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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】野菜収穫システム及び野菜収穫方法
(51)【国際特許分類】
   A01D 46/30 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A01D46/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021134896
(22)【出願日】2021-08-20
(65)【公開番号】P2023028914
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 武
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
(72)【発明者】
【氏名】田島 彬
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165650(JP,A)
【文献】特開2016-21944(JP,A)
【文献】実開平2-142722(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 43/00 - 43/04
43/08 - 46/30
51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜を保持するハンドを備えたロボットと、
前記ハンドで、前記野菜を保持して持ち上げ、持ち上げた前記野菜の上下の向きを反転させ、反転させた前記野菜を容器に収容するように、前記ロボットの動作を制御するコントローラと、
を有する、野菜収穫システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記野菜を保持する際に、前記ハンドで前記野菜を下方からすくい上げるように、前記ロボットの動作を制御する、
請求項1に記載の野菜収穫システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記ハンドで、前記野菜を前記容器に収容する際に、前記野菜を前記容器に挿入した後に水平方向にスライドさせるように、前記ロボットの動作を制御する、
請求項1又は2に記載の野菜収穫システム。
【請求項4】
前記ハンドは、
2つの回転軸部材と、
前記2つの回転軸部材の各々に複数ずつ設置され、前記回転軸部材の軸方向に垂直な方向に延設された指部材と、
を有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の野菜収穫システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記ハンドで、前記野菜を前記容器に載置して開放する際に、前記2つの回転軸部材を回転させて前記指部材を開閉させつつ段階的に前記ハンドを持ち上げるように、前記ロボットの動作を制御する、
請求項4に記載の野菜収穫システム。
【請求項6】
前記ハンドは、
前記指部材に接触した前記野菜から受ける反力の大きさに応じて、前記指部材の前記回転軸部材まわりの回転角度又は位置を弾性的に変化させる弾性付与部を有する、
請求項4又は5に記載の野菜収穫システム。
【請求項7】
前記指部材は、
先端部に、先端側に向けて膨らんだ曲面部を有する、
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の野菜収穫システム。
【請求項8】
前記ハンドは、
前記2つの回転軸部材を駆動する1つのアクチュエータと、
前記アクチュエータの動力を前記2つの回転軸部材に伝達する歯車機構と、
を有する、
請求項4乃至7のいずれか1項に記載の野菜収穫システム。
【請求項9】
前記回転軸部材のトルクを検出するトルク検出部をさらに有し、
前記コントローラは、
前記トルク検出部により検出されたトルクが所定のしきい値を超えた場合に、前記アクチュエータの駆動を停止するトルク制限部を有する、
請求項8に記載の野菜収穫システム。
【請求項10】
葉部を有する前記野菜を、前記葉部が上方に位置するように保持する保持具と、
前記葉部が前記保持具から分離されるように前記野菜を切断する切断具と、
をさらに有し、
前記ハンドは、
前記切断により前記保持具から分離された前記葉部を保持する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の野菜収穫システム。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記ハンドで前記葉部を前記保持具から所定量だけ持ち上げるように前記ロボットの動作を制御し、
前記ハンドで前記葉部を持ち上げた後に、前記野菜を切断するように前記切断具を制御する、
請求項10に記載の野菜収穫システム。
【請求項12】
前記ハンドは、
前記切断具により前記野菜を切断する際に、前記保持具の移動を防止するストッパ部材を有する、
請求項10又は11に記載の野菜収穫システム。
【請求項13】
前記ロボットは、
前記ハンドで保持した前記野菜の重量を検出する重量センサを有する、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の野菜収穫システム。
【請求項14】
ロボットのハンドにより実行される野菜収穫方法であって、
野菜を保持して持ち上げることと、
持ち上げた前記野菜の上下の向きを反転させることと、
反転させた前記野菜を容器に収容することと、
を有する、野菜収穫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、野菜収穫システム及び野菜収穫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、植物が生育される苗床片を苗床片の上面側に収穫物となる部分を位置させて保持する定植パネルが、搬送経路における切断刃の設けられた切断位置を上流側から下流側に通過するときに、苗床片で生育した植物において収穫物となる部分と根との間が切断刃により切断される根切り収穫機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-141605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物を収穫する工程では、衛生的且つ損傷しないように収穫することが求められており、上記従来技術では不十分であった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、衛生的且つ損傷しないように収穫することが可能な野菜収穫システム及び野菜収穫方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、野菜を保持するハンドを備えたロボットと、前記ハンドで、前記野菜を保持して持ち上げ、持ち上げた前記野菜の上下の向きを反転させ、反転させた前記野菜を容器に収容するように、前記ロボットの動作を制御するコントローラと、を有する、野菜収穫システムが適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、ロボットのハンドにより実行される野菜収穫方法であって、野菜を保持して持ち上げることと、持ち上げた前記野菜の上下の向きを反転させることと、反転させた前記野菜を容器に収容することと、を有する、野菜収穫方法が適用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の野菜収穫システム等によれば、衛生的且つ損傷しないように収穫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】野菜収穫システムの上方から見た全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
図2】野菜収穫システムの側方から見た全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
図3】栽培棚の全体構成の一例を表す斜視図である。
図4】栽培棚の各棚部におけるレールの配置の一例を表す説明図である。
図5】栽培棚の各棚部における光源の配置の一例を表す説明図である。
図6】移載装置及び受け渡し機構の構成の一例を表す斜視図である。
図7】保持具及びレールの断面構成の一例を表す断面図である。
