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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】中栓
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A45D34/04 515C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019189775
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021053327
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】398001997
【氏名又は名称】有限会社ジャストインターナショナル
(73)【特許権者】
【識別番号】315009910
【氏名又は名称】市川 めぐみ
(73)【特許権者】
【識別番号】593100721
【氏名又は名称】東京恒和インターナショナル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢部 功
(72)【発明者】
【氏名】市川 めぐみ
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-351208(JP,A)
【文献】特開2007-021052(JP,A)
【文献】実開平03-103014(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第03016274(FR,A1)
【文献】特開2003-170979(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0102329(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0006231(KR,U)
【文献】特開2003-265229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状化粧料を貯留する容器体と、
容器体に嵌めこまれる扱き体と、扱き体を貫通する塗布体と、からなる液状化粧料塗布具に於いて、
前記扱き体は、中栓の絞り部の外壁面に断面略V字形状の亀裂発生溝が等角に複数形成されおり、亀裂発生溝の谷底部と絞り部の内壁面との肉厚tは、絞り部の肉厚Tと比較し 、極薄に形成されるとともに、前記扱き体は、前記中栓の絞り部の内壁面に、亀裂発生溝 の下端面から高さh1に第1凸部と、高さh2に第2凸部と、高さh3に第3凸部とが、 それぞれ形成されていることを特徴とする中栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスカラ等の液体化粧料塗布具に取り付けられる扱き体である中栓に関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラ等の液体化粧料を貯留する化粧料容器には、塗布ブラシに付着した余分な液状化粧料を適切な使用量に調節するために、扱き機能を有する扱き体である中栓が取り付けられている。従来の中栓について特許文献1及び特許文献2を用いて説明する。尚、扱き片の符号及び符号の説明は、特許文献に記載された明細書のまま使用しています。
【0003】
例えば、特許文献1に示す扱き体である中栓がある。
このゴム製の扱き栓3は、図2及び図5に示すように、下方に向かって8等分に分割された扱き片5が絞り形状に形成されている。この扱き片5の内周面7は、山形部8と、この山形部8との間に凹部8´が形成されている。この凹部8´には直線状に切込線6が等分に設けられている。この切込線6は、扱き片5の先端から図4に示すように放射状に設けられている。
【0004】
そして使用する際は、化粧品用塗布容器1内から塗布櫛10を引き抜く。この引き抜かれた塗布櫛10は、顎部11が扱き片5の先端の凹部8´に誘導された後に、顎部11が切込線6に挟まりながら引き抜かれる。このようにして櫛目11’に付着した余分な液状化粧料を適切な量に扱き落として塗布櫛10の液状化粧料を調節している。
【0005】
