(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】障害監視復旧システム、その方法、およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0663 20220101AFI20230601BHJP
H04L 43/10 20220101ALI20230601BHJP
H04L 67/025 20220101ALI20230601BHJP
G06F 11/07 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04L41/0663
H04L43/10
H04L67/025
G06F11/07 193
G06F11/07 157
(21)【出願番号】P 2019076763
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2022-04-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年4月1日、明京電機株式会社が、Meikyo Electric Co.,Ltd.からメールにて、Design Teams社、FREEMAN SIGN & ELECTRICAL社、TREASURE ISLAND社、CALIFORNIA HIGHLANDS社の4社に公開。平成31年3月27日~28日、Las Vegas Convention Center (3150 Paradise Rd, Las Vegas, NV 89109)において開催されたDIGITAL SIGNAGE EXPO 2019 にて公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】595102086
【氏名又は名称】明京電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 安幸
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-229870(JP,A)
【文献】特開2011-141745(JP,A)
【文献】特開2013-142910(JP,A)
【文献】特開2017-183905(JP,A)
【文献】特開2018-056633(JP,A)
【文献】特表2014-529828(JP,A)
【文献】特開2010-055509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0146183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
H04L 43/00
H04L 67/00
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションが動作するサーバー装置と、前記サーバー装置から提供された情報に基づいて動作する連動機器と、
電源制御装置とを備え、
前記電源制御装置が前記サーバー装置の動作を確認するハートビート信号を受信して前記サーバー装置の稼働状況を確認する障害復旧システムにおいて、
前記アプリケーションの異常を検知して前記ハートビート信号を停止させるハートビート停止手段と、
前記ハートビート信号を停止させた後前記サーバー装置を
シャットダウンさせるサーバー装置終了手段と、
を備えるアプリケーション監視手段と、
前記サーバー装置の
シャットダウンを検知して前記サーバー装置へ供給する電力を遮断し再供給させるサーバー電力制御手段と、
前記ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上から前記サーバー装置を起動させるサーバー装置遠隔起動手段と、
を備える電源制御手段と、
を備えることを特徴とする障害復旧システム。
【請求項2】
前記電源制御手段は、前記
サーバー装置からのハートビート信号が途切れたことを検知することによって、アプリケーションの異常を検知して前記連動機器を終了させる連動機器終了手段、を備えることを特徴とする請求項1記載の障害復旧システム。
【請求項3】
前記連動機器は、映像表示装置であること、を特徴とする請求項2記載の障害復旧システム。
【請求項4】
連動機器終了手段は、前記連動機器へ供給する電力の遮断であること、を特徴とする請求項2記載の障害復旧システム。
【請求項5】
前記電源制御手段は、前記ネットワークを介した通信プロトコルで前記連動機器を終了させること、を特徴とする請求項2記載の障害復旧システム。
【請求項6】
サーバー装置終了手段は、前記サーバー装置を自動で再起動させること、を特徴とする請求項1記載の障害復旧システム。
【請求項7】
前記アプリケーションを再起動させるアプリケーション再起動手段、を備えることを特徴とする請求項1記載の障害復旧システム。
【請求項8】
アプリケーションが動作するサーバー装置と、前記サーバー装置から提供された情報に基づいて動作する連動機器と、
電源制御装置とを備え、
前記電源制御装置が前記サーバー装置の動作を確認するハートビート信号を受信して前記サーバー装置の稼働状況を確認する
障害復旧システムにおけるCPUが実行する方法であって、
前記アプリケーションの異常を検知して前記ハートビート信号を停止させる
ハートビート停止サブステップと、
前記ハートビート信号を停止させた後前記サーバー装置を
シャットダウンさせる
サーバー装置終了サブステップと、を
有するアプリケーション監視ステップと、
前記サーバー装置の
シャットダウンを検知して前記サーバー装置へ供給する電力を遮断し再供給させる
サーバー電力制御サブステップと、
前記ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上から前記サーバー装置を起動させる
サーバー装置遠隔起動サブステップと、を
有する電源制御ステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
アプリケーションが動作するサーバー装置と、前記サーバー装置から提供された情報に基づいて動作する連動機器と、
電源制御装置とを備え、
前記電源制御装置が前記サーバー装置の動作を確認するハートビート信号を受信して前記サーバー装置の稼働状況を確認する
計算機である障害復旧システムに読み取り実行可能に記述した障害復旧システムの動作プログラムにおいて、
前記アプリケーションの異常を検知して前記ハートビート信号を停止させる
ハートビート停止サブステップと、
前記ハートビート信号を停止させた後前記サーバー装置を
シャットダウンさせる
サーバー装置終了サブステップと、を
有するアプリケーション監視ステップと、
前記サーバー装置の
シャットダウンを検知して前記サーバー装置へ供給する電力を遮断し再供給させる
サーバー電力制御サブステップと、
前記ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上から前記サーバー装置を起動させる
サーバー装置遠隔起動サブステップと、を
有する電源制御ステップと、
を備えることを特徴とする
計算機である障害復旧システムに読み取り実行可能に記述した障害復旧システムの動作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害監視復旧システム、障害監視復旧方法、および障害監視復旧プログラムに関し、特にアプリケーションが動作するサーバー装置と、前記サーバー装置から提供された情報に基づいて動作する連動機器とを備え、前記サーバー装置の動作を確認するハートビート信号を受信して前記サーバー装置の稼働状況を確認する障害監視復旧システム、障害監視復旧方法、および障害監視復旧プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インターネットを利用したサービスでは、24時間稼働が要件となる場合が多い。たとえば、ウェブサイトをインターネット上へ配信するウェブサーバー、会社内の業務データを管理する業務サーバー、メールを送受信するメールサーバーなど、これらのサーバーは会社などの業務のために常にサービスを提供し続ける必要がある。
【0003】
この他、防犯や防災などを目的として撮像した映像信号を伝送する監視カメラシステムや、屋外や店頭、公共の場などに設置されたディスプレイやプロジェクタなどによって映像や文字などの広告等を表示するデジタルサイネージシステムなども常にサービスを提供し続ける必要があるサービスである。
【0004】
上記のように、継続的にサービスを提供し続ける必要があるサービスでは、サーバーやコンピューター、ネットワークシステムなどが正常に稼働しているかどうかを外部から継続的に監視する必要がある。
【0005】
そこで、サーバーやコンピューター、ネットワークシステムなどを監視し、何らか障害が発生した場合に、管理者に異常を通知する方法や、システム等の復旧を行う方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1で開示された通信障害復旧方法は、同期する2台の装置の異常検出のために、2台の装置を監視する異常検出手段を設けることなく、送信側、受信側のどちらの装置に障害が発生しても、正常な通信を復旧できる通信障害復旧方法である。
【0007】
具体的な例として、同期させた2台の装置のうち、一方の装置10から他方の装置40へ送信した信号に何らかの障害が発生し、装置40がその障害を検知した場合の通信障害復旧方法を挙げて説明する。
【0008】
まず、装置10と装置40との間では、回線同期が確立されている。そして、装置10は、死活監視信号が含まれる信号を装置40に送信する。その信号に応答して、装置40は、死活監視信号が含まれる信号を装置10に送信する。このようにして、対向する装置10と装置40との間で通信が行われている。
【0009】
そして、装置10は、死活監視信号が含まれる次の信号を装置40に送信するが、このとき装置10または装置40のどちらかに何らかの障害が発生し、装置40では、受信した信号から死活監視信号を検出できなかったとする。
【0010】
装置10が送信した信号から死活監視信号を検出できなかった装置40は、異常検出信号を含めた信号を装置10に対して送信し、装置40は自ら装置40を再起動させる。そして、装置40が送信した信号から異常検出信号を検出した装置10は、自ら装置10を再起動させる。
【0011】
その後、再起動した装置10と装置40との間では、回線同期が再度確立され、装置10は、死活監視信号が含まれる信号を装置40に送信し、その信号に応答して、装置40は、死活監視信号が含まれる信号を装置10に送信する動作が繰り返される。
【0012】
