(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 69/00 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A01D69/00 303A
(21)【出願番号】P 2021174658
(22)【出願日】2021-10-26
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
(72)【発明者】
【氏名】西崎 宏
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-34095(JP,A)
【文献】特開2004-65108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 69/00
A01D 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)を搭載した機体フレーム(1)の下側に走行装置(2)を設け、該機体フレーム(1)の上側における前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記エンジン(E)と走行装置(2)の伝動経路に、前記エンジン(E)から伝動された出力回転を増減速する無段変速装置(20)と、該無段変速装置(20)から伝動された出力回転を増減速するトランスミッション(21)を設け、
前記無段変速装置(20)と刈取装置(3)の伝動経路に、刈取クラッチ(22)を設け、
前記エンジン(E)と脱穀装置(4)の伝動経路に、脱穀クラッチ(24)を設け、
前記操縦部(5)のサイドパネル(15)に、前記走行装置(2)の走行速度の増減速と、刈取クラッチ(22)及び脱穀クラッチ(24)の接続と接続の解除を行う切替えレバー(17)を設け、
該切替えレバー(17)を中立姿勢から前側傾斜姿勢に位置させた路上モード(M1)の場合には、前記刈取クラッチ(22)と脱穀クラッチ(24)の接続が解除され、
前記切替えレバー(17)を中立姿勢から後側傾斜姿勢に位置させた作業モード(M2)の場合には、前記刈取クラッチ(22)と脱穀クラッチ(24)が接続され、
前記路上モード(M1)に位置する切替えレバー(17)を後側のドライブ姿勢(S2)から前側の高速姿勢(S1)に移動した場合には、前記走行装置(2)の走行速度が増速され、
前記作業モード(M2)に位置する切替えレバー(17)を後側の倒伏姿勢(S4)から前側の標準姿勢(S3)に移動した場合には、前記走行装置(2)の走行速度が増速されることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記切替えレバー(17)をドライブ姿勢(S2)に移動した場合の走行装置(2)の走行速度と、前記切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)に移動した場合の走行装置(2)の走行速度を同一速度に設定した請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記操縦部(5)の速度抑制ダイヤル(19)を操作して、前記同一速度を増減速可能な構成とした請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記サイドパネル(15)に、前記切替えレバー(17)が挿通されたガイド溝(40)を形成し、
前記切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)からドライブ姿勢(S2)に移動する前後方向の第1間隔(L2)を、倒伏姿勢(S4)から標準姿勢(S3)に移動する前後方向の第2間隔(L3)とドライブ姿勢(S2)から高速姿勢(S1)に移動する第3間隔(L1)よりも長く形成した請求項1~3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記ガイド溝(40)の内周部おける第1間隔(L2)に対向する部位に、前記ガイド溝(40)の内側に延出するガード(41)を形成した請求項4記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置の走行速度の増減速と刈脱クラッチの接続と接続解除を行う切替えレバーを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインにおいて、走行装置の走行速度の増減速を行う変速レバーと、その後方に、刈脱クラッチの接続と接続解除を行う刈脱レバーを設ける技術が知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、走行装置の走行速度の増減速から刈脱クラッチの接続と接続解除等を行う場合には、変速レバーから手を離して、刈脱レバーを握り直す必要があることから操作負担が大きいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、走行装置の走行速度の増減速から刈脱クラッチの接続と接続解除等の操作負荷を低減したコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジン(E)を搭載した機体フレーム(1)の下側に走行装置(2)を設け、該機体フレーム(1)の上側における前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記エンジン(E)と走行装置(2)の伝動経路に、前記エンジン(E)から伝動された出力回転を増減速する無段変速装置(20)と、該無段変速装置(20)から伝動された出力回転を増減速するトランスミッション(21)