図8】収穫ロボットの構成の一例を表す側面図である。
図9】ハンドの構成の一例を表す斜視図である。
図10】指部材の動作の一例を表す説明図である。
図11】指部材の動作の一例を表す説明図である。
図12】ハンドの動作の一例を表す説明図である。
図13】ハンドの動作の一例を表す説明図である。
図14】ハンドの動作の一例を表す説明図である。
図15】ハンドの動作の一例を表す説明図である。
図16】ハンドの動作の一例を表す説明図である。
図17】ハンドの動作の一例を表す説明図である。
図18】指部材の基端部に弾性付与部を設けた変形例における、ハンドの動作の一例を表す説明図である。
図19】収穫ロボットが重量センサを有する変形例における、収穫ロボットの構成の一例を表す側面図である。
図20】コントローラのハードウェア構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、野菜収穫システムの各構成の説明の便宜上、各図中に示す上下左右前後等の方向を適宜使用する場合があるが、各構成の向きや位置を限定するものではない。
【0011】
<1.野菜収穫システムの全体構成>
図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係る野菜収穫システムの全体構成の一例について説明する。なお、図1及び図2では、各部の詳細な構造については図示を省略し、システム全体の構成を模式的に示している。
【0012】
図1及び図2に示すように、野菜収穫システム1は、栽培対象である野菜3を保持具5で保持し、当該保持具5を栽培棚7において所定の期間をかけて移動させることにより野菜3を生育させ、野菜3のうちの収穫対象部分(例えば葉部3b)を収穫するシステムである。野菜収穫システム1は、多数の保持具5と、栽培棚7と、搬入装置9と、移載装置11と、受け渡し機構13と、収穫ロボット15と、容器コンベア17と、搬出装置19とを有する。
【0013】
図1に示すように、野菜収穫システム1は、左右方向に並列して配置された2つの栽培棚7を有する。栽培棚7では、野菜3を保持した保持具5が所定の期間をかけて移動されることにより、野菜3が生育される。なお、野菜収穫システム1が有する栽培棚7の数は2つに限るものではなく、1つでもよいし、3つ以上としてもよい。
【0014】
図2に示すように、搬入装置9は、例えば種子が播種されて発芽した状態の野菜3を保持する保持具5を、野菜収穫システム1に搬入する。搬入装置9は例えばコンベアである。搬入装置9により搬入された保持具5は、2つの栽培棚7の後方に配置された移載装置11により、各栽培棚7にそれぞれ移載される。なお、搬入装置9として、例えば無人搬送車(AGV)を使用してもよいし、例えば作業者が台車等を用いて搬入してもよい。
【0015】
移載装置11は、2つの栽培棚7の各々に対して、前方と後方の両側にそれぞれ配置されている。各移載装置11は、栽培棚7の前後の両端部において、棚部から棚部へと保持具5を移載する。また、栽培棚7の後方に配置された移載装置11は、上述したように搬入装置9により搬送された保持具5を栽培棚7に移載する。栽培棚7の前方に配置された移載装置11は、栽培棚7において生育した野菜3を保持する保持具5を、受け渡し機構13に移載する。
【0016】
図1に示すように、受け渡し機構13は、2つの栽培棚7に亘るように左右方向に沿って配設されている。図2に示すように、受け渡し機構13は、例えば各栽培棚7の最下段の棚部7aの下方に配置されている。受け渡し機構13は、2つの栽培棚7の各々から移載された保持具5を、収穫ロボット15の後側の収穫位置に搬送する。また、受け渡し機構13はカッタ53(後述の図6図8図15参照)を有しており、野菜3の葉部3bが保持具5から分離されるように切断する。
【0017】
図1に示すように、収穫ロボット15(ロボットの一例)は、野菜3の葉部3bを保持するハンド20を備えており、当該ハンド20により収穫対象である葉部3bを保持し、容器21に収容する。収穫ロボット15は、複数の葉部3bを容器21に詰めるように収容する。容器21は、例えば番重やコンテナ等である。
【0018】
図1に示すように、容器コンベア17は、搬出装置19から空の容器21を受け取り、受け取り位置から左向きに搬送して収穫ロボット15の前側の詰め込み位置に停止させる。容器コンベア17は、詰め込み位置において収穫ロボット15により野菜3の葉部3bを収容された容器21を、さらに左向きに搬送して取り出し位置に停止させる。
【0019】
搬出装置19は、空の容器21を容器コンベア17の受け取り位置に供給すると共に、野菜3の葉部3bを収容した容器21を容器コンベア17の取り出し位置から取り出し、野菜収穫システム1から搬出する。搬出装置19は、予め設定されたコースを走行して容器21を搬送する無人搬送車(AGV)である。なお、搬出装置19として、例えばコンベアを使用してもよいし、例えば作業者が台車等を用いて搬出してもよい。
【0020】
<2.栽培棚>
図2乃至図5を参照しつつ、栽培棚7の構成の一例について説明する。
【0021】
図2乃至図5に示すように、栽培棚7には、複数段(例えば8段)の棚部7aが上下方向に多段に積層されて配置されている。各棚部7aには、複数のレール23が前後方向に沿って略水平に延設されている。複数のレール23は、各棚部7aにおいて左右方向に並設されており、各レール23は略平行に配置されている。
【0022】
レール23は、複数の保持具5を長手方向に沿って移動可能に支持する。レール23は、保持具5が前後方向における一方側から供給されることで、他の支持された複数の保持具5が前後方向における他方側に向けて押し出されてスライド移動するように構成される。
【0023】
栽培棚7における棚部7aの段数は特に限定されるものではないが、本実施形態では例えば8段である場合を一例として説明する。図3及び図4に示すように、説明の便宜上、栽培棚7の棚部7aの段について適宜、最下段の1段をA段、最上段の1段をB段、上から2段目~7段目をまとめてC段という。A段は1つの棚部7aを有し、B段は1つの棚部7aを有し、C段は6つの棚部7aを有する。図4に示す例では、A段の棚部7aには比較的多数(例えば8つ)のレール23が設置されている。B段の棚部7aには、A段よりも少ない数(例えば6つ)のレール23が設置されている。C段の棚部7aのそれぞれには、B段よりもさらに少ない数(例えば4つ)のレール23が設置されている。
【0024】
図5に示すように、栽培棚7の棚部7aの上方には、野菜3の葉部3b(後述の図7参照)に光を当てるための複数の光源25が設置されている。各光源25は、各棚部7aの上方にそれぞれ設けられた支持板27の下面に、左右方向に沿って延在するように設置されている。各光源25は、前後方向に沿って所定の間隔で配置されている。光源25の種類は特に限定されるものではないが、野菜3の光合成を促進するため、例えばLEDや蛍光灯等が使用される。
【0025】
図2及び図4に、栽培棚7の各棚部7aにおける野菜3(保持具5を含む)の移動方向の一例を示す。なお、図4における記号SY1は、前後方向における前側から後側への野菜3の移動方向を示し、記号SY2は、反対に後側から前側への野菜3の移動方向を示している。図2及び図4に示すように、A段では、各レール23において野菜3が後側から前側へ向けて移動される。B段では、各レール23において野菜3が前側から後側へ向けて移動される。C段では、各段とも、各レール23において野菜3が後側から前側へ向けて移動される。
【0026】
栽培棚7の前側に位置する移載装置11は、A段からB段への野菜3(保持具5を含む)の移載と、C段から受け渡し機構13への野菜3の移載を行う。移載装置11は、野菜3の上下方向の移載と併せて、左右方向の振り分けも行う。また、栽培棚7の後側に位置する移載装置11は、搬入装置9からA段への野菜3の移載と、B段からC段への野菜3の移載を行う。移載装置11は、野菜3の上下方向の移載と併せて、左右方向の振り分けも行う。
【0027】
以上の移動経路において、A段→B段→C段の順で移載されるに従って、左右方向におけるレール間隔が次第に広くなる。これにより、野菜3全体の大きさが保持具5よりも小さい育苗段階ではレール間隔が最も狭いA段で密集して栽培し、その後にレール間隔が段階的に広くなるようにB段→C段の順で移動させることができる。これにより、各野菜3が次第に大きく生育する段階に応じてレール間隔を広くできる。その結果、栽培棚7全体の設置面積を野菜3の栽培に効率的に利用できる。
【0028】
<3.移載装置、受け渡し機構>