このように、特許文献1で開示された通信障害復旧方法では、受信した信号から死活監視信号を検出できなかった装置10は、異常検出信号を含めた信号を装置40に送信した後に自ら再起動し、装置40は、受信した信号から異常検出信号を検出すると自ら再起動するため、同期する2台の装置の異常検出のために双方を監視する異常検出手段を設けることなく、送信側の装置、または受信側の装置のどちらに障害が発生した場合でも正常な通信を復旧できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1で開示された通信障害復旧方法は、一方の装置から送信される死活監視信号を検出できないときに、他方の装置が一方の装置に障害が発生していると判断するものであり、稼働状況を装置ごとに監視するものである。
【0015】
具体的には、コンピューターの場合、ネットワークに接続されている機器などが、正常に稼働していることを互いに知らせ合うために、一定の間隔でデータや信号を送信する仕組みとして死活監視信号であるハートビートが知られている。
【0016】
このハートビートの設定をコンピューターで有効にしておくと、ネットワークに接続された機器間で、あらかじめ決められた一定の間隔で信号を通信し合うことができる。このため、一定の間隔で信号通信ができていれば、相手の機器が正常に稼働していることが確認でき、一定時間を経過してもハートビートが検出されない場合は、その機器に障害が発生していると判断することができる。
【0017】
ところが、障害が発生するのは装置に限ったものだけではない。たとえば、コンピューターにインストールされたアプリケーションソフトウェアのみに異常が発生し、コンピューターに搭載されたオペレーティングシステムには異常がない場合、オペレーションシステムは正常に稼働しているため、このコンピューターは正常にハートビート信号を送信することができてしまう。
【0018】
このためネットワークに接続されている機器は、コンピューターにインストールされたアプリケーションソフトウェアに異常が発生しているにもかかわらず、ハートビート信号を受信しているため、このコンピューターは正常に稼働していると判断することになってしまう。
【0019】
このように、コンピューターが発するハートビート信号などの死活監視信号だけに基づいて障害発生の有無を判断すると、コンピューターにインストールされたアプリケーションソフトウェアに発生する障害を検知できない問題があった。
【0020】
上記のように、コンピューターにインストールされたアプリケーションソフトウェアに障害が発生した場合では、このアプリケーションソフトウェアを再起動させることで正常なアプリケーションソフトウェアの動きを復旧させる方法が考えられる。しかし、アプリケーションソフトウェアを容易に再起動できない場合もある。
【0021】
たとえば、屋外や店頭、公共の場などに設置されたディスプレイや、プロジェクタなどによって映像や文字などの広告等を表示するデジタルサイネージシステムでは、コンピューター上で映像などの動画や音声ファイルを再生することができるアプリケーションソフトウェアとしてメディアプレーヤーが使われている。
【0022】
このメディアプレーヤーに障害が発生した場合、映像などの動画が停止した状態で屋外や店頭、公共の場などに設置されたディスプレイや、プロジェクタなどに表示されてしまう問題がある。
【0023】
さらにこのメディアプレーヤーに障害が発生したとして容易にメディアプレーヤーのみを停止させて再起動させてしまうと、コンピューター上のデスクトップ画面がディスプレイ等に表示されてしまったり、不要なファイルや個人情報などが公共の場で公開されてしまったりする恐れがあった。
【0024】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、装置に組み込まれたアプリケーションソフトウェアに発生した障害を検知し、障害から安全に復旧することができる障害監視復旧システム、障害監視復旧方法、および障害監視復旧プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明では上記問題を解決するために、アプリケーションが動作するサーバー装置と、前記サーバー装置から提供された情報に基づいて動作する連動機器とを備え、前記サーバー装置の動作を確認するハートビート信号を受信して前記サーバー装置の稼働状況を確認する障害復旧システムにおいて、前記アプリケーションの異常を検知して前記ハートビート信号を停止させるハートビート停止手段と、前記ハートビート信号の停止を検出して前記サーバー装置を終了させるサーバー装置終了手段とを備えるアプリケーション監視手段と、前記サーバー装置の終了を検知して前記サーバー装置へ供給する電力の遮断および再供給を制御するサーバー電力制御手段と、前記ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上から前記サーバー装置を起動させるサーバー装置遠隔起動手段とを備える電源制御手段とを備えることを特徴とする障害復旧システムが提供される。
【0026】
これにより、アプリケーション監視手段は、ハートビート停止手段が、アプリケーションの異常を検知してハートビート信号を停止させ、サーバー装置終了手段が、ハートビート信号の停止を検出してサーバー装置を終了させ、電源制御手段は、サーバー電力制御手段が、サーバー装置の終了を検知してサーバー装置へ供給する電力を遮断し再供給させ、サーバー装置遠隔起動手段が、ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上からサーバー装置を起動させる。
【0027】
また、本発明では、アプリケーションが動作するサーバー装置と、前記サーバー装置から提供された情報に基づいて動作する連動機器とを備え、前記サーバー装置の動作を確認するハートビート信号を受信して前記サーバー装置の稼働状況を確認する障害復旧方法において、アプリケーション監視手段が、ハートビート停止手段が、前記アプリケーションの異常を検知して前記ハートビート信号を停止させるステップと、サーバー装置終了手段が、前記ハートビート信号の停止を検出して前記サーバー装置を終了させるステップとを備え、電源制御手段が、サーバー電力制御手段が、前記サーバー装置の終了を検知して前記サーバー装置へ供給する電力の遮断および再供給を制御するステップと、サーバー装置遠隔起動手段が、前記ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上から前記サーバー装置を起動させるステップと、を備えることを特徴とする障害復旧方法が提供される。
【0028】
これにより、アプリケーション監視手段は、ハートビート停止手段が、アプリケーションの異常を検知してハートビート信号を停止させ、サーバー装置終了手段が、ハートビート信号の停止を検出してサーバー装置を終了させ、電源制御手段は、サーバー電力制御手段が、サーバー装置の終了を検知してサーバー装置へ供給する電力を遮断し再供給させ、サーバー装置遠隔起動手段が、ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上からサーバー装置を起動させる。
【0029】
また、本発明では、アプリケーションが動作するサーバー装置と、前記サーバー装置から提供された情報に基づいて動作する連動機器とを備え、前記サーバー装置の動作を確認するハートビート信号を受信して前記サーバー装置の稼働状況を確認する障害復旧プログラムにおいて、コンピューターを、前記アプリケーションの異常を検知して前記ハートビート信号を停止させるハートビート停止手段と、前記ハートビート信号の停止を検出して前記サーバー装置を終了させるサーバー装置終了手段とを備えるアプリケーション監視手段、前記サーバー装置の終了を検知して前記サーバー装置へ供給する電力の遮断および再供給を制御するサーバー電力制御手段と、前記ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上から前記サーバー装置を起動させるサーバー装置遠隔起動手段とを備える電源制御手段、として機能させることを特徴とする障害復旧プログラムが提供される。
【0030】
これにより、アプリケーション監視手段は、ハートビート停止手段が、アプリケーションの異常を検知してハートビート信号を停止させ、サーバー装置終了手段が、ハートビート信号の停止を検出してサーバー装置を終了させ、電源制御手段は、サーバー電力制御手段が、サーバー装置の終了を検知してサーバー装置へ供給する電力を遮断し再供給させ、サーバー装置遠隔起動手段が、ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上からサーバー装置を起動させる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の障害監視復旧システム、その方法、およびそのプログラムによれば、アプリケーション監視手段は、ハートビート停止手段が、アプリケーションの異常を検知してハートビート信号を停止させ、サーバー装置終了手段が、ハートビート信号の停止を検出してサーバー装置を終了させ、電源制御手段は、サーバー電力制御手段が、サーバー装置の終了を検知してサーバー装置へ供給する電力を遮断し再供給させ、サーバー装置遠隔起動手段が、記ハートビート信号の通信が行われるネットワーク上からサーバー装置を起動させるので、装置に組み込まれたアプリケーションソフトウェアに発生した障害を検知し、障害から安全に復旧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】第1の実施の形態に係る障害監視復旧システム全体の概念を示すブロック図である。
【
図5】サーバー、電源制御装置、および映像表示装置の間において、各装置が正常稼働した状態からサーバー内の映像アプリに障害が発生し、発生した障害から復旧するまでの各装置の動作を示すシーケンスフローチャートである。
【
図6】電源制御装置にハートビート信号を送信した状態から、映像アプリの障害を検知し、ハートビート信号を停止させるまでのサーバーの処理を示すフローチャートである。
【
図7】映像アプリの障害が発生してから、映像表示装置を再起動するまでの電源制御装置の処理を示すフローチャートである。
【
図9】サーバー、電源制御装置、および映像表示装置の間において、各装置が正常稼働した状態からサーバー内の映像アプリに障害が発生し、発生した障害から復旧するまでの各装置の動作を示すシーケンスフローチャートである。
【
図10】映像アプリの障害が発生してから、映像表示装置を再び起動するまでの電源制御装置の処理を示すフローチャートである。
【
図11】監視復旧部の詳細を示すブロック図である。
【
図12】サーバー、電源制御装置、および映像表示装置の間において、各装置が正常稼働した状態からサーバー内の映像アプリに障害が発生し、発生した障害から復旧するまでの各装置の動作を示すシーケンスフローチャートである。
【
図13】電源制御装置にハートビート信号を送信した状態から、映像アプリの障害を検知し、ハートビート信号を停止させるまでのサーバーの処理を示すフローチャートである。
【
