(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】浸水範囲補正装置、浸水範囲補正方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01W 1/00 20060101AFI20230531BHJP
G01C 13/00 20060101ALI20230531BHJP
G08B 31/00 20060101ALN20230531BHJP
【FI】
G01W1/00 Z
G01C13/00 D
G08B31/00 B
(21)【出願番号】P 2022138421
(22)【出願日】2022-08-31
【審査請求日】2022-10-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399106192
【氏名又は名称】三井住友海上火災保険株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518167701
【氏名又は名称】MS&ADインターリスク総研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】大久保 創理
(72)【発明者】
【氏名】荒木 敏行
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-197554(JP,A)
【文献】特開2008-309632(JP,A)
【文献】特開2019-087251(JP,A)
【文献】特開2021-135999(JP,A)
【文献】特表2021-518889(JP,A)
【文献】特開2008-310036(JP,A)
【文献】特開2018-132504(JP,A)
【文献】米国特許第9600997(US,B1)
【文献】本田 謙一,衛星SARを用いた豪雨災害時の迅速な浸水範囲および浸水深抽出の試み,日本リモートセンシング学会誌,日本,一般社団法人日本リモートセンシング学会, 第40巻 第3号,158~162頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00
G01C 13/00
G08B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知の浸水範囲の情報を取得する範囲取得部と、
前記浸水範囲の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得する浸水深取得部と、
前記浸水範囲の周辺における複数の前記浸水深から、浸水深と標高との和である水面高の第1代表値を決定する決定部と、
前記浸水範囲の周辺における標高、および、前記第1代表値に基づいて、前記浸水範囲を補正する補正部と
を備える浸水範囲補正装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記複数の実測地点のそれぞれの前記水面高のうち最大値を前記第1代表値とする、
請求項1に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記浸水範囲を、前記浸水範囲の周辺における標高が前記最大値と等しくなる範囲に補正する、
請求項2に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項4】
前記決定部は、
予め定められた条件で、前記浸水範囲の周辺における前記複数の浸水深のそれぞれ、および、対応する複数の前記水面高のそれぞれ、の少なくとも何れかが異常値であるか否かを判断し、
前記異常値が存在する場合には、前記異常値を除外してから前記第1代表値を決定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記浸水範囲の周辺における前記複数の浸水深のうち浸水深の大きさが上位から予め定められた範囲に含まれる浸水深、および、前記対応する複数の水面高のうち水面高の大きさが上位から予め定められた範囲に含まれる水面高を前記異常値と判断する、
請求項4に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項6】
前記浸水深取得部は、前記浸水範囲における複数の実測地点のそれぞれの浸水深も取得し、
前記決定部は、前記浸水範囲の周辺における前記複数の浸水深、および、前記浸水範囲における複数の前記浸水深から、前記第1代表値を決定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項7】
前記範囲取得部は、特定の河川の右岸側および左岸側のそれぞれについて前記情報を取得し、
前記浸水深取得部は、前記右岸側および前記左岸側のそれぞれについて前記浸水深を取得し、
前記決定部は、前記右岸側および前記左岸側のそれぞれについて前記第1代表値を決定し、
前記補正部は、前記右岸側および前記左岸側のそれぞれについて前記浸水範囲を補正する、
