(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】金属表面上のエッチレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C23F 1/00 20060101AFI20230601BHJP
H05K 3/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
C23F1/00 102
H05K3/06 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021121139
(22)【出願日】2021-07-23
(62)【分割の表示】P 2018507595の分割
【原出願日】2016-07-27
【審査請求日】2021-08-23
(32)【優先日】2015-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】シュパイスマン、ナバ
(72)【発明者】
【氏名】フレンケル、モシェ
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-079479(JP,A)
【文献】特開2005-033049(JP,A)
【文献】特開2011-171323(JP,A)
【文献】国際公開第2005/069705(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C
C23F
H05K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属パターンを形成する方法であって、前記方法は、
無機活性化剤を含む水溶液を金属表面に塗布して、前記基板の前記金属表面を活性化するステップと、 溶媒を用いて、活性化された前記金属表面から化学的に前記表面を活性化する前記水溶液を除去するステップと、
前記金属表面を化学的に活性化した後、前記金属表面にエッチレジストインクをインクジェット印刷するステップと、
前記エッチレジストインクの成分を前記金属表面のイオンと反応させて、エッチレジストマスクを生成するステップと、
エッチングプロセスを実施し、金属層の前記エッチレジストマスクで覆われていない部分を除去するステップと、
前記エッチレジストマスクを除去して前記金属パターンを形成するステップと、を含む方法
であって、前記エッチングプロセスを実施して形成された前記金属パターンは、複数の金属線を含み、前記複数の金属線のそれぞれは50μm未満の幅を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記エッチレジストマスクは、50μm未満の幅を有するラインを含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記エッチングプロセスを実施して形成された前記金属パターンは、30μm未満の幅を有する金属線を含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記金属層の前記活性化された表面と反応する前記エッチレジストインクの前記成分は、アクリレート、ホスフェート、スルホネート、またはそれらの任意の組み合わせを含むポリマー成分である方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記無機活性化剤は、銅塩、第二鉄塩、クロム硫酸、過硫酸塩、亜塩素酸ナトリウム、および過酸化水素からなる群から選択される1つ以上の材料を含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記水溶液を塗布するステップは、前記水溶液の槽に前記金属表面を約10-60秒間浸漬するステップ、または前記水溶液を前記金属表面に噴霧するステップ、を含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記エッチレジストインクは、さらに染料を含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記金属表面は銅を含み、前記金属表面の前記イオンは銅カチオンを含む方法。
【請求項9】
基板上に金属パターンを形成する方法であって、前記方法は、
無機系活性剤を含む水溶液を金属表面に塗布して、前記基板の前記金属表面を活性化するステップと、
溶媒を用いて、活性化された前記金属表面から化学的に前記表面を活性化する前記水溶液を除去するステップと、
前記金属表面を化学的に活性化した後、ポリマー成分を含むインクを前記金属面にインクジェット印刷するステップと、
前記インクの成分を前記金属表面のイオンと反応させてレジストを生成するステップと、
エッチングプロセスを実施し、金属層の前記レジストに覆われていない部分を除去するステップと、
前記レジストを除去して前記金属パターンを形成するステップと、を含む方法
であって、前記エッチングプロセスを実施して形成された前記金属パターンは、複数の金属線を含み、前記複数の金属線のそれぞれは50μm未満の幅を有する方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法であって、前記ポリマー成分は、アクリレート、ホスフェート、スルホネート、またはそれらの任意の組み合わせを含む方法。
