(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】二次電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/514 20210101AFI20230601BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20230601BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20230601BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20230601BHJP
H01M 50/517 20210101ALI20230601BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20230601BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20230601BHJP
【FI】
H01M50/514
H01M50/284
H01M50/50 201A
H01M50/509
H01M50/517
H01M50/55 301
H01M50/569
(21)【出願番号】P 2020002637
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-12-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】712006374
【氏名又は名称】CONNEXX SYSTEMS株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 昇
(72)【発明者】
【氏名】花崎 黎
(72)【発明者】
【氏名】紺野 昭生
(72)【発明者】
【氏名】可知 直芳
(72)【発明者】
【氏名】小西 始
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-060690(JP,A)
【文献】特開2019-067675(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123619(WO,A1)
【文献】特開2020-187944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同じ一方の側に配置された互いに異極の2つのタブをそれぞれ備えかつ互いに固定された
ラミネート型の第1セル及び第2セルと、2つのスタッドボルトをそれぞれ備えた第1バスバー及び第2バスバーと、2つの貫通孔をそれぞれ備えた第1絶縁板及び第2絶縁板と、を有し、
前記第1セルの一方の第1-1タブは、鋭角に曲がった第1-1屈曲部及び前記第1-1屈曲部よりも先端側に位置しかつ鋭角に曲がった前記第1-1屈曲部の稜線に平行な方向のU字状の第1-1切り欠きを備えた平坦な第1-1先端部を持ち、
前記第2セルの一方の第1-2タブは、前記第1-1タブと同極であり、直角に曲がった第1-2屈曲部及び前記第1-2屈曲部よりも先端側に位置しかつ直角に曲がった前記第1-2屈曲部の稜線に平行な方向のU字状の第1-2切り欠きを備えた平坦な第1-2先端部を持ち、
前記第1バスバーは、前記第1-1切り欠き及び前記第1-2切り欠きに挿入される第1-1スタッドボルト、前記第2セルに隣接する
ラミネート型の第3セルの、前記第1-2タブと異極の第3タブに固定される第1-2スタッドボルト、並びに前記第1-1屈曲部及び前記第1-2屈曲部が挿入されるU字状の貫通溝を持ち、
前記第1絶縁板は、前記第1-1スタッドボルトが挿入される第1-1貫通孔と、前記第1-2スタッドボルトが挿入される第1-2貫通孔と、を持ち、
前記第1セルの他方の第2-1タブは、鋭角に曲がった第2-1屈曲部及び前記第2-1屈曲部よりも先端側に位置しかつ鋭角に曲がった前記第2-1屈曲部の稜線に平行な方向のU字状の第2-1切り欠きを備えた平坦な第2-1先端部を持ち、
前記第2セルの他方の第2-2タブは、前記第2-1タブと同極であり、直角に曲がった第2-2屈曲部及び前記第2-2屈曲部よりも先端側に位置しかつ直角に曲がった前記第2-2屈曲部の稜線に平行な方向のU字状の第2-2切り欠きを備えた平坦な第2-2先端部を持ち、
前記第2バスバーは、前記第2-1切り欠き及び前記第2-2切り欠きに挿入される第2-1スタッドボルト、並びに前記第1セルに隣接する