請求項1から3の何れか一項に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項8】
前記浸水深取得部は、前記浸水範囲における複数の実測地点のそれぞれの浸水深も取得し、
前記補正部による補正後の浸水範囲における複数の実測地点のそれぞれの浸水深から、前記水面高の第2代表値を決定する第2決定部と、
前記第2代表値に基づいて、前記補正後の浸水範囲における特定の位置の浸水深を推定する推定部と
を更に備える、請求項1から3の何れか一項に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項9】
前記第2決定部は、前記第2代表値と、前記補正後の浸水範囲における前記複数の実測地点のそれぞれの前記水面高との差分が最小になるように、前記第2代表値を決定する、
請求項8に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項10】
前記推定部は、前記第2代表値から前記特定の位置の標高を減算することによって前記特定の位置の浸水深を推定する、
請求項9に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項11】
前記浸水深取得部は、前記浸水範囲における複数の実測地点のそれぞれの浸水深も取得し、
前記補正部による補正後の浸水範囲における特定の位置について、前記特定の位置の周囲に位置する少なくとも2つの実測地点の前記水面高に基づき、前記特定の位置の前記水面高を空間補間により推定し、推定した前記水面高から浸水深を推定する第2推定部を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の浸水範囲補正装置。
【請求項12】
コンピュータによって実行される浸水範囲補正方法であって、
既知の浸水範囲の情報を取得することと、
前記浸水範囲の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得することと、
前記浸水範囲の周辺における複数の前記浸水深から、浸水深と標高との和である水面高の第1代表値を決定することと、
前記浸水範囲の周辺における標高、および、前記第1代表値に基づいて、前記浸水範囲を補正することと
を備える浸水範囲補正方法。
【請求項13】
コンピュータによって実行された場合に、前記コンピュータに、
既知の浸水範囲の情報を取得する手順と、
前記浸水範囲の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得する手順と、
前記浸水範囲の周辺における複数の前記浸水深から、浸水深と標高との和である水面高の第1代表値を決定する手順と、
前記浸水範囲の周辺における標高、および、前記第1代表値に基づいて、前記浸水範囲を補正する手順と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸水範囲補正装置、浸水範囲補正方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「比較的少ない数の地点での浸水深さの観測値に基づいて浸水状況情報を出力可能となる」(段落0007)と記載されている。特許文献2および3には、「水害の現地調査によって得られる複数地点における浸水深から、浸水域内の浸水深分布を推定する」(要約)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2018-132504号公報
[特許文献2] 特開2008-310036号公報
[特許文献3] 特開2008-309632号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、浸水範囲補正装置を提供する。浸水範囲補正装置は、既知の浸水範囲の情報を取得する範囲取得部と、前記浸水範囲の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得する浸水深取得部と、前記浸水範囲の周辺における複数の前記浸水深から、浸水深と標高との和である水面高の第1代表値を決定する決定部と、前記浸水範囲の周辺における標高、および、前記第1代表値に基づいて、前記浸水範囲を補正する補正部とを備える。
【0004】
上記の浸水範囲補正装置において、前記決定部は、前記複数の実測地点のそれぞれの前記水面高のうち最大値を前記第1代表値としてもよい。
【0005】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記補正部は、前記浸水範囲を、前記浸水範囲の周辺における標高が前記最大値と等しくなる範囲に補正してもよい。
【0006】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記決定部は、予め定められた条件で、前記浸水範囲の周辺における前記複数の浸水深のそれぞれ、および、対応する複数の前記水面高のそれぞれ、の少なくとも何れかが異常値であるか否かを判断してもよい。上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記決定部は、前記異常値が存在する場合には、前記異常値を除外してから前記第1代表値を決定してもよい。