【請求項11】
請求項
9に記載の方法であって、前記無機活性化剤は、銅塩、第二鉄塩、クロム硫酸、過硫酸塩、亜塩素酸ナトリウム、および過酸化水素からなる群から選択される1つ以上の材料を含む方法。
【請求項12】
請求項
9に記載の方法であって、前記インクは、さらに染料を含む方法。
【請求項13】
請求項
9に記載の方法であって、前記インクの前記成分は前記金属表面の銅イオンと反応する方法。
【請求項14】
基板上に金属パターンを形成する方法であって、前記方法は、
銅塩、第二鉄塩、クロム硫酸、過硫酸塩、亜塩素酸ナトリウム、および過酸化水素からなる群から選択される無機活性化剤を含む水溶液を金属表面に塗布して、前記基板の前記金属表面を活性化するステップと、
溶媒を用いて、活性化された前記金属表面から化学的に前記表面を活性化する前記水溶液を除去するステップと、
前記金属表面を化学的に活性化した後、アクリレート、ホスフェート、スルホネート、またはこれらの組み合わせを含むインクを前記金属表面にインクジェット印刷するステップと、
前記インクの成分を前記金属表面の銅イオンと反応させてレジストを生成するステップと、
エッチングプロセスを実施し、金属層の前記レジストで覆われていない部分を除去するステップと、
前記レジストを除去して前記金属パターンを形成するステップと、を含む方法
であって、前記エッチングプロセスを実施して形成された前記金属パターンは、複数の金属線を含み、前記複数の金属線のそれぞれは50μm未満の幅を有する方法。
【請求項15】
請求項
14に記載の方法であって、前記エッチングプロセスを実施して形成された前記金属パターンは、30μm未満の幅を有する金属線を含む方法。
【請求項16】
請求項
14に記載の方法であって、前記インクは、さらに染料を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェット印刷などのノンインパクト配向(非衝撃式の方向付け)を使用したエッチングレジストマスクの適用によるプリント回路基板の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(PCB)は、ほとんどの電子製品で広く使用されている。PCBの製造は、ポイント・ツー・ポイント構成などの他の配線方法を使用する場合よりも、より安価で、迅速で、正確であると考えられている。それでも、高品質を維持するとともに、コスト効率の良い小さいバッチ、スループットの高いより大きいバッチ、オンデマンド基板、より高密度の配線を有する基板、より細い線を有する基板その他の製造を含む特定の要件に応じたPCBの生産を可能とする、より簡単でコスト効率の高い製造プロセスの探索が続けられている。
【0003】
PCBの製造プロセスにおける銅線パターニングは、通常、絶縁材料基板に積層された銅層上にエッチレジストフォトマスクを適用し、露出した銅部分をエッチングプロセスによって除去し、所望の銅線のみを導電経路として残す(イメージパターニングともいう)ことによって行われる。エッチレジストパターンは、例えば銅層上にノンインパクト印刷(例えば、インクジェット印刷)によって、アディティブ法によって適用することもできる。従来のインクジェット材料は比較的低粘度であり、従ってインク液滴が銅表面のような非吸収性表面に当たると、通常は、制御されていない液滴の拡散とともに、クラスタリング、インク合体および広範なドットゲイン等の他の現象が発生する。従って、インクジェット印刷技術によって形成された印刷パターンは、細部が不足し、線幅が不均一であり、ラインエッジ平滑性が不十分であり、隣接する導電線間の短絡およびパターン線の断線の発生など銅線の品質低下が生ずる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、基板上に金属パターンを形成する方法を含む。前記方法は、金属表面を化学的に活性化させる活性化剤を有する化学的表面活性化溶液を前記基板に結合された前記金属表面上に適用するステップと、活性化された前記金属表面上にエッチレジストインクをノンインパクト印刷して、所定のパターンに従ってエッチレジストマスクを生成するステップであって、前記エッチレジストインク中の少なくとも1つのインク成分が、活性化された前記金属表面と化学反応を起こして前記エッチレジストインクの液滴を固定化する、該ステップと、前記エッチレジストマスクで覆われていない非マスクの金属部分を除去するエッチングプロセスを行うステップと、前記エッチレジストマスクを除去するステップとを含むことを特徴とし得る。
【0005】
一部の実施形態では、本発明の実施形態に従って形成される前記金属パターンは、50μm未満の幅を有する金属線を含む。一部の実施形態では、本発明の実施形態に従って製造される前記エッチレジストマスクは、50μm未満の幅を有する線を含む。一部の実施形態では、本発明の実施形態に従って形成される前記金属パターンは、30μm未満の幅を有する金属線を含む。一部の実施形態では、本発明の実施形態に従って製造される前記エッチレジストマスクは、30μm未満の幅を有する線を含む。
【0006】