ラミネート型の第4セルの、前記第2-1タブと異極の第4タブに固定される第2-2スタッドボルトを持ち、
前記第2絶縁板は、前記第2-1スタッドボルトが挿入される第2-1貫通孔と、前記第2-2スタッドボルトが挿入される第2-2貫通孔と、を持つ二次電池パック。
【請求項2】
前記第1絶縁板は、回り止めの突起部と、前記第1バスバーとの相対的な位置及び角度のずれを制限する制限手段と、を有する請求項1に記載の二次電池パック。
【請求項3】
前記第1絶縁板及び前記第2絶縁板のそれぞれは、電圧測定用の貫通孔を有する請求項1又は2に記載の二次電池パック。
【請求項4】
さらに、前記第1バスバーと前記第1絶縁板との間に配置された第1端子板と、前記第2バスバーと前記第2絶縁板との間に配置された第2端子板と、を有し、
前記第1端子板及び前記第2端子板は、前記第1セルと前記第2セルとの電圧バランスを調節する回路への接続ケーブルが接続される接続端子を個別に備える請求項1~3のいずれか1項に記載の二次電池パック。
【請求項5】
前記第1-1タブの前記第1-1屈曲部の鋭角に曲がった方向及び角度は、前記第2-1タブの前記第2-1屈曲部の鋭角に曲がった方向及び角度と同一であり、前記第1-2タブの前記第1-2屈曲部の直角に曲がった方向及び角度は、前記第2-2タブの前記第2-2屈曲部の直角に曲がった方向及び角度と同一である請求項1~4のいずれか1項に記載の二次電池パック。
【請求項6】
前記第1~4セルのそれぞれは、さらに、周辺部及び中央部が同一平面にある平坦側シートと、周辺部に対して中央部が隆起している隆起側シートと、を有し、
前記第2セルは、前記第2セルの前記隆起側シートが、隣接する前記第1セルの前記平坦側シートと対向するように配置され、前記第3セルは、前記第3セルの前記平坦側シートが、隣接する前記第2セルの前記平坦側シートと対向するように配置され、前記第4セルは、前記第4セルの前記隆起側シートが、隣接する前記第1セルの前記隆起側シートと対向するように配置される請求項1~5のいずれか1項に記載の二次電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセルを並列及び直列に接続した二次電池パックに関するものであり、特にセル交換の作業効率が良い二次電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、充放電可能な二次電池は、小型モバイル機器だけでなく、自動車などのような中大型デバイスにも使用されるようになり、その場合には一般的に、多数の電池セルを電気的に接続した中大型電池パックが使用される。また、電池セルは、角形セル、ラミネート型セルなどが存在するが、ラミネート型セルは、アルミニウムラミネートシートなどを外装部材として使用するので、重量が小さく、製造コストが低く、形状の変形が容易であるという利点を有する。
【0003】
特許文献1には、ケースの上部に形成されたスリット状の貫通孔を介して電極端子を上向きに貫通して露出させ、上向きに突出した電極端子を直角に折り曲げてバスバーの板状の本体に接触させ、電極端子とバスバーとをレーザ溶接により電気的に結合することが記載されている。また、特許文献2には、ボルト本体が垂直に突設されたタブ支持体を、セル電池の電池タブに設けられた締結溝に嵌め込み、次に、他のセル電池の電池タブに設けられた締結溝を、ボルト本体に嵌め込み、突出したボルト本体にタブ固定体の貫通孔に嵌め込み、ナットを用いて締結することによって、2つのセル電池を並列又は直列に接続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6014752号
【文献】特許第5491397号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のタブ接続方法には、バスバーに対して電極端子がレーザ溶接された2つの電池セルの内の一方を取り外すことができないので、電池セルを交換できないという問題があった。一方、特許文献2のタブ接続方法には、2つのセル電池を互いに固定せずに、ボルト本体に対して2つのセル電池の電池タブの位置を同時に合わせて共締めしているので、セル電池交換の作業効率が悪いという問題があった。また、特許文献2のタブ接続方法には、ナットを少し緩めた状態では、セル電池に対してタブ支持体及びタブ固定体を取り外したり取り付けたりすることができないので、セル電池交換の作業効率が悪いという問題があった。さらに、特許文献1、2のタブ接続方法には、並列に接続された複数のセルをさらに直列に接続する具体的な方法が考慮されていないという共通の問題があった。