【0007】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記決定部は、前記浸水範囲の周辺における前記複数の浸水深のうち浸水深の大きさが上位から予め定められた範囲に含まれる浸水深、および、前記対応する複数の水面高のうち水面高の大きさが上位から予め定められた範囲に含まれる水面高を前記異常値と判断してもよい。
【0008】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記浸水深取得部は、前記浸水範囲における複数の実測地点のそれぞれの浸水深も取得してもよい。上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記決定部は、前記浸水範囲の周辺における前記複数の浸水深、および、前記浸水範囲における複数の前記浸水深から、前記第1代表値を決定してもよい。
【0009】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記範囲取得部は、特定の河川の右岸側および左岸側のそれぞれについて前記情報を取得してもよい。上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記浸水深取得部は、前記右岸側および前記左岸側のそれぞれについて前記浸水深を取得してもよい。上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記決定部は、前記右岸側および前記左岸側のそれぞれについて前記第1代表値を決定してもよい。上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記補正部は、前記右岸側および前記左岸側のそれぞれについて前記浸水範囲を補正してもよい。
【0010】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記浸水深取得部は、前記浸水範囲における複数の実測地点のそれぞれの浸水深も取得してもよい。上記何れかの浸水範囲補正装置は、前記補正部による補正後の浸水範囲における複数の実測地点のそれぞれの浸水深から、前記水面高の第2代表値を決定する第2決定部を更に備えてもよい。上記何れかの浸水範囲補正装置は、前記第2代表値に基づいて、前記補正後の浸水範囲における特定の位置の浸水深を推定する推定部を更に備えてもよい。
【0011】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記第2決定部は、前記第2代表値と、前記補正後の浸水範囲における前記複数の実測地点のそれぞれの前記水面高との差分が最小になるように、前記第2代表値を決定してもよい。
【0012】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記推定部は、前記第2代表値から前記特定の位置の標高を減算することによって前記特定の位置の浸水深を推定してもよい。
【0013】
上記何れかの浸水範囲補正装置において、前記浸水深取得部は、前記浸水範囲における複数の実測地点のそれぞれの浸水深も取得してもよい。上記何れかの浸水範囲補正装置は、前記補正部による補正後の浸水範囲における特定の位置について、前記特定の位置の周囲に位置する少なくとも2つの実測地点の前記水面高に基づき、前記特定の位置の前記水面高を空間補間により推定し、推定した前記水面高から浸水深を推定する第2推定部を更に備えてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、コンピュータによって実行される浸水範囲補正方法を提供する。浸水範囲補正方法は、既知の浸水範囲の情報を取得することと、前記浸水範囲の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得することと、前記浸水範囲の周辺における複数の前記浸水深から、浸水深と標高との和である水面高の第1代表値を決定することと、前記浸水範囲の周辺における標高、および、前記第1代表値に基づいて、前記浸水範囲を補正することとを備える。
【0015】
本発明の第3の態様においては、プログラムを提供する。プログラムは、コンピュータによって実行された場合に、前記コンピュータに、既知の浸水範囲の情報を取得する手順と、前記浸水範囲の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得する手順と、前記浸水範囲の周辺における複数の前記浸水深から、浸水深と標高との和である水面高の第1代表値を決定する手順と、前記浸水範囲の周辺における標高、および、前記第1代表値に基づいて、前記浸水範囲を補正する手順とを実行させる。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】特定の河川の右岸側および左岸側に広がる既知の浸水範囲Wを含む領域の一例を模式的に示す。
