(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】芯鞘複合モノフィラメント
(51)【国際特許分類】
D01F 8/12 20060101AFI20230601BHJP
D01F 8/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
D01F8/12 Z
D01F8/06
(21)【出願番号】P 2018217718
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中谷 雄俊
(72)【発明者】
【氏名】金築 亮
(72)【発明者】
【氏名】西井 義尚
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178333(JP,A)
【文献】特開2015-175077(JP,A)
【文献】特開2005-015990(JP,A)
【文献】特表2007-530712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F8/00-8/18
G02B6/02-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯鞘複合モノフィラメントであって、
芯部はポリアミド樹脂により構成され、ポリアミド樹脂における90質量%以上がナイロンMXD6であり、
鞘部は、190℃、2.16kgでのメルトインデックスが0.5~30g/10分であるポリエチレン樹脂65~90質量%と、前記したポリエチレン樹脂とのメルトインデックスの差が5g/10分以内である
酸変性ポリエチレン樹脂10~35質量%とがブレンドされてなるブレンド体により構成され、
モノフィラメントの繊維横断面に占める芯部の面積比率が60~95%であることを特徴とする芯鞘複合モノフィラメント。
【請求項2】
鞘部におけるポリエチレン樹脂が、融点70℃以上の直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の芯鞘複合モノフィラメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、モノフィラメントに関するものであり、特にポリオレフィン系樹脂との接着性に優れるモノフィラメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及や映像配信等の増大に伴い、莫大な情報量を配信し、かつ高速化することが求められており、伝送媒体の中でスピード、安定性に優れている光ファイバーの需要が拡大している。そして、架空に布設されている光ケーブルからオフィスや一般家庭に光ファイバーを引き込むためには、各種の光ケーブルが使用されている。
【0003】
光ケーブルは、繊細な光ファイバーを収納するものであり、屋内外での実用に耐えられるよう工夫する必要がある。一般的には強靱さを増すために、光ファイバーとシース材、テンションメンバーとからなる構成のものとされており、外力の影響を受けにくく、伝送特性の安定した、さらに敷設作業がしやすい光ケーブルとすることが求められるものである。
【0004】
光ケーブルに用いられるテンションメンバーは、主に敷設時にかかる張力から光ファイバーを保護し、補強するためのものであり、従来、スチール、ガラス繊維が広く用いられていた。しかし、スチールを用いたテンションメンバーは電磁誘導の問題、比重が大きくファイバーが重くなるという問題があり、またガラス繊維を用いたテンションメンバーは材料の耐衝撃性、可撓性に問題があった。
【0005】
また、セラミックス繊維、炭素繊維、芳香族ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維等を用いたテンションメンバーも提案されているが、いずれも剛直であるために可撓性に乏しく、光ケーブルを作成する際の作業性に劣り、光ケーブルを傷つける場合があり、また敷設作業における取扱性にも劣るという問題がある。
【0006】
本件出願人は、ポリオレフィン系樹脂がシース材として使用されているケーブルやコード類の補強材、例えば、光ケーブル内に光ファイバーと共に設けられるテンションメンバーとして好適に使用でき、ポリオレフィン系樹脂との接着性に優れるモノフィラメントとして、特許文献1記載の芯鞘構造を有するモノフィラメントを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂がシース材として使用されているケーブルやコード類の補強材、例えば、光ケーブル内に光ファイバーと共に設けられるテンションメンバーとして好適に使用でき、ポリオレフィン系樹脂との接着性により一層優れるモノフィラメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、芯鞘複合モノフィラメントであって、
芯部はポリアミド樹脂により構成され、ポリアミド樹脂における90質量%以上がナイロンMXD6であり、
鞘部は、190℃、2.16kgでのメルトインデックスが0.5~30g/10分であるポリエチレン樹脂65~90質量%と、前記したポリエチレン樹脂とのメルトインデックスの差が5g/10分以内である酸変性ポリエチレン樹脂10~35質量%とがブレンドされてなるブレンド体により構成され、