図6を参照しつつ、移載装置11及び受け渡し機構13の構成の一例について説明する。なお、図6では一例として左側の栽培棚7の前側に配置される移載装置11を示しているが、他の移載装置11についても同様の構成である。また、図6では一例として受け渡し機構13のうち左側の栽培棚7の下側に配置される部分を示しているが、受け渡し機構13のうち右側の栽培棚7の下側に配置される部分についても同様の構成である。図6において、X軸正の方向が右、X軸負の方向が左、Y軸正の方向が後、Y軸負の方向が前、Z軸正の方向が上、Z軸負の方向が下に対応する。
【0029】
図6に示すように、移載装置11は、基台29と、基台29上に設置された門型の支持枠31と、支持枠31に設けられたアクチュエータ33と、ハンド35とを有する。
【0030】
支持枠31は、基台29上にX軸方向に対向するようにZ軸方向に沿って設置された一対の支柱31aと、一対の支柱31aの上端にX軸方向に沿って架け渡された略水平な梁31bとを有する。
【0031】
アクチュエータ33は、X軸ユニット37、Z軸ユニット39、及びY軸ユニット41を有する。X軸ユニット37は、ビーム37aと、スライダ37bと、X軸モータ37cとを有する。ビーム37aは、一対の支柱31a間にX軸方向に略水平に架設される。スライダ37bは、ビーム37aにX軸方向に沿って移動自在に支持される。X軸モータ37cは、例えばビーム37aの左端に取り付けられ、スライダ37bをX軸方向に駆動する。
【0032】
Z軸ユニット39は、ビーム39aと、スライダ39bと、Z軸モータ39cとを有する。ビーム39aは、上端が梁31bにX軸方向に移動自在に支持されるとともに、スライダ37bに固定される。スライダ39bは、ビーム39aにZ軸方向に沿って移動自在に支持される。Z軸モータ39cは、例えばビーム39aの下端に取り付けられ、スライダ39bをZ軸方向に駆動する。
【0033】
Y軸ユニット41は、ビーム41aと、スライダ41bと、Y軸モータ41cとを有する。スライダ41bは、スライダ39bに固定される。ビーム41aは、スライダ41bによりY軸方向に移動自在に支持される。Y軸モータ41cは、例えばビーム41aの前端に取り付けられ、ビーム41aをY軸方向に駆動する。
【0034】
アクチュエータ33では、X軸モータ37cによりスライダ37bがX軸方向に駆動すると、ビーム39aがX軸方向に移動し、これに伴ってビーム41aがX軸方向に移動する。Z軸モータ39cによりスライダ39bがZ軸方向に駆動すると、これに伴ってビーム41aがZ軸方向に移動する。Y軸モータ41cによりスライダ41bとビーム41aとがY軸方向に相対的に駆動すると、これに伴ってビーム41aがY軸方向に移動する。このようにして、アクチュエータ33は、ビーム41aをX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に移動させる。
【0035】
ハンド35は、アクチュエータ33のビーム41aの後側の先端に取り付けられており、保持具5を把持する。アクチュエータ33は、ビーム41aを3軸方向に移動させることにより、ハンド35を前後方向(レール23の長手方向)、左右方向(レール23の並設方向)、及び、上下方向(棚部7aの積み重ね方向。高さ方向)の3方向に沿って移動させる。
【0036】
移載装置11は、例えばレール23の端部に位置する保持具5を抜き出す場合には、ハンド35で保持具5を両側から挟んで把持し、抜き出す。移載装置11は、例えばレール23の端部へ保持具5を挿入する場合には、ハンド35で把持した保持具5を挿入先のレール23の端部に移動させ、レール23に挿入する。ハンド35は、保持具5を把持したままY軸方向(前後方向)に1ピッチ分(保持具5の前後方向の長さ分)だけ押し込む。これにより、挿入した保持具5とレール23上に支持されている複数の保持具5を1ピッチ分スライドさせることができる。このようにして、移載装置11は、保持具5の挿入先のレール23上に支持されている複数の保持具5の列全体を搬送方向に移動させる。挿入した後に、ハンド35が開いて保持具5の把持を解除する。
【0037】
前述のように、移載装置11は、生育した野菜3を保持した保持具5を、C段のレール23から抜き出して受け渡し機構13に移載する。受け渡し機構13は、移載された保持具5を保持して左右方向に移動し、収穫ロボット15に受け渡す。図6に示すように、受け渡し機構13は、複数の支柱43と、ビーム45と、モータ47と、運搬装置49とを有する。
【0038】
ビーム45は、複数の支柱43(図6では1つのみ図示)により、2つの栽培棚7に亘るように左右方向に沿って延設されている。モータ47は、例えばビーム45の端部に取り付けられており、運搬装置49をX軸方向(左右方向)に往復移動させる。
【0039】
運搬装置49は、保持具5を保持するための保持部51と、カッタ53と、カッタ駆動装置55とを有する。保持部51は、保持具5を収容して保持可能に構成されており、生育した野菜3を保持した保持具5が移載装置11により前側から挿入される。カッタ53(切断具の一例)は、Y軸方向(前後方向)に駆動して、野菜3の葉部3bが保持具5から分離されるように野菜3の茎部3aを切断する。カッタ駆動装置55は、カッタ53をY軸方向(前後方向)に進退するように駆動させる。カッタ駆動装置55は、例えばエアシリンダである。なお、カッタ駆動装置55として、例えばソレノイドやリニアモータ等を使用してもよい。また、カッタ53とカッタ駆動装置55を運搬装置49に搭載せず、収穫位置に設置し、外部から運搬装置49にアクセスする構成としてもよい。例えば、カッタ53とカッタ駆動装置55を後述する分離装置に設置してもよい。この場合、運搬装置49が分離装置正面に移動後、分離装置側からカッタ53が飛び出る構成としてもよい。
【0040】
運搬装置49は、2つの栽培棚7の各々に対し、少なくとも1台ずつ設置されている。これにより、2つの栽培棚7から例えば交互に収穫ロボット15に野菜3を搬送することが可能となり、収穫効率を向上できる。なお、運搬装置49を各栽培棚7に対して複数台ずつ設置してもよい。この場合、ビーム45を例えば上下方向又は前後方向に複数本並設してもよい。
【0041】
<4.保持具、レール>
図7を参照しつつ、保持具5及びレール23の構成の一例について説明する。
【0042】
図7に示すように、保持具5は、葉部3bを有する野菜3を、葉部3bが上方に位置するように保持する。保持具5は、野菜収穫システム1の栽培対象である野菜3を1株ごとに保持する。つまり、保持具5と野菜3の株は1対1の関係である。なお、ここでいう「1株」とは、単一の種子から生育される1つの個体をいう。例えば図7に示す野菜3のように、複数(単一でもよい)の葉部3bが1本の茎部3aによって支持されることで1つの個体としてまとまっているものは1株である。また、例えば茎部3aが分岐等により複数ある場合でも、その根部3cがつながることで1つの個体としてまとまっているものは1株である。
【0043】
保持具5は、左右方向、前後方向の各方向においてそれぞれ対称な形状を有する。したがって、保持具5は長手方向である前後方向(つまり移動方向)において正逆両方向で使用できる方向互換性を有する。保持具5は、摺動性の高い材料(例えば樹脂。金属等でもよい)で一体成形されており、保持具5を支持するレール23に対してスライド可能に構成されている。
【0044】
保持具5は、本体部57、保持筒部59、穴部61、及びガイド板部63を有する。本体部57は、上方からの平面視において前後方向を長手方向とした略矩形形状に形成されている。本体部57のうち左右方向両側の縁部は、移載装置11のハンド35により把持された際に支持される支持部65として機能する。図7に示す例では、支持部65は、前後方向から見て等脚台形状に形成されているが、三角形や円形等、他の形状としてもよい。
【0045】
保持筒部59は、本体部57の前後方向及び左右方向の中心位置に形成されており、上下方向に貫通した穴部61を有する。保持筒部59の上端開口部は、本体部57の上面から突出せずに略面一の状態で形成され、下端開口部は本体部57の下面から下方に突出して形成されている。保持筒部59は、例えば穴部61が丸穴である円筒形状に形成されている。なお、穴部61を四角形等の多角形状に形成してもよいし、保持筒部59を多角筒形状としてもよい。
【0046】
ガイド板部63は、本体部57の上面から上方に突出して前後方向に延設された一対の平板形状部であり、保持筒部59の上端開口部を挟んだ左右方向の2箇所に並設されている。本体部57は下方側が開口して中抜きされた中空構造で形成されており、保持具5の重量が軽量化されている。
