、87~90℃、88~90℃、89~90℃、85~89℃、85~88℃、85~87℃又は85~86℃などとする。ドラムの温度が高すぎると、ドラム上の鋳造溶液に起泡現象が生じやすくなる。
【0046】
ドラムから剥離した後、一連の加熱ローラを通してさらに乾燥してから熱処理を行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得る。熱処理は、(1)ポリビニルアルコール系フィルムを加熱ローラ上か、(2)フローティングドライヤー上で行う方法などを挙げることができる。加熱ローラとフローティングドライヤーの数は特に限定されない。但し、好適には115~130℃であり、例えば115~130℃、115~128℃、115~126℃、115~124℃、115~122℃、115~120℃、115~118℃、115~116℃、117~130℃、119~130℃、121~130℃、123~130℃、125~130℃、127~130℃又は129~130℃である。温度が高すぎると膨潤度が劣化して、染色性やホウ酸の反応性に影響を及ぼし、温度が低すぎると、PVAに溶出現象が生じる。
【0047】
PVAフィルムで光学フィルムを製造する際には延伸と染色を行うが、偏光フィルムを例とすると、偏光フィルムの製造工程ではI 、I ヨウ化物イオンが含まれたホウ酸水溶液でPVAフィルムの染色が行われるため、ホウ酸がPVAの無定形(amorphous)エリアとの架橋結合作用を生じた後、ヨウ化物イオンが固定され、ヨウ化物イオンの溶出を防ぐことができる。
【実施例
【0048】
以下では、実施例と合わせて本発明についてより詳しく説明する。但し、それらの実施例は本発明をより容易に理解できるよう助けるためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0049】
PVAフィルムの製造
ポリビニルアルコール鋳造溶液を調製した後、ポリビニルアルコール鋳造溶液を鋳造ドラムに鋳込み、乾燥を経てポリビニルアルコール系ポリマーフィルムを形成する。具体的には、上述のポリビニルアルコール系ポリマーフィルムの製造方法中、ポリビニルアルコール鋳造溶液は主にポリビニルアルコール、可塑剤及び水を含み、ポリビニルアルコールは、ビニルエステル系樹脂単量体の重合によりポリビニルエステル系樹脂を得た後、鹸化反応を行って得られるものである。
【0050】
偏光フィルムの製造
ポリビニルアルコールフィルムを30℃の水中に浸漬して膨潤させ、且つ機械方向(MD)に向かって元の長さの2.0倍まで一軸延伸した後、0.03質量パーセントのヨウ素、及び3質量パーセントのヨウ化カリウムを含む30℃の水溶液に浸漬しながら、元の長さの3.3倍まで延伸し、次に3質量パーセントのヨウ化カリウム及び3質量パーセントのホウ酸を含む30℃の水溶液中に浸漬して、元の長さの3.6倍までさらに延伸する。続けて5質量パーセントのヨウ化カリウム及び4質量パーセントのホウ酸を含む60℃の水溶液中に浸漬して、元の長さの6.0倍までさらに延伸する。その後、3質量パーセントのヨウ化カリウム水溶液に15秒間浸漬してから、60℃で4分間乾燥すれば、偏光フィルムを得ることができる。
【0051】
以下は、実施例1~4及び比較例1~3の試験制御変数及び色相均一性測定結果である表1を参照されたい。
【0052】
【表1】
【0053】
本実施例中、IR分析方法は以下を含む。10cm×10cmのPVAフィルムを30℃の純水2000ml中に浸漬し、マグネチックスターラーを用いて5分間攪拌してから取り出す。乾燥器を105℃まで予熱し、浸漬後のフィルムをトレイに平置きして、105℃/1hrで乾燥し、フィルムを取り出して分析を行う。IR吸収値に負の値が生じた場合には、データを適切に平行移動し、すべてのデータに固定定数を加えて、全範囲のIRスペクトル吸収値の最低点を0にする。
【0054】
本実施例中、ホウ素含有量の測定方法は、以下を含む。約0.12gにカットしたPVAフィルムを30mlのガラス製試料採取容器に入れて、純水20gを加え、フィルムが完全に純水の液面以下にあるようにし、攪拌球を加え、攪拌速度は250rpmとし、1.0時間攪拌する。次に、瓶内の純水を出し、0.2wt%のホウ酸水溶液を加えて、1.0時間静置した後、ホウ酸水溶液を出して、PVAフィルムを瓶内で密閉(close)して16.0時間静置及び熟成させる。次に、PVAフィルムを取り出し、純水ですすいだ後、30mlのガラス製試料採取容器に入れて、純水20gを加え、十分に溶解させてからICP-OESにより溶液中のホウ素濃度を分析する。