モノフィラメントの繊維横断面に占める芯部の面積比率が60~95%であることを特徴とする芯鞘複合モノフィラメントを要旨とするものである。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明のモノフィラメントは、芯鞘複合モノフィラメントであり、芯部は、ポリアミド樹脂によって構成され、ポリアミド樹脂における90質量%以上がナイロンMXDである。芯部に配されるポリアミド樹脂において、90質量%以上をナイロンMXD6が占めることにより、機械的強力、乾熱収縮率、可撓性、溶融紡糸時の操業性等に優れるためモノフィラメントを得ることができる。10質量%を超えない範囲で、粘度調整剤、可塑剤、相溶化剤、耐候剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、充填剤、着色剤などの所望の機能を発揮するために、ナイロンMXD以外の樹脂や添加剤などを含ませてもよい。
【0012】
本発明の芯鞘複合モノフィラメントにおいて、鞘部を構成する樹脂は、190℃、2.16kgでのメルトインデックスが0.5~30g/10分であるポリエチレン樹脂65~90質量%と、前記したポリエチレン樹脂とのメルトインデックスの差が5g/10分以内である酸変性ポリエチレン樹脂10~35質量%とがブレンドされてなるブレンド体により構成される。
【0013】
ポリエチレン樹脂としては、変性されていないポリエチレンであって、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが挙げられるが、直鎖状低密度ポリエチレンを好ましく用いることができる。直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより工程通過時の擦過による損傷が少なく、また得られた繊維やこれを用いた繊維構造体が柔軟で取り扱い易くなる。
【0014】
また、ポリエチレン樹脂は、190℃、2.16kgでのメルトインデックスが0.5~30g/10分のものを用いる。メルトインデックスが0.5g/10分以下であると、粘性が高すぎてモノフィラメント紡糸時の曳糸性や、熱加工時の鞘成分の流動性が不十分となる。一方、メルトインデックスが30g/10分を超えると、粘度が低すぎるためモノフィラメント紡糸時の線径安定性が下がり、また、熱加工時に鞘成分が必要以上に広範囲に流動して広がってしまい、汚染や加工不良を引き起こすという不具合が生じる。
【0015】
鞘部は、変性されていないポリエチレン樹脂と酸変性されてなるポリエチレン樹脂とのブレンド体により構成されるが、そのブレンド比率(質量%)は、ポリエチレン樹脂:酸変成ポリエチレン樹脂=65~90:35~10である。ブレンド体においてポリエチレン樹脂の比率を多くし、65~90とすることにより、耐久性や物性面で劣る酸変性ポリエチレン樹脂の性能を非変性ポリエチレン樹脂でカバーし、モノフィラメントとしての紡糸操業性、取扱い性、機械物性に優れたものとなるという利点がある。なお、酸変性ポリエチレン樹脂のブレンド量が10質量%未満となると、酸変性ポリエチレン樹脂をブレンドする効果が発揮されず、芯部と鞘部の間の界面親和性や、鞘部と他材料との間の接着力が向上しないという不具合が生じることになる。
【0016】
変性されていないポリエチレン樹脂と酸変性ポリエチレン樹脂のメルトインデックスの差は5g/10分以内とする。メルトインデックス差を5g/10分以内とすることにより、両者をブレンドする際に、良好に均一にブレンドすることができ、線径や接着性能を安定化できる。
【0017】
酸変性ポリエチレン樹脂とは、酸または酸無水物によって共重合またはグラフト変性されているポリエチレン樹脂である。
【0018】
ポリエチレン樹脂を変性する酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸などの不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリエチレン樹脂を変性する酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ナジツク酸、無水メチルナジツク酸などの不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記酸変性ポリエチレン樹脂の中では、特に無水マレイン酸によってグラフト変性されている無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を好ましく用いる。
【0019】
また、酸変性ポリエチレン樹脂は、酸変性ポリエチレンを主体としていれば、他の成分を共重合してなるコポリマーであってもよい。
【0020】
なお、鞘部には、ポリエチレン樹脂および酸変性ポリエチレン樹脂の性能を損なわない範囲で、粘度調整剤、可塑剤、相溶化剤、耐候剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、充填剤、着色剤などの所望の機能を発揮するために、他の樹脂や添加剤を加えてもよい。
【0021】