【0047】
なお、以上説明した保持具5の構成は一例であり、上記以外の構成としてもよい。例えば、上記では保持具5を一体成形としたが、複数の部品で構成されてもよい。
【0048】
図7に示すように、レール23は、レール部67と、水槽部69とを有しており、摺動性の高い材料(例えば樹脂。金属等でもよい)で一体成形されている。レール部67は、左右方向に所定の幅を有し前後方向に延設された左右一対の上レール板67aと、上レール板67aの下方位置で左右方向に所定の幅を有し前後方向に延設された左右一対の下レール板67bとを有する。上レール板67aの対向する側の縁部には、下方に突出する上レール突起部67cが形成されている。上レール突起部67cと下レール板67bとの間の空間に、保持具5の本体部57が収容される。一対の上レール板67aの間の上レール溝67dには、保持具5における一対のガイド板部63が収容される。
【0049】
水槽部69は、前後方向に延設された一対の側壁部69aと、一対の側壁部69aの下端に亘るように前後方向に延設された底壁部69bとを有する。水槽部69は、全体が上方を開放した断面略U字状の長尺の水槽であり、内部に培養液71が貯留される。培養液71は、例えばポンプ等の適宜の流動手段(図示省略)により前後方向に流動(循環)される。なお、培養液71を流動させずに滞留した状態としてもよい。
【0050】
レール23に挿入された保持具5は、レール部67の内側の空間73に収容される。保持具5は、本体部57の下面が左右の下レール板67bの上面にスライド可能に接触するとともに、本体部57の上面が左右の上レール突起部67cに当接する。このようにして、レール23が保持具5を上下から挟み込むことで、保持具5の傾きや倒れを防止する。保持具5の本体部57の下面である保持具支持面75は、本体部57の下面が開口しているため、下レール板67bの上面であるレール支持面77との接触面積が減少され、レール23との摺動性を向上できる。以上の構成により、保持具5は、培養液71が循環する水路を有する栽培棚7に移動可能な状態で支持(載置)される。
【0051】
保持具5の保持筒部59の穴部61には培地79が充填され、培地79に播種された種から生育した野菜3の茎部3aを保持する。野菜3は、穴部61の下端開口部を介して根部3cを水槽部69内の培養液71に浸しつつ、穴部61の上端開口部を介して葉部3bをレール23の上方に膨出させて成長する。培地79としては、例えば寒天等のゲル状培地を使用してもよいし、スポンジ、ウレタン、ロックウール等の固形培地を使用してもよい。野菜3の生育が進むと、最終的に茎部3aの径が穴部61の内径と略一致するまで太くなり、ほとんどの培地79が抜け落ち、保持筒部59が野菜3を直接支持する状態となる。
【0052】
野菜収穫システム1では、スペーサ(図示省略)が複数の保持具5の間に挿入されることで、保持具5の前後方向の間隔が調整される。スペーサとして、上記保持具5と共通の部品、すなわち穴部61に培地79を充填しない空の状態の保持具5が使用されてもよい。なお、レール23上で移動可能な構成であれば、例えば保持筒部59を備えない形状(穴部61が埋められた形状)などのように、保持具5と異なる形状に成形されたスペーサでもよい。レール23では、複数の保持具5と共に複数のスペーサも前後方向に沿って整列し、それら全体が移動可能に支持される。レール23の前後方向における一方側からスペーサが供給されるごとに、すでに支持されている保持具5及びスペーサの全体が他方側に向けて移動する。保持具5間のスペーサの数を調整することで、野菜3が次第に大きく生育する段階に応じて保持具5同士の前後方向の間隔を調整できる。なお、光が培養液71に照射されると藻の発生を促すことになるため、スペーサは穴部を備えない形状のものが好ましい。
【0053】
なお、以上説明したレール23の構成は一例であり、上記以外の構成としてもよい。例えば、上記ではレール23を一体成形としたが、複数の部品で構成されてもよい。
【0054】
<5.収穫ロボット、コントローラ>
図8を参照しつつ、収穫ロボットの15の構成の一例及びコントローラ97の機能構成の一例について説明する。
【0055】
受け渡し機構13は、左右の栽培棚7のそれぞれに対応して設置された運搬装置49により、左右の栽培棚7のそれぞれから野菜3を収穫ロボット15の後側の収穫位置に搬送する。収穫位置で停止した運搬装置49は、カッタ53を駆動させ、葉部3bが保持具5から分離されるように野菜3の茎部3aを切断する。
【0056】
収穫ロボット15は、アーム81と、ハンド20とを有する。収穫ロボット15は、例えば6つの関節部を備えた垂直多関節型の6軸ロボットとして構成されている。収穫ロボット15は、アーム81の駆動によりハンド20を受け渡し機構13の運搬装置49に移動させて、野菜3の葉部3bを把持し、茎部3aが切断された後に容器21に搬送して開放することにより、葉部3bを容器21に収容する。
【0057】
収穫ロボット15は、6軸以外(例えば5軸や7軸等)の垂直多関節型のロボットとしてもよいし、例えば水平多関節型やパラレルリンク型等、垂直多関節型以外のロボットとしてもよい。また、汎用ロボットではなく、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸、並びに、θx,θy,θz方向(X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向)のうち少なくとも1方向に移動可能なアクチュエータにハンド20を取り付けた、収穫専用の自動機としてもよい。
【0058】
アーム81は、基台83と、旋回部85と、下腕部87と、上腕部89と、手首部91と、フランジ部93とを有する。基台83は、例えば床面Fに設置されている。なお、基台83は床面Fに固定された架台等に設置されてもよい。また、基台83を例えば無人搬送車(AGV)やレールに設置する等により、収穫ロボット15を移動可能な構成としてもよい。
【0059】
旋回部85は、基台83の上端部に、上下方向に略平行な回転軸Ax1まわりに旋回可能に連結されている。旋回部85は、基台83との間の関節部に設けられたアクチュエータAc1の駆動により、基台83の上端部に対し、回転軸Ax1まわりに旋回駆動される。
【0060】
下腕部87は、旋回部85の一方側の側部に、回転軸Ax1に略垂直な回転軸Ax2まわりに旋回可能に連結されている。下腕部87は、旋回部85との間の関節部に設けられたアクチュエータAc2の駆動により、旋回部85の一方側の側部に対し、回転軸Ax2まわりに旋回駆動される。
【0061】
上腕部89は、下腕部87の先端側に、回転軸Ax2に略平行な回転軸Ax3まわりに旋回可能且つ回転軸Ax3に略垂直な回転軸Ax4回りに回動可能に連結されている。上腕部89は、下腕部87との間の関節部に設けられたアクチュエータAc3の駆動により、下腕部87の先端側に対し、回転軸Ax3まわりに旋回駆動される。また上腕部89は、アクチュエータAc3との間に設けられたアクチュエータAc4の駆動により、下腕部87の先端側に対し、回転軸Ax4まわりに回動駆動される。
【0062】
手首部91は、上腕部89の先端側に、回転軸Ax4に略垂直な回転軸Ax5まわりに旋回可能に連結されている。手首部91は、上腕部89との間の関節部に設けられたアクチュエータAc5の駆動により、上腕部89の先端側に対し、回転軸Ax5まわりに旋回駆動される。
【0063】
フランジ部93は、手首部91の先端側に、回転軸Ax5に略垂直な回転軸Ax6まわりに回動可能に連結されている。フランジ部93は、手首部91との間の関節部に設けられたアクチュエータAc6の駆動により、手首部91の先端側に対し、回転軸Ax6まわりに回動駆動される。
【0064】
ハンド20は、フランジ部93の先端に取り付けられており、フランジ部93の回転軸Ax6まわりの回動と共に、回転軸Ax6まわりに回動する。ハンド20は、複数の指部材111を備えており、野菜3の葉部3bを把持する。ハンド20の詳細構造については、後述する。
【0065】
収穫ロボット15の各関節部を駆動するアクチュエータAc1~Ac6は、サーボモータ(図示省略)、減速機(図示省略)、及びブレーキ等(図示省略)を有する。なお、サーボモータ、減速機及びブレーキ等は、必ずしも回転軸Ax1~Ax6上に配置される必要はなく、これらの回転軸Ax1~Ax6から離れた位置に配置されてもよい。
【0066】