【
図2】一実施形態による浸水範囲補正装置100を模式的に示すブロック図である。
【
図3】一実施形態による浸水範囲補正装置100の記憶部170に記憶されている実測地点データベースの一例を示す。
【
図4】一実施形態による浸水範囲補正装置100が浸水範囲Wを補正する浸水範囲補正方法のフローの一例を説明するフロー図である。
【
図5】
図4のフローを具体的に説明するための図である。
【
図6】一実施形態による浸水範囲補正装置100が補正後の浸水範囲W+W″における特定の位置の浸水深を推定する浸水深推定方法のフローの一例を示すフロー図である。
【
図7】
図6のフローを具体的に説明するための図である。
【
図8】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、特定の河川の右岸側および左岸側に広がる既知の浸水範囲Wを含む対象領域の一例を模式的に示す。
図1の対象領域において、既知の浸水範囲Wを斜線で示す。
図1の対象領域において、河川を実線で示し、等高線を破線で示す。
図1の対象領域の外側には、経度(X)および緯度(Y)の方向をそれぞれ矢印で示す。
【0020】
大雨などにより河川が氾濫すると周辺に洪水が起こり、家屋が浸水する。その場合に、例えば保険会社は、保険金を算出するなどの理由で、浸水範囲を正確に把握したいことがある。
【0021】
図1に例示している既知の浸水範囲Wは、例えば国土地理院によって一般公開される浸水推定図に示される浸水範囲に対応していてもよい。国土地理院の浸水推定図に示される浸水範囲は、大規模な洪水が生じた際に、ある時点の洪水の様子を示す画像や洪水発生エリアの標高データなどから推定される。当該浸水推定図は時点情報のため、最大浸水範囲を示したものとは限らない。従って、既知の浸水範囲Wは、正確な浸水範囲、すなわち最大浸水範囲を示していない場合がある。なお、以降の説明において、既知の浸水範囲Wを単に浸水範囲Wと称する場合がある。
【0022】
図2は、一実施形態による浸水範囲補正装置100を模式的に示すブロック図である。浸水範囲補正装置100は、例えばコンピュータなどの情報処理装置である。その場合に、浸水範囲補正装置100は、汎用のコンピュータに後述する各機能を実行させるプログラムをインストールしたものであってよい。
【0023】
本実施形態による浸水範囲補正装置100は、既知の浸水範囲Wの周辺で実際に測定された浸水深に基づいて、浸水範囲Wを補正する。なお、浸水深が実際に測定される地点は、住宅が密集している地域や街道沿いなどでは多いが、それ以外の田畑や山間などでは少ない傾向がある。また、水は水平になろうとする傾向があるので、互いに近い地点間では、浸水深と標高との和である水面高は互いに近い値になる。また、標高が低いほど家屋等に対する浸水深は大きくなる傾向がある。
【0024】
浸水範囲補正装置100は、範囲取得部110と、浸水深取得部120と、決定部130と、補正部140とを備える。浸水範囲補正装置100は更に、第2決定部150と、推定部160と、記憶部170とを備えてもよい。
【0025】
範囲取得部110は、外部から浸水範囲Wの情報を取得する。範囲取得部110は、浸水範囲Wおよびその周辺を含む対象領域の情報を取得してもよい。範囲取得部110は、取得した対象領域の情報を記憶部170に記憶させてもよい。
【0026】
対象領域は、例えば、上述した国土地理院による浸水推定図や、洪水発生後の浸水エリアを撮影した衛星写真や航空写真などを含んでもよい。対象領域の情報は、対象領域における標高を含んでもよい。対象領域の情報は、例えば
図1のように、等高線、経度(X)および緯度(Y)が付与された対象領域の地図を含んでもよい。対象領域の情報は、対象領域において浸水深を推定すべき特定の位置の情報を含んでもよい。
【0027】
上述の通り、浸水範囲Wは、正確な浸水範囲を示していない場合がある。浸水範囲Wは、浸水推定図に示される浸水範囲のように、浸水エリアの様子を示す画像や浸水エリアの標高データなどに基づいて推定された範囲であってもよく、衛星写真や航空写真に示される浸水範囲のように、過去の特定の時点において実際に浸水が発生していた範囲であってもよい。
【0028】
浸水深取得部120は、外部から、浸水範囲Wの周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得する。浸水深取得部120は、記憶部170に記憶されている対象領域の情報を読み出し、当該情報に示される浸水範囲Wの周辺における各実測地点の浸水深を外部から取得してもよい。浸水深取得部120は、外部から、浸水範囲Wにおける複数の実測地点のそれぞれの浸水深も取得してよい。浸水深取得部120は、対象領域の情報に示される浸水範囲Wにおける各実測地点の浸水深を外部から取得してもよい。浸水深取得部120は、記憶部170に記憶されている対象領域の情報から、各実測地点の標高を取得してもよい。浸水深取得部120は、取得した各実測地点の浸水深と標高とを加算して、各実測地点の水面高を算出してもよい。浸水深取得部120は、取得した各実測地点の浸水深、標高および水面高を互いに紐付けて記憶部170に記憶させてもよい。