本発明の芯鞘複合モノフィラメントは、その繊維横断面に占める芯部の面積比率が60~95%である。芯部の面積比率を60~95%とすることよって、繊維に占める芯部のナイロンMXD6の割合が多くし、モノフィラメントの機械的強力、乾熱収縮率、可撓性に優れ、モノフィラメントをテンションメンバーとして適用する際の取扱い性や加工性にも優れるものとなり、得られるケーブル類の十分な補強が可能となり、ケーブル類を屋内外で使用する際の強靭さをより増大させることができる。なお、芯部の面積比率を95%以下とすることにより、モノフィラメントをテンションメンバーとして適用するにあたり、モノフィラメントの鞘部であるポリエチレン樹脂のブレンド体と、光ケーブルにおけるシース材との接着性、接合性が良好となり、ケーブルからテンションメンバーが抜け落ちにくく良好に一体化してなる光ケーブルを得ることができる。
【0022】
芯鞘複合モノフィラメントをテンションメンバーとして使用するにあたっては、ケーブル類を良好に補強するために高強力であることが求められ、かつ熱と湿度に対する安定性も求められる。したがって、芯鞘複合モノフィラメントは、引張強力が350MPa以上、乾熱収縮率(140℃雰囲気下×10分間)が3%以下であるとよい。
【0023】
なお、芯鞘複合モノフィラメントの引張強力は、JIS L1013の引張強さ及び伸び率の標準時試験に基づき、つかみ間隔25cm、引張速度30cm/分で測定する。モノフィラメントの強力が350MPa未満であると、強力が不足し、ケーブル類の作製時や使用時に破断を生じることがあり、ケーブル類を十分に補強することができない傾向となる。
【0024】
芯鞘複合モノフィラメントの乾熱収縮率は、以下の方法により行った。すなわち、試料に0.01MPaの荷重をかけ(例えば、0.7mmφの試料であれば、0.4グラムの荷重)、正しく500mmを測って2点を打ち、荷重をかけた状態で、140℃雰囲気下で10分間放置後取り出し、室温まで冷却後、2点間の長さを測り、寸法変化率を算出することにより求めた。試料の点数は5点とし、この平均値を乾熱収縮率とした。
【0025】
本発明において、乾熱収縮率が3%を超えると、例えば、ケーブルとモノフィラメントとをシース材により被覆してケーブルを作成する際に、シース材を構成する樹脂により溶融被覆するが、その溶融被覆のための熱処理によってモノフィラメントが大きく収縮してしまい、シース材の割れやヒビが生じることや、モノフィラメントの形状が収縮により歪が生じて直線性が失われることにもなる。
【0026】
また、本発明の芯鞘複合モノフィラメントは、テンションメンバーとして使用の際にシース材との接着・接合性に優れる指標として、ポリエチレンとの接着性を考慮した接着引抜強力が、100MPa以上であることが好ましく、110MPaN以上であることがより好ましい。
【0027】
なお、接着引抜強力は以下のようにして測定するものである。予めモノフィラメントを通す穴を底面に開けたアルミカップ(5号)にポリエチレンチップ10gを入れ、190℃、20分熱処理して溶融させる。ポリエチレンが固化する前に下方からモノフィラメントを通し、25℃にて60分間冷却固化させる。その後、容器の底面を上にして、引き抜き時に容器が動かないように固定し、引張試験機に設置する。引張速度50mm/分でモノフィラメントを引き抜きながら、引き抜き時の強力を測定し、この強力の最大値を繊維断面積で除した値を接着引抜強力とする。試料の点数は5点とし、この平均値を接着引抜強力とした。
【0028】
光ケーブルのシース材には、ポリエチレンが用いられることが多いので、モノフィラメントをテンションメンバーとして使用するにあたっては、上記のようなポリエチレンとの接着性を示す接着引抜強力は重要な特性値であると考える。本発明の芯鞘複合モノフィラメントは、フィラメント表面に特定の溶融粘度の変性していないポリエチレン樹脂と特定の溶融粘度の酸変性してなるポリエチレン樹脂とのブレンド体を配していることにより、その理由は定かではないが、接着引抜強力を向上させることができ、接着引抜強力を100MPa以上のものが得られる。
【0029】
本発明の芯鞘複合モノフィラメントの直径は、用途や要求性能に応じて、必要な強力を保持できるものを適宜選択すればよく、特に限定しないが、0.4mm~1.5mm程度がよい。
【0030】
次に、本発明の芯鞘複合モノフィラメントの製造方法についての一例を説明する。芯部にナイロンMXD6、鞘部に上記した変性していないポリエチレン樹脂と酸変性ポリエチレン樹脂のブレンド体を配するように、それぞれのチップを準備し、紡糸温度255~285℃程度とし、エクストルーダー型紡糸装置を使用して、鞘部の2種の樹脂をチップブレンドしながら、紡糸口金より溶融紡出し、紡出糸条を40~60℃程度の温水浴中で冷却して未延伸糸を得る。この未延伸糸を60~90℃程度の水浴中で第一段階目の延伸(延伸倍率2.5~4.5倍程度)を行い、次いで100~300℃の熱風雰囲気下で第二段階目の延伸(延伸倍率1.1~2.5倍程度)を行う。引き続いて約150~300℃の熱風雰囲気下で2.5~30%程度の弛緩熱処理を行い、本発明の芯鞘複合モノフィラメントを得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の芯鞘複合モノフィラメントは、芯部にナイロンMXD6を配し、鞘部に特定の溶融粘度を有する2種のポリエチレン樹脂のブレンド体を配してなることから、機械的強度も実用的に十分に高く、また、テンションメンバーとして用いた際のシース材との接着・接合性に優れ、また、製造時の作業環境及び操業性が良好なものとなる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明について、実施例により具体的に説明する。