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、並列に接続された複数のセルをさらに直列に接続でき、しかもセル交換の作業効率が良い二次電池パックを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記目的に加え、従来と同等以上に容易に品質を確認することができ、セルの組み立て効率及び品質を良くすることが可能な二次電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、まず、タブが鋭角に曲がったセルとタブが直角に曲がったセルを互いに固定し、バスバーの一方のスタッドボルトを両方の同極のタブの切り欠き及び絶縁板の貫通孔に通し、ナットで固定することによって、複数のセルを並列に接続でき、バスバーの他方のスタッドボルトを隣接するセルの異極のタブに同様に固定することによって、並列に接続された複数のセルをさらに直列に接続でき、しかもセル交換の作業効率を良くすることができることを見出した。
【0008】
また、本発明者は、鋭角又は直角に曲がった屈曲部の稜線に平行な方向に、タブにU字状の切り欠きを設けることによって、貫通孔を設けた時よりも分解の手間が少なくなるので、一層セル交換の作業効率を良くすることができることを見出し、本発明に至ったものである。
【0009】
即ち、本発明は、互いに同じ一方の側に配置された互いに異極の2つのタブをそれぞれ備えかつ互いに固定されたラミネート型の第1セル及び第2セルと、2つのスタッドボルトをそれぞれ備えた第1バスバー及び第2バスバーと、2つの貫通孔をそれぞれ備えた第1絶縁板及び第2絶縁板と、を有し、第1セルの一方の第1-1タブは、鋭角に曲がった第1-1屈曲部及び第1-1屈曲部よりも先端側に位置しかつ鋭角に曲がった第1-1屈曲部の稜線に平行な方向のU字状の第1-1切り欠きを備えた平坦な第1-1先端部を持ち、第2セルの一方の第1-2タブは、第1-1タブと同極であり、直角に曲がった第1-2屈曲部及び第1-2屈曲部よりも先端側に位置しかつ直角に曲がった第1-2屈曲部の稜線に平行な方向のU字状の第1-2切り欠きを備えた平坦な第1-2先端部を持ち、第1バスバーは、第1-1切り欠き及び第1-2切り欠きに挿入される第1-1スタッドボルト、第2セルに隣接するラミネート型の第3セルの、第1-2タブと異極の第3タブに固定される第1-2スタッドボルト、並びに第1-1屈曲部及び第1-2屈曲部が挿入されるU字状の貫通溝を持ち、第1絶縁板は、第1-1スタッドボルトが挿入される第1-1貫通孔と、第1-2スタッドボルトが挿入される第1-2貫通孔と、を持ち、第1セルの他方の第2-1タブは、鋭角に曲がった第2-1屈曲部及び第2-1屈曲部よりも先端側に位置しかつ鋭角に曲がった第2-1屈曲部の稜線に平行な方向のU字状の第2-1切り欠きを備えた平坦な第2-1先端部を持ち、第2セルの他方の第2-2タブは、第2-1タブと同極であり、直角に曲がった第2-2屈曲部及び第2-2屈曲部よりも先端側に位置しかつ直角に曲がった第2-2屈曲部の稜線に平行な方向のU字状の第2-2切り欠きを備えた平坦な第2-2先端部を持ち、第2バスバーは、第2-1切り欠き及び第2-2切り欠きに挿入される第2-1スタッドボルト、並びに第1セルに隣接するラミネート型の第4セルの、第2-1タブと異極の第4タブに固定される第2-2スタッドボルトを持ち、第2絶縁板は、第2-1スタッドボルトが挿入される第2-1貫通孔と、第2-2スタッドボルトが挿入される第2-2貫通孔と、を持つ二次電池パックを提供するものである。
【0010】
ここで、上記においては、第1絶縁板は、回り止めの突起部と、第1バスバーとの相対的な位置及び角度のずれを制限する制限手段と、を有するのが好ましい。
第1絶縁板及び第2絶縁板のそれぞれは、電圧測定用の貫通孔を有するのが好ましい。
【0011】
さらに、第1バスバーと第1絶縁板との間に配置された第1端子板と、第2バスバーと第2絶縁板との間に配置された第2端子板と、を有し、第1端子板及び第2端子板は、第1セルと第2セルとの電圧バランスを調節する回路への接続ケーブルが接続される接続端子を個別に備えるのが好ましい。
第1-1タブの第1-1屈曲部の鋭角に曲がった方向及び角度は、第2-1タブの第2-1屈曲部の鋭角に曲がった方向及び角度と同一であり、第1-2タブの第1-2屈曲部の直角に曲がった方向及び角度は、第2-2タブの第2-2屈曲部の直角に曲がった方向及び角度と同一であるのが好ましい。