【0029】
決定部130は、浸水範囲Wの周辺における複数の実測地点の複数の浸水深から、水面高の第1代表値を決定する。決定部130は、記憶部170に記憶されている、複数の実測地点のそれぞれの浸水深に対応する水面高を読み出し、これらの中から第1代表値を決定してもよい。決定部130は、決定した第1代表値を記憶部170に記憶させてもよい。
【0030】
補正部140は、浸水範囲Wの周辺における標高、および、上記の第1代表値に基づいて、浸水範囲Wを補正する。補正部140は、記憶部170に記憶されている、第1代表値と、対象領域の情報に示される浸水範囲Wの周辺の標高とを読み出し、これらに基づいて浸水範囲Wを補正してもよい。補正部140は、一例として、浸水範囲Wに、浸水範囲Wの周辺の範囲W″を加えて、補正後の浸水範囲W+W″としてもよい。補正部140は、補正後の浸水範囲W+W″を出力してもよい。補正部140は補正後の浸水範囲W+W″を、例えば記憶部170に記憶させてもよく、浸水範囲補正装置100が備えるモニタに表示してもよく、外部の情報処理装置やモニタに送信してもよい。
【0031】
第2決定部150は、補正部140による補正後の浸水範囲W+W″における複数の実測地点のそれぞれの浸水深から、水面高の第2代表値を決定する。第2決定部150は、記憶部170に記憶されている、補正後の浸水範囲W+W″に含まれる複数の実測地点のそれぞれの浸水深に対応する水面高を読み出し、これらの中から第2代表値を決定してもよい。第2決定部150は、決定した第2代表値を記憶部170に記憶させてもよい。
【0032】
推定部160は、上記の第2代表値に基づいて、補正後の浸水範囲W+W″における特定の位置の浸水深を推定する。推定部160は、記憶部170に記憶されている特定の位置の情報、例えば特定の位置の経度および緯度に対応する標高と、第2代表値とを読み出し、これらに基づいて特定の位置の浸水深を推定してもよい。推定部160は、特定の位置の浸水深を出力してもよい。推定部160は特定の位置の浸水深を、例えば記憶部170に記憶させてもよく、浸水範囲補正装置100が備えるモニタに表示してもよく、外部の情報処理装置やモニタに送信してもよい。
【0033】
図3は、一実施形態による浸水範囲補正装置100の記憶部170に記憶されている実測地点データベースの一例を示す。実測地点データベースは、
図3に示すように、実測地点P1、P2、P3などに対応付けて、X座標としての経度(X)、Y座標としての緯度(Y)、Z座標としての浸水深(Za)、標高(Zb)並びに水面高(Z)、および、異常値であることを示すフラグ「*」、を記憶してもよい。
【0034】
図4は、一実施形態による浸水範囲補正装置100が浸水範囲Wを補正する浸水範囲補正方法のフローの一例を説明するフロー図である。
図5は、
図4のフローを具体的に説明するための図である。
図5を参照して、
図4のフローを説明する。
【0035】
図5は、浸水範囲Wの周辺において浸水深が実測された実測地点をバツ印で示す。
図5はまた、河川ラインストリングLを太線で示し、浸水範囲Wに含まれる浸水範囲W1およびW2を互いに異なる斜線の領域で示し、浸水範囲Wに含まれない範囲W1″を横線の領域で示す。
【0036】
図4のフローは、一例として、浸水範囲補正装置100のユーザからの指示に基づいて開始する。範囲取得部110は、外部から浸水範囲Wを含む対象領域の情報を取得して記憶部170に記憶させる(S101)。範囲取得部110は、キーボード等の入力デバイスを用いてユーザから入力を受け付けてもよいし、他のコンピュータ等に記憶された情報を、ネットワークを介して受信してもよい。
【0037】
範囲取得部110は更に、対象領域の情報を用いて、対象領域に含まれる河川ラインストリングLを特定し、浸水範囲Wを河川ラインストリングLで浸水範囲W1およびW2へと分割し、浸水範囲W1およびW2の情報を記憶部170に記憶させる(S103)。河川ラインストリングLは、
図5に示すように、浸水範囲Wに含まれる河川の流れ方向に沿う、河川の中心線であってもよい。浸水範囲W1およびW2は、
図5に示すように、河川の左岸側の領域および右岸側の領域であってもよく、それぞれ一部が河川と重複してもよい。
【0038】
浸水深取得部120は、記憶部170に記憶されている浸水範囲W1およびW2を読み出し、何れか一方を選択する(S104)。ここでは一例として、浸水範囲Wのうち、河川の左岸側の浸水範囲W1を選択することとする。
【0039】
浸水深取得部120は、外部から、浸水範囲W1の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得して記憶部170に記憶させる(S105)。具体的には、浸水深取得部120は、