実施例1
断面が芯鞘複合型となるフィラメントを得るために、芯部に配するナイロンMXD6チップ(三菱ケミカル社製「S6007」相対粘度2.7)、鞘部に配する直鎖状低密度ポリエチレンチップ(日本ポリエチレン社製「ノバテックLL UJ960」 メルトインデックス:5.0)と酸変性直鎖状低密度ポリエチレンン系樹脂チップ(三井化学社製「アドマー NE827」 メルトインデックス:5.6)とを準備した。次いで、通常のエクストルーダー型溶融紡糸装置を使用し、275℃の温度で溶融紡糸した。また、芯部と鞘部の体積比が芯/鞘が2.8/1となるように計量して紡糸した。さらに、鞘部の2種の樹脂チップは、エクストルーダーにおいて、直鎖状低密度ポリエチレンチップを90質量%、酸変性直鎖状低密度ポリエチレンチップ10質量%の割合となるようにチップブレンドしながら溶融紡糸した。紡出したモノフィラメントを60℃の温水浴中で冷却して未延伸糸を得た。この未延伸糸を巻き取ることなく、90℃の温水浴中で延伸倍率3.7倍で第1段延伸し、次いで全延伸倍率が5.5倍となるように、215℃の加熱ゾーンを通過させながら第2段延伸し(延伸倍率1.5倍)、さらに240℃の加熱ゾーンを通過させて0.8倍の弛緩熱処理を行い、芯鞘複合モノフィラメントを得た。得られた芯鞘複合モノフィラメントは、直径0.7mmであり、横断面における芯/鞘の面積比は、2.8/1であった。
【0033】
実施例2
実施例1において、鞘部のブレンド比を、直鎖状低密度ポリエチレンチップを70質量%、酸変性直鎖状低密度ポリエチレンチップ30質量%の割合となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、芯鞘複合モノフィラメントを得た。得られた芯鞘複合モノフィラメントは、直径0.7mmであり、横断面における芯/鞘の面積比は、2.8/1であった。
【0034】
実施例3
実施例2において、溶融紡糸の際、芯部と鞘部との体積比が芯/鞘=4/1となるように計量しながら、溶融紡糸したこと以外は、実施例2と同様にして、芯鞘複合モノフィラメントを得た。得られた芯鞘複合モノフィラメントは、直径0.7mmであり、横断面における芯/鞘の面積比は、4/1であった。
【0035】
実施例4
実施例3において、鞘部のブレンド体において、変性ポリエチレンとして、アクリレートを共重合してなる無水マレイン酸変性ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「レクスパール ET220X」 メルトインデックス:8.5)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、芯鞘複合モノフィラメントを得た。得られた芯鞘複合モノフィラメントは、直径0.7mmであり、横断面における芯/鞘の面積比は、4/1であった。
【0036】
実施例5
実施例2において、芯部のナイロンMXD6として、三菱ケミカル社製「S6121」(相対粘度3.5)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、芯鞘複合モノフィラメントを得た。得られた芯鞘複合モノフィラメントは、直径0.7mmであり、横断面における芯/鞘の面積比は、2.8/1であった。
【0037】
比較例1
実施例1において、鞘部のブレンド体に代えて、直鎖状低密度ポリエチレンチップ(日本ポリエチレン社製「ノバテックLL UJ960」 メルトインデックス:5.0)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして芯鞘複合モノフィラメントを得た。得られた芯鞘複合モノフィラメントは、直径0.7mmであり、横断面における芯/鞘の面積比は、2.8/1であった。
【0038】
比較例2
実施例5において、鞘部のブレンド体に代えて、直鎖状低密度ポリエチレンチップ(日本ポリエチレン社製「ノバテックLL UJ960」 メルトインデックス:5.0)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして芯鞘複合モノフィラメントを得た。得られた芯鞘複合モノフィラメントは、直径0.7mmであり、横断面における芯/鞘の面積比は、2.8/1であった。
【0039】
比較例3
ナイロンMXD6(三菱ケミカル社製「S6121」相対粘度3.5)のみを用いて、単相のモノフィラメントを溶融紡糸により得た。なお、溶融紡糸条件、延伸条件等は、実施例1と同様にして行った。得られたモノフィラメントは、直径0.7mmであった。
【0040】
得られた実施例1~5、比較例1~3のモノフィラメントの物性を測定し、表1に示す。物性の測定方法は、上記したとおりである。また、伸度は、引張強力を測定した際に得られる最大伸度を伸度とした。表1からも明らかなように、実施例のモノフィラメントは、実用的で優れた機械的強伸度を有するものであり、接着引抜強力が高く、接着力に非常に優れたものであった。
【0041】