なお、上記では、アーム81の長手方向(あるいは延在方向)に沿った回転軸まわりの回転を「回動」と呼び、アーム81の長手方向(あるいは延在方向)に略垂直な回転軸まわりの回転を「旋回」と呼んで区別している。
【0067】
容器コンベア17は、搬出装置19から空の容器21を受け取り、当該容器21を収穫ロボット15の前側の詰め込み位置に搬送して停止させる。容器コンベア17は、詰め込み位置の容器21に対して収穫ロボット15により野菜3の葉部3bの詰め込み作業が実行されている間に、受け取り位置において搬出装置19から新たに空の容器21を受け取る。容器コンベア17は、収穫ロボット15による詰め込み作業が完了すると、葉部3bが充填された容器21を取り出し位置に搬送するのと並行して、受け取り位置にある新たな空の容器21を詰め込み位置に搬送する。これにより、空の容器21を途切れることなく詰め込み位置に供給することができる。容器コンベア17は、アクチュエータ95により駆動される。
【0068】
コントローラ97は、アーム81に設けられた上記アクチュエータAc1~Ac6、及び、ハンド20に設けられたアクチュエータ105等の駆動を制御することにより、収穫ロボット15及びハンド20の動作を制御する。コントローラ97は、例えば演算装置(CPU)、記録装置、入力装置等を有する制御部(後述の図20参照)と、収穫ロボット15に駆動電力を供給する給電部(サーボアンプ等)等を有する。なお、コントローラ97は、上記制御部に加えて又は代えて、例えばモーションコントローラやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を備えてもよい。またコントローラ97は、例えばエアシリンダであるカッタ駆動装置55へのエアの供給を制御することにより、カッタ53の動作を制御する。またコントローラ97は、アクチュエータ95の駆動を制御することにより、容器コンベア17の動作を制御する。
【0069】
コントローラ97は、トルク検出部99と、トルク制限部101とを有する。トルク検出部99は、ハンド20の回転軸部材109A,109B(後述の図9参照)のトルクを検出する。トルク検出部99は、例えば回転軸部材109A,109Bを回転させるアクチュエータ105(後述の図9参照)の電流を測定する電流センサとしてもよいし、例えば回転軸部材109A,109Bのトルクを機械的に検出するトルクセンサでもよい。トルク制限部101は、トルク検出部99により検出されたトルクが所定のしきい値を超えた場合に、アクチュエータ105の駆動を停止させる。これにより、ハンド20の指部材111の駆動が停止する。
【0070】
コントローラ97は、収穫ロボット15と一体に配置されてもよいし、分離して配置されてもよい。またコントローラ97は、上述した制御部と給電部とが分離されてもよい。この場合、給電部が収穫ロボット15に取り付けられてもよい。またコントローラ97は、アーム81を制御する部分と、ハンド20を制御する部分とが分離されてもよい。この場合、ハンド20を制御する部分がハンド20に取り付けられてもよい。またコントローラ97は、収穫ロボット15を制御する部分と、カッタ53を制御する部分と、容器コンベア17を制御する部分の少なくともいずれかが、分離されてもよい。この場合、各制御部分は制御対象である装置に取り付けられてもよい。
【0071】
上述したトルク検出部99及びトルク制限部101等における処理等は、これらの処理の分担の例に限定されるものではない。例えば、更に少ない数の処理部(例えば1つの処理部)で処理されてもよく、更に細分化された処理部により処理されてもよい。コントローラ97は、各アクチュエータのモータに駆動電力を給電する部分(インバータ等)のみ実際の装置により実装され、その他の上記各処理部による機能は後述するCPU901(図20参照)が実行するプログラムにより実装されてもよい。上記各処理部による機能の一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0072】
<6.ハンド>
図9を参照しつつ、収穫ロボット15が備えるハンド20の構成の一例について説明する。
【0073】
図9に示すように、ハンド20は、ベース部材103と、アクチュエータ105と、歯車機構107と、2本の回転軸部材109A,109Bと、4つの指部材111と、アクチュエータ113と、ストッパ部材115とを有する。
【0074】
アクチュエータ105は、2つの回転軸部材109A,109Bを駆動するアクチュエータである。アクチュエータ105は、例えば回転型のモータを備えた単体のアクチュエータとして構成されている。アクチュエータ105は、例えばベース部材103の下側(歯車機構107や回転軸部材109A,109Bとは反対側)に設置されている。
【0075】
歯車機構107は、例えばベース部材103の上側(アクチュエータ105とは反対側)に設置されている。歯車機構107は、単体のアクチュエータ105の動力を2つの回転軸部材109A,109Bに伝達する。歯車機構107は、4つの歯車107a,107b,107c,107dを有する。各歯車107a,107b,107c,107dは、ベース部材103に固定された4つの軸受117によりそれぞれ回転可能に支持されている。歯車107a,107b,107c,107dは直列に配置されており、隣接する歯車同士が連結されている。歯車107bに連結されたプーリ119には、アクチュエータ105の出力軸の回転がベルト121を介して伝達される。アクチュエータ105の動力は、歯車107b,107aを介して回転軸部材109Aに伝達され、歯車107b,107c,107dを介して回転軸部材109Bに伝達される。このような伝達構成により、回転軸部材109A,109Bの各々の回転方向は互いに反対方向となる。例えば、回転軸部材109Aが矢印123a方向に回転する場合には回転軸部材109Bは矢印125a方向に回転し、回転軸部材109Aが矢印123b方向に回転する場合には回転軸部材109Bは矢印125b方向に回転する。
【0076】
回転軸部材109A,109Bは、ベース部材103から一方側(例えばアクチュエータ105とは反対側)に突出するように、略平行に延設されている。回転軸部材109A,109Bは、ベース部材103に固定された2つの軸受127と、上記4つの軸受117のうちの外側に配置された2つの軸受117とにより、回転可能に支持されている。回転軸部材109Aの一端側には歯車107aが連結され、回転軸部材109Bの一端側には歯車107dが連結されている。
【0077】
指部材111は、2つの回転軸部材109A,109Bの各々に2つずつ(計4つ)設置されている。各指部材111は、回転軸部材109A,109Bの軸方向に垂直な方向に延設されている。具体的には、4つの指部材111の各々は、4つの円筒状部材129を介して、回転軸部材109A,109Bに対してそれぞれが独立して相対回転可能に設置されている。円筒状部材129は、回転軸部材109A,109Bの外周を覆う略円筒状に形成されており、外周面の一部が平坦部129aとして形成されることで、周方向の一部が開口している。指部材111は、平坦部129aに固定されることで、円筒状部材129の外周面の接線方向に突出するように延設されている。
【0078】
4つの円筒状部材129の各々と回転軸部材109A,109Bとの間には、ねじりばね131(弾性付与部の一例。図9では1つのみ図示)がそれぞれ設けられている。ねじりばね131の一端は回転軸部材109A,109Bに連結され、他端は円筒状部材129の内側に固定されたバネホルダ129bに連結されている。ねじりばね131は、円筒状部材129を介して指部材111に対して閉じる方向(矢印123a,125a方向)に所定の弾性力を付与する。指部材111が野菜3を把持していない場合には、指部材111はストッパ(図示省略)により所定の回転角度又は位置で保持される。指部材111が野菜3を把持した場合には、ねじりばね131は、指部材111に接触した野菜3から受ける反力の大きさに応じて、指部材111の回転軸部材109A,109Bまわりの回転角度又は位置を弾性的に変化させる。
【0079】
各指部材111は、先端部に、先端側に向けて膨らんだ曲面部111aを有する。曲面部111aは、例えば球面を略4分割した形状に形成されている。また、回転軸部材109Aに設けられた2つの指部材111は、互いに近接する側に向かって徐々に円筒状部材129から離間するように湾曲した形状に形成されている。同様に、回転軸部材109Bに設けられた2つの指部材111は、互いに近接する側に向かって徐々に円筒状部材129から離間するように湾曲した形状に形成されている。以上のような形状である4つの指部材111は、例えば先端が球面状に膨らんで閉塞された1つの円筒状の部材を、周方向に4分割して面取り加工を行うことにより形成することが可能である。指部材111の材質は特に限定されるものではないが、例えば合成樹脂材料(PVC等)で構成することができる。