図5にバツ印で示すように、浸水範囲W1の周辺における複数の実測地点Pのそれぞれの経度および緯度に対応付けて浸水深Zaを取得し、これらを記憶部170の実測地点データベースに記憶させる。この場合に、浸水深取得部120は、緯度と経度とを直接的に外部から取得してもよく、住所を取得して、当該住所を緯度と経度とに変換して実測地点データベースに記憶させてもよい。なお、浸水深取得部120は、範囲取得部110と同様に、キーボード等の入力デバイスを用いてユーザから入力を受け付けてもよいし、他のコンピュータ等に記憶された情報を、ネットワークを介して受信してもよい。
【0040】
浸水深Zaは、衛星写真や航空写真やSNSの画像などからデータとして取得した値であってもよく、保険会社の社員や行政の職員が予め定められた方法で測った値でもよい。浸水深Zaは、被保険者や付近住民の協力者から自己申告された値であってもよく、これらの者から送られてきた画像からユーザが見積もった値でもよい。この観点から、実測地点Pには、浸水深を実際に測った地点のみならず、何らかの方法で浸水深Zaを確定させた地点が含まれていてもよい。
【0041】
複数の実測地点Pは、規則性を持った間隔で並んだものでもよいし、ランダムに配置されたものであってもよい。実測地点P同士は、例えば数十m程度の間隔毎にあってもよい。複数の実測地点Pは、浸水があったと想定される領域全体、例えば数km四方にわたって分散して配されていてもよい。
【0042】
浸水深取得部120は、各実測地点の標高も取得し、各実測地点の浸水深と紐付けて記憶部170に記憶させる(S107)。具体的には、浸水深取得部120は、浸水範囲W1の周辺における実測地点Pの経度および緯度に基づいて、記憶部170に記憶されている対象領域の情報から当該実測地点Pの標高Zbを取得し、当該実測地点Pの浸水深Zaと紐付けて実測地点データベースに記憶させる。
【0043】
浸水深取得部120は、各実測地点の浸水深と標高とを加算することにより水面高を算出し、各実測地点の浸水深および標高と紐付けて記憶部170に記憶させる(S109)。具体的には、浸水深取得部120は、実測地点Pについて、標高Zbに浸水深Zaを加算することにより水面高Zを算出し(すなわち、Z=Za+Zb)、当該実測地点Pの浸水深Zaおよび標高Zbと紐付けて実測地点データベースに記憶させる。これに代えて、浸水深取得部120は、ステップS105において実測地点Pの標高Zbと、その水面高Zとを外部から取得してもよい。その場合には、ステップS107およびステップS109を省略して、標高Zbと、その水面高Zとを実測地点データベースに記憶させてよい。付言すれば、何れの場合であっても、水面高Zは、実測地点での浸水深Zaに対応した情報であるといえる。
【0044】
決定部130は、予め定められた条件で、浸水範囲W1の周辺における複数の浸水深のそれぞれ、および、対応する複数の水面高のそれぞれ、の少なくとも何れかが異常値であるか否かを判断し、異常値が存在する場合には、異常値を除外する(S111)。当該条件として、例えば、決定部130は、浸水範囲W1の周辺における複数の浸水深Zaのうち、浸水深Zaの大きさが上位から予め定められた範囲に含まれる浸水深Zaを異常値と判断してもよい。同様に、決定部130は、対応する複数の水面高Zのうち、水面高Zの大きさが上位から予め定められた範囲に含まれる水面高Zを異常値と判断してもよい。具体的には、決定部130は、実測地点データベースを参照し、パーセンタイル法を用いて、浸水深Zaまたは水面高Zの大きさが上位から予め定められた割合、例えば10%に含まれる浸水深Zaまたは水面高Zを異常値と判断してもよい。
【0045】
決定部130は更に、異常値と判断した浸水深Zaまたは水面高Zに対応する実測地点Pについて、異常値であることを示すフラグを実測地点データベースに記憶させる。
図3に示す例において、実測地点P2の水面高(Za2+Zb2)が異常値であると判断され、それを示す「*」が「異常値」の欄に記憶されている。
【0046】
決定部130は、このようにして判断した異常値の水面高Zを除外してから、水面高Zの第1代表値を決定する(S113)。具体的には、決定部130は、複数の実測地点Pのそれぞれの水面高Zのうち最大値を第1代表値として、記憶部170に記憶させる。
【0047】
補正部140は、浸水範囲W1の周辺における標高、および、上記の第1代表値に基づいて、浸水範囲W1を補正し、補正後の浸水範囲W1+W1″を記憶部170に記憶させる(S115)。具体的には、補正部140は、記憶部170に記憶されている水面高Zの最大値と、浸水範囲W1の情報に含まれる浸水範囲Wの周辺の標高とを読み出し、標高が水面高Zの最大値と等しい地点を結んだ線を境界とする範囲W1″を特定する。補正部140は、
図5に示すように、浸水範囲W1の外側にある範囲W1″を浸水範囲W1に加えて、すなわち浸水範囲W1を範囲W1″だけ拡張して、補正後の浸水範囲W1+W1″とする。換言すると、補正部140は、浸水範囲W1を、浸水範囲W1の周辺における標高が最大値と等しくなる範囲W1+W1″に補正する。
【0048】