第1~4セルのそれぞれは、さらに、周辺部及び中央部が同一平面にある平坦側シートと、周辺部に対して中央部が隆起している隆起側シートと、を有し、第2セルは、第2セルの隆起側シートが、隣接する第1セルの平坦側シートと対向するように配置され、第3セルは、第3セルの平坦側シートが、隣接する第2セルの平坦側シートと対向するように配置され、第4セルは、第4セルの隆起側シートが、隣接する第1セルの隆起側シートと対向するように配置されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、並列に接続された複数のセルをさらに直列に接続でき、しかもセル交換の作業効率を良くすることができる。
また、本発明によれば、上記効果に加え、従来と同等以上に容易に品質を確認することができ、セルの組み立て効率及び品質を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の二次電池パックを示す正面図である。
【
図2(a)】
図1の二次電池パックの断面AAを示す平面図である。
【
図2(b)】
図2(a)のC0部の部分拡大平面図である。
【
図2(c)】
図2(b)の断面C1C1を示す部分拡大断面図である。
【
図2(d)】
図2(b)の断面C2C2を示す部分拡大断面図である。
【
図2(e)】
図2(b)の矢視C3を示す部分拡大側面図である。
【
図3(a)】
図1の二次電池パックの断面BBを示す平面図である。
【
図3(b)】
図3(a)のD0部の部分拡大平面図である。
【
図3(c)】
図3(b)の断面D1D1を示す部分拡大断面図である。
【
図3(d)】
図3(b)の断面D2D2を示す部分拡大断面図である。
【
図3(e)】
図3(b)の矢視D3を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の二次電池パックを添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の二次電池パックを示す正面図である。
【0015】
本発明の二次電池パック10は、28個のラミネート型セル20を有し、28個のラミネート型セル20は、積層された平板状のものであり、隣接する2つのラミネート型セル20a、20bを含む。また、本発明の二次電池パック10は、さらに、14枚の冷却板30と筐体40とを有しても良い。その場合には、各冷却板30は、接触部32を備え、接触部32は、隣接する2つのラミネート型セル20a、20bの間に配置される。筐体40は、固定部(図示せず)と底壁42とを備え、固定部は、28個のラミネート型セル20を固定する。
【0016】
ラミネート型セル20の2個の並列接続数は、特に制限的ではなく、3個以上でも良い。ラミネート型セル20の14個の直列接続数は、特に制限的ではなく、3~13個又は15個以上でも良い。冷却板30の数は、特に制限的ではなく、3~13個又は15個以上でも良い。図の中のY軸は、28個のラミネート型セル20の積層方向であり、ラミネート型セル20が長方形の平板状の場合には、Y軸は、ラミネート型セル20の厚さ方向であり、X軸は、ラミネート型セル20の長辺方向であり、Z軸は、ラミネート型セル20の短辺方向である。
【0017】
ラミネート型セル20は、二次電池のセルであれば特に制限的ではないが、リチウムイオン二次電池のセルが好ましい。冷却板30の材料は、熱伝導率が高い材料であれば特に制限的ではないが、銅、アルミニウムなどが好ましく、アルミニウムがより好ましい。筐体40の材料は、約8kgのラミネート型セルを支持できる材料であれば特に制限的ではないが、鉄、アルミニウムなどが好ましく、鉄がより好ましい。
【0018】
次に、本発明の二次電池パックを構成するラミネート型セルのタブ接続方法について説明する。
まず、2つのタブの内、上側のタブ接続方法について説明する。
図2(a)は、
図1の二次電池パックの断面AAを示す平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のC0部の部分拡大平面図であり、
図2(c)は、
図2(b)の断面C1C1を示す部分拡大断面図であり、
図2(d)は、
図2(b)の断面C2C2を示す部分拡大断面図であり、
図2(e)は、
図2(b)の矢視C3を示す部分拡大側面図である。
【0019】