【0080】
アクチュエータ113は、回転軸部材109A,109Bの間に配置され、回転軸部材109A,109Bの軸方向に略平行に延設されている。アクチュエータ113は、当接部材(図示省略)を回転軸部材109A,109Bの軸方向に進退するように駆動させる。当接部材は、カッタ53により葉部3bを切断された保持具5(茎部3aや根部3cが付着している)に当接し、受け渡し機構13の運搬装置49から分離装置(図示省略)へ押し出す。分離装置は、保持具5から茎部3aや根部3cを分離させる装置であり、収穫位置に停止された運搬装置49と連通するように設置されている。アクチュエータ113は、例えばエアシリンダであるが、例えばソレノイドやリニアモータ等を使用してもよい。
【0081】
ストッパ部材115は、アクチュエータ113の軸方向一端側(例えば歯車機構107とは反対側の端部)に設置されている。ストッパ部材115は、運搬装置49のカッタ53により野菜3の茎部3aを切断する際に、保持具5に当接して保持具5の移動を防止する。
【0082】
なお、以上説明したハンド20の構成は一例であり、上記以外の構成としてもよい。例えば、指部材111の数は、各回転軸部材109A,109Bに対して1つずつでもよいし、3つ以上ずつとしてもよい。また、各回転軸部材109A,109Bに対して必ずしも同じ数である必要はなく、例えば回転軸部材109Aに2つ、回転軸部材109Bに3つといったように、異なる数を設置してもよい。この場合、回転軸部材109A側の指部材111と回転軸部材109B側の指部材111とを、回転軸部材109A,109Bの軸方向に互い違いとなるように配置してもよい。また、ハンド20に2つのアクチュエータを設置して、各アクチュエータで回転軸部材109A,109Bのそれぞれを独立して駆動してもよい。この場合、歯車機構107は不要となる。
【0083】
<7.指部材の動作>
図10及び図11を参照しつつ、指部材111の動作の一例について説明する。なお、図10及び図11では指部材111の形状を簡略化して図示している。
【0084】
上述したハンド20の構成により、回転軸部材109A,109Bがそれぞれ矢印123a,125a方向(図9参照)に駆動された場合には、4つの指部材111は閉じて野菜3の葉部3bを把持する。回転軸部材109A,109Bがそれぞれ矢印123b,125b方向(図9参照)に駆動された場合には、4つの指部材111は開いて野菜3の葉部3bを開放(把持を解除)する。前述のように、各指部材111はねじりばね131により閉じる方向に所定の弾性力を付与されている。指部材111が野菜3を把持していない場合には、指部材111はストッパ(図示省略)により所定の回転角度又は位置で保持される。この場合、各指部材111は回転軸部材109A,109Bの回転に伴って一律に開閉動作する。一方、指部材111が野菜3を把持した場合には、各指部材111は、接触した野菜3から受けた反力の大きさに応じて回転軸部材109A,109Bまわりの回転角度又は位置がそれぞれ独立して弾性的に変化する。
【0085】
例えば図10に、野菜3の葉部3bの形状が軸方向に非対称軸な形状、例えば中心から基端側(図10中左側)に長く伸びると共に先端側(図10中右側)に短く伸びた形状の葉部3bを把持する場合の指部材111の動作を示す。この場合、基端側の一対の指部材111は葉部3bの形状に合わせて広く開いた状態で葉部3bを把持し、先端側の一対の指部材111は葉部3bの形状に合わせて狭く開いた状態で葉部3bを把持する。
【0086】
また例えば図11に、野菜3の葉部3bの形状は略円形であるが、把持位置が軸方向にずれた場合、例えば葉部3bの中心が基端側(図11中左側)にずれた位置で葉部3bを把持する場合の指部材111の動作を示す。この場合、基端側の一対の指部材111は葉部3bの位置に合わせて広く開いた状態で葉部3bを把持し、先端側の一対の指部材111は葉部3bの位置に合わせて狭く開いた状態で葉部3bを把持する。
【0087】
以上のように4つの指部材111がそれぞれ独立して弾性的に動作することで、把持力を複数の指部材111に分散することができる。これにより、葉部3bの大きさ、形状、位置等が一定でない場合でも把持力が特定の指部材111に集中しにくくなり、葉部3bの損傷を低減できる。また、各指部材111に作用する反力の偏りが小さくなるので、例えばハンド20の中で葉部3bの姿勢が変化しにくくなる等、把持を安定化できる。
【0088】
<8.ハンドの動作>
図12乃至図17を参照しつつ、ハンド20の動作の一例について説明する。
【0089】
図12に、ハンド20が運搬装置49の野菜3の葉部3bを把持する動作の一例を示す。図12に示すように、コントローラ97は、ハンド20を運搬装置49の下方から上昇させて、運搬装置49に保持された野菜3の葉部3bを下方からすくい上げて把持するように、収穫ロボット15の動作を制御する。このとき、ハンド20は、指部材111が回転軸部材109A,109Bよりも上方にある状態で動作しても、下方にある状態で動作してもよい。なお、運搬装置49の左右方向の幅は、ハンド20の回転軸部材109A,109Bの左右方向の間隔よりも小さくなっており、ハンド20は運搬装置49を回転軸部材109A,109Bの間を通過させることが可能である。指部材111が閉じて葉部3bを保持(把持)し、持ち上げた状態では、指部材111が回転軸部材109A,109Bよりも上方にある状態となる。
【0090】
図13に、指部材111が野菜3の葉部3bを把持する動作の一例を示す。なお、図13では指部材111の形状を簡略化して図示している。図13に示すように、コントローラ97は、指部材111が回転軸部材109A,109Bよりも上方にある状態で、指部材111を野菜3の葉部3bを下方からすくい上げつつ閉じて把持するように、ハンド20の動作を制御する。これにより、指部材111と水平方向に広がった葉部3bとの干渉を抑制でき、葉部3bの損傷を低減しつつ把持できる。
【0091】
図14に、カッタ53で野菜3の茎部3aを切断する際のハンド20による葉部3bの持ち上げ動作の一例を示す。なお、図14では指部材111の形状を簡略化して図示している。図14に示すように、コントローラ97は、ハンド20で葉部3bを保持具5から所定量だけ持ち上げるように収穫ロボット15の動作を制御する。所定量は例えば1cm~数cm程度である。またコントローラ97は、ハンド20で葉部3bを持ち上げた後に、野菜3の茎部3aを切断するようにカッタ53を駆動させる。
【0092】
図15は、カッタ53で野菜3の茎部3aを切断する際にストッパ部材115が保持具5に当接する動作の一例を表す説明図である。なお、図15では指部材111の形状を簡略化して図示している。図15に示すように、カッタ53が保持具5側に突出して野菜3の茎部3aを切断する際には、カッタ53により保持具5が運搬装置49の保持部51から外側に押し出される。このとき、保持具5が大きく移動してしまうと茎部3aを良好に切断できない可能性がある。本実施形態では、ハンド20のストッパ部材115が保持具5に当接し、保持具5の移動を防止できるので、カッタ53による切断の成功率を向上できる。
【0093】
図16に、収穫ロボット15が野菜3の葉部3bを容器21に収容する際のハンド20の動作の一例を示す。図16に示すように、コントローラ97は、ハンド20で、野菜3の葉部3bを保持して運搬装置49から持ち上げて容器21の上部に移動し、葉部3bの上下の向きを反転させ、反転させた葉部3bを容器21に収容するように、収穫ロボット15の動作を制御する。これにより、葉部3bの切り口が上向きとなるように容器21に収容することができる。したがって、切り口からの乳液の滲出による葉部3bや容器21の汚損を抑制することが可能となり、収穫物の汚損を抑制できる。したがって、葉部3bを衛生的に収穫することができる。なお、葉部3bの上下の向きの反転は、必ずしも容器21の上部で行う必要はなく、例えば運搬装置49から持ち上げてすぐに反転させてもよいし、運搬装置49から容器21の上部へ移動させる途中で行ってもよい。
【0094】