図14】映像アプリの障害が発生してから、映像表示装置を再び起動するまでの電源制御装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る障害監視復旧システム全体の概念を示すブロック図である。
【0034】
本実施の形態の障害監視復旧システムは、屋外や店頭、公共の場などに設置されたディスプレイ等に映像や文字などの広告等を表示するデジタルサイネージシステムに組み込まれるシステムであって、デジタルサイネージシステムにおいて生じる障害を監視し、その生じた障害から復旧する例として説明する。
【0035】
図1に示すように、障害監視復旧システムが組み込まれたデジタルサイネージシステム1000は、サーバー装置100、映像表示装置200、および電源制御装置300を備えている。
【0036】
また、サーバー装置100および電源制御装置300は、ネットワークケーブルを介してネットワーク400に接続されており、ネットワーク400を介してサーバー装置100および電源制御装置300は通信をすることができる。
【0037】
サーバー装置100は、ディスプレイケーブルを介して接続された映像表示装置200に映像を提供するためのコンピューターであって、通信部110、サーバー制御部120、監視復旧部130、映像アプリ140、および表示情報出力部150を備えている。また、サーバー装置100は電源制御装置300に接続されており、接続された電源制御装置300により電力の供給を受けて稼働している。
【0038】
通信部110はサーバー制御部120に接続されており、たとえば有線LAN(Local Area Network)または無線LANなどのネットワークインターフェイスを備えた通信機器であって、サーバー制御部120から送られてきたデータを、ネットワーク400に接続された電源制御装置300へ送信することができる。またネットワーク400に接続された電源制御装置300から送信されたデータを受信してサーバー制御部120に送ることができるものである。
【0039】
サーバー制御部120は通信部110および監視復旧部130に接続されており、サーバー装置100全体の基本的制御を提供するためのオペレーティングシステムである。サーバー制御部120はプログラムを記憶する図示しない記憶媒体、およびそのプログラムをメモリ等に読み込んで命令を実行するための図示しないCPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備えており、インストールされた様々なアプリケーションソフトウェアを実行することができるものである。
【0040】
またサーバー制御部120は、あらかじめ決まった周期で短いデータを電源制御装置300に送信するハートビートと呼ばれる動作を設定することができる。サーバー制御部120は通信部110およびネットワーク400を介して電源制御装置300にハートビート信号が途切れることなく一定の間隔で短いデータを送信する。これにより、何らかの障害でサーバー装置100のハートビート信号が途切れた場合に、電源制御装置300はサーバー装置100の障害を検知することができる。
【0041】
監視復旧部130は、サーバー制御部120および映像アプリ140に接続されており、サーバー装置100にインストールされた映像アプリ140の稼働状況を監視し、障害が発生した場合にはその障害から復旧させるためのアプリケーションソフトウェアである。
【0042】
映像アプリ140は監視復旧部130および表示情報出力部150に接続されており、サーバー装置100上で、画像や映像、音声などのデータを再生するためのアプリケーションソフトウェアソフトウェアである。
【0043】
映像アプリ140は、サーバー制御部120が有する記憶媒体等に記憶された画像や映像、音声など関するデータを読み出し、接続された表示情報出力部150を介して映像表示装置200に画像や映像、音声などを出力して表示させる。
【0044】
表示情報出力部150は、映像アプリ140および映像表示装置200に接続されており、たとえばHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やDVI(Digital Visual Interface)などの映像や音声などをデジタル信号で伝送する通信インタフェースであり、映像アプリ140で再生された映像や音声などを映像表示装置200に送ることができるものである。
【0045】
映像表示装置200は、サーバー装置100によって出力される映像を表示するための装置であって、サーバー装置100にディスプレイケーブルを介して接続されている。映像表示装置200はたとえばブラウン管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどが挙げられる。
【0046】
この他、画像や映像などを大型のスクリーンや壁などに投影することで表示させるプロジェクタなどであってもよい。また、映像表示装置200は電源制御装置300に接続されており、接続された電源制御装置300により電力の供給を受けて稼働している。
【0047】
電源制御装置300は、接続された商用電源などの外部電源Pから得た電力を、接続された機器に供給することができる装置であって、電源部310、電源制御部320、通信部330、情報記憶部340、第一電源出力部350、および第二電源出力部360を備えている。
【0048】
電源部310は商用電源などの外部電源Pおよび電源制御部320に接続されており、第一電源出力部350、および第二電源出力部360を介して電源制御装置300に接続されたサーバー装置100および映像表示装置200に電力を供給することができる。
【0049】
電源制御部320は電源部310、通信部330、情報記憶部340、第一電源出力部350、および第二電源出力部360に接続されており、設即された各部の動作を制御するためのものである。
【0050】
また、電源制御部320はネットワーク400を介して接続されたサーバー装置100が稼働しているか否かを判断することができる。
具体的には、前述したようにサーバー装置100からはネットワーク400を介してハートビート信号が途切れることなく一定の間隔で短いデータを送信される。電源制御部320はこのハートビートが何らかの障害などによって途切れた場合に、サーバー装置100の障害を検知することができる。
【0051】
通信部330は電源制御部320に接続されており、たとえば有線LANまたは無線LANなどのネットワークインターフェイスを備えた通信機器であって、電源制御部320から送られてきたデータを、ネットワーク400に接続されたサーバー装置100へ送信することができる。またネットワーク400に接続されたサーバー装置100から送信されたデータを受信して電源制御部320に送ることができるものである。
【0052】
情報記憶部340は電源制御部320に接続されており、ネットワーク400および第一電源出力部350を介して接続されたサーバー装置100のアドレス情報や、電源制御部320が電源制御装置300を制御するために必要な情報などが記憶されている。
【0053】
第一電源出力部350は電源制御部320に接続されており、電源部310によって入力された電力が電源制御部320によって制御され、その電源制御部320によって制御された電力を外部から接続されたサーバー装置100に出力するためのものである。
【0054】
具体的には、第一電源出力部350は、配線用差込接続器のプラグ受けであって、接続されるサーバー装置100が備える配線用差込接続器の差込プラグが挿入されることで、電源制御装置300を介して電力がサーバー装置100に供給される。
【0055】
第二電源出力部360は電源制御部320に接続されており、電源部310によって入力された電力が電源制御部320によって制御され、その電源制御部320によって制御された電力を外部から接続された映像表示装置200に出力するためのものである。
【0056】
具体的には、第二電源出力部360は、配線用差込接続器のプラグ受けであって、接続される映像表示装置200が備える配線用差込接続器の差込プラグが挿入されることで、電源制御装置300を介して電力が映像表示装置200に供給される。
【0057】
ここでまず、障害監視復旧システムが組み込まれたデジタルサイネージシステム1000に障害が生じた際の復旧方法の概略を説明する。
サーバー装置100は、インストールされた映像アプリ140によって、あらかじめ記憶された映像を映像表示装置200に映像や音声を出力している。また監視復旧部130は、映像アプリ140の稼働状況を常に監視している。
【0058】
ここでサーバー装置100に障害が生じた場合を考える。まずサーバー制御部120に障害が生じた場合、つまりサーバー装置100を制御するサーバー制御部120がフリーズして動かなくなった場合には、サーバー制御部120によって動作しているハートビートも停止してしまうことになる。
【0059】
この場合、電源制御装置300はサーバー装置100が送信するハートビート信号が途切れることでサーバー装置100に障害が生じていることを検知することができ、復旧手段としてサーバー装置100への電力の遮断、そしてサーバー装置100への電力の再供給、さらにネットワーク400を介して、ネットワーク400に接続されたサーバー装置100の電源を遠隔操作で投入することができるWoL(Wake-on-LAN)などのマジックパケットを送信して再起動させる。これによりサーバー装置100に生じている障害を復旧させることができる。
【0060】
次に、サーバー制御部120には何ら障害が生じておらず、映像アプリ140のみに障害が発生した場合を考える。具体的には、サーバー制御部120には何ら障害が生じていないため、サーバー装置100は問題なく稼働しており、サーバー制御部120は通信部110およびネットワーク400を介して電源制御装置300にハートビート信号が途切れることなく一定の間隔で短いデータを送信することができている。ところが映像アプリ140は何らかの障害によりフリーズしており、映像表示装置200に正確な映像情報を提供することができなくなっている。
【0061】
このような状態の場合、従来では電源制御装置300はハートビート信号が途切れることなく一定の間隔で短いデータを受信しているため、サーバー装置100に搭載された映像アプリ140に生じている障害を検知することができなかった。
【0062】
そこで本実施の形態の障害監視復旧システムでは、監視復旧部130が常に映像アプリ140の稼働状況を監視しているので、監視復旧部130は映像アプリ140に生じている障害を検知することができ、監視復旧部130は映像アプリ140に生じている障害を検知すると接続されたサーバー制御部120に対して、ハートビート信号を停止させるハートビート停止信号を送信する。
【0063】