また、特許文献2の本発明のしごき部材4は、熱可塑性樹脂を素材として下方が漏斗状部4bを有する中栓である。この漏斗状部4bの下端に山と谷とからなる波形のベンド部4cを形成したものである。そして使用する際は、容器本体2内から塗布具1を外して軸部1bを引き抜くと、ベンド部4cの波形によって軸部1bの先端の塗布部1cに付着した化粧料を扱き落とすことができるものである。
【0006】
上記した特許文献1の化粧品用塗布容器1は、素材がゴム製のため弾力性に富み、また切込線6により好適な扱き機能を有している。しかしながら扱き栓3がゴム製のため液状化粧料に含まれる油分や揮発性の溶剤などがゴムの分子間に入り込んで膨潤する。この膨潤現象によりゴムの弾力性が劣化して、扱き部材3による余分な液状化粧料の除去が不十分になるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された本発明のしごき部材4は、ポリエチレン(PE)系の熱可塑性樹脂を素材としているため、特許文献1に記載の膨潤現象のような樹脂の劣化は起こらない。また、塗布具付き化粧品は、利用者の要望により、塗布ブラシの最大径がφ5 mm、φ6mm、φ7mmなど様々なサイズの塗布ブラシが販売されている。この様な塗布ブラシの最大径に対して、特許文献1及び特許文献2のしごき部材4は、一つの中栓サイズでは対応できないと思われる。例えば径大の塗布ブラシを使用した場合、塗布ブラシは、漏斗状部4bに密着して容器本体2の空間に滞留する空気が抜けなくなる。この結果、塗布具1を使用する際、容器本体2から引き抜くと、圧縮された空気が抜けるポンピング現象により、液体化粧料が飛散して手や顔、服などが汚れてしまうなどの問題があった。また、上記した問題点を解消するためには、塗布ブラシの最大径がφ5mm、φ6mm 、φ7mmに対応した各サイズの中栓をそれぞ れ製作しなければない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実公平6-1052号公報
【文献】特許第5513155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の問題点に鑑み、本発明の扱き体は、ゴム製と同等の柔軟性を有し、且つ、 布ブラシの最大径は、通常φ5mm、φ6mm、φ7mmのサイズが一般的に使用されて いるが、この塗布ブラシの最大径がいずれのサイズであっても一つのサイズの中栓で対応でき、ポンピング現象の解消と、扱き体のコストアップに繋がらない中栓提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
液状化粧料を貯留する容器体と、
容器体に嵌めこまれる扱き体と、扱き体を貫通する塗布体と、からなる液状化粧料塗布具に於いて、
前記扱き体は、中栓の絞り部の外壁面に断面略V字形状の亀裂発生溝が等角に複数形成されおり、亀裂発生溝の谷底部と絞り部の内壁面との肉厚tは、絞り部の肉厚Tと比較し 、極薄に形成されるとともに、前記扱き体は、前記中栓の絞り部の内壁面に、亀裂発生溝 の下端面から高さh1に第1凸部と、高さh2に第2凸部と、高さh3に第3凸部とが、 それぞれ形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の中栓によれば、扱き体は、中栓本体の絞り部の外壁面に亀裂発生溝が等角に複数本形成され、一般的に使用されている塗布ブラシの最大径がφ5mm、φ6mm、φ7 mmの各サイズに必要な長さの亀裂を発生させることができるので、従来のようなポンピング現象が生じず、液体化粧料の飛散を防止する効果がある。また、塗布ブラシの最大径 がφ5mm、φ6mm、φ7mmの各サイズの中栓を製作する必要がないのでコストダウ ンに繋がる効果がある。
【0012】
また、本発明の中栓によれば、
扱き体は、中栓の絞り部の内壁面に、塗布ブラシの最大径がφ5mm用に対応する第1 凸部と、φ6mm用に対応する第2凸部と、φ7mm用に対応する第3凸部とが一体成により、周設されているので、それぞれの塗布ブラシを挿入することによって発生する亀裂の進行を前記各凸部で喰い止めることができ、亀裂の長さを必要量に留めることが可能になった。その結果、中栓本体の耐久性が向上るなどの効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る液状化粧料塗布具のキャップ及び中栓を外した状態の斜視図である。