また図16に示すように、コントローラ97は、ハンド20で、野菜3の葉部3bを容器21に収容する際に、葉部3bの上下の向きを反転させ、その後、葉部3bを容器21に挿入した後に水平方向にスライドさせるように、収穫ロボット15の動作を制御する。これにより、葉部3bを容器21に収容する際に、まず初めに先に収容した葉部3bと干渉しない広い空間に葉部3bを挿入し、その後に挿入した葉部3bを奥に寄せて詰める動作を行うことができる。これにより、容器21に多数の葉部3bを効率良く収容することができる。また、収容した葉部3bが転がりにくくなり、姿勢を安定化させることができる。したがって、汚損の抑制効果をさらに高めることができる。
【0095】
図17に、ハンド20で野菜3の葉部3bを容器21に載置する際に指部材111を開放する動作の一例を示す。なお、図17では指部材111の形状を簡略化して図示している。図17に示すように、コントローラ97は、ハンド20で、野菜3の葉部3bを容器21に載置して開放する際に、2つの回転軸部材109A,109Bを回転させて指部材111を開閉させつつ段階的にハンド20を持ち上げるように、収穫ロボット15の動作を制御する。具体的には、図17に示すように、収穫ロボット15は、指部材111を閉じて葉部3bを把持した状態から、指部材111を開いて葉部3bを開放し、ハンド20を所定量だけ持ち上げる。その後、指部材111を閉じる。このとき、指部材111は葉部3bに接触してもよいし、離れていてもよい。その後、収穫ロボット15は、指部材111を再度開き、ハンド20を再度所定量だけ持ち上げ、指部材111を再度閉じる。このとき、上記と同様に、指部材111は葉部3bに接触してもよいし、離れていてもよい。その後、指部材111を大きく開いてハンド20を容器21から上昇させる。なお、上記では指部材111の開閉動作とハンド20の持ち上げ動作からなる一連の動作を段階的に2回実行するようにしたが、3回以上実行してもよい。
【0096】
これにより、葉部3bを容器21に載置する際に、葉部3bが指部材111に引っ掛かることを防止できるので、葉部3bを円滑に開放して載置できる。また、指部材111を開閉させつつハンド20を持ち上げることで、例えば指部材111を大きく開いたままでハンド20を持ち上げる場合に比べて、隣接する葉部3bが転がりにくくなり、容器21内の葉部3bの姿勢を安定化させることができる。
【0097】
<9.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の野菜収穫システム1は、野菜3の葉部3bを保持するハンド20を備えた収穫ロボット15と、ハンド20で、葉部3bを保持して持ち上げ、持ち上げた葉部3bの上下の向きを反転させ、反転させた葉部3bを容器21に収容するように、収穫ロボット15の動作を制御するコントローラ97と、を有する。
【0098】
本実施形態の野菜収穫システム1では、収穫ロボット15が、ハンド20で葉部3bを保持して持ち上げ、持ち上げた葉部3bの上下の向きを反転させ、反転させた葉部3bを容器21に収容することにより、野菜3の葉部3bを収穫する。これにより、野菜3のうち収穫対象である葉部3bが収穫対象でない部分(根部3c、茎部3a)から切断により分離される場合でも、切り口が上向きとなるように容器21に収容することができる。したがって、乳液の滲出による葉部3bや容器21の汚損を抑制することが可能となり、収穫物の汚損を抑制できる。したがって、野菜3の葉部3bを衛生的に収穫することができる。
【0099】
また、葉部3bを有する野菜3は、葉部3bが上下方向に伸びると共に水平方向に広がるように生育する。本実施形態では、葉部3bの上下の向きを反転させて容器21に収容する。これにより、葉部3bが重力により閉じるような姿勢で収容できるので、収容の際に葉部3bが損傷することを抑制できる。
【0100】
本実施形態において、コントローラ97は、野菜3の葉部3bを保持する際に、ハンド20で葉部3bを下方からすくい上げるように、収穫ロボット15の動作を制御してもよい。
【0101】
葉部3bを有する野菜3は、葉部3bが上下方向に伸びると共に水平方向に広がるように生育する。本実施形態の場合、ハンド20で葉部3bを下方からすくい上げるように保持することにより、ハンド20と水平方向に広がった葉部3bとの干渉を低減でき、葉部3bの損傷を低減しつつ収穫できる。
【0102】
本実施形態において、コントローラ97は、ハンド20で、野菜3の葉部3bを容器21に収容する際に、葉部3bを容器21に挿入した後に水平方向にスライドさせるように、収穫ロボット15の動作を制御してもよい。
【0103】
この場合、葉部3bを容器21に収容する際に、まず初めに先に収容した葉部3bと干渉しない広い空間に葉部3bを挿入し、その後に挿入した葉部3bを奥に寄せて詰める動作を行うことができる。これにより、容器21に多数の葉部3bを効率良く収容することができる。また、収容した葉部3bが転がりにくくなり、姿勢を安定化させることができる。したがって、汚損の抑制効果をさらに高めることができる。
【0104】
本実施形態において、ハンド20は、2つの回転軸部材109A,109Bと、2つの回転軸部材109A,109Bの各々に複数ずつ設置され、回転軸部材109A,109Bの軸方向に垂直な方向に延設された指部材111と、を有してもよい。
【0105】
この場合、2つの回転軸部材109A,109Bを互いに反対方向に回転駆動させることで、指部材111を開閉駆動させ、葉部3bを把持又は開放することができる。また、各回転軸部材109A,109Bに複数の指部材111を設置することで、4本以上の指部材111を用いて葉部3bの周囲を囲むように把持することができる。これにより、把持を安定化でき、葉部3bの上下の向きを反転させる際の落下を防止できる。
【0106】
本実施形態において、コントローラ97は、ハンド20で、野菜3の葉部3bを容器21に載置して開放する際に、2つの回転軸部材109A,109Bを回転させて指部材111を開閉させつつ段階的にハンド20を持ち上げるように、収穫ロボット15の動作を制御してもよい。
【0107】
この場合、葉部3bを容器21に載置する際に、葉部3bが指部材111に引っ掛かることを防止できるので、葉部3bを円滑に開放して載置できる。また、指部材111を開閉させつつハンド20を持ち上げることで、例えば指部材111を大きく開いたままでハンド20を持ち上げる場合に比べて、隣接する葉部3bが転がりにくくなり、容器21内の葉部3bの姿勢を安定化させることができる。
【0108】
本実施形態において、ハンド20は、指部材111に接触した野菜3の葉部3bから受ける反力の大きさに応じて、指部材111の回転軸部材109A,109Bまわりの回転角度又は位置を弾性的に変化させるねじりばね131を有してもよい。
【0109】
この場合、把持力を複数の指部材111に分散することができるので、葉部3bの損傷を低減できる。また、各指部材111に作用する反力の偏りが小さくなるので、例えばハンド20の中で葉部3bの姿勢が変化しにくくなる等、把持を安定化できる。さらに、各指部材111を個別に駆動制御しなくても、1軸のみの制御により上記効果を得ることが可能となる。その結果、アクチュエータの個数を削減でき、ハンド20を小型化及び軽量化できると共に、コストを削減できる。
【0110】
本実施形態において、指部材111は、先端部に、先端側に向けて膨らんだ曲面部111aを有してもよい。
【0111】
この場合、各指部材111を葉部3bの面に対して略垂直な方向に閉じることが可能となるため、葉部3bの損傷を低減しつつ把持できる。また、葉部3bを閉じるように各指部材111を動作させることが可能となるため、葉部3bをコンパクトに包み込みつつ把持できる。さらに、指部材111の先端に向かって指部材111の間の空間が広がるので、容器21の中で小さな開き角度で葉部3bを開放することが可能となり、指部材111の他の葉部3bへの干渉を抑制できる。また、開放した後に指部材111が葉部3bに引っ掛かりにくくなるので、葉部3bの姿勢がくずれることを抑制できる。
【0112】
本実施形態において、ハンド20は、2つの回転軸部材109A,109Bを駆動する1つのアクチュエータ105と、アクチュエータ105の動力を2つの回転軸部材109A,109Bに伝達する歯車機構107と、を有してもよい。
【0113】
この場合、アクチュエータの個数を削減でき、ハンド20を小型化及び軽量化できると共に、コストを削減できる。
【0114】
本実施形態において、野菜収穫システム1は、回転軸部材109A,109Bのトルクを検出するトルク検出部99を有してもよく、その場合には、コントローラ97は、トルク検出部99により検出されたトルクが所定のしきい値を超えた場合に、アクチュエータ105の駆動を停止するトルク制限部101を有してもよい。
