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特許7288654工作機械の製作及び組立作業管理システム
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  • 特許-工作機械の製作及び組立作業管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】工作機械の製作及び組立作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230601BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230601BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019029936
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020135570
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000212566
【氏名又は名称】中村留精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】樺谷 翔太
(72)【発明者】
【氏名】中島 裕介
(72)【発明者】
【氏名】東 雄也
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-174969(JP,A)
【文献】特開平10-249683(JP,A)
【文献】特開2001-142521(JP,A)
【文献】特開2002-312019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の製作及び組立作業において、機種及び当該機種ごとの作業工程の登録手段と、
作業者ごとの作業実績の入力手段とを備え、
前記作業工程の登録手段は、少なくとも作業内容と当該作業内容の予定工数が登録されており、
前記作業実績の入力手段は少なくとも作業内容とその実績工数に関するデータを入力するものであり、
前記予定工数と実績工数の差分の表示手段とを有し、
記作業実績の入力手段は、作業内容のトラブル情報の入力手段を有し、
前記表示手段は、作業トラブル中の機種又は作業者の表示手段を有し、
記トラブル情報の入力手段にて入力されたトラブル情報の解析手段を有し、
前記解析手段によるトラブルの解析結果の表示手段とを有し、
記トラブル解析結果の表示手段は、トラブルが発生している、機種又は作業者を示すアイコンが、揺動又は点滅表示され、前記アイコンをクリックすると、前記トラブルの要因が表示されることを特徴とする工作機械の製作及び組立作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の製作及び組立の流れをフォローしたり、遅れの原因を解析できる業務(作業)の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、ユーザーからの受注を受け、部品製作,組立及びその精度調整を行い、出荷するまでには多くのステップからなる長い工程を有する。
工作機械の機種により、製作及び組立工程等が異なり、これまでは機種ごとに現場で日程管理している場合が多く、各種機種や作業者ごとに一元管理できるシステムが必要とされていた。
【0003】
これまでに提案されている業務管理システムに関して、例えば特許文献1,2等がある。
特許文献1は、企業内にて設定された複数の段階からなる業務フローの進捗状況の業務管理システムを開示する。
しかし、同公報に開示する業務管理システムは未処理タスクの進捗状況を表示するものにとどまり、その原因を管理できるものではない。
特許文献2には、あるステータスから次のステータスに遷移させるためのアクションを自由に作成できるワークフロー管理方法を開示するが、工作機械の分野に適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-262361号公報
【文献】特開2014-096182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、工作機械の製作及び組立作業の管理に適し、トラブル解析やその対応にも有用な業務管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る工作機械の製作及び組立作業管理システムは、機種及び当該機種ごとの作業工程の登録手段と、作業者ごとの作業実績の入力手段とを備え、前記作業工程の登録手段は、少なくとも作業内容と当該作業内容の予定工数が登録されており、前記作業実績の入力手段は少なくとも作業内容とその実績工数に関するデータを入力するものであり、前記予定工数と実績工数の差分の表示手数とを有することを特徴とする。
【0007】
ここで機種とは工作機械の種類をいい、機種ごとの作業工程とはその工作機械を製作するのに必要な部品の手配,部品の加工及び製作,部品の取り付け,芯出し,取付調整等の作業内容をいい、製作及び組立手順に従って工程ごとに作業内容と予定(目標)工数等を予め登録する。
ここで予定工数とは、その工程を完了するのに目標とされる作業時間をいい、作業の開始予定と完了予定日時及び時刻等を入力することで、目標工数が自動計算されるようになっていてもよい。