図2】同液状化粧料塗布具の中央縦断面図である。
図3】(a)同中栓の上方側から見た斜視図である。(b)同中栓の下方側から見た斜視図である。
図4】同亀裂発生溝の谷底部に沿って一部破断した斜視図である。
図5(a)同中栓の一部破断した部分斜視図である。(b)図5(a)のイ矢視 の部分断面斜視図である。
図6同中栓の実施形態の寸法を示す半縦断面である。
図7図6に於ける中栓の亀裂発生溝の部分拡大図である。
図8同塗布ブラシを中栓の開口部に挿入した状態を示す一部破断した部分斜視図 である。
図9同塗布ブラシの挿入により、中栓の内壁面の薄肉部に亀裂が生じた状態を示 す一部破断した部分斜視図である。
図10同中栓に於ける塗布体の軸部の状態を示す一部破断した部分斜視図である
図11同中栓から塗布ブラシを引き抜く状態の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図1図1に基づいて説明する。尚、各図に於いて同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0015】
図1又は、図2のいずれかに示すように、液状化粧料塗布具1は、容器体2と扱き体3と塗布体4とから概ね構成されている。
【0016】
容器体2は、容器本体21の上方にネジ形状を形成した頸部22が一体に形成されている。この頸部22の上端から開口部23が形成され容器体2を形成している。この開口部23には扱き体3である中栓30が嵌めこまれている。さらに中栓30の開口部30aには塗布体4である軸部42の先端に備えられた塗布ブラシ43が挿入され、容器本体21に貯留された液状化粧料Lに浸される。この軸部42の径は、殆どのメーカーで4φに統 一されている。また、塗布ブラシ43の最大径は、一般的に径がφ5mm、φ6mm、φ 7mmの径サイズが市場の多数を占めている。
【0017】
また塗布体4は、軸部42の上方に、キャップ41が接着又は、一体成形などにより備えられている。そしてキャップ41の内壁面に形成されたネジ形状と、容器本体21の頸部22に形成されたネジ形状とが螺着して、キャップ41と容器本体21とが締結する構造となっている。
【0018】
次に、本発明に係る液状化粧料塗布具の扱き体3である中栓30について図3(a)、(b)及びに基づいて詳細に説明する。
図3(a)、(b)及び図4のいずれかに示すように、扱き体3である中栓30は、下方が窄まった全体的に盃のような漏斗形状を有している。また中栓30の上方には径大の鍔部31が形成されている。この鍔部31は、図2に示す頸部22の外径と略同径で開口部23内への中栓30の落下を防止している。
【0019】
また鍔部31は、その上面に凸設した断面半円形状の凸部31aが環状に形成されている。この凸部31aは、図2に示す容器本体21に締結されるキャップ41との間に介設し、密封機能を有している。例えば液状化粧料塗布具1が落下やハンドバックなど収容体の中で逆さになった状態でも容器本体21から液状化粧料Lが洩れることを防ぐ役割を果たしている。
【0020】
上記した中栓30は、鍔部31の下方には胴部32が形成されている。この胴部32 周囲には凸部32aが断面半円形状に形成されている。同様に胴部32の上下方向には 90°間隔で、4本の凸部32bが等角に形成されている。この凸部32a及び凸部32 が、図1に示す容器本体21の頸部21内に形成された開口に嵌め込まれ、容器本体21からの抜け留めの役割を果たしている。また中栓30は、胴部32の下方に行くに従って径小に窄んだ絞り部33が形成されている。さらに中栓30には上下に貫通する開口部30aが形成されている。この絞り部33の外壁面33aの裏面が内壁面37を成している。
【0021】
また図4及び図5(a)のいずれかに示すように、中栓30の絞り部33の外壁面33aには、亀裂発生溝35が断面略V字形状に複数形成されている。本実施形態の場合、45°の等角で8本の亀裂発生溝35が溝設されている。また絞り部33の亀裂発生溝35と隣接する亀裂発生溝35との間には、亀裂発生溝35と同数の補強リブ34が形成さ れている。この補強リブ34の弾性によって、塗布ブラシ43を絞り部33に挿入して、 亀裂発生溝35に亀裂が発生しても、絞り部33とともに復元する機能を有する。さらに 、内壁面37には下方側から、それぞれ凸部39aと、凸部39bと、凸部39cとから なる凸部39が一体に周設されている。また、図5(b)に示すように、この凸部39の 肉厚t1は、本実施例の場合、0,05mmに設定されている。