【0115】
この場合、葉部3bに過度な把持力が作用することを防止できるので、葉部3bの損傷防止効果をさらに高めることができる。
【0116】
本実施形態において、野菜収穫システム1は、葉部3bを有する野菜3を、葉部3bが上方に位置するように保持する保持具5と、葉部3bが保持具5から分離されるように野菜3を切断するカッタ53と、を有してもよく、その場合には、ハンド20は、切断により保持具5から分離された葉部3bを保持してもよい。
【0117】
この場合、葉部3bの保持具5からの分離と、分離された葉部3bの容器21への収容の両方の工程を自動化できるので、野菜収穫工程の自動化を促進できる。
【0118】
本実施形態において、コントローラ97は、ハンド20で野菜3の葉部3bを保持具5から所定量だけ持ち上げるように収穫ロボット15の動作を制御し、ハンド20で葉部3bを持ち上げた後に、野菜3の茎部3aを切断するようにカッタ53の駆動を制御してもよい。
【0119】
この場合、収穫対象である葉部3bをカッタ53で損傷するリスクを低減できるので、収穫物の損傷を低減できる。また、野菜3の茎部3aに張力を与えた状態で切断できるので、カッタ53による切断の成功率を向上できる。
【0120】
本実施形態において、ハンド20は、カッタ53により野菜3の茎部3aを切断する際に、保持具5の移動を防止するストッパ部材115を有してもよい。
【0121】
野菜3の茎部3aの切断の際に保持具5が引っ張られて移動すると、茎部3aを良好に切断できない可能性がある。本実施形態の場合、ストッパ部材115より保持具5の移動を防止できるので、カッタ53による切断の成功率を向上できる。
【0122】
<10.変形例>
開示の実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0123】
以上では、ねじりばねを用いて指部材111に弾性力を付与するようにしたが、ねじりばね以外の手法で弾性力を付与してもよい。例えば図18に示すように、各指部材111の基端部に弾性付与部133を設けてもよい。弾性付与部133は、例えば板バネ、ゴム材、弾性を有する樹脂材料、又はエラストマ等により構成される。この場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0124】
また、例えば図19に示すように、収穫ロボット15は、ハンド20で保持した野菜3の葉部3bの重量を検出する重量センサ135を有してもよい。重量センサ135は、例えばロードセル等である。なお、重量センサの代わりに、例えばコントローラ97が、収穫ロボット15の各関節部を駆動するアクチュエータAc1~Ac6の電流値から各関節部のトルクを算出し、算出した各関節部のトルクに基づいてハンド20で保持した野菜3の葉部3bの重量を算出する重量算出部(図示省略)を備えてもよい。コントローラ97は、重量センサ135で検出した重量に基づいて野菜3の生育状況の良否を判定する生育判定部137を有する。
【0125】
この場合、収穫ロボット15で野菜3の葉部3bを容器21に搬送する際に、重量センサ135で検出した重量により生育判定部137が生育状況の良否を判定することができる。コントローラ97は、例えば生育状況が正常であると判定した場合には、葉部3bをそのまま容器21に搬送して収穫し、生育状況が異常であると判定した場合には、葉部3bを容器21に搬送せずに廃棄するように、収穫ロボット15を制御することができる。これにより、収穫物の品質を向上できる。
【0126】
<11.コントローラのハードウェア構成例>
図20を参照しつつ、上記で説明したコントローラ97のハードウェア構成例について説明する。図20中では、コントローラ97の各アクチュエータに駆動電力を給電する機能に係る構成を適宜省略して図示している。
【0127】
図20に示すように、コントローラ97は、例えば、CPU901と、ROM903と、RAM905と、ASIC又はFPGA等の特定の用途向けに構築された専用集積回路907と、入力装置913と、出力装置915と、記録装置917と、ドライブ919と、接続ポート921と、通信装置923とを有する。これらの構成は、バス909や入出力インターフェース911を介し相互に信号を伝達可能に接続されている。
【0128】
プログラムは、例えば、ROM903やRAM905、ハードディスク等の記録装置917等に記録しておくことができる。
【0129】
プログラムは、例えば、フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、各種のCD・MOディスク・DVD等の光ディスク、半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体925に、一時的又は非一時的(永続的)に記録しておくこともできる。このような記録媒体925は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することもできる。この場合、これらの記録媒体925に記録されたプログラムは、ドライブ919により読み出されて、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0130】
プログラムは、例えば、ダウンロードサイト・他のコンピュータ・他の記録装置等(図示せず)に記録しておくこともできる。この場合、プログラムは、LANやインターネット等のネットワークNWを介し転送され、通信装置923がこのプログラムを受信する。そして、通信装置923が受信したプログラムは、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0131】
プログラムは、例えば、適宜の外部接続機器927に記録しておくこともできる。この場合、プログラムは、適宜の接続ポート921を介し転送され、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0132】
CPU901が、上記記録装置917に記録されたプログラムに従い各種の処理を実行することにより、上記のトルク検出部99やトルク制限部101等による処理が実現される。CPU901は、例えば、上記記録装置917からプログラムを直接読み出して実行してもよいし、RAM905に一旦ロードした上で実行してもよい。CPU901は、例えば、プログラムを通信装置923やドライブ919、接続ポート921を介し受信する場合、受信したプログラムを記録装置917に記録せずに直接実行してもよい。
【0133】
CPU901は、必要に応じて、例えばマウス・キーボード・マイク(図示せず)等の入力装置913から入力する信号や情報に基づいて各種の処理を行ってもよい。
【0134】
CPU901は、上記の処理を実行した結果を、例えば表示装置や音声出力装置等の出力装置915から出力してもよい。CPU901は、必要に応じて処理結果を通信装置923や接続ポート921を介し送信してもよい。CPU901は、処理結果を上記記録装置917や記録媒体925に記録させてもよい。
【0135】
以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0136】
以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0137】
以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【0138】
以上説明した実施形態や変形例等が解決しようとする課題や効果は、上述した内容に限定されるものではない。実施形態や変形例等によって、上述されていない課題を解決したり、上述されていない効果を奏することもでき、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【符号の説明】
【0139】
1 野菜収穫システム
3 野菜
3b 葉部
5 保持具
15 収穫ロボット(ロボット)
20 ハンド
21 容器
53 カッタ
97 コントローラ
99 トルク検出部
101 トルク制限部
105 アクチュエータ
107 歯車機構
109A 回転軸部材
109B 回転軸部材
111 指部材
111a 曲面部
115 ストッパ部材
131 ねじりばね(弾性付与部)
133 弾性付与部
135 重量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図20