サーバー制御部120は、監視復旧部130によるハートビート停止信号を受信すると、電源制御装置300に送信していたハートビート信号を停止させる。その後、監視復旧部130はサーバー制御部120に対して、サーバー装置100をシャットダウンさせるための信号を送信する。これにより、やがてサーバー装置100はシャットダウンされることになる。
【0064】
一方で電源制御装置300では、サーバー制御部120がハートビート信号を停止したことにより、ハートビート信号を受信しなくなった電源制御部320は、サーバー装置100からのハートビート信号が途切れたことを検知し、サーバー装置100あるいはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じていると判断する。
【0065】
電源制御部320は、サーバー装置100あるいはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じていると判断したことにより、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200への電力供給を遮断する。
【0066】
これにより、サーバー装置100あるいはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じていることで、映像表示装置200に表示されてしまうエラー画面や、サーバー装置100がシャットダウンしている際に表示される映像が公に表示されてしまうことを防止することができる。
【0067】
次に電源制御部320は、映像表示装置200への電力の供給を遮断した後、サーバー装置100に対してネットワークの疎通を確認するために使用されるPINGコマンドを一定間隔で実行してパケットを送信する。
【0068】
このときサーバー装置100がシャットダウンする前、あるいはシャットダウン中でサーバー制御部120が反応する状態であれば、PINGコマンドを実行した電源制御装置300に対して正常に応答パケットが返ってくる。
【0069】
このように応答パケットが返ってくる状態を、電源制御部320は、サーバー装置100が正常にシャットダウンできていない状態であると判断する。このPINGコマンドの実行は、電源制御部320が停止させるまで繰り返す。
【0070】
やがて正常にサーバー装置100がシャットダウンされると、電源制御部320が実行するPINGコマンドに対して応答パケットが返ってこなくなる。これにより、電源制御部320はサーバー装置100が正常にシャットダウンされたと判断し、第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100への電力を遮断する。
【0071】
電源制御部320は、第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100への電力を遮断した後に、再度第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100への電力を再開し、電源制御部320はWoLなどのマジックパケットを送信してサーバー装置100を再起動させる。
【0072】
このときサーバー装置100がシャットダウンしてから正常に再起動されるまでの間は、電源制御部320がサーバー装置100に対して実行するPINGコマンドに対してサーバー装置100は応答パケットを返すことはできない。
【0073】
やがてサーバー装置100が正常に再起動されると、電源制御部320がサーバー装置100に対して実行するPINGコマンドに対してサーバー装置100は応答パケットを返すようになる。これにより電源制御部320は、サーバー装置100が正常に再起動したと判断して、サーバー装置100に対して実行していたPINGコマンドを停止させる。
【0074】
その後、サーバー装置100は、起動後に自動的に実行されるように設定されているハートビートが再開され、同じく起動後に自動的に実行されるように設定されている映像アプリ140および監視復旧部130が起動し、映像表示装置200への再生映像が提供され、その稼働状況が監視復旧部130によって監視される。
【0075】
サーバー制御部120が再起動後にハートビートを再開することで、電源制御部320はハートビート信号が途切れることなく一定の間隔で短いデータを受信し、サーバー装置100または映像アプリ140が正常に稼働していると判断することができる。
【0076】
このように、サーバー制御部120には何ら障害が生じておらず、映像アプリ140のみに障害が発生した場合でも、監視復旧部130および電源制御装置300の動作によってサーバー装置100を再起動させ、映像アプリ140に生じた障害から復旧させることができる。
【0077】
また、サーバー装置100を再起動させる際に、電源制御装置300がサーバー装置100への電源供給を遮断することで、サーバー装置100の電源を完全に切ることができ、サーバー装置100のハードウェアなどが初期化された状態からサーバー装置100を再起動させるコールドスタートをすることができる。
【0078】
これにより、サーバー装置100の電源を切らない状態、つまりサーバー装置100に入力された情報が初期化されない状態で再起動するウォームスタートと比較すると、サーバー装置100が備える記憶媒体やサーバー制御部120などのオペレーティングシステムが完全に初期化されるため、サーバー装置100が不安定な状態から完全に初期化した状態で再起動させることができる。
【0079】
なお、ここでは第二電源出力部360に接続された映像表示装置200への電力供給を電源制御部320が遮断または開始することで電源制御を行ったが、映像表示装置200がネットワーク対応の機器であって、かつネットワーク400に接続されている場合においては、電源制御部320がネットワーク400を介して接続された映像表示装置200に対して、制御コマンド送信することで、映像表示装置200の電源制御を行うようにしてもよい。
【0080】
上記のように、ネットワーク400を介した映像表示装置200の電源制御の例としては、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)を用いた、メーカ間を問わずに統一されたプロジェクタ・ディスプレイの制御コマンドとしてPJlinkというコマンドが知られている。このPJlinkコマンドを、あらかじめ設定された映像表示装置200のIPアドレスに対して電源制御部320が実行することで、電源制御装置300が映像表示装置200の電源制御を行うことができる。
【0081】
図2は、監視復旧部の詳細を示すブロック図である。
図2に示すように監視復旧部130は、映像アプリ監視部131、ハートビート停止命令部132、およびシャットダウン実行部133を備えている。
【0082】
映像アプリ監視部131は、ハートビート停止命令部132、シャットダウン実行部133および映像アプリ140に接続されており、映像アプリ140の稼働状況を監視することで、映像アプリ140に生じる障害を検知するためのものである。
【0083】
映像アプリ監視部131は、たとえばCPUの稼働状況を監視し、映像アプリ140がフリーズしていないかどうか、またはCPUを異常な状況で占拠していないかどうか、を判断する。この他、映像アプリで表示される映像が映像表示装置200の最前面で表示されているか否かなどを判断するようにしてもよい。
【0084】
映像アプリ監視部131が、映像アプリ140に障害が生じていると判断した場合は、ハートビート停止命令部132およびシャットダウン実行部133に障害発生信号を送信する。
【0085】
ハートビート停止命令部132は、映像アプリ監視部131およびサーバー制御部120に接続されており、接続されたサーバー制御部120に対してハートビート信号を停止させる命令を出すためのものである。
【0086】
ハートビート停止命令部132が映像アプリ140に障害が生じたことにより映像アプリ監視部131が送信した障害発生信号を受信すると、ハートビート停止命令部132はサーバー制御部120に対してハートビート信号を停止させる命令を送信する。これによりサーバー装置100が電源制御装置300に対して一定の間隔で送信していたデータを停止する。
【0087】
シャットダウン実行部133は、映像アプリ監視部131およびサーバー制御部120に接続されており、接続されたサーバー制御部120に対してサーバー装置100をシャットダウンさせる命令を送信してシャットダウンを実行させるためのものである。
【0088】
シャットダウン実行部133が映像アプリ140に障害が生じたことにより映像アプリ監視部131が送信した障害発生信号を受信すると、シャットダウン実行部133はサーバー制御部120に対してサーバー装置100をシャットダウンさせる命令を送信する。これによりサーバー装置100はシャットダウンを実行し、やがてサーバー装置100はシャットダウンされる。
【0089】
図3は、制御部の詳細を示すブロック図である。
図3に示すようにサーバー制御部120は、ハートビート送信部121およびPING応答部122を備えている。なおサーバー制御部120はこの他、プログラム等を記憶する記憶媒体や、そのプログラム読み込むためのメモリや、そのメモリに読み込まれたプログラムを実行するためのCPUなども備えているが、ここでは省略する。
【0090】
ハートビート送信部121は監視復旧部130および通信部110に接続されており、ネットワークに接続された特定の機器、ここではサーバー装置100に対して、あらかじめ決められた周期でデータを送信するハートビート信号を送信するためのものである。
【0091】
ハートビート送信部121は、サーバー装置100が起動するたびに自動的に実行され、ハートビート信号を停止させる命令を受信するまでハートビート信号を送信し続ける。ただしサーバー制御部120の動作が不安定になりフリーズした場合においては、これに伴ってハートビート送信部121はハートビート信号を送信することはできなくなる。
【0092】
映像アプリ140に障害が生じたことにより、ハートビート停止命令部132がサーバー制御部120に対してハートビート信号を停止させるハートビート停止信号を送信すると、ハートビート送信部121は、電源制御装置300に対して送信していたハートビート信号を停止させる。
【0093】
PING応答部122は監視復旧部130および通信部110に接続されており、ネットワーク400に接続された機器から、サーバー装置100に対して実行されたPINGコマンドによって送信されたパケットに対して、応答パケットを返信するためのものである。
【0094】
通信部110およびネットワーク400を介して、電源制御装置300が実行したPINGコマンドによって送信されたパケットをPING応答部122が受信すると、PING応答部122は、電源制御装置300に対して応答パケットを返信する。
【0095】
これにより電源制御装置300とサーバー装置100間でのネットワークの疎通を確認することができるとともに、電源制御装置300はサーバー装置100が稼働していることを確認することができる。