一部の実施形態では、前記方法は、印刷する前に、溶媒を用いて前記金属表面から前記化学的表面活性化溶液を除去するステップをさらに含む。一部の実施形態では、前記化学反応を起こす前記インク成分はアニオン陰イオン成分である。一部の実施形態では、活性化された前記金属表面との化学反応を起こす前記インク成分は、アクリレート、ホスフェート、スルホネートまたはそれらの混合物から選択されるポリマー成分である。一部の実施形態では、前記活性化剤は、銅塩、第二鉄塩、クロム硫酸、過硫酸塩、亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素の少なくとも1つまたはそれらの混合物を含む。
【0007】
一部の実施形態では、前記適用するステップは、約10~60秒間、前記化学的表面活性化溶液を含む槽に前記金属表面を浸漬するステップを含む。一部の実施形態では、前記適用するステップは、前記化学的表面活性化溶液を前記金属表面の上にスプレーするステップを含む。一部の実施形態では、前記ノンインパクト印刷が、インクジェット印刷を含む。
【0008】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され明確に主張される。しかし、本発明は、構成および動作方法の両方に関して、それらの目的、特徴、および利点とともに、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【0009】
説明を簡単かつ明瞭にするために、図面に示される要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確化のために他の要素に対して大きく誇張されていることがある。更に、適切であると考えられる場合には、複数の図面で同じ参照番号を使用して、対応するまたは類似の要素を示していることがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるエッチレジストマスクの製造方法の流れ図である。
【
図2A】
図2Aは、非活性化銅の上に印刷された例示的なエッチレジストマスクの写真を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の実施形態による活性化された銅表面に印刷された例示的なエッチレジストマスクの写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、本発明が完全に理解されるようにするため、多数の特定の詳細が記載されている。しかし、当業者であれば、本発明はこれらの具体例の通りでなくても実施できることを理解するであろう。他の例では、本発明が不明確にならないように、周知の方法、手順、および構成要素については詳細に説明していない。
【0012】
本発明の実施形態は、例えばプリント回路基板(PCB)の製造中に、インクジェット印刷などのノンインパクト印刷によって金属層上にエッチレジストマスクを形成または適用する方法に関する。本発明の実施形態による金属表面上にエッチレジストマスクを適用する方法では、第1の反応性成分を含む第1の液体組成物を表面に適用してプライマー層を形成した後、プライマー層上に第2の反応性成分を含む第2の液体組成物を印刷して、所定のパターンに従ったエッチレジストマスクを生成する。金属表面の上に化学的表面活性化溶液を適用して前記金属表面を化学的に活性化した後、化学的表面活性化溶液を表面から除去/洗浄し、活性化された表面の上にエッチレジストインクを印刷(例えばインクジェット印刷)することを含む。本発明の実施形態によれば、エッチレジストインクの反応性成分は、表面に当たったときに活性化表面との化学反応を起こし、エッチレジストインクの液体組成物の液滴を固定化する。前記化学反応は、活性化された表面に当たったと
きに瞬時にインク液滴の粘度を著しく(例えば、1桁または2桁の大きさだけ)増加させ得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、エッチレジストインク(インク成分)中の反応性成分はエッチレジスト成分であってよく、他の実施形態では、反応成分はエッチレジスト成分とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態によれば、エッチレジストインクの2以上の反応性成分が、活性化された表面上の成分と化学反応を起こすことができる。
【0014】
金属層は、絶縁性の非導電性基板上に積層された銅層であり得る。説明を容易にするために、以下の説明では金属層表面である形態を参照する。但し、アルミニウム表面、ステンレス鋼表面、金の表面などの他の金属表面も同様に本発明の実施形態に適用可能であることを理解されたい。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によるエッチレジストマスクの製造方法の流れ図である