本発明の二次電池パック10は、第1セル22及び第2セル24と、上側バスバー50及び下側バスバー60と、上側絶縁板70及び下側絶縁板80と、を有し、第1セル22及び第2セル24は、2つのタブをそれぞれ備えかつ互いに固定され、上側バスバー50及び下側バスバー60は、2つのスタッドボルトをそれぞれ備え、上側絶縁板70及び下側絶縁板80は、2つの貫通孔をそれぞれ備える。
【0020】
第1セル22の一方の上側第1タブ22aは、鋭角に曲がった上側第1屈曲部22b及び平坦な上側第1先端部22cを持ち、上側第1先端部22cは、上側第1屈曲部22bよりも先端側に位置しかつU字状の上側第1切り欠き22dを備え、上側第1切り欠き22dは、鋭角に曲がった上側第1屈曲部22bの稜線に平行な方向に伸びる。第2セル24の一方の上側第2タブ24aは、上側第1タブ22aと同極であり、直角に曲がった上側第2屈曲部24b及び平坦な上側第2先端部24cを持ち、上側第2先端部24cは、上側第2屈曲部24bよりも先端側に位置しかつU字状の上側第2切り欠き24dを備え、上側第2切り欠き24dは、直角に曲がった上側第2屈曲部24bの稜線に平行な方向に伸びる。
【0021】
上側バスバー50は、上側第1スタッドボルト52aと上側第2スタッドボルト52bとU字状の貫通溝54とを持ち、上側第1スタッドボルト52aは、上側第1切り欠き22d及び上側第2切り欠き24dに挿入され、上側第2スタッドボルト52bは、第2セル24に隣接する第3セル26の第3タブ26aに固定され、第3タブ26aは、上側第2タブ24aと異極であり、貫通溝54には、上側第1屈曲部22b及び上側第2屈曲部24bが挿入される。上側絶縁板70は、上側第1貫通孔72aと上側第2貫通孔72bとを持ち、上側第1貫通孔72aには、上側第1スタッドボルト52aが挿入され、上側第2貫通孔72bには、上側第2スタッドボルト52bが挿入される。
【0022】
ここで、本発明の二次電池パック10を構成する2つのラミネート型セル20a、20bは、第1セル22及び第2セル24に対応する。また、上側第1タブ22a、上側第1屈曲部22b、上側第1先端部22c、上側第1切り欠き22dは、本発明の第1-1タブ、第1-1屈曲部、第1-1先端部、第1-1切り欠きにそれぞれ対応し、上側第2タブ24a、上側第2屈曲部24b、上側第2先端部24c、上側第2切り欠き24dは、本発明の第1-2タブ、第1-2屈曲部、第1-2先端部、第1-2切り欠きにそれぞれ対応し、上側バスバー50、上側第1スタッドボルト52a、上側第2スタッドボルト52bは、本発明の第1バスバー、第1-1スタッドボルト、第1-2スタッドボルトに対応し、下側バスバー60は、本発明の第2バスバーに対応し、上側絶縁板70、上側第1貫通孔72a、上側第2貫通孔72bは、本発明の第1絶縁板、第1-1貫通孔、第1-2貫通孔に対応し、下側絶縁板80は、本発明の第2絶縁板に対応する。ただし、各タブの先端部のU字状の切り欠きは、スタッドボルトを挿入することが可能な形状であれば特に制限的ではなく、円形又は長円形の貫通孔でも良いが、セル交換の作業効率の点でU字状の切り欠きの方が好ましい。また、U字状の切り欠きと、円形又は長円形の貫通孔と、を含めて、スタッドボルト挿入部という。
【0023】
次に、2つのタブの内、下側のタブ接続方法について説明する。
図3(a)は、
図1の二次電池パックの断面BBを示す平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のD0部の部分拡大平面図であり、
図3(c)は、
図3(b)の断面D1D1を示す部分拡大断面図であり、
図3(d)は、
図3(b)の断面D2D2を示す部分拡大断面図であり、
図3(e)は、
図3(b)の矢視D3を示す部分拡大側面図である。
【0024】
第1セル22の他方の下側第1タブ22eは、鋭角に曲がった下側第1屈曲部22f及び平坦な下側第1先端部22gを持ち、下側第1先端部22gは、下側第1屈曲部22fよりも先端側に位置しかつU字状の下側第1切り欠き22hを備え、下側第1切り欠き22hは、鋭角に曲がった下側第1屈曲部22fの稜線に平行な方向に伸びる。第2セル24の他方の下側第2タブ24eは、下側第1タブ22eと同極であり、直角に曲がった下側第2屈曲部24f及び平坦な下側第2先端部24gを持ち、下側第2先端部24gは、下側第2屈曲部24fよりも先端側に位置しかつU字状の下側第2切り欠き24hを備え、下側第2切り欠き24hは、直角に曲がった下側第2屈曲部24fの稜線に平行な方向に伸びる。
【0025】