【0055】
本実施例中、ICP-OESの分析方法は以下を含む。ヘテロダイン法で検量線を作成し、マイクロディスペンサで200ppmのICP多元素標準液(Merck社から購入)を吸い取って100mlの計量フラスコに入れてから、脱イオン水で100mlまで希釈し、必要な濃度(100、200、500、2000ppbなど)の予備を調製する。試料は前処理を必要とせず、直接装置で分析する。本方法で選択した分析元素はホウ素(B,249.773nm)である。
【0056】
本実施例中、シンジオタクティシティの分析方法は以下を含む。10cm×10cmの試験試料を30℃の純水2000ml中に浸漬し、マグネチックスターラーを用いて5分間攪拌してから取り出す。乾燥器を105℃まで予熱し、浸漬後のフィルムをトレイに平置きして、105℃/1hrで乾燥する。フィルムを取り出して、NMR分析を行う。使用する溶媒はジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide-d)であり、計器はH NMRである。分析方法は、T.Moritani氏らが1972年に「Macromolecules」(5,577)で公開した方法を参考にした。図2を参照して、NMRによりトリアド(triads;mm/mr/rr)の百分率(%)を求めた後、数式:シンジオタクティシティ(ダイアド;dyads)=rr+mr/2により計算して得た。
【0057】
本実施例中、樹脂の鹸化度、平均重合度は、JIS 6726の試験方法を参照した。
【0058】
表1によれば、本発明のPVAフィルムによって製造される偏光フィルムは、色相均一性の観点からすると、クロスニコル状態における波長480nmの吸光度(A)と波長700nmの吸光度(B)との特定の比率(A/B)は1.40以上であるのが好ましい。別の面として、比率(A/B)が高過ぎた場合、赤色の光漏れが多くなる傾向があるため、比率(A/B)は2.00以下であるのが好ましく、より好ましくは1.80未満である。上述の吸光度(A)及び吸光度(B)は、分光光度計で求めることができる。
【0059】
要約すると、本発明の効果として、既知のPVAフィルムの製造工程が改善されるだけでなく、IR吸光スペクトル中の非水素結合カルボニル基/水素結合カルボニル基の比率をコントロールすることにより、色相に優れたPVAフィルムが達成される。
【0060】
本明細書において提供する全ての範囲は、割り当て範囲内における各特定の範囲及び割り当て範囲の間の二次範囲の組み合わせを含むという意味である。また、別段の説明がない限り、本明細書が提供する全ての範囲は、いずれも範囲のエンドポイントを含む。従って、範囲1~5は、具体的には1、2、3、4及び5、並びに2~5、3~5、2~3、2~4、1~4などの二次範囲を含む。
【0061】
本明細書において参照される全ての刊行物及び特許出願はいずれも参照により本明細書に組み込まれ、且つありとあらゆる目的から、各刊行物又は特許出願はいずれも各々参照により本明細書に組み込まれることを明確且つ個々に示している。本明細書と参照により本明細書に組み込まれるあらゆる刊行物又は特許出願との間に不一致が存在する場合には、本明細書に準ずる。
【0062】
本明細書で使用する「含む」、「有する」及び「包含する」という用語は、開放的、非限定的な意味を有する。「1」及び「当該」という用語は、複数及び単数を含むと理解されるべきである。「1つ以上」という用語は、「少なくとも1つ」を指し、従って単一の特性又は混合物/組み合わせた特性を含むことができる。
【0063】
操作の実施例中又は他の指示する場所を除き、成分及び/又は反応条件の量を示す全ての数字は、全ての場合においていずれも「約」という用語を用いて修飾することができ、示した数字の±5%以内であるという意味である。本明細書で使用する「基本的に含まない」又は「実質的に含まない」という用語は、特定の特性が約2%未満であることを意味する。本明細書中に明確に記載されている全ての要素又は特性は、特許請求の範囲から否定的に除外することができる。
図1
図2