を設け、前記無段変速装置(20)と刈取装置(3)の伝動経路に、刈取クラッチ(22)を設け、前記エンジン(E)と脱穀装置(4)の伝動経路に、脱穀クラッチ(24)を設け、前記操縦部(5)のサイドパネル(15)に、前記走行装置(2)の走行速度の増減速と、刈取クラッチ(22)及び脱穀クラッチ(24)の接続と接続の解除を行う切替えレバー(17)を設け、該切替えレバー(17)を中立姿勢から前側傾斜姿勢に位置させた路上モード(M1)の場合には、前記刈取クラッチ(22)と脱穀クラッチ(24)の接続が解除され、前記切替えレバー(17)を中立姿勢から後側傾斜姿勢に位置させた作業モード(M2)の場合には、前記刈取クラッチ(22)と脱穀クラッチ(24)が接続され、前記路上モード(M1)に位置する切替えレバー(17)を後側のドライブ姿勢(S2)から前側の高速姿勢(S1)に移動した場合には、前記走行装置(2)の走行速度が増速され、前記作業モード(M2)に位置する切替えレバー(17)を後側の倒伏姿勢(S4)から前側の標準姿勢(S3)に移動した場合には、前記走行装置(2)の走行速度が増速されることを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記切替えレバー(17)をドライブ姿勢(S2)に移動した場合の走行装置(2)の走行速度と、前記切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)に移動した場合の走行装置(2)の走行速度を同一速度に設定した請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記操縦部(5)の速度抑制ダイヤル(19)を操作して、前記同一速度を増減速可能な構成とした請求項2記載のコンバインである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記サイドパネル(15)に、前記切替えレバー(17)が挿通されたガイド溝(40)を形成し、前記切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)からドライブ姿勢(S2)に移動する前後方向の第1間隔(L2)を、倒伏姿勢(S4)から標準姿勢(S3)に移動する前後方向の第2間隔(L3)とドライブ姿勢(S2)から高速姿勢(S1)に移動する第3間隔(L1)よりも長く形成した請求項1~3のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記ガイド溝(40)の内周部おける第1間隔(L2)に対向する部位に、前記ガイド溝(40)の内側に延出するガード(41)を形成した請求項4記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、エンジン(E)と走行装置(2)の伝動経路に、エンジン(E)から伝動された出力回転を増減速する無段変速装置(20)と、無段変速装置(20)から伝動された出力回転を増減速するトランスミッション(21)を設け、無段変速装置(20)と刈取装置(3)の伝動経路に、刈取クラッチ(22)を設け、エンジン(E)と脱穀装置(4)の伝動経路に、脱穀クラッチ(24)を設け、操縦部(5)のサイドパネル(15)に、走行装置(2)の走行速度の増減速と、刈取クラッチ(22)及び脱穀クラッチ(24)の接続と接続の解除を行う切替えレバー(17)を設け、切替えレバー(17)を中立姿勢から前側傾斜姿勢に位置させた路上モード(M1)の場合には、刈取クラッチ(22)と脱穀クラッチ(24)の接続が解除され、切替えレバー(17)を中立姿勢から後側傾斜姿勢に位置させた作業モード(M2)の場合には、刈取クラッチ(22)と脱穀クラッチ(24)が接続され、路上モード(M1)に位置する切替えレバー(17)を後側のドライブ姿勢(S2)から前側の高速姿勢(S1)に移動した場合には、走行装置(2)の走行速度が増速され、作業モード(M2)に位置する切替えレバー(17)を後側の倒伏姿勢(S4)から前側の標準姿勢(S3)に移動した場合には、走行装置(2)の走行速度が増速されるので、1本の切替えレバー(17)で走行装置(2)の走行速度が増減速と刈取クラッチ(22)及び脱穀クラッチ(24)の接続等を操作でき操作負荷を軽減することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、切替えレバー(17)をドライブ姿勢(S2)に移動した場合の走行装置(2)の走行速度と、切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)に移動した場合の走行装置(2)の走行速度を同一速度に設定したので、切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)からドライブ姿勢(S2)に移動させた場合に、走行装置(2)が急加速するのを防止することができ、コンバインが圃場の外周部の畦に衝突するのを防止して作業安全性を高めることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、操縦部(5)の速度抑制ダイヤル(19)を操作して、同一速度を増減速可能な構成としたので、走行装置(2)の走行速度を減速してコンバインを倉庫の規定位置に正確に停車することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項1~3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、サイドパネル(15)に、切替えレバー(17)が挿通されたガイド溝(40)を形成し、切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