下側バスバー60は、下側第1スタッドボルト62aと下側第2スタッドボルト62bとを持ち、下側第1スタッドボルト62aは、下側第1切り欠き22h及び下側第2切り欠き24hに挿入され、下側第2スタッドボルト62bは、第1セル22に隣接する第4セル28の第4タブ28aに固定され、第4タブ28aは、下側第1タブ22eと異極である。下側絶縁板80は、下側第1貫通孔82aと下側第2貫通孔82bとを持ち、下側第1貫通孔82aには、下側第1スタッドボルト62aが挿入され、下側第2貫通孔82bには、下側第2スタッドボルト62bが挿入される。
【0026】
ここで、下側第1タブ22e、下側第1屈曲部22f、下側第1先端部22g、下側第1切り欠き22hは、本発明の第2-1タブ、第2-1屈曲部、第2-1先端部、第2-1切り欠きにそれぞれ対応し、下側第2タブ24e、下側第2屈曲部24f、下側第2先端部24g、下側第2切り欠き24hは、本発明の第2-2タブ、第2-2屈曲部、第2-2先端部、第2-2切り欠きにそれぞれ対応し、下側バスバー60、下側第1スタッドボルト62a、下側第2スタッドボルト62bは、本発明の第2バスバー、第2-1スタッドボルト、第2-2スタッドボルトに対応し、下側絶縁板80、下側第1貫通孔82a、下側第2貫通孔82bは、本発明の第2絶縁板、第2-1貫通孔、第2-2貫通孔に対応する。ただし、各タブの先端部のU字状の切り欠きは、スタッドボルトを挿入することが可能な形状であれば特に制限的ではなく、円形又は長円形の貫通孔でも良いが、セル交換の作業効率の点でU字状の切り欠きの方が好ましい。また、U字状の切り欠きと、円形又は長円形の貫通孔と、を含めて、スタッドボルト挿入部という。
【0027】
即ち、複数のセルを並列及び直列に接続する場合に、互いに並列に接続する第1セル22及び第2セル24の同極のタブをそれぞれ重ね、貫通溝54を通した二重の一方のタブを上側第1スタッドボルト52aで上側バスバー50と上側絶縁板70との間に固定し、二重の他方のタブを下側第1スタッドボルト62aで下側バスバー60と下側絶縁板80との間に固定し、上側バスバー50と上側絶縁板70との間に固定した二重の一方のタブと異極の第3セル26の第3タブ26aを、上側第2スタッドボルト52bで上側バスバー50と上側絶縁板70との間に固定し、下側バスバー60と下側絶縁板80との間に固定した二重の他方のタブと異極の第4セル28の第4タブ28aを、下側第2スタッドボルト62bで下側バスバー60と下側絶縁板80との間に固定する。
【0028】
第2セル24の下側第2タブ24eに隣接する、下側第2タブ24eと異極のタブは、
図3(a)では下側第2タブ24eに接触しているように記載されているが、この異極のタブ及び下側第2タブ24eの内の少なくとも一方のタブの接触面に絶縁テープなどを貼り付けて、互いに電気的に絶縁する必要がある。上側バスバー50及び下側バスバー60の材料は、導電性が高い材料であれば特に制限的ではないが、銅、アルミニウムなどが好ましく、アルミニウムがより好ましい。上側絶縁板70及び下側絶縁板80の材料は、導電性が低い材料であれば特に制限的ではないが、スチロール樹脂、フェノール樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂などが好ましく、PBT樹脂がより好ましい。なお、上側絶縁板70及び下側絶縁板80が弾性変形又は塑性変形してスタッドボルトのナットの緩みが発生する場合には、上側第1スタッドボルト52aと上側絶縁板70の上側第1貫通孔72aとの間、上側第2スタッドボルト52bと上側絶縁板70の上側第2貫通孔72bとの間、下側第1スタッドボルト62aと下側絶縁板80の下側第1貫通孔82aとの間、及び下側第2スタッドボルト62bと下側絶縁板80の下側第2貫通孔82bとの間に円筒状の金属製のカラーをそれぞれ挿入しても良い。
【0029】
このような構成とすることで、第1セル及び第2セルは、互いに固定されていて、タブの位置を予め合わせておくことができるので、本発明の二次電池パックは、セル交換の作業効率だけでなく、セルの組み立て効率及び品質を良くすることができる。また、スタッドボルトのナットを少し緩めれば、タブに対してバスバー及び絶縁板を取り外したり取り付けたりすることができるので、本発明の二次電池パックは、セル交換の作業効率を良くすることができる。
【0030】