【0096】
図4は、電源制御部の詳細を示すブロック図である。
図4に示すように、電源制御部320は、ハートビート受信部321、PING送受信部322、給電部323、およびマジックパケット送信部324を備えている。
【0097】
ハートビート受信部321は通信部330、PING送受信部322、給電部323、および情報記憶部340に接続されており、通信部330およびネットワーク400を介して、サーバー装置100が電源制御装置300に対して送信したハートビート信号を受信し、サーバー装置100あるいはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じているか否かの判断をする。
【0098】
ハートビート受信部321が、あらかじめ決められた間隔でハートビート信号を受信できない場合は、ハートビート受信部321がハートビートの送信元であるサーバー装置100またはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じていると判断する。
【0099】
ハートビート受信部321がサーバー装置100またはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じていると判断した場合は、ハートビート受信部321がPING送受信部322および給電部323に対して、サーバー装置100またはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じていることを通知する障害発生通知信号を送信する。
【0100】
またハートビート受信部321が、あらかじめ決められた間隔でハートビート信号を受信している場合は、ハートビート受信部321がハートビートの送信元であるサーバー装置100またはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140が正常に稼働していると判断する。
【0101】
PING送受信部322は通信部330、ハートビート受信部321、マジックパケット送信部324、給電部323、および情報記憶部340に接続されており、通信部330およびネットワーク400を介して、PING送受信部322がサーバー装置100に対してPINGコマンドを実行しパケットを送信し、サーバー装置100が電源制御装置300に対して応答した応答パケットを受信する。
【0102】
PING送受信部322は、ハートビート受信部321がサーバー装置100またはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じていると判断し、PING送受信部322に送信した障害発生通知信号を受信することで、障害が発生しているサーバー装置100に対して一定の間隔でPINGコマンドを繰り返して実行する。
【0103】
このときPING送受信部322が一定の間隔で実行したPINGコマンドに対して、サーバー装置100が応答して返した応答パケットをPING送受信部322が受信した場合は、サーバー装置100が起動しているとPING送受信部322が判断し、サーバー装置100が応答して返した応答パケットをPING送受信部322が受信しない場合は、サーバー装置100が起動していない、つまり正常にサーバー装置100がシャットダウンできたとPING送受信部322が判断する。
【0104】
サーバー装置100が正常にシャットダウンできたとPING送受信部322が判断した場合は、PING送受信部322が給電部323に対して、サーバー装置100が正常にシャットダウンできたことを通知するシャットダウン完了信号を送信する。
【0105】
給電部323はハートビート受信部321、PING送信部322、マジックパケット送信部324、情報記憶部340、第一電源出力部350、および第二電源出力部360に接続されており、第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100、および第二電源出力部360に接続された映像表示装置200への電力の供給を制御するためのものである。
【0106】
給電部323はハートビート受信部321がサーバー装置100またはサーバー装置100の内部にインストールされた映像アプリ140に障害が生じていると判断し、給電部323に送信した障害発生通知信号を受信することで、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200への電力の供給を遮断する。
【0107】
また給電部323は正常にサーバー装置100がシャットダウンできたとPING送受信部322が判断し、給電部323に送信したシャットダウン完了信号を受信することで、第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100への電力供給を遮断し、一定時間待機した後再度電力供給を開始する。
【0108】
給電部323により第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100への電力供給を遮断および再供給が開始されると、給電部323はマジックパケット送信部324に対して電力の遮断/供給が完了したことを通知する電源遮断/供給完了通知を送信する。
【0109】
また給電部323は後述するマジックパケット送信部324がサーバー装置100に対してマジックパケットの送信が完了したことを通知するマジックパケット送信完了信号を受信すると、給電部323はサーバー装置100が再起動して安定するまでの一定時間待機した後
に、遮断していた第二電源出力部360に接続された映像表示装置200に再び電力を供給する。
【0110】
マジックパケット送信部324は、PING送受信部322、給電部、および情報記憶部340に接続されており、通信部330およびネットワーク400を介して接続されたサーバー装置100の電源を遠隔操作で投入することができるWoLなどのマジックパケットをサーバー装置100に対して送信してサーバー装置100を再起動させるためのものである。
【0111】
マジックパケット送信部324は、給電部323が第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100への電力供給を遮断および再供給が開始され、電源遮断/供給完了通知を受信すると、マジックパケット送信部324はサーバー装置100に対してマジックパケットを送信する。これにより、マジックパケットを受信するサーバー装置100を電源制御装置300が遠隔操作で再起動させることができる。
【0112】
なお、PING送受信部が実行するPINGコマンドの送信先、マジックパケット送信部の送信先、給電部323が待機する待機時間などは、接続された情報記憶部340に記憶しておくことができる。
【0113】
図5は、サーバー、電源制御装置、および映像表示装置の間において、各装置が正常稼働した状態からサーバー内の映像アプリに障害が発生し、発生した障害から復旧するまでの各装置の動作を示すシーケンスフローチャートである。以下、
図5に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0114】
〔ステップS11〕
サーバー装置100はハートビート信号を送信する。具体的には、サーバー制御部120が備えるハートビート送信部121が、あらかじめ設定された一定の間隔で電源制御装置300に対してハートビート信号を送信する。
【0115】
〔ステップS12〕
電源制御装置300は、サーバー装置100が正常に稼働していることを認識する。具体的には、ステップS11で送信されたハートビート信号を、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が一定の間隔で受信することで、電源制御装置はサーバー装置100が正常に稼働していることを認識する。
【0116】
〔ステップS13〕
映像アプリ140に障害が発生する。具体的には、サーバー装置100が備えるサーバー制御部120には何ら障害が生じておらず、映像アプリ140のみにフリーズやCPUの異常占拠などの障害が発生する。
【0117】
〔ステップS14〕
サーバー装置100はハートビート信号を停止させる。具体的には、監視復旧部130が備える映像アプリ監視部131が映像アプリ140を監視し、映像アプリ140に障害が発生した場合に、監視復旧部130が備えるハートビート停止命令部132がサーバー制御部120に対してハートビート信号を停止させる命令を送信する。
【0118】
〔ステップS15〕
電源制御装置300は映像アプリ140に障害が発生していることを認識する。具体的には、ステップS14でハートビートが停止されたことにより、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が一定の間隔で受信できないので、電源制御装置300は映像アプリ140に障害が発生していることを認識する。
【0119】
〔ステップS16〕
電源制御装置300は、映像表示装置200の電源を遮断する。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200へ供給している電力を遮断する。
【0120】
〔ステップS17〕
映像表示装置200は映像の表示を停止する。具体的には、ステップS16により供給されていた電力が遮断されたことにより、映像表示装置200で公に表示していた映像は停止される。
【0121】
〔ステップS18〕
サーバー装置100はシャットダウンを開始する。具体的には、監視復旧部130が備えるシャットダウン実行部133は、サーバー制御部120に対してサーバー装置100をシャットダウンさせる命令を送信してサーバー装置100をシャットダウンさせる。
【0122】
〔ステップS19〕
電源制御装置300は、PINGコマンドの実行を開始する。具体的には、電源制御部320が備えるPING送受信部322が、あらかじめ設定された一定の間隔でサーバー装置100にPINGコマンドを実行する動作を開始する。
【0123】
〔ステップS20〕
電源制御装置300は、PINGコマンドを実行する。具体的には、電源制御部320が備えるPING送受信部322が、あらかじめ設定された一定の間隔でサーバー装置100にPINGコマンドを実行してパケット送信し、シャットダウンが完了されていないサーバー装置100が応答することで応答パケットをPING送受信部322が受信する。
【0124】
〔ステップS21〕
サーバー装置100はシャットダウンが完了する。
〔ステップS22〕
電源制御装置300は、PINGコマンドを実行する。具体的には、電源制御部320が備えるPING送受信部322が、あらかじめ設定された一定の間隔でサーバー装置100にPINGコマンドを実行してパケット送信し、ステップS22でサーバー装置100のシャットダウンが完了しているため、サーバー装置100は応答することなくPING送受信部322は応答パケットを受信できない。