)からドライブ姿勢(S2)に移動する前後方向の第1間隔(L2)を、倒伏姿勢(S4)から標準姿勢(S3)に移動する前後方向の第2間隔(L3)とドライブ姿勢(S2)から高速姿勢(S1)に移動する第3間隔(L1)よりも長く形成したので、作業者が切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)からドライブ姿勢(S2)に移動させたことを認識することができ、作業安全性をより高めることができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、ガイド溝(40)の内周部おける第1間隔(L2)に対向する部位に、ガイド溝(40)の内側に延出するガード(41)を形成したので、作業者が切替えレバー(17)を標準姿勢(S3)からドライブ姿勢(S2)に移動させたことを触感としても把握することができ、誤操作を防止して作業安全性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図7】第1実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝の平面図である。
【
図8】第2実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝の平面図である。
【
図9】第3実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝の平面図である。
【
図10】第4実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝の平面図である。
【
図11】第5実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝の平面図である。
【
図12】第6実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝の平面図である。
【
図13】第7実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝の平面図である。
【
図14】第8実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~3に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取装置3が設けられている。また、刈取装置3の後方左側部に刈取装置3で収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側部に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0018】
操縦部5の下側には、エンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀装置4で脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7に貯留された穀粒は、グレンタンク7に連結された排出オーガ(図示省略)によって外部に排出される。
【0019】
操縦部5の操縦席の前方には、フロントパネル10が設けられ、操縦席の左方には、サイドパネル15が設けられている。
【0020】
フロントパネル10の左部には、エンジンのEの出力回転等を表示するモニタ11が設けられ、右部には、走行装置2の旋回や刈取装置3の昇降を操作する操作レバー12が設けられている。
【0021】
サイドパネル15の前部には、エンジンEの出力回転の増減速と回転方向の切替えを行う無段変速装置20を操作する変速レバー16が設けられている。
【0022】
変速レバー16の後側には、無段変速装置20の出力回転の増減速を行うトランスミッション21と、刈取クラッチ22と脱穀クラッチ24の接続と接続解除を操作するモードセレクトレバー(請求項の「切替えレバー」)17が設けられている。
【0023】
変速レバー16の左側には、後述する速度抑制スイッチ18が設けられ、速度抑制スイッチ18の後側には、速度抑制ダイヤル19が設けられている。
【0024】
図4に示すように、エンジンEから出力された出力回転は、伝動経路A上に設けられた無段変速装置20に伝動される。無段変速装置20の入力軸に伝動されたエンジンEの出力回転は、無段変速装置20で増減速と回転方向の切替えが行われて第1出力軸20Aから出力される。
【0025】
無段変速装置20の第1出力軸20Aから出力された出力回転は、トランスミッション21に伝動される。トランスミッション21の入力軸に伝動された無段変速装置20の出力回転は、トランスミッション21のギヤ伝動機構で増減速されて出力軸から出力されて走行装置2に伝動される。
【0026】
無段変速装置20の第2出力軸20Bから出力された出力回転は、刈取クラッチ22を介してギヤボックス23に伝動される。ギヤボックス23の入力軸に伝動された無段変速装置20の出力回転は、ギヤボックス23のギヤ伝動機構で増減速されて出力軸から出力されて刈取装置3される。
【0027】
また、エンジンEから出力された出力回転は、伝動経路B上に設けられた脱穀クラッチ24を介して脱穀装置4に伝動される。
【0028】
変速レバー16を中立姿勢にした場合には、無段変速装置20の出力回転はゼロになる。変速レバー16を中立姿勢から前側傾斜姿勢した場合には、無段変速装置20の出力回転の回転方向はエンジンEの出力回転の回転方向と同じ正回転となり、前側傾斜姿勢の傾斜角度を大きくすると無段変速装置20の出力回転は高速になり、前側傾斜姿勢の傾斜角度を小さくすると無段変速装置20の出力回転は低速になる。一方、変速レバー16を中立姿勢から後側傾斜姿勢した場合には、無段変速装置20の出力回転の回転方向はエンジンEの出力回転の回転方向と逆さの逆回転となり、後側傾斜姿勢の傾斜角度を大きくすると無段変速装置20の出力回転は高速になり、後側傾斜姿勢の傾斜角度を小さくすると無段変速装置20の出力回転は低速になる。