また、ここで実績工数に関するデータの入力手段と表現したのは、作業の開始日時と作業の完了日時等を入力することで、実績工数が自動計算されるものも含まれる趣旨である。
【0008】
本発明において、前記作業実績の入力手段は、作業内容のトラブル情報の入力手段を有し、前記表示手段は、作業トラブル中の機種又は作業者の表示手段を有するのが好ましく、前記トラブル情報の入力手段にて入力されたトラブル情報の解析手段を有し、前記解析手段によるトラブルの解析結果の表示手段とを有するのが好ましい。
さらには、前記トラブル解析結果の表示手段は、トラブルの内容を表示するものであり、トラブルによるその影響の大きさにより前記表示方法が異なるものであるのが望ましい。
【0009】
ここで、トラブルによるその影響の大きさにより表示方法が異なるとは、トラブルが発生していることが分かりやすいように他のものとは表現が異なることをいう。
例えば、トラブルが発生している機種名や作業者名の表示が左右又は上下に揺動したり、文字の色や大きさが異なる、あるいは表示アイコンが点滅する等が例として挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る工作機械の製作及び組立管理システムを用いると、機種や作業者の進捗状況が一元的に管理できるとともに、トラブルの発生状況及びその要因についても解析及びその対応が容易になる。
ここでトラブルとは、部品の欠品による作業中断,設計不良による修正,治工具の準備不足による作業中断,部品の製作不良による作業中断や修正,組立の不具合による修正等、その工程の作業を中断せざるを得ないトラブルのみならず、修正や製作工数アップ等のトラブルも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る業務管理システムの構成をブロック図で示す。
図2】作業工程及びその登録内容の例を示す。
図3】機種別管理状況の表示例を示す。
図4】作業者別管理状況の表示例を示す。
図5】機種M1のトラブル解析及びその表示例を示す。
図6】機種M2のトラブル解析及びその表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る業務管理システム(工作機械の製作及び組立作業管理システム)の内容を以下、図に基づいて説明する。
図1に業務管理システムのブロック図を示す。
管理ソフトには、予め機種ごとに作業内容を登録する作業工程登録手段(S)をする。
その登録項目及び実績を表す画面の例を図2に示す。
データシート(1)には、機種名及び製作する機番が登録され、その着手状況が表示されるようになっている。
以下に説明する工程の作業の進捗状況に合せて、着手状況の表示が変わる。
該当する機番の操作欄の「仕様」をクリックすると、仕様名を示す一覧のデータシート(2)が表示される。
このデータシート(2)には、予定作業者名、作業開始予定日等が登録され、完了した際に完了日時及び実績工数が表示される。
操作欄から「工程」をクリックすると、データシート(3)が表示される。
データシート(3)には、工程名とともに予定作業者、開始予定日が表示され、完了すると完了日時及び実績工数が表示される。
操作欄の作業名をクリックすると、データシート(4)が表示される。
作業者は、このデータシート(4)の入力操作欄をクリックして、実際の作業開始日時及び、作業完了日時を入力するその際にトラブルが発生した場合には、その内容を入力することになる。
具体的には、操作の欄をクリックすると、図1に示した作業実績入力手段(S)が表示され、ここに作業の開始日,時刻、及び完了日,時刻(4,3)等を入力するか、実績工数を入力する。
また、トラブルが発生した場合には、その内容を入力する。
すると、管理ソフトに組み込まれているトラブル情報解析手段(S)にてトラブルの内容、重要度が解析され、その結果がトラブル解析結果の表示手段(S)により画面表示される。
トラブル解析結果の表示手段には、機種ごとにあるいは作業者ごとに、その製作の進捗状況とともにトラブルの発生の有無が分かるようになっている。
【0013】
次に、その表示例について説明する。
図3には機種別に表示した機種別管理状況の画面の表示の例を示す。
どの機種が現在どのような作業工程にあるかが表示されるとともに、異常が発生している機種があれば、例えば図3では機種M2が現在、工作不良のトラブルが発生していることを明確にするために、M2の表示アイコンが左右に揺動表示される。
本実施例では、M2のアイコンが揺動表示されるが、点滅表示や大きさが変わる表示等でもよく、アイコンをクリックするとその具体的内容が表示される。
図4には作業者別に一覧表示表示した例を示し、この場合には作業者Cの表示が左右に揺動表示されており、工作不良が発生していることを示している。
また、画面表示された機種又は作業者のアイコンをクリックすると、その全体の進捗状況や各工程の工数比率等が表示されるようになっている。
これにより、どの機種、作業者の誰にトラブルが発生しているか否かが明らかになる。
図5図6は、機種M1,機種M2等の機種ごとに発生したトラブル及びその程度の大きさ等が、予定工数と実績工数等の差分解析等により文字の大きさとして評価され、画面表示した例を示す。
これにより、重要なトラブルの要因が明らかになり対応しやすく、また次の製作及び組立にフィードバックすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6