【0125】
〔ステップS23〕
電源制御装置300はサーバー装置100がシャットダウンされたことを認識する。具体的には、ステップS22でPING送受信部322は応答パケットを受信できないことで、電源制御装置300はサーバー装置100がシャットダウンされたことを認識する。
【0126】
〔ステップS24〕
電源制御装置300は、PINGコマンドの実行を停止する。具体的には、電源制御部320が備えるPING送受信部322が、あらかじめ設定された一定の間隔でサーバー装置100にPINGコマンドを実行する動作を停止する。
【0127】
〔ステップS25〕
電源制御装置300は、サーバー装置100の電源を遮断する。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100へ供給している電力を遮断する。
【0128】
〔ステップS26〕
電源制御装置300は、サーバー装置100の電源を開始する。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100へ供給している電力を開始する。
【0129】
〔ステップS27〕
電源制御装置300は、サーバー装置100を起動させる。具体的には、電源制御装置300が備えるマジックパケット送信部は、サーバー装置100に対してマジックパケットを送信することで、サーバー装置100を起動させる。
【0130】
〔ステップS28〕
サーバー装置100が起動する。具体的には、サーバー装置100は、ステップS27で電源制御装置300が送信したマジックパケットを受信することで、サーバー装置100は起動し始める。
【0131】
〔ステップS29〕
サーバー装置100はハートビート信号の送信を開始する。具体的には、ステップS28により起動したサーバー装置100は、サーバー制御部120にあらかじめ設定されたハートビートの設定によりハートビート信号を電源制御装置300に一定の間隔で送信する動作を開始する。
【0132】
〔ステップS30〕
サーバー装置100はハートビート信号を送信する。具体的には、サーバー制御部120が備えるハートビート送信部121が、あらかじめ設定された一定の間隔で電源制御装置300に対してハートビート信号を送信する。
【0133】
〔ステップS31〕
電源制御装置300は、サーバー装置100が正常に稼働していることを認識する。具体的には、ステップS29で送信されたハートビート信号を、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が一定の間隔で受信することで、電源制御装置はサーバー装置100が正常に稼働していることを認識する。
【0134】
〔ステップS32〕
サーバー装置100で映像アプリ140が起動する。具体的には、ステップS28でサーバー装置100が起動することで、あらかじめ設定されていた映像アプリ140が自動的に起動する。
【0135】
〔ステップS33〕
電源制御装置300は、映像表示装置200の電源を入れる。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200へ供給している電力を開始する。
【0136】
〔ステップS34〕
映像表示装置200は映像の表示を開始する。具体的には、ステップS33により供給が遮断されていた電力が開始されたこと、またステップS32により映像アプリ140が起動したことにより、映像表示装置200の映像の表示が開始される。
【0137】
なお、
図5のシーケンスフローチャートでは、映像アプリ140に障害が発生する例で示したが、サーバー装置100に障害が発生し、サーバー制御部120が電源制御装置300に向けてハートビート信号を送信できなくなった場合でも、ステップS15以降の処理によりサーバー装置100に生じた障害から復旧させることができる。
【0138】
具体的には、障害が発生したサーバー装置100ではステップS20で電源制御装置300が実行したPINGコマンドに応答することはないので、電源制御装置300がサーバー装置100をコールドスタートさせることができる。
【0139】
図6は、電源制御装置にハートビート信号を送信した状態から、映像アプリの障害を検知し、ハートビート信号を停止させるまでのサーバーの処理を示すフローチャートである。以下、
図6に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0140】
〔ステップS101〕
サーバー装置100は、電源制御装置300に対してハートビート信号を送信する。具体的には、サーバー装置100が備えるサーバー制御部120にあらかじめ設定されたハートビート設定により、サーバー装置100は電源制御装置300に対してハートビート信号を送信する。
【0141】
〔ステップS102〕
サーバー装置100は、映像アプリ140の稼働状況を確認する。具体的には、サーバー装置100が備える映像アプリ監視部131が、映像アプリ140が正常に稼働しているか否かを確認する。
【0142】
〔ステップS103〕
サーバー装置100は、映像アプリ140が正常に稼働しているか否かの判断を行う。具体的には、サーバー装置100が備える映像アプリ監視部131が、映像アプリ140が正常に稼働しているか否かの判断を行う。
【0143】
映像アプリ140が正常に稼働していると映像アプリ監視部131が判断したときは、処理をステップS101に進め、映像アプリ140が正常に稼働していないと映像アプリ監視部131が判断したときは、処理をステップS104に進め、ハートビート停止命令部132に障害発生信号を送信する。
【0144】
〔ステップS104〕
サーバー装置100は、ハートビート信号を停止させる。具体的には、サーバー装置100が備えるハートビート停止命令部132が、ステップS103により障害発生信号を受信すると、ハートビート停止命令部132はサーバー制御部120に対してハートビート信号を停止させるハートビート停止信号を送信する。
【0145】
図7は、映像アプリの障害が発生してから、映像表示装置を再起動するまでの電源制御装置の処理を示すフローチャートである。以下、
図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0146】
〔ステップS111〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を確認する。具体的には、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号の確認を行う。
【0147】
〔ステップS112〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を受信しているか否かの判断をする。具体的には、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されたハートビート信号を一定間隔で受信しているか否かの判断を行う。
【0148】
サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が一定間隔で受信したと判断したときは、処理をステップS111に進め、サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が一定間隔で受信していないと判断したときは、処理をステップS113に進める
【0149】
〔ステップS113〕
電源制御装置300は、映像表示装置200の電源を停止する。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200へ供給している電力を遮断する。
【0150】
〔ステップS114〕
電源制御装置300は、PINGコマンドを実行する。具体的には、電源制御装置300が備えるPING送受信部322が、サーバー装置100に対してPINGコマンドを実行しパケットを送信する。
【0151】
〔ステップS115〕
電源制御装置300は、PINGコマンドに対する応答があるか否かの判断をする。具体的には、ステップS114で送信されたパケットに対して、サーバー装置100が応答パケットを返してきたか否かの判断をPING送受信部322が判断する。
【0152】
サーバー装置100が応答パケットを返してきたとPING送受信部322が判断したときは、処理をステップS114に進め、サーバー装置100が応答パケットを返してこなかったとPING送受信部322が判断したときは、処理をステップS116に進める。
【0153】
〔ステップS116〕
電源制御装置300は、PINGコマンドの繰り返し実行を停止させる。具体的には、
電源制御装置300が備えるPING送受信部322が、サーバー装置100に対して繰り返し実行してきたPINGコマンドを停止させる。
【0154】
〔ステップS117〕
電源制御装置300は、サーバー装置100の電源を遮断し、その後再開する。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第一電源出力部350に接続されたサーバー装置100へ供給している電力を遮断し、所定の時間の経過を待ってから電力の供給を再開する。
【0155】
〔ステップS118〕
電源制御装置300は、マジックパケットを送信する。具体的には、電源制御装置300が備えるマジックパケット送信部324は、サーバー装置100に対してサーバー装置100を起動させるためのマジックパケットを送信する。
【0156】
〔ステップS119〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を確認する。具体的には、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号の確認を行う。
【0157】
〔ステップS120〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を受信しているか否かの判断をする。具体的には、源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号を受信しているか否かの判断を行う。
【0158】
サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信したと判断したときは、処理をステップS121に進め、サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信していないと判断したときは、処理をステップS119に進める。
【0159】
〔ステップS121〕
電源制御装置300は、映像表示装置200の電源を入れる。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200へ遮断していた電力を再開させる。