浸水範囲補正装置100は、河川の左岸側および右岸側の浸水範囲W1およびW2の両方を補正していない場合には(S117:NO)、浸水範囲W1およびW2の他方について上述のステップS105からS115を繰り返し、浸水範囲W1およびW2の両方を補正し終えたら(S117:YES)、当該フローを終了する。以降の説明において、浸水範囲Wを補正することで特定される範囲を、補正後の浸水範囲W+W″と称し、浸水範囲W2を補正することで特定される範囲を、補正後の浸水範囲W2+W2″と称する場合がある。
【0049】
図6は、一実施形態による浸水範囲補正装置100が補正後の浸水範囲W+W″における特定の位置の浸水深を推定する浸水深推定方法のフローの一例を示すフロー図である。
図7は、
図6のフローを具体的に説明するための図である。
図7を参照して、
図6のフローを説明する。
図7は、
図5に追加して、浸水範囲W1およびW2において浸水深が実測された実測地点をバツ印で示す。
【0050】
上述の通り、浸水範囲Wやその周辺における幾つかの地点では浸水深Zaが実測されている場合があるが、特定の地点の浸水深Zaが実測できているとは限られない。本実施形態では、補正後の浸水範囲W+W″で実際に測定された浸水深Zaに基づいて、特定の地点の浸水深Zaを推定する。
【0051】
図6のフローは、一例として、
図4のフローが終了したことに応じて開始する。範囲取得部110は、外部から、浸水範囲Wを含む対象領域における浸水深を推定すべき特定の位置の情報を取得して記憶部170に記憶させる(S201)。範囲取得部110は、キーボード等の入力デバイスを用いてユーザから入力を受け付けてもよいし、他のコンピュータ等に記憶された情報を、ネットワークを介して受信してもよい。
【0052】
浸水深取得部120は、記憶部170に記憶されている補正後の浸水範囲W1+W1″およびW2+W2″のうち、特定の位置が含まれる方を選択する(S203)。ここでは一例として、補正後の浸水範囲W1+W1″を特定の位置が含まれる方として選択することとする。
【0053】
浸水深取得部120は、外部から、浸水範囲W1における複数の実測地点のそれぞれの浸水深も取得して記憶部170に記憶させる(S205)。具体的には、浸水深取得部120は、
図7の浸水範囲W1にバツ印で示すように、浸水範囲W1における複数の実測地点Pのそれぞれの経度および緯度に対応付けて浸水深Zaを取得し、これらを記憶部170の実測地点データベースに記憶させる。浸水深取得部120は、
図4のステップS105と同様、例えば緯度と経度とを直接的に外部から取得してもよい。なお、記憶部170には、
図4のステップS105において、浸水範囲W1の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深が既に記憶されている。よって、当該ステップS205によって、
図7の補正後の浸水範囲W1+W1″にバツ印で示すように、補正後の浸水範囲W1+W1″における複数の実測地点のそれぞれの浸水深が記憶されることとなる。
【0054】
第2決定部150は、補正後の浸水範囲W1+W1″における複数の実測地点Pのそれぞれの浸水深から、水面高の第2代表値を決定して記憶部170に記憶させる(S207)。具体的には、第2決定部150は、実測地点データベースに記憶されている、補正後の浸水範囲W1+W1″に含まれる複数の実測地点Pのそれぞれの浸水深Zaに対応する水面高Zを読み出し、これらの中から第2代表値を決定する。第2決定部150は、第2代表値と、補正後の浸水範囲W1+W1″における複数の実測地点Pのそれぞれの水面高Zとの差分が最小になるように、第2代表値を決定してもよい。
【0055】
推定部160は、上記の第2代表値に基づいて、補正後の浸水範囲W1+W1″における特定の位置の浸水深を推定して記憶部170に記憶させ(S209)、当該フローは終了する。具体的には、推定部160は、記憶部170に記憶されている特定の位置の情報、例えば特定の位置の経度および緯度に対応する標高Zbと、第2代表値とを読み出し、第2代表値から特定の位置の標高Zbを減算することによって、特定の位置の浸水深Zaを推定してもよい。
【0056】
以上、本実施形態の浸水範囲補正装置100によれば、既知の浸水範囲Wの情報を取得し、浸水範囲Wの周辺における複数の実測地点Pのそれぞれの浸水深Zaを取得し、浸水範囲Wの周辺における複数の浸水深Zaから水面高Zの第1代表値を決定する。浸水範囲補正装置100によれば更に、浸水範囲Wの周辺における標高Zb、および、第1代表値に基づいて、浸水範囲Wを補正する。このように、浸水範囲補正装置100は、既知の浸水範囲Wの周辺で実際に測定された浸水深Zaに基づいて補正した、より正確な浸水範囲W+W″をユーザに提供することができる。
【0057】