【0022】
尚、亀裂発生溝35の本数は、等角であれば特に8本に限定することなく、中栓30のサイズや肉厚及び図1に示す塗布ブラシ43の毛先の材質や長さ及び列数などにより適宜な本数を設定することが望ましい。
【0023】
次に図及び図を用いて、本発明に係る中栓30の亀裂発生溝35について詳細に説明する。中栓30のサイズは、現在、市販されている中栓のサイズとほぼ同一である。
に示すように中栓30の各部の寸法は、開口部30aに塗布ブラシ43(図1参照 )が挿入される内径Dがφ7mm6mmであり、絞り部33の内径D2が3,4φである。また補強リブ34を除く絞り部33の外径D2が4,0φである。さらに、鍔部31の下面から下端面35Aまでの高さHが9,5mmである。この高さHが図2に示すように 、容器本体21の開口部23に嵌入される。
【0024】
上記した中栓30の場合、亀裂発生溝35の寸法は、図に示すように、亀裂発生溝35の高さhが,5mmである。また、亀裂発生溝35の下端面3 5Aから高さh1が2 ,5mmに設定されている。同様に、下端面35Aから高さh2が3,2mmで、高さh 3が4,0mmに設定されている。そして、内壁面37の高さh1に第1凸部39aと、 高さh2に第2凸部39bと、高さh3に第3凸部39cとが、それぞれ形成されている。
【0025】
また、高さh1の内径は、塗布ブラシ43(図1参照)の最大径がφ5mm用の場合、内 径d1が4,494mmに設定され、同様にφ6mm用の内径d2が5,281mmに設 定され、さらにφ7mm用の内径d3がが6,181mmに設定されている。その結果、 3本の凸部39は、それぞれのブラシの最大径φ5mmと、φ6mmと、φ7mmとに適 合した凸部39で、亀裂の拡大進行を防いでいる。尚、この数値は、CAD(Compu ter Aided Design)の設計図面から得られた数値である。
【0026】
また図に示すように中栓30は絞り部33の肉厚Tが0,40mmに形成されている とともに亀裂発生溝35は、V字溝の谷底部36が薄肉となっている。この谷底部36の 薄肉部は、亀裂発生溝35の下端面35Aから天井面35Bに渡って、肉厚tが0,02 mmに形成されている。
【0027】
尚、本実施例の場合、肉厚Tが0,40mmで、肉厚tが0,02mmに形成されている が、この肉厚T及び肉厚tの寸法設定までに本出願人は、数百個に及ぶ試作品の実験によ って、得られたものである。また板厚T及び肉厚tの寸法は、中栓30の材質及び使用される塗布ブラシ43(図1参照)の毛先の材質や長さ及び亀裂発生溝35の本数などにより、適宜な厚T及び肉厚tを設定することが望ましい。
【0028】
上記のように構成された扱き体3である中栓30の亀裂発生過程について、図1と図又は、図~図11のいずれかを用いて説明をする。尚、本項では、最大径φ5mmの 塗布ブラシ43を用いて詳細に説明する
まず図1又は、図2示す容器本体21に取付けられた中栓30の開口部30a内に、塗布体4塗布ブラシ43を挿入すると、図に示すように中栓30の開口部30a内に、挿入された塗布ブラシ43のブラシ先端部43aは、絞り部33の内壁面37に沿って下方に挿入されていく。この状態では亀裂発生溝35の下端面35Aから第1凸部39a 間の谷底部36の裏面側である内壁面37に亀裂は、まだ発生していない。
【0029】
次に図に示すように、中栓30の開口部30a内に、軸部42をさらに挿入すると、絞り部33の絞り形状及び補強リブ34による抗力によって、柔軟性を有する塗布ブラシ43が窄まりながら変形して瓢箪のような形状になる。そして最大φ5mmの塗布ブ ラシ43が、これ以上、窄まらないブラシ径の状態で絞り部33がF方向に拡が下端 部33bから第1凸部39aまで肉厚tが、0,02mmと薄肉のため亀裂38が容易に 発生する。しかし最大径φ5mmの塗布ブラシ43では肉厚t1が0,05mmと厚肉と なっているため、第1凸部39aの上方に向かって、亀裂38が拡がることはない。同様 に、最大径φ6mmの塗布ブラシ43では第2凸部39bから上方に向かっ て、亀裂38 が拡がらない。そして最大径φ7mmの塗布ブラシ43でも第3凸部39cから上方に向 かって、亀裂38が拡がることはない。