【0160】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の障害監視復旧システムは、監視復旧部の詳細と処理の流れが異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0161】
図8は、監視復旧部の詳細を示すブロック図である。
図8に示すように監視復旧部130は、映像アプリ監視部131、ハートビート停止命令部132、シャットダウン実行部133、およびサーバー再起動実行部134を備えている。
【0162】
サーバー再起動実行部134は、映像アプリ監視部131およびサーバー制御部120に接続されており、接続されたサーバー制御部120に対してサーバー装置100を再起動させる命令を送信してサーバー装置100を再起動させるためのものである。
【0163】
サーバー再起動実行部134が映像アプリ140に障害が生じたことにより映像アプリ監視部131が送信した障害発生信号を受信すると、サーバー再起動実行部134はサーバー制御部120に対してサーバー装置100を再起動させる命令を送信する。これによりサーバー装置100は再起動を実行し、やがてサーバー装置100は再起動される。
【0164】
映像アプリ140に障害が生じ、その障害から復旧させるには、サーバー装置100をコールドスタートさせるのではなく、サーバー装置100を再起動させるだけで復旧できる場合もあり、短時間で復旧させることができる。第2の実施の形態におけるサーバー再起動実行部134は、このような場合に有効である。
【0165】
図9は、サーバー、電源制御装置、および映像表示装置の間において、各装置が正常稼働した状態からサーバー内の映像アプリに障害が発生し、発生した障害から復旧するまでの各装置の動作を示すシーケンスフローチャートである。以下、
図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、
図5のシーケンスフローチャートと同じ処理を行うものについては適宜説明を省略する。
〔ステップS11〕~〔ステップS17〕
図5のシーケンスフローチャートと同じ処理のため説明を省略する。
【0166】
〔ステップS17-1〕
サーバー装置100は再起動を開始する。具体的には、監視復旧部130が備えるサーバー再起動実行部134は、サーバー制御部120に対してサーバー装置100を再起動させる命令を送信してサーバー装置100を再起動させる。
〔ステップS19〕~〔ステップS23〕
図5のシーケンスフローチャートと同じ処理のため説明を省略する。
【0167】
〔ステップS23-1〕
サーバー装置100は起動する。具体的には、サーバー装置100は、ステップS17-1で監視復旧部130が備えるサーバー再起動実行部134が送信した再起動させる命令により、ステップS21の後に自動的にサーバー装置100が起動し始める。
【0168】
〔ステップS23-2〕
電源制御装置300は、PINGコマンドを実行する。具体的には、電源制御部320が備えるPING送受信部322が、あらかじめ設定された一定の間隔でサーバー装置100にPINGコマンドを実行してパケット送信し、シャットダウンが完了されていないサーバー装置100が応答することで応答パケットをPING送受信部322が受信する。
【0169】
〔ステップS23-3〕
電源制御装置300は、サーバー装置100が起動したことを確認する。具体的には、ステップS23-2で電源制御部320が備えるPING送受信部322が、サーバー装置100が応答して返した応答パケットを受信することで、電源制御装置300は、サーバー装置100が起動したことを確認する。
【0170】
〔ステップS23-4〕
電源制御装置300は、PINGコマンドの実行を停止する。具体的には、電源制御部320が備えるPING送受信部322が、あらかじめ設定された一定の間隔でサーバー装置100にPINGコマンドを実行する動作を停止する。
〔ステップS28〕~〔ステップS34〕
図5のシーケンスフローチャートと同じ処理のため説明を省略する。
【0171】
図10は、映像アプリの障害が発生してから、映像表示装置を再び起動するまでの電源制御装置の処理を示すフローチャートである。以下、
図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0172】
〔ステップS131〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を確認する。具体的には、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号の確認を行う。
【0173】
〔ステップS132〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を受信しているか否かの判断をする。具体的には、源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号を受信しているか否かの判断を行う。
【0174】
サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信したと判断したときは、処理をステップS131に進め、サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信していないと判断したときは、処理をステップS133に進める
【0175】
〔ステップS133〕
電源制御装置300は、映像表示装置200の電源を停止する。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200へ供給している電力を遮断する。
【0176】
〔ステップS134〕
電源制御装置300は、PINGコマンドを実行する。具体的には、電源制御装置300が備えるPING送受信部322が、サーバー装置100に対してPINGコマンドを実行しパケットを送信する。
【0177】
〔ステップS135〕
電源制御装置300は、PINGコマンドに対する応答があるか否かの判断をする。具体的には、ステップS114で送信されたパケットに対して、サーバー装置100が応答パケットを返してきたか否かの判断をPING送受信部322が判断する。
【0178】
サーバー装置100が応答パケットを返してこなかったとPING送受信部322が判断したときは、処理をステップS136に進め、サーバー装置100が応答パケットを返してきたとPING送受信部322が判断したときは、処理をステップS142に進める。
【0179】
〔ステップS136〕
電源制御装置300は、サーバー装置100が再起動処理のサーバー終了工程および起動工程のうち、サーバー終了工程が完了したことを確認する。具体的には、ステップS135でサーバー装置100が応答パケットを返さなくなったことで、電源制御装置300は、サーバー装置100のサーバー終了工程が完了したことを確認する。
【0180】
〔ステップS137〕
電源制御装置300は、PINGコマンドを実行する。具体的には、電源制御装置300が備えるPING送受信部322が、サーバー装置100に対してPINGコマンドを実行しパケットを送信する。
【0181】
〔ステップS138〕
電源制御装置300は、PINGコマンドに対する応答があるか否かの判断をする。具体的には、ステップS114で送信されたパケットに対して、サーバー装置100が応答パケットを返してきたか否かの判断をPING送受信部322が判断する。
【0182】
サーバー装置100が応答パケットを返してきたとPING送受信部322が判断したときは、処理をステップS139に進めてサーバー装置100が再起動されたことを確認し、サーバー装置100が応答パケットを返してこなかったとPING送受信部322が判断したときは、処理をステップS137に進める。
【0183】
〔ステップS139〕
電源制御装置300は、PINGコマンドの繰り返し実行を停止させる。具体的には、
電源制御装置300が備えるPING送受信部322が、サーバー装置100に対して繰り返し実行してきたPINGコマンドを停止させる。
【0184】
〔ステップS140〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を確認する。具体的には、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号の確認を行う。
【0185】
〔ステップS141〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を受信しているか否かの判断をする。具体的には、源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号を受信しているか否かの判断を行う。
【0186】
サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信したと判断したときは、処理をステップS142に進め、サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信していないと判断したときは、処理をステップS140に進める。
【0187】
〔ステップS142〕
電源制御装置300は、映像表示装置200の電源を入れる。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200へ遮断していた電力を再開させる。
【0188】
〔ステップS143〕
電源制御装置300は、ステップS134~ステップS135の処理が所定の回数繰り返されたか否かの判断をする。
【0189】
電源制御装置300が、ステップS134~ステップS135の処理が所定の回数繰り返したと判断したときは、サーバー装置100が再起動できないと判断し、処理を
図5のステップS24へ進め、電源制御装置300が、ステップS134~ステップS135の処理が所定の回数繰り返していないと判断したときは、処理をステップS34へ進める。
【0190】
上記のように処理を行うことで、映像アプリ140に障害が発生した場合、まずサーバー装置100を再起動させ、再起動が成功し映像アプリ140が正常に稼働した場合には、映像表示装置200の電源を入れて映像を再開させることができる。
【0191】
また再起動が成功しない場合、つまりサーバー装置100が反応しない場合には、処理を
図5のステップS24へ進めることで、電源制御装置300がサーバー装置100の電力を遮断することでコールドスタートさせることができるので、障害から確実に復旧させることができる。
【0192】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の障害監視復旧システムは、監視復旧部の詳細と処理の流れが異なる以外は、第1の実施の形態、および第2の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態および第2の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0193】