なお、以上の説明では、上側及び下側という表現で、第1セル22の2つのタブ、第2セル24の2つのタブ、2つのバスバー、2つの絶縁板を区別して特定したが、本発明の二次電池パックでは、上側及び下側に限定されず、水平面上の例えば左側及び右側に配置しても良く、また、上側と下側とを完全に反対にして、例えば上側第1タブ22aを物理的に下側に、下側第1タブ22eを物理的に上側に配置しても良い。さらに、本発明の二次電池パックでは、第1-1タブ及び第1-2タブは、上側のタブ、即ち、上側第1タブ22a及び上側第2タブ24aにそれぞれ対応することに限定されず、下側のタブ、即ち、下側第1タブ22e及び下側第2タブ24eにそれぞれ対応しても良く、同様に、第2-1タブ及び第2-2タブは、下側のタブ、即ち、下側第1タブ22e及び下側第2タブ24eにそれぞれ対応することに限定されず、上側のタブ、即ち、上側第1タブ22a及び上側第2タブ24aにそれぞれ対応しても良い。
【0031】
本発明の二次電池パック10を構成する上側絶縁板70は、回り止めの突起部74と制限手段(図示せず)とを有しても良く、その場合には、制限手段は、上側バスバー50との相対的な位置及び角度のずれを制限する。制限手段は、例えば、上側バスバー50に固定されたピン及びそのピンに嵌合する上側絶縁板70の孔であり、上側バスバー50に設けられた孔及びその孔に嵌合する上側絶縁板70の突起であり、上側バスバー50の切断面及びその切断面を覆うように上側絶縁板70から伸びる側壁である。
【0032】
即ち、回り止めとして突起部74を押さえながら上側第1スタッドボルト52aのナットを締め付けないと、上側バスバー50の貫通溝54が上側第1タブ22a及び上側第2タブ24aを引きちぎる恐れがある。
【0033】
このような構成とすることで、スタッドボルトのナットを締め付ける時に第1バスバーの回転を止めることができるので、本発明の二次電池パックは、セル交換の作業効率だけでなく、セルの組み立て効率及び品質を良くすることができる。
【0034】
本発明の二次電池パック10を構成する上側絶縁板70は、電圧測定用の貫通孔76を有しても良く、下側絶縁板80は、電圧測定用の貫通孔84を有しても良い。
【0035】
即ち、上側第1タブ22a、下側第1タブ22eなどの電圧を測定するために、測定装置用プローブを上側第1スタッドボルト52a、下側第1スタッドボルト62aなどに接触させなくても良くなる。
【0036】
このような構成とすることで、測定装置用プローブの接触状態が安定するので、本発明の二次電池パックは、容易に品質を確認することができる。
【0037】
本発明の二次電池パック10は、さらに、上側端子板90と下側端子板100とを有しても良く、その場合には、上側端子板90は、上側バスバー50と上側絶縁板70との間に配置され、下側端子板100は、下側バスバー60と下側絶縁板80との間に配置される。上側端子板90及び下側端子板100は、接続端子(図示せず)を個別に備え、接続端子には、第1セル22と第2セル24との電圧バランスを調節する回路への接続ケーブルが接続される。
【0038】
ここで、上側端子板90は、本発明の第1端子板に対応し、下側端子板100は、本発明の第2端子板に対応する。
【0039】
即ち、接続ケーブルを上側第1タブ22a、下側第1タブ22e、上側バスバー50、下側バスバー60などに直接接続しなくても良くなる。上側端子板90及び下側端子板100の材料は、導電性が高い材料であれば特に制限的ではないが、銅、アルミニウムなどが好ましく、アルミニウムがより好ましい。
【0040】
このような構成とすることで、接続ケーブルを別工程で予めはんだ付けしてから組み立てることができるので、本発明の二次電池パックは、セルの組み立て効率及び品質を良くすることができる。
【0041】
本発明の二次電池パック10を構成する第1セル22及び第2セル24について、上側第1タブ22aの上側第1屈曲部22bの鋭角に曲がった方向及び角度は、下側第1タブ22eの下側第1屈曲部22fの鋭角に曲がった方向及び角度と同一であっても良く、上側第2タブ24aの上側第2屈曲部24bの直角に曲がった方向及び角度は、下側第2タブ24eの下側第2屈曲部24fの直角に曲がった方向及び角度と同一であっても良い。
【0042】
即ち、第1セル22及び第2セル24の2つずつのタブを曲げる時に、第1セル22と第2セル24では曲げる角度が異なるものの、上側第1タブ22a及び下側第1タブ22eを同一の方向及び角度に曲げ、上側第2タブ24a及び下側第2タブ24eを同一の方向及び角度に曲げれば良くなる。
【0043】