【0030】
上記した亀裂発生溝35に発生した亀裂38は、下端部33bから谷底部36に沿って、上方に向かって進行していく。この亀裂38は、塗布ブラシ43が絞り部33の内壁面37を通過するまで進行する。この際、塗布ブラシ43が絞り部33の8箇所の下端部3 3bが、絞り部33の復元力に抗して環状に拡がる。そして塗布ブラシ43は、絞り部33を通過した後に、図2に示す容器本体21内の液状化粧料Lに達する。このように液状化粧料Lは、軸部42及び塗布ブラシ43に付着する。
【0031】
次に10を用いて、上記した軸部42に付着した余分な液状化粧料L(図2参照)の扱き作用を説明する。
10に示すように中栓30の開口部30aから下方に挿入された塗布ブラシ43の軸部42が絞り部33に達すると、亀裂38の下端部33bは、絞り部33の復元力Gで元の形状に戻る。また、絞り部33の下端部33bの内径D2(図6参照)は、3,8φで 軸部42の外径4φより、径小に形成されている。従って、絞り部33の下端部33bが 軸部42の周囲に密着することになる。
【0032】
上記ように絞り部33の下端部33bが軸部42の周囲に密着した状態で、この軸部42を上方に引き上げると、絞り部33の下端部33bによって、軸部42の周囲に付着した液状化粧料Lがき取られる。尚、亀裂38は、塗布ブラシ43の挿入によって、発生したもので成形工程により、形成したもの比較すると、破断面が複雑な凸凹形状を有して噛み合った状態になっている。
【0033】
次に、中栓30による塗布ブラシ43の扱き作用について図1を用いて説明する。
図1に示すように塗布ブラシ43を図10の状態から、さらに上方に引き抜くと、図11に示すような状態になり、中栓30の亀裂38を通過前の塗布ブラシ43には多量の 液状化粧料Lが付着している。次に、亀裂38を通過後の塗布ブラシ43には亀裂38に よって液状化粧料Lが扱かれ、余分な液状化粧料Lは、容器本体21内に滴下して貯留さ れる。
【0034】
また、亀裂発生溝35に発生した亀裂38は、塗布ブラシ43の抜き差しを繰り返すと、 必要な長さより長めに進行する。このことにより、塗布ブラシ43と亀裂38との間に隙 間が生じる。この隙間から容器本体21内の空気が抜けるので、容器本体21内が真空に ならず、塗布ブラシ43によるポンピング現象が生じない。従って、液体化粧料Lの飛散 を防止でき、快適で美しい化粧が可能となる。
【0035】
更に、一つのサイズの中栓30で塗布ブラシ43の最大径がφ5mmとφ6mm及びφ7 mmまで、対応可能にするためそれぞれ、第1凸部39aと第2凸部39b及び第3凸部 39cが形成されている。また、φ7mm以上のブラシ の最大径に対応するには、第3凸 部39cの肉厚t1を0,05mm以上の肉厚にすることにより対応可能となると思われ る。
【0036】
上記した扱き体3である中栓30は、熱可塑性樹脂である低密度ポリエチレン樹脂を素材とし、射出成型で一体成形されたものである。この低密度ポリエチレン樹脂は、軟質樹 脂で大変流動性も良く極薄肉10μでも流動します。軟質樹脂で適度の柔軟性があり薄肉 部は引っ張れば切れる性質が有りますので、谷底部36の肉厚t(図7参照)部空間に充 填させた成形が可能で、塗布ブラシ43の挿入時に谷底部36部分に亀裂を発生させるこ とが出来ます。上記した低密度ポリエチレン樹脂は、一般的に中栓に使用されているものである。
【符号の説明】
【0037】
1 液状化粧料塗布具
2 容器体
21 容器本体
22 頸部
23 開口部
3 扱き体
30 中栓
30a 開口部
31 鍔部
31a 凸部
32 胴部
32a 凸部
32b 凸部
33 絞り部
33a 外壁面
33b 下端部
34 補強リブ
35 亀裂発生溝
35A 下端面
35B 天井面
36 谷底部
37 内壁面
38 亀裂
39 凸部
39a 第1凸部
39b 第2凸部
39c 第3凸部
4 塗布体
41 キャップ
42 軸部
43 塗布ブラシ
43a ブラシ先端部
G 復元力
L 液状化粧料
D1 内径
D2 内径
D3 外径
d1 内径
d2 内径
d3 内径
h 高さ
h1 高さ
h2 高さ
h3 高さ

t 肉厚
t1 肉厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11