【0029】
変速レバー16の姿勢は、変速レバー16の下部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ16Aで測定され、角度センサ16Aの測定値に応じてモータ25が無段変速装置20のトラニオン軸を回動して無段変速装置20の出力回転の増減速等が行われる。
【0030】
図5に示すように、モードセレクトレバー17を中立姿勢から前側傾斜姿勢にした場合には、刈取クラッチ22と脱穀クラッチ24の接続が解除されて刈取装置3と脱穀装置4の駆動が停止した路上モードM1になり、モードセレクトレバー17を中立姿勢から後側傾斜姿勢にした場合には、刈取クラッチ22と脱穀クラッチ24が接続されて刈取装置3と脱穀装置4が駆動される作業モードM2になる。
【0031】
路上モードM1においてモードセレクトレバー17を前側傾斜姿勢(以下、ドライブ姿勢S2という。)から最前側傾斜姿勢(以下、高速姿勢S1という。)に移動させた場合には、走行装置2の走行速度が増速される。なお、本明細書では、モードセレクトレバー17を高速姿勢S1に移動した走行速度を第1速度V1といい、ドライブ姿勢S2に移動した走行速度を第2速度V2という。
【0032】
作業モードM2においてモードセレクトレバー17を後側傾斜姿勢(以下、標準姿勢S3という。)から最後側傾斜姿勢(以下、倒伏姿勢S4という。)に移動させた場合には、走行装置2の走行速度が減速される。なお、本明細書では、モードセレクトレバー17を標準姿勢S3に移動した走行速度を第3速度V3といい、倒伏姿勢S4に移動した走行速度を第4速度V4という。
【0033】
モードセレクトレバー17の姿勢は、モードセレクトレバー17の下部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ17Aで測定され、角度センサ17Aの測定値に応じてモータ25が無段変速装置20のトラニオン軸を回動して無段変速装置20の出力回転の増減速等が行われる。
【0034】
本実施形態においては、路上モードM1のドライブ姿勢S2第2速度V2と、作業モードM2の標準姿勢S3の第3速度V3を同一速度に設定されている。これにより、圃場での刈取作業を終了して、モードセレクトレバー17を作業モードM2の標準姿勢S3から路上モードM1のドライブ姿勢S2に移動させた場合に、走行装置2の走行速度が急加速されるのを防止して、コンバインが圃場の外周部の畦に衝突するのを防止することができる。なお、第1速度V1は第2速度V2よりも高速であり、第4速度V4は第3速度V3よりも低速である。
【0035】
速度抑制スイッチ18が入力されると、走行装置2の第2速度V2と第3速度V3を設定走行速度Vに減速する。また、速度抑制スイッチ18が入力された状態で、変速レバー16を操作しても走行装置2の走行速度の増減速は規制され、設定走行速度Vが維持される。
【0036】
速度抑制ダイヤル19を時計方向に回転させると、設定走行速度Vを高速に変更することができ、反時計方向に回転させると、設定走行速度Vを低速に変更することができる。なお、設定走行速度Vは、第3速度V3と第4速度V4の間の速度に設定するのが好ましい。これにより、倉庫内で走行装置2を微速走行させて他の装置等との衝突を抑制することができる。
【0037】
<コントローラの接続図>
図6に示すように、コンバインのコントローラ30は、CPU等からなる処理部31と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部32から形成されている。
【0038】
処理部31は、角度センサ16A,角度センサ17A等からの入力値に基づいてモータ25を駆動させる。
【0039】
記憶部32には、速度抑制スイッチ18の入力状態、速度抑制ダイヤル19で設定された設定走行速度V等が保存されている。
【0040】
コントローラ30の入力側には、変速レバー16の傾斜角度を測定する角度センサ16Aと、モードセレクトレバー17の傾斜角度を測定する角度センサ17Aと、速度抑制スイッチ18と、速度抑制ダイヤル19が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
【0041】
コントローラ30の出力側には、刈取クラッチ22と、脱穀クラッチ24と、無段変速装置20のトラニオン軸を回動させるモータ25が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
【0042】
<第1実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝>
図7に示すように、モードセレクトレバー用のガイド溝40は、前後方向に長軸を有する矩形状に形成され、矩形状の前部と後部は半円形状に切欠かれている。また、平面視における高速姿勢S1とドライブ姿勢S2の前後方向の間隔(請求項の「第3間隔」)L1と、ドライブ姿勢S2と標準姿勢S3の前後方向の間隔(請求項の「第1間隔」)L2と、標準姿勢S3と倒伏姿勢S4の前後方向の間隔(請求項の「第2間隔」)L3は同一間隔に形成されている。これにより、モードセレクトレバー17を倒伏姿勢S4から標準姿勢S3に、標準姿勢S3からドライブ姿勢S2に、ドライブ姿勢S2から高速姿勢S1等にモードセレクトレバー17を効率良く移動することができる。
【0043】