このような構成とすることで、組み立て治具及び運搬トレイの形状がシンプルになるので、本発明の二次電池パックは、セルの組み立て効率及び品質を良くすることができる。
【0044】
本発明の二次電池パック10を構成する第1セル22、第2セル24、第3セル26、第4セル28のそれぞれは、さらに、平坦側シート20fと隆起側シート20pとを有しても良く、その場合には、平坦側シート20fは、周辺部及び中央部が同一平面にあり、隆起側シート20pは、周辺部に対して中央部が隆起している。第2セル24は、第2セル24の隆起側シート20pが、隣接する第1セル22の平坦側シート20fと対向するように配置され、第3セル26は、第3セル26の平坦側シート20fが、隣接する第2セル24の平坦側シート20fと対向するように配置され、第4セル28は、第4セル28の隆起側シート20pが、隣接する第1セル22の隆起側シート20pと対向するように配置される。
【0045】
即ち、互いに直列に接続した第3セル26と第4セル28との間に、互いに並列に接続した第1セル22及び第2セル24を直列に接続する回路を構成する時に、まず、タブの正極負極配置及びタブの切り欠きの方向が第1セル22と同一のセルを第2セル24として製作し、タブの正極負極配置が第1セル22と同一でありかつタブの切り欠きの方向が第1セル22と反対向きのセルを第3セル26及び第4セル28として製作し、次に、平坦側シート20f及び隆起側シート20pを互いに同一の配置にして積層した第3セル26と第4セル28との間に、平坦側シート20f及び隆起側シート20pを互いに同一の配置にして積層した第1セル22及び第2セル24を、平坦側シート20f及び隆起側シート20pを反対の配置にして積層すれば良くなる。
【0046】
このような構成とすることで、タブの切り欠きの方向だけが異なる2種類のセルを製作すれば良くなった結果、組み立て治具及び運搬トレイの形状がシンプルになるので、本発明の二次電池パックは、セルの組み立て効率及び品質を良くすることができる。
本発明の二次電池パックは、基本的に以上のように構成される。
【0047】
以上、本発明の二次電池パックについて詳細に説明したが、本発明は上記記載に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしても良いのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の二次電池パックは、並列に接続された複数のセルをさらに直列に接続でき、しかもセル交換の作業効率を良くすることができるという効果に加え、従来と同等以上に容易に品質を確認することができ、セルの組み立て効率及び品質を良くすることができるという効果もあるので、産業上有用である。
【符号の説明】
【0049】
10 二次電池パック
20、20a、20b ラミネート型セル
20f 平坦側シート
20p 隆起側シート
22 第1セル
22a 上側第1タブ(第1-1タブ)
22b 上側第1屈曲部(第1-1屈曲部)
22c 上側第1先端部(第1-1先端部)
22d 上側第1切り欠き(第1-1切り欠き)
22e 下側第1タブ(第2-1タブ)
22f 下側第1屈曲部(第2-1屈曲部)
22g 下側第1先端部(第2-1先端部)
22h 下側第1切り欠き(第2-1切り欠き)
24 第2セル
24a 上側第2タブ(第1-2タブ)
24b 上側第2屈曲部(第1-2屈曲部)
24c 上側第2先端部(第1-2先端部)
24d 上側第2切り欠き(第1-2切り欠き)
24e 下側第2タブ(第2-2タブ)
24f 下側第2屈曲部(第2-2屈曲部)
24g 下側第2先端部(第2-2先端部)
24h 下側第2切り欠き(第2-2切り欠き)
26 第3セル
26a 第3タブ
28 第4セル
28a 第4タブ
30 冷却板
32 接触部
40 筐体
42 底壁
50 上側バスバー(第1バスバー)
52a 上側第1スタッドボルト(第1-1スタッドボルト)
52b 上側第2スタッドボルト(第1-2スタッドボルト)
54 貫通溝
60 下側バスバー(第2バスバー)
62a 下側第1スタッドボルト(第2-1スタッドボルト)
62b 下側第2スタッドボルト(第2-2スタッドボルト)
70 上側絶縁板(第1絶縁板)
72a 上側第1貫通孔(第1-1貫通孔)
72b 上側第2貫通孔(第1-2貫通孔)
74 突起部
76、84 貫通孔
80 下側絶縁板(第2絶縁板)
82a 下側第1貫通孔(第2-1貫通孔)
82b 下側第2貫通孔(第2-2貫通孔)
90 上側端子板(第1端子板)
100 下側端子板(第2端子板)