以上の実施形態において、決定部130は、浸水範囲Wの周辺における複数の実測地点の複数の浸水深から、水面高の第1代表値を決定することとして説明した。これに代えて、決定部130は、浸水範囲Wの周辺における複数の浸水深、および、浸水範囲Wにおける複数の浸水深から、水面高の第1代表値を決定してもよい。例えば、決定部130は、浸水範囲Wの内外全体における水面高の最大値を第1代表値としてもよい。具体的には、決定部130は、浸水範囲Wにおける複数の実測地点および浸水範囲Wの周辺における複数の実測地点のそれぞれの水面高のうちの最大値を第1代表値としてもよい。
【0058】
以上の実施形態において、決定部130は、一例として、浸水範囲Wの周辺における複数の実測地点のそれぞれの水面高のうち最大値を第1代表値とすることとして説明した。これに代えて、決定部130は、浸水範囲Wの周辺における複数の実測地点のそれぞれの水面高のうち水面高の大きさが上位から予め定められた範囲に含まれる水面高の平均値を第1代表値としてもよい。決定部130は、浸水範囲Wの周辺における複数の実測地点のそれぞれの水面高のうちの最大値と、浸水範囲Wにおける複数の実測地点のそれぞれの水面高のうちの最大値との平均値を第1代表値としてもよい。
【0059】
以上の実施形態において、浸水範囲補正装置100は、推定部160に代えてまたは加えて、第2推定部を備えてもよい。第2推定部は、補正部140による補正後の浸水範囲W+W″における特定の位置について、特定の位置の周囲に位置する少なくとも2つの実測地点Pの水面高Zに基づき、特定の位置の水面高Zを空間補間により推定し、推定した水面高Zから特定の位置の浸水深Zaを推定してもよい。
【0060】
以上の実施形態において、浸水範囲補正装置100は、補正後の浸水範囲W+W″が広過ぎるために他の浸水範囲Wと重複する場合には、範囲W″を縮小させてもよい。なお、浸水範囲補正装置100による浸水範囲補正方法は、排水能力不足で窪地に水が溜まる現象である内水氾濫が生じている場合にも適用可能であってもよい。
【0061】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0062】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0063】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0064】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0065】
図8は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0066】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
【0067】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
【0068】
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0069】
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0070】
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0071】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0072】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0073】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0074】
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0076】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0077】
100 浸水範囲補正装置
110 範囲取得部
120 浸水深取得部
130 決定部
140 補正部
150 第2決定部
160 推定部
170 記憶部
1200 コンピュータ
1201 DVD-ROM
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入出力コントローラ
1222 通信インターフェース
1224 ハードディスクドライブ
1226 DVD-ROMドライブ
1230 ROM
1240 入出力チップ
1242 キーボード
【要約】 (修正有)
【課題】大雨などにより河川が氾濫した場合、浸水範囲を正確に把握する浸水範囲補正装置、浸水範囲補正方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】浸水範囲補正装置100は、既知の浸水範囲の情報を取得する範囲取得部110と、浸水範囲の周辺における複数の実測地点のそれぞれの浸水深を取得する浸水深取得部120と、浸水範囲の周辺における複数の浸水深から、浸水深と標高との和である水面高の第1代表値を決定する決定部130と、浸水範囲の周辺における標高、および、第1代表値に基づいて、浸水範囲を補正する補正部140と、を備える。
【選択図】
図2