図1を参照する。本発明の実施形態によれば、ボックス110に示すように、この方法は、エッチレジストパターンが印刷される金属表面上に化学的表面活性化溶液を適用(塗布)するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、化学的表面活性化溶液は、化学的に表面を活性化することができる任意のエッチング溶液であり得るか、そのような液を含み得る。化学的に活性化された表面は、表面活性化に先立ってエッチレジストインク材料と反応しないが、表面活性化後に反応してエッチレジストインク液滴の固定化を引き起こす表面と定義することができる。表面活性化溶液としては、例えば、銅塩、第二鉄塩、クロム硫酸、過硫酸塩、亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素等を挙げることができる。いくつかの実施形態では、化学的に活性化する溶液を適用することは、化学的表面活性化溶液を含む槽に表面を浸漬することと、化学的表面活性化溶液を表面に噴霧することと、任意の他の適切な方法とを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、例えば、10秒間、20秒間、30秒間、60秒間またはそれ以上の時間、金属表面を化学的に活性化する溶液に(例えば、浸漬、噴霧などによって)曝すことを含み得る。
【0016】
ボックス115に示すように、いくつかの実施形態では、この方法は、選択に応じて、例えばアルコール溶液を用いて化学的表面活性化溶液を除去することを含み得る。例えば、この方法は、エタノールを用いて表面から化学的に表面を活性化する溶液の残りを除去することを含み得る。いくつかの実施形態では、化学的に活性化する溶液を表面から除去することは、例えばプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトンなどの他のアルコール溶液や、アルコール溶液以外の液体を用いて行うことができる。
【0017】
ボックス120に示すように、いくつかの実施形態では、この方法は、所定のパターンに従ってエッチレジストマスクを生成するために、活性化された表面上にエッチレジストインクをノンインパクト印刷(例えば、インクジェット印刷)によって印刷することを含み得る。エッチレジストインクは、活性化された表面に当たるときにエッチレジストインクの液滴を固定化するために、活性化された表面との化学反応を起こすエッチレジストポリマー成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、エッチレジスト成分とは異なる別のインク成分が、活性化表面に当たったときに活性化表面と化学反応を起こしてエッチレジストインクの液滴を固定化する。
【0018】
エッチレジストポリマー反応性成分の非限定的な例としては、アクリレート、スチレンアクリレート、ホスフェートおよびスルホネートポリマーであって、分子量(Mw)が1000~17000となるものが挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、エッチレジスト反応性ポリマー成分は、水溶性であってもよく、反応性アニオン成分を含んでいてもよい。アニオン性エッチレジスト反応性成分の非
限定的な例としては、pHが7.0より高く(塩基性の)少なくとも1つのアニオン性ポリマーを挙げることができる。アニオン性ポリマーは、溶解した塩の形態のアクリル樹脂およびスチレン-アクリル樹脂、溶解した塩の形態のスルホン樹脂(例えばナトリウム、アンモニウムまたはアミンで中和された形態)から選択されたもの等であり得る。特定の理論的メカニズムに縛られることを意図するものではないが、これらの樹脂は反応性(活性化)表面との反応を起こし得る。例えば、銅金属表面が活性化されて銅の上に銅カチオンを形成し、アクリルポリマー(エッチレジストインク中に含まれる)が表面に当たると、アニオン性アクリレートが銅イオンと反応してポリマーマトリックスを形成し、これは液滴の粘度を劇的に増加させよう。
【0020】
いくつかの実施形態では、活性化された表面に当たるときにエッチレジストインクの液滴を固定するために表面活性化成分と化学反応を起こすインク成分は、エッチレジスト成分とは異なることがある。
【0021】
ボックス130に示すように、マスクされた銅板は、金属層の露出したマスクされていない(非マスクの)部分を除去するために、金属エッチング(例えば、酸性銅エッチング)溶液によってさらにエッチングされ得る。次に、ボックス140に示すように、エッチレジストマスクを除去して、基板、すなわち絶縁基板上の配線パターンを露出させることができる。
【実施例】
【0022】
エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、例示的な液体組成物(本明細書に記載のエッチレジストインク組成物)を、18μmの銅厚さを有するFR4銅クラッド基板上に印刷した。いくつかの試験では、銅表面を活性化するために化学的に表面活性化する溶液を適用することによって銅をまず化学的に活性化した。エッチレジストインクの液体組成物を、インクジェット印刷技術を使用して、活性化または不活性化状態された銅表面のいずれかの上に所定のパターンに従って選択的に印刷した。以下の説明において、%(w/w)は、組成物の重量に対する重量%で表す物質の濃度の尺度である。Amza[pernix 166](商標)によって供給されたボーメ度42の塩化鉄(II)エッチャント溶液を含むエッチャント浴を用いて、マスクされていない露出領域から銅をエッチング除去した。エッチングは、Walter Lemmen GMBHによって供給されたSpray Developer S31(商標)中、35℃の温度で3分間行った。エッチレジストマスクを、25℃の温度で1%(w/w)NaOH水溶液に浸漬し、続いてFR4銅基板を水で洗浄し、25℃で空気乾燥させることにより除去した。