図11は、監視復旧部の詳細を示すブロック図である。
図11に示すように監視復旧部130は、映像アプリ監視部131、ハートビート停止命令部132、シャットダウン実行部133、サーバー再起動実行部134、およびアプリ再起動実行部135を備えている。
【0194】
アプリ再起動実行部135は、映像アプリ監視部131およびサーバー制御部120に接続されており、映像アプリ監視部131を介して接続された映像アプリ140を終了させた後に再び起動させる命令を送信して映像アプリ140を再起動させるためのものである。
【0195】
サーバー再起動実行部134が映像アプリ140に障害が生じたことにより映像アプリ監視部131が送信した障害発生信号を受信すると、アプリ再起動実行部135は映像アプリ140を終了させた後に再び起動させる命令を送信して映像アプリ140を再起動させるためのものである。
【0196】
映像アプリ140に障害が生じ、その障害から復旧させるには、サーバー装置100をコールドスタートや再起動させるのではなく、映像アプリ140を再起動させるだけで復旧できる場合もあり、短時間で復旧させることができる。第3の実施の形態におけるアプリ再起動実行部135は、このような場合に有効である。
【0197】
図12は、サーバー、電源制御装置、および映像表示装置の間において、各装置が正常稼働した状態からサーバー内の映像アプリに障害が発生し、発生した障害から復旧するまでの各装置の動作を示すシーケンスフローチャートである。以下、
図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお、
図5のシーケンスフローチャートと同じ処理を行うものについては適宜説明を省略する。
【0198】
〔ステップS11〕~〔ステップS17〕
図5のシーケンスフローチャートと同じ処理のため説明を省略する。
〔ステップS17-2〕
サーバー装置100は映像アプリ140を終了させる。具体的には、監視復旧部130が備えるアプリ再起動実行部135は、映像アプリ140を再起動させるために一端終了させる。
【0199】
〔ステップS17-3〕
サーバー装置100は映像アプリ140を起動させる。具体的には、監視復旧部130が備えるアプリ再起動実行部135は、ステップS17-2で映像アプリ140を再起動させるために一端終了させた映像アプリ140を起動させる。
〔ステップS28〕~〔ステップS34〕
図5のシーケンスフローチャートと同じ処理のため説明を省略する。
【0200】
図13は、電源制御装置にハートビート信号を送信した状態から、映像アプリの障害を検知し、ハートビート信号を停止させるまでのサーバーの処理を示すフローチャートである。以下、
図6に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0201】
〔ステップS151〕
サーバー装置100は、電源制御装置300に対してハートビート信号を送信する。具体的には、サーバー装置100が備えるサーバー制御部120にあらかじめ設定されたハートビート設定により、サーバー装置100は電源制御装置300に対してハートビート信号を送信する。
【0202】
〔ステップS152〕
サーバー装置100は、映像アプリ140の稼働状況を確認する。具体的には、サーバー装置100が備える映像アプリ監視部131が、映像アプリ140が正常に稼働しているか否かを確認する。
【0203】
〔ステップS153〕
サーバー装置100は、映像アプリ140が正常に稼働しているか否かの判断を行う。具体的には、サーバー装置100が備える映像アプリ監視部131が、映像アプリ140が正常に稼働しているか否かの判断を行う。
【0204】
映像アプリ140が正常に稼働していると映像アプリ監視部131が判断したときは、処理をステップS151に進め、映像アプリ140が正常に稼働していないと映像アプリ監視部131が判断したときは、処理をステップS154に進め、ハートビート停止命令部132に障害発生信号を送信する。
【0205】
〔ステップS154〕
サーバー装置100は、ハートビート信号を停止させる。具体的には、サーバー装置100が備えるハートビート停止命令部132がステップS153により障害発生信号を受信すると、ハートビート停止命令部132はサーバー制御部120に対してハートビート信号を停止させるハートビート停止信号を送信する。
【0206】
〔ステップS155〕
サーバー装置100は、映像アプリ140を終了させる。具体的には、サーバー装置100が備えるアプリ再起動実行部135がステップS153により障害発生信号を受信すると、アプリ再起動実行部135はサーバー制御部120に対して映像アプリ140を終了させる映像アプリ終了信号を送信して映像アプリ140を終了させる。
〔ステップS156〕
サーバー装置100は、映像アプリ140を起動させる。具体的には、サーバー装置100が備えるアプリ再起動実行部135がステップS155により映像アプリ140が終了すると、アプリ再起動実行部135はサーバー制御部120に対して映像アプリ140を起動させる映像アプリ起動信号を送信して映像アプリ140を再び起動させる。
〔ステップS157〕
サーバー装置100は、映像アプリ140が正常に稼働しているか否かの判断を行う。具体的には、サーバー装置100が備える映像アプリ監視部131が、映像アプリ140が正常に稼働しているか否かの判断を行う。
【0207】
映像アプリ140が正常に稼働していると映像アプリ監視部131が判断したときは、処理をステップS158に進め、映像アプリ140が正常に稼働していないと映像アプリ監視部131が判断したときは、処理をステップS155に進める。
〔ステップS158〕
サーバー装置100は、ハートビート信号の送信を開始する。具体的には、サーバー装置100が備える映像アプリ監視部131が、サーバー制御部120に対してハートビート信号を一定の間隔で送信する動作を開始する信号を送信することでハートビートを開始させる。
【0208】
〔ステップS159〕
サーバー装置100は、ステップS155~ステップS157の処理が所定の回数繰り返されたか否かの判断をする。
【0209】
サーバー装置100が、ステップS155~ステップS157の処理が所定の回数繰り返したと判断したときは、映像アプリ140の再起動では正常に稼働できないと判断し、処理を
図5のステップS18のサーバー装置100のシャットダウン処理、またはステップS17-1のサーバー装置100の再起動処理へ進め、サーバー装置100が、ステップS155~ステップS157の処理が所定の回数繰り返したと判断していないと判断したときは、処理をステップS155へ進める。
【0210】
図14は、映像アプリの障害が発生してから、映像表示装置を再び起動するまでの電源制御装置の処理を示すフローチャートである。以下、
図14に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0211】
〔ステップS161〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を確認する。具体的には、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号の確認を行う。
【0212】
〔ステップS162〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を受信しているか否かの判断をする。具体的には、源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号を受信しているか否かの判断を行う。
【0213】
サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信したと判断したときは、処理をステップS161に進め、サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信していないと判断したときは、処理をステップS163に進める
【0214】
〔ステップS163〕
電源制御装置300は、映像表示装置200の電源を停止する。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200へ供給している電力を遮断する。
【0215】
〔ステップS164〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を確認する。具体的には、電源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号の確認を行う。
【0216】
〔ステップS165〕
電源制御装置300は、ハートビート信号を受信しているか否かの判断をする。具体的には、源制御装置300が備えるハートビート受信部321が、サーバー装置100から一定の間隔で送信されるハートビート信号を受信しているか否かの判断を行う。
【0217】
サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信したと判断したときは、処理をステップS166に進め、サーバー装置100から送信されたハートビート信号をハートビート受信部321が受信していないと判断したときは、処理をステップS164に進める。
【0218】
〔ステップS166〕
電源制御装置300は、映像表示装置200の電源を入れる。具体的には、電源制御装置300が備える給電部323は、第二電源出力部360に接続された映像表示装置200へ遮断していた電力を再開させる。
【0219】
上記のように処理を行うことで、映像アプリ140に障害が生じ、その障害から復旧させるには、サーバー装置100をコールドスタートや再起動させるのではなく、映像アプリ140を再起動させて復旧を試みることができ、映像アプリ140の再起動だけでは復旧ができない場合は、サーバー装置100のシャットダウン処理からのコールドスタート、またはサーバー装置100の再起動処理でデジタルサイネージシステム1000を障害から復旧させることができる。
【符号の説明】
【0220】
10、40 装置
100 サーバー装置
110 通信部
120 サーバー制御部
121 ハートビート送信部
122 PING応答部
130 監視復旧部
131 映像アプリ監視部
132 ハートビート停止命令部
133 シャットダウン実行部
134 サーバー再起動実行部
135 アプリ再起動実行部
140 映像アプリ
150 表示情報出力部
200 映像表示装置
300 電源制御装置
310 電源部
320 電源制御部
321 ハートビート受信部
322 PING送受信部
323 給電部
324 マジックパケット送信部
330 通信部
340 情報記憶部
350 第一電源出力部
360 第二電源出力部
400 ネットワーク
1000 デジタルサイネージシステム
P 外部電源