<第2実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝>
図8に示すように、第1実施形態のガイド溝40と異なり、ドライブ姿勢S2と標準姿勢S3の前後方向の間隔L2を、高速姿勢S1とドライブ姿勢S2の前後方向の間隔L1や標準姿勢S3と倒伏姿勢S4の前後方向の間隔L3よりも長く形成している。これにより、作業者が路上モードM1から作業モードM2に、作業モードM2から路上モードM1にモードセレクトレバー17の移動を認識することができ安全性を高めることができる。
【0044】
<第3実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝>
図9に示すように、第1実施形態のガイド溝40と異なり、ガイド溝40の右部におけるドライブ姿勢S2と標準姿勢S3の前後方向の間隔L2の中心部に左方向に延出する矩形状のガード41が形成されている。これにより、作業者が路上モードM1から作業モードM2等にモードセレクトレバー17の移動を認識することができ安全性を高めることができる。なお、上述したガード41に替えて、ガイド溝40の左部におけるドライブ姿勢S2と標準姿勢S3の前後方向の間隔L2の中心部に右方向に延出する矩形状のガード41を形成することもできる。
【0045】
<第4実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝>
図10に示すように、第3実施形態のガイド溝40と異なり、ガイド溝40の右部における高速姿勢S1とドライブ姿勢S2の間と、ドライブ姿勢S2と標準姿勢S3の間、標準姿勢S3と倒伏姿勢S4の間に左方向に延出する前後方向に長い矩形状のガード42が形成されている。これにより、作業者が高速姿勢S1からドライブ姿勢S2に、ドライブ姿勢S2から標準姿勢S3に、標準姿勢S3と倒伏姿勢S4等の移動をより認識することができ、誤操作を防止して安全性をより高めることができる。なお、上述したガード42に替えて、ガイド溝40の左部における高速姿勢S1とドライブ姿勢S2の間と、ドライブ姿勢S2と標準姿勢S3の間、標準姿勢S3と倒伏姿勢S4の間に右方向に延出する前後方向に長い矩形状のガード42を形成することもできる。
【0046】
<第5実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝>
図11に示すように、第1実施形態のガイド溝40と異なり、ガイド溝40における高速姿勢S1とドライブ姿勢S2の間の前側部40Aと、標準姿勢S3と倒伏姿勢S4の間の後側部Cを前後方向に延在して形成され、前側部40Aの後部と後側部40Cの前部の間の中間部40Bを後方左側に延在して形成されている。これにより、作業者が路上モードM1から作業モードM2に、作業モードM2から路上モードM1にモードセレクトレバー17の移動を認識することができ安全性を高めることができる。なお、上述した中間部40Bに替えて、中間部40Bを後方右側に延在して形成することもできる。
【0047】
<第6実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝>
図12に示すように、第5実施形態のガイド溝40と異なり、ガイド溝40におけるドライブ姿勢S2の後部に半円形状の切欠き部43が形成されている。これにより、作業者が路上モードM1から作業モードM2に、作業モードM2から路上モードM1にモードセレクトレバー17の移動をより認識することができ、誤操作を防止して安全性をより高めることができる。
【0048】
<第7実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝>
図13に示すように、第5実施形態のガイド溝40と異なり、前側部40Aの後部と後側部40Cの前部の間を、前側部40Aの後部から左側に向かって延在するクランク部44と、クランク部44の左部から後方に延在する直線部45で形成されている。これにより、作業者が路上モードM1から作業モードM2に、作業モードM2から路上モードM1にモードセレクトレバー17の移動をより認識することができ、誤操作を防止して安全性をより高めることができる。なお、上述したクランク部44に替えて、クランク部44を前側部40Aの後部から右側に延在して形成することもできる。
【0049】
<第8実施形態のモードセレクトレバー用のガイド溝>
図14に示すように、第7実施形態のガイド溝40と異なり、前側部40Aの後部と後側部40Cの前部の間を、前側部40Aの後部から左側に向かって延在するクランク部44で形成し、クランク部44の右部端にドライブ姿勢S2を位置させ、クランク部44の左部端に標準姿勢S3を位置させることができる。これにより、作業者が路上モードM1から作業モードM2に、作業モードM2から路上モードM1にモードセレクトレバー17の移動をより速やかに行うことができる。なお、上述したクランク部44に替えて、クランク部44を前側部40Aの後部から右側に延在して形成することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 機体フレーム
2 走行装置
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
15 サイドパネル
17 モードセレクトレバー(切替えレバー)
20 無段変速装置
21 トランスミッション
22 刈取クラッチ
24 脱穀クラッチ
40 ガイド溝
41 ガード
E エンジン
L1 間隔(第3間隔)
L2 間隔(第1間隔)
L3 間隔(第2間隔)
M1 路上モード
M2 作業モード
S1 高速姿勢
S2 ドライブ姿勢
S3 標準姿勢
S4 倒伏姿勢