【0023】
実施例1-室温で液体組成物の形態であるエッチレジストインクを、未処理の(不活性化状態の)銅FR4板の上に印刷した。液体組成物は、10%プロピレングリコール(保湿剤として)、並びに1%(w/w)2-アミノ-2-メチルプロパノール、BYKによって供給される0.3%(w/w)のBYK348および2%(w/w)のBayscript(登録商標)BAシアンを用いて調製した。これらの物質を、アニオン性反応性成分として24%Joncryl(商標)8085スチレンアクリル樹脂溶液を含む水に溶解した。エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、エッチングレジスト組成物を18μmの厚さを有するFR4銅クラッド基板上に印刷して、エッチレジストマスクを製造した。
【0024】
エッチレジストマスクを視覚的に検査した。
図2Aに示されているように、印刷されたパターンは非常に悪い印刷品質を示し、ライン定義精度とライン切れが非常に悪くライン間の短絡状態が非常に悪いものであった。
【0025】
実施例2-液体組成物は実施例1に詳述したように調製した。FR4銅クラッド板表面を、銅クラッドを0.5%(w/w)のCuCl2水溶液に30秒間ディッピング(例えば、浸漬)して活性化させた後、工業用エタノールで銅ボードを洗浄した。
【0026】
エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、
処理した銅板の上に液体組成物を印刷し、80℃で乾燥させて不溶性エッチレジストマスクを製造した。エッチレジストパターンは、
図2Bに示されているように、鋭いエッジを有し、ライン切れがなく、50μmまでの細い線幅を有し、明確に画定された薄いラインを有する高い印刷品質を示していた。露出した銅のエッチングおよびエッチレジストマスクの除去を、実施例1に詳述したように行った。板上の配線パターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れがなく、50μmまでの細い線幅を有し、明確に画定された細いラインを示していた。
【0027】
実施例3-液体組成物は実施例1に詳述したように調製した。銅表面を、20%(w/w)FeCl3水溶液を含有する槽に10秒間浸漬することによって活性化させた後、工業用エタノールで銅板を洗浄した。
【0028】
実施例2と同様に、液体組成物をコーティングされた銅基板上にインクジェット印刷し、80℃で乾燥させて、不溶性エッチレジストマスクを生成した。エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れがなく、50μmまでの細い線幅を有し、明確に画定された細いラインを示していた。露出した銅のエッチングとエッチレジストマスクの除去は実施例1に詳述したように行った。板上の配線パターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れがなく、30μmまでの細い線幅を有し、明確に画定された細いラインを示していた。
【0029】
実施例4-液体組成物は実施例1に詳述したように調製した。FR4銅クラッド板表面を、銅クラッドを1%(w/w)のNa2S2O8水溶液に30秒間浸漬して活性化させた後、工業用エタノールで銅ボードを洗浄した。
【0030】
エプソン製stylus(登録商標)4900インクジェットプリンタを使用して、
処理した銅板の上に液体組成物を印刷し、80℃で乾燥させて不溶性エッチレジストマスクを製造した。エッチレジストパターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れがなく、50μmまでの細い線幅を有し、明確に画定された薄いラインを有する高い印刷品質を示していた。露出した銅のエッチングおよびエッチレジストマスクの除去を、実施例1に詳述したように行った。板上の配線パターンは、鋭いエッジを有し、ライン切れがなく、30μmまでの細い線幅を有し、明確に画定された細いラインを示していた。
【0031】
本発明の実施形態で使用される化学的表面活性化成分のいくつかの非限定的な例、および本発明のいくつかの実施形態による表面活性化溶液中のそれらの相対重量濃度並びに提示された浸漬時間を、以下の表1に列挙する。
【0032】
【0033】
エッチレジストインクのいくつかの非限定的な例を表2に列挙する。
【0034】
【0035】
本発明の特定の特徴を本明細書および図面において説明されてきたが、当業者であれば多くの改変態様、要素の置換および変更、および均等物を容易に想到されよう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神の範囲に含まれる、あらゆるそのような修正および変更を含むことが意